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ぷに、雪原を行く

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 ――ぷに、ぷに。ぷにぷにぷにぷに。
 それは、鮮やかな色彩のスライム状の生物の群れだった。
 あっちでぽよん、こっちでぽよん。押し合いへし合い、彼らは雪の舞う迷宮内を進んでいく。
 スライムたちの後方には、魔導と蒸気機械の粋を集めたゴーレムが。
 地上を目指し――白銀の世界を、彼らは行く。


「今回行ってもらいたいのは『アルダワ魔法学園』」
 何故か小さな踏み台の上に乗ったレコ・ジェヒ(ケットシーのビーストマスター・f00191)が、行き先を告げる。
「『アルダワ魔法学園』の地下迷宮のことは知ってるよね? この地下迷宮のとある災魔が上層を目指して侵攻してるから、これを討伐してほしいんだ」
 侵攻する災魔の名前は『蜜ぷに』。色とりどりの、花の蜜でできたスライムである。
「『蜜ぷに』自体はものすごく弱い災魔なんだよね。それこそ学園の学生にだって簡単に倒せるくらい」
 ちなみに倒すと蜜になりそれがものすごく美味しいと噂だが、レコ自身は食べたことがない。
「でも今回はとにかく数が多くて。それに『蜜ぷに』の後ろ? にフロアボスらしき災魔がいるんだよね……ゴーレムみたいなやつ」
 『蜜ぷに』への対処が終わったら、そちらも討伐しなければならない。
「『蜜ぷに』がいるのは、新雪が積もった雪の階層だよ」
 真っ白な雪原の中を、様々な色合いのスライムが行進しているんだとか。
「ゴーレムみたいなのはその雪の階層に入る直前の小さな広場にいるんだけど、やっぱりまずは『蜜ぷに』への対処が先かな」
 少し考えながら、ニコは続ける。
「多分、『蜜ぷに』が邪魔でそこまでたどり着けないだろうから」
 どれだけの数の『蜜ぷに』がいるのやら。

「この階層、もともとは学生たちの遊び場だったんだよ」
 時折人工降雪システムが作動して、今回のような雪景色を作り出す。システムが作動している間は常に新雪が積もり続け、雪遊びに興じる学生たちも多かったらしい。
「災魔を全部片付けたら、みんなも雪遊びとかどうかな? きっと楽しいと思うよ」


乾ねこ
 乾ねこです。
 『アルダワ魔法学園』の災魔たちを蹴散らして雪遊びしましょう。

 まずは『蜜ぷに』と戦っていただきます。
 オープニングにある通り、ごく弱い災魔です。数は多いですがサクサク倒せます。
 次にゴーレムらしきボスと戦います。
 一体だけですので、頑張ってサクッと倒してください。

 蜜ぷにがいるのは広い雪原のフロア、ボスはその先の小部屋にいます(小部屋に雪はありません)。
 いずれも戦闘の邪魔になるようなものはありませんが、蜜ぷにを全滅させる前にボスの小部屋に入ろうとすると蜜ぷにの群れに全力で押し返されます。

 戦闘が終了したら新雪の中で雪遊びをお楽しみください。
 戦闘の痕跡(?)は新雪で綺麗に消え去っていますので、目一杯雪遊びをお楽しみください(大事なことなので二回言いました)。

●注意事項
 ご友人等、同行者がいらっしゃる場合はその旨をプレイングにご記入ください。お相手のIDやグループ名等が書かれていると確実です。
 また、プレイングの投稿時期が大きくズレますと同行の描写が叶わずプレイングをお返しする可能性があります。
 完全なる「単独行動」をご希望の場合にもプレイング内にてその旨をご指定ください。
 記入がない場合、単独参加でも他の参加者の方と行動を共にしていただくことがあります(特に探索、戦闘ではその傾向が強いです)。

 それでは皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

雪か、俺にとってたなじみ深いな
俺がこの姿をとるずっと前から雪と共に過ごしてきたからな
俺にはだから雪にちなんだ思い出がたくさんある

さて、と雪で楽しむために一働きだな
可愛いが数が多いと問題だしな
そっち一匹いったから頼むな桜花
悪いが俺の刃に切り刻まれろ!


さてと二人ならでは、となると
雪合戦は……お前飛べるから却下な
んじゃでっかい雪だるまでも作ろうぜ
小さいころと違ってい今なら頭を自分で載せられるだろう
んじゃ雪玉作りの大きさ勝負だ!


コハル・ファインギフト
ゆーきー、ゆきー、にゃ!
…でも遊ぶ前にやる事やるにゃ!

雪降ってるから
走ったりしにくいと思うのにゃ
滑らない・転ばないよう気を付けるのにゃ

むむ、蜜ぷにがなんか増えたにゃね…
『猫の手が何かするにゃ』で増える元の本体を狙って攻撃にゃ!
(多分これなら察知されにくいにゃ…見えない猫の手達、お願いにゃ!)

可能なら【範囲攻撃】で
増えたぷに(勇者ぷにと戦士ぷに)や他の蜜ぷに達も纏めて攻撃にゃ
けど、他の人を巻込まないように気を付けるにゃー!

ぷにが攻撃してくるなら味方庇いたいにゃ
ついでに【カウンター】でぷににダメージを与えられれば御の字にゃ

倒した後
できれば蜜を瓶とかに回収したいけど
ぷに全部倒すまでは戦闘専念にゃー!


五條・桜花
雪月(f03400)と同行です
関係性のイメージは祖父と孫

雪ですかとても馴染み深いのですがちょっと切なくなります
お母さんお父さんの思い出も一緒に蘇るから
なんてね

さていきますよ
楽しむために頑張りますよ
可愛いからって手心なんて加えません
さあ私の桜の前に沈みなさい
任せてください雪月
とにかく数を減らさないと
召喚元の奴を削るのが先決ですよね

雪遊びはどうしましょうか
うーんうーんなるほど雪だるまはいいですね
懐かしいです
負けませんよ大きさで
いざ勝負ですよ


雪生・霜逝
雪。欠けて朧げな記憶の中で、いつもわたくしと共にあったもの。
雪を奪うものがあるというのなら、全く個人的に、わたくしはそれを防ぎたい……そう思ったときには、既に足を運んでおりました。

【POW】使用。
白い世界に鮮やかな色。あれが"蜜ぷに"なるものにございましょう。
可愛らしくはありますが、雪の美しさにはそぐわない異物でもあります。
「恐れ入りますが、御退場願いたく――」
誰にともなくつぶやいて。個体の戦闘能力は高くないとのことでしたので、味方の護衛より露払いを優先。
内蔵した小型砲台を露出し、【一斉発射】で【範囲攻撃】。逃げる個体も【誘導弾】にて仕留めましょう。
閃くは銀の弾丸。暴風に舞う、雪のように。


清川・シャル
ぷにぷにして可愛いですね!
容赦なく潰しますとも!

いっぱい出てきたら厄介なので、距離を取りますね
雪で足元を取られないように、足場は確保しておきます
薄着だけど子供は風の子なので平気です!

愛用の「ぐーちゃん」の弾を散弾にしておきましょう
分裂しないでね?

追い立てながら連射攻撃
ある程度まとまってくれたら
コード「爆竜戦華」で全武装からの攻撃
桜色が舞散ります

近距離にきてしまったら金棒で殴っておきますね

ボスへの道を確保しましょうね




 赤、青、緑に黄色……原色から淡色まで、雪原を行く色の群れ。
(「あれが『蜜ぷに』なるものにございましょう」)
 あっちを見ても蜜ぷに、こっちを見ても蜜ぷに。ぽよんぽよんと移動する姿は可愛らしく見えなくもない……が。
(「雪の美しさにはそぐわない異物でもあります」)
 金色の瞳を僅かに伏せた雪生・霜逝(冬錆・f06571)が纏ったコートが翻る。
「恐れ入りますが、ご退場願いたく――」
 誰にともなく呟かれた言葉と共に、彼の身に内蔵された小型の砲台が姿を現す。

 ――バラバラバラバラ!

 意外なほど軽い音を立てて銀の弾丸が一斉斉射され、周囲の蜜ぷにたちが一掃された。
『プニ?!』
 突然のことに慌てた蜜ぷにたちがアワアワと慌てふためきチリジリに逃げようとする。
「――無駄でございます」
 霜逝が淡々と告げる。その言葉通り、逃げる蜜ぷにを誘導弾が追い次々とトドメを刺していく。
(「雪。欠けて朧げな記憶の中で、いつもわたくしとともにあったもの」)
 白銀の世界と、バラまかれる銀の弾丸が、霜逝に残った記憶を刺激する。

 もしも、雪を奪うものがあるというのなら。
 災魔たちが、この白い世界をなくすというのなら――。
(「わたくしはそれを、防ぎたい」)


「雪か、俺にとってはなじみ深いな」
 ずっと前から雪と共に過ごしてきたからな――そう言う叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)に、五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)が返す。
「それはもちろんわたしだって同じだけれど……ちょっと切なくなるわ。お母さんお父さんの思い出も一緒に蘇るから」
「あー……」
 雪月が何とも言えない顔をする。漂う微妙な雰囲気……と、桜花がクスっと小さく笑った。
「なんてね」
 胸に過る思いはあれど、それはそれ。そんな桜花の様子に、雪月がふっと小さく息を吐く。
「雪で楽しむために一働きだな」

 得物であり自分自身でもある太刀を構える雪月。
「我が刃に斬れぬものなし」
 言葉と共に刃を一閃、蜜ぷにを両断する。
「っと、そっち一匹いったから頼むな桜花」
「任せてください雪月」
 桜花が魔導書を開き、空いた手を天に翳す。
「咲き誇れ、我が分身よ」
 言葉が紡がれた瞬間、魔導書は無数の桜の花びらとなり彼女の周囲の蜜たちに襲い掛かる。
「雪遊びはどうしましょうか」
「さてと二人ならでは、となると」
 蜜ぷにを蹴散らしながら、この後何をして遊ぶかで相談を始める二人。
「雪合戦は……お前飛べるから却下な」
 スパパパパッ。
「うーんうーん」
 ザクザクザクザクッ。
「んじゃでっかい雪ダルマでも作ろうぜ、小さいころと違って今なら頭も自分で載せられるだろう?」
「なるほどいいですね。懐かしいです」
 スパザクスパパパザクザクザクザク……。
「負けませんよ、大きさで勝負ですよ」
『プニーーー!!』
 割と平和な会話の最中にもさくさくと倒される蜜ぷにたち。その姿は弱弱しく、可愛らしくもあるのだが――。
「数が多いのは問題だしな」
「とにかく数を減らさないと。召喚元の奴を削るのが先決ですよね」
「悪いが俺の刃に切り刻まれろ!」
「いきますよ、楽しむために頑張りますよ」
 雪原に淡い桜の花びらが舞い、美しい刃が躍る。
 ――後に待つ、楽しい雪遊びのために。


「ゆーきー、ゆきー、にゃ!」
 テンション高く雪の階層に突撃したのはコハル・ファインギフト(目指せ稀代のにゃーてぃすと・f00216)。
 彼女は雪遊びをする気満々だった……が。
(「遊ぶ前にやる事やるにゃ!」)
 依頼を忘れたわけではなった。
「滑らない、転ばないよう気を付けるのにゃ」
 コハルの忠告に金髪碧眼の少女が頷く。
「はい。足場はしっかり確保しておきます」
 答える少女――清川・シャル(バイオレットフィズ・f01440)が構えるのは愛用の『ぐーちゃん』。可愛らしい名前でその名に恥じず可愛らしいピンク色なのだが、れっきとしたグレネードランチャーであり散弾がきっちりセットされている。
『プニ、プニ』
 迫る蜜ぷにの大群。それを見たシャルがにっこり笑った。
「ぷにぷにしてて可愛いですね! ええ、容赦なく潰しますとも!」
 構えた『ぐーちゃん』から散弾が発射され、容赦なく蜜ぷにの体を貫く。
『プーニー!』
「すごいにゃ、コハルも負けないのにゃ!」
 シャルに触発されたコハルも、蜜ぷにたちを追い立てる。
『イザ、ボクラノラクエンヘ!』
『ミンナキテクレタプニ』
『ボクダッテヤレルプニ』
 蜜ぷにたちがしゃべった。
「むむ、蜜ぷにがなんか増えたにゃね……」
 『勇者ぷに』と『戦士ぷに』を召喚するもの、『友情パワーぷに』との合体を目論むもの、自身を操る『賢者ぷに』を召喚するもの……。
『プニ!』
 賢者ぷにに操られた蜜ぷにがシャルに飛び掛かる……が、彼女はその蜜ぷにに向けてピンクの金棒をフルスイング。
『プ?!』
 吹っ飛ぶ蜜ぷに。しかし、攻撃の隙をついて今度は勇者ぷにが襲い掛かった。
「ダメにゃ!」
 シャルと勇者ぷにの間に割って入るコハル。そして絵筆を全力でフルスイング。更に、召喚主の蜜ぷにを倒すべく文字通りの「奥の手」を使う。
「コハルの奥の手、『猫の手が何かするにゃ』……何をするかは内緒、にゃ!」
 『毛並み柔らか肉球ぷにぷにな伸びーる猫の手達』が、各種ぷにを召喚した蜜ぷにたちに攻撃を加える。
(「多分これなら察知されにくいにゃ……見えない猫の手たち、お願いにゃ!」)
 ぷにぷにの肉球付きの見えない猫の手が、ぷにぷにの蜜ぷにを叩く。
『プニ?!』
 突然吹っ飛ぶ仲間に、蜜ぷにが驚いたような声を上げる。
「成功にゃ! 他の『ぷに』たちもまとめて攻撃にゃー!」
「こちらはお任せください――『戦場に響きし我が声を聴け!』」
 シャルも負けじと自身の全武装を一斉斉射。舞い散る桜色に、蜜ぷにたちの断末魔が響き渡る。
「戦闘終わったら蜜回収したいにゃー」
「早くボスへの道を確保しましょうね」
 蜜集めのため、雪遊びのため。蜜ぷにたちの受難は続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

音海・心結
見た目は可愛らしいですけど、あれも敵なのですよね
みゆ達で成敗してあげましょう
倒したら美味しい蜜が手に入るのですよ♪

みゆは【誘惑】を使って、蜜ぷにを引き寄せてから
Sucked Heartを使うのです
ハートをいーっぱい作り出して、貴方のハートを狙い撃ちです♪
……まぁ、当たったら痛いんですけども
外れたら外れたで自身の戦闘力をあげるので悪いことなしですよ
もし蜜ぷにに囲まれて危なくなったら【捨て身の一撃】を使いましょうねぇ

☆アドリブや絡みは大歓迎ですよ


白那・真瑚
なにこれ、かわいい(きゅぴーん!
え、これ倒しちゃうの。かわいそうだよ
…ん、災魔なら仕方ないか。ごめんね

素早く前線に出て、ぷに達を誘導する
ひっかきやしっぽアタックのような弱い攻撃でぷにの意識を向けさせて、
うまく円を描くように動き回り、ぷに達を一箇所に固める

一定数以上のぷにがある程度固まってくれたら、オカリナを取り出し
きんと冷える氷のような静謐なる調べ、イメージするのは降り積もる雪
「ちょっと冷たいけど、ごめんね」
音楽が終わる頃…喚び出すのは氷の精霊
具現化するのは…氷の竜巻
――エレメンタル・ファンタジア




 雪原で、ぽよぽよと跳ねるグミ……もとい『蜜ぷに』。その愛らしくも見える姿に、白那・真瑚(ティルナノーグ・f01712)が琥珀の瞳をキラキラと輝かせる。
「なにこれ、かわいい!」
「確かに見た目は可愛らしいですけど、敵なのですよね」
 そこまで言って、音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)は小さく息を吐く。
「え、これ倒しちゃうの。かわいそうだよ」
 真瑚の言葉に、心結が少し困ったような表情で返す。
「でも可愛くても『災魔』ですし」
「……ん、災魔なら仕方ないか」
 ごめんね――蜜ぷにに向けて謝る真瑚。
「みゆたちで成敗してあげましょう。そうそう、『蜜ぷに』を倒したら美味しい蜜が手に入るのですよ♪」
 その見た目故にちょっぴり罪悪感が湧かないわけではないが、災魔は倒さなければならない。美味しい蜜はその罪悪感を乗り越えて頑張ったご褒美……かもしれない。

 真瑚がととと、と蜜ぷにの群れに突っ込む。
(「――えいえい!」)
 進路を邪魔する蜜ぷにたちを爪で引っ掻き弧を描くように走りながら、髪と同じココア色の尻尾で周囲の蜜ぷにをパシパシと叩いていく。
『プニ!!』
『プニーー!!!』
 弱いといえど災魔。ただ爪で引っ掻かれただけ尻尾で叩かれただけでは倒れることなく、蜜ぷにたちは怒りにプルプル震えながら真瑚を追いかける。
 わらわらと大量のスライムが集まったところで真瑚はくるりと振り返り、手作りのオカリナを取り出した。
「ちょっと冷たいけど、ごめんね」
 オカリナの素朴な音色があたりに響く。温かみがあってもよいはずの調べは何故か冷たく静謐に満ち、深々と降り続く雪を思わせる――あたかもその音色に誘われたかのように、氷雪を伴う巨大な竜巻が巻き起こった。
『プニッ!』
『プニニ!』
 風に飛ばされ氷に打たれ、蜜ぷにたちはその数を減らしていく。
 自分から積極的に動き回る真瑚とは正反対に、心結は最初の位置からあまり動かず敢えて楽しそうに手を叩く。
「蜜ぷにさんこちら、手のなるほうへ♪」
 リズムに乗せて言いながら、彼女は蜜ぷにの意識を自分に向けさせる。
「みゆの想い、受け取ってくれますか?」
 興味を持った蜜ぷにたちが近づいてくるのを見計らい、心結は可愛らしいハートを作り出した。
「貴方のハートを狙い撃ちです♪」
 ハートが蜜ぷにに向けて飛び、ぶつかる。
「……まぁ、当たったら痛いんですけども」
『プニィ!』
 心結の言葉通り、ハートが着弾した蜜ぷには次々と『美味しい蜜』に。蜜ぷにが懸命にハートを避けてもそれが心結の力を高める結果となり、威力が増した『心結のハート』が蜜ぷにたちを襲うことに……。
(「蜜ぷにに囲まれたら時の対応も考えていたのですけども」)
 この調子ならば、あまり心配はいらなさそうである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーナ・リェナ
仲良しの颯夏(f00027)と同行

知り合いから蜜ぷにの話を聞いてね、一度は行ってみたかったんだ
美味しいらしいし、あとで雪遊びもできるし一石二鳥でしょ?

いつもどおりで大丈夫かな
颯夏の花びらが舞ったらそれに合わせて蜜ぷにを叩く
美味しいもののためだもん
運動しておなか減らしといたほうがもっと美味しく食べられるもん

倒し終わったら蜜の回収も忘れないよ
フェアリーランドに入れておけばこの先に進んでも大丈夫


青葉・颯夏
放ってはおけないルーナ(f01357)と同行

本当に、あなたって食べるもののためならどこにでも行くわね……
悪食じゃないから付き合えるとは言わないけれど

相手が多いならいつもので行きましょ
敵が密集しているところの中央へ花風を撃ち込む
攻撃してくるなら敵を盾にしながら回避
1度じゃ倒しきれないでしょうから、終わるまで続ける




「いつも通りで大丈夫かな」
「相手も多いしいつもので行きましょ」
 互いに確認し、『蜜ぷに』の密集地帯へ突っ込む。
「逃がさないわ」
 青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)が言葉を紡げば、からくり人形とそれに仕込まれた暗器が無数の『ラナンキュラス』の花びらに姿を変える。
 一瞬ふわりと宙に舞った花びらは、周囲の蜜ぷにたちを切り裂かんと荒れ狂う。それに合わせるようにして、颯夏の頭にちょこんと乗っていたルーナ・リェナ(アルコイーリス・f01357)が飛び出した。
 花びらの群れから逃れる蜜ぷにを、緋色の穂先で一突き。追い打ちをかけるように赤い体躯のドラゴンが現れ、蜜ぷににトドメを刺す。
「知り合いから話を聞いてね、一度は試してみたかったんだ」
 光を七色に反射する翅をパタパタと動かし、蜜ぷにを倒しながらルーナが続ける。
「美味しいらしいし、ここなら後で雪遊びもできるし一石二鳥でしょ?」
「本当に、あなたって食べるもののためならどこにでも行くわね……」
 再び花びらの嵐をを起こしながら、少々呆れたような口調で颯夏が返す。
(「悪食じゃないから付き合える、とは言わないけれど」)
 ルーナはどうにも放っておけない友人だが、あまりに怪しいモノを「食べに行こう」とか誘われたら流石にちょっと困るかも。
 そんな颯夏の心を知ってか知らずか、ルーナは舞う花びらの中を飛び回り次々と蜜ぷにを倒していく。
『イザ、ボクラノラクエンヘ!』
 襲い来る花びらとルーナの槍から奇跡的に逃れた蜜ぷにが、勇者ぷにと戦士ぷにを召喚し颯夏に襲い掛かる――が、彼女は本体の蜜ぷにを盾代わりにその攻撃を華麗に回避。
 戻ってきたルーナの槍に本体が貫かれ勇者ぷにと戦士ぷには消滅、蜜ぷに自身も『蜜』と化す。
「よく動くわね」
 颯夏が声をかければ、ルーナからは「美味しいもののためだもん」と答えが返ってきた。
「運動しておなか減らしといたほうがもっと美味しく食べられるもん」
「はいはい。それで、集めた蜜はどうするの?」
 倒した蜜ぷには数知れず、必然的に蜜の量も多くなる。
「大丈夫。フェアリーランドに入れておくから」
 ルーナが取り出したのは、小さな壺。
「ああ、それなら大丈夫ね。ささっと回収しちゃいましょう」
 蜜ぷにの数もかなり少なくなっている。蜜を回収しながらでも対応できるはずだ。

 戦闘の片手間に、蜜の回収作業を始める二人。
 ――余談だが、最終的に物凄い量の蜜が集まったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『トレジャリーガード』

POW   :    ロケットパンチ
【剛腕】を向けた対象に、【飛翔する剛拳】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    コアブラスター
【胸部からの放つ熱線】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    マジックバーレッジ
【自動追尾する多量の魔力の弾丸】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【絶え間ない弾幕】で攻撃する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 雪の広場で『蜜ぷに』の群れを一掃した猟兵たちは、その先の小部屋へと足を踏み入れる。
 雪の広場とは対照的に、くすんだ色をした金属の床、何本ものパイプが走る壁面、幾つもの歯車がかみ合わさった天井……まるで機械の内側に迷い込んだかのような部屋の奥、金属のような体を持った魔導ゴーレム『トレジャリーガード』がゆっくりと歩いていた。
 すべての蜜ぷには倒され、残るはこの『トレジャリーガード』のみ――これを倒せば、楽しい雪遊びの時間が待っている。

 一歩、また一歩。前方に現れた猟兵たちの存在など気にする風でもなく、トレジャリーガードは歩を進める。
 ――上へ、上へ。遥か地上を目指し、ただ歩く。
五條・桜花
雪月(f03400)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

視認している対象を攻撃ですか
となると視認できないようにするのを狙いたいです

目に当たる部分がわかればそこを狙って攻撃を封じたいところ
それが厳しくても見えなければいいのですよね

攻撃ユベールコードですが花びらで目くらましたいですが
我が桜に埋もれてしまいなさい

難しくても360度視界じゃなければ背後や横からが有効です
まずはそこを確認しつつ参りましょう
範囲がわかればうまい具合に隠れ場所は、難しそうですね
攻撃でパイプとかが破損したらそのあたりをうまく使いましょう

後温度差での耐久度低下ですか
出来そうならば一応狙いますか
では雪玉は用意します


叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

真の姿:名の通り雪を思わせる白い輝きをまとっている

雪が近くにあるのに熱線で攻撃するってことは
温度差による耐久力低下を狙いたい
熱湯でさらした物を一気に冷やすと素材次第だが弱くなる
そこをつければいいんだが
雪玉を用意して熱線使った後にぶつけたところを狙うか
ってわけで俺だけじゃ難しいから連携頼むな桜花

さて近接するにはいささか命中高めの攻撃が痛いな
【残像】でどこまでかわせるか
いっそ食らって【カウンター】で返すか

残念だがこのまま地上に向かわれるとまずいんでな
ここで沈んでもらおう

我が刃の冷たき煌めきの前に沈め!


コハル・ファインギフト
ゴーレムが感知するかもにゃけど
『猫の手が何かするにゃ』でゴーレムを攻撃にゃ!
「…猫の手たち、お願いにゃ!」


「にゃー、ゴーレムのお手手が飛んできたにゃ!」
『猫の手が何かするにゃ』で剛腕・剛拳の向きを微調整試みたり
【範囲攻撃】も用いて、ゴーレムと剛拳を纏めて攻撃も試みるにゃ

剛拳は避けると他の人に当たるかもなので
コハルが避けずに受けるにゃ
痛いのは我慢にゃ…


弾幕も受けても良いけど
さすがに熱線は回避するにゃー!

後、熱線は
敢えて受ける気の味方以外は…特に行動後等で回避できない人は
『猫の手が何かするにゃ』で動かしてでも
熱線の導線から外したいのにゃ…
「驚かせてごめんにゃ…すぱすぱされるのは避けたいのにゃー!」


ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

早く雪遊びしたいなぁ
そのためにはあれを倒さないと駄目なんだよね

はじめはフェイントを掛けながらソルを槍にして攻撃
颯夏が囮になってくれてるうちに目立たないように地形の利用をしながら
敵の死角に入る
あいつが颯夏しか見なくなったら
鎧無視攻撃で串刺しを狙うよ

早く遊ぶためだもん、頑張っちゃうね!


青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

手段と目的、逆になってないかしら……
ため息をつきつつ、敵に向かい合う

《雪紐》を操り攻撃
フェイントや時間稼ぎでルーナから注意を逸らし、隠れる隙を作る
上手く攻撃を無効化できたらカウンターから反撃
2回攻撃でルーナの攻撃に連携するわ




「早く雪遊びしたいなぁ」
 小さな赤いドラゴン『ソル』に乗ったルーナ・リェナ(アルコイーリス・f01357)が言った。
「そのためにはあれを倒さないとダメなんだよね」
 彼女の視線の先には、徐々に近づいてくるくすんだ金色の巨体――『トレジャリーガード』の姿が。
「早く遊ぶためだもん、頑張っちゃうね!」
「手段と目的、逆になってないかしら……」
 張り切るルーナに青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)がはあ、とため息をつく。この地下迷宮へやってきたのは『災魔の討伐』のためである。

 雪遊びがメインではない……多分。


「コハルの奥の手、『猫の手が何かするにゃ』……何をするかは内緒、にゃ!」
 コハル・ファインギフト(目指せ稀代のにゃーてぃすと・f00216)の言葉と共に、『見えない猫の手』がトレジャリーガードに襲い掛かる。
「……猫の手たち、お願いにゃ!」
 ゴスっと何やら鈍い音がして、トレジャリーガードの足が止まった。シューと微かな音を立てて、トレジャリーガードが正面へと向き直る。
 トレジャリーガードには明確に『頭部』と呼べる部位はない。『目』らしきものも、見当たらない。しかし、トレジャリーガードは確かにコハルを『視て』いた――その感覚に、コハルは総毛立つ。
 太い腕が、コハルに向けて突き出される。
「にゃー、ゴーレムのお手手が飛んできたにゃ!」
 ユーベルコードで反撃を試みるコハル。見えない猫の手が災魔の腕と飛翔する拳の向きを変えようと攻撃を仕掛ける……が。
「にゃー!!!」
 コハルの小さな体に大きな拳が着弾する。拳に吹っ飛ばされ、コハルの体が床をゴロゴロと転がった。
(「い、痛いにゃ……でも我慢にゃ……」)
 ほんの少しだけ涙目になりながらも、コハルは立ち上がった。猫の手たちの攻撃が、拳の威力を僅かながら和らげてくれたのかもしれない。
 初撃を終えたトレジャリーガードに、ソルに乗ったルーナが迫る。気付いたトレジャリーガードが横なぎに腕を払った。
 腕がルーナを捉える寸前、ソルが消えルーナの体がスッと床に向けて落下。払われた腕をやり過ごし、緋色の穂先の槍を手にしたルーナがトレジャリーガードの胴目掛けて突っ込む。
 ルーナに合わせて颯夏も攻撃を仕掛けた。赤い瞳のからくり人形『雪紐』が持つ刃で切り掛かり、操る紐そのものを武器として、トレジャリーガードの注意を惹きつける。
 颯夏の攻撃のタイミングで、一旦トレジャリーガードとの距離を取るルーナ。フェアリーという小さな体を生かして敵の死角に入るつもりだったが、部屋の中はパイプの並んだ壁と歯車の天井だけ。
(「ああもう、目立たないように上手く移動するつもりだったのに」)
 焦れるルーナの耳に、五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)の声が届く。
「ようは見えなければいいのですよね?」
 『目』に相当する箇所があればそこを重点的に狙おうと思っていたが、残念ながらその判別はできなかった。
 しかしながら、トレジャリーガードの攻撃がその体の正面が向いた方向に向かうことはわかった。今は積極的に攻撃を仕掛ける颯夏やコハルがトレジャリーガードの正面に立っている。
 隠れる場所はないが、二人に意識が向いている今ならば、無数の花びらに紛れて小さなフェアリーが移動するくらいのことはできるのではないだろうか?
「咲き誇れ、我が分身よ」
 桜花が言葉を紡ぐと同時、魔導書が無数の淡い桃色の花びらに変わりトレジャリーガードに殺到した。
「我が桜に埋もれてしまいなさい」
 次々と襲い来る花びらが、トレジャリーガードの周囲を乱舞する。
「ありがと!」
 桜花に礼を言い、ルーナは少し大回りしながらトレジャリーガードの背面へと消えていく。


「桜花」
 その身に白い輝きを纏った叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)が呼んだ。
「試してみたいことがある」
 雪月の言葉に「何を?」と桜花が問い返す。
「素材次第だが、熱い物を一気に冷やすと弱くなる。そこをついてみたい」
「温度差での耐久度低下ですか」
 トレジャリーガードは胸部から熱線を放つ。そこを急激に冷やすことで耐久性を下げられないか、というのだ。
「俺だけじゃ難しいから連携頼むな」
「一応、狙ってみますか」
 桜花の返事を確認し、雪月がトレジャリーガードに斬りかかる。
「残念だがこのまま地上に向かわれるとまずいんでな」
 手にした太刀に、自身の力を流し込む。
「我が刃に斬れぬものなし」
 白刃が煌き、トレジャリーガードのパーツが飛ぶ。直後、トレジャリーガードの胸部が光った。
「――っ!」
 雪月の残像がブレる。発射される熱線――避けるか、受けるか。
 ごく一瞬の逡巡。その直後、雪月は自分の体が後方に思い切り引っ張られるのを感じた。バランスを崩し後方に倒れこむ雪月。その直上を、熱線が通り過ぎていく。
「驚かせてごめんにゃ……でもすぱすぱされるのは避けたいのにゃー!」
 驚きに目を見開く雪月にコハルが謝る。彼を後ろへ引っ張ったのは彼女の『猫の手』だったのだ。
「いや、助かった」
 態勢を立て直す雪月を横目に、トレジャーリガード目掛けて雪玉を投げつける桜花。雪月も即座に立ち上がり、トレジャリーガードの懐へと潜り込む。
「我が刃の冷たき煌めきの前に沈め!」
 トレジャリーガードの胸部を一閃した雪月が、僅かに顔を顰めた。
「あまり効果はなかったみたいね」
 一撃離脱で戻ってきた雪月に声をかける桜花。もともと魔導と蒸気機関の粋を集めて作られたゴーレムだ、その材質も特殊なのかもしれない。
「やっぱり正攻法しかないか」
「何か問題でも?」
「いや、ないな」
 改めてトレジャリーガードを見据える二人。
「――では、行きましょうか」


(「ルーナは上手く回り込めたみたいね」)
 雪紐を操りトレジャリーガードに対しながら、颯夏は内心で息を吐く。ルーナですら身を隠せそうな場所がないとわかった時にはどうなることかと思ったが、他の猟兵たちの攻撃がうまいこと彼女を隠してくれたらしい。
 トレジャリーガードの背後に、チラリと小さな七色の翅が見えた。トレジャリーガードがルーナに気付かぬよう、颯夏は更に攻撃を加える。
 トレジャリーガードから魔力の弾丸が放たれた。弾丸は颯夏を捉え、その身に殺到する。
 絶え間なく降り注ぐ弾幕を、颯夏は全身の力を抜いた状態でやり過ごした。受けた衝撃を雪紐から逃がし、弾幕が途絶えた瞬間に床を蹴って走り出す。
「イエロ、そいつを喰らいつくして!」
 トレジャリーガードの背後から凍てつく竜の頭部が現れ、その肩口に噛みついた。振り返ろうとするトレジャリーガードに、颯夏が迫る。
 雪紐の胴部に仕込まれた数多の矢が一斉に放たれた。颯夏に操られた雪紐が、赤みを帯びた黒色の刃をトレジャリーガードに突き立てる。
 トレジャリーガードの背後から、ルーナも同じような位置を狙って手にした槍を突き出す。
 緋色の穂先がトレジャリーガードを貫いた瞬間、ギシッと何かが軋むような音がして――トレジャリーガードの体が大きく揺らいだ。
 しかし、倒れるまでには至らない。
(「……まだまだ頑張らないとダメってことかしら」)
 雪紐を繰りながら、颯夏は考える。

 見た目からは判り辛いけれど、確かに攻撃は通っている。
 バランスを崩したのもそうだし、その金属のような見た目の体のあちこちが歪に光を反射しているのはそこが傷ついているからだろう。
 このまま攻撃を重ねていけば、勝てるはずだ――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

音海・心結
蜜ぷにの次はコイツなのですか
蜜ぷには可愛かったですけど、
コイツは可愛さの欠片もありませんねぇ

んんと、みゆは【戦闘知識】を生かして攻撃するのですよ
使うUCは血統覚醒でヴァンパイアになるのです
真っ赤な瞳のみゆもかわいいですか?
そのあとは【スナイパー】【傷口をえぐる】ように殴っていくのです
おっきな体の敵なので、みゆの攻撃を確実に当てたいのです

これでもダメな場合は……そうなのです
武器の【Angel of your play】を使って
相手の手を封じるとか……出来ないでしょうか
こうすればさらに攻撃しやすくなると思うのです♪

アドリブ・絡みは大歓迎ですよっ




 自動追尾機能付きの大量の弾丸が、一斉に猟兵に襲い掛かる。太い腕から放たれる剛拳は殆ど狙いを外すことがない。胸部の熱線が直撃した壁のパイプは綺麗に切断され、その威力を物語る。
「蜜ぷにの次がコイツなのですか」
 その瞳の色を真紅に変えた音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)が、誰にともなく呟いた。
 瞳の色が変わろうとも心結の愛らしさは変わらなかったが、その身に宿る刻印を輝かせ可愛らしい黒剣を操る彼女の頬は僅かに膨らみ、どこか不服そうな様子が伝わってくる。
(「蜜ぷには可愛かったですけど」)
 トレジャリーガードは大きくてゴツい。加えて暴力的だ。
(「コイツは可愛さの欠片もありませんねぇ」)

 ――蜜ぷには、可愛かったのに。

 なんとなく八つ当たりめいた感情も含め、心結はトレジャリーガードに攻撃を加える。
 彼女が執拗に狙うのは、脚の関節部の傷。黒剣を突き出し、時には刻印の力に任せてその細腕で直接トレジャリーガードを殴りつける。
 幾度目かの攻撃の直後、トレジャリーガードの脚部からガゴン! と大きな音がした。関節部が砕け、トレジャリーガードの巨体が大きく傾く。
 これをチャンスと一部の猟兵が死角へと回り込こもうとし、トレジャリーガードは壊れた脚部を軸に体を回転させることで対応した。
 脚部が壊れても対応してくるあたり、さすが魔導ゴーレムといったところか……しかしその動きは明らかに鈍く、猟兵の動きを追い切れていない。熱線は殆ど当たらず、自動追尾の弾丸に至っては発射のタイミングがないのか沈黙したまま――。
(「これで大分戦いやすくなったと思うのです」)
 自由に動く腕から放たれる拳は健在だが、トレジャリーガードの戦闘力が大きく低下したのは間違いない。
「もう一息、頑張りますよっ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
(蜜ぷに……ちょっと見たかった……)
……しょうがない。切り替えていこう。

とりあえずバイクで駆けつける。【地形の利用】で遺跡内でも走りやすい場所を選んで、なるべく背後に出られるようにしてバックアタックを試みる。
そしてそのまま問答無用で銃弾を何発か叩き込む。
叩き込んだら相手の攻撃に巻き込まれないように離脱を試みる。【絶望の福音】も使用しながら回避していけたら。
「……嫌だから。ああいうでっかくていたそうなの。当たりたくないし」
手。歩つ。って呟いて、また回り込んで撃つ。
やむなくバイクから降りる場合も気にせず冷静に応戦。当たりたくないが当たっても耐えられないわけではない……と、思う。多分。




 ブォン! と大きなエンジン音を響かせて、小部屋に古びたバイクが突入してくる。
 搭乗者はリュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)――彼は突入の勢いそのままにトレジャリーガードの脇を駆け抜け、アクセルターンでトレジャリーガードの後背を突いた。間髪入れずにアサルトウェポンの引き金を引き、問答無用で銃弾を一気に叩きこむ。
 銃弾を撃ち切ったところでスロットルを開け一時離脱を図るリュカに、トレジャリーガードの腕が伸ばされた。
 咄嗟にバイクを横に倒したリュカの脇を、トレジャリーガードの剛拳が掠めていく。
「……嫌だから。ああいうでっかくていたそうなの。当たりたくないし」
 当たっても耐えられないほどではないとは思うが、避けられるならそれに越したことはない。
 それにしても――とリュカは思う。
(「蜜ぷに……ちょっと見たかった……」)
 他の猟兵たちの反応を見る限り、とても可愛らしい災魔だったらしい。駆けつけるのが遅れたことをほんのちょっぴり後悔するリュカ。
(「……しょうがない。切り替えていこう」)
 バイクを寝せて再びUターン。
「手。歩つ」
 ぽそりと呟いて再びトレジャリーガードの側面へと回り込み、今度はトレジャリーガードの周囲を走りながらアサルトウェポンを撃ちまくる。

 絶望の福音とその運転技術で攻撃をかわし小部屋を縦横無尽に走り回りながら、リュカはトレジャリーガードに次々と弾丸を撃ち込んでいく。
 ――キシキシ、ギシギシ。
 反撃を試みようとトレジャリーガードが体を動かす度に、何かが軋むような音がする。
 頑丈そうに見えたトレジャリーガードにも、限界が近づいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪生・霜逝
【POW】使用。
先行する猟兵に出遅れたことを内心で謝罪しつつ、戦闘【迷彩】を纏い接敵。先程からの様子をうかがう限りでは、もはや壊れるのは時間の問題。よろしい、ならば壊れるまで削り合うのみ。動作原理が異なるとはいえ、同族殺しは同族殺しにございます。ゴーレムなるものがどの程度頑丈か、味見するのも悪くはありません。
鉄杭で相手を地面に【串刺し】にし、動きを互いに封じて。内蔵砲台の弾丸を使い尽くした【零距離射撃】【一斉発射】、さらに関節機構に捻りを入れ、爆風で勢いをつけた【踏みつけ】。手向かうならば甘んじて受けましょう、【激痛耐性】で痛みをいなし、この【捨て身の一撃】を最後まで完遂させてご覧にいれます。




 戦闘用の迷彩を纏い、雪生・霜逝(冬錆・f06571)はトレジャリーガードに接近を試みる。
(「少し出遅れてしまったでしょうか」)
 トレジャリーガードは既に満身創痍――先行した猟兵たちの戦いの成果である。
 これまで戦ってきた猟兵たちに駆けつけるのが遅れたことを内心で詫びながら、霜逝はトレジャリーガードに襲い掛かった。
「ゴーレムなるものがどの程度頑丈か、味見するのも悪くはありません」
 コートに隠れた胸部から鉄杭が打ち出され、トレジャリーガードの残った脚部を串刺しにする。鉄杭の先は床にまで食い込み、トレジャリーガードの自由を奪った。
 霜逝は更に自分に内蔵された固定砲台を展開し、トレジャリーガードとほぼ密着した状態で全弾を一斉斉射。
 大きな体を生かしてトレジャリーガードの腕を抱え込んだその時、トレジャリーガードの胸部から熱線が放たれた。
「――放しませんよ」
 至近距離からの熱線に、霜逝の体が大きく傷つく。けれど、彼は抱えた腕を離さなかった。抵抗されることなど覚悟の上、回避や防御など最初から頭にない。今はただ、全てを賭けて戦うだけ。
「同族殺しは同族殺しでございます。ならばどちらかが壊れるまで削り合うのみ」
 ウォーマシンと魔導ゴーレム、構造や動作原理は違えど自分たちは同じ『作られた存在』――。
 霜逝は掴んだ腕の関節を捻りこみ、トレジャリーガードの巨体を力技で床へとねじ伏せた。半ば以上壊れかけたトレジャリーガードには、最早抵抗する術はない。
「これで終わりでございます」
 地に伏せたトレジャリーガードの胸部を霜逝の足が踏みつける。
 金属質の物体が砕けるような音がして、トレジャリーガードの動きが止まった。身体のあちこちから洩れていた鮮やかな朱色が失われ、微かな蒸気音もしなくなる。

 残されたのは、空っぽの鎧のような外殻だけ……その外殻も数十秒後には宙に溶けて消え、トレジャリーガードは完全に消滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『迷宮に降る雪』

POW   :    雪だるまを作ったり、固めてかまくらを作ったり

SPD   :    雪合戦をしたり、彫刻を作ったり

WIZ   :    雪で一句詠んだり、ライトアップしたり

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 全ての災魔は倒され、雪の広場にも平穏が戻ってきた。
 広場には新雪が積もり、蜜ぷにたちとの戦闘の影はどこにもない。

 一面に広がる銀世界。
 さあ、これから楽しい雪遊びの時間が始まる――。
ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

雪かぁ
こんな風にいっぱい……あ、積もるっていうんだ?
寒いのは嫌だけど遊べるなら上着着よっかなぁ

ねえねえ颯夏
これってどうやって遊ぶの?
雪だるま?
颯夏が教えてくれるとおりに雪を運んでスコップでぺたぺた
これをまんまるふたつが重なるように削るんだ
できたら顔、つけるんだね
うーん、うまくできるかなぁ?

終わったところで何となく雪だまを作って颯夏に投げる
……あ。当たっちゃった
ごめんごめん、本気じゃないから
颯夏の投げる雪玉をよけながらわたしも投げ返すよ


青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

雪は珍しくないけど、遊べるほど積もることは少なかったわね
寒いからちゃんと防寒着、着ておくのよ
じゃないと後で風邪を引くわ

まずは定番の雪だるまから作りましょ
転がすよりも固めてから削ったほうが綺麗にできそう
塊があればそこに、なければスコップで固めてから雪だるまの形に
あとは小枝とかで顔をつけたり、バケツを帽子代わりに乗せれば完成よ

……できあがってほっとしたところにルーナからの雪玉が当たる
お返しに小さめの雪玉を作って投げ返す
容赦しないわよ


音海・心結
まずは雪だるまを作るのですよ
実はみゆ、あまり雪に触れたことないのです
だから……じゃないですけど、今回はとーっても楽しみなのです♪

大きな大きな雪だるまを作るのもよいですが、
一人だと重さに耐えきれなくてすぐに限界が来そうなのです
だれか一緒に作ってくれる人はいませんか?
……もしダメなら一人で小さな雪だるまを作るのです
それもそれで楽しいですよねぇ

あれ。気づいたらもう夜なのです
いっぱい遊びすぎちゃいましたか?
……わぁ。夜でライトアップされているかまくらもとっても綺麗なのです
雪は解けないのですか?中に入ってもよいのですか?
えへへ
戦闘頑張って良かったのです♪

アドリブ・絡みは嬉しいのです


五條・桜花
五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)
叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)

雪月(f03400)と同行
関係性のイメージは祖父と孫


雪、いっぱい降る地域で暮らしていた私としては大変さも覚えてるんですけど
でもちょっと胸躍るんですよね

さて雪だるまをいざ作成しましょう
一人では難しくてもここに助手が♪

大きな雪玉はお任せして私は頭の方を
ふふ、油断すると、頭の方が大きくなってしまいますから頑張ってくださいね

そうだせっかくだから、雪兎も作って、飾りましょう
これなら雪だるまも寂しくないですからね


叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

雪か……生まれも育ちというべきか奉納されてた場所も雪深い場所だったからな
懐かしいな

雪だるまか
本気でやると今の俺たちならかなりでかいのが作れる気が
って助手かよ、俺が……

まて、お前、大きさ設定なしで行く気か?
どんだけのサイズのを作る気か?!

はいはい、わかりましたよ、そこまでいうのなら、完成で俺と同じくらいの背になるやつを作ってやろうじゃないか!

よし、っとこんな感じで雪だるまができたと
兎か、可愛いな
だがな、お前数を考えてつくれよー


コハル・ファインギフト
『猫の手が何かするにゃ』使用!
見えない猫の手達に手袋装着にゃ
これで手達は寒くないし
他の皆にも見えるのにゃ!


猫の手達と一緒に
雪玉ごろごろして
小さいねこ雪だるまを数個と
大きいねこ雪だるまを2個作るにゃ
「おやこねこ雪だるま…皆でいれば、寂しくないのにゃ!」

かまくらも作るのにゃ
雪をレンガ状に固めて積んでいくにゃ

コハルサイズで作ると皆が入れにゃ…入れないから
体が大きくても入れる位に大きく作るのにゃ!

届かない所は猫の手達にお願いするのにゃー
後、中に座れるところとテーブルっぽいところを作るのにゃ!


かまくらの中でのんびり休憩
遊び疲れてうとうとにゃー…

これで、学園の皆も
ゆっくり遊びに来れるようになるといいにゃ!




「雪かぁ……」
 改めて見る白銀の世界に、ルーナ・リェナ(アルコイーリス・f01357)が感嘆の声を上げた。
「寒いからちゃんと防寒着、着ておくのよ。じゃないと後で風邪を引くわ」
「んー、寒いのは嫌だけど遊べるなら着よっかなぁ」
 青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)の忠告に従い素直に上着を羽織るルーナ。
「雪は珍しくないけど、遊べるほど積もることは少なかったわね」
「あ、『積もる』っていうんだ?」
 あたり一面真っ白の、いっぱいの雪――紫色の瞳をキラキラと輝かせ、ルーナが尋ねる。
「ねえねえ颯夏、これってどうやって遊ぶの?」
「そうね、まずは定番の雪だるまから作りましょ」
「雪だるま?」
「大きな雪玉の上に小さな雪玉をを乗せて作るの」
 こてん、と首を傾げるルーナに颯夏が基本的な雪だるまの作り方を説明する。
「小さな雪玉を転がして大きくして行ってもいいんだけど」
 雪の状態を見ながら颯夏は少しだけ考えるような素振りを見せる。
「これなら最初に雪を固めて削ったほうが綺麗にできそう」
 そう言うと、颯夏は実際にスコップで周囲の雪を集めていく。
「こうやって集めてスコップで叩いて固めていくの」
 だんだん大きくなっていく颯夏の雪の塊。ルーナも見様見真似で雪を運び、スコップで雪をぺたぺたと叩く。
「これをまんまるふたつが重なるように削るんだ」
 そこそこの大きさになった――ただし、フェアリー視点で――雪の塊を前に、ルーナが颯夏に確認する。
「そうそう。あとは小枝とかで顔をつけたり、バケツを帽子代わりに乗せれば完成よ」
 答える颯夏の前にも(こちらは颯夏に見合ったサイズの)雪塊が。
「うーん、うまくできるかなぁ」
 颯夏は割と黙々と、ルーナは颯夏の作業の様子を時折のぞき込みながら、雪の塊から雪だるまの体と頭を削り出し、小物を使って表情をつけていく。
 一足先に雪だるまづくりを終えたのは颯夏だった。少しだけ遅れてルーナの雪だるまも完成する。颯夏の雪だるまもルーナの雪だるまもなかなかの出来栄えで、颯夏は軽く息を吐く。
 完成後のちょっとした達成感と虚脱感でほっとしている颯夏の隣で雪玉を作るルーナ。

 ――ぱすっ。

「……あ」
 ルーナが出来心で投げた雪玉は、見事(?)颯夏にヒット。
「ごめんごめん、本気じゃないから……って、あ?!」
 小さな両手をパタパタと振り少々慌てた様子で訴えるルーナに向けて、颯夏も小さな雪玉を投げ返す。
「容赦しないわよ」
 獲物を狙うようにキラリと目を光らせる颯夏に負けじと、ルーナも雪玉を作り始める。

 やがて始まる雪合戦――その様子を見守るのは、仲良く並んだ大小二つの雪だるま。


「雪か……やっぱり懐かしいな」
 雪の広場を眺めながら改めて過去に思いを馳せる叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)。その言葉に五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)がくすっと笑う。
「雪の大変さも覚えてるんですけど、でもちょっと心躍るんですよね」
 雪深い地域で暮らすのはなかなかに大変だ。雪に閉ざされ一歩外に出ることすらままならぬこともある……それでも郷愁を感じ胸躍るのは何故なのか。
 少しの間真っ白な世界を堪能した後、桜花がくるりと雪月に向き直る。
「さて雪だるまを作成しましょう」
 ニコニコ、ニコニコ。とてもいい笑顔で提案する桜花。
「雪だるまか」
「ええ。一人では難しくてもちょうどここに助手が♪」
「確かに今の俺たちなら本気でやればかなりでかいのが作れる気が……って、俺が助手かよ」
 雪月のささやかな抗議をスルーして桜花は続ける。
「私は頭のほうを作りますね」
 雪月が助手なのは最早決定事項であるらしい。抗議を諦め言われた通りに胴体部分の雪玉を作り始めようとした雪月は、肝心なことに気が付いた。
「まて、お前、大きさ設定なしで行く気か?」
「ふふ、油断すると、頭のほうが大きくなってしまいますから頑張ってくださいね」
「どんだけのサイズのを作る気か?!」
 雪月のツッコミも何のその、桜花の雪玉はみるみる大きくなっていく。
「はいはい、わかりましたよ、そこまでいうのなら、完成で俺と同じくらいの背になるやつを作ってやろうじゃないか!」
 半ばヤケ気味の雪月と楽し気な桜花の手によって、どんどん成長していく二つの雪玉。大きく育った桜花の雪玉を、桜花の雪玉より更に大きく育った雪月の雪玉の上に乗せて位置を調整。
 完成したのは雪月と大して変わらぬ身長の、それは大きな雪だるま。
「よし、っと」
 宣言通りの大きさになった雪だるまを満足げに眺める雪月。
「そうだせっかくだから、雪兎も作って、飾りましょう」
 雪の上にしゃがみこみ雪兎を作り始める桜花。
「お、兎か、可愛いな」
 和む雪月の目の前で、雪兎は一つ二つと増えていく。
「これなら雪だるまも寂しくないですからね」
「だがな、お前数を考えて作れよー」
 ――雪月の言葉も空しく、この後も雪兎は量産され続けたとか。


 雪玉を作って、雪の上をコロコロ。大きくなった雪玉を両手で抱えてもう一つの雪玉の上へ。
 完成したのは音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)の腰よりも少し小さな雪だるま。
(「これはこれで楽しいですよねぇ」)
 ほわん、と嬉しそうに笑う心結。本当は、大きな雪だるまも作ってみたいのだけれど……。
(「一人だと重さに耐えきれなくてすぐに限界が来そうなのです」)
 うーん、と考え込む心結の視界の隅に、コハル・ファインギフト(目指せ稀代のにゃーてぃすと・f00216)の姿が映る。
 お手伝いをお願いしようにも、コハルは心結より小さなケットシー。大きな雪だるまを作るお手伝いをお願いするなんて――などと考えながら視線を彷徨わせた心結が見たのは、コハルの『猫の手達(手袋装備)』が大きな雪玉を運んでいく様子だった。
 コハルは猫の手達と協力し、一人では作れないであろう大きな雪だるまを作っていたのだ。
(「いいなぁ……」)
 コハルの猫の手達がちょっぴり羨ましくなる心結。
「どうしたにゃ?」
 心結の視線に気づいたのか、コハルが話しかけてきた。
「あ」
 アワアワと焦りながら「手伝ってほしい」という心結に、コハルはその金の瞳をスッと細めて見せた。
「いいにゃ、手伝ってあげるにゃー」
「いいんですか?!」
 声を弾ませる心結に、つんとした表情でコハルが条件を出す。
「その代わりコハルの手伝いもするにゃ!」
「はい!」
 鼻歌でも聞こえてきそうなほど上機嫌で雪玉を作る心結。
「なんでそんなに楽しそうなのにゃ?」
「みゆ、あまり雪に触れたことがなかったのです。だから……というわけじゃないですけど、とっても楽しいのです♪」
 話をしながら作業を続け、完成したのは猫耳を持つ大きな雪だるま二つとやっぱり猫耳つきの小さな雪だるま数個。
「おやこねこ雪だるま……皆でいれば、寂しくないのにゃ!」
 心結が最初に作った雪だるま一つだけ、お耳がないのはご愛敬。
「今度はコハルの手伝いするにゃ」
「何を作るんですか?」
「かまくらにゃ。コハルサイズで作ると皆が入れにゃ……」
 噛んだ。
「入れないから、身体が大きくても入れるくらいに大きく作るのにゃ!」
「了解です♪」
 心結はピシっと敬礼の真似事をして、コハルの指示に従った。
 雪をレンガ状に固めてドーム型に積んでいく。コハルの手が届かないところは心結が、心結でも手が届かないところは猫の手達の力を借りながら――完成したのは座ればウォーマシンでも入れそうなほど大きなかまくら。
「後は座れるところとテーブルっぽいところを用意して……完成にゃ!」
「おめでとうございます♪」
 かまくらの外でパチパチと手を叩く心結。
「何してるにゃ? 早く入るにゃ」
「中に入ってもよいのですか?」
「そう言ってるにゃ。中でちょっと休憩するにゃ」
 二人並んでコハルが作った椅子に座り、ほっと一息。意外なほどに暖かいかまくらで、疲れた二人はついついウトウトと……。
 二人が目を覚ました時、あたりはすっかり暗くなっていた。どうやらこの雪の広場には、時間に応じて明かりを調整する機能があるらしい。
 ごしごしと目をこすりながら外を見た心結の表情が、ぱあっと明るくなった。暗くなった広場にはかまくらが五つ、六つ……揺れるランプの炎が、あたりを幻想的な風景に変えている。
「きっとこれで学園の皆もゆっくり遊びに来れるようになるにゃ!」
 コハルの言葉に頷いて、心結がはにかんだように笑う。
「えへへ、戦闘頑張って良かったのです」

 雪の広場には、たくさんの雪だるま。
 以前のように学生たちの歓声が響くのも、きっともうすぐ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月14日


挿絵イラスト