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水没神殿

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #クラウドオベリスク


●とある村の話
 際限なくひろがる、紺碧の海。
 それを一望できる漁村に住まう人々は、その清涼なる海を誇り、美観を誇り、碧色の水に育つ魚や貝の美味を誇った。
 人々は村に冒険者が立ち寄ったと知ればすっ飛んでいき、自慢の家族の話でもするかのように海の話を語り聞かせていた。海への感謝はもはや信仰に近いものがある。
 だがそんな漁民たちですら口を閉ざすものが、その海にはある。
 雷光が輝くのだ。村から海岸線をたどって進んだある箇所、聞いたこともない奇妙な鳴き声とともに稲光が奔り、恐ろしい轟音を響かせる領域がある。
 遠く昔、幾人かの漁師が調べに出て水底に消えたきり、そこへ近づく者はいない。
 いつしか話をする者もいなくなったが、それでも村に新たな子が生まれたりしたときは、村の者は必ずこう言って聞かせた。

 海に呑まれたくなければ、海神様に近づいてはいけない――と。

●グリモアベースにて
「アックス&ウィザーズで、おまえたちにやってもらいたいことがある」
 珍しく静かに待っていたグリモア猟兵――プルート・アイスマインドは、猟兵たちが来るなりそう切り出した。猟兵の答えも聞かず彼は事の仔細を語りはじめる。
「群竜大陸の在り処を隠しているという面倒な遺物……『クラウドオベリスク』の所在が新たに判明した。言わずともわかるだろうが、頼みたいのはその柱の破壊だ」
 各地に点在するクラウドオベリスクを壊していけば、ゆくゆくは群竜大陸への進出が可能になる。やらぬ手はないと猟兵たちもひとつ頷く。
 では……とプルートはグリモアを使い、柱の所在と思われる場所の映像を映し出した。
 ――海だ。
 海流で削られて崖のように切り立った陸へ、碧色の水が叩きつけられては引いてゆく。
「クラウドオベリスクはこの崖の中、その先の神殿内にある。普通の陸に見えるこの一帯だが、実際は神殿の上に地面が被さっている状態になっているらしい。これもカモフラージュの一種かもしれんな」
 地面の中に眠る神殿など、なるほど見つけられようはずもない。
「海水が流入して神殿は半水没状態だが、おまえたちが攻略するうえで支障はない。呼吸もできるしな。だから当面の問題は……門番役のオブリビオンだろう」
 プルートが再び映像へ目を向けたので、猟兵たちもそちらを見た。
 眩い雷光が閃き、グリモア越しに辺りをパパッと照らす。姿は見当たらないが、雷雲もないのに雷が奔っているというだけで、オブリビオンの存在は十分に確信できた。
「神殿への入り口はこの海流がぶつかる断崖以外にはない。つまりまず海に出て、小舟か何かで進入する必要がある。そしてそうなれば、こいつとの戦いは避けられん」
 頭から骨の折れる仕事が待っている。
 そしてその先も、柱を守るオブリビオンとの戦いが連続するだろう。
 だがクラウドオベリスクを破壊するためには、そのすべてを突破してやるしかないのだ。
 プルートはそう言って、グリモアの輝きを猟兵たちに向けた。

「群竜大陸の件を抜きにしても、この神殿の近くには無辜の民が住む村もある。いつ誰かが犠牲となるともわからん状況を看過することはできんからな。よろしく頼む」
 オブリビオンの巣食う神殿へ――猟兵たちは出発した。


星垣えん
 OPイラストのカメラさん、もっと下のほうに……!
 あ、いえ。
 バトル、バトル、バトル! な連戦シナリオですよ!
 それでは章の構成!

 1章:電磁力を操る巨大ウミウミとの戦闘です。
    現地調達の小舟でアプローチすることになりますが、崖の上から仕掛けるのもありかもしれません。
 2章:神殿内を警備するマーメイドたちとの集団戦です。
 3章:柱を守護する神殿の主と対決です。

 ボス→集団敵→ボスという戦闘尽くしのコース。
 なので皆さんの格好良い戦闘シーンを書くのが主になりそうですね。

 それではプレイング、お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『浮遊するアトランティクス』

POW   :    奔る蒼雷
【迸る電撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【落雷に匹敵するほどの雷撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    暴れ蒼雷
【莫大量の電撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    穿ち蒼雷
【雷撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に帯電させることで】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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 陸に打ちつけられ、弾けた海水が霧のように舞う。
 神殿への進入口――深く抉れた断崖へと猟兵たちは近づいてゆく。
 だが、その途端、辺りに不穏な音が響いた。

「――――ァァアア――」

 鳴き声、に聞こえたが果たして確信が得られない。
 蒙昧として確かな音感が感じられないからだ。まだ音にも成らぬ音波が耳朶を打ったような、猟兵の胸に湧くのはそんな奇妙な感覚ばかりだった。

「――ォオオオ――――」

 再びの鳴き声が聞こえたとき、透いた水の底から巨大な影が浮上した。
 水面から水柱を昇らせ、姿を現したのは――人間に三倍するだろうほどの青き生物。宙に浮く巨体はある種、竜にも見紛うほどに厳かだ。
「――ァァアアアアアアア――――」
 三度、鳴き声を震わせたオブリビオン――アトランティクスが、蒼い雷光を放散する。轟音が落ち、辺りの岩礁が砕け、海面にはそこにいたのだろう生物たちが屍となって揺蕩う。
 中空で身をうねらせたアトランティクスが、頭を軽く振り、猟兵たちを見下ろした。
 踏み入る者を排除する――その思念を、怖気立つ雷の音としながら。
花邨・八千代
【徒然】
ぬーさん!やべーぞすっげーでけーぞ!
あのでけーヤツぬーさんの親戚だったりしねーの?

ま、おふざけは置いといてお仕事しますかねーっと。
小舟の方はよろしく頼むぜ、あとついでに海に落ちた場合もな!
俺泳げねーんだよ

◆戦闘
「恫喝」「殺気」「挑発」でご挨拶だ
かかってこいよ青電気ウナギ!楽しくやろうぜ!
武器は黒塚、【空躁】で小舟から一気に「空中戦」だ
「怪力」使って全力でぶっこんでくぜ、「なぎ払い」からの「2回攻撃」
「踏みつけ」で敵を足場にしつつ「傷口をえぐる」ぞ
敵の攻撃は「第六感」で回避するぜ

すっげぇ迫力!たーのしー!
バリバリバチバチ、花火みてェだ
いいねェ、強いヤツほど殺しがいがあるってもんだ!


薬袋・布静
【徒然】
おー、こりゃデカい同胞やこと
残念ながら…あのでけーの親戚違いますわ

浜近くの漁師から小舟を一つ拝借
この状況やと漁猟も上手くいくまい
タダで拝借する条件に元凶を消すと「言いくるめ」る

▼戦闘
同じ海洋生物…
化け物言われた同士や、共食いといきやしょーか

時折、足休め出来るように
嬢ちゃんと付かず離れずの程よい距離の小舟から
援護攻撃重視でサポート

【蛟竜毒蛇】を使用し
嬢ちゃんが付けた傷に入る込むように泳がせる
「傷をえぐる」ように内部から捕食し猛毒に上乗せ「毒使い」付与
もし、嬢ちゃんが海に落ちた際は泳いで救出も視野に入れる

ホント、どっちが捕食者かわからんな…
ウミウシってより電気ウナギやわ



 揺れる小舟の舳先に立っていた花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)は、浮遊するアトランティクスを見るなり目を輝かせ、小舟を漕ぐ薬袋・布静(毒喰み・f04350)の肩を揺すった。
「ぬーさん! やべーぞすっげーでけーぞ!」
「おー、こりゃデカい同胞やこと」
「あのでけーヤツぬーさんの親戚だったりしねーの?」
「残念ながら親戚違いますわ」
「なんだよ面白くねぇ!」
 勝手に落胆した八千代がぷいっとそっぽを向く。
 いや、正確にはのうのうと浮かぶアトランティクスに向いていた。
「さて、お仕事しますかねー」
「そりゃ賛成ですわ」
「んじゃ援護よろしくっ!」
 投げやりな言葉を布静にふっかけ、女羅刹が小舟から跳びあがった。布静が落水しそうなほど舟を大揺らしにした脚力は、すでにその体をアトランティクスの眼前に運んでいる。
「かかってこいよ青電気ウナギ! 楽しくやろうぜ!」
「――ォォオオオ――」
 八千代の恫喝じみた笑いを受け、アトランティクスが体当たりを仕掛ける。叩き落とすつもりの一撃だ。だが八千代は空気を蹴って跳躍し、体を反転させて下を向く。
 アトランティクスのがら空きの背中――八千代は鉄仕込みの薙刀を振り上げた。
「これでも、くらっときなああああああ!!!」
「――ッッアアアア――!」
 右、左、振りぬいた薙刀がアトランティクスの背中に一直線に傷を作る。続けて敵の背に降下すると、八千代は逆手持ちにした薙刀を傷口に抉りこんだ。
 苦痛に呻く鳴き声が、海面を揺らす。
「おーおー効いてんじゃねえか! っと!?」
 身の焼ける感覚に八千代の顔が歪む。足場にしているアトランティクスが大出力で放電したのだ。一時的に体の痺れた八千代は真っ逆さまに海へ落ちてゆく。
 が、着水する前に小舟が滑りこんだ。付かず離れずの距離で待機していた布静が櫂を漕ぎ、見事に八千代をキャッチしてみせたのだ。
「……っかー! すっげぇ迫力! たーのしー! 花火みてェだ!」
「能天気に楽しんどる場合やないんと違います?」
 痺れが消えるや子供のようにからから笑う八千代に呆れつつ、布静は宙に浮かぶアトランティクスに目を細める。その姿がウミウシであるということは一見して判別できた。
 なぜわかるのか。
 それは布静が海洋生物からなるキマイラだからであり、そして彼のユーベルコードもまた――ウミウシを操るものだからである。
「化け物言われた同士や、共食いといきやしょーか」
 指に挟んだ細い煙管が、ゆらりと青白い煙を昇らせる。宙に放たれた煙は薄くひろがり、次第に無数のアオミノウミウシへと変貌。宙を泳いでアトランティクスにまとわりつくと、背の傷口から体内へ潜って『捕食』を始める。
「――ッアアアア――!!」
「っはは! 悶えてやがるぜ!」
「毒も強めに盛っとるし、そのまま眠ってくれれば楽やけどなぁ」
 口布の下から笑いをこぼすが、布静とて相手が簡単に沈んでくれないのは理解している。
 視界に蒼い光が走った。
 そう認識した瞬間、布静たちの体は辺り一帯ごと強烈な雷撃に打たれていた。目の覚めるような痛みに、布静は顔に出しこそしないものの悶絶する。
「いったた……ウミウシってよりこりゃ電気ウナギやわ……」
「いいねェ、強いヤツほど殺しがいがあるってもんだ!」
 八千代は、相変わらず笑っていた。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴィゼア・パズル
―――美しい… 素晴らしい色彩だ…
其の雷撃は実に良い…少し、勉強させて頂きますよ?

【WIZ】使用 絡みアドリブ歓迎
精霊に依り形作る偽翼を使用【空中戦】技能

地上の帯電…厄介ですね。
他の攻撃が同時に回復に成り得てしまう…
…ならば、代わりに花弁を使い、雷撃を吸収してみましょう。

【地形を利用】事で攻撃を回避し【カウンター】にて【なぎ払い】を併用。一度に複数体へ【マヒ、二回、属性、範囲攻撃】の【鎧砕き、全力魔法】を叩き込む
連携が可能であれば合わせよう。



「――美しい……素晴らしい色彩だ……」
 海上に瞬く蒼い雷光。崖上からその眩さを見下ろした瞬間、ヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)の口からは嘆息がこぼれていた。
「其の雷撃は実に良い……少し、勉強させて頂きますよ?」
 およそ戦場にふさわしくない上品な笑みを湛え、ヴィゼアは小さな指揮杖を振るう。風の精霊『フロゥラ』の力を借り、その背に風の翼を形成すると中空へと踊り出た。
 するとその瞬間、アトランティクスが即座にヴィゼアへと体を向ける。
「――ゥゥウウウゥ――」
「ふむ。鋭い感覚をお持ちだ」
 感心するヴィゼアの前で蒼い雷が弾けた。バヂッ、と恐ろしい音を立てた雷撃が彼めがけて奔る。ヴィゼアは急旋回してひとまず回避したが、その避けた一撃は海に落ち、直下の海面に電場を作り出した。
 電場から閃光が奔り、アトランティクスの体が放つ蒼光が見る間に強まってゆく。
「……厄介ですね。ならば電気を吸収させてもらいましょう」
 ユーベルコードを発動したヴィゼアの手元で、指揮杖が赤黒い花弁の嵐へと変性する。その花弁で蓋をするように海面を覆うと、電場が弱まり、アトランティクスの放つ光もちかちかと光度を下げた。
 だが、完全に、ではない。
「――ォォオオオ――」
「くっ!」
 体を回転させて振りぬいた尾が、強烈にヴィゼアの体をはたく。身がちぎれそうな衝撃に思わず空中姿勢を乱しそうになるが、それでもヴィゼアは体勢を立て直し、続く二撃目の尾をすれすれとかわす。
「私からも、ひとつお返しして差し上げましょう」
 風の刃と変わった魔力が、アトランティクスに叩きこまれる。その一撃に確かな感触を得たヴィゼアは、再び風の翼を駆り、飛翔して間合いの外へと抜けだした。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ゼット・ドラグ
「なんだこいつは。ドラゴンじゃねえよな・・・?」
ウミウミって何なんだ。
まぁ良い。小舟の上じゃまともに動けん、俺は崖の上から仕掛けさせてもらうぜ。
しかし、電撃か。両手足が機械の俺にはきつい相手だな。いくら不死身でもしばらくは動けなくなるだろう。
「そんじゃ、ここは剣より銃で行くか」
手に持った【竜を殺す百の刃】を迸ってる電撃に投げつけ相手の攻撃の誘発を狙う。なぁにこの程度じゃ俺の武器は壊れはしねえよ。
敵が武器を攻撃してる隙に両肘の武装を展開。
ガトリングガンとバズーカの怒涛の全弾発射を相手に撃ち込む。
最後にダメ押しだ、触れるのは危険だが【怪力】を活かした右ストレートを相手の頭上めがけて打ち込んでやる。



「――ァァアアアア――」
 軟らかな体を中空にうねらせ、集まった猟兵たちを薙ぎ払うかのように両側のヒレを振り回すアトランティクス。
 小舟で戦う際の足場の悪さを嫌い、崖からアプローチしようとしていたゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)は、敵の異様を見てぴくりと瞼を動かした。
「なんだこいつは。ドラゴンじゃねえだろうし……まあ考えるのはあとか」
 思考を切り上げ、崖の縁に立つゼット。
 浮遊して踊る巨大ウミウシを見下ろしながら可変武器『竜を殺す百の刃』を取り出すと、その姿を投擲槍に変形させる。
「そら、電撃を放つならやってみやがれ!」
「――ォォオオ!」
 ゼットが投げおろした槍に反応するアトランティクス。高速で迫るそれを迸る電撃で相殺すると、続けて超出力の電撃をぶつけて海面に叩き落とした。凄まじい電気の余波で、ゼットが立つ崖すらも揺らぐ。
 が、ゼットは顔色ひとつ腕組みをしていた――と思いきや義手である両腕を思いきり引き抜いた。
 脇で固定された前腕と、引いた上腕が分離。義手の抜けた左腕からはガトリングガンの銃身が顔を出し、右腕からはバズーカの砲口がお目見えした。
「無駄撃ちご苦労だったな。褒美に全弾くれてやる」
 ゼットの両肘から砲火が踊る、踊る。降りそそぐ弾丸と砲撃が海面をぐちゃぐちゃにかき乱し、アトランティクスの肉を貫き、穿ち、焼き払う。
「――ッッオオオ!!」
「さて、と……」
 断崖を蹴り、宙へ身を投げ出すゼット。痛みを振り払おうとするかのように暴れまわるアトランティクスの頭部を見据え、外した右腕をバズーカの上からはめ込んだ。
「こいつはおまけだ」
 その機械の体に電気が干渉するのも構わずに、ゼットは全力の右ストレートを打ちこみ、アトランティクスに大気を震わすほどの悲鳴をあげさせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルフレッド・モトロ
「海!海!海だ!俺の故郷!俺のホームグラウンド!!」
とテンション高めに参戦!

戯画(f09037)と共闘するぜ!
せっかくの海だ、【地形を利用】させて貰おうか!
UCで小舟の周りの海水を巻き上げて、蒼雷を相殺したい。

そして!ワンダレイ・アンカーとワンダレイ・チェインを使って敵を拘束してみようと思う!

アンカーを投げつけて【串刺し】に。俺は鎖を掴んで離さない!さあ、力比べといこうじゃないか!俺の【怪力】をナメるなよ!

かなり引っ張られるだろうし雷撃も心配だが…じゃじゃ馬バイクで鍛えた【騎乗】スキルと、【気合】でなんとか踏ん張ろう!

よっしゃあ!
あとは任せたぜ戯画の姐御ォ!!


桜田・鳥獣戯画
通りすがりのエイ(f03702)に連行された。
よかろう…貴様の力仕事、見せていただこう!

それにしても美味そうな海神様だな!!
色良し! サイズ良し! 久々の猟兵仕事の顎慣らしにはベストと言えよう!!

金属武器がまずければいつでもUC攻撃、もしくは素手に切り替える。
【2回攻撃】【生命力吸収】【電撃耐性】あたりを活用したい。落ちたら【水泳】。
アルフレッドの海洋馬鹿力は信頼しているが、ワンダレイ・アンカーが帯電するようであれば危険かもしれん。その前に迅速に奴を喰らう!

…というかアルフレッド、人間の私よりも海は得意だろうが!
私とていつあの青い雷にやられるかもしれん。貴様も前に出て殴らんか!!



 ぷかぷかと浮かぶ小さな舟。
 その上には並んで高笑いする、アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)と桜田・鳥獣戯画(白薔薇様・f09037)の姿があった。
「やってきたぜ! 戯画の姐御ォ!」
「ああ、そのようだな!」
 アルフレッドの威勢のいい声に、鳥獣戯画が銀錆色のマントを翻して言い返す。
 2人とも謎のテンションの高さである。ともすれば仕事熱心にも見えるほど。
 けど現実は違う。
「海! 海! 海だ! 俺の故郷! 俺のホームグラウンド!!」
「美味そうな海神様だな!! 色良し! サイズ良し! 久々の猟兵仕事の顎慣らしにはベストと言えよう!!」
 ふははは、と笑い飛ばすアルフレッド&鳥獣戯画。
 そう、アルフレッドは海という環境にエイの遺伝子が刺激されているだけで、鳥獣戯画は体長5mのビリ辛ウミウシに胃袋を刺激されているだけだった。
 が、別に仕事を忘れているわけでもない。
「じゃあデカブツを倒すとするか!」
「操舵もろもろは任せるぞアルフレッド!」
 舳先にどーんと立像のように立つ鳥獣戯画の後ろで、アルフレッドがせっせか櫂で船を漕ぎだす。アレこんな感じの2人組さっきも見た気がするー。
 アトランティクスは接近する小舟に気が付くと、溜めこんだ電気を一条の閃光に変え、舟に向けて放出してきた。
「――ォォオオ――」
「攻撃がくるぞ!」
「俺も艦を預かる男……天候変化には対策済みさ!」
 櫂を舟の上に放り捨てたアルフレッドが電撃に合わせ、舟の進路上に無数の巨大な渦潮を作り出す。荒れ狂う海は白波を立て、小舟を守る盾となってアトランティクスの攻撃を防ぎ止めた。
 結果!
「ぐあああっ!?」
「ぬおおお!? まったく防げておらんぞアルフレッドー!」
 おもっくそ感電した。
 水の壁で電気を防げるわけがなかったんや……。
 だがアルフレッドも艦を預かる男。すぐさま気を取り直すや『エイッ』てな掛け声でワンダレイ・アンカー(錨)を投擲し、アトランティクスに深々と突き刺した。舟と敵の間に一直線、太い鎖が結ばれる。
 その鎖をしかと握りこみ、腰を落とすアルフレッド。
「さあ、力比べといこうじゃないか! 俺の怪力をナメるなよ!」
「よし! そのまま抑えこんでおけ!」
 振り返ることなく告げた鳥獣戯画が舳先から跳躍。錨に繋がるワンダレイ・チェインに飛び乗って、一足飛びでアトランティクスに突っこんだ。
「そろそろ腹が空く頃合いでな! 喰らわせていただこう!」
「――ィィイイイ!!」
 がぶり、と歯を剥き出しで喰らいつく鳥獣戯画。アトランティクスの肉を噛み千切ると強靭な顎で一気にすりつぶし、ためらいなく腹の中に収める。
 生肉を喰らったことで高まる戦闘力。それを再び噛みつく力と変え、鳥獣戯画はむしゃりむしゃりとアトランティクスの体積を減らしてゆく。
「――ァァアアア!!」
「アルフレッドの海洋馬鹿力は信頼しているが、海上で貴様と戦いつづけるのは些か危険かもしれん。迅速に喰らわせてもらうぞ!」
「よっしゃあ! やってやれ戯画の姐御ォ!!」
「任せてお……いやアルフレッド、人間の私よりも貴様のほうが海は得意だろうが! 私とていつあの青い雷にやられるかもしれんのだぞ、貴様も前に出て殴らんか!!」
「俺は艦を預かる男! 錨を放して艦を離れるわけには――」
「そのフレーズは聞き飽きたわーー!!」
 十数mの距離でわーわー言い合う2人。
 その後、アトランティクスの電撃で仲良く落水するまでそれは続きました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霑国・永一
おやおや、門番からこのレベルかい?いやぁ、魔境だなぁここは。する気は無かったけど、手を抜いてる暇は無いか。
――じゃ、宜しく、《俺》
『おっ!最初から俺様に出番くれるたぁ悪いもんでも食ったかよ、俺(主人格)!記憶は共用だから食ってねぇのは知ってるけどな!』

狂気の戦鬼を発動
狭い小舟から仕掛けても行動狭まるので崖の上から攻め込む
高速移動で死角に回り、衝撃波を叩き込み続ける
雷撃も可能な限り発動前に顔面に衝撃波ぶつけるなどで妨害しつつ、使われたら高速移動で後方へ下がって範囲から回避するか、衝撃波をぶつけて相殺を図るなどしておく

「ハハハハッ!色んな意味で痺れるじゃねぇか!そう来なくっちゃ面白くねぇ!」


セルマ・エンフィールド
大きい……オブリビオンは過去の産物、ということは元々この世界にいた生物でもあるんですよね、あれ。

神殿より離れたところに小舟浮かべ、他の猟兵が神殿に近づき敵が出てくるのを待ちます。

出てきたところで【氷の狙撃手】で他の猟兵の『援護射撃』を。
最大射程は2.5kmですが、離れ過ぎても着弾まで時間がかかります。250mくらいなら●暴れ蒼雷の範囲外かつ『スナイパー』の腕とスコープによる『視力』補助で有効打を与えられるでしょうし、そのくらいにいましょう。

敵がこちらを狙ってくるようであれば【スカイステッパー】により離脱、岩礁を乗り継ぎ他の猟兵と合流し、以降はデリンジャーに持ち替えて機動力重視の戦闘を。



 暴れ狂う電撃が崖を抉り、中空に土と岩が弾け飛ぶ。
 傷を負ったアトランティクスはその弱みを隠すかのように、青白い放電を強めていた。
「おやおや、門番からこのレベルかい? いやぁ、魔境だなぁここは」
 崖の縁から身を乗り出した霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は、眼下にひろがる蒼雷の坩堝を薄開きの瞼から覗いた。
 バヂッと破裂した電光が頬を打つ。その肌の感覚が敵の強大なエネルギーを物語る。
 永一は上着のフード越しに頭を掻くと、虚空に言い放った。
「――じゃ、宜しく、俺」
『おっ! 最初から俺様に出番くれるたぁ悪いもんでも食ったかよ、俺! まあ食ってねぇのは知ってるけどな!』
 永一の声に応じたのは――彼自身。粗暴にして狂った別人格だ。
 人が変わったような豪放な笑いを響かせて、永一が凄まじい脚力で飛び出した。さながら人の姿をした銃弾となって、崖伝いにアトランティクスに吶喊する。
「……っくぜぇ! ウネウネ野郎!」
「――ォォオオ!」
 洗練さの欠片もない、乱暴に振った腕から衝撃波が放たれる。暴風にも似た衝撃波は空間を走り、アトランティクスの軟体の一部を容赦なく陥没させた。
「――ァァアアア――」
「させっかよ!!」
 頭部の蒼い明滅が強まったのを見逃さず、顔面に衝撃波を撃ちこむ永一。発動前に電撃自体を潰す腹積もりだった。だがアトランティクスの放つ蒼い光は止まらず、解き放たれた莫大な電気に打たれた永一は一瞬意識が飛びかける。
「――ハハハハッ! 色んな意味で痺れるじゃねぇか! そう来なくっちゃ面白くねぇ!」
 落水前に辛うじて我に返った永一が崖の壁面に取りつき、白い歯を剥き出しに笑う。強烈な電撃の痛みに、彼の内を巡る血が踊り出していた。
 が、彼がその猛りを衝撃波に変えてぶつけようとしたとき――何かがアトランティクスの頭部を撃ち、氷結させた。殴られたように跳ねあがった巨体が海に落ち、水柱をあげる。
「あん?」
 眉根を歪ませた永一が、海のほうへ金の瞳を向ける。
 遠くの海上に、何か小舟のようなものが浮いているのが見えた。遠すぎて判別できないが、それが猟兵らしいというのは何となくわかる。
 永一は鼻を鳴らした。
「狙撃ねぇ。容赦ないことするじゃねぇの」
「――ォォオオ!!」
「おっとウネウネ、まだ出てきちゃ危ねぇと思うぜ?」
 巨大な飛沫とともに飛び上がってきたアトランティクスが、永一の予想どおり、彼方から飛来した一撃に貫かれる。さらに下からかちあげるように永一が衝撃波をくらわせると、アトランティクスは瞬く間に海中に逆戻りする羽目になった。

 一方、遠い小舟。
 自分の肩の高さほどに長銃『フィンブルヴェト』を構えていた少女――セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は、長距離狙撃用のスコープから顔を上げた。
 狭く拡大された視界が、一気に広大なパノラマへと変わる。
 だが、つい今までスコープの向こうに捉えていたアトランティクスは、250mも離れた舟の上からでもはっきりとその黒い姿を視認できた。
「……オブリビオンは過去の産物、ということは元々この世界にいた生物でもあるんですよね、あれ」
 その常識離れした大きさにはただただ驚くしかない。アックス&ウィザーズという世界の神秘性を垣間見た気分である。
 しかし、今は考察に浸っている場合ではない。
「スコープの向こうにいるのは獲物だけです」
 常々口にする信条を今日もまた呟き、セルマはスコープを覗いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アウレリア・ウィスタリア
ボクは空から攻撃を仕掛けましょう
接近しての攻撃ではあの雷を避けきれるかわかりません
なら、遠距離から仕掛けるだけです

魔銃を構え【今は届かぬ希望の光】を発動
迫り来る雷撃に光剣をぶつけて相殺
残った光剣を敵に放ち
ボク自身も魔銃を放って応戦しましょう

一ヶ所に留まっていては的になってしまうでしょうから
動き回りつつ魔銃を放ち
光剣を撃ち込みましょう

決め手に欠けるかもしれない
でもボクは一人で戦っているわけではありません
誰かに迫る雷撃があれば光剣で防いでみせましょう

そして敵に隙が出来たのなら
頭を落とすのは無理かもしれません
けどヒレの一つぐらいなら鞭剣で絡めとり斬り落としてみせましょう

アドリブ歓迎


イーファ・リャナンシー
こういう地形の所って結構好きなんだけど…こんな暴れ者がいたんじゃゆっくりは眺めてられそうにもなさそうね
それにしても海みたいに水だらけの場所でビリビリだなんて危なっかしいったら…
とにかく、このままじゃ前に進むのも難しいし、ささっとやっつけるしかなさそうかしら
電流使ってくるみたいだし、こっちからの電流攻撃は期待薄かしら…

【フェアリー・リング】で敵の雷撃を打ち消しつつ、敵の戦闘力補正をなくすために地形のビリビリも取り除いていくわ
成功率を上げるために、最低1回、敵が攻撃するのをしっかり観察してから戦いに望むつもりよ
攻撃する時は、小さな体を活かして射程圏内に入りつつ、【全力魔法456】を使って攻撃するわ



 轟音、銃火、そして雷光。
 断崖の下に飛び交うそれらを眺めて、イーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)は「あらら」と小さくこぼした。
「こういう地形の所って結構好きなんだけど……こんな暴れ者がいたんじゃゆっくりは眺めてられそうにもないわね」
「そのようですね」
 イーファの言葉に応答したのは、隣に立つアウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)である。白と黒の翼を海風に揺らすオラトリオは、アトランティクスの放つ蒼雷をじっと観察している。
「あの雷、接近していては避けきれるかわかりませんね」
「というか、水だらけの場所でビリビリだなんて危なっかしいったら……」
「それも確かに」
 こくりと頷いたアウレリアが、魔銃『ヴィスカム』を抜く。
「ここは遠距離戦といきましょう」
「頑張って! アウレリアさん!!」
 さながら身投げでもするように、崖から宙へ舞うアウレリア。崖上に留まる小さなフェアリーに手を振られながら、アトランティクスに向けて降りてゆく。
 敵が近づいてくる――そう察知したアトランティクスは音波じみた咆哮をあげ、バチバチと蒼い光を瞬かせた。
 空間すらも切り裂きそうな速さで、一条の雷撃が撃ちあがる。
 アウレリアは即座に、ヴィスカムの銃口をその雷光に向けた。
「貫け、天空の光剣」
 詠唱が口からこぼれた瞬間、アウレリアの背後の空間が歪む。
 七つ。水面のように揺らぐ七つの歪みから射出された光が、虹色に輝く光の剣が、迫りくる雷撃と真っ向から衝突した。蒼雷と6本の光剣が眩く輝いて霧散する。
「――ォォオオ!」
「ボクのほうが、先です」
 再び雷撃を放とうとしたアトランティクスへ、アウレリアが最後の光剣とヴィスカムの銃弾を撃ちこむ。身を穿たれ、剣を突き立てられたウミウシは怯んだ。すぐさま反撃の電光を放つものの、アウレリアは絶えず動き回ることで狙いを定めさせない。
「それじゃあ、私もいくわね!」
 アウレリアを捉えんとぐるぐる回りだしたアトランティクスめがけて、イーファが今度こそ降下した。小さな翅をぱたぱたと振り、一直線に突き進む。
 すぐに魔法の射程圏内にまで、敵の巨体を捉える。
 しかしそれだけ近づけばアトランティクスも存在を感じ取る。執拗にアウレリアを狙うのをやめたアトランティクスがイーファに向き直り、やはり雷撃を撃って降りてくるイーファを消し飛ばそうとする。
 対して、イーファは速度を緩めなかった。
「それはもう見させてもらったわ!」
 イーファが掌を向けると同時に、彼女の前方に神々しい光の輪が生まれる。円形に区切られたそれは亜空間へと通ずるゲートだ。蒼雷の塊は開門したそれにすっぽりと収まり、光ともども最初から何もなかったかのように消え去った。
「――ァァアア――」
 頭部を光らせ、エネルギーを溜めるアトランティクス。もはや迎撃が間に合うタイミングではない。だがわずかでもイーファに叩きこんでやろうと、体に残った少ない電気を凝集する。
 しかし、その電気がイーファにぶつけられることはなかった。ぶつける前に、寄り集まった電気は消失してしまった。
 アウレリアが振るった鞭のような剣『ソード・グレイプニル』が、アトランティクスの大きなヒレを斬り落としたからだ。その衝撃と、体のバランスが崩れた影響で、溜めた電気を保持することができなかった。
「今です」
「任せて!」
 アウレリアに力強く頷いたイーファが、腕をかざす。花の腕輪『プリムローズ』の淡い輝きに呼応して、彼女を彩る神の名を冠する燐光たちがその光度を際限なく強めてゆく。
「これでおしまい!」
 天井知らずの輝きが凝縮され、光弾となってアトランティクスを呑みこんだ。ウミウシの巨体が白い光にさらされ、溶けこんでゆく。
 白光がやんだとき、もう神殿の門番の姿は、なくなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『魅惑のマーメイド』

POW   :    人魚の槍
【トライデント 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    水を得た魚
【水の中に入る。または大量の水を召還し 】【自由自在に泳ぎまわり奇襲をかける。】【水の中で活性化されること】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    魅了する歌声
【同士討ちを誘発させる歌声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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 海上の守護者をねじ伏せた猟兵たちは、崖の内部へと侵入した。内側には、数十cmは冠水している長い道があり、奥へと向かって伸びている。
 ごつごつとした岩壁に覆われた道を、進んだ。
 そうしてしばらく進むと――不意に空間がひらけた。それまでの自然の狭路から一転、なめらかな石造りの建造物へと装いが変わる。相変わらず流入している海水のおかげで膝上まで水が被るような状況だが、どうやら神殿へ到達することはできたようだ。
 しかし、猟兵たちに一息入れる暇はなかった。
 足元を、フロア内を覆う水の中に、ちらちらと無数の影が揺れる。魚のように自在に、素早く水中を動くその影たちは瞬く間に猟兵を包囲した。
 ざばっ、と飛沫とともに姿を見せたのは――女たち。
 人間の上半身の下に、鱗とヒレを備えた魚の体を生やした、マーメイドたちだった。
「まあ、侵入者なんて久しぶりね」
「外のアレは倒されてしまったということ? 信じられない」
「でもここまで入り込んだのが運の尽きよ……生きては、帰さないわ!!」
 柱に近づこうとする者は排除する。
 そのただひとつの命令の下、マーメイドたちは猟兵たちに殺到した!
ゼット・ドラグ
「何だか良く分からない奴の次は人魚か。今度は分かりやすくて良いな」
ウミウシを触った事で右手の動きが少し悪くなってやがる。
本命と戦う前に調子を取り戻すために戦うか。
黒剣形態の【竜を殺す百の刃】を両手で握り、人魚の振るう槍に合わせて激しくぶつける。と同時に、【咄嗟の一撃】で左手の甲から小型の刃を相手の眉間に向けて発射する。発射音はぶつけた時の音で隠す。
刃はドリルのような形状で空気の影響で高速回転するため、無防備に受ければ脳天を貫通する威力が出るはずだ。
運よく死にきれなかったり回避されたらその隙に武器で首を刎ねる。多数が殺到してきてる現状、相手にしてる奴だけじゃなく横にいる奴にもたまに刃を発射する。



「何だか良く分からない奴の次は人魚か。今度は分かりやすくて良いな」
 輪となって自身を包囲するマーメイドたちを見て、しかしゼットは欠片ほどの動揺も匂わせない。顔を狙ってきた敵のトライデントを頭の動きだけで避けつつ、義手の右手に視線を落とす。
 指の動きが鈍い。電気をまとったアトランティクスを殴ったことで、いくらか悪影響を被ったようだった。
「本命の前に前座がいて助かったな。ここで調子を戻させてもらうぜ」
「前座とは見くびられたものね。後悔させてあげるわ!」
 血の気の多いマーメイドがトライデントを淀みなく振るい、ゼットを串刺しにすべく突きこんでくる。
 しかし、三叉の刃はゼットの強固な肌に届くことはなかった。ゼットが両手で振り上げた黒剣に弾かれ、マーメイドもろとも後方に吹き飛ばされる。
 床を流れる深い水に倒れこんだマーメイドは――起き上がらない。
「ど、どうしたの!?」
「立ちなさい! あれしきでやられる我々では――」
 仲間を叱咤しようとしたマーメイドたちが、浮かび上がったマーメイドを見て目を剥いた。 息絶えていたのだ。眉間に小さな穴をあけて、目を見開いて固まっているのだ。
「な、なぜ……!」
「いつの間に……!」
「意外と手応えがないな。調整の役にも立たないか?」
「この、言わせておけば!!」
 再び、マーメイドのトライデントとゼットの黒剣が火花をあげる。
 そして次の瞬間、マーメイドは絶命していた。ゼットの左義手に仕込まれた小型のドリル刃が射出され、脳天を貫いたのだ。
 得物をかち合わせた瞬間の、咄嗟の一撃――さしもの敵も避ける暇などなかった。
「次はどいつだ?」
「くっ……!」
 1歩踏みこんだゼットの圧に、マーメイドたちは無意識のうちに後退する。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薬袋・布静
【徒然】
そこ気にするとこなん?
えー、綺麗でも殺意向けてきよるから喜べんわー

そや、張り切る前にコレ飲んでくれません?
解毒剤が入った小瓶を渡す

▼戦闘
「毒使い」で相手の動きを鈍らせる為に持っていた小瓶を水面に垂らした
【蛟竜毒蛇】に「恐怖を与える」を上乗せし
現れた捕食対象の人魚に合わせ大きさを変えた数十匹の青い龍で
毒針と捕食を繰り返し、嬢ちゃんが動きやすい用にサポート
同士討ちしそうなら「言いくるめ」で打ち負かすか
同じく負傷した傷を自分で抉りリセット

決定打に欠ける俺よりは効くやろ
ま、あんま動きよるとジワジワと蝕む厄介なモンは
仕込ませてもらいやしたけど

いや、イケメンとか関係ないやろ…
殺しにきとるだけやん


花邨・八千代
【徒然】
人魚なのに貝殻ブラじゃない…ホタテでも不漁だったのか?
まァ、キレーなお姉さんに囲まれんのは大好きだぜ。

髪は上げててくれよ、でねーと首だけ切れねーだろ?

◆戦闘
武器は引き続き黒塚、ぬーさんの攻撃が敵の動きを鈍らせるまでは防戦に徹するぜ。
敵の動きに支障が出始めたら【ブラッド・ガイスト】で片っ端から「怪力」乗っけた「なぎ払い」ぶっこんでくぜ。
敵の攻撃は「第六感」で避けつつ、ぬーさんの方に攻撃がいかねーように「挑発」だ。
同士討ちしそうなら一発自分でも殴ってリセットすんぞ。

イケメンに群がりたくなる気持ちはわかるがこっちでも遊んでくれよ。
人魚の三枚おろしっての、一度やってみたかったんだよなァ。



 居並ぶ美麗なるマーメイドたち。
 それをいざ前にした八千代は、眉間に小さく皺を寄せていた。
「人魚なのに貝殻ブラじゃない……ホタテが不漁だったのか?」
「そこ気にするとこなん?」
 敵に対して身構えた姿勢のまま、目も向けずツッコむ布静。
 八千代は柄の悪い目つきで、じろりと布静の横顔を見上げる。
「気にするだろ。人魚だぞ人魚。ワイルドな色気がなきゃ人魚じゃねーだろ」
「いやーこの状況でそこ気にするん嬢ちゃんだけですわー」
「つまんねーなァ、ぬーさん」
 聞こえよがしに大きなため息をつき、顔を正面に向ける八千代。下半身を水に浸したマーメイドたちが、こちらに氷のような視線とトライデントの切っ先を向けている。
「まァ、キレーなお姉さんに囲まれただけでよしとするか」
「えー、綺麗でも殺意向けてきよるから喜べんわー」
「戯言をごちゃごちゃと! お喋りなら冥府でするといいわ!」
「おっと! 情熱的じゃねーか!」
 尾で水をかいて加速してきたマーメイドの刺突を、横に身をずらして回避する八千代。水の抵抗で動きづらい足場をむしろ楽しむかのように、その口端はやはり吊り上がっている。
 が、さすがに相手のフィールドで闇雲に戦うことはしない。大薙刀『黒塚』を威嚇がわりに振り回すと、八千代は守勢に構えた。
「んじゃ、頼むぜぬーさん!」
「へいへい。そや、コレ飲んどいてもらえます?」
 八千代へと小瓶を放り投げる布静。彼女が受け取ったそれを服用したのを確認すると、布静は別の小瓶から薬液を水面に垂らした。
「!? 怪しい真似を!!」
「っとと! やっぱ怖いおねーさんは勘弁やな……」
 マーメイドの振るったトライデントを身を低めてかわした布静が、ふらふらと後ずさって距離を取る。当然、マーメイドたちも追撃にかかるが――。
「……!?」
 己の動きが鈍る感覚に、マーメイドの顔に狼狽が浮かんだ。
 水に混入した毒が効いたのだ。八千代に飲ませたのは、この毒に対する解毒剤である。おかげで別のマーメイドたちに絡まれている八千代は平然と大立ち回りを演じ、彼女を囲む女たちはあからさまに調子を落としている。
「ばっちり成功したみてーだな、ぬーさん。そんじゃ俺も盛り上げていくぜ!」
 八千代の指が黒塚の刀身を滑り、幾本もの赤い血が柄から石突まで刻みこまれた。
 封印を解かれた薙刀を乱暴に振りぬく八千代。それだけで、間合いにいた5人ほどのマーメイドの首が跳ね飛ばされる。
「なっ……!」
「とりあえず頭は落とせるか。なら今度は三枚おろし、やってみるかァ?」
「ふざけるんじゃないわ!」
 同胞を殺された怒りをありありと発露したマーメイドたちが、トライデントをその肉へ突き立てるべく憎き羅刹へと群がる。
 が、そのマーメイドたちに、横合いから何かの群れが飛びかかった。無数に蠢く青いそれは――布静の召喚したアオミノウミウシだ。
「な、何!?」
「この……! まとわりつくな……!」
 取りついたアオミノウミウシを振り払うべく、暴れるマーメイド。だが小さいものを払うのは、ともすれば大きいものを払うより難しい。結果として彼女らはアオミノウミウシにいいように食われ、捕食を免れた者は猛毒の棘を刺しこまれた。
「ぐ……うっ……」
 体を支えることも叶わなくなったマーメイドたちが、次々と水に倒れこんだ。
 ざば、ざぶ、とそこかしこで水音と飛沫が上がるさまを見て、八千代はやれやれとかぶりを振った。
「効かせすぎだぜ、ぬーさん! これじゃやり甲斐がねー!」
「そんなん言われても困りますわー……全滅したわけでもないんやし」
「ん?」
 布静が『周囲を見て』と首を振ると、八千代も辺りを見回した。
 殺気だったマーメイドたちが、熱い視線を向けてきていた。水に垂らした毒もいくらか薄まってきたのだろう、その体には活力がある。活きがいい。
「なるほど、まだ遊んでくれるってか」
「やー疲れそうですわー……」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
「生足魅惑のマーメイ……ですカ…?生足なんてないのですガ…」
 オトモダチ(一緒に居る動物達)と一緒にサーフィンの様に風と波に乗って戦闘デス。

 戦闘中、敵の注意を引きつけるオトリ役になります。
「私達から逃げられますカ?」
 魅惑のマーメイドの「魅了する歌声(WIZ)」に対し、ユーベルコード「Phainomenon・Archean(パイノメノン・アルケイン)」を使うことで足止め&攻撃します。
氷の津波なんか起こせたらカッコよく攻撃出来そうな気持ち!
 最大の目的は、いち早く敵を殲滅することです。
 その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますデス。


セルマ・エンフィールド
生まれ持っての性質か何者かに命じられたのかは分かりませんが、忠実ですね……ではこちらも、猟兵としての役目に忠実にいかせてもらいます。

まずは膝上まで水に浸かる状況をなんとかしましょう。
敵のUCは速度が上がるわけではありませんし、このくらいの深さであれば水中でも『視力』で影は追えます。銃剣で牽制しつつ岩礁、あるいは壁際のとっかかりを足場にして水中から脱しましょう。

水から上がったのは奇襲を防ぐためではありません。この技はあの状況で使うと自分も巻き込む恐れがあったので。
【絶対氷域】で彼女たちが泳ぐ水ごと凍結させます。凍結から逃れたものは「フィンブルヴェト」で撃ち抜き、逃がしません。



 床を浸す水の中を高速で移動するマーメイドたちが、水面に黒い影を踊らせる。
 そのさまをじっと目で追っていたリヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)は、かくんと首を傾けた。
「生足魅惑のマーメイ……ですカ……? 生足なんてないのですガ……」
「生足……何の話をしているんですか?」
 すぐ隣に立っていたセルマが、フィンブルヴェトに取り付けた銃剣『バヨネット』を水面に構えながら静かにツッコんだ。
 この敵に囲まれた中でどうでもいい情報を披露する。早速『ポン子2(ポンコツ)』の名に恥じぬ活躍を見せたリヴェンティアちゃんである。
 が、今は呑気に言葉なぞ交わしている場合ではないのだ、とセルマは気を引き締めた。なにせマーメイドたちはひりつくような殺気を向けてきているのだ。
 神殿を、柱を守るため、忠実に。
「……ではこちらも、猟兵としての役目に忠実にいかせてもらいます」
「そうデスね……頑張りまショウ……」
 セルマの呟きにこくりと頷いたリヴェンティアが、ハムスターやハリネズミ、チンチラたち『オトモダチ』とともにマーメイドたちが泳ぎ回る中へと飛びこむ。
 すぐさま得物を構えたマーメイドたち、餌を投じられた金魚のように集まる。だがリヴェンティアはユーベルコードで水面に風の波を生み、その風に乗って動くことで殺到するトライデントを回避してゆく。
「くっ、当たらない!?」
「こんな小動物にも!?」
「おのれー!!」
「ひびちゃんは滑るのも元気デスネ。きょんちゃんはスマートデス」
 波乗りよろしく、小動物たちと水上を駆け抜けるリヴェンティア。
 その様子を見ていたセルマはひとつ得心し、水中をゆくマーメイドたちの影に視線を落とす。
「やはり水に浸からないほうがいいですね。なんとか上がるとしましょう」
「むざむざ逃がすと思うのかしら!」
 猛然と水中から飛び出してきたマーメイドが、セルマに襲いかかる。リヴェンティアを見て敵のほうもまた『水から脱出させるべきではない』と認識を得たようだ。
 しかしセルマも銃剣『バヨネット』でマーメイドの攻撃を凌ぐと、すぐさま移動を開始する。水面を銃剣で牽制しながら壁まで駆け抜け、少し突起となった場所に足をかけて水中から脱出した。
「逃がしてしまったようね……」
「でもいつまでそんな小さな足場に留まれるかしら?」
「むしろ追い詰められたんじゃない?」
 わずかな出っ張りに足を置くセルマを包囲し、マーメイドたちがくすくすと冷笑する。獲物を袋小路に追い詰めたとでも言うように。
 セルマは、そのお堅い表情を少しだけ、綻ばせた。
「水から上がったのは何もあなたたちの攻撃を避けるためだけではありません。この技に自分を巻きこまないためです」
「……技?」
 その言葉に危険を察知したマーメイドたちだが、もう遅かった。
「一網打尽です」
 セルマの銀髪がふわりと揺れ、その身から極大の冷気が放たれる。絶対零度の冷気は触れただけで水面を容易く凍らせ、氷は瞬く間に版図をひろげてゆく。
 数秒もせぬうちに、一帯の水は完全に凍りついていた。泳いでいたマーメイドたちの下半身をその中に閉じこめて。
「何よこれ……動けない!」
「こ、凍って……!」
「リヴェンティアさん、お願いします」
「わかりまシタ」
 風のサーフィンをしていたリヴェンティアが、セルマの近くに来て小さく頷く。
 了解の意を告げたミレナリィドールは、マーメイドたちを取りこんだ氷塊に手をかざした。すると動かぬはずの氷が波打ち、天井まで達さんばかりに立ち昇る!
「うん。なんだか……カッコよく攻撃出来そうな気持ち!」
「や、やめっ――」
 津波のようにうねった氷塊が、放たれた懇願ごとマーメイドたちを押しつぶす。
 まさに一網打尽、まとめての圧殺。
 見事にマーメイドたちを仕留めてみせた2人は、顔を見合わせ、慣れぬ感じでおずおずとハイタッチを交わした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イーファ・リャナンシー
まぁ、今度は人魚が相手なのね…前にも戦ったことあるけど、あの歌声が厄介なのよね
ここは先手必勝で行かせてもらうわ!
さっきの大ウミウシはビリビリ使いなだけあって電撃にも強そうだったけど、あんたたちはそうじゃないでしょ?

敵方の歌声が効力を発する前に【サイキックブラスト】で攻撃しつつ、歌を歌うのをやめさせて、効果の発動を邪魔するわ
【全力攻撃456】を使って攻撃するか、【サイキックブラスト】に込めるかは、状況しだいで判断しようかしら

せっかくここまで来たんだもの、通せんぼなんてさせないわ
あんたたちも、親玉もやっつけて、水没神殿っていうのをじっくり見せてもらうの
あ、そうそう、クラウドオベリスクも破壊しなきゃ


アウレリア・ウィスタリア
この洞窟
歌を響かせるのに都合良い環境ですね
それなら……

警戒すべきは同士討ち
ボクはボクの歌でそれに対抗しましょう
【深淵から響く魂の歌】を奏でます

敵に捕捉されないよう
空を舞って歌いましょう
踊るように舞い歌い、ボクの歌をこの洞窟のこの神殿に響かせよう

敵のように魅了する歌ではないけれど
ボクのなかの優しさを込めて共に戦う猟兵たちを鼓舞しよう

敵に隙があれば
魔銃を放ち貫きましょう
そうでなくとも魔銃は牽制に使えます
戦うのがボクだけではないからとれる手段
連携とは互いの足りない部分を補い協力しあうこと
見ず知らずの仲であっても
猟兵であるのなら戦闘において背を預けるだけの信頼感はありますから

アドリブ歓迎



「この……やってくれるわね!」
「こうなればあなたたちに討ちあってもらおうかしら!」
 猟兵の攻勢にどんどん数を減らしたマーメイドたちが、トライデントを水の下の床に突き立てる。同時にその唇からは不気味なほど澄んだ歌声が流れ出す。
 美しい声だ。
 ともすれば我を忘れそうなほどの音色を聞いて、空中に浮遊していたイーファはパッと耳を塞いだ。
「まぁ、今度は人魚。前にも戦ったことあるけど、あの歌声が厄介なのよね」
「おまけに歌を響かせるのに都合良い環境になっています。注意しなければいけませんね」
 イーファとともに中空にいたアウレリアが辺りの構造を見渡す。四方を石に囲まれた神殿内は音が反響し、歌声を効率よく拡散することができる。まともに聞けば魅了されるのにおそらく時間はかからないだろう。
 ならば――。
「ボクはボクの歌をこの神殿に響かせよう。誰かを魅了する歌ではないけれど」
 アウレリアが宙を舞い進み、その喉を、震わせた。
 マーメイドたちが奏でるような、陶酔するほどの美しさはそこにはない。あるのはアウレリアの魂の色、わずか夜を照らす月光のように静かで儚い優しさ。
 そんな歌声が、確かに響く。
 人魚の魔性を押しのけて、跳ね返して、暗く冷たい空間に満ちてゆく。
「私たちの歌が阻まれている……!?」
「そんな……!」
「すごいわ、アウレリアさん! これは私も負けられないわね!」
 自慢の歌声を相殺されたマーメイドたちの狼狽を見逃さず、イーファが上から降下する。
 そうして水面すれすれまで降りた彼女の両手に、閃光が弾けた。
 ヂッ、と恐ろしい音を生むそれは――電気だ。
「さっきの大ウミウシはビリビリ使いなだけあって電撃にも強そうだったけど、あんたたちはそうじゃないでしょ?」
「が……あああああああああああああっ!!?」
 イーファの両掌から放たれた電撃が、床一面の水へひろがり、マーメイドたちを焼く。肉から骨まで貫くような凄まじい衝撃に、神殿内に響いていた歌声が苦悶の叫びへと変異する。
 聞く者さえも痛ましくさせるそれに、もはや人を魅了する力はなかった。
「さ、今のうちにどんどんやっちゃいましょう! アウレリアさん!」
「ええ、そうしましょう」
 自分を見上げてきたイーファに首を振ったアウレリアが、魔銃『ヴィスカム』を抜く。
 右へ、左へ。
 撃ち放たれた銃弾がマーメイドたちの胴を貫き、ヤドリギの精霊の力が浸潤する。水の中に立っていた人魚たちが1人また1人と、ざぷっと力ない音とともに倒れてゆく。
 だが、神殿内に巣食う人魚の数もまた多い。
 多数の戦力が失われたのを察したマーメイドたちが、神殿の奥のほうからわらわらと姿を現してきた。
「くっ、こんなにも犠牲になったというの!」
「許さない、許さないわ!」
 水に浮く仲間たちの屍を見たマーメイドたちが、憤怒の顔で襲いかかろうとする。
 だがその意気とは裏腹に体は前に進まなかった。アウレリアが上方から撃ちこんでくるヴィスカムの銃弾が彼女らの前方に着弾し、出足をくじいていたのだ。
「イーファさん、あとはお願いします」
「いいわ、任せて!」
 水面から飛び上がったイーファが、その両手に魔力をこめる。
 ヂヂッ、と閃く電光。先ほどの電撃よりも遥かに強まったそれが、空を切り裂き、水面に叩きつけられた!
「ぐああああああああああああああああ!!?」
「せっかくここまで来たんだもの、通せんぼなんてさせないわ。あんたたちも、親玉もやっつけて、水没神殿っていうのをじっくり見せてもらうの」
 ぱたぱたと可愛く翅をはばたかせるイーファだが、その言葉を聞いた人魚は、その場にはもういなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
いやぁ、何とも殺意の高い人魚たちだなぁ。童話のように夢の欠片も無いや。知人の人魚な猟兵たちとえらい差だよ全く。
目的果たすまでは帰る気はないんだ、大人しく血泡になって消えてくれるかな?

狂気の分身を発動
適当に50体くらい出して(人魚の数に対し少ないなら倍)入り乱れるようにしつつ人魚たちにダガーで突貫させる。
水中の機動性で負けてやられようとも関係は無い、その瞬間分身には自爆して貰って人魚を巻き添えにする。
自爆するなりして減った分身は即補充。因みに本体の自分は分身たちに紛れて援護する
『ハハハハ!水中だと流石に勝てねー!』『やっべ、俺様死ぬわ!お前も死ね!』『ハズレを引いたら即アボンだぜクソ人魚ども!』



「命は置いていってもらうわ……!」
「おっと、冗談はよしてくれ」
 水中から勢いよく飛び出してきた人魚の一撃をかわしながら、永一は眉を上げて微笑んだ。
「いやぁ、何とも殺意の高い人魚たちだなぁ。童話のように夢の欠片も無いや」
 知人の猟兵とはえらい違いだ。
 そんなことを胸中に呟いて、永一は金の瞳を鈍く光らせた。途端、閉塞されたはずの神殿内に、四方から群衆が流れ込んでくる。
 そのどれもが、永一だった。
「っは! こいつを殺しゃあいいのか!?」
「いいねえ! 人魚狩りってとこだなァ!」
 肉食の獣のような眼光で、何十人という永一が乱闘を仕掛ける。粗暴そのものの別人格の分身体である彼らは、水を蹴り分け、マーメイドたちを刺し殺すべくダガーを携えて吶喊する。
「……っこの、鬱陶しい!」
「頭数を揃えようと、水の上で私たちに勝てるわけがない!」
 マーメイドたちが水中を疾駆する。突っこんだ分身たちはその機動に翻弄され、ダガーを外しては水面に倒れこんだ。
「ハハハハ! 水中だと流石に勝てねー!」
「もらった!」
 仰向けで笑う分身の胸にマーメイドがトライデントを刺しこむ。だが刃がその体を貫こうとした瞬間――分身体は爆炎へと転じた。
 空気が震え、炸裂した水が宙に咲く。至近距離で『自爆』の巻き添えになったマーメイドは無惨な肉片となって水の中に落ちていった。
「ば、爆発ですって……!?」
「そうさ爆発だ! だからお前も死ね!」
「ひっ……!?」
 爆散した仲間を見て茫然としていた人魚が、背後にとりつかれて同じ運命をたどる。
 人間爆弾。
 その狂った脅威に対面した人魚たちは、恐怖に身を震わせる。だが使命感ゆえ逃げることもしなかった彼女らは、次々と捕まってゆく。
「ハズレを引いたら即アボンだぜクソ人魚ども!」
「た、助け……!」
 命乞いがまたひとつ、轟音とともに消え去った。

成功 🔵​🔵​🔴​

桜田・鳥獣戯画
仲良く落水してしまったではないか!!誰が仲良しだ!!

「…歓迎してくれていれば良かったのだがな!」

再び艦を預かる男(f03702)と組み、襲い来るマーメイド共に対峙する!
まだ食えるが、一体ずつ咀嚼する暇はなさそうだな。

アルフレッドが起こしてくれるであろう(多分)湯気を利用し、人魚たちをPOW攻撃。
具体的には武器で殴る。
様子を見てUCで腕を鰐に変化させ、生命力を吸収させて貰おう。

「残念ながら魅了系は効かんぞ? 実は私も雌だ」
「多分アルフレッドにも効かんぞ。ほらなんか鈍そうだし」

海水が流入しているようだが足場はある。
『水を得た魚』はまずいな。奴らの領域である海中に持ち込まれないよう注意したい!


アルフレッド・モトロ
落水し偶然にも海水と共に崖内部へと流れ込んだ俺と姉御(f09037)

「戯画の姉御。どうやら奴さん達ぁ、歓迎パーティを開いてくれるようだぜ」

拳とワンダレイ・アンカーに蒼い地獄の炎を纏わせて戦う!
ついでに辺りも照らす。暗そうだし。

えっ「火が水に勝てるわけなかったんや…」って?

…へっ!見てろよー!
今回こそはかっこよく【地形を利用】させて貰うもんね!

時々海水に触れて一気に湯気に変え、敵の視界を遮りながら戦おう。
どうだ! 即席変わり身の術だ!
案外熱々の蒸気でダメージ与えられるかも?

攻撃を躱しながら【力を溜め】隙を見て【捨て身の一撃】だ。
【怪力】で渾身のアンカーを叩き込む!
タイミングは【野生の勘】頼りだ!



 どかーん。
 ずどーん。
 恐ろしい戦闘音ばかりが響く、水没した神殿。
 その水の溜まったフロアに、入り口のほうからどんぶらこと流れてくる2つの人影があった。
 ぷかーっと静かに流れてきて、壁に当たって止まる。
「……はっ!?」
「ここはどこだ!?」
 ざばーっ、とどこぞの巨大怪獣を彷彿とさせるムーヴで水から出てきたのは、何を隠そうアルフレッドと鳥獣戯画だった。電撃くらって落水した2人はなんかそのまま神殿に流れついたのである。奇跡って素晴らしい。
「記憶がすっぽり抜けているが……どうやらここは神殿の中らしいな」
「ラッキーだったな姉御! それに見てみろ!」
 首とかこきこき鳴らす鳥獣戯画の肩をばすばす叩き、人差し指で辺りを示すアルフレッド。
 何ということでしょう、殺気立った人魚たちが熱い視線を送ってきています。
 めっちゃ四面楚歌です。
「戯画の姉御。どうやら奴さん達ぁ、歓迎パーティを開いてくれるようだぜ」
「……本当に歓迎してくれていれば良かったのだがな!」
「侵入者には死を!」
「安心しなさい。死体はちゃんと食べてあげるわ!」
 まるで飢えた獣が弱き獲物に群がるように、マーメイドたちが競うように2人に押し寄せる。傍から見ればまさに多勢に無勢だった。
 しかし、鳥獣戯画は悠々と腕組みをしたままだ。
 なぜか。
 その隣に、拳を蒼く燃え上がらせたアルフレッドがいるからだ。
「それじゃあ、ひとつやってやるとするか!」
 朗々とギザ歯を剥き出しにして笑うアルフレッドの手が、身の丈ほどもある錨『ワンダレイ・アンカー』を抱え上げる。蒼い地獄の炎が手を伝って錨を包みこみ、それそのものが巨大な灼熱へと変貌する。
「姉御ォ! 少し熱くなるかもしれないぜ!!」
「構わん、やれ!」
 青々と静かに光る錨が、2人の脚を覆う水に沈められる。
 瞬く間に、濃霧のような蒸気が噴きあがった。アルフレッドの蒼炎に焼かれた水が蒸発し、視界が一気に白く染まる。
「がっ……熱、熱いィ!!?」
「ど、どうなっているの……!?」
「即席変わり身の術ってな! 今だぜ戯画の姉御!」
「ああ、任せておけ!」
 アルフレッドが合図するよりも早く、鳥獣戯画は混乱する人魚たちの群れへ駆けていた。ありあわせの残骸で組み上げたような柱『人柱2036』で大ぶりにぶん殴ると、人魚が3体ほど石壁に打ちつけられ、死肉となってずるずると水に沈む。
「呆気ないな。食いごたえもなさそうだ」
「この……!」
「そこか」
 挑発に反応した声を頼りに、鳥獣戯画が腕を伸ばす。ユーベルコードで鰐の頭へと変形させたそれはマーメイドの上半身にばくりと食らいつき、悲鳴をあげさせることもなく頭以外を飲みこんだ。
「好き勝手はさせない!」
「すぐに……串刺しにしてやるわ!」
 柱と鰐の腕で暴れまわる鳥獣戯画。そんな猛獣を討つべく、マーメイドたちは水中に体を沈め、彼女を四方から襲おうと試みる。
 だが、熱い。泳ぐことも叶わぬほど。
「ぐっ……!」
「あ、熱すぎるわー!?」
「よし! あぶり出されたな!」
 水中から跳ね出てきた人魚たちを見て、アルフレッドが水に浸らせていた『ワンダレイ・アンカー』を引き抜く。錨の熱のおかげで、辺りの水はすっかり茹で釜のようになっていた。
 錨を肩に担いだアルフレッドは、ちらりと鳥獣戯画と目を合わせる。
「これでボイルには困らないが、しかし食卓には焼き魚があってもいいよな!」
「そうだな、アルフレッド。私も少し焼き魚が食いたい気分だ!」
 首肯した鳥獣戯画がにやりと笑うと、2人の視線は熱水に狼狽える人魚たちに向いた。
 燃える錨が投げこまれ、腹を空かせた鰐が食い散らす。
 鳥獣戯画とアルフレッドがさんざん暴れ、暴れ疲れたときには、もうフロア内のマーメイドの気配はひとつ残らず消滅していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『貝塚の女王』

POW   :    おいしいおいしい、モットチョウダイ
自身からレベルm半径内の無機物を【肉を溶解する水流】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    痛いトお腹ガへっちゃうモン
自身の身体部位ひとつを【無数の貝殻でできたドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    アナタもトッテモおいしソウ!
対象のユーベルコードに対し【精神力を弱らせる邪光】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 警邏役だったろうマーメイドたちがいなくなると、神殿内は冷たい静けさに包まれた。床を覆う水で青く照らされた石造りの天井や壁、大きな柱などは確かに神殿らしい静謐さを漂わせる。
 しかしここは神を祀る場ではない。
 中枢にあるもの――群竜大陸を隠匿する柱を打ち壊すべく、猟兵たちは神殿を奥に進んだ。
 足から這い上る水の冷たさに構わず、ただただ深奥へ。
 やがて通路を抜けると――一同はそれまでと明らかに異質な空気の漂うフロアに到達した。
 石造りから一転して岩質が一面に露出した空間が、だだっ広くひろがっている。端から端まで駆けるのにも時間を食いそうなほど広大だ。
 そんなフロアの中央に、そびえ立っていた。
 遥か見上げねば先端も見えぬような巨大な柱が。
 そしてその巨大な柱の前に、1体の大きな人魚が寝転がっていた。
 大量の貝殻と、大量の人骨をベッドにして。

「あら、久しぶりに誰かやってきたのネ」

 むくりと体を起こした人魚が、猟兵たちに気づいてうっすらと笑む。
 奇怪な人魚だった。神殿内に無数にいたマーメイドたちとは違う。人間の上半身と魚の下半身という彼女らと比べて、なんというか取り留めがなかった。
 生物をごちゃまぜに配した姿は、言ってしまえばキマイラに近いかもしれない。
 だが、かの世界の愉快なそれらとは、彼女は似ても似つかなかった。

「長いこと人が来なかったものダカラ、すっごくお腹へってたの! ちょうどいいから、アナタたちを食べさせてチョウダイね!」

 猟兵たちを見渡した人魚が――『貝塚の女王』がぺろりと舌なめずりをする。
 無邪気な微笑を湛えた、ぎらついた食欲が、猟兵に襲いかかった。
イーファ・リャナンシー
真の姿:イラスト参照
身長6倍、人間大に変化
妖精姫のような姿

私みたいに小っちゃいの、食べてもお腹は空いたままよ

小さな体を活かして敵の隙をうかがいつつ、【全力魔法480】を込めて【フェアリー・ランド】を発動するわ
2回目以降はどうなるか分からないし、最初で決めるくらいのつもりで
魔力干渉も物理干渉も受け付けないこの迷宮…その気持ち悪い光で打ち消せるかしら?
迷宮に敵を閉じ込めて仲間がクラウドオベリスクを攻撃するための時間を稼いだり、真の姿を開放してたった1つの出口の前で【全力魔法480】をぶつけるための待ち伏せをするわ

そんなお腹が空いてるのなら、岩でも食べてたらいいじゃない…ほら、そこにもたくさんあるわ


花邨・八千代
【徒然】
ホタテあったじゃん…あぁそっか、こいつが寝床にしてっから付けられなかったのか。
なるほどなー。

さァて、猟兵を食おうってかァ?
腹壊しても知らねェぜ、女王サマよォ。

◆戦闘
黒塚を思いっきりぶん回して【羅刹旋風】だ。
ありったけの「怪力」で「捨て身の一撃」、「なぎ払い」ぶっこんでくぞ。
返す刀で「2回攻撃」、「傷口をえぐる」。
「挑発」と「殺気」を込めた「恫喝」で俺に意識を向けさせるぜ。

でっけェ的だなァ、撫で斬る場所にゃ困らねぇ。
どうした、俺を食ってみろよデカブツ。
でなきゃこっちが喰っちまうぞ!

背中は任せたぜェ、ぬーさん。
俺、思いっきり遊んでくっから後方支援よろしくゥ!
……え、怪我したらどうなんの俺。


薬袋・布静
【徒然】
ホタテあったな…
そして、そこまで拘るの嬢ちゃんぐらいやぞ

確かに
俺なんぞ食ろうたら間違いなく腹壊すな
ま、タダで食われてやる義理はないんで
なぁかよーく殺し合おうか

◆戦闘
この女王様…
食っちゃ寝しとるから、腹たるんどるんがよー見えるなァ…
下半身もヤバいやん…食う事しか頭に無いデブは哀れやな…

基本は八千代嬢ちゃんのサポート
挨拶が代わりに怒りを「誘惑」するように「言いくるめ」
俺でも嬢ちゃんでも敵さんを“猜疑・恐怖・不安・怒り”等を
煽る事が出来たのなら、【海恕】を発動させ“白鯨”を呼ぶ
水流は「毒耐性」か「医学」で、邪光は「呪詛耐性」で対処

おー、たんと遊んで来いや
ひっどい怪我負ったら、覚悟しとけよー?


セルマ・エンフィールド
プルートさんの言っていた通りですね、ここに来てよかった。
空腹で近隣の村を襲われたらたまったものではありませんから。

この足場の中自由に行動させるのは得策ではありません。行動を阻害していきましょうか。
フィンブルヴェトによる【絶対零度の射手】で、敵の所在が空中、水中問わず弾幕を張るようにして近寄らせないようにしつつ着実に傷を与えていきます。
生命力吸収を頼りに多少の傷を覚悟で向かってくるのであれば接近してきたところで『物を隠す』で隠し持っていたデリンジャーを『クイックドロウ』、こちらでも【絶対零度の射手】を発動し、『カウンター』を。

姿は人に近くとも、まるで獣……であれば狩るのみです。


アウレリア・ウィスタリア
食べられるわけにはいきません
ボクたちはその柱を壊すために来たのですから

【血の傀儡兵団】を召喚
自身と共に滞空し、一斉に攻撃を仕掛ける

血人形たちの攻撃が通れば良いし
通らなくても崩れた人形は血に戻る
それを繋いで血糸にして何重にも敵を拘束する

邪光は血人形を盾に逃れ
洞窟内を飛行して捕らえた敵に魔銃を浴びせ続けます
ボクの血人形は武器であり盾であり
そして道具でもあります
ただ数で押すだけの力ではないんです

その首を刈り取り
オベリスクも砕いてみせましょう

念のためですが
敵のユーベルコードで洞窟が崩れないか注意しておきましょう
崩れるのなら逃げないといけないし
それに崩壊する洞窟を利用して攻撃ができるかもしれません


霑国・永一
入口にあんなのが居る時点で人を拒んでるようなものじゃないか。怠けたツケだと思うなぁ
人魚にも引きこもりのニートが居ると分かったとか割とどうでもいい情報だけど、食べられるわけにはいかないんだなこれが

狂気の予知を発動
貝塚の女王の思考を盗み読み、ドラゴンでの噛みつき攻撃の攻撃タイミングや方向を予測、素早く飛び退いたり、体を無駄なく傾けたりで回避しつつ銃撃を体に向けて撃ちこんでいく
泳がれると面倒なので尾ひれなど魚部分中心に序盤は狙う
その後は腕、腹、頭は後の方で。すぐに頭じゃ面白くない。宴はじっくり愉しむものだ
「俺があげられる餌なんて銃弾くらいだなぁ。全身でお食べ。満腹にならない?知ったことじゃないなぁ」



「ホタテあったじゃん……」
「ホタテあったな……」
 地を覆う水を波立たせて猛然と迫る女王を見て、しかし八千代と布静の視線は敵の寝床(人骨&貝殻)ただ一点に釘付けになっていた。
「こいつが寝床にしてっから付けられなかったのか。なるほどなー」
「いやそこに拘っとるの嬢ちゃんぐらいやぞ」
 合点がいったと深く首を沈める八千代に、ぽそりと口布の下でツッコむ布静。
 マーメイドは貝殻ブラ――それだけは譲れない八千代だった。
「2人とも、そんなこと話してる場合じゃないでしょ」
 布静たちの頭上をぱたぱたと飛び、呆れた声をあげたのはイーファだ。暴走列車のように突っこんでくる女王へ、彼女は花腕輪『プリムローズ』をかざした。
「まあ、まずはアナタを食べていいの!」
「そんなお腹が空いてるのなら、岩でも食べてたらいいじゃない……私みたいに小っちゃいの食べてもお腹は空いたままよ」
 花々がざわめき、魔力が迸る。
 瞬きも許さぬ間に――洞窟内の空間が一変した。岩場水場が忽然と消え去り、代わりに硝子片が積みあがったような壁が一帯に乱立する。
 迷宮だ。どことも知れぬ何かの記憶が映された、ミラーハウスのような広大な迷宮がイーファの力で生み出されていた。
「ヤダみんな見失っちゃったわ!」
 唐突に壁に囲まれた女王が首を振りまくり、ばたばたと尾を暴れさせる。
「消えちゃってヨ!!」
 カッ、と瞳や宝飾が白光を放った。
 相手の精神を弱らせ、ユーベルコードを無効化する力が空間に乱反射する……しかし白光がやんでなお、記憶の迷宮は健在だった。
「もう! なら自力で抜けるわヨ!」
 迷路を消すことを諦めた女王が、狭い通路に身をこすらせながら猛牛のように駆け抜ける。
 ひたすら前へ前へ。
 そうして出口が見えたとき、女王は歓喜のまま倒れこむように脱出した。
「ヤッター!」
「おめでとう。待っていたわ!」
「きゃあーーっ!?」
 迷路を攻略した女王を待っていたのは、イーファの全力をこめた攻撃魔法だった。爆裂じみた力の奔流に呑まれ、女王の巨体は迷路の外壁に激突する。
「さ、やっちゃって! 八千代さん!」
「あァ、いっちょぶっこんでやるとするか!」
 イーファの呼びかけを受けた八千代が、ぐるんぐるんと頭上で振り回していた薙刀『黒塚』で空を切る。
「猟兵の力、食ってみりゃいいぜ! 女王様ァ!」
 地が砕けるほどの一歩で、八千代が女王のもとへ飛びこんだ。水を切り裂いた影が一瞬で懐に潜り、膂力に任せた乱雑な一撃をその腹に見舞う。
「い……ギャァァァァ!!?」
「まだまだァ!」
 血を噴いて悲鳴をあげる女王へ、返す刀で斬りつける八千代。黒塚の刀身が、敵の体に易々と十字を刻みこんだ。
 羅刹旋風――迷宮が時間を稼いでいた間に、女羅刹の力はまさしく鬼神の域に近づいていたのだ。
 その憎たらしい表情を鮮血に濡らした八千代が、にやりと笑う。
「どうした、俺を食ってみろよデカブツ。でなきゃこっちが喰っちまうぞ!」
「こっ……のォォォォ!!」
 女王の怒気に満ちた咆哮が洞窟に響くや、水底や壁の岩が毒々しい水流に変質する。
 触れてはならない。
 直感的に察した八千代は咄嗟に、まだ無事に残っていた岩へと飛び乗り、足元をさらう水流を避けた。
「あっぶねェ! ぬーさん、イーファ、大丈夫か!」
「あー大丈夫や大丈夫。間一髪ってとこやけど」
「私も無事よ!」
 別の岩に上がっていた布静が飄々と手を振り、イーファは笑顔で中空をパタパタしている。不意をつく攻撃だったが、誰ひとり負傷はしていなかった。
 岩の上に立って一息ついた布静は、改めて女王を見やった。
 目につくのはやはりその大きな体。
 巨体を眺めきった布静は、憐れむように目を細めた。
「この女王様……食っちゃ寝しとるから、腹たるんどるんがよー見えるなァ……。下半身もヤバいやん……食う事しか頭に無いデブは哀れやな……」
「なっ! ふ、太ってるって言った!?」
 驚きに目を見開き、己の体を見下ろす女王。
 蝙蝠のような羽のついた手で、ぷにぷにとお腹の肉をつまんでみる。
「……太ってるのカナ? 私、お肉がついちゃってるカナ……!?」
 愕然と青ざめた女王が、がっくりと手をついた。
 布静の言葉に動揺し、自身のプロポーションにめっちゃ不安を覚えていた。
「おー予想外のリアクションやったけど……上々や!」
 にぃ、と密やかに口角をあげた布静が、指笛を吹く。
 高らかな音に誘われ、顕現するのは雄大な白鯨。水から躍り出るように現れたそれは女王へ顔を向け、強烈な呪詛を散布した。
「そんなモノ!」
 宙を伝い進む呪いをかき消そうと、女王の白光が奔る。だが邪光は呪力を相殺すること叶わず、むしろ自身が霧散してしまう。
「やぁ……重たい……! 何これ……!」
「っしゃ。弱ったみてぇだなァ!」
 黒塚を携え、跳躍する八千代。
 嬉々として女王を斬りつけに向かいながら、羅刹は振り返りもせずに布静に声を飛ばす。
「背中は任せたぜェ、ぬーさん。俺、思いっきり遊んでくっから!」
「おー、たんと遊んで来いや。ひっどい怪我負ったら、覚悟しとけよー?」
「……え、怪我したらどうなんの俺」
 ぴた、と立ち止まる八千代。
 再び駆けだすまで、数秒かかった。

「痛ぁい! 苦しぃい! 何なのよもう! おとなしく食べられてヨ! 私はお腹がへってるんだよぉ!?」
 傷を負った体をさすりながら、女王が涙半分で叫びまくる。
 その尾が地面を叩き、洞窟全体を揺らすのを感じながら、セルマはひとつの安堵を覚えていた。
「プルートさんの言っていた通りですね、ここに来てよかった」
 あれを放置すれば、いずれは空腹に耐えかねて近隣の村を襲っていたことだろう。むしろ今まで我慢できていたのが不思議なくらいだと、セルマは思った。
「姿は人に近くとも、まるで獣……であれば狩るのみです」
 長銃『フィンブルヴェト』を両手で構え、女王に銃口を向ける。
 すると盛大に暴れまわっていた女王が、ぎゅるんと首を振り、セルマの姿を捉える。
「また痛いことするつもり!? そうはさせないんダカラ!」
 大きな下半身を水中でうねらせ、セルマとの距離を詰める女王。尾ひれの生む推力は凄まじく、まるで水の中を飛ぶように迫ってくる。
 ――が、その勢いが止まる。
 セルマがばらまいた銃弾が、氷の弾丸が、女王の進むべき進路を氷の壁に変えていたのだ。
「なっ!?」
「思い通りにはさせません」
「ぐ、うううっ!?」
 極冷の銃撃が女王の体に無数の孔をあける。血も出ないのは孔が凍りついているからだ。身を蝕む低温に、女王もぐらりと傾ぐ。
 しかし、倒れはしなかった。
「こんな傷!」
 痛みを押して尾を振るった女王が、砕氷船のように氷の中を押し進み、セルマへと突撃してくる。フィンブルヴェトからの銃撃を受けながらも、強引に。
「食べちゃうモン!」
 右腕を貝殻の竜頭へと変え、振り下ろす女王。傷を負えどもセルマから生命力を吸えれば、そう考えていた。
 だが、竜の牙がセルマに喰いつこうとした瞬間――女王に黒い銃口が向いていた。
 セルマがスカートの下に忍ばせている小型銃『デリンジャー』が、逆に牙を剥いていた。
「!!?」
「残念でしたね。私も抜かりはありません」
 デリンジャーから放たれた氷弾が、女王を冷たく貫いた。

 ずぅん、と水飛沫をあげて倒れる女王。
 永一は降りかかる霧の冷たさを感じながら、さながら他人事のように独り言ちた。
「人入りがなくて飢えてたみたいだけど、入口にあんなのが居る時点で人を拒んでるようなものじゃないか。怠けたツケだと思うなぁ」
 ふふっ、と嗤う永一。あんな門番がいれば人が寄り付かないというのは、まったくもってその通りである。
 だが空腹の女王には、そんな簡単な理屈も通じない。
「痛い痛い! お腹へった!! もう我慢できないヨ! 何でもいいからお肉ちょうだい!」
 倒れたときの何倍もの飛沫をあげて、女王が飛び起きた。
 痛みと空腹で染まった顔に、もはや当初の微笑みはない。その血走った眼は、ただただ永一と、その隣にいるアウレリアを捉え続けている。
「つらそうだね。でも食べられるわけにはいかないんだなこれが」
「そうですね。ボクたちは、あの柱を壊すために来たのですから」
 永一の言に頷いたアウレリアが羽をひろげ、浮遊する。そのまま高度を上げてゆく彼女を見送って、永一は軽い足取りで女王の眼前に立った。
 目前に獲物がある。
 女王の眼光が強まり、その腕に貝殻の竜頭を形成する!
「ああ、おいしソウ!!」
「っはは。すごい気迫だ。相当、腹がすいてるらしい」
 飄然と嗤った永一に、口蓋を開けた竜が迫る。
 しかし竜牙は永一の体に掠りもしなかった。ゆらりと上体を揺らした永一の傍らを通過して、無惨に地面に激突して破砕していた。その砕片すらも、当たらなかった。
「それじゃ俺の番だ」
 するりと抜いた銃が、弾丸を発射する。反応した女王もすぐさま飛びのいてかわそうとしたが、銃弾はまるでその動きすら予測していたかのように、翻った尾ひれに命中した。
「ぎっ……アアアアア!!」
「悪いな。もうお前の考えは、すべて盗ませてもらってるんだ」
 二発、三発と女王の下半身を撃ちながら、爽やかに笑う永一。
 盗み読む狂気の予知(スチールプリディクション)――女王の頭の内を盗み尽くした永一の目には、もはや彼女の動きの未来図までもが映っているのだ。
 銃撃の痛みに悶える女王。
 そこへ、空中から夥しい人影が降りそそいだ。
「その隙、逃しません」
 アウレリアである。
 中空を飛んでいたアウレリアが、自身の血で生み出した人形たちを従えて降下してきていた。血人形の数は二百を超え、もはや上方を覆い尽くすほどの勢いだ。
 あれに群がられてはならない。
 苦悶の中、それだけは理解できた女王は、天へと白光を放射した。
「全部、全部消えテ!!」
 昇りくる邪光にさらされ、血人形たちが次々と瓦解する。人の形を保てなくなった体は元のアウレリアの血へと戻り、宙へ霧のように消えてゆく。
 しかしアウレリアは、微塵の狼狽も見せなかった。
 むしろそれを待っていたとでも言うように、両手を振るった。
「ボクの血人形は、ただ数で押すだけの力ではありません。武器であり、盾であり、そしてアナタを捕らえる道具でもあります」
「ぐっ、な、何!?」
 自らを縛りつける感覚に、女王が瞠目した。
 見下ろせば、その巨体に真紅の糸が幾重にも張り巡らされ、縛りつけられていた。上から下まで雁字搦めに、身もだえするだけ肉に喰いこむほどに。
 アウレリアの血で形成された糸『レージング』だ。血人形に使っていた血液を駆使し、気取らせぬままに女王を鮮やかに捕縛していた。
「その首、刈り取らせてもらいます」
 魔銃『ヴィスカム』を抜き、撃ち放つアウレリア。
 銃弾が肉を貫通し、無数の傷が作られると、女王は悶絶した。
「ぎ、ああああああああ!!!?」
「ああ、ひどい声だなぁ」
 女王の金切り声に耳を塞ぎながら、しかし永一の顔は、愉悦に満ちている。
 ゆっくりと、銃口を上げた。
「待っ……!」
「俺があげられる餌なんて銃弾くらいだが、どうぞ全身でお食べ。満腹にはならないだろうけどね」
 永一の銃弾が、腕を、腹を、撃ちぬいた。
 再びあげられる悲鳴を聞きながら、しかし、永一は頭だけは撃たなかった。
 楽しみが終わるのは、勿体ない――と嗤って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼット・ドラグ
「何だよドラゴンじゃねえのかよ・・・がっかりだぜ・・・」
食欲だけで襲ってくるとか柱を守るとかそういう守護者っぽい考えはないのか。
まぁ良い。とっとと片付けるとしよう、オベリスクともどもな。
とはいえ、相当な実力者なのだろう。無機物を溶解液のようなものに変えるのか、これは厄介。貝殻と人骨を変えてきそうだから、仏さんには悪いが【竜を殺す百の刃】を鎖付き鉄球に変え、貝殻と人骨と更に他の無機物も全て破壊しつつ、女王に鉄球による奇襲を仕掛ける。
「俺の鉄球はどこから来るか分からないぜ?攻撃なんてさせねえよ」
敵に隙が出来たら自身の【怪力】と落下速度とバスターブレイドの重量を合わせた渾身の一撃を放つ。


アルフレッド・モトロ
「へへっ、なんてこたぁねえ!力こそパワーだぜ、姐御!」
戯画の姐御(f09037)と参戦だ!

熱して【力を溜め】た錨を開幕【怪力】で【吹き飛ばし】て投擲!
外れるかもしれんが、
【串刺し】にできりゃ御の字だ。

「肉を融解する水流」には、俺の狂騒海域で対抗。
「水流操り力(ぢから)」で勝負だ!人魚のねーちゃんよォ!

…とまあ、これだけで倒せるたぁ思ってないさ。

渦潮で遮って、姐御を敵の攻撃から【かばって】サポート!

さあブチかまそうぜ、姐御!

ここで俺も最後の一撃に向けて動く!
一気に距離を詰めて、さっき投げ飛ばした、おそらく敵に刺さっている(もしくは落ちてる)錨を掴み、ダメ押しに【捨て身の一撃】をくれてやる!


桜田・鳥獣戯画
「貪欲なことだ。これで終いにするぞアルフレッド(f03702)!」
「…いや意味被ってる被ってる!!」

なるほど大食い女子と来たか! 私とキャラがかぶるな…
こういう時POWバカの私には、フードファイトくらいしか手段がない!

ってお前もPOWバカかアルフレッド!! 今更だが何でこのコンビで来たの?
仕方あるまい、全力の力圧しだ! 得意であろう?

ワンダレイ・アンカーやアルフレッドのUC狂騒海域に人魚が気を取られている間に弱肉狂喰で攻撃。
また【存在感】や【恫喝】でこちらに注意を向けさせ、アルフレッドの攻撃のための隙を作る。
「来い、貝塚系女子!」

こちとら双方旅団持ちでな。
敗けて帰るようでは示しがつかんのだ!!



「たべる……たべるたべるたべるたべるたべる!!!」
 その身に幾筋もの血を伝わせながら、女王は暴れまわった。
 肉を喰らえば力となり、体を癒すこともできよう。だからこそ彼女の食欲はむしろ強まり、傷の痛みを忘れようと力強く氷を砕いて地面を叩く。
 びし、と飛散した氷を頬に受けた鳥獣戯画が、その跡をさする。
「貪欲なことだ。これで終いにするぞアルフレッド!」
「おう! やってやるぜ!」
 アルフレッドが頼もしく胸を叩いたのと同時、2人並んで女王へと駆けだした。
 鳥獣戯画とアルフレッドの気配に気づいた女王が、飢餓に妖しくゆらめく眼差しを見せる。もはや猟兵を食料としか見ていないのだと悟った鳥獣戯画は鼻を鳴らした。
「大食い女子とは、私とキャラがかぶるな……こういう時POWバカの私には、フードファイトくらいしか手段がない!」
「へへっ、なんてこたぁねえ! 力こそパワーだぜ、姐御!」
「ああ、そうだな! …………いや意味被ってる被ってる!!」
「パワーこそ力だったか!」
「何ひとつ直ってないぞ! それで艦長とか不安しかない!」
 ハハハハとか笑い飛ばしてるアルフレッドを見て心持ち心配になる鳥獣戯画。
 だが彼に学を叩きこんでいる暇はない。暴れ牛のように荒れ狂う女王は羽を振るい、空中から2人に攻めかかっていた。
「たべるー!」
「ええい、食欲旺盛なことだな!」
「姉御! ここは俺に任せてくれ!」
「よし任せた!」
 上から降ってくる巨大な人魚めがけて、ワンダレイ・アンカーを振りかぶるアルフレッド。そのまま姿勢を低めて力を溜めると、地獄の炎で青々と熱した錨を投げ槍のように投擲。
 一直線、一条の青が宙を貫き、女王の腹に突き刺さる。
「痛いいたぁイ! 何するのヨ、アナタ!」
 空中で身をよじった女王が、咆哮する。声に空気が揺れ、震えた岩がとぷりと濁った水流へと変成した。
 岩壁を駆け下りた液体が、アルフレッドたちを包囲するように迫る。
「へっ、俺と姉御を溶かそうってか? だがそうはさせねぇ! 『水流操り力』で勝負だ!」
 アルフレッドの足元の水が揺れて、揺れて、巨大な渦潮を作り出す。水中を滑るように動いたいくつもの渦潮は、流れを阻む障壁を生み、溶解する水流を2人に届かせない。
「今だぜ、姉御!」
「よくやったアルフレッド! あとで語学の教書を買ってやる!」
 労いの言葉をかけながら、鳥獣戯画が水場を駆け抜ける。溶解水流も飛び越えて女王の直下に立つと、跳躍してその柔肉に噛みついた。
「全力の力圧しだ! 遠慮なく食わせてもらうぞ!!」
「ヤァァーー! いたいはなれてどっかイッテー!?」
 ぶるぶると体を回転させて鳥獣戯画を振り払おうとする女王。だが鳥獣戯画は驚異的な顎の力で喰らいつき、離されない。
 結局は女王が死に物狂いで叩き落としたものの、そのときには噛み千切った肉を口にたっぷりと携えていた。
 腹をぽっかりと欠けさせた女王は、髪を振り乱して泣き叫ぶ。
「いたぁい!! どうして私がたべられるノ!? たべるのは私なのに!!」
「悔しいか、貴様も食いたいか。ならば来い、貝塚系女子!」
「こ、のぉぉー……!!」
 堂々言い放った鳥獣戯画に、女王が怒りを露に降下する。落下すると言ったほうが正しいかもしれない。墜落するヘリのような、そんな不格好なものに見えたからだ。
 その緩慢な落下を横に踏み出して回避すると、鳥獣戯画はアルフレッドに目配せした。
「やれ! アルフレッド!」
「ああ、ブチかますぜ!」
 身ひとつで突撃したアルフレッドが、地に横倒しになった女王に飛びつき、腹に刺さったままの錨を掴む。
 そしてそれを引き抜くのではなく――押しこんだ。
「くらいな!!」
「きゃああっ……アアアアアアア!!?」
 錨を伝った地獄の炎で、腹を青く輝かせながら、女王は聞き苦しい断末魔をあげた。

 洞窟を青く照らす、弱々しい大人魚。
 その姿を捉えたゼットの顔には、ありありと落胆が覗いていた。
「何だよドラゴンじゃねえのかよ……がっかりだぜ……」
 群竜大陸を隠すための柱ならばあるいは――という期待が空振りに終わり、竜殺しは左右に首を振る。無駄足を踏んだ気分だ。
「まぁ良い。とっとと片付けるとしよう、オベリスクともどもな」
 一歩、二歩、踏み出して走りだすゼット。終わりの近づいたオブリビオンにトドメを刺すべく、近距離まで詰めようと駆ける。
 迫る音を聞き取った女王は、瀕死の体を揺り起こした。
「死にたくないモン……! たべる……とかす……!!」
 女王の思念に感応した岩が、寝床の貝殻が人骨が、かすかに震えて水流への変異を始める。ひとたびそれを許せば、ゼットは強酸のごとき波に呑まれかねなかった。
 だが、女王の生み出す水流はこれまで何度も披露されている。
 であれば、ゼットもそれに対応することは容易かった。
「溶解液に変えられては厄介だ。仏さんには悪いが、先に破壊させてもらうぜ」
 走りながら、ゼットが鎖を振り上げる。鎖の先端にひっついているのは鉄球に変えた『竜を殺す百の刃』だ。
 ぐるぐると、軽々と、超重量の鉄球が投げ縄のように振り回される。掠めるだけで岩を砕き、被さるだけで女王の寝床は粉微塵に潰された。
「わ、私のベッド……!!」
「安心しろ。もう寝る必要はねえ」
 言下、ゼットの振った鉄球が弧を描いて戻り、狼狽していた女王の後頭部に命中した。女王の視界に光が散り、その巨体がズゥンと前のめりに倒れこむ。
 手に巨大な剣を握りこみ、ゼットは跳んだ。
「じゃあな」
 バスターブレイドの重量を怪力で叩きおろし、女王の体を頭から両断する。地面すら切り裂く超重の一撃は、女王を苦しめる間もなく絶命させていた。
 万事解決――と思いかけたゼットが、バスターブレイドを離し、鉄球形態の『竜を殺す百の刃』を再び振り上げる。
「おっと危ねえ。柱も壊しておかなきゃな」
 振るわれ、飛んでいった鉄球が、天まで届かんとするクラウドオベリスクを粉々に破壊した。

 神殿は、静かになった。
 それ以来、海で命を落とす者は、近隣の村にはいなくなったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月28日


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#アックス&ウィザーズ
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#群竜大陸
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#クラウドオベリスク


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は死之宮・謡です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニキ・エレコールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト