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忌まわしき知識の簒奪者

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●迷宮に溢れ出るモノ
 地下迷宮「アルダワ」…一際広い迷宮主の間の床をどこからとなく黒い粘液が溢れ満たしてゆく。そして、床全面を満たしたそれから生えるように二本の腕が起立する。まるで粘液の下に身体が存在したかのようにそれは身を起こし、身体の調子を確かめるように動かすと自身が生まれてきた粘液から自身に似た何かを生み出してゆく。

●魔法学園への救援
 グリモアベースに訪れたあなた達を茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が居住まいを正しながら出迎える。
「皆さん、来てくださってありがとう。いきなりになりますがこれから赴いてもらいたいのは、アルダワ魔法学園となります。彼の地で地下迷宮の災魔が活性化しているのはご存知かと思いますが、今回はそれにより魔法学園の生徒さんの命に危機が迫っています」

「事態が急を要していますので、申し訳ありませんが手短に説明をさせていただきますね。今回の依頼の元凶は迷宮に発生した災魔です。以前と同じく詳細は確認出来ておりませんので、追加の情報は分かり次第お伝えします」

 そう言い切る時間が惜しいかのように彼女は慌ただしく迷宮の地図をあなた達へと見せる。提示された迷宮は、幾つかの大きな区画に分かれそれが通路によって繋がれるという、巨大なフロア構造の迷宮だった。その迷宮の三か所に丸を付け、【学生避難区域】【災魔侵攻区域】【迷宮主の間】と追記し、【学生避難区域】と【災魔侵攻区域】を繋ぐ部分を含んだへ【災魔侵攻区域】に繋がる4本すべての通路へと封鎖中と書き込んでいく。
「奥にある迷宮主の間からあふれ出したと思われる災魔が、迷宮に潜っていた魔法学園の生徒に襲い掛かるという事件が起きてしまいます。幸いながら死者は予知では見えていませんが重傷と軽傷の生徒が複数名、【学生避難区域】に取り残されることとなります。生徒さんが無理に戦わなかったことと教師陣による迷宮の封鎖が処置がうまくいくおかげなのですが、皆さんの救助が間に合わなければ封鎖が突破され彼らが命を落とすこととなります」

 そこで一息つき、猟兵達の瞳を見て七曜が願いを伝える。
「なので、皆さんにお願いしたいことは生徒さんの救助となります。腕力や体力に自信があれば負傷した生徒さんを運んだり、怪我で弱気になっている生徒さんを励ましてもらったり。足の速さや器用さに自信があれば負傷した生徒さんを捜索したり、生徒さんを安全に運べる道を確認してもらったり。知識や経験に自信のある方でしたら生徒さんの現在地を予測したり、治療の準備をしたりして取り残された彼らを助けて欲しいのです」

「それと、迷宮の封鎖が現状のもので心配だということがあれば封鎖の強化をしていただいても構いませんがあくまで救助が目的なのでそのことを忘れないようにお願いします」
 災魔が入り込まないという安心感は生徒達をある程度落ち着けることは出来るだろうが迷宮の外に連れ出さない限りは安全と言えない。そして、通路に罠を張って備えるのことは今回はやめて欲しいと伝える。【学生避難区域】【災魔侵攻区域】の間の通路には災魔がひしめいていると思われ少々の罠では止められないと状況が予測されるため、生徒の救助後の攻勢は【災魔侵攻区域】に繋がる別の通路を使い侵入を行い強襲をかける形で行うつもりなのだという。

●猟兵は迷宮に向かう
 状況を説明し終わり七曜が急ぎつつもはっきりと言葉を繋ぎ、頭を下げる。
「現場に向かえば教師陣による、ある程度の補佐も受けられるとは思います。緊急の案件で申し訳ありませんが魔法学園の生徒さんをよろしくお願いします」


カタリツヅル
 この度よりマスターとして参加させて頂いております、カタリツヅルと申します。初めてお会いする方も、再びご覧になって頂けた方もよろしくお願い致します。ご縁ありましたら、皆さんの活躍を描かせていただければと思っております。

 舞台はアルダワ魔法学園となります。地下迷宮に取り残された学園の学生を救い、災魔…オブリビオンの群れを排除し、異変の元凶を倒していただくことが趣旨となります。

 最初の学生救出に関しましては、重篤な生徒は重傷者一名に、それに寄り添う混乱した軽傷者一名となっております。その他にも負傷した学生はおりますが転校生…猟兵が救助に来たと知り、ある程度の補佐があれば自力で戻れる冷静さは取り戻すことでしょう。それでは、アルダワ魔法学園の平穏の為にもよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『災魔から魔法学園の生徒を救え!』

POW   :    負傷した生徒を運んだり、元気付けたりする。

SPD   :    負傷した生徒を探したり、救助経路を探したりする。

WIZ   :    負傷した生徒の居場所を予測したり、治療の準備をしたりする。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

琴葉音・ラース
大変なことになってるっすね!よーし猟兵ラッパーラースの出番っすよ!負傷した生徒を治療するっす!自分の歌を響かせて、元気になるようにするっすよ!

「生徒さん恐れる必要皆無、自分ら猟兵が戦場へダイブ!よく聞いて傷を癒すこのライム。元気付けるよ開くゲリラライブ!」

ユーベルコード【シンフォニック・キュア】を発動させながら、熱唱するっす!
傷が治ってもそのまま歌い続けて、生徒さんたちの士気を高めるっす!


鈴鳴・藜
▼SPD重視
数は多い方に越したことはねぇし。ほら『狼影』、出番だぜ。
移動範囲は限られているが、俺が見落とした場所を見つけてくれるかもしれねぇしな。
救助する生徒や何か見つけたら俺に知らせるよう言っておこう。
『第六感』が上手く働いてくれたらいいんだがね。

自分一人で助けられそうなら良いが、もし手伝いがいるようなら周りの猟兵たちに手伝ってもらえるか呼んでみるか。
もちろんその逆も然り。少しは力もあるからな、何かあれば遠慮なく言ってくれ。


ルフトフェール・ルミナ
地下迷宮に災魔がいるのは周知だろうけど、災難だね。
迷宮に挑んだ学生さんにとって、ここは本来そんなに危険ではなかったんだろうなあ。きっと迷宮主のせいだよ。
けど、ドンパチやる前に、残された子を助けないとね。
そうそう、応急処置用の道具を借りてもいい?

皆安全な方へ逃げようとするはずだけど、怪我が重い子は、そう遠くへ逃げられないんじゃないかな……。
災魔侵攻区域に近い辺りの、通路の曲がり角とか、袋小路とか、遠くから一目では見通せない物陰に隠れてそうな気がするんで、そんな場所を探してみたいと思う。
4つの通路のどこから探すかな……そこは運を天に任せて。
見つけたら、応急手当後、安全地帯へ撤退。あ、僕が殿ね。


ユノ・フィリーゼ
…一刻の猶予も、許されないね
忍び寄る災いの手から尊き命を守るために
全力を尽くそうか

少しでも早く生徒達を見つけられるよう、
ライオンライドを使用し迷宮内を駆けるよ
移動時は耳を澄まし辺りをよく見回しながら、人の声や足音がしないか確認を
第六感がうまく働いてくれたら、御の字ね

無事に生徒を見つけることが出来たら、ライオンライドは一旦解除
あまり驚かせたり怖がらせたりはしたくない
きっと身も心も疲弊しているだろうから
安心して。君達を助けにきたんだよ
そっと微笑み、声をかけて
話が出来る状態であれば迷宮から離れるように指示を
怪我をしていて動けない時等は、
他の猟兵が辿り着くまで護衛を兼ねて元気づける様に努めよう


レイチェル・ケイトリン
スカイステッパーにわたしが得意な念動力技能をくみあわせて迷宮をかけまわるよ。

たかくとんでけがしてる生徒さんたちをさがしてあげます。

もちろんそとへのいきかたもね。

みつけたことはほかの猟兵さんにもこまめにおしえてあげるね。

捜索するって救助する猟兵全体の「目」になるやくめなんだもの、がんばるよ。


ルチル・ガーフィールド
「こちらの方は、搬送しても大丈夫ですか?」「立てますか? ゆっくりでいいですから~」「大丈夫ですよ~もたれかかっても…支えますから、一緒にここを出ましょう~」地図をもとに(学習力)SPD行動の方の指示のもと、搬送可能な生徒さんを(怪力・救助活動)背負い、迷宮の外まで搬送する。途中くりかえし「大丈夫ですよ・・・後ろはお味方の方がガッチリ守ってくださいますから、ほらもうすこしで出口です~」と穏やかな口調で励まし進む(優しさ)、途中自分からは、恐怖心をあおらないように敵については聞かない、が、学生がしゃべることには優しく対応し得られたことがあれば、できるかぎり指示者に情報を上げる。



●救出作戦開始
 迷宮の前に集まった猟兵達が生徒を助けるために相談を重ねてゆく。迷宮での連絡手段や救助道具など、必要なものを魔法学園の教師から借用し、得意分野や出来る事を重ねて災魔による被害をなくすべく未来を願ってゆく。

●仲間の為に
 奇抜な意匠でありながら肩にかかる純白の髪が映える近未来的な衣装を纏った琴葉音・ラース(激情爆音ラッパー・f10509)が軽快に言葉を紡ぎながら、救助の相談をする猟兵の輪から最初に抜ける。
「大変なことになってるっすね!自分の歌を響かせて、元気になるようにするっすよ!」
 そんな彼女を追いかけるように精巧に作られた美しい少女の人形であるレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が、その指に嵌めた幾つもの指輪を煌かせながらなすべきことを行うと、残る猟兵達へと伝え後に続く。
「わたしも、さきにはいってみつけたことをみんなにつたえようとおもう」
 仲間に先んじて自分のやれることをと、混乱と恐怖の抑えるため二人は連れ立って迷宮へと向かう。

 迷宮の入口付近で愛用のスピーカーとメガホンの準備をし、不安が拭われる最高の瞬間を届けると気合を入れたラースが、よーし準備完了っす!と声を響かせ始める。
「生徒さん恐れる必要皆無、自分ら猟兵が戦場へダイブ!よく聞いて傷を癒すこのライム。元気付けるよ開くゲリラライブ!」
 始まるのは魔法学園でも広く知られる猟兵の到着を知らせる軽快なラップ。根源を揺らし世界に響くその声は迷宮へと溶けることなく壁さえも通り抜けどこまでも広がり響いてゆく。その声に背中を押されるように、迷宮の床だけではなく壁や空気をも足場にし、レイチェルが負傷した生徒を探しに迷宮へと駆け出す。
「みんなの「目」になるやくめなんだもの、がんばるよ」
 天井付近を視野を広く保ったまま移動するレイチェルは、多岐にわたる入口への経路を覚えつつどうすれば安全に帰れるかをしっかりと把握してゆく。

●迷宮に挑む
 紫の瞳で迷宮を見据え、流水模様が白花色を飾る羽織を整えた鈴鳴・藜(宵暁・f00576)が、己の影に向けて声を掛ける。
「数は多い方に越したことはねぇし…ほら『狼影』、出番だぜ」
親しみを感じさせる声に応えるように影が内側から盛り上がり、身の丈に迫るような巨大な狼が現れ短く吠える。その隣では蒼穹の深い色合いに幾多の花を舞わせた羽衣を揺らしユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が心配そうに呟く。
「…一刻の猶予も、許されないね。全力を尽くそうか」
 その言葉に隣に寄り添うように現れたのは先に呼ばれた巨狼と対をなすような黄金の獅子。準備の整った仲間に紺色地へ瞬きを秘め、星海を思わせる手袋で救急道具を支えたルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)が提案をする。
「怪我が重い子は、そう遠くへ逃げられない気がするんだよ……。そこから探さないかい?」
 地下迷宮の現状から負傷した生徒の位置を予測したルフトフェールの言葉に、二人からの同意の声が返り探索の指針を決めた三人は歌が響き始めた迷宮へと足を進める。

●祈る
 迷宮から聞こえる歌を聴きながら仲間を見送ったルチル・ガーフィールド(魔法仕掛けの家政婦さん・f03867)が、黒基調の清潔な給仕服を整えながら学生たちの安否を憂う。
「待つもの必要とはいえ~もどかしいですね~」
負傷の重い生徒を運ぶことを請け負ったルチルは、その時の為に安易には動けない。仲間を信じ連絡を待ちながら迷宮の地図と仲間からの報告を頭に叩き込んでゆく。

●迷宮を駆ける
「二手に別れた方がよさそうね。君はどっちについてゆく?」
 迷宮の通路の広さを見たユノがそうルフトフェールに聞くと彼は同世代の女性との相乗りを遠慮して藜へと声を掛ける。
「藜さん、お願いしてもいいかい?」
「しかたねぇな、相棒も悪いが頼むぜ」
巨狼を軽くなで、ルフトフェールへ了承を伝えると、災魔侵攻区域との境目…封鎖された通路での再会を確認し二組が迷宮へと駆け出す。

 そして、ラースが響かせる声がまず生徒たちへと届く。それは正しく希望。突然の災難に自失した彼らの心を温かく揺らし、傷を癒し、目的地を伝える確かな道標。そう、ラースのいる入口は生徒にとっての目指すべき出口。元気になったっすか!?生徒さんが全員出てくるまで歌い続けるっすよ!合間に響く安否を問い、励ますその声に彼らは徐々に力を取り戻してゆく。

●焦燥と共に
 迷宮の暗がりを黄金の獅子に跨るユノが駆けてゆく。その中でも暗がりに目を凝らし、足音に耳を澄まし、見つけた学生へは声を掛けつつ進んでゆく。学生達は今も聞こえ続ける歌が効いているのか負傷があれども動けるようで、ユノ指示に頷き足を速め出口へと向かって行った。
 一方、別の暗がりを影色の巨狼に跨った藜と彼に掴まるルフトフェールも封鎖された通路を目指し駆け進む。そして、封鎖された通路に近づくほどに学生達の数が減っていき、藜の直感に働きかける嫌な重さが立ち込め緊張感が増してゆく。そんな変化を感じ取りルフトフェールも手に持った救急道具を確かめ意識を集中してゆく。

 封鎖された通路の前、災魔によるものか鈍い衝突音と軋む音が微かに響く不穏なその場所。直感が働きかける緊張感は増しつつ、しかし魔法学園の学生を見つけられなかった藜へ合流した似たような感覚を感じているユノが黄金の獅子を撫でつつ提案をする。
「あまり驚かせたり怖がらせたりはしたくないから、この子達は一旦還したほうがよさそう」
 身も心も疲弊しているだろうと、学生を心配するその言葉に、そうかもしれねぇなと返した藜が巨狼を影に返しつつ礼を言う。
「助かったぜ、相棒。少しの間、休んでおいてくれ」
 そんな二人のやり取りを聞きつつ、ルフトフェールが手元の地図から学生の位置を予測し、こっちから探したいんだがいいかい?と先導しつつ通路に向かう。

●少年と少女
 そこは封鎖された道から入口へと向かいつつ横幅の狭い災魔が少しでも入らないであろう通路。彼らは駆けるように進み、数分足らずで擦れるような音が微かに響いてくる。足を速め辿り着いたそこには意識をなくしているであろう少年と僅かにでも入口へ向かおうとしているのか腕の傷から血を流しつつ、ただ少年を引き摺る少女がいた。

●命の為に
 その様子を見た三人が弾かれたように行動を始める。ユノは迷わず少女の元へと駆け寄り身を引くくし、目線を合わせ身体を割り込ませるように声を掛ける。
「君、安心して。助けに来たよ」
 だが、それでも呆然と引き摺るのをやめない少女の両腕ごと抑えるように抱きしめる。その温かさに初めて周囲に気が付いたように周りを見た少女はその眼に驚き、困惑、安堵…様々な感情を覗かせ疲労に負けたのか眠るように気を失った。一方、少年へと駆け寄っていたのは応急処置の用意をしていたルフトフェール。鎧についた傷や服に覆われた部分に滲み広がっている出血から外傷の場所を確認し邪魔な鎧は外し服を裂き止血をし、骨折と思われる不自然に腫れた場所には添え木を当てて固定してゆく。
「君も災難だね。だけど、不幸はここで終わりだよ。安心して僕達に任せておくといい」
 頭部などに打撲の跡がないことを確認し、聞こえておらずとも安心させるように彼は請け負った。そして、負傷者を駆け寄った二人に任せた藜は重傷であろう少年を運ぶために待機をしているルチル達へと連絡を取る。
「気を失ってる学生が二人いる。一人は怪我はしているが、俺たちを見て気が抜けただけだろうから問題はなさそうだ。もう一人は応急処置はしてるが意識を失ったままだから、悪ぃがはやく来てくれ」
 その声は現在地やこれまでの移動経路をソツなくを伝えながらも焦燥をはらんでいた。

●命を届ける
 藜からの連絡は学生を外へ導くための経路を幾本も確保し、遭遇した学生達へと教えていたレイチェルにも、学生たちの為に絶やすことなく言葉を刻み続けていたラースにも、万全の態勢で待っていたルチルへとも等しく届いた。ラースの、よろしくお願いするっす!という声援を受けルチルは迷うことなく駆けだし、移動時間を短縮するために風の魔力を呼び起こす。
「風の息吹よ、疾風を紡ぎて道と為せ…突風よ我が身を運べ!!」
 疾風を足に纏い、突風に背中を押され加速したルチルを導くのはレイチェル。ともすれば迷宮の壁にぶつかりかねない勢いで走る彼女へと念動力に支えられた鎖が道を示す。本来は広域の情報収集で使用するそれを一人の為に操り、長く伸ばしたそれがルチルが走るべき道標として迷宮を先導する。

 鎖に導かれたルチルは、もうすぐ…というレイチェルの声に纏っていた風の魔力を四散させ、程なく応急処置のされた学生の待つ場所にたどり着く。
「こちらの方は、搬送しても大丈夫ですか?」
 その言葉にルフトフェールが頷き、学生に意識がないのを改めて確認し、風の魔力を纏う。先ほどが疾風ならば今回は学生を柔らかく支える風膜。その様子をみ、ユノは止血を行った後も自身の腕で寝ている少女との脱出を請け負い、ルフトフェールが念のために封鎖された通路の見張りと殿を買って出る。藜は改めて呼び出した狼影に跨りもう一度見回りを行うと身を翻した。

 再び鎖に従い走るルチルは背負った学生へと優しく穏やかに声を掛け続ける。
「大丈夫ですよ~…一緒にここを出ましょう~。えぇ、後ろは皆さんがガッチリ守ってくださいますから~」
 それは無駄だろうか?意識がないならば相手には聞こえていない。否だろう、聞こえずとも少年の呼吸は落ち着ついてゆく。意識には伝わらずとも身体に伝わる。そうして駆けるルチルを支え続けるレイチェルが鎖を操りつつ先導したまま声を掛ける。
「いまは、あなたの「目」と「手」をしてあげる。がんばって」
 走りやすい道を的確に選び鎖で石を吹き飛ばし、通路の裂け目を鎖で覆う彼女はその役目を十全に果たし迷宮は踏破されてゆく。

●救出作戦完了
 レイチェルにより驚くほど短い時間で出口まで辿り着いたルチルが重傷の生徒を教師に引渡し、しばらくして意識を取り戻した少女とユノが連れ立って迷宮から出てきたことにより探索していた学生はすべて無事に脱出した。そう教師から連絡を受けたラースが迷宮に残った仲間へと歌に乗せてそれを伝える。その声にルフトフェールが助けられたことに安心したように息を吐き、実際に迷宮に誰もいないことを確認した藜が狼影と共に彼に合流し猟兵達もすべて迷宮からの脱出を果たした。事件を起こした元凶はまだそこに留まっているが猟兵達は救出をこれ以上なく完璧にやり遂げ次へと繋いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ドッペルゲンガー』

POW   :    心の模倣
【対象の目を見ることで思考を読み取り 】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    体の模倣
戦闘中に食べた【対象の血肉 】の量と質に応じて【捕食した対象の姿を模倣し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    技の模倣
対象のユーベルコードに対し【対象の動きを模倣し同じユーベルコード 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●迷宮入口
 避難を完了し学生達からの情報を纏めた教師が苦い顔をしながら猟兵達の元へと訪れる。地下迷宮で発生した学生を襲った災魔はドッペルゲンガー。知識を力とするこの世界では忌まれる下級悪魔。主な行動は頭部の巨大な単眼で視線を合わせた相手の思考を読み取る精神の模倣。戦いで流れ出た相手の血や肉を摂取することにより自身の身体を変質させる身体の模倣。自身に攻撃すようとする相手の行動を模倣する技術の模倣。多くはその場限りの模倣で戦いながら急激に強くなるということはないが経験を重ね上位種にも進化する危険な存在だという。今回は学生が襲われているためもしかするとその姿を模倣したままの個体がいる可能性もありますが該当区画に学生は絶対にいませんので安心してください、と教師は続けた。それと、ドッペルゲンガーの使う武器や纏う衣装はドッペルゲンガーそのものですから模倣が甘いと違和感があるはずです、とも続け後は申し訳ありませんがよろしくお願いしますと席を辞した。
レイチェル・ケイトリン
ほかの猟兵さんたちのうしろにしずかにたって、念動力と吹き飛ばしの技能でサイコキネシスをつかって「見えないサイキックエナジー」をはなってたたかうね。

おもな攻撃目標はほかの猟兵さんにおそいかかる敵。

わたしの攻撃を敵は「事前に見ていることができない」。

ほかの猟兵さんにおそいかかってるならわたしの目も「見ていられない」。

だからどんどんふっとばしていくね。

もちろん、わたしへの攻撃もふっとばしてふせぐよ。

敵の変身ってへんなとこがあるみたいですからよくみて気をつけてたたかうね。


琴葉音・ラース
よっしゃあ!自分らの出番っすね!支援役をなめるなっす!
サウンド・オブ・パワーで味方を支援するっす!

「気持ち悪い黒色うねうね。討伐するのは我らが猟兵。行う行動攻防完璧。叩きのめされて病院で点滴。打たれる覚悟あるよね?それが自分ら猟兵オブリビオンの天敵」

軽快なリズムのラップに乗せて、攻撃力を増加させるっす!
あ、自分を狙ってきたら、今は会費に集中するっす。雑魚相手に喉を潰したら、大物相手にできないっすから!


ルフトフェール・ルミナ
生徒の子達、ドッペルゲンガーに真似されたんだ……。
これ、猟兵とはいえ、対策を立てないと怪我するなぁ。
迷宮から一掃しないと駄目だよね。殖えたりしたらやだし。
さて、どうしよう……。

【WIZで!】
僕は、ウィザード・ミサイルで攻めようと思う。
けど、ただ放つだけでは見切られる。通用するかはわからないけど、最初は敢えて大量の炎の矢を無造作に放ち、全てを命中させないでおくんだ。
そういう技だと思わせておいて、最後は相手の模倣術が完成する前に、【高速詠唱】で先んじて、全弾一点集中で決着をつけようと思う。
それと、懐に入られ近接戦闘に持ち込まれた時、又はピンチの時は【カウンター】を仕掛けるね。ただでは済まさないよ。


ナノ・クロムウェル
さて、少々出遅れましたが私も向かうとしましょう
相手はドッペルゲンガー…あらゆる模倣を得意としている災魔…やっかいです。
とは言え私に出来ることは力の限り戦うだけです。
手に持った「翠炎剣」と背中に背負った箱型の「ガジェット」をうまく利用して戦いましょう
今回の「ガジェット」はブースター…私の翠炎を燃料に加速を行います
敵が私の身体能力を模倣しようとも…武器や道具の差で越えてみせます
それでも私の力が及ばないならば「先導者たる翠の歯車」を発動します
私の翠炎とガジェットを喰らった巨大な鎌です
模倣される前に薙ぎ払ってしまいましょう

私を真似ても駄目なんですよ…
ナノは本来弱いんだもん(感情が表に出て口調変化)


ユノ・フィリーゼ
模倣は所詮模倣
真似て似せただけの紛い物にすぎない
――本物には、勝てない
それを証明して見せよう

敵は一つ目
恐らく、視野はそう広くないはず
一度に視線を合わせられる人数も限られているだろうから、
そこを逆手に取れないかな

地形を利用したり自分の第六感を信じつつ、
可能な限り敵の目を狙って攻撃を仕掛けてみるよ
基本は単騎狙い、仲間と協力しての行動を心がけて

仲間の攻撃を回避しようとする個体がいれば、
蒼薇の抱擁を使用し強引に視線を此方にそらす

…余所見はしないで?貴方の相手は、私

その大きな眼をどれだけ開いても、
見えないモノを真似することは出来ないでしょう?
可能だというのなら力を以て証明してみせて
私は何処にもいかないわ


糸原・キセ
同行】雅久f09544

学生達は無事と聞き
良かった
先の猟兵達が良い仕事をしてくれたようだ
来るのが遅れた分僕達も気張ろう

薙刀を手に進む
学生姿でも容赦不要

まずは敵の動きを探ろう
成程
目を見て微笑み
存分に思考を読め
その単眼を独占してやる有難く思え
攻撃と回避だけを考え動き
だが僕の攻撃を回避しても
そこには雅久

今度は雅久を見るのか?…それは僕のだ
此処だっ(回避先を強襲

絶望の福音すら同様に囮に
猿真似も甚だしい
この技が予測できるのも単体だ
僕達は2人で1つ
君には対応できないだろ?

怪我しないを心掛け
攻撃は確実に回避
無理に攻めず
二人で翻弄し力尽きるまで削り続ける

もし雅久の姿を模倣しよう物なら…
巫山戯るな!へたくそっ(怒


菅生・雅久
学生が居ないのは有り難い
即、敵と認識できる
ここまで戦ってくれた方々に感謝を

同行
キセf10149

互いの死角を補い別方向へ注意しながら共に進む
ペア行動の利点
戦いでも生かさせて貰う

複数は1体ずつ引離し能力も見る
既に模した力は?

キセが瞳を見せるなら俺は伏せ
敵の首から下と伸びた影で動きを補足しよう

心の模倣
キセは日々の鍛錬相手だ…動きは判る

こう避けられたら、こう入れる
なら…キセを読み避ける先は…ここだっ!

先回りし剣を打込む
外しても二人分の先を重ねてまで動けないだろうし動かさせない

負傷を避け確実に追い1打入れ離れ
体を削り目を貫く
「上位進化される前に叩くぞ、離れるなよ

おい…キセも俺も、もっと生気に溢れてるぞ!



●封鎖区画
 学生が一人もいなくなり静けさを湛えた迷宮の一角、災魔侵攻区画に通じる封鎖された通路の前で猟兵達が作戦の確認を行う。ドッペルゲンガーの特徴と集まった仲間の状況を確認し、取り逃がさないために各個撃破ではなく集団のままの殲滅を指針と定め、封鎖が解かれるまでの時間を調整へと充てた猟兵達は各々に準備をしてゆく。

●突入準備
 扉に近寄り、内蔵された集音機で向こう側を伺っていたナノ・クロムウェル(翠炎のメタルサバイバー・f02631)は異常をないことを確認し、背負った推進器の調子を確かめつつ肩を並べる仲間へと声を掛ける。
「あらゆる模倣を得意としている災魔…やっかいです」
「でも、真似て似せただけの紛い物にすぎないわ」
 整えられた青い髪に蒼穹を思わせる薔薇を挿したユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が簡単に真似できる想いなんてないでしょう?と、心を落とした碧空を思い出しその為に進めた歩みを胸にそう返す。

 その近くで新調した奇抜なロングコートを身に纏った、琴葉音・ラース(激情爆音ラッパー・f10509)が、自身の喉の調子を調律しながら熱意を暖めるように言葉を紡ぐ。
「生徒さんの仇…じゃないっすけど、ぶっ飛ばしてやるっすよ!」
「救助をしてくれた人かい?遅れた分、僕達も気張らせてもらうよ」
「俺からも感謝を。学生が居ないと分かるのは有り難い」
 それに言葉を返したのは藍色の瞳に感謝を湛えた中性的な容姿の糸原・キセ(祈りの戦巫女・f10149)と、琥珀色の髪を揺らしながら誠実そうな顔を引き締めている菅生・雅久(人間のブレイズキャリバー・f09544)だ。救助された学生達の無事を喜ぶ二人は魔法学園の教師から聞いたドッペルゲンガーの特徴を確認しあいながら武器の準備をし、背中を、日々を預ける相棒の姿を視界に収め、災魔達への戦意を高めてゆく。

 一方、後衛を担うもの達もまた方針を固めてゆく。自身の額に不思議な光沢をもつ薄手のそれをぺたっと、張り付けながらルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)が警戒を込めて語りかける。
「迷宮から一掃しないと駄目だよね。殖えたりしたらやだし」
「うん。ぜんぶ、ふっとばしてたおしていく」
 銀髪を揺らしながら、瞳の機能を補佐するナノマシンを調整しつつレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が、ドッペルゲンガーへの攻撃方法と立ち位置を再確認しながら答える。

●会敵
 通路が解放された時、先行したのは翠炎の少女と蒼穹への舞姫。彼女らを追うように言刻の電子精霊が続き、その左右を薙刀を携えた戦巫女と獄炎の剣士が並走する。最後尾には詠われた英雄の末と心を持つ少女人形が駆ける。目指す場所は学生を救った区画との境目。封鎖された場所にまだいるであろう模倣の魔物達を強襲するべく迅速に駆け抜ける。
 しばしの後、たどり着いた猟兵達が見たのは数十ではなくお互いを奪い合ったのか、十数まで減り威圧を増した模倣の魔物達。そして、一番奥には救助に携わった猟兵達には、見覚えのある学生達の姿をした災魔達の後ろ姿があった。だが怯むものはなく、憤りさえ力とするように猟兵達が模倣の魔物達の不意を突き後背へと攻撃を仕掛ける。


●碧空星海
 ドッペルゲンガーを視野に収めたユノが呼気を鋭くし、履いたその靴で空気を捕らえ縮約し弾かれるように飛び出す。複数を狙う愚は犯さず、標的にするのは一番近い災魔。滑らかに羽衣をなびかせ、音もなく優雅にステップ踏むように翔ける。彼女を目で追うのはルフトフェール。仲間が予測した見なければ反応できないという考えに合わせ、得意とする魔術を行使する。生み出されたのは炎の矢。否、細く絞り込まれ極限まで内部に熱を秘めた赫き針を従え時を待つ。
 災魔に反応させる間を与えず、風のように近寄ったユノの足が描くのは単眼を吹き飛ばす繊月。その時になってようやく反撃に移ろうとした周囲の災魔にはルフトフェールの赫針が突き立ち爆ぜ燃える。
「――本物には、勝てない。それを証明してあげる」
「生徒の子達は助けられた…けど、ただでは済まさないよ」
 崩れゆく魔物を尻目にそれぞれの想いを言葉に零し、二人は油断なく敵へと攻撃を重ねてゆく。

●顕心翠炎
 蒼穹への舞姫が地を翔けたと同時にナノが背負った推進器に翠炎が灯る。魔導蒸気機械は彼女の熱を動力に高らかに音を奏でる。生み出されるのは速度。ドッペルゲンガーとの距離を瞬く間に消し去りナノが突進する。彼女を援護するのはレイチェル。心から紡がれる不可視の力は見ることのできない弾丸となり放たれる。それは、突進に反応しその身を変化させ防御行動をとろうとした災魔達の手足に突き刺さり動きをとどめる。
 そこへ、ナノが振るった巨剣の残す翠の軌跡が走り一体を断ち割り、その様子に動きを止めた別の災魔の単眼をレイチェルの不可視の追撃が吹き飛ばす。
「援護に感謝を。受けきれない力で押すのは有効そうです」
「きにしないで。見ることができない攻撃には対応が鈍いみたいだし」
 そう確認しあうと二人は確かな手ごたえとともに数を減らした敵へと意識を集中する。

●激情
 戦闘を始めた仲間へと響かせるようにラースが歌を刻みだす。
「気持ち悪い黒色うねうね。討伐するのは我らが猟兵。行う行動攻防完璧。叩きのめされて病院で点滴。打たれる覚悟あるよね?それが自分ら猟兵オブリビオンの天敵」
 その響きは仲間の背を押し、精神を賦活して心を、体を、魔力をより猛らせてゆく。

●刃心同一
 歌われだした歌を背に、状況を理解し動き出したドッペルゲンガーの単眼を見据え微笑みながらキセが迫る。脳裏に描かれているのは自身が得手とする薙刀。遠心力と梃子の原理を用いて刀刃を、石突を縦横にふるう攻防一体の斬撃。だが、その瞳から思考を読んだ災魔は的確に斬撃を躱し…その単眼を銀閃に貫かれる。貫いたのは雅久。一歩間違えばキセの振るう薙刀の軌跡に巻き込まれる状況で身を低くし躱し、寄り添うように滑り込み、当然のように必殺の威力を秘めたキセの振るう斬撃の嵐の中でも共に在る。予め相談していたわけではない、相談していれば災魔はそれを察せる故に結論は一つ。
「僕達は二人で一つ。君達には対応できないだろ?」
「上位に進化される前に叩かせてもらう。キセ、離れるなよ」
 決して真似できない絆を繋ぎ、二人の交わり重なる双撃が災魔を削り取ってゆく。

●優勢
 絆をもって振るわれる二振りが、翠炎煌めかせる炎跡が、空を蹴り舞い踊る蒼薔薇が、紡がれ刻まれる歌に後押しされ模倣の魔物達を押し留め、不可視の弾丸が着弾とともに弾ける音と赫針が残す灼けた空気が後ろにある災魔達を自由に動かさせない。見えない攻撃は災魔達の選択を絞り、見える攻撃とて真似されようとも猟兵達の工夫により災魔達を上回ってゆく。

●心で刻む
 会敵から絶えることなく言葉を刻んできたラースが己の真似をしつつ全く効果を上げていないドッペルゲンガーに向けて口を開く。そう、仲間を支援するラースの歌を災魔は真似し打ち消そうとしてはいた。その滑稽な姿に対し辛辣な言葉が浴びせられる。
「真似が駄目なんて言わないっすけど、心がこもんなきゃ意味なんてねーんすよ!この猿真似野郎!」
 そう、魔物は知らないだろうがラップで勝負するなら踏むべき手順がある。激しく罵倒されたのなら自身の言葉で罵り返さなければ意味がない。ディスれんならディスってみろっす!と支援することに誇りをもって歌い上げる意思と技術に災魔は無駄に時間を失い転機が訪れる。

●策炎蒼薔薇
 ドッペルゲンガー達が追い込まれ、時期が来たと判断したルフトフェールは仲間に声をかけ、その身の回りに100に届かんばかりの炎の矢を生み出す。だがそれは、災魔達の望んでいた見て真似ることのできる技術。目の前の攻防の手すら止め、炎の矢を真似て、ルフトフェールと期を同じくして数百もの炎の矢を撃ち返す。数の暴力という言葉を体現するように炎の瀑布はルフトフェールの炎の矢を飲み込み…誰にもあたることなく迷宮の壁を焼いた。
「見切られるとわかっていて正直に撃つわけないんだよ」
「…余所見はしないで?貴方達の相手は、私」
 行動を読まれ致命的な隙を晒す災魔達に声をかけるのはユノ。激しい近接戦闘の名残を感じさせないようにくるりと舞い広がる羽衣は華のよう。いや、それは正しく棘を持つ蒼薔薇。ユノを起点に伸びた蔓が魔物達を捕らえて抱きしめていく、それは見えずとも災魔の体を軋ませ締め上げてゆき、冷たい眼差しで最期にかけられるのは別離の言葉、その大きな眼をどれだけ開いても決して見えはしないわ…と。

●心刃翠鎌
 その状況にまず動いたのは、牽制をする必要のなくなったレイチェル。ドッペルゲンガー達の動きを遮り、仲間や自身に向けられた攻撃を相殺するため、絶えず放っていた不可視の弾丸を収め創り出すのは刃。薄さと鋭さを持った切り開く意思を籠めた心刃を、仲間を巻き込まない射線をその青い瞳で見定め射出する。その刃は断頭台のギロチンの如く動けない災魔に何の抵抗も許さず単眼を首を胴体を一撃で切り離しその身を骸の海へと改めて沈める。
「ちゃんと、道は切り開いたよ。あとは、よろしく」
「はい……拘束を解かれる前に薙ぎ払います」
 その空隙に翠炎を猛らせながら飛び込んだのはナノ。翠炎剣を持つ腕に次々と歯車が呼び出され推進器から猛り続ける炎がそれに巻き込まれ姿を変えてゆく。歯車が噛合う音と蒸気が鳴らす高らか産声ともに現れたのは翠の炎刃を燃え上がらせる大鎌。言葉通りに周囲すべてを巻き込むように薙ぎ払われたそれに、逃げることのできない災魔が焼き裂かれ燃え尽きてゆく。その音に紛れ、私を真似しようとしても駄目なんですよ…ナノは本来弱いんだもん、と少女の言葉が迷宮へと溶ける。


 ドッペルゲンガー達が吹き飛ばされた空間を雅久とキセの二人が駆ける。その先には共に戦う猟兵達が救助した学生達を姿をとる二体の災魔。先の戦闘では魔力の矢をもって援護していたそれらが状況の不利を悟りその身を粘液のような本来の姿へと変化させる。そして、本来の目である単眼を雅久とキセに向けようとした刹那。災魔が単眼を向ける瞬間を予め知っていたかのように身を入れ替える。読み取った思考は別個体を攻撃するという思考。それを証明するように二人が寄り添うように近づいたそのあとには視線を向ける前の状態に戻った二人の姿。混乱に挙動の遅れた災魔の単眼にキセの振るった薙刀と雅久の突き出した直剣が破壊し最後の災魔達も泥のようにその身を溶かし消え去った。
「雅久を見るな…それは僕のだ」
「キセは日々の鍛錬相手だ…動きは判るさ」
 そう当然のように共にあり背中を合わせ任せ、災魔達を翻弄した二人は救助を行った猟兵達に学生姿の災魔を討滅させずに済んだことを安堵する。

●ドッペルゲンガー、掃討完了
 災魔がいなくなった部屋で身体の調子を確かめながらそれぞれが共に戦った仲間たちを気遣いあう。ラースはカッコよかったすよ!と歌うラップを災魔をディスるものではなく支え眺め続けた先ほどの戦いを抑揚をつけて勇ましく歌い上げ疲労を癒し。
 歌う電子精霊を背後に、ナノは翠炎剣と推進器を収めつつ、戦いのさなか零れた自身の感情を満たした言葉が聞かれていないかと僅かに心にさざ波を立てながらも共に戦った仲間へと声をかけてゆく。
 そんな翠炎の少女の心配をよそに、レイチェルは自分自身である人形に破損がないことを確認しその身にまとった安らぎとぬくもりを感じさせる暖かな心の力を振りまきつつ大きな怪我をしている仲間が居ないかと見て回る。
 歩く少女人形を眺めながら、ルフトフェールはドッペルゲンガーから生徒達の姿を開放できたことを喜びつつ優勢に進めたがなかなかに厄介だった災魔達が一掃できたことに安堵のため息をつく。
 息をつく英雄の末を横目に、ユノは終わった後に見上げる先が迷宮では天井でしかないことを僅かに残念に思いつつ気を取り直し戦闘で乱れた身だしなみを整え移動できるように準備を整える。
 憂う蒼穹への舞姫の近くでは、雅久とキセがお互いに深い怪我もなく無事に済んだことを確認しあい、もしも怪我等をして姿を真似られていたらどうなっていただろうと話の花を咲かせる。結論はお互いに間違えるわけがないとことで落ち着き、偽物を見たらいい気分じゃなかっただろうし無事に終わってよかったと戦いぶりが嘘のように穏やかに過ごす。

 そうして、しばしした後安全が確認できた魔法学園の教師が猟兵達を迎えに訪れ感謝の言葉とともに迷宮主の間の前へと案内する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『シェイプシフター』

POW   :    思考の簒奪
【自身を対象の姿へと変化させ思考を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    血肉の簒奪
戦闘中に食べた【対象の血肉】の量と質に応じて【捕食した対象の姿と戦闘経験を簒奪し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    秘技の簒奪
対象のユーベルコードを防御すると、それを【強化し体内へ取り込み】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●迷宮主の間へ続く広場
 猟兵達を案内した魔法学園の教師は討伐したドッペルゲンガーの様子から迷宮主の間にいるであろう存在に関して言及する。待ち構えているのは上位悪魔のシェイプシフター。ドッペルゲンガーの上位に位置する存在で知性と知識を宿す魔法学園において忌まれるとともに恐怖をもって語られる存在ですと。
 その力はドッペルゲンガーに比べだいぶ強化されており、ドッペルゲンガーはその体を変化させるのに血肉を必要としたがシェイプシフターは視野にとらえるだけでそれを可能とし思考を読むこともできる。ただ、血肉を得ることで思考だけでなく築き上げてきた経験すらも簒奪することができるため近接戦闘にはドッペルゲンガーと同じく注意が必要となることは変わっていない。そして、特に注意してほしいのがシェイプシフターに放った攻撃がシェイプシフターに受け止められるとその攻撃自身が簒奪され相手の力になってしまうこと。その能力が知識を力とする魔法学園で忌まれる最大の理由であり特徴なのだという。ただ、受け止めるのは体のどこでもいいというわけではなくシェイプシフターが武器として変化させ使う肉体の部分、常時は翼のようにも背中から生えた巨腕にも見える部分で防御する必要がある。
 現状、判明しているのは以上になります。シェイプシフターはすでに多くの知識を奪いそれを理解し活用する強敵ですが転校生の皆さんであれば全く未知の技術や工夫で乗り越えられるものと信じていますと魔法学園の教師は頭を下げる。
レイチェル・ケイトリン
わたしの得意な念動力技能に吹き飛ばし技能もあわせて
サイコキネシスをつかって敵をふっとばしてたたかうね。

敵からの攻撃は吹き飛ばし技能は使わずに
サイコキネシスを盾のようにしてふせぐよ。

いっしょにたたかってくれる猟兵さんへの攻撃ももちろんふせぐよ。
かばう技能もつかってふせぐからね。

敵はわたしたちの力をまねできるみたいだけど、サイコキネシスならまねされてもこまんないよ。

サイコキネシスはわたしの心の力。

ほかのひとをたすけてあげることもできる「幅広い応用性」がそのつよさ。

かたちだけまねられてもこわくないもの。


琴葉音・ラース
おっしゃあ!それじゃあそろそろ自分もエンジンかけていくっすか!
真の姿を解放。
背から大方ロボットアームを生やしつつ、それにスピーカーを乗せて最大音量で【フリースタイル激情ラップ】を食らわしたるっす!

「YO!こちとら猟兵を代表、王手かけどきオブリビオン殺し参上!盤上、ひっくり返して支配する、ここがまさに自分らの独壇場!勝つ物語、吐く言霊に、頭にこの詩が沸き立つ!まるで人情味のないまねっこさん、これじゃ三下万が一もない勝機!」

今までとは違う、聞いたものを焼き尽くす炎のラップ。
激情の由来を、特とご賞味あれっす!


ユノ・フィリーゼ
その瞳から流す涙も、誰かから奪ったもの?
そうだとしたら可哀想、ね
だって貴方はその感情の本当の意味を知らないんだから

戦局の見極めは慎重に
仲間と呼吸を合わせて行動を

狙うのは単眼への蹴撃
奪う暇すら与えない本気の速度で
翻弄し誘惑し、逆に貴方の思考を"奪って"みせる

敵の攻撃はスカイステッパーや見切りを利用し回避に努め
攻撃と回避を繰り返し好機を待つ
血肉はそう簡単に渡さない
踊りの最中にお食事なんてマナー違反、でしょう

好機があればスカイステッパーを利用し
高度からのスライディングによる急降下の一撃で
背の翼の破壊を試みてみる

…その翼とても素敵ね
でも貴方に空は似合わないわ

衝撃波と共にこの脚で
その翼、撃ち抜いてみせる



●迷宮主の間の大扉前
 誰もいない迷宮と同じく不気味な静けさを湛えた大扉を前に、魔法学園の教師から聞いた言葉をかみ砕き、簒奪の魔人との戦いの準備を終えた猟兵達が進み出る。

●初戦
 空から零れた蒼い涙のような耳飾りを揺らしながらユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が、いくつもの感情の混ざった不思議な色をした複雑な想いを溢す。
「奪ったものから、本当の意味なんて見いだせないわ」
 相容れない存在に向けたその言葉は、真摯な響きをもって迷宮の空気を震わせる。その近くで愛用のスピーカーへと新たに背中から伸びた大型の機械腕を固定し、琴葉音・ラース(激情爆音ラッパー・f10509)が前の戦いを脳裏に描き、暖まった体を高めるように声を上げる。
「おっしゃあ!それじゃあ、そろそろ自分もエンジンかけていくっすか!」
「えんごはまかせて。わたしの心の力はかたちだけまねられてもこわくないもの」
 気炎に満ちた言葉に心の力に反応し自身を守るナノマシンの調子を確認したレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が、独特な抑揚できれいな声を響かせ冷静に応じる。そうして、彼女らは頷き合うと簒奪の魔人が待つ迷宮主の間の大扉を押し開け中へと迷いなく中へと飛び込む。

●空を翔ける
 迷宮主の間で真っ先に翔けだしたのはユノ。シェイプシフターの視野に捉えられぬように全力で床を空気を天井をも蹴りつけ、空間を踊るように速度による小細工なしの奇襲を仕掛ける。放たれるのは単眼を刈り取る美しい弧を描く蹴撃。下位の災魔であれば反応が不可能なそれをシェイプシフターは背中の巨翼の鉤爪にて逸らすように受け止め、剛腕を振るい薙ぎ払うように反撃を返す。
「…その翼とても素敵ね」
「わたしの力は、『幅広い応用性』がそのつよさ…」
巨翼を見てそう呟いた仲間に迫る剛腕の軌跡に、障壁を展開し防いだレイチェルが自身の言葉を証明するように見えない弾丸を、薄刃を心のままに操り災魔へと殺到させる。自身の攻撃を防いだ不可視のそれを理解するためシェイプシフターはレイチェルへと視線を向け、巨翼をそのままに姿を簒奪する。それにより得た思考で軌跡を予測し回避し、風の魔術で相殺し戦場を荒れ狂う。

●炎を唱う
 仲間と災魔との戦いの火蓋が切って落とされたのを見て、迷いなく歌を刻み始めたラースがシェイプシフターの単眼を睨むように挑発的に見据える。
「YO!こちとら猟兵を代表、王手かけどきオブリビオン殺し参上!盤上、ひっくり返して支配する、ここがまさに自分らの独壇場!勝つ物語、吐く言霊に、頭にこの詩が沸き立つ!まるで人情味のないまねっこさん、これじゃ三下万が一もない勝機!」
 スピーカを通し大音量で響き渡る声に籠る熱のままシェイプシフターの身体に炎が巻きあがり、災魔が怯むように足を下げる。だが、睨みつけるラースの視線に単眼が向けられ、その姿が彼女を模るように変化する。そして、巨翼の被膜にも見える部分へと炎が呑まれるように消えてゆき、不気味な口にも見える器官が現れ言葉を返してゆく。
「Rgg!よく来た飼犬、贄を差し出し頭を垂れろ。吠える負犬、盤上退場。われら阻めず学園惨状。勝利、まるで響かぬ夢物語!」
 拙いながらも意味を理解し紡がれたそれが呪となり、ラースの身体に染み出すように昏い輝きの呪詛が刻まれる。しかし重く泥濘に誘うような暖かく不快な痛みの中で、言葉を返せぬ相手よりもよほど滾るとラースは意思を猛らせながら歌を鋭く刻んでゆく。

●心で顕す
 姿を真似、巨翼を振るい、呪詛を呻きながら戦うシェイプシフターが電子精霊の姿を取った隙を利用し、死角へと移動したレイチェルが心から汲み上げた力で不意を打つように攻撃を仕掛ける。目まぐるしく位置を変える攻防と対象に直接浮かび上がる呪詛を撒く敵に行うべきは攻撃を行う余力を消すことと意思を籠め、練り上げたそれはシェイプシフターへ内側から弾ける様な衝撃をまき散らす弾丸。その衝撃に身体を、呻くような歌を吐き出す巨翼を揺らされ災魔は態勢を崩してゆく。それにより呪歌が途切れたシェイプシフターは炎に身を焼かれながら、改めて彼女へと視線を向け再び姿を簒奪する。
「わたしたちはいっしょにたたかってるからこわくないよ」
「踊りの最中に余所見とお食事なんてマナー違反、でしょう?」
 自身と踊りつつも仲間に目をやり幾度も姿を変え、巨翼に悍ましい口を広げ、戦いの最中に飛び散る血に意識をさく災魔を誘惑するように窘め、ユノの舞踏は鋭さと激しさを増してゆく。途絶えることなく振るわれる巨翼と、仲間を模しつつも鋭い爪をはやした腕の一撃をユノが躱し、打ち合うたびに飛び散るのは黒い粘液と赤い血潮。それでも、決して引くことなく災魔の振るう暴虐を軌跡を見切り宙を蹴り、ユノは巨翼の死角を舞うように速度の乗った蹴撃で応じてゆく。

●激戦
 蒼穹への舞姫と簒奪の魔人が武器を身体を打ち合わせ互いに血潮と黒液を散らしながら激しい攻防を刻み。電子精霊の炎唱が簒奪の魔人を煌々と激しい熱量で焼き、返される陰鬱に呪歌が電子精霊を暗がりに落とすように蝕む。少女人形の心の力が簒奪の魔人の風術と打ち合い、自在に動くことを阻止しながら、隙をつきその身体を削り取ってゆく。

 傷を負いつつもシェイプシフターを押し留めながら至近で戦い続けていたユノがレイチェルの攻撃で災魔が姿勢を崩したのを機に攻勢を強める。態勢が崩れた災魔をも足場に空中に躍り出たユノがクルリと身体を回すように遠心力を籠めた踵落としを貴方に空は似合わないわ、とつい溢れた言葉とともに巨翼の根元へと叩きつける。鈍い音が響くとともに呪歌が途切れ、動きを止めた災魔とユノを彩る血潮、ラースを覆う呪詛を見てレイチェルが撤退を決める。これまで攻撃に使っていたそれを阻む壁としユノとラースを念動力で掴み、助かるわ、ありがとうっす!と無事を伝える声を迷宮主の間に残し迷うことなく大扉から脱出する。

●次に繋ぐ
 迷宮主の間を脱出したラースが傷の痛みに僅か目を顰めながらも共に戦った二人に向けて、いやー、思ったより厄介だったっすね!と笑いかける。踊りのパートナーとしては無粋だったわ、しっかりたすけられてよかった、と返ってきた言葉は互いを削り合う激戦ではあったが、確かな手ごたえを感じた戦いにその声は明るかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


●知識の簒奪者
 己しかいなくなった迷宮主の間でそれは思考する。動きの鈍い片翼と身体を焼いた炎の痛み。魔術とは全く系統の異なる不可視の力。己を穿ち、焼き、存在を欠けさせたそれに感じるのは欲望。奪い取りこみ理解する、簒奪の名のままに未知との邂逅はそれを静かに滾らせ、再び大扉の開く時をその部屋の中央にて待ち構える。
菅生・雅久
同行キセf10149
他者とも共闘歓迎

コイツが元凶
前者奮戦の傷跡から防御苦手な部位を考え(鈍い片翼

>視野に
小柄なキセを背に隠し見せず接近
複数人でなら飛び武器持ちへ背に入る事提案

気を引き盾となり
キセの札で抑え
封印解除せぬよう札の無い部位へ各自必殺技

防御=記憶なら
あえて防御させ他がそれを根元から断つ僅差同時攻撃
防御だけでは倒せないぞ

血肉を流さぬ戦いの為、接近厳しいなら
先ず半分また半分とシフターの翼を削り眼潰す
上位悪魔へ巫女舞と剣舞でお相手しよう

技模倣も複数人なら有利
どの技にも弱点は…対局出来る者が押えるか自身で超える
戦いは己の弱さ自覚し超える事から始まるんだ…(炎数や間隔測り音は発生場

キセ大丈夫か?


糸原・キセ
同行】雅久f09544
状況聞き

二人では無理、目か無事な翼を潰すを目標=達成で撤退
同行者とは協力、有難い=可能なら仕留める

雅久へは接近後飛び出し符を貼ると伝え

行こう
手負いの獣は飢えている様だ

背に隠れ接近

…嘘ついた事なかったなぁ
雅久を驚かせようと温存した隠し玉

飛び出さず
薙刀のみ雅久の脇下から差出し
刃先に付けた霊符を突込む

抑え込めっ七星七縛符!

雅久攻撃後に術解除(自負傷抑え常に発動短時間

片方を読んでも連携で意義を奪う
深追いせず血肉はやらない

符術の仔細が分かったか?
僕のより強力に命を削る技になるぞ
それでも欲しいか?

僕は自在に使うけどね
敵が奪う時
動ける方が切る
目に怪力の薙ぎ払いを


ありがとう大丈夫///



●迷宮主の間の大扉前
 簒奪の魔人との戦いを終え治療と休息をしている猟兵達に、後続の猟兵達が合流する。彼らは激戦から得られた情報を共有し労いの言葉をかけ迷宮主の間へと向かう。

●隠し札
 薙刀を馴染ませるように振るい、霊符の真言に不備ないかを確かめる糸原・キセ(祈りの戦巫女・f10149)が共に戦う準備を進める菅生・雅久(人間のブレイズキャリバー・f09544)へと頃合いを見て声をかける。
「行こう。手負いの獣は飢えている様だ。それと、霊符を貼るから覚えておいてくれ」
「あぁ、任せとけ。背後から飛び出すまできっちり視線を遮っておく」
 言葉の裏に含めた何かを問いただすことなく、キセの言葉を脳裏に刻むように雅久は気負いなく了承しその身に流れる獄炎の一端を直剣へと伝える作業をやめ迷宮主の間で待つシェイプシフターの元へと足を進める。

●符縛炎閃
 迷宮主の間に駆ける音が響く。新たな侵入者に単眼を向けたシェイプシフターに姿を晒し距離を詰める雅久の背後にはキセ。ドッペルゲンガーの時とは逆だ、とキセが雅久の背中を追い思ったときには災魔の身体がぶれ雅久の姿が簒奪される。向かい合う自身の姿に怯むことなく攻勢を仕掛ける雅久の銀閃を、災魔が巨翼から引き抜くように生み出した黒い直剣にて迎えうち鋼が打ち合わされる甲高い音が響き渡る。だが、気を引くように足を止め、思考を簒奪されたままの打ち合いは黒剣が拮抗を崩し周囲に赤が散らされてゆく。しかし、災魔が更なる簒奪をしようと巨翼を揺らした、その一瞬の制止を縫いキセの薙刀が振るわれる。それは雅久の思考からキセが飛び出すのを警戒していた災魔の虚をつく一撃。持ち手で柄を返し、後ろ手を突きだすように放ったそれは、持ち手を支点に雅久の脇腹をかすめるように刀刃を跳ね上げシェイプシフターの腹部に刀傷を刻むとともに霊符をその傷に埋め込む。
「抑え込めっ七星七縛符!その姿を真似させるな!」
 その言葉と共に奔るのは紫電。その雷が身体を焼くと同時にシェイプシフターの簒奪が崩れ、雅久の身を裂き吹き出た紅蓮を剣身に纏わせた一閃が追撃をかける。
「流石だ、キセ!焼き裂け獄炎っ!」
 迷いない連携で繋いだ炎閃を身体を縛る符の雷光を巨翼に喰わせ強引に自由を取り戻した災魔が黒剣を振るい迎え撃つ。交錯した結果は砕け散る黒剣と獄炎が粘液を焼く鈍い音。災魔の不完全な一撃を砕いた雅久の直剣が災魔の腕へと傷を刻つける。

●我欲の魔人
 互いに傷を刻み、仕切りなおすように両者が距離を取り、雅久が止血をするのを守るようにキセが薙刀を油断なく構える。そんな中、シェイプシフターが埋め込まれた霊符を破るように抉り出すのを見てキセが災魔へと問いかける。
「仔細が分かったか?僕のより強力に命を削る技になるぞ、それでも欲しいか?」
 その単眼に宿るのは欲望。未知を知識を奪う機会を失うのはなんであれ満たされないという意思を示し、呪符を生み出さずキセの姿を簒奪する。
「おい…キセも俺も、もっと生気に溢れてるぞ!」
 その様子に憤りの声と共に、獄炎を身体にも猛らせた雅久がキセの姿をした災魔へと切っ先を向ける。答えるように構えられたのは黒剣の時と同じく巨翼より引き抜かれた薙刀。長柄の獲物にも恐れることなく雅久とキセが踏み込み乱戦が始まる。

●闘舞
 戦巫女の舞いと共に振るわれる薙刀が複雑な軌跡を描き、簒奪の魔人と激しく打ち合いその場に留め、獄炎の剣士が巫女舞に重ねるように剣を振るう。二振りの剣舞を巨翼にて距離を取り躱し、姿を変えた簒奪の魔人が己に迫る獄炎の剣士を迎え撃つ。その戦いを補佐するように戦巫女から霊符が飛び巨翼に遮られ簒奪の魔人へと吸収される。

 血肉を簒奪されぬように慎重に粘り強く戦いを進める雅久とキセの作戦が功を奏し、動きの鈍い片翼の守りをすり抜け災魔へ霊符が張り付く。再び放たれる紫電は簒奪した姿を戻すことなく巨翼に吸収されるのを拒むかのように災魔の身を捕縛する。戦いは己の弱さ自覚し超える事から始まるんだ…!と吐き出される言葉と共に猛る獄炎は直剣の剣身を倍ほどにも伸ばし身を守る様に翳された巨翼へと裂傷を刻む。その戦果を見届けた二人は災魔が霊符を千切り自由を取り戻すまでに撤退することを決め、油断なく迷宮主の間を脱出する。

●激戦の後に
 災魔が外まで追ってこないことを確認するとキセと雅久は息をつき背中を預けるように座り込む。お互いの無事を確認する二人の戦いは前の猟兵達を継ぎ確かな歩を進めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●我欲の魔人
 身を走る雷光を霊符を破り散らした簒奪の魔人が、猟兵達へと再度想いを巡らす。この世と理を別にする火炎。己の術を破って見せた魔術とは異なる術理。撃たれ裂かれ焼かれた身に走るのは痛み以上の変わらぬ欲望。これほどの未知が己を立て続けに襲ったことなどあったのだろうかとその炎が尽きることはない。
コロッサス・ロードス
(f03860・f03867)と連携

基本戦術は『武器受け』『盾受け』『オーラ防御』等の防御技能を活かす為、また仲間を『かばう』事で被害を抑える為にも、敵に肉薄して『おびき寄せ』攻撃を誘う

己の『怪力』を活かし愛剣を小枝の如く振るい連続『2回攻撃』しつつ
【思考の簒奪】に対しては、後背に回り込まれない事を第一としながら、常に前進して敵を壁際に追い詰める

壁際近くまで充分追い詰めた、もしくは敵が攻勢に転じた際には相手の回避(or攻撃)動作を素早く『見切り』、『カウンター』を合わせる為、また【秘技の簒奪】を防ぐ為に相討ち『覚悟』で敵の懐(巨腕より内側)に飛び込み、『捨て身の一撃』【黎明の剣】を放つ


鈴原・瑞樹
コロッサスさん(f03956)、ルチルさん(f03867)と一緒に戦います。 「今回の相手はすごく強そうです……。でもコロッサスさんにルチルさんもいますから絶対に負けないです。」

【シンフォニック・キュア】を使って味方を回復支援。
「回復は私に任せてください。」

なるべく敵の注意は引かないように気を付けて動きます。
(コロッサスさんが敵を引き付けてくれるから、私はあまり敵の注意を引かないようにしないと……。)

敵が【秘技の簒奪】を使ってきたら、ルチルさんが無効化してくれます。 敵の【秘技の簒奪】使うタイミングがわかりそうだったら、ルチルさんに呼びかけます。


ルチル・ガーフィールド
(f03956コロッサス様とf03860瑞樹さんと行動)最優先は、敵の秘技の簒奪で反射されたコードをミレナリオ・リフレクションで無効化させること「そうは、させません!!」(一緒に行動する仲間のコードなので無効化は楽なはず)/無効化のために自分からはコードをつかわず、カウンターの時を待つが、コロッサスの援護のために牽制の攻撃は行う/「一つのところを読みすぎです」敵の視線が一点に集まっている場合、一つ目の死角から攻撃をかける/コロッサスがピンチの時には「コロッサスさまぁ・・・!!」と、悲痛な声を上げる/戦闘前、瑞樹に・・・「コロッサス様のこと・・・、よろしくお願いいたします」と深く頭を下げる。



●迷宮主の間の大扉前
 簒奪の魔人との戦いを終えた猟兵達に、新たに転送されてきた猟兵が声をかける。負傷の治療をしていた猟兵達は安否を気遣う声に無事を伝えるとともに、これまでの戦いとその成果を大扉へと向かう猟兵へと伝え見送る。

●それぞれの想い
 胸元に魑魅魍魎を誘き寄せる大禍の首飾りを下げたコロッサス・ロードス(金剛神将・f03956)が、託されたものを胸に重兜を被り直し、真紅の聖鎧をすべて身に纏った巨躯を大扉へと進めながら続く仲間に振り向き声をかける。
「油断ならない相手のようだが、いつものように頼む」
「はい、すごく強そうです……。でも、コロッサスさんにルチルさんもいますから絶対に負けないです」
 戦いの場では常に自分の前にあるその背中を、黒い瞳に映しながら鈴原・瑞樹(オラトリオの聖者・f03860)が、信頼と争うことへの微かな不安を乗せた声を返し、その瑞樹へと視線を合わせながら戦いの中の役目を考え、腰に帯びたルーンを刻んだ魔法剣に手を掛けていたルチル・ガーフィールド(魔法仕掛けの家政婦さん・f03867)が、深く頭を下げ想いを託す。
「コロッサス様のこと…、よろしくお願いいたします」
その言葉が空気に溶けるころ迷宮主の間の大扉が再び開かれ三度目の戦いの幕が切って落とされる。

●砕けぬ盾
 真っ先に動いたのは部屋の中央で待ち構えるシェイプシフターの分も距離を詰めるように駆けたコロッサス。迎え撃つ災魔はその姿を巨翼を背負った漆黒の重鎧を纏う偉丈夫に変化させ、巨翼より引き抜いた剛剣と大盾を用い、コロッサスが振るう悪しき終焉を打ち砕く剛剣を防ぎ、思考の簒奪と共に奪った姿のままに攻撃を返す。それが真紅の大盾で危うげなく防がれ、迷宮に武器を振るい、打ち合う戦いの音が奏でられてゆく。
「災魔の膂力で振るわれようと己が剣閃など百も承知!」
「コロッサス様ばかりを見すぎです」
 二振りの剛剣が振るわれ幾度も激突音が響き暴風が渦巻く、そこにルチルが援護のために当然のように踏み込む。漆黒の兜に覆われたシェイプシフターの視線がコロッサスに注がれているのを確認し、呼び起こすのは炎の魔力。その指に嵌まったフェニックスの刻印がなされた指輪に支えられるように魔法剣へと炎が渦巻き、コロッサスへと追撃を掛けようとする巨翼に剣身を伸縮させるような剣撃が振るわれシェイプシフターの動きを押し留めてゆく。

●祈りの歌
 シェイプシフターとの戦闘が始まり、それに合わせ迷宮主の間に瑞樹の歌が響き始める。旋律は戦いの激しさとは裏腹に穏やかに。だが、迷宮主の間に奏でられる戦いの音にかき消されないように凛と、世界の根源を揺らすその歌声は部屋中に響き渡りコロッサスとルチルを支えてゆく。それはあの日の暴虐にあがらうための歌、それは今日ともにある大切な人が倒れないための祈り、それは未来を悪夢に侵されないための願い。それは災魔と打ち合い傷を負う二人のための歌唱。
(コロッサスさんが敵を引き付けてくれるから、私はあまり敵の注意を引かないようにしないと……)
 歌い続けながらもシェイプシフターの動向をコロッサスの背中越しに伺い、自身が狙われ負担になることがないように注意を払い災魔と相対してゆく瑞樹の視線が、コロッサスの姿を簒奪している災魔の視線と交錯する。コロッサスとルチルの攻勢の前に災魔が思考を簒奪する間もなく逸らされた一瞬とはいえ、知識への欲望に濡れたそれを気丈に睨み返し歌い癒すことに心を傾けてゆく。

●支える影
 瑞樹の歌に支えられたコロッサスとルチルの二人とシェイプシフターとの戦いが拮抗する中、位置取りを徐々に変化させていったルチルが災魔へと攻勢を仕掛ける。それは戦い続けた猟兵達の積み上げた傷跡による死角。十全に動かない片翼をすり抜けるように突き立てられた炎を纏う魔法剣が、剛剣を操る腕に切り込み纏う鎧に深い傷を与えながら災魔の姿勢を崩し、コロッサスへと絶好の機会を与える。
「コロッサス様!」
声だけ聴けば伝わるその意図に剛剣を剣帯に収めながらコロッサスが応える。
「我、神魂気魄の閃撃を以て獣心を断つーー!」
 裂帛の気合と共に再び抜き放たれたのは悪しきを払い去る神聖なる陽光のごとく紅蓮に輝く神剣。闇を払うような灼光の軌跡を描き神剣はシェイプシフターがその身を守る様に割り込ませた大盾を粉砕し、支えていた左腕を大きく切り裂き黒い粘液が散ったところで神気を失い元の剛剣へと戻る。

●衝突
 そこへコロッサス達を支えていた瑞樹の歌が止まり緊迫した声が響く。
「ルチルさん、シェイプシフターの剣の様子がおかしいです!」
 後方にいたがゆえに視野の広かった瑞樹の言葉の通りに残された剛剣に不吉を感じさせる昏い光が纏わり付いてゆく。それは巨翼から作り出した大盾で防ぎつつ途中で砕かれた故の不完全な秘儀の簒奪。その事態に備えていたルチルがコロッサスの剛撃をなぞるように魔法剣に業炎を滾らせ前に出る。
「そうは、させません!!」
「ロ、ロ……ローーロロロロロロ…ーー……!」
 業炎を纏う魔法剣と昏呪に沈む剛剣が打ち合わされ反発しあったそれが衝撃と音をまき散らす。

 衝撃がまず吹き飛ばしたのは簒奪の魔人。迷宮主の間の奥へと弾かれ床を削りつつ態勢を立て直す。次いで飛ばされたのが魔法剣を打ち付けた黒衣の家政婦。彼女の背後にいた真紅の聖鎧を纏った偉丈夫がその身を受け止め守りつつ、暴風に身をすくめた祈りの歌姫の近くまで吹き飛ばされ受け身を取りつつ立ち上がる。

 お互いの状況と距離が離れたことを好機と見たコロッサスが、コロッサスさまぁ…!?と僅かに混乱するルチルと驚きに固まる瑞樹の手を取り迷宮主の間を脱出すべく大扉へと向けて駆けだす。

●次へ繋ぐ
 ルチルと瑞樹を外に連れ出したコロッサスは安全を確認するとともにねぎらいの言葉をかけ次に挑む猟兵達のためにしばしの休憩を取るように腰を落ち着けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


●過去の悪夢
 荒れ狂っていた暴風が収まった迷宮主の間で簒奪の魔人がその身を揺らす。十全に動かぬ片翼に、深く切り裂かれた片腕、猟兵との戦いで溢した命は決して軽いものではなく自身の消滅が遠くないことを悟ったうえで脳裏を占めるのは三度重ねた闘争。過去の悪夢となる以前からおそらくその身は欲望の炎に焼かれ続けている。
レイチェル・ケイトリン
わたしはうばったりしないよ。つたえあうことができるんだもの。

ほかの猟兵さんたちにみてもらったわたしのやりかた。
そして、ほかの猟兵さんたちにみせてもらったそのひとたちのやりかた。

それがわたしたちがいっしょにもてる、たいせつな力なんだもの。


また念動力と吹き飛ばしの技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすね。

敵からの攻撃をふきとばさずに盾のようにしたサイコキネシスでふせぐ、
ほかのひとへの攻撃もかばう技能もつかってふせぐのもいっしょ。

でも、わかりあえたいまなら敵がまねした力をもっともっとかんたんに、
もっともっとかくじつにふせげるよ。

じぶんであたらしいものをつくれない敵なんかにまけないよっ!


ユノ・フィリーゼ
一筋縄でいかないのは分かっていたけれど、
想像以上でちょっと吃驚したのが本音
…それでも不思議と思うのよ
彼等と一緒なら必ず討ち倒せる、って

さぁ、ラストダンスと行きましょう

先よりもずっと自由に動く身体を武器に
敵の攻撃を見切りで回避しながら、
一撃を与えたら離れるの繰り返し
但し奪う暇もない程の猛撃を仲間がしている場合は、
倣う様に私も追随するよ

一瞬でも眼を閉じたり隙をみせる瞬間があったなら、
迷わずもう片方の翼を狙い撃つ
届く位置ならば自らの脚で、
距離があるなら蒼薇の抱擁を翼の根本に刺し穿つ様に

私が何を欲しいか、貴方は識っているでしょう?
もう忘れてしまったのなら、思い出させてあげるわ
―貴方に空は似合わない


ナノ・クロムウェル
私も戦場に赴きます
敵はこちらの思考を読み、経験すら簒奪する強敵です。
ならば私は…皆さんの援護を行いましょう。
そして出し惜しみはなしです。真の姿を開放して応戦します。
機械に覆われ右目から翠の炎が揺らめく姿となります。

今回の「ガジェット」は火球を生み出す大砲です。
それも当たった相手がマヒする特注品です。
これと「サイバーアイ」で敵の分析を行いながら支援しましょう。
敵の攻撃で傷ついた人達が多くなったのなら「命の炎」で皆を癒しましょう

私の炎にはこんな使い方もあります。
さあ、皆さん…もう一度立ち上がりましょう。
諦めなければ勝機はあります。



●迷宮主の間の大扉前
 負傷を癒し休憩を取っていた猟兵達が、改めて迷宮主の間へと向かうために立ち上がる。そこへ新たに転送されてきた簒奪の魔人に挑む猟兵が大扉へと歩を進めつつ合流する。

●再戦
 シェイプシフターと戦い、二度猟兵達を見送ったレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)とユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が、休息は十分と頷き合い迷宮主の間へと向かおうと足を向けたその時、全身を機械化した黒鉄へと変化させ、その膂力で大砲型の魔導蒸気機械を携えたナノ・クロムウェル(翠炎のメタルサバイバー・f02631)が、胸元に煌めく翠水晶と同じ色を宿した炎を右目に灯らせ合流する。
「私も共に赴きます…お二人の援護をしましょう」
「ありがとう。なら、わたしのやりかたもおしえるからあなたのやりかたもおしえて?」
「必ず討ち倒しましょう。でも、一筋縄ではいかないから気を付けて」
 そのまましばし足を止め、経緯やそれぞれのことを話した三人がこれが最後との意思を籠め大扉を開きシェイプシフターとの戦いへと臨む。

●地下迷宮で舞う
 最初の邂逅と同じく真っ先に翔けだしたのはユノ。先の戦闘よりも軽く舞う身体の軌跡は流麗に。迷宮主の間を滑らかに翔ける影へと蒼を溢しながらシェイプシフターへと再度肉薄する。一度踊ったエスコートもしない無粋なパートナーへと贈られるのはしなやかに描かれる繊月。
「……さぁ、ラストダンスと行きましょう?」
 その言葉と共に単眼へと蹴撃が叩き込まれ硬質な音が響き渡る。その音と衝撃にユノが驚きつつも弾かれるように距離を取る。弱点であるがゆえに最も強固な守りを持つ単眼で避けえない攻撃を受け視線をユノに向けようとした災魔だが、そこにナノの追撃が叩き込まれる。
「出し惜しみはなしでいきます」
 それは猟兵でなければ扱えないであろう火砲から撃ちだされる砲撃。ナノの翠炎が籠められた火球は、緑の軌跡を描き災魔の巨翼を揺らし爆炎で表面を焼く。その衝撃に振り向いた災魔がナノを見据え姿を簒奪する。その様子に今は瞳と同化した高度演算装置で算出した避けえない面制圧を成すように火球が連続で撃ちだされ、応じる災魔が巨翼と両腕を用い迎撃を行う。激しさをます戦場を見ながらナノは共に戦う仲間へできることを思考してゆく。

●伝え合うこと
 再び戦場立ちシェイプシフターを瞳に映すレイチェルが、援護ために心より汲み上げた力で不可視の弾丸を仲間の攻撃に合わせるように災魔へと複雑な軌道を描かせながら解き放ち、同時に幾つもの見えない障壁を生み出し仲間に向けられる攻撃を防いでゆく。
「わたしはうばったりしないよ。つたえあうことができるんだもの」
 それは、多くの猟兵が積み重ねたものを受け取り、戦場を共にし言葉を交わしお互いを知ったからこそできる精緻な動き、支え合う心を大切にするレイチェルの心そのものを顕す願い。その不可視の力に揺さぶられ姿勢を崩し翠炎と蹴撃を身に受けた災魔が、レイチェルに視線を向け簒奪した姿のままで呻くような音と共に生み出したのは濃度と色を絶えず変化させる薄霧。かつて奪ったのであろう不可視を可視とするその魔導が霧の乱れをもって見えないものを暴き立てる。

●先へと進む
 不気味な薄霧の中でユノがシェイプシフターへの攻勢を強める。その動きは初戦を思わせる空をも蹴る立体的な動き。それを支えるのは見えない足場。暴かれるなら別の手法をと考えたレイチェルの援護を受けたユノの蹴撃が多角的に災魔を攻める。強固な単眼を狙わず災魔の振るう腕の一撃や巨翼の払いの範囲外に身を置き翔るように、一撃離脱をするユノの蹴撃が災魔へと僅かずつ確実に傷を刻み、自身の姿を真似たまま、薄霧を纏い、受けた傷から黒液を溢しながらも猛る災魔とユノのその攻防を支えるように幾度も砲火を放ち戦況を見ていたナノが仲間の疲労を見て取り魔導蒸気機械を操る手を止め、集中するように目を閉じる。それとともに胸元に埋まった翠水晶からその身に流れる翠炎が零れるように溢れ、弾ける様に迷宮主の間へと広がり、ユノとレイチェルへと触れた翠炎が優しく包むように疲労を取り払ってゆく。
「私の炎にはこんな使い方もあります。きっともう少しですから、頑張りましょう」
「うん。これがわたしたちだからこそいっしょにもてる、たいせつな力だよ」
 独りじゃないことをあたらめて言葉にするレイチェルの言葉がくびきとなったかのようにナノが砲炎に込めた身を縛る魔導が電磁の網を成し災魔の身を留める。その好機にレイチェルが災魔の攻撃へと割り込ませるように差し込み防御に使ってきた障壁を四肢にからめるように展開し拘束を強め、ユノが災魔の無事な片翼へと向けて幾本もの不可視の蔓を一本に纏め上げた茨の槍を巨翼を支える根本へと穿つように突き出す。障壁に抑え込まれ、蒼薔薇の槍に貫かれ、完全に動きを止められたシェイプシフターへとユノとレイチェルの声が届く。
「私が何を欲しいか、貴方は識っているでしょう?」
「じぶんであたらしいものをつくれないあなたになんかにまけないよっ!」
 その言葉と被さるようにナノが再び魔導蒸気機械を操り、翠炎の火球がその胸部を撃ち抜き致命的な穴をあける。

●返礼
 簒奪の魔人がその身を黒い粘液のような姿に戻し、胸部の大穴そのままに障壁による拘束を割り砕く。それは猟兵との戦いで最もその巨翼で受け続けつつ使わなかった少女人形の顕心の簒奪。すでに己の意思では動かない身体を己で操り、破れた被膜を折れた翼骨を補い無理やり羽ばたかせ天井へと飛翔する。それに引きずられるのは蒼薔薇で繋がる蒼穹への舞姫。簒奪の魔人の飛翔は数舜、迷宮の天井にも届かぬまま巨翼は折れ、その身体は悪夢が覚めるように中空へ消える。放り出された蒼穹への舞姫も無事に迷宮の床へと降り立ち、四度にも渡った災魔と猟兵達の戦いに幕が下りる。

●終局
 シェイプシフターが溶けた迷宮の中空とその先にある天井を蒼い涙のような耳飾りを揺らしながら見つめ、やっぱり―貴方に空は似合わないわと呟いたユノの元に、落下した彼女を心配する表情を湛えたレイチェルが駆けよりその身に優しい空気を纏わせながら、ぶじでよかったと表情を綻ばせる。それに僅かに遅れ災魔が完全にいなくなったことを確認していたナノが機械化を解き翠水晶を優しく煌めかせながら合流し無事に安堵のため息をこぼす。それらを感じ取ったユノが視線を天井からナノとレイチェルへと移し感謝を伝えるとともに災魔の討滅を魔法学園へ伝えるべく二人を連れ大扉へと向かう。

●過去の悪夢は溶け消えて
 それから幾ばくか後、猛威を振るった災魔達の痕跡が僅かに残る迷宮の中に魔法学園の学生達の声が響き始める。事件に巻き込まれた学生達は全員復帰し、幾度もの戦闘で荒れた迷宮は魔法学園の教師達の手で直され日常が返ってきた。過去から蘇った厄災の魔を討った猟兵達は今はそこにはいないが、守られた未来は動き出しこれからも続いてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月07日


挿絵イラスト