「アルダワ魔法学園でのはなしだけど」
リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)がそう話を切り出した。
手帳を取り出し、一枚、それをちぎると周囲に示す。
表面には、なんとも可愛らしいふわふわしたくらげのようなもの。
裏面には、頭部が鳥のようになった人間の姿が描かれていた。
「学園迷宮のフロアボスが、配下を率いて上の階層へと攻めあがってきているらしい」
こっちがボスのほう、オブリビオンね、と。
リュカはふくろうのほうを指差して示す。
「学園施設には非戦闘員もたくさんいるから、学園に侵攻されるのは避けたい。だから、防衛に適した場所で、敵の進行を食い止めてほしいんだ」
丁度今から向かえば、それなりに戦いやすいところで向かい撃てるはずだとリュカは言う。
そうして、紙の表面。つまりくらげのようなものが描かれている場所を指差した。
「まず最初に、相手にするのはくらげのほう。それほど強くはないけれども、油断しすぎるとしびれる電流を放ってくるから気をつけてね」
それともうひとつ。リュカは紙をひっくり返す。
「で、こちらのボスは、結構賢いけど……。油断しなければ、大丈夫だと思う」
勿論、油断しないことが前提だけれどもね。とリュカが言う。それから少し、考え込んだあとで、
「このボスが陣取っている場所なんだけれども、少し暗いんだ。とはいえ、戦闘に支障があるわけじゃない。……と、言うのも」
これくらい、と、リュカは目の前で、軽く両手で丸いような形を作った。丁度片手に乗るぐらいの、石のようなものである。
「こういう感じの石がいっぱい落ちてる。適当にそれを拾って床に向けて投げつけると、いい具合に光が出て明るくなるから、その隙に攻撃してくれればそれでいいんだ。光は色とりどり、色々あるから、何色がでてどんな風に輝くかは解らないけれども、とにかく危険は無いし明るくなるから」
大丈夫。と、リュカは言い切った。
「ついでにわりと派手な音がなるから、楽しいらしいよ」
なんで、面白おかしく楽しむつもりで行けばいいと、リュカは話を続ける。
「……その石なんだけれども、学園ではそれを使って、花火をして楽しむこともあるみたい。いろんな石を組み合わせて、思い通りの色や、音や、かたちの花火を作って、打ち上げるんだって。……帰ったら、せっかくだから試してみたら」
打ち上げ花火にも加工できるし、手持ち花火にも加工できるというから、それをつかって好きなように遊ぶのもいいだろう。
勿論、学生たちが揚げる花火を見て楽しむのも、ありかもしれない。
丁度戦いが終わって戻ってくるぐらいに始まる花火大会があるのだとリュカは言う。
ちょっとした屋台なんかもでるので、お祭り気分で遊んでいくのもいいだろう。
「……花火って、やり方だけ見たら銃に似てるね」
なんだか真面目な顔をして、リュカは言った。
「ああ、でも、危険行為は一応、禁止らしい」
どこまでが危険行為だろう……、みたいな顔をしながらも、リュカはそういって話を締めくくった。
「勿論戦いも重要だけど……息抜きも重要だから。そうやって遊びにいくのも、いいんじゃないかな」
ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
今回はわいわいみんなで楽しめる依頼を目指して出させていただきました。
ので、戦闘自体は緩めです。
●スケジュール若干変則的です。
参加前に、必ずご確認ください。
また、POWSPDWIZは参考程度に。
今作品は、
第1章:【集団戦】
第2章:【ボス戦】
第3章:【日常】
となっております。
集団戦は、ふよふよくらげとの戦闘になっております。
難しいギミックはありません。可愛くて涼しいです。
ボス戦は、叡智の守護者との戦闘になっております。
場所が暗いので、先ずは明かりをつけてください。
足元の石を適当に拾って投げたら、パーッと数秒輝いて明るくなりますのでそれで。
爆竹みたいな音と共にいろんな色がでます。基本ランダムですが、プレイングで指定していただいても、構いません。
むしろ面白おかしくネタに走っていただくのも歓迎です。
日常は、花火を楽しみましょう。
自分で好きな花火を作れます。
打ち上げ花火でど派手な花火を作るのも、花火でポエムを読むのも、
手持ち花火で、ものすごいのを作って振り回して遊ぶのも、長い線香花火を作るのも、
お好きなように。
ふざけて花火を友達に向けるくらいなのは、多少はいいですが、
あんまりの危険行為はよすんだ。
以上になります。
それでは、よい一日を。
第1章 集団戦
『ふよふよくらげ』
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POW : ふよふよ、とうめいになる
全身を【うっすら透明っぽい姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : ふよふよ、ぴゅーっとする
【空中をふよふよすること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【口から噴き出した水】で攻撃する。
WIZ : ふよふよ、しびしびする
【ふよふよした全身】から【高圧電流】を放ち、【感電】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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※第一章プレイングの受付は、6月16日8:31より6月19日23:00までの予定です
岡森・椛
クラリスさん(f10090)と
うん、頑張ろうね
精霊アウラもぐぐっと拳を握って気合を入れてる
わあクラゲさん可愛い…
えっ、やっぱり電流痛いの?
クラリスさん大丈夫?
アウラもすごく心配そう
有難うだよ
救急箱も持ってきてるから手当は任せて
油断はいけないよね、と気持ちを引き締める
なるべく痛まない様に…クラリスさんの優しい言葉にこくんと頷く
だからこそ【常初花】で攻撃
アウラの風に乗せて、沢山のクラゲさん達に花を届けよう
私の大好きな花達で彩られるクラゲさん
みんなとても綺麗だよ
黄金ライオンに乗るクラリスさんの姿は冒険物語の勇者みたい
私はライオンの尻尾を掴み、アウラは私にしがみ付き、引っ張って貰って一緒に包囲を突破!
クラリス・ポー
椛さん(f08841)と
学園の平和を守る為に頑張りましょうニャ!
アウラさんがいて
私もお姉さん気分です
【SPD】
ぷるぷるのふよふよ
可愛いくらげさんかもしれませんが
油断させてしびしびなんて侮れませんね!?
電撃耐性はありますが
痛いのでしょうか…ぴゃっ
椛さん、お気をつけて!
ピンチに駆けつけられる様
お傍に居ますね
私はケットシーの身軽さで避けながら
獣奏器でポカポカします
くらげさんが痛そうだと
私も心が痛いです…
なるべく痛まない様にしたいですね
アウラさんの風に乗って
ピンクと紫がくらげさんへ吹き抜けていきます
…綺麗!
囲まれたら
ライオンライドで召喚した
黄金ライオンさんに飛び乗って突破しましょう
椛さんも掴まって!
「学園の平和を守る為に頑張りましょうニャ!」
「うん、頑張ろうね」
クラリス・ポー(ケットシーのクレリック・f10090)がぶんぶん腕を振りながら言うと、岡森・椛(秋望・f08841)も頷いた。隣で魔法の杖にもな
る、風の精霊アウラもぐぐっと拳を握って気合を入れてる。
そうして二人してそろそろ、そろそろ、と、フロアに侵入した。
あんまり目立つことのない、それほど広くもない、石造りの廊下に、
水色のふわふわがいっぱい浮いている。
「わあクラゲさん可愛い……」
「はい。ぷるぷるのふよふよ。可愛いくらげさんかもしれませんが、油断させてしびしびなんて侮れませんね!?」
わあ、と嬉しそうな椛に、若干まだしりあすな顔を保ったままクラリスはクラゲたちをじぃぃ、と見つめ続ける。
「しかしこの、ゆらゆら動く動きが、なんともうずうずいたします。ええ。ええ。侮れぬと、わかってはいるのですが……」
「あっ、クラリスさん!」
ふらふらとクラリスはクラゲに近寄っていく。電撃耐性はある。ので。こう、ふよっと逃げるクラゲに思わず、
「ちぇい!」
手が出た。
激しい(?)猫パンチをクラリスが繰り出したその、瞬間、
「ぴゃ!!!」
「クラリスさん!?」
しびしび電流がクラリスへと放たれた!
思わず全身の毛が逆立つクラリス。
「椛さん、お気をつけて!」
だが、自分を省みず椛とクラゲの間に立ち塞がるクラリスに、
「えっ、やっぱり電流痛いの? クラリスさん大丈夫?」
椛のほうは割りとのんびり気味に。だが心配そうに、クラリスの顔を覗き込んでいた。アウラも心配そうにしている。
「はい、こいつは侮れません。ピンチに駆けつけられる様、お傍に居ますね」
「本当? ありがとうなの。救急箱も持ってきてるから手当は任せて」
「はい。今は大丈夫、毛並みが少々焦げただけですから。でも、怪我をしたときはお願いします」
「うんっ。油断はいけないよね、私も気をつけるね」
「ええ! それでは、行きましょう!」
言うなり、クラリスが軽快に地を蹴った。
「くらげさんが痛そうだと、私も心が痛いです……。なるべく痛まない様にしたいですね」
反撃はしっかりするが、そこまで強くもないクラゲさんを、クラリスは星の杖のような獣奏器でぽかぽか殴りつける。
「ええ。だってこんなに、かわいいのだもの……。撫子、桔梗、秋桜。秋の訪れを告げる可憐な花達よ、思う存分咲き誇って」
優しいクラリスの言葉に、椛も頷きぱっと手にしていたなぎなたから手を離す。動じにその武器は美しい、秋の始りごろに咲く……それこそ撫子や
秋桜に姿を変えて、言った。
アウラがふっと風を呼び寄せると、その風に乗るように花びらたちはクラゲに向かって流れていく。
「私の大好きな花達で彩られるクラゲさん、みんなとても綺麗だよ……」
「わ……。綺麗!」
花びらたちが舞い落ちて、まるで一面幻想的な物語のように姿が変わっていく。クラゲたちもその花びらに覆われるのを見て、クラリスも感心した
ような声を上げた。
「ふふ……。素敵な世界なのね。まるで物語のよう」
ふっと、椛は微笑んで。花びらに覆われていくクラゲたちを見つめる。……しかしそんな和やかな景色も、一瞬のことであった。
「あ……。椛さん!」
ふよふよ、ふよふよと。特に意味があるのかないのか。クラゲたちは徐々にその数を増やして廊下に満ちる。
積極的に戦うような顔(?)をしてはいないけれど、この数で一斉に雷撃を放たれたらどうしようもない。そもそもクラゲに埋まって溺れてしまう
。きっとびりびりがなければとってもいいお昼寝になるだろうけれど、
「ど、どうしよう。どうすれば……」
思わずおろ、っとする椛。アウラも一緒におろおろしているので、クラリスは胸をはってちょっとお姉さんぶりながらも、
「大丈夫、こんなこともあろうかと……!」
黄金のライオンを召喚した。
「椛さんも掴まって!」
「……っ!」
そのライオンに乗り、クラリスは椛のほうに手を差し出す。慎重さもろもろから実際にその手を掴むことは出来ないけれども、ちょっとした気分で
ある。
「すごい……!」
果たして。椛も目を輝かせた。
「クラリスさん……、冒険物語の勇者みたい!」
「そんなこと言ってる場合じゃありませんよ、さあ!」
「うんっ!」
椛もライオンの尻尾を掴むと、ライオンは一気に跳躍した。通路に満ちるクラゲを飛び越える。
「すごい! まるで物語の中の冒険みたい!」
「みたいじゃなくて、そのものですね! いきますよ、しっかり掴まっていてくださーい!」
そうして二人は空を飛び、戦闘を再開する。冒険は、まだまだ始ったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
アルダワって、倒すのが申し訳なくなっちゃうような災魔もいるよね
このくらげもそう!
すっごく可愛い……水族館にいてほしいなぁ……
ヨハンもそう思うよね?
だ、大丈夫
任務は忘れてないんだから
油断はしないよ!……たまに見惚れちゃうのは仕方ないけど!
君の役目はツッコミじゃないでしょっ
はぁ……
溜息がうつっちゃったよ、もう
ヨハン、この子達を上手く集めてくれないかな?
ちょっと罪悪感を抱きつつ
【範囲攻撃】で多くの個体を巻き込むようになぎ払う
水を噴出されたら【見切り】
電流を放ってくる個体にはダガー投擲で素早く対処したい
怪我しないようにしなくちゃね
だって、戦いの後には花火が待ってるんだもの!
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
災魔のいる水族館なんて普通に危険だと思います
見惚れるってそれ油断してますよねしまくってますよね
……はぁ。とりあえず突っ込んだので、
俺の役目は果たしたと思っていいですかね
ゆるい見た目をしてるとこっちまで頭が惚けてしまいそうで、
俺はこういう敵は好きじゃないんですよね……
まぁ彼女と違うのは罪悪感なんて欠片も湧かないというところ
蠢闇黒から闇を喚ぶ
ちょっと叩けば集めるのも容易そうだ
要望通りに、網状に闇を練り上げてひとところに集める
……投網でもしてる気分だな
<呪詛>絡めの<全力魔法>で手は抜かない
やれやれ……。
まぁ花火は興味があるのでちゃんと付き合いますよ
「う……わぁ……!」
オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は思わず声を上げた。両手をぎゅっと握り締めて、
「ここを、水族館にしよう!」
「災魔のいる水族館なんて普通に危険だと思います」
もう、心の底からテンション上がる! って顔をしてるオルハに、ヨハン・グレイン(闇揺・f05367)が冷静に突っ込むも、
「ああ……。すっごく可愛い……水族館。そう水族館にいてほしいなぁ……。アルダワって、倒すのが申し訳なくなっちゃうような災魔もいるよね。
このくらげもそう……!」
聞いちゃいねえ。両手を組んできらきらした眼でクラゲのほうをきらきらしているので、
「ヨハンもそう思うよね?」
「思いません」
何か若干冷たい声が出てしまった。あれ? ってオルハが振りかえるとヨハンは難しい顔をしていた。
「だ、大丈夫。任務は忘れてないんだから」
「……だと、良いのですが」
「油断はしないよ! ……たまに見惚れちゃうのは仕方ないけど!」
「見惚れるってそれ油断してますよねしまくってますよね」
「う、うう~」
「……」
なんだか若干面白くなさそうな顔をするヨハンに、オルハは困ったようにヨハンを見る。
「……はぁ。とりあえず突っ込んだので、俺の役目は果たしたと思っていいですかね」
「君の役目はツッコミじゃないでしょっ。はぁ……」
肩をすくめるヨハンに、肩を落とすオルハ。
「溜息がうつっちゃったよ、もう」
「よかった。おそろいですね」
「うう~」
勝てそうにない。オルハはちょっと悔しげに唸りながらも、ぱしん、と特注三叉槍を持ち直した。
「わかったわかりました~。ヨハン、この子達を上手く集めてくれないかな?」
ちょっと罪悪感はあるけれど、ちゃんと倒すよ。というオルハに、ヨハンも頷く。
「罪悪感……ですか。ゆるい見た目をしてるとこっちまで頭が惚けてしまいそうで、俺はこういう敵は好きじゃないんですよね……」
まったく興味ないわー。とでもいうような顔でヨハンはそっけなく言って、蠢く闇を封じた黒光石から闇を呼び出した。
解き放てばふよふよフロアに流れているクラゲたちを、ぺちんと叩いて場所を移動させていく。
「これくらい?」
「ん、もうちょっと!」
「……投網でもしてる気分だな」
「うう、このままおうちにつれて帰りたいよー」
「……」
魔法全力でヨハンはクラゲを弾き飛ばすのであった。
「よしっ。その辺その辺、じゃあ……」
えいや、とばかりにオルハは三叉槍を振るう。ヨハンの全力全身の魔法で削られながらも集まっていたクラゲたちをなぎ払って潰していく。
「!」
「遅い遅い!」
クラゲの放った水を素早く避けて、オルハは生き残ったクラゲの中から電流を放とうとしている個体にダガーを投げつける。
「怪我しないようにしなくちゃね。だって、戦いの後には花火が待ってるんだもの!」
可愛くても容赦しないよ! とようやくエンジンが掛かってきたオルハが素早くクラゲを屠り始めれば、
「やれやれ……。まぁ花火は興味があるのでちゃんと付き合いますよ」
ヨハンもまた、呆れたように援護をするのであった。
「ねえ、一息ついたら、一匹……」
「却下です」
「!? ま、まだ何もいってないよ!?」
「長い付き合いですから、あなたの考えそうなことなら、大体がわかります」
「どうしよう。普通に聞いたら嬉しいけど、今日だけはなんだか嬉しくないー!」
「……失礼な」
若干、少しの間だけれども、クラゲのほうが高感度が上だと言う事実は解っていてもあんまり認めたくないところもあり。
しばらく、若干不貞腐れたようなヨハンという世にも珍しい顔が見られたかもしれないが、
たぶん、本人に自覚はないのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
三咲・織愛
ムルヘルベルくん(f09868)と
【SPD】
わあぁ! 見てくださいムルヘルベルくん!
とってもとっても可愛いですよ!
一匹くらい捕まえてお部屋に置いておけないかしら……
だってとっても可愛いですし! 涼し気なんですもん!
うう……倒さなくちゃだめですか? 可愛いのに……。
わぁ、お水! 涼しいですよ、ムルヘルベルくん
せっかく涼しくしていただきましたし、私もお返ししましょう
すっと落ち着いて深呼吸
――殺気を纏って恐怖を与えましょう
どうですどうです?
私も冷っとさせられましたかね!
さあ、あとはばんばん燃やしちゃってください、ムルヘルベルくん!
あ、でも焼かれてるところは可哀想なので後ろ向いてますね
ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛(f01585)
まあ見た目はたしかにファンシーであるが……
いやあの一応災魔であるぞあれ、わかっておるか???
可愛い可愛い連呼しまくりであるな、これだから若い娘は……
そんな悲しそうな顔をするでない! 敵なのだぞ!?
うわあしかも攻撃食らって喜んでるし……うむまあ涼やかではあるが
むしろ水浸しになったら寒いのではないか? いやオヌシ風邪引かなそうであるな
とにかくはしゃぐな! ちゃんと戦――ひいっ!?
こっわ!? こわ!! ノータイムで本気になるのやめてくれぬか!?
ヒヤッとしたわワガハイの心臓が!!
ええ、しかも燃やすのであるか、あれだけ可愛い可愛い言ってて……
若い娘とはわからぬものであるなあ……
レンガっぽい素材で造られたフロアは、一見すると茶色い世界に見える。
印象としては乾いた雰囲気を受けるそのフロアだったが、今は……、
「わあぁ! 見てくださいムルヘルベルくん! とってもとっても可愛いですよ!」
なんだかふわふわしたものがいっぱいに漂っていた!
「ああ。一匹くらい捕まえてお部屋に置いておけないかしら……」
おっとりと。だが明らかに強い思いを感じさせる様子で、ふぅ、と一息つきながら三咲・織愛(綾綴・f01585)は優しい目でクラゲを見つめる。
「まあ見た目はたしかにファンシーであるが……。いやあの一応災魔であるぞあれ、わかっておるか???」
そんな織愛に若干困ったような顔でムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)が忠告とも、呆れとも取れるような言葉を発した。
しかしそんなムルヘルベルの表情もどこぞふく風である。織愛はふんす、と両手を握り締めて、
「だってとっても可愛いですし! 涼し気なんですもん!」
「可愛い可愛い連呼しまくりであるな、これだから若い娘は……」
どうしよう。どうしたらいいんだろう。主に敵の対処ではなくこの子への対処が。
若干頭を抱えるムルヘルベルであったが、クラゲのほうも彼らに気がついたのだろう。ふわふわと集団で、こちらへ向かって動き出してくる。
「あ、ほらほら、動いてますよ!! ムルヘルベルくん!」
「そりゃ、動くだろうよ。生きているのだから」
「ぎゅ! ってしちゃだめですか?」
「何をいっているのだオヌシは」
「だって……っ」
侵攻はいかにもゆっくりで、危機をまったく感じられないのだから仕方がない。
「うう……倒さなくちゃだめですか? 可愛いのに……」
「そんな悲しそうな顔をするでない! 敵なのだぞ!?」
指先でそっとクラゲをつつく織愛に、ムルヘルベルが頭を抱えた……。そのとき、
「!」
ぴゅ、と、クラゲが回転したかと思うと、水鉄砲が放たれた。
「わぁ、お水! 涼しいですよ、ムルヘルベルくん」
「うわあ喜んでるし……。早く何とかせんと……。うむまあ涼やかではあるが……」
威力が弱くて若干シャワーのように感じるかもしれない。
「むしろ水浸しになったら寒いのではないか? いやオヌシ風邪引かなそうであるな」
その理由はみなまで言うまい。うーん、と若干クラゲの処理について頭悩ますムルヘルベルである。流石にこのまま戦闘は織愛が可哀想か、などと
思った、ところで……、
「せっかく涼しくしていただきましたし、私もお返ししましょう」
「とにかくはしゃぐな! ちゃんと戦――ひいっ!?」
うんうん。と、織愛は大いに頷く。先ほどのままと同じテンションであったが、徐にすっと落ち着いて深呼吸した瞬間、
「……はぁっ!」
気合の一声と同時に空気が震えた。一瞬で空間に満ちる殺気は周囲に恐怖を撒き散らし、大型の敵でさえ一瞬ひるむような鋭さを持っていただろう
。
勿論クラゲたちも無事ではない。ふよふよふわふわと浮いていた彼らも、一瞬にして身を固まらせている。ついでに……、
「どうですどうです? 私も冷っとさせられましたかね!」
「こっわ!? こわ!! ノータイムで本気になるのやめてくれぬか!? ヒヤッとしたわワガハイの心臓が!!」
ムルヘルベルの心臓までヒヤッとさせたのはご愛嬌……なのだろう。たぶん。
胸に手を当てる。尊大で……いうなればめっちゃ怒ってるその口ぶりは激しい。激しいが胸に手を当てて身をすくめて割りと本気でどきをきを抑え
ているような仕草をするムルヘルベルに、織愛はまったくもって、気にしない、と言うようないい笑顔でムルヘルベルに向かって親指を立てた。
「さあ、あとはばんばん燃やしちゃってください、ムルヘルベルくん!」
「ええ、しかも燃やすのであるか、あれだけ可愛い可愛い言ってて……」
どういうことなの。心臓を落ち着けながらもムルヘルベルが若干抗議めいた声を上げるも、織愛はどこぞふく風で、
「あ、でも焼かれてるところは可哀想なので後ろ向いてますね」
なんてあっさり背中を向けるのである。
「……」
戸惑うような沈黙は一瞬。
「若い娘とはわからぬものであるなあ……」
炎属性の魔法の矢を、ムルヘルベルは展開させた。動かぬクラゲに向かって打ち込むと、あっという間にクラゲたちは消滅していく。
「? 何か言いましたか?」
「いーや、なにも」
背中を向けているが声はなんともいつもどおりの織愛に、ムルヘルベルは肩を竦めて、掃討に取り掛かった
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
清川・シャル
f08018カイムと第六感連携
んー…シャルも思い返せば久しぶりなアルダワです。
故郷で簡単な花火なら見たことあるんですけど。
何にせよ楽しみなので、ちょっと退いてくださいね
ねぇ。クラゲかわいい。
カイム、後でどこかでクラゲ買って帰っていいです?
飼いたい。お世話するからー!
背中はカイムに任せてそーちゃん(なぎ払い、範囲攻撃、衝撃波)片手に走ります
地形の利用とかで走ればいいかな
UC使用後、チェーンソーモードに切り替えて振り回してますね
近接攻撃には櫻鬼(踏みつけ、吹き飛ばし、傷口をえぐる)の刃を出して蹴り攻撃しましょうか
敵攻撃には見切りとカウンターで対応です
カイム・クローバー
シャル(f01440)と第六感で連携して行動
アルダワに来んの、スゲー久しぶりだ。UDCにも花火はあるらしいが、こっちのそれは少し趣が違うみたいだからよ、観光気分に浸ってるのも悪くねぇ。
が、まずは仕事を片付けるとするか。
【SPD】
空を漂うクラゲの群れか。この外見で人類の敵だってんだから、ホントに骸の海ってのは分からねぇ。
オブリビオンじゃなけりゃ、ゆるかわキャラとしても売ってイケそうな感じなんだが。
シャルの援護を中心に。UCを併用しつつ、【二回攻撃】【属性攻撃】【なぎ払い】【一斉発射】【援護射撃】を用いて集団殲滅戦。
攻撃には【見切り】【残像】を用いて回避を中心に立ち回る
クラゲって…家で飼えるのか?
緩々ふわふわした石造りの遺跡は……、
いや、遺跡自体はまったくゆるふわではないのだが、
漂うクラゲの群れのゆるふわ感は、緊張感をそぐことこの上なく。カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は思わず感心したように一息、
ついた。
「空を漂うクラゲの群れか。この外見で人類の敵だってんだから、ホントに骸の海ってのは分からねぇ」
UDCが主な活動拠点のカイムにとって、この感覚もたまにはいいかもしれない、なんて思うのだ。本来ならついでにクラゲがかわいいとか触って
いきたいとか思うところであるが……、
「オブリビオンじゃなけりゃ、ゆるかわキャラとしても売ってイケそうな感じなんだが……」
ぬいぐるみ。いや、このひんやり質感が大事かもしれない。なんて真面目に分析するカイムに、
「うんうん、クラゲかわいい。ねぇ、カイム、後でどこかでクラゲ買って帰っていいです?」
どちらかというとまっとう(?)な感想を清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)が述べる。両手を握り締めてきらきらした目でふわふわクラゲ
を見ながら、
「飼いたい。お世話するからー!」
「クラゲって……家で飼えるのか?」
「飼えるー。飼えますよー。だから……ね?」
癒し、絶対。なんて。
訴えかけるような目で見られると、カイムは言葉に詰まる。
「んー……。そうだなー」
このまま押し切られそうな予感がひしひしとするけれども、というか、
「やったー!」
もう既に何か押し切った気でばんざいをしているシャルだけれども、
「ま、帰ったら、だな。どこに置くかとか、考えないといけねぇだろ」
「はーい」
素直に頷くシャルにカイムは笑う。ぽんとその頭を叩くように撫でて、
「アルダワに来んの、スゲー久しぶりだ。こういう観光気分に浸ってるのも悪くねぇ」
「んー……シャルも思い返せば久しぶりなアルダワです。故郷で簡単な花火なら見たことあるんですけど……。あはは」
「……んだよ?」
喋りながだ。なんだかとてもシャルが楽しそうに笑いをこぼすので、カイムは首をかしげると、
「なんだか、デートみたいだな、って、思ったの」
「……まずは仕事を片付けるとするか」
嬉しそうに言うシャルに、思わずカイムが視線をそらせて歩き出した。
「そうですね。何にせよ楽しみなので……、ちょっと退いてくださいね」
シャルも気にせず、鬼の金棒を握り締めるも、
「みたいじゃなくて、デートだろ。早く終わらせるぞ」
「……うんっ」
ふと聞えてきた言葉に、本当に嬉しそうにその後を追いかけた。
「さーて、今日は元気いっぱい気持ちいっぱい、地獄へWelcome!」
若干テンションの上がった声音で、シャルは桜色の重量級の呪魔力を帯びた鬼の金棒……愛称「そーちゃん」をクラゲたちへと叩きつけた。
「!」
ものすごい音を立てて、クラゲと一緒に傍らの石の壁が粉砕される。
「どーだ! 私と母様の得意技ですよー!」
返答はない(そもそもたぶん喋らない)。が、クラゲたちもただではやられていない。ふわふわと漂いながら、瓦礫の壁をすり抜けるようにして、
たくさんたくさん集まってきて、シャルに迫る。
「弾代はツケとくぜ! 特注品だから味は保証してやる!」
だがその前に、シャルの背中を護るように立つカイムの二丁銃が火を噴いた。黒を基本に金色のラインを持つ『双魔銃 オルトロス』は視界に入る
者達を広範囲に攻撃し、ふよっとしたクラゲの頭部に穴をあけ、叩き潰し破壊を尽くす。
「ん! 私も、そーちゃんには負けないのねっ」
その頼もしい攻撃に応える様に、シャルもまた「そーちゃん」をチェーンソーモードに切り替え突入する。なぎ払い。はたまた近寄る敵を衝撃波で
吹き飛ばし。ついでにピンク鼻緒の厚底高下駄で踏みつけたり蹴り飛ばしたり、まさにやりたい放題と言う言葉がぴったりの暴れっぷりである。
辛うじて生き残ったクラゲたちが、シャルの後ろに回ろうとするも、近付く前に容赦なくカイムの弾丸がそれを撃ち落していく。
「カイム!」
「ああ。このまま殲滅しようぜ!」
敵を吹き飛ばしながらも余裕の笑みを浮べるカイムに、りょーかいっ、とシャルも金棒をぶんっ。と振り回した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
倫太郎(f07291)と参加
【WIZ】他の猟兵とも協力します
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』でクラゲを『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「肩こりなどに効能があるかもしれません」
試すには危険ですし、それは油断というものでしょう
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
機械兵も支援します
重傷以上で【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
透明化で視認が難しいなら『第六感』を働かせる
噴出する水を星の『属性攻撃』で相殺を試みる
「倫太郎、このクラゲは食べられないのでしょうか?」
リュカは言及していませんでしたが、少し気になります
篝・倫太郎
マリス(f03202)と
電流とか、なんの罰ゲーム…
エレクトロレギオン使用
召喚した機械兵器は
水での攻撃と電流に当ててく感じで対応させるぜー
あんま、心配してねぇんだけども
一応、マリスの死角もフォロー
自身は華焔刀での先制攻撃としてのなぎ払いで範囲攻撃
刃先を返して2回攻撃
機械兵器で対応出来なかった攻撃は
フェイントと見切り、残像を使って可能な限り回避ー
とうめいになってるのは突いてもいーんだろか?
マリスー、どー思うよー?
ビリビリしねぇなら突いてみんのもあり?
ちっと蜜ぷに思い出させる感触かもしんねぇ、こいつら
おっと、あっぶね
マリス、あんがとなー
……食いしん坊か!
つーか、言わなかった以上は喰えねぇんじゃね?
あちこちから戦闘の声が聞えてきている。
「……主よ、憐れみたまえ」
きっと今、みな一丸となって戦っているのだろう。
祈りを捧げるマリス・ステラ(星を宿す者・f03202)の眼に星が宿る。それと同時に輝くような存在感を、ステラは全身からはなった。
その神秘的な空気に惹かれるように、クラゲたちもふよふよと集まってくる。
そうして同時にびりびりと放たれるクラゲからの攻撃に、ステラの身を包み込んだ光がオーラのように変化してその身を護り、同時に星の輝きと星
が煌めくカウンターで処理していく。
自身は一歩も動かない。まさに聖女のようなその様子でしかし……、
「なるほど、この力……、肩こりなどに効能があるかもしれません」
ものっそもったいぶって呟かれた言葉に、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)はまったく何の感動もしていない顔で機械兵を召喚していた。
「発想がコメディだな。電流とか、なんの罰ゲームだよ……」
周囲はかわいいだの癒されるだのという声が飛び交っていると言うのに。
などと言いながらもきっちり機械兵たちは満遍なく周囲に飛ばしている。機械兵は大丈夫だとは思いながらも、マリスの視界も含め周囲をきっちりフォローして、電撃に乗るように水での攻撃をあてていく。
「甘いですよ、倫太郎。いまさら私がふわふわかわいいなどというと思いましたか」
「いや、まったく思ってなかったけどさ!?」
何故か胸を張るマリスに、倫太郎は思わずそう返して華焔刀を振りかざす。攻撃をされる前にクラゲの群れをなぎ払う。
即座に切っ先を取って返して、確実にトドメをさしていく攻撃の倫太郎に対して、
「……」
ひたすら光での攻撃を続けるマリス。
「そっち、いったぞー」
「解りました。対処に問題はありません」
機械兵器からの支援での攻撃も、さほど難しいものではなかった。
数は多いがそれなりに手早く、着実に処理をしていく二人。そうなってくると少々、余裕が出てきて……、
「なあ、とうめいになってるのは突いてもいーんだろか? マリスー、どー思うよー?」
透明になって隠れているのを、倫太郎は指をさす。
いくら見えなくなっても、透明になる瞬間が見えてしまえばまったく動かないのだから本当に意味はない……のだと思うが、
「ビリビリしねぇなら突いてみんのもあり?」
「試すには危険ですし、それは油断というものでしょう」
「だよなー」
「ですが、あえて油断したいのであれば、どうぞ。触り心地がいいと先ほどどなたかがおっしゃってました」
敢えて止めはしない流れ。マリスの言葉にそうだなぁ。と倫太郎は華焔刀をえい、と軽い様子で透明なクラゲに突き刺すと、
「……ちっと蜜ぷに思い出させる感触かもしんねぇ、こいつら」
「おや」
と、言うなりマリスは大型の弓矢を一瞬で番えて、そして射た。
倫太郎につつかれて、水を放とうとしていたクラゲがその矢に貫かれて一瞬で破裂する。
第六感に導かれた攻撃は、同時に星の力でクラゲの水も相殺したので、倫太郎はその間にさ、と一歩引いた。破裂したクラゲが地面に落ちる。
「おっと、あっぶね。マリス、あんがとなー」
「いいえ。礼には及びません。……が」
が。と言ったマリスの語調が若干、強めの色を帯びていた。
なんだなんだ。と倫太郎は首をかしげる。
すっ、と目を開き、凛とした佇まいと表情で、マリスは、
「倫太郎、このクラゲは食べられないのでしょうか?」
また若干残念な発言であった。
「……食いしん坊か!」
倫太郎が思わず突っ込んだが、マリスは平然とした顔で、
「リュカは言及していませんでしたが、少し気になります」
「つーか、言わなかった以上は喰えねぇんじゃね?」
「試してみましょうか。倫太郎が」
「!? 俺が!?」
なお、どのようなものでも、
美味しいという保証もなければ、
毒がないという保証もないし、
死体が形として残っているならば、
まあ、有機物であれば食べられるのではないかと結論付けられるであろう。
「死体は……残ってますね」
「ああほら……次の新手がくっぞ」
冗談か本気かわからぬ……たぶん冗談と思いたい……マリスの言葉に、倫太郎も方を竦めて。さっさと新手へと向き直る。
解りました。仕方がありません、なんて。了承したのかしないのか。とにかくこの話は棚上げで、マリスも敵へと向き直った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
赫・絲
かいちゃん(f00067)と!
なにコレー!!!
ねーねー見て見てかいちゃんこれかっわいくない!?
めちゃめちゃかっわいくない!?
一匹ぐらいなら袋に入れて連れて帰っちゃえば……ダメ?
うっ、わかったよーお仕事だもんね
確かにリュカ困らせるワケにはいかないし、ちぇー
持って帰れないならバイバイ、だねー
おいで、白群、力を貸して
檻を作るように張り巡らせた鋼糸は、エレメンタル・ファンタジアの暴走を防ぐための指針
それを足場にして跳び上がるかいちゃんを避けつつ、精霊の力借りて紡ぐは風の大波
宙に漂うくらげたちを風の波で押し流すように一か所に纏める
よーし、こんなもんでどう?
それじゃかいちゃん、あとはよろしくよろしくー
壥・灰色
あーわかった、わかったわかった。わかったから
落ち着いていと。気持ちは解るけど敵だからね
遊びに来てるんならともかく、仕事だ
リュカを困らせちゃいけないよ
壊鍵『貫殺式』、起動
ロード、マーシレス・マグナム
遠隔衝撃弾『侵徹撃杭』を腕に装填
その威力を追加術式で加速・増幅しつつ
いとが張り巡らせた鋼糸を蹴り、空へ跳び上がる
横にまともに撃つと壁とか何とか壊しかねないしね
空まで駆け上がって下を見れば、いとが一所にまとめ上げた敵が見えるだろう
かわいい海月にするには酷な仕打ちだが、攻め上がってくるならば容赦は不要
真下に向け、凄まじい威力を帯びた圧縮済みの侵徹撃杭を射出
まとめ上げられた敵の一陣を、爆裂する衝撃で滅殺する
通路に満ちる、ゆるふわふよふよの気配……に。
「かいちゃんかいちゃん!!」
ふわわわわ。と赫・絲(赤い糸・f00433)は思わず目を輝かせた、
「なにコレー!!! ねーねー見て見てかいちゃんこれかっわいくない!? めちゃめちゃかっわいくない!?」
声に反応したのか、ふわふわとクラゲたちは絲の元へと漂ってくる。
「わ、わーーー!! 柔らかい! すべすべ! ちょっと冷たいー!」
触った感触なんだかすごく気持ちいい。飛び跳ねそうな勢いの絲に、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は軽く頭を掻いた。
「あーわかった、わかったわかった。わかったから。落ち着いていと。気持ちは解るけど敵だからね」
どうどう。と、無表情で絲を宥める仕草。今はおとなしいとはいえ、彼らが戦闘態勢に入ればそれなりにクラゲたちも反撃してくるだろう。
「一匹ぐらいなら袋に入れて連れて帰っちゃえば……ダメ?」
「しびしびするらしいぞ」
「ちょっとのしびしびくらい、大丈夫だよー」
「……」
だめ? と絲に可愛く聞かれれば、きっぱりだめ、と無碍にするのもなんだかはばかられて。何とか気の利いた返しを考え……、
「これは……そう。……」
考え……。
……。
何とか気持ちをそらさねばならない。灰色は無表情のまま固まって考え込むこと数秒。
「遊びに来てるんならともかく、仕事だ。リュカを困らせちゃいけないよ」
結局正攻法で攻めることにした。「そのほうがクラゲさんのためなんだよ」とかかわいい感じのことを言いたかったのだけれど、自分にはそれが限界だった。仕方がない。
「うっ、わかったよーお仕事だもんね。確かにリュカ困らせるワケにはいかないし、ちぇー」
そしてそんな灰色の葛藤を知ってかしらずか、絲は残念。と、あっさり納得して、つついていたクラゲたちから一歩下がる。
「持って帰れないならバイバイ、だねー」
絲がそういった、その一瞬で。
絲の纏う空気が変化した。
「おいで、白群、力を貸して」
すでに絲にとってクラゲはもはや、「興味を失ったもの」だった。
グローブを嵌めた手をふわりと操ると、檻を作るように絲は鋼糸を張り巡らせていく。
「壊鍵『貫殺式』、起動……。ロード、マーシレス・マグナム」
その空気のかわりに若干安心しながらも、灰色もまた遠隔衝撃弾『侵徹撃杭』を腕に装填し、ついで追加の術式を起動していく。
「加速、増幅……。借りるぞ」
言って。
灰色は出来上がった絲の檻を足場に空へと駆け上がった。
「どうぞどうぞ。行ってらっしゃいかいちゃんー」
なんて。絲は軽い声を上げながらも、すぐさま精霊の力を借りて風の大波を作り出す。
そのころ、漸く二人が敵対存在だと気づいたのか。ふよふよ。ふよふよ。と、二人から離れようとするクラゲたちに……、
「だーめ。一箇所に集めるよー」
絲は躊躇わずに風の波をぶつけた。
鋼糸はその風暴走を防ぐ檻と共に、クラゲたちを阻む檻ともなっていた。
漂うクラゲたちは風によって押し流され、どんどんどんどん、一箇所に集まっていく……。
「よーし、こんなもんでどう?」
「ああ。いとにかかればあっという間だな」
問いかけには肯定がかえる。絲は嬉しそうに軽く頷いて、
「えへへ。それじゃかいちゃん、あとはよろしくよろしくー」
「ああ、任せろ」
そうしてもう一度跳躍し、一気に空高くへと飛び上がった。
灰色の攻撃は高威力で。うかつに撃って壁やらを壊したくなかったのである。
「かわいい海月にするには酷な仕打ちだが……」
檻に囚われたクラゲたちが、じっとこちらを見ている。
「だが、侵攻してくるならなら容赦は不要。……貫け!」
声を上げたその瞬間に、
灰色は凄まじい威力を帯びた圧縮済みの侵徹撃杭を射出した、
収束した力はもはや爆発のようになって周囲に圧倒的な衝撃を叩きつける。
「!」
まとめられたクラゲたちに逃げるすべもなく。クラゲたちは一瞬でその場で破壊され、跡形もなく吹き飛ばされていった。
「おお、さっすがかいちゃん」
思わず絲が手を叩く。集められていたクラゲたちはもはやかけらも残っておらず、
「ああ。じゃあ、次にいくか」
「はいはーい」
二人はまた、次のクラゲを探して歩き出すのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
琶咲・真琴
【かんさつにっき】
くらげさん、いっぱいですね
ふよふよとしてて
お祖父ちゃんとお祖母ちゃん(familia pupa)みたいです
姉さんが先行したら
続いていきますよ
……ホントは男の俺が真っ先に行くべきなんだろうけど(ボソリ
本物のくらげさんは触るとシビシビしますけれど
このくらげさんは……
わっ、ぷにぷに
気持ちいいですね
写真っ!
アキさん、ナイスアイディアです
お祖父ちゃん達も一緒に撮ろう
姉さんにぷにり返しだいっ
杏姉さんと息を合わせて
UCでカラフルな氷の弾をくらげさんに鎧無視のスナイパー範囲攻撃
お祖母ちゃん達も援護射撃・誘導弾!
衝撃波付きですよ
カウンター・グラッブルなど使える技能をフル稼働で皆さんを守ります!
駒鳥・了
【かんさつにっき】
オレちゃんことアキの人格でゴーだよ!
理由?夏の演出、じゃないかなー?
めっちゃ夏アイテム(違)だけど!
さー鈍ちゃん、やっておしまい!(ノリ
すっごい!ぷにぷに感触おもしろーい!
これ凍らせて持ち運んだら涼しいだろうなあ(うっとり
後で祭莉くんに話すなら写真も撮っとく?
堪能しきったらそろそろお片付けタイム?
距離取ってねーせーのーでえいっとUCの衝撃波を放って無敵解除!
水の攻撃は衝撃波を同じ箇所にばんばん放って散らしながら突撃!
くらげ集団に突っ込んだら薙ぎ払い!
囲まれる前に琶咲ちゃん杏ちゃんの防御に頼って撤退
最後は石を1つ残りのくらげに放って衝撃波一発!
上手く弾けて光ってくれるかなー?
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
これってもしや、透明っぽくさせたらぷにぷにし放題?(わくわく
仕方ないなぁ、どうしてもって言うから(杏の期待の目を前に、無駄にツンデレ風味
アキの声に合わせ剣刃一閃!
薙ぎ払いの範囲攻撃で
周囲のクラゲ達を一斉に防御態勢にさせるよ
じっと動かないクラゲをぷにぷになでなで
ひんやり冷たい!
暑い日には丁度いいね
こういうぬいぐるみ欲しいかも
クラゲが動かず大丈夫そうなら
写真撮るタイミングで真琴の頬にもぴとってしてみたり♪
凄く楽しい
でもちゃんと倒さないとだしね
クラゲの無敵状態が解除されたら
氷の属性攻撃な斬撃で凍らせて仲間を援護
クラゲ達を倒して見送るよ
ここを君達の領域にはさせられない
骸の海に帰りなね
木元・杏
【かんさつにっき】
急いで学園に向かって
ね、アキ(了・f17343)、迷宮の子達
地上で何するのかな
不思議だけど今はしっかり食い止めて…
くらげ?
姿を見て、ぴたりと止まり
思わずきゅんとして首ふるふる
ん、ぷにらな……違う、倒さなきゃ
がんばろうね小太刀
ぐっとして、小太刀がUC使うのわくわくと待つ
(至福のぷにタイム)
ぷにっとしたら
あ、少し色かわった
ほら、真琴もやってみて
無心にぷにる(ぷにぷに)
ん、あとで双子の兄にも報告する
写真?(目が輝いて)アキありがと
もうおわり?
アキ、よろしく
攻撃が通るようになれば【鎌鼬】
水は剣でオーラを皆に展開して防御
オーラで水を弾いて
くらげさんもきらきら光って
ん、きれい(こく)
【かんさつにっき】のみんなは、急いで学園へと急ぐ。
石の壁に彩られた角を曲がって、ちょっと埃っぽい道を進む。
ちょくちょく落ちている黒い石は、れいの火花が散る石だろうか?
「ね、アキ、迷宮の子達、地上で何するのかな?」
木元・杏(微睡み兎・f16565)が静かに、そっと囁くように言うと、
「んー、理由? 夏の演出、じゃないかなー?」
「えんしゅつ?」
「そうそう、めっちゃ夏アイテム(違)だから! こーれはオレちゃんたちに、夏を楽しめーってアルダワの神様が言ってるんだってー!」
びしっ。とは知りながらなぞのポーズを決めた駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)。その横を鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)が冷た
い目を向けて駆け抜けていく。
「バカじゃないの。アルダワの神様って何よ。……そんなものに言われなくても、私たちは好きなだけ夏を楽しめるわよ」
友達なんだし。とかいう言葉の最後のほうはむにゃむにゃ口の中でいっているので、先行する小太刀を琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)
はあわてて追いかけた。
「あ。あの、姉さん、今なんて……」
「何も言ってないわよ。いいから私の後ろに隠れてなさい。危ないから」
「は、はいっ」
つっけんどんな小太刀の言い方には気にせずに、真琴はあわててその後を追う。
(……ホントは男の俺が真っ先に行くべきなんだろうけど……)
なんて想いが頭の隅を掠めたが、まあ、たぶんそうしたら小太刀も怒るだろうと思われるので。
ひとつ首を振って、真琴はその後に続いた。
「うーん……。侵略って言っても、クラゲに侵略なんてどうやって……不思議だけど今はしっかり食い止めて……」
結果杏が一人真面目に考えることになるのだが、そこは気にせずに指定された区画に足を踏み入れ、いくつか角を曲がった……そのところで、
「……っ! 止まって!」
「ふぎゃっ」
「わわわ……」
「は、はいっ」
小太刀が急停車して、その背中に了が突っ込む。そして急に止まれない真琴が突っ込む。辛うじて杏は踏みとどまった。
「ちょっ、止まってっていったじゃない。危ないでしょ……っ」
結果、とどまりきれなかった小太刀も一緒に転がった。一気に視界が開けた杏があわてて顔を上げると、その先にいたのは……、
「……くらげ?」
そう。
なんとも優しげなまるっとしたフォルム。
ふわふわと、上へ、下へと動き回るその動きは緩やかだ。
「……!」
思わず絶句したのは、そんなクラゲたちがあちこちに存在していて、何をするでもなくふわふわと漂っていたからだ。
こちらに気づいているのか、いないのか。今のところ襲い掛かってくる気配も……ない。
杏は思わずきゅんとする……そのとき、
「おーい。起きてるー?」
起き上がった了が、フルフルと杏の目の前で手を振っていた。
「くらげさん、いっぱいですね。ふよふよとしてて、お祖父ちゃんとお祖母ちゃん(familia pupa)みたいです」
真琴が穏やかに微笑んで、ふらっとクラゲのほうに近寄る。クラゲも気づいたのか、ふわわわわーっとこっちに近寄ってくるので、思わず真琴はそ
の手を伸ばして……、
「もう。危ないわよ」
小太刀に止められた。一応こんなでも敵なのだ。心苦しいが、小太刀も止めざるをえない。……だが、
「そう! 今この状態なら、危ないけど……」
まことに遺憾ながら。と、涼はうんうんと頷き、それからにやりと笑い……、
「さー鈍ちゃん、やっておしまい!」
びしぃ! と。クラゲに向かって指を突きつけた! その言葉に小太刀はやれやれ。なんて妙に芝居がかったような口調で、
「仕方ないなぁ、どうしてもって言うから……」
「ん、ぷにらな……違う、倒さなきゃ。がんばろうね小太刀」
小太刀の言葉に、応援! とばかりに杏も後ろからわくわくと見守っている。真琴など言わずものがなであったので。小太刀も、
「ぷにぷにし放題、堪能させてもらうわよっ」
若干ツンデレ感をかもし出しつつも、古びた日本刀をものすごくて加減しながら一閃、なぎ払った。
「ふ……っ。アキがどうしてもって言うからよ、どうしても」
なお、「これってもしや、透明っぽくさせたらぷにぷにし放題?」なんて一瞬前まで小太刀も大いに目を輝かせていたことは、誰も突っ込まなかっ
た。
びしぃぃぃ! と。
小太刀の攻撃を受けて、周囲のクラゲたちが一瞬で硬直する。手早く攻撃を、手加減してくわえていくと、周囲のクラゲたちは瞬く間に透明化しつ
つも固まって言った。
こうなるともうクラゲたちは動かない。
「やっほォ、実験せいこー! すっごい! ぷにぷに感触おもしろーい!」
さっそく! と了が駆け寄ってクラゲをつつく。
「本物のくらげさんは触るとシビシビしますけれど、このくらげさんは……」
その言葉に、真琴もそっと手を伸ばす。そ、と手を触れると、なんともいえない触れ心地。
そう、柔らかく、
程よく弾力があり。
いつまでも触っていられるような。
どこか沈み込むような。
端的にいうと、ひとがだめになりそうなクッション感覚がした。
「わっ、ぷにぷに。気持ちいいですね」
おぉ……。と思わず感動する真琴に、
「あ、待ってよ。わたしも……」
きゅんと高鳴る気持ちを抑えながらも、杏も駆け寄った。つつくと、
「わ……あ」
気持ちいい。
なので、ぷにぷに、と続いてつついてみると、
「あ、少し色かわった。ほら、真琴もやってみて」
「色? あ……っ」
言われてやってみて、目を輝かせる真琴。そんな二人を見ながら、
「ひんやり冷たい! 暑い日には丁度いいね。こういうぬいぐるみ欲しいかもー……」
いい具合の高さのクラゲに頭をおいて枕風。ふわーっとその感触を小太刀は堪能していた。
「鈍ちゃん鈍ちゃん、わけてわけてー」
「ちょっとアキ。自分の枕を探しなさいよ」
「一緒がいいのー。ぁー。これ凍らせて持ち運んだら涼しいだろうなあ……」
小太刀の枕に割り込んで、はぁぁと幸せそうな息をつく了。それから、
「そうだ。後で祭莉くんに話すなら写真も撮っとく?」
なーんて。軽いノリで言った言葉に、がばっ。と真琴は顔を上げる。
「写真っ! アキさん、ナイスアイディアです」
「写真かー。クラゲも動かなさそうだし、大丈夫かな?」
小太刀も一応、様子を確認してから頷くと、
「……ん?」
めっちゃ真剣にクラゲをぷにっていた杏も顔を上げた。
「写真? アキありがと」
あとで双子の兄にも報告するし、そのときに写真があればきっといいだろうと頷く杏。
「よーしよし! そうと決まればー!」
了が張り切って、腕まくりをした。
「お祖父ちゃん達も一緒に撮ろう」
真琴がそういって、2体の少年少女の片翼の人形も一緒に、と準備をする。
「ほらほら、集まって集まって。オレちゃんそっち側ねー」
「わかったわかった。行くわよ……それっ」
と。
写真を撮るその瞬間、小太刀は真琴の頬にもぴとっとして、
「ん、姉さん」
おかえしっ。と、真琴にぷにりかえされていたのは、また別の話。
「さーて。堪能しきったらそろそろお片付けタイム?」
とはいえ敵は敵。楽しくともそのままにはしておけない。
「凄く楽しい……。でもちゃんと倒さないとだしね」
わかっているのだ。了の言葉に小太刀も小さく頷いた。
「杏姉さん」
「ん……、もうおわり?」
真琴の言葉に案も頷いて若干後退する。
「アキ、よろしく」
「ああ! それじゃ、いくかねー。ねーせーのーでえいっと……!」
こんどはえいっ、と。妖刀の怨念を纏った了が斬撃による衝撃波を放った。
「そーれ、お片づけだお片づけだー!」
目貫の蛇が紅に染まる、「無銘蛇目貫」を片手に了はなぎ払い、なぎ倒し、しながら突撃していく。
攻撃を受け、あるものはそのまま消え去りながら、あるものは生き残り、透明化を解除していく。
となればクラゲたちもまた、いつまでもぷにられているわけもなく攻撃に転ずるのであるが……、
「逃げないで?」
杏がうさ印の護身刀による素早い一撃を放つ。クラゲたちを切り裂いて、同時にウサミミメイド人形も糸に操りひらり、ひらりと攻撃に加わった。
「この世を彩りしものよ、舞い踊れっ!―――神羅写成・彩色演舞っ!!」
同時に真琴もカラフルな氷の弾を次から次へと撃ちこんでいく。
「アキさん!」
「っ、と!」
大量のクラゲに囲まれそうになるところを、二人の攻撃に紛れるようにして了は間一髪で撤退した、
「ボクも、皆さんを守ります!」
「……言うね」
氷の弾で的確に削っていく真琴に、小太刀も小さく頷く。刀に手をかけ、同じく援護をするように、撃ち漏らしたクラゲたちにトドメをさしていく
。
「ここを君達の領域にはさせられない。……骸の海に帰りなね」
見送るように、独白する小太刀の言葉。そんななか、了は足元に転がっていた石をひとつ、手に取った。にやりと笑うと。
「上手く弾けて光ってくれるかなー?」
そーれ! とばかりに石を投げる。同時に衝撃波が、最後の一匹のクラゲを包み……、
なんとも派手な音と光が、周囲を包み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベイメリア・ミハイロフ
まあ、涼しげでかわいらしいゼリーでございますね
…?ゼリーではなく、くらげさんでございましたか
お相手の攻撃は絶望の福音にて先見し回避を
回避できない場合はオーラ防御にてダメージ軽減を図ります
WIZ攻撃は、電撃耐性も活用を
水の攻撃は…涼しそうではございますが
水圧というものは時に怖いものでございます
どの位の強さの水なのでしょう
オーラ防御にて、一度受けてみたいと思います
こちらからの攻撃はRed typhoonにて
なるべく多くの対象を攻撃範囲に入れられるよう位置取りをし
撃破できそうな対象がいましたならば
ジャッジメント・クルセイドにて数を減らすようにいたします
お仲間さまと共闘できますれば連携を意識いたします
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
あづづづッ――! 電流とか怖ぇだろ!
ったく、見た目涼しいのはいいけど、痺れさせられるんは勘弁だ!
数は多いけどおれじゃまとめて薙ぎ払うなんてことは出来ねえ……だから、一匹ずつ確実に仕留めるしかねえか……!
とりあえず、向こうの攻撃は〈第六感〉でタイミングを察知しつつ《逆転結界・魔鏡幻像》で相殺したり〈敵を盾にする〉ことでやり過ごしていく。
あとは〈フェイント〉で向こうに隙が出来たところを狙って射撃攻撃したりだな。
他に仲間がそばにいるんだったら、〈援護射撃〉で他の仲間が攻撃するチャンスを作ったりして、連携を重視して動くようにするぞ。
「あづづづッ――!」
シビシビシビシビシビシビシビ!
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)の声が響いた。
クラゲは可愛らしいつぶらな目(?)をして、迷宮を行く嵐に目をつけると懐くように漂い、きらきらとその顔を見上げ、そして一瞬で雷撃を放つ
という極悪非道な所業を為す。
まさに一瞬の出来事であった。
「っ、ってーよお前。あと 電流とか怖ぇだろ!」
避けんでも聞こえているかどうかはいまひとつ不明である。
ふわふわーっと逃げそうになるクラゲをあわててお手製スリングショットで打ち抜く嵐。一瞬ではじけた水風船みたいに倒されたそれに、うぅーっ
とまた逆立つ髪の毛を軽くかいた。
「ったく、見た目涼しいのはいいけど、痺れさせられるんは勘弁だ! いくら可愛いったってあれじゃぁ……」
ダメだだめ。なんて若干怒り気味に進んでいく嵐であったが。石造りの廊下をひとつ、曲がったときに……、
「まあ、涼しげでかわいらしいゼリーでございますね」
なんとも穏やかで優しい声が聞えてきた。
「あら、触ってもよろしいのですか?」
「っ、だめだ、そいつは……!」
聞えてきた声に、あわてて嵐は角を曲がる。今丁度まさに、深紅のシスター服を着た女性がクラゲへと手を伸ばし……クラゲの体から電流が放出さ
れようとしている、その寸前だった。
「危ない!」
「はい?」
「……っ、あだだだだッ――!」
本日二度目のシビシビであった。
「まあ……? ゼリーではなく、くらげさんでございましたか」
「ああ。ていうかお前なら、簡単に避けられたのかもしれないけれど……」
「そんなことございませんわ。ありがとうございます。とても助かりました」
「それは……どういたしまして」
深々と頭を下げるベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)に、嵐は軽く頬をかく。そう丁寧に御礼をされると、なんだか面映い。
先ほどのクラゲは倒したけれども、尽きたわけではない。相変わらずふわふわと通路に満ちる彼らは、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。統率が
取れているようには見えないが、数だけは多かった。
今はまだ、漂っているだけだけれども、中には先ほど見たように、襲ってくるクラゲも少しはいるし、何より戦闘が始まれば他のクラゲたちも戦闘
に参加してくるだろう。
「おれじゃまとめて薙ぎ払うなんてことは出来ねえ……だから、一匹ずつ確実に仕留めるしかねえか……!」
「ええと……多数を相手することでしたら、多少は。では、これも思し召しでしょう。よろしければ共に往かれませんか?」
ベイメリアの提案の、嵐は漂うクラゲたちからちらりとベイメリアのほうに視線をやる。
「そうだな。じゃあ……」
「はい、お任せください」
賛同の証に嵐が片手をあげると、ぽんと軽くベイメリアもその手にタッチした。
「悪しきものよ。他者に荒ぶり、この世に邪悪を成すものよ。紅の聖花の洗礼を受けなさい……!」
ベイメリアが手にする紅の聖書が、一瞬にして深紅の薔薇の花びらへと変わっていく。
花びらは水色のクラゲたちを赤く染め、押し流すように無差別に攻撃して行った。
そのとなりで嵐も再びスリングショットを準備する。
「……、そこだっ」
花びらの攻撃から逃れようとするクラゲを、的確に撃ち落して行った。
「ところで」
「うん?」
「水の攻撃は……涼しそうではございますが」
「……うん」
主にそれを基本として戦うこと数分。徐にベイメリアが言い出したことを、嵐は驚かなかった。数分の戦いでなんとなく彼女のことが解っていたか
らだ。「またなんか変なこと言い出したな」ぐらいの気持ちで先を促す。
「水圧というものは時に怖いものでございます。それは理解しております。しかし、暑いのもまた事実……。どの位の強さの水なのでしょう?」
「さあ。電撃はそこそこ痛かったけど……」
「肩こりには」
「効かない」
「まあ」
話をしながらも嵐はスリングショットの次弾を整え、ついでに鏡を召喚する。止めはせずに援護するつもりではあるがそこまでは言わない。それを
知ってか知らずかベイメリアも体にオーラを軽くまとって、
「では、行ってきますっ」
「はいはい」
一度深紅の花嵐を解除して、ベイメリアはクラゲたちへと突入した。
「さあ……どうぞ!」
両手を広げるベイメリアに、クラゲたちはふわふわと近寄ってきて、ぱしゃんっ、と水をかける。
「……!」
「大丈夫か~?」
「少し痛いですが、涼しく思います」
「なるほど、それは……」
よかったと。嵐が言い終わる前にスリングショットを撃ち出した。
まったく予備動作なしのフェイントで、ベイメリアに近付こうとしていたクラゲを撃ち落す。
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず。……幻遊びはお終いだ」
次いで自分の背後に迫ったクラゲを鏡に映し、嵐はその攻撃を相殺するとそのままそのクラゲを盾にして別のクラゲの攻撃を押し戻した。
「ありがとうございます。好奇心も満たされましたわ」
「どういたしましてっ。……っていうかもうちょっと攻撃がゆるけりゃ、色々遊べたんだけどなー」
「あら。あなた様も一緒に水を受けて見ます? 少し衝撃がございますが、涼しくなりますよ」
「あーっと……、遠慮しときます」
若干真面目に検討して、真面目にお断りする嵐。真面目に、着実に、敵の撃破を続ける彼に、
わかりましたとベイメリアも微笑んで、敵へと向き直るのであった。
さあ、敵の殲滅まで、あと少し。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
そわそわっ
アルダワの生き物はなんでこう
こうこう
かわいいよネ!
水族館?いいとも、僕がエスコートするよ!
デート? むー(ちょっと顔を赤らめ
まずはクラゲが相手だネ
この半透明な具合が実に良い
ぷるぷるしていて
触ったら涼しくなること間違いなし
ぎゅっとしてみるよ
しびびび
あはは、ソヨゴも痺れてるネ!
指をさして笑うけど僕も痺れてそれ以上動けない
ここが水中ではなくてよかった
え?別にはしゃいでないとも
いつも通りだネ
強いて言うなら僕は水族館にいそうな生き物は好き
あ、戦闘ネ
かわいくてもオブリビオン
やります
鎌を取り出してさくさくっと
城島・冬青
・アヤネさん(f00432)と
クラゲがふよふよ!
涼しげだし可愛いですね
最近暑くなってきたし水族館に行きたくなります
お?連れて行ってくれるんです?それは楽しみです
デートですね!(※他意無し)
…何かアヤネさんの顔が赤くなった気がするけど暑いのかな?
クラゲを攻撃するのは気がひけますが仕方ないです
サクっと斬っていきましょう
離れたクラゲには死神の矢で攻撃
しかしこれ触ったらひんやりしていて気持ちがいい…ということはないですかね(軽くつん)
?!!(感電でシビビビ)
やめときゃよかった…(痺れた箇所を摩り)
以降はクラゲには絶対触らず近づかれてもダッシュで逃げ回りひたすら攻撃
…何かアヤネさん、はしゃいでませんか?
そわそわっ
「アルダワの生き物はなんでこう。……こうこう」
アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)はふるふると震えていた。堪えきれぬように、ぐっと拳を握り締め。そして深呼吸するように一息、ついて
から。
「かわいいよネ!」
アヤネにとっていまだかつてない心の叫びが、迷宮の中にこだました。
「アヤネさん、アヤネさん。クラゲがふよふよ! 涼しげだし可愛いですね!!」
「ああ。そうだろう。そうだろうとも!! この可愛らしいフォルム。ぷにぷにとした肌、穏やかに揺れる動き!!」
目を輝かせて言う城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)に、アヤネは頷き、そして語る、語る、語る。
「この半透明な具合が実に良い!!」
「は、はい……はい?」
「ぷるぷるしていて、触ったら涼しくなること間違いなし!!」
なんだか妙に力説するアヤネに、冬青は気おされたように頷く。それから若干気を取り直したように、
「こんな子達を見てると、最近暑くなってきたし水族館に行きたくなりますね」
「水族館?いいとも、僕がエスコートするよ!」
何か即反応だった。冬青は内心首をかしげながらも、笑う。
「お? 連れて行ってくれるんです? それは楽しみです。デートですね!」
「デート? むー」
そこで初めて言い淀むアヤネ。今までの勢いはどこへやらである。
「……何かアヤネさんの顔が赤くなった気がするけど、暑いですか?」
「へ!? えええいやいやなんともないよ。まずはクラゲが相手だネ!!」
まったく暢気な冬青の言葉に、アヤネはぶんぶんと首を横にするのであった。
それはさておき。
「そう。まずはこのクラゲさんが相手。この……」
通路に満ちているクラゲたちに近付く。
半透明な、うす青い姿。
ふわふわとした体は抗いきれない魅力を放っていた。
「可愛い……。攻撃するのはちょっと、気が引けてしまいますね」
感無量。言葉にならないアヤネの隣で、冬青もそ、とクラゲへ手を伸ばした。
「しかしこれ触ったらひんやりしていて気持ちがいい…ということはないですかね」
軽くツン、と冬青はクラゲをつつく。
クラゲの質感はそれはもう非常に気持ちよかったのではあるが……、
「?!!」
しびびびびびびびびびびびび
!!!!!!!
「ひゃ、なんかきたー!!」
「あはははははははははは」
思わず声をあげる冬青。何かものすごいいつもと違う笑い声が聞えてきていて、あわてて冬青が視線を向けると、
両手でクラゲを抱きしめて、しびびびされながらこっちを指差すアヤネの姿が眼にはいった。
「あ、アヤネさーーーん!?」
「あはは、ソヨゴも痺れてるネ!」
しびびびされながらめっちゃ抱きしめているアヤネ。
「ちなみに僕の腕はもうこれ以上動かないヨ! まあ、腕と言うよりもう全身動かないんだけれどネ!」
「そ、そんなこと自慢してどうするんですか! うぅ、やめときゃよかった……」
「ここが水中ではなくてよかったネ!」
まだ冬青は指先がしびれたぐらいで済んでいる。ちょっと引きながらも、半眼でアヤネを見つめた。
「……何かアヤネさん、はしゃいでませんか?」
さっきから感じた違和感。異様なまでのテンションの高さに、冬青が胡散臭いものを見る目でアヤネを見つめる。
「え? 別にはしゃいでないとも。いつも通りだネ」
「……」
何か、よっぱよってないよ、って言うときに似てるなって、冬青は思った。その視線を感じたのか、
「強いて言うなら僕は水族館にいそうな生き物は好きさ!」
「……わかりました。是非今度、水族館に行きましょう。……っと」
装甲している間にも、しっかり飛んでくるクラゲの攻撃に、冬青は一瞬で身をそらす。もうこれ以上シビシビされるわけには行かないと、
「切り裂け、疾風!!」
花髑髏を向けた先、カマイタチを発生させてクラゲを切り刻むと、
「あ、そうそう。あ、戦闘ネ」
何か思い出したように、アヤネもぺいっ。とクラゲを放した。
「さようなら君。とてもとても心地よかったよ……」
実際その触り心地はとてもよかったのであるが、シビシビするのだから仕方がない。
「かわいくてもオブリビオン。やりますやりますさくさくと」
格納されていた大鎌を取り出す。気楽な口調であったがその攻撃意思は冬青にもしっかり伝わったので、冬青はほっと息をついた。
「よかった。アヤネさんがこのままクラゲのところの子になっちゃったら、どうしようかと」
「……クラゲのところの子って何だろう……?」
なんだかよく解らないが、敵である以上は愛ではしても容赦はしない。
「それじゃ、頑張ろうか。UDC形式名称【ウロボロス】術式起動。かの者の自由を奪え」
「はーい。水族館デートの前に、花火デートですからね!」
また暢気に言い放った冬青に、アヤネの手元が動揺でちょっと狂ったのは、別の話。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エンジ・カラカ
ふよふよ、ふわふわ
アァ……とってもとーっても気持ち良さそうに浮かぶンだなァ……。
賢い君、賢い君、アレはなんだ?
見慣れないヤツだなァ……。
触ってもイイ?イイ?
ふわふわしているのだからきっととーってもふわふわなンだろう。
試しにアカイイトで結んでみようカ。
ふよふよクン。お前はとーってもふわふわしてるンですカー?
答えなんか返って来やしないケド。
ヘンテコな攻撃はやーっぱり不思議。
ヘンテコな動きもやーっぱり不思議。
なァなァ、追いかけっこしーましょ。
コレが鬼。よーいどん。
ふよふよするクラゲの電流を自慢の足で避けながら
ふよふよ鬼ごっこを楽しもうカ
ふよふよ、ふわふわ。
時折ふるふると身を震わせれば、
なんにかぴゅーっと水を吐き出しているものもいて。
「アァ……とってもとーっても気持ち良さそうに浮かぶンだなァ……」
なんだか見ているだけでぼんやり眠くなりそうで。
エンジ・カラカ(六月・f06959)はふわー。と軽くあくびをした。
「賢い君、賢い君、アレはなんだ?」
見ているだけで眠気を誘う。
なんだかとっても水気の多そうな生き物がいっぱいいる。
「見慣れないヤツだなァ……」
そんな感想。勿論賢い君からの答えはないし、
どこかで名前を聞いたはずだけれども、まーったく覚えてもいなかった。……ので、
「触ってもイイ? イイ? ふわふわしているのだからきっととーってもふわふわなンだろうなァ」
いいよねーって。自分で言って、自分で解決。
ふわふわ丸いフォルムのクラゲを、つつつーっと指先でつついてその感触を確かめた。
「わ」
手触り滑らか。
すべすべお肌。
「ふよふよクン。お前はどうしてこんなにとーってもふわふわしてるンですカー?」
勿論返事なんて返ってこないけれども。
のんべんだらりとエンジはクラゲたちを眺めていた……そのとき、
「お」
しびしび! と。
触れたのに反応したのか、クラゲの一匹がエンジに電流をお見舞いした。
それほど痛くはないが、若干しびれる。
「おぉー」
なのでまったくエンジは気にせず。どこか楽しげに顔を近づけた。
「試しにアカイイトで結んでみようカ。そうだそうだ、そうしよう」
やっぱり答えは返ってこないが気にしない。もえる赤い糸をクラゲへと放つ。釣るんとしたが意見をしていたけれども、きちんとそれは掛かってく
れて、パシャン。と、水音を立ててクラゲは破壊された。
「……ふよふよクンは柔らかなんだねえ。……よーし」
それを敵対行動と取ったか、周囲にいるクラゲたちも一斉に戦闘態勢に入る。
先ほどの攻撃で、大体のクラゲの力を図れたエンジは、軽く首をかしげて、
「ヘンテコな攻撃はやーっぱり不思議。ヘンテコな動きもやーっぱり不思議」
軽くその場で足踏みを。も一つ壊さぬように、エンジはクラゲに赤い糸を投げつけて、
「なァなァ、追いかけっこしーましょ。コレが鬼。よーいどん」
放たれた電撃を、自慢の足で避ける。ふわ、といっせいにクラゲたちが左右に移動を始める。
「ふよふよ鬼ごっこを楽しもうカ。あんまり早く、終わらなければいいけどなァ」
やっぱり応えかえらぬクラゲだが、やっていることはわかるのだろう。
ふわふわした戦闘は、ふわふわしたまま始まっていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
都槻・綾
くらげもまた
水中の花火のようだと思える
ふよふよ舞う愛らしい姿に
笑みを零しつつ
綺麗ですねぇ…
自身も海の中を漂う心地になって
ふわふわした歩みで踏み出すけれど
やはり此処は水無き地面
揺蕩うことは叶わず
響く足音が、人の体の重みが、ほんのり寂しい
近寄るくらげ達は遊んで欲しいのか
ちょっぴりしょげた背中を慰めてくれるのか
淡く微笑んで礼を告げたなら
此の先には
あなた達の『海』はありません
還るべきは彼方の海で
其処ならきっと存分に游げるはずですよ
だから、
送りましょう、と手を差し出して
きょとんと不思議そうなくらげ達を
帛紗で優しく包み込み
馨遥の甘い花の香りで眠りへ誘おう
おやすみなさい
どうか現し世に迷わず
海へ還れますように
ふわ、ふわ、ふわ。
ふよ。ふよ。ふよ。
遺跡の中を、上へ、下へ。
漂うクラゲの姿もまた、
水中の花火のように美しかった。
足音と共に、廊下を歩けば、
都槻・綾(夜宵の森・f01786)もまたどこか。花火の中をたゆたっているような。
まるで深海の中を進んでいくかのような、不思議な感触にとらわれる。
「……綺麗ですねぇ……」
触れぬように気をつけながら、ふよふよ踊る姿を綾は堪能する。
「クラゲは癒しだと言う方もいらっしゃいますが、なるほどこれは、確かに……」
いいかもしれないな。なんて思案気味。
いっそ大きな水槽の中で暮らしたい……なんて、思うけれど。
「ああ……」
けれども歩けど歩けど残念ながら、固い足元の感触からは離れられず。
周囲に満ちるのは水ではなく空気である、重力を強く感じるわが身があるだけだ。
「やはりこの身では、沈めませんね」
さて、幻想の水族館の中へ行くのなら、浮くのだろうか。それとも沈むのだろうかと。
綾にはどちらか、判じかねるのだけれど、
ただ、少し残念だ。
こんな穏やかなクラゲのいる空間で、揺蕩うことが出来たならどんなにかよかっただろうにと……。
残念ながら、響く。土を踏み足跡を感じながら。綾はそっと目を細めた。
「……」
そんなちょっぴりしょげたように見えるかもしれない、その背中に。
ふわ、ふわ、ふわ、と。
クラゲたちが綾を見つけたのか、漂ってくる。
「おや。慰めてくれるのですか?」
それとも、遊んでほしいと。仲間になろうよといっているのだろうか……。
近寄るクラゲに綾は指を伸ばす。
「……ありがとうございます。けれど、あなた達の仲間になることは、できません」
微笑んで、丁寧に綾は礼をして断りを入れる。それから、
「……此の先には、あなた達の『海』はありません。還るべきは彼方の海で、其処ならきっと存分に游げるはずですよ。だから……」
送りましょうと、綾は手を差し出した。
ふらふらと近寄ってくるクラゲたちを帛紗で優しく包み込む。
時々水を噴き出すクラゲもいたけれども、構わず綾はクラゲたちを包んで言って、
「神の世、現し臣、涯てなる海も、夢路に遥か花薫れ」
馨遥の甘い花の香りと共に、クラゲたちを眠りへ誘っていった。
「おやすみなさい。どうか現し世に迷わず、海へ還れますように……」
たゆたうように消えていくクラゲたちを、綾は静かに見送るのであった……。
大成功
🔵🔵🔵
火狸・さつま
コノf03130と
わわ、なんか…可愛い、ね?
触って、良い…?
冷たくてやわらかそ、だよ?
ぷにってしてそ……
色んな大きさ、沢山、居る…
あ、無敵中?動けない、の?
じゃ、じゃ、ちょこっとだけ…
ぷにぷにっと優しくつんつん
そろっと触る
ひやっこい、ね!
かわいい
いいこいいこと撫でて
ふと隣見れば…
コノ、寛ぎすぎ、じゃ、ない…?
可愛い…
思わず撮影ぱしゃっ
ひゃ…
え、え、今の音?なんでもない、よ??
気のせい
コノへの攻撃は
ダメだよ、と『オーラ防御』をコノの周囲へ盾の様に展開し『かばう』
『カウンター』<雷火>でお仕置き
ん?そろそろ、お別れの、時間?
そか、じゃ、仕方ない、ね…
若干名残惜しそうに
広範囲へ『範囲攻撃』【安息を】
コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
ぅわあ、また可愛らしいのが居るコト
美味し……んん、ぷにぷに気持ちよさそうネ
そっと【黒電】放ち様子を窺う
無敵状態になったらチャンスとばかり、ぺったり頬寄せに行こ
はー、ひんやり柔らかくて……コレ最高の枕なんじゃ?
うとうとと微睡んでは、思い出した頃に影の仔狐走らせたり
あまりに心地良くて寝入っちゃったり
うっかり、口元のクラゲをガジガジしちゃうかもダケド
寝惚けていても身の危険くらい分かるモノ
シャッター音にじろりと視線向け、金取るヨ、ナンて低い声
ついでに攻撃しようとしてるクラゲを仔狐で迎撃
ま、いつまでも休んでらンないかぁ
仔狐で遊ぶよう誘い出し無敵状態を解除させた所を狙っていくネ
なんというかまあ、
クラゲは、ふよふよしていた。
「ぅわあ、また可愛らしいのが居るコト。美味し……んん、ぷにぷに気持ちよさそうネ」
若干本音が漏れかけて、コノハ・ライゼ(空々・f03130)は咳払い。隣の相棒に視線をやると、
「わわ、なんか……可愛い、ね? 触って、良い……?」
火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)もまた目をきらきらさせながらクラゲたちを見つめていた。
「冷たくてやわらかそ、だよ? ぷにってしてそ……」
「だな。程よく弾力がありそうで歯ごたえよさそー。……てーっと、じゃあ……」
言えば触りたくなってくるのが人情である。
しかしシビシビはおよろしくない。
シビシビ上等で触るという選択肢もあったのだが、あいにくコノハはそういうキャラじゃない……ので、
「歓迎しよう。……あ、でも、殺さないようにほどほどでお願いするネ」
小さき影の狐を呼び出して、コノハはそんな命令をひとつ。
様子を見ながら。ちらとさつまのほうに目をやると……、
「色んな大きさ、沢山、居る……」
なんだか感動しているようなので、ほうっておくことにした。
そう。今日のコノハには、偉大なる目的があったからである。
影の狐の攻撃を受けたクラゲたちは、びしっと防御体勢に入る。
すなわち、うっすら透明な姿になって、まったく動かなくなるのである。
コノハは……その瞬間を待っていた。
とりあえず固まったクラゲに手を触れる。そっと触れる。
なんともいえないしっとりとした柔らかな手触り。
冷たすぎず、丁度いい心地よさの体。
ぺったりと頬を寄せる。
沈む。沈むが沈みすぎることはない。
「はー、ひんやり柔らかくて……コレ最高の枕なんじゃ?」
呟いてみる。頭がいい感じに沈んでいく。もう最高だ。
「……」
ふと気づいて、コノハは顔を上げた。
そ、と。コノハは下のあたりに漂うクラゲを見つける。
ためしに押してみると、固まったまま動いた。
いい感じの位置に持ってきて、即席の椅子にする。
そして再び、クラゲを手繰り寄せて頭を置く。
「ああ……」
うとうとしてきた。
最高だ……。
心地よくて寝入りそうになる。
勿論、うとうとしている間も仔狐を走らせることは忘れない。
健全な睡眠には安全も必要なのである。
そうして、つま先ほどに意識を覚醒させながらも、
コノハは深い眠りへと落ちていった……。
「あ、無敵中? 動けない、の?」
影の狐が通り過ぎたあと。
何故か動かなくなったクラゲたちに、さつまは首をかしげていたが、ようやくその理由に思い至った。
「そうなんだ。動けないんだ……」
不思議、不思議と。前から、後ろから、観察して、ふんふん、と頷いて、
「じゃ、じゃ、ちょこっとだけ……」
そっと、優しくさつまは手を伸ばした。
指先でつんつんする。ほどよい弾力がある。
そろっと触る。優しくも冷たくて心地よい感触がした。
「ひやっこい、ね!」
思わず上げる声。クラゲは動かない。完全に透明になれているわけでもないのに、逃げ切れると思っているのだろうか?
「かわいい……」
かわいい。
思わずさつまはクラゲたちをなでた。
「いいこいいこ」
恐ろしさなどまったくない。そんな動きにさつまはふふ、と微笑んで。
「ねえ。コノ。すっごくかわいい……」
ね。と言いかけて。さつまがふと隣を見れば……、
「……コノ、寛ぎすぎ、じゃ、ない……?」
なんだかとっても快適な空間を作り出してうたた寝する、コノハの姿が眼に入った。寝ながらがじがじとクラゲを噛んでいる。
「可愛い……」
そんな。クラゲよりもかわいい。
思わずさつまは自分の携帯電話を取り出して……、
はっ。
寝惚けていても身の危険くらい分かるモノ。
何かを感じて、コノハは目をあけた。それと同時になんか音がした。
うっかり、口元のクラゲをガジガジした歯型と若干ついたよだれから視線を外して顔を上げる。
「金取るヨ」
「ひゃ……」
携帯構えたさつまをじろりと一瞥。コノハは攻撃しようと近寄ってくるクラゲを仔狐で迎撃した。
「え、え、今の音? なんでもない、よ?? 気のせい気のせい」
ささ。と。
携帯を後ろに隠す姿がわかりやすすぎて。
コノハはじろりと視線を向けたが、顔を上げた瞬間にふよふよと歯型のついたクラゲも遠ざかっていってしまう。
「んーーー」
しょうがない。ここはごまかされてやるか。なんて。
軽く伸びをして、コノハは立ち上がる。
「ま、いつまでも休んでらンないかぁ」
「ん? そろそろ、お別れの、時間?」
コノハの様子に、さつまはちょっとしゅん、となる。
「そか、じゃ、仕方ない、ね……」
可愛かったクラゲ。そしてなにより、
「可愛くクラゲと戯れるコノ、さようなら……」
「なーに。普段は可愛くないみたいなこと、いわないでヨ」
若干名残惜しそうにするさつまの頭を、コノハは笑ってなでて。
「んじゃ、やるかー」
「うん。……おやすみ」
黒の稲妻を纏った小さな影の狐が走り、
熱さも苦痛も生じない優しき浄化の炎が、クラゲたちを照らしていった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ディフ・クライン
クラゲ
水の中にいるって聞いてたんだけど
アルダワには色々いるね
高圧電流は…近づかないように距離をとっておこうかな
痺れるのやだし
花火も気になるから、頑張ろう
でも、王に斬ってもらうのは…ちょっと可哀想だな
王の気も乗らなさそうだし
じゃあ、neige
いつも一緒の、灰雪の雪精
彼女に手伝ってもらおう
灰雪の杖に変わってもらって
全力攻撃で範囲を薙ぎ払うように
「君は、ネージュ。曇天の灰雪。酷寒の冬の導き手。嵐を呼ぼう。樹氷を作ろう。君の力を、オレに貸して」
呼ぶのは灰色の氷の嵐
狙いは大雑把だけど、たぶん、大丈夫だよね
それにしても、可愛いね、ふよふよくらげ
なんだか涼しいし
痺れるんじゃなければ、触ってみたかったけどな
香散見・千夜之介
◆心情
花火花火。楽しそうやねぇ。やるやるぅ。
俺、この世界初めて来るわぁ。
ほんまにでっかい迷路なんやなぁ。映画みたいやぁ。
ええねぇ、楽しいわぁ。
左腕もええ調子。
こう見えて防水性もばっちりやしぃ。
……耐電性も、大丈夫やんな?
◆行動
「わぁ、えらいかわええくらげさんやねぇ」
言いつつも、敵意を感じた瞬間、UC使用。
「すまんねぇ、これも仕事やよって」
まあなんせ、銃と謝罪は速いに限るわ。
数の多さは【二回攻撃】である程度対応でけるとしても、
囲まれるんはまずいから他の人と連携取れそうなら援護しよかなぁ。
なんぼ自動詠唱機構搭載の銃やいうてもリロードはあるし?
……援護するいうか、援護されに行くいうかぁ。ふふ。
ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)はクラゲとそっと、距離をとる。
空中に漂う、数多のクラゲ。ふよふよして漂う姿は本当に涼しげであるが、ああ見えて立派な敵なのだろうなと。ディフはなんだかかんがいめいたものが胸に浮かぶ。
「水の中にいるって聞いてたんだけど……アルダワには色々いるね」
静かな、色のない口調。人形ゆえに、表情には乏しいと自覚もしていた。……で、
「俺、この世界初めて来るわぁ。ほんまにでっかい迷路なんやなぁ。映画みたいやぁ。ええねぇ、楽しいわぁ」
一方。隣にいる色男。香散見・千夜之介(爪先散華・f18757)はご機嫌そうであった。鼻歌交じりで通路を覗き込んでは、おお、とか、声を上げている。
「わぁ、えらいかわええくらげさんやねぇ」
クラゲのほうも、千夜之介は覗き込んでは声を上げる。おせっかいか否か。少しだけディフが悩んで、
「……痺れる、らしいよ。あと水も吐くって、聞いた」
「ほんまそりゃ危な……」
「……、危ないっ!」
ディフが声を上げるのと、千夜之介のすぐ近くにいたクラゲが水を吐こうとしたのは同時であった。
その一瞬にも満たない瞬間で、銃声が響く。千夜之介が敵意を感じると同時に放った弾丸は、クラゲの頭部を貫通して、そして弾けさせた。
「!」
その銃声に、周囲に漂っていたクラゲたちも一斉に二人のほうへと注意を向ける。
攻撃準備、のような雰囲気を持つクラゲたちに、千夜之介は頭を掻いた。
「すまんねぇ、これも仕事やよって。クラゲ撫でたかった?」
「いや、痺れるのやだし。……そもそもあれは撫でて愛でるものなのかい?」
「んー。ま、俺ほどの色男やったら撫でへんけど、かわいいもの好きな子たちにはたまらんのやない? ありゃ撫でたくなると思うで」
「なるほど……。ならどうやら、そこまでものすごく俺は可愛い物好きってわけじゃあ、ないみたいだね」
ひとつ発見した。なんて相変わらず表情のない顔で言うディフに、千夜之介はく、と、軽く喉の奥で笑うようにして、
「やったら、倒してもてもよかったんやね。……まあなんせ、銃と謝罪は速いに限るわ」
また。笑顔のまま手にしていた銃が火を吹いた。
銃声が響く。笑顔を浮べたまま千夜之介はものすごい速さで敵を打ち抜いていく。
「ああ。だったら……俺も負けてはいられないね」
早いのがいいことは解る。ディフも思案するのは一瞬で。いつものように自分を護ってくれる『王』に頼もうかと一瞬考え込んで……、
「でも、王に斬ってもらうのは……ちょっと可哀想だな。王の気も乗らなさそうだし」
何せあんなふわふわフォルムのものを斬るのは申し訳ない気がすると。ディフは灰雪の杖を軽く振る。
「じゃあ……、neige。よろしくね」
いつも一緒の灰雪の雪精が変化した杖で、灰色の氷の嵐を呼び出した。
「おお。何や派手そうなのやらはるな」
「うん。狙いは大雑把だけど……、たぶん、大丈夫だよね」
「はいはい。やったら当たらんように……っと」
いって。千夜之介はディフの陰に回りこむ。ディフと壁の若干安全そうなところで再び銃を構えて、氷の嵐から逃れたクラゲを次から次へと撃ち落して言った。
クラゲたちも負けてはいない。水やら雷やらでささやかながらも応戦してくる。
「ふっふ。左腕もええ調子。こう見えて防水性もばっちりやしぃ」
鼻歌交じりに銃を撃つ千夜之介に、容赦なく雷撃が襲う!
「……耐電性も、大丈夫やんな? あとからボンッ。って壊れたりせえへんな?」
機械化した左腕に思わず目を落とす千夜之介に、
「後のことはなんともいえないね……。後から壊れる、ってこともあるし」
ディフは割と事実のみを容赦なく述べた。
「いやや。そんな仕事割にあわへんー」
「ほら、いいから前。来てるよ」
「ちょっとまってまっとってや。なんぼ自動詠唱機構搭載の銃やいうてもリロードはあるし? もうちょっと俺のこと守ってー」
「…………わかったよ」
なんだか押し切られる形になってしまった。こくんと頷くディフに、千夜之介はにやりと笑うのであった。
「君は、ネージュ。曇天の灰雪。酷寒の冬の導き手。嵐を呼ぼう。樹氷を作ろう。君の力を、オレに貸して」
なんだかうまく使われている気がしないでもない……と、
普通なら思ったかもしれないが、ディフの場合はそこまでは思い至らずに素直に全力で魔法を紡ぎだす。
冬の嵐を制御し、操り、クラゲたちをなぎ倒していると、しばらくしてまた銃弾の援護が再開された。
「それにしても……」
そしてふと、ディフはちぎっては消えちぎっては消えしていくクラゲたちを見やる。
「可愛いね、ふよふよくらげ。なんだか涼しいし。痺れるんじゃなければ、触ってみたかったけどな。……俺の可愛いは中途半端なのかな」
ものすごく真面目に悩んでいる風に言ったディフに、千夜之介は成る程。とか言いながら、なんとか笑うのを堪える。
「でも……、花火も気になるから、頑張ろう」
「おー。花火花火。楽しそうやねぇ。やるやるぅ」
さほど強い敵でもないから。
そんな風に二人喋りながら連携しあえば、数もへっていくだろう。
さあ、花火までもう少し。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オズ・ケストナー
わあ、たくさんいる
ふよふよしてる
ぷにぷにしてそう
きもちよさそうにおよいでるね
水はないけど
海だったらわたしもいっしょにおよげたかなあ
あ、シュネーならきっといっしょにおどれるね
でもでもその前に
ほんわかした顔につられて
ちょっとだけと指を伸ばして
つん、とつついてみる
ぴゅーって水で攻撃されたら
ぷわってなって頭をふりふり
みずあびだ、すずしくてたのしい
あれ、どうしたんだろう
ちょっとすきとおってる子はさわっても動かない
つんつん
なでなで
ひんやりした感触に、ふふっと笑って
きもちいいね
最後は【ガジェットショータイム】で大きな針を
尾を引く糸は海の色のグラデーション
なるべくいたくないように
ごめんね
ぷすぷすと倒していくよ
叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG。
「SPDで判定」
水のような見た目で、ふよふよしている…まくらにしたらよくねむれそうだね!ふにふにしてもきもちよさそう?
ただ、ぼくの本体とはあいしょうがよくなさそうなのが、
ちょっともんだいかもだけど。
なせばなる!ってだれかがいってたし、ちょうせんするのは大事だよね?
ふにふにふよよの口からふき出した水のきどうを「錬成カミヤドリ」でさえぎれないか試してみるよ!
「ぼくがかったらふにふにさせてもらうよ。しょうぶだ!」
しょうぶに負けたら、頭をぶるぶるってふって水をとばし
「刀と水はやっぱりあいしょうがよくないよね」
あとできちんと手入れをしないと!(むむ
「わあ、たくさんいる」
ふよふよしてる。と。オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は迷宮に漂うクラゲたちを目を輝かせながら見つめていた。叶・景雪(氷刃の・f03754)もその近くで、
「水のような見た目で、ふよふよしている……。でも水じゃ、ないんだよね……」
上へ下へと漂うクラゲたちを見ながらひとつ。頷いた。
「ぷにぷにしてそう」
「まくらにしたらよくねむれそうだね! ふにふにしてもきもちよさそう?」
「まくら?」
景雪の提案に、オズもクラゲに改めて目を向ける。ほんわかした顔にふわふわした動きは、いかにも枕に心地がよさそうだ。
「水はないけれど、きもちよさそうにおよいでるね。ちょっとくらいなら、いいかなあ」
見ているとなんとも楽しい気分になってきて、思わず、オズは手を伸ばす。可愛いだけではないということも知ってはいたけれども……、
「!」
オズが指先でクラゲと軽くつつくと、ぴゅーっと、クラゲは水を撃ち出した。
「ひゃー」
見事顔面に直撃する。たいして痛くもなかったので、ぷるぷる頭を振って顔や髪についた水滴を飛ばした。
「だいじょうぶ?」
「だいじょうぶ。みずあびだ、すずしくてたのしい」
「わ、いいねー」
気持ちよさそう。と景雪も目を輝かせる。つつこうか。どうしようかと。迷うようにその手がクラゲへと伸びて、でも、
「ぼくの本体とはあいしょうがよくなさそうなのが、ちょっともんだいかも」
「おみずだめなんだ?」
「うん、そうみたい。……たぶん」
刀のヤドリガミなので、あんまりおよろしくないようだ。たぶん、とつく景雪の説明に、うーんとオズも一緒に考える。
「じゃあ、このこは? ちょっとすきとおってる子、さわっても動かないよ」
ほら、と指差したのは、若干透明に近い風に変化しながらも、透明になりきれていないクラゲであった。
「どうしたんだろう? おなかでも痛いのかな……」
と首をかしげるオズ。今度は撫でてみても水を放たれることも、電流を放たれることもない。
「あ。でもちょっと、てざわりがちがう……かも?」
こちらも勿論気持ちいいけど、少し違いがあるのは……そう。そういえば誰かが言っていた、無敵モード、だからだろうか。
「手触りが違うと、ちがうとー……どっちの方がきもちいいかな?」
「ん~~~。どっちも、素敵だとわたしは思うなっ」
オズの言葉に、むむむ。と、景雪は考え込んだ。であればどちらも挑戦してみたく。やっぱり思えてきて、
「うーん。うーん……。なせばなる! ってだれかがいってたし、ちょうせんするのは大事だよね?」
ちょっと頑張ってみる。と、軽く透明化していないクラゲに向かって腕まくりをした。
「ふふ、がんばって。応援してるから」
「んっ。僕だって、ちゃんとできるんだよ」
やる気を出す景雪をオズが応援して、景雪もうん、って頷いて、
「……えいっ!」
思い切って景雪はクラゲに触れた。
同時にクラゲから水が噴き出される!
「えい、えい、えいっ!」
景雪は錬成カミヤドリで複製した己の本体の複製、短刀を操りながら水の起動を遮れないか試していく。
「ぼくがかったらふにふにさせてもらうよ。しょうぶだ!」
その表情は真剣そのものだ。真剣そのものだったが……、
「わっ」
一歩及ばず。というか短刀では水の勢いを防ぎきれず。景雪藻また顔面に水を受けるのであった……。
「だいじょうぶ?」
今度はオズがそういう番だ。景雪はぶるぶると頭を振って水を飛ばしながら、
「うぅ。刀と水はやっぱりあいしょうがよくないよね。あとできちんと手入れをしないと!」
と言いながらも、ぺしぺしと掴んだクラゲをなでる景雪であった。
「でもこのてざわりはいいから、ゆるしていいとおもうんだ!」
「ふふっ。そうだね。ひんやりして、きもちいいね」
景雪のしてやったり、みたいな顔に、オズも微笑んで頷いた。
そして。
「そろそろ、倒さなきゃ」
名残惜しそうに、オズが言うと、そうだね。と景雪も手を離す。
「ここが海だったらわたしもいっしょにおよげたかなあ。……あ、シュネーならきっといっしょにおどれるね」
相棒のシュネーにも微笑みかけると、オズはガジェットショータイムで大きな針をその手に持った。
「うみ? うみだとぼくはもっとさびちゃうかもしれないけれど……見てみたいね」
景雪も、海、という言葉に若干目を輝かせながらも己の本体の分身を作り出す。
そしてその分身を、クラゲたちにはなった。
さほど強くないクラゲたちは、頭を刃に貫かれると、穴の開いた水風船のようにはじけて地面に落ち、そしてしばらくすると消えていく。
「なるべくいたくないようにするよ。……ごめんね」
オズもまた大きな針をクラゲへと向けた。
尾を引く糸は海の色のグラデーション。
普通の海にこの子達を帰してあげることは出来ないけれど……、
せめて最後に海の色を手に出来ますようにと、願いながらオズはクラゲたちを突き刺していった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紫牢・奇依
ふよふよくらげの雰囲気を脳に焼き付けるよ。
可愛い・不気味・座ったら凹みそう……。見た時に色々感じながら思うよ。ただし、戦闘に悪影響を与えないように、まずはイメージトレーニングだよ。集団戦みたいだし、勿論ビビらないようにもね。
攻撃は相手を潰していくような雰囲気を。
個人で参加している猟兵の間をつなぐように戦うよ。
ピリピリの電撃をくらわないように心がけて。
ユーベルコードは、相手も着色して、淡い色調が浮かび上がるように、ね。
両角・式夜
ほう、ほほうほう。
相変わらず地下迷宮の生態は興味深いな!
なんかこう、このクラゲを捕まえて研究室の座布団にとか出来ないものか……
そろそろ買い換え時でな……
む!?このクラゲ、電気を放って来るぞ!?
この最高にイカしてる地竜に電撃とは、見上げた根性であるな!
その勇ましさを讃え、ぜひそのぷるぷるを再現したクッションを製作してくれる!
さぁ、大人しくぷにぷにさせるがよい!
……な、何!?こやつ、ぷるぷるどころか、冷感機能もある……だと……!?
くっ、夏場の一家に一匹欲しい愛らしさ!
(以上、わっちゃわっちゃ騒いでます。
アドリブ、参加者との絡み、歓迎です!)
ヴィクトル・サリヴァン
うーん、クラゲか。
もう少し暑い時期ならひんやりしてよさそう…と、災魔だから倒すんだけども。
痺れてる所にさらに電流とか数で押されるのも怖いし慎重にやろうかな。
見た目は緩いけれどこーいうのこそ被害者は案外多いものだし。
見た目に騙されちゃいけないよね(シャチウインク)
基本は他猟兵の支援で行動。
電流で痺れた仲間がいるならUCで治療、痺れてる所に追加で電気流して-に-かけて裏返すような感じ?
もしくは再起動的な。
攻める時は銛で突ついたり薙ぎ払ったり距離取りつつ攻撃。
複数の電流が来たら銛の石突を地面に当ててそっちに流せないか試してみたり。
直撃受けたらUCで自分に活入れて速攻復帰狙うよ。
※アドリブ絡み等お任せ
紫牢・奇依(ぺたぺた姫・f02442)はじぃぃぃぃ、とクラゲたちを見つめていた。
「ほう、ほほうほう。相変わらず地下迷宮の生態は興味深いな!」
隣で両角・式夜(銀錫赤竜・f01415)が笑い飛ばすように豪快に、クラゲたちを見ながらうん、うん、と、頷いている。
「で、そちらは何をしておるのかな?」
式夜の言葉にしゃがみこんで、地面に転がっているクラゲを見ていた奇依は顔を上げた。声をかけられて、ほんのちょっと奇依は黙り込む。知らない人と話すのに離れていなくて、若干どきどきしながら、
「ふよふよくらげの雰囲気を脳に焼き付けているよ」
「ほう。雰囲気……とは?」
「可愛い・不気味・座ったら凹みそう……。とか、そんな感じだよ」
「座ったら凹む……! 成る程その可能性もあるのか。なんとかこう、このクラゲを捕まえて研究室の座布団にとか出来ないものかと思ってはいたのですが……。もし凹んで戻らなければ、わしとて流石に哀れに思うやも……」
「座って凹んでも、立ち上がったら元に戻る……かな?」
「だとよいのだが。そろそろ買い換え時でな……」
じぃ、と奇依が見ているとなりで、式夜はクラゲに手を伸ばす。
「なあ、お主……」
そこでひとつ、咳払い。
「私と共に参りませんか? 貴殿の生涯は、私が面倒を見ます。貴殿はただ、そこにいるだけで良いのです。ですから……」
そ、とそのクラゲの手(?)の一本を式夜が取ろうとした。そのとき、
「!」
しびびびびびびびび!
クラゲから放たれた電流が式夜を襲う!
奇依がびっくりして思わず後ずさりする!
「む!? このクラゲ、電気を放って来るぞ!? この最高にイカしてる地竜に電撃とは、見上げた根性であるな!」
式夜は、まったく懲りていない!
「やあ、大丈夫かい? 怪我をしているね」
その様子に、笑いを堪えたのか。それとも人のよい笑みを浮べたのか。若干判別しづらいシャチの巨体が式夜に近付いてきた。ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は式夜の手に視線を落とす。
「……ああ。結構やられているね」
「なんの。この程度、唾でもつけておけば治るだろうて。それよりもわしのこの細やかな心が今、粉々に砕けてしまったぞ」
あんなに誠実にプロポーズしたのに。とうそ泣きをする式夜。
「うーん。見た目は緩いけれどこーいうのこそ被害者は案外多いものだし。見た目に騙されちゃいけないよね。やっぱり何でも、見た目よりも中身だよ」
そういってヴィクトルはシャチウィンク。
それが電撃的な何かか、それとも結婚詐欺的な何かか、どちらの話だったのだろうかと、奇依がまだ若干胸をどきどきさせながらも再びクラゲのほうへと目を落とした。
クラゲはそ知らぬ顔でふよふよ泳いでいる……が、若干、動きが変わっている気がする。
具体的に言うと、こちらに向かって近付いている気がするのだ。
相変わらず何を考えているのかよく解らないクラゲたちだが……連携、すると言う気持ちがあるのだろうか?
「それで、そちらのお嬢さんは何を? あ、ちょっと痺れるよ」
「むう! びりびりの傷をびりびりで癒すとは、なかなか乙な治療法ですね!」
生命活動の速度を操作する電撃でヴィクトルは式夜の傷を癒して、式夜は何故かそれで爆笑していた。奇依は小さく頷く。
「まずはイメージトレーニングだよ。集団戦みたいだし、勿論ビビらないようにもね」
「ほう……。それで、いいトレーニングは出来たかな?」
奇依はこくりと頷いた。
「クラゲが近寄ってきてるようだけど、あっちのが一番早く着きそうだよ。だから、あそこから倒す。たぶん、そこのお嬢さんが喜んで突っ込む。そうしたら反対側のクラゲが回り込んでくるだろうから、挟み撃ちされるのをあちきがなんとかする。数が多いから心配だけど、パニックにならないように冷静に対処する。シャチ君にも助けてもらう。……どうかな、悪くはないんじゃないかい?」
「おお! 成る程よくわかってますね! 私はまず、どこだって突っ込んでいきますよ!」
お任せください。なんて式夜はガッツポーズをして。そして一瞬、戦場に視線を走らせて。
「成る程確かに、あそこだな」
走った。赤い穂先の槍を翻し、奇依が示した最前線へと、
「その勇ましさを讃え、ぜひそのぷるぷるを再現したクッションを製作してくれる! さぁ、大人しくぷにぷにさせるがよい!」
槍を叩きつける。同時に金眼で真っ黒なドラゴンが召喚され、クラゲたちを打ち据えた。
クラゲたちも負けてはいない。水を吐いて応戦している。
「……な、何!? こやつ、ぷるぷるどころか、冷感機能もある……だと……!? くっ、夏場の一家に一匹欲しい愛らしさ!」
「うーん、そういわれると手が鈍るな。もう少し暑い時期になったらひんやりしてよさそう……」
はしゃぐ式夜に、ヴィクトルは悩むように非常に頑丈で重量のある金属製の三又銛を翻す。とはいえ……、
「災魔だから倒すんだけども」
式夜の背後を取ろうと、漂ってくるクラゲたちをぶっすりと突き刺した。
クラゲたちも徐々に距離を詰めてくる。奇依もペンキで応戦していく。淡い色調が浮かび上がるようにクラゲを塗りたくれば、また違った愛らしさが浮かび上がった。
「痺れてる所にさらに電流とか数で押されるのも怖いし慎重にやろうかな」
電撃を食らわないように慎重に動く奇依に、ヴィクトルもシャチウィンクで語りかける。奇依は小さく頷いた。
「まあ、しびれたらそのときはそのとき。俺が治療するのだけれどね」
「しかしその治療、割と結構、びりびりするんですよ!?」
「そこはほら。痺れてる所に追加で電気流して-に-かけて裏返すような感じ? もしくは再起動的な。そういう感じだと思って、勘弁してほしいな!」
式夜の言葉にもシャチウィンク。
徐々に数を減らしていくクラゲたちに、式夜は一瞬、悩むように紅い刀身の刀に持ち変えると、
「まあ……攻撃を食らう前に前に倒せばいい話だろう!」
にやりと笑って、その刀を振った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『叡智の守護者』
|
POW : 叡智の封印
【翼から放たれた羽】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 叡智の斬撃
【鉈】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 叡智の風刃
レベル×5本の【風】属性の【羽】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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そんな。
愛と勇気と希望と冒険とふわふわとぷにぷにがあった先で、
クラゲたちはついに、倒された!
そして猟兵たちは、今回の迷宮の奥に、ひとつの階段があることに気がつく……。
階段を覗く。下のフロアは真っ暗で、明かりがないと探索にも難儀しそうな按配だった。
その後、集った猟兵たちが軽く周囲を探索したところ、以下のような場所であることが判明する。
このフロアには光源などはなく、ただひたすら真っ暗らしい。
しかし、足元に転がるたくさんの手のひらサイズの石を投げれば、少しの間石が激しい音と共に発光し、周囲を照らし出すので、それによる探索が可能である。
また、フロアの作り自体は上の階層と変わらない、石造りの様相を呈しているが、あちこちに隠し扉のようなものが存在し、道も曲がり角・分岐点が数多く存在し迷路のようになっている。倒すべき標的はその扉を使って移動しているようである(恐らく、夜目は効くものと推測される)。
このフロアにその敵以外の脅威はないので、足元に転がる石につまずかないよう注意しながら進み、何かいると感じれば石を投げて灯りを付け、そして攻撃する(と、敵も反撃して恐らく逃げる)のが定石ではないかと思われる。
石は足元にたくさんあるので、ひたすら投げていれば明るい道を進むことも可能であるが、敵もその分警戒するだろう。
なお、たいまつやランタンなど、各自灯りの用意が出来るならばそれを使っても構わない。
さあ、冒険を再開しよう
●マスターより
大体そんな感じで、お好きにどうぞ。
石は投げると発光していい音を立てます。爆竹系の花火みたいなものです。
色とか音とか、好きなように決めてくださっても構いません。
なお、自分は夜目が効くとかランプ持ってるとか言い張ってもいいですが、
そんなに強い敵ではなく、楽しく遊ぶことをメインにしているので、そのおつもりで。
また、『どうしても暗闇が絶対、だめ! でも遊びたい』というかたは、
ひたすら石を投げ続けて、明かりをつけ続けて進むことも一応は可能です。
きっと、隠し扉をくぐって逃げようとした敵と鉢合わせしたりするでしょう。
たいがいのことはだめとはいいませんので、好きに遊んでいただけたら嬉しいです。
【第二章プレイングの受付は、6月23日(日曜日)8:31より6月26日(水曜日)23:00までです 】
三咲・織愛
ムルヘルベルくん(f09868)と
むむ、このフロア真っ暗ですねぇ
か、かわいい!
声震えてますよ?とは言いませんけれど!
ねぇムルヘルベルくん、手繋ぎましょうか?(お姉さんのきもち)
足元に転がる石に躓きそうになり
わっ、不思議な石がたくさん転がっていますね
なんでしょう、これ?
徐に一つを握り潰そうとし――あら、やめておきますね
壁に投げてみれば、ぱちぱちっと咲く光のお花
わぁ!すごい!とっても綺麗ですね!
――あ!あれって敵さんじゃないですか?
ぎらりと獲物を狙う目を向け、敵目掛けてのオーバーハンドスロー!
あっ、いなくなりました!?隠し通路かしら
なんだかニンジャみたいですね!
私達も探索してみましょう!にんにん!
ムルヘルベル・アーキロギア
怖くない
いやワガハイ全然怖くないのである
暗くて足元おぼつかなくてめっちゃビビってるとかそんなことないのだ
ないのだが、それはそれとして織愛、オヌシ離れたら怒るぞ?
もうすごいぞ? ワガハイの99年分の怒り大爆発であるからな?
……はぐれるでないぞ!!!
って何普通に握り潰そうとしてるのだ!?
それ投げる物である! 投擲! スロー!! ワカル!?
小銭拾うようなテンションで石砕くとか蛮族かオヌシ……あったしかに綺麗
なんかもうすでに疲れてきたのであるって敵に投げるなー!?
明かりのためであるからそれ! ほらもう全速力で逃げてる!
ニンジャみたいに決断的すぎるのはオヌシであるよ……コワイ!
「怖くない」
ムルヘルベルはそう言い張った。
「うんうん」
織愛は笑顔であった。
「いやワガハイ全然怖くないのである。ないのである。わかってるか!? オヌシ」
「大丈夫大丈夫、解ってますよ~。ただ、このフロア真っ暗ですねぇ、って」
「それがどうした。恐れることなどありはしない。一日の半分は暗闇である。ゆえに今がその半分であってもなんら、まったく、支障は」
「あっ」
「あ!?」
織愛がそういってふっと下の方向を見たので、ムルヘルベルは飛び上がるほど驚いた。そのままぎゅううううっ。と、織愛に隠れるように織愛の影に張り付く。
(か……、かわいい!)
思わず。織愛は子絵に出しそうになるのを全力で堪えた。声、震えてますよ? って、いわなかったのも褒めてほしいぐらいである。織愛が見た方向に視線をせわしなくさまよわせ、ムルヘルベルは明らかに震える声で、
「あ! とはなんだ。敵か? 味方か? それとも鳥か? 花火か?」
「あ、いえ、そうではなく。足元気をつけてくださいね」
「な……っ、何を言っておる、暗くて足元おぼつかなくてめっちゃビビってるとかそんなことないのだ!! ないのだぞ!!」
誰もそんなこと言ってない。とまでは突っ込まずに、織愛は微笑んだまま、肩越しに振りかえり手を差し出した。
「ねぇムルヘルベルくん、手繋ぎましょうか?」
お姉さんオーラ満載の織愛。
「手……だと?」
「はい。ここはなんだか足元が危ないみたいなので、繋いでくれるとうれしいです」
「そ……そういうのであれば、仕方がないな! ああ、あくまでオヌシが、そういうのであれば!!」
「はい、是非お願いします」
織愛は微笑んで手をとると、ムルヘルベルはぎゅーっとその手を掴んだ。
そうして二人してゆっくりゆっくり通路を進めば、
「それはそれとして織愛、オヌシ離れたら怒るぞ?」
ムルヘルベルの言葉に織愛はうんうん、と頷いていて、
「わかるか? わかっているか? もうすごいぞ? ワガハイの99年分の怒り大爆発であるからな? ……はぐれるでないぞ!!!」
織愛はうんうん、と頷いて……、
「あ……っ」
「あああああああ!?」
躓いたのだ。足元に転がっていた、石に。
「なんだ! 何が出た! どこにいる! ええい下がらんかオヌシ! わ、ワガハイはこわくない! オヌシを守るくらいらいらいらいらい」
「大丈夫、大丈夫ですよ。ほら、石に躓きそうになっただけです」
「い、いし?」
「はい。不思議な石がたくさん転がっていますね。なんでしょう、これ?」
これです。と、織愛は躓きかけた石を拾い上げた。
真っ黒で、手のひらサイズほどである。ごつごつとしていて、結構重い。
「……それ、は」
なんだろうと。慎重にムルヘルベルが覗き込んで。そういえば、と、言いかけた……とき、
「ふんっ」
「ま、まてまてまてまてまてー!! って何普通に握り潰そうとしてるのだ!? それ投げる物である! 投擲! スロー!! ワカル!?」
持っていた石を全力で握りつぶそうとした織愛を、あわててムルヘルベルは止めるのであった。
「――あら、それは大変。やめておきますね」
「小銭拾うようなテンションで石砕くとか蛮族かオヌシ……」
「なげるというと、こういうかんじですか?」
ぶんっ。
言うなりまたノータイムで織愛は石をぶん投げる。壁に当たると、耳を劈く破裂音と同時に、ブワワワワーっと真っ白い閃光が飛び散った。
「わぁ! すごい! 光のお花ですね! とっても綺麗ですね!」
「いや、オヌシはいつもこう、一呼吸置くというのをな……あったしかに綺麗」
浸かれた眼に、眩い光はしみた。
思わず軽く目元をこするムルヘルベルである。何か疲れた。と、口に出しかけたところで……」
「――あ! あれって敵さんじゃないですか?
きらんっ。と織愛の目が輝いた。視界の墨に、ふくろうの羽がうつった気がしたのだ。
「ここであったが一年目ぐらいです! それー!!」
「うぉぉぉぉぉぉい。敵に投げるなー!?」
ムルヘルベルの悲鳴も何のその。
織愛はまるで獲物を狙うギラリとした眼で徐に石をつかむと、またノータイム全力で敵の後頭部向かって石を分投げた。
ばばばばば!!
飛び散る光。鼓膜を支配する大音響。
「明かりのためであるからそれ! ほらもう全速力で逃げてる!」
頭を抱えるムルヘルベル。ああ、煙が目にしみる……。
「あっ、いなくなりました!? 隠し通路かしら。なんだかニンジャみたいですね!」
「ニンジャみたいに決断的すぎるのはオヌシであるよ……コワイ!」
「私達も探索してみましょう! にんにん!」
「人の、話を、聞けというにー!! ああ。そうさなそうさな、こんな時に合う言葉があるとすれば……、急いてはことを……」
偉人の格言や書物から引用した言葉を思い出し、ムルヘルベルは動悸・息切れを整える。
「ほらほら、何やってるんですかー。ちょっと急ぎますよー」
「手を繋ぎながら全力で、走るでない……!」
「だって、離れたら怒るって言ったじゃないですかー!」
なお、織愛の共感はまったく得られなかったようだが、そんな日もあるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
岡森・椛
クラリスさん(f10090)と
闇の中に何が潜んでいるのかドキドキする
クラリスさんは暗いのは平気?
うん、私も同じだよ
足元に転がる石を掴んでえいっと投げてみる
激しい光と音にびっくり
アウラも驚いてしがみ付いてくる
でも周囲の様子が分かってきたよ
危険に備えて皆でぴったりくっついて移動
クラリスさんこっちに扉があったよ
所々で道の確認の為に石を投げて…あっ壁に当たって跳ね返ってき…きゃー(慌てて避ける
あれ、物音…
急いで石を投げたら、いた!
アウラ、宜しくねと【鎌鼬】で攻撃
その際に旋風に巻き込まれた周囲の石が爆ぜて、ま、眩しい!
でもこの明るさなら敵の動きがはっきり見える
逃がさないからね
クラリスさん、そこだよ!
クラリス・ポー
椛さん(f08841)と
はい、ドキドキもしますが…
面白い石が転がってると聞きワクワクも
見上げて平気ですよと答える
椛さんと一緒ですから
両手で掴んだ石を投げてみる
ニャニャニャ…ッ!?
飛退き、目がパチパチする
広がる光と音が鳳仙花みたい
綺麗だけど少しクラクラしますニャ…
隠れたアウラちゃんを大丈夫?と窺う
敵が潜んでいるかもしれない
はぐれないよう気をつけて
石にも騒ぐ内に慣れ
何だか楽しくなってきました
幾つか拾って行きましょう
扉があれば
椛さん、いよいよですね!
椛さんとアウラちゃんの風が吹く
わ、明るい…!
思わず手で目を覆ってしまいますが
負けてはいられないと奮起
光が消えない内に指示しジャッジメント・クルセイドです
少し歩けば周囲はもう真っ暗で、
傍にお互いの顔がある。それくらいしかわからなくなっていた。
「クラリスさんは暗いのは平気?」
闇の中に何が潜んでいるのか……。なんだかドキドキする、と。椛がそっと囁くようにいうと、クラリスも小さく頷いた。
「はい、ドキドキもしますが……」
「うん……?」
が、と続いたので、椛が首をかしげると、そっとクラリスも椛を見上げて、
「平気ですよ。椛さんと一緒ですから。それに、面白い石が転がってると聞きましたから、ワクワクもしています」
暗闇の中囁くように。内緒ごとのように言うクラリスに、少し身をかがめて言葉を聞いた椛も微笑んだ。
「……うん、私も同じだよ」
言葉は同じように囁くように。なんだかこうしていると内緒話をしているようでちょっと楽しい。
「それじゃあ、早速だけれど、試してみようか」
面白い石の話が出たので、椛はひとつ足元に転がっていた石を拾い上げてみる。結構重い。
「何色がでると思う?」
「何色、ですか……」
クラリスが鼻先までその石に顔を近づけて、じーっと覗き込んだ。そうしてから、
「ぱっと見では解りませんから希望になりますが、アウラちゃんの色だと嬉しいですね」
「あ、確かに。そういうの、いいよね」
成る程、と納得したように椛も頷く。
「じゃあ、投げてみようよ。ほら、クラリスさんも」
「はい。では私もここはひとつ……」
足元に転がる石からクラリスも一つ、両手で持てるぐらいのサイズのものを持ち出して掲げる。
「せーの、でいこうよ」
「はい。……せーのっ」
「えいっ!!!」
同時に二人して石を投げてみれば、
バババババババババババババババ!!!
「ひゃ、ひゃぁぁぁぁ」
「ニャニャニャ…ッ!?」
ものすごい破裂音が連続して響き渡り、そして更に水色とオレンジ色の光が交錯し上へ下へと縦横無尽に輝き爆発し、一瞬ぶわわわわーっと周囲が明るくなる。
飛びのくクラリスの毛が逆立ち、アウラががっしりと椛の背後にしがみつく。椛は何とか後退するのを踏みとどまって、二人を護るように無意識のうちに両手を広げていた。
音はしばらくしてからやみ、そして光もそれと同時にすぅ……。と消えていく。
明るくなったときに照らされていたのは、先ほどのクラゲとの戦闘で攻略したのと同じようなフロアだった。道はそこそこ広く、もうしばらくは一本道のようである。遠い向こう側で緩やかに道がカーブしているところまで確認できた。
「び、びっくりした……」
収まると、椛はほ、と息をついた。クラリスが軽く目をこすっている。
「うぅ、目がパチパチします。広がる光と音が鳳仙花みたい……。綺麗だけど少しクラクラしますニャ……」
すごい音だった。と、クラリスはちょっとふらりとしていて。椛の後ろに隠れたアウラにも、大丈夫? と、視線を向ける。
大丈夫、とこくこく頷くアウラに目元を和らげながら、椛は指をさした。
「でも周囲の様子が分かってきたよ。この先しばらくは大丈夫。だけど……」
「ニャ、ずーっと先でカーブしてたから、そこからはまた注意……ですニャ」
「うん。でも何かあったらいけないから……」
くっついていこう。と椛がそう提案して。
「アウラちゃんも。敵が潜んでいるかもしれない。はぐれないよう気をつけて」
三人で身を寄せあって、じわじわ進むことにした。
そして……、
「あっ。あっちに何か動いたよ!」
「ワタシの魔球……受けてみるですニャ!!」
「こっち側も、続いていくよ!! 道の確認もかねて……もちょっと上のほうに
………………あ」
「ひゃ……っ!?」
「きゃー! 壁に当たって跳ね返ってき……きゃー!!」
「うぅぅ、背中が光ってしまいます~……」
「ううう~。背中がすすけてるよりまし……かな……?」
いくつか石を拾い。
ああだこうだのやり取りをして。
気がつけば道中はいつの間にか遠足みたいになっていて。
そうしていつの間にかたどり着いた扉の向こう側で、
探していた敵の気配を二人は感じ取った。
「こっち、物音がするよ……!」
「はい、椛さん、いよいよですね!」
急いで扉をあけて、石をぶん投げる。
「わ、明るい……!」
思わずクラリスが両手で目を覆ったその瞬間。アウラが部屋の中に突入した。
「ま、眩しい! でもいた! よろしくね!」
扉の向こう側には、捜し求めていた敵の姿。椛の言葉にためらいなくアウラも光の中に突っ込んだ。
「この明るさなら敵の動きがはっきり見える……逃がさないからね!!」
続いて椛も5尺ほどある薙刀を抱えて突入する。眩しいが、それでもその目にふくろうの姿は映っていて、
「クラリスさん、そこだよ!」
「了解です。眩しいけれど……光ならこちらも負けません!!」
「な……っ!?」
驚愕の声がふくろうから放たれる。その瞬間にクラリスは指先をふくろうへと向けていた。天から光が落ちる。それと同時にアウラの鎌鼬の様な鋭い旋風が敵を切り裂いた。
「ただのつむじ風じゃないよ。この風には特別な力が篭っているから……アウラの風だから!」
同時に椛は薙刀を振るう。美しい紅葉の意匠が、光に照らされて空を舞った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
足元にある石を拾って翳す
……なるほど
如何にもオルハさんが好きそうな感じがしますね、これ
遊ばないように。
何かする前に釘を刺します
遊ばないように。(二回目)
遊ぶなよ。フリじゃないぞ。
まぁ言ったところで無駄な気もするんですけど……
俺は別に暗闇でも困らないからいいんですけどね
炎くらい出せますし、わざわざ石を光源にしなくても……
音も出るんだからむしろ警戒するでしょう
屁理屈くらい真面目に捏ねてくださいよ
まったく
……どうしてもやりたいってんなら止めません。
様々な色があるのはなかなか面白いものですね。
軽く放って、先を照らす
別に楽しんでいませんよ
目的忘れてませんよね?
冷ややかに見つめ
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
これ、あれだよね!リュカが言ってた石!
早速投げようとしたところで牽制の一声
……二度も言う必要ある?ひどくない?
もう、勘違いしないで
私は任務をしっかり遂行したいだけなの
ここで炎を使っても逆に目立つよ
この石で光らせる分には不自然さはないし、
光るのは短時間だから敵の警戒も少しは減らせるでしょ?
合理的ってやつだよ
とりあえず練習しておこう!
ほらほら、ヨハンもやろうよ
えいっ!
こんなに鮮やかな光が出るなんて凄いね
今ヨハンが投げた石、とっても綺麗だった!
同じ色ないかなぁ
ふふ、君も楽しんでるんじゃない?
目的は花火を作ることでしょ?
そ、そんな絶対零度の目で見てこないで……
冗談だってば
ヨハンは足元にある石を拾って翳した。
そこそこの重み。真っ黒なその姿からは、どんな色の光が出るかなんてまったく想像がつかない。
「……なるほど。如何にもオルハさんが好きそうな感じがしますね、これ」
うん、と、小さく頷いたそのとなりでオルハがそれを掴みあげて、
「あー! これ、あれだよね! リュカが言ってた石! ほらほら、黒くて、丁度いい感じ! これはもう石が……」
「遊ばないように」
「石が……投げてって……言って……」
「遊ばないように」
ヨハンの二回目の言葉も容赦なかった。
「遊ぶなよ。フリじゃないぞ」
「うう~。……二度も言う必要ある? ひどくない?」
ぐるぐると石を両手に握り腕を振り回すオルハ。
「だめ?」
「だめです」
「でもでも」
「だめです」
まぁ言ったところで無駄な気もするんですけど……。
とまでは流石にヨハンも口に出さない。
口に出した瞬間「そうだよね無駄無駄だよー」とか言いながらぶん投げる未来が容易に想像できたのでしない。
「もう、勘違いしないで。私は任務をしっかり遂行したいだけなの」
その強い意志に気がついたのか、むーっ。と軽く頬を膨らませながら、オルハは精一杯、今度は理屈で攻めようとする気配を滲ませていた。
「……俺は別に暗闇でも困らないからいいんですけどね。炎くらい出せますし、わざわざ石を光源にしなくても……」
そうなれば、ちょっと意地悪してみたくなるのも人情と言うものである。
ぬぬぬ、とオルハはしばしの間難しい顔をして、
「ここで炎を使っても逆に目立つよ。この石で光らせる分には不自然さはないし、光るのは短時間だから敵の警戒も少しは減らせるでしょ? 合理的ってやつだよ」
「音も出るんだからむしろ警戒するでしょう。屁理屈くらい真面目に捏ねてくださいよ。まったく」
またそんなことを言うヨハン……であったが、
「わかった! じゃあ真面目に考えて、そういうわけだから、とりあえず練習しておこう!」
オルハも負けてはいなかった。
「!? 一体何を解ったんですか!?」
何かがおかしい。と思ったがもう遅かった。
「ほらほら」
はい、と気がつくとヨハンの手の中にも黒い石があった。
「ほらほら、ヨハンもやろうよ」
「…………どうしてもやりたいってんなら止めませんけど」
はあ。とヨハンは息をつくと、オルハはとても嬉しそうな顔をする。それからぐるりと腕を回して、
「じゃ、いくよ! えいっ!」
投げた。少し離れた壁にぶち当たって、赤い火花を散らす石。
「わ、結構大きい音がする」
「ええ。これは……」
成る程。とばかりにヨハンも手にしていた石を投げた。
今度は若干、オルハのよりも低い音がして。青い火花と共に石がはじける。バウンドして、もう一度はじけて、消える。
「わー。こんなに鮮やかな光が出るなんて凄いね。今ヨハンが投げた石、とっても綺麗だった!」
「様々な色があるのはなかなか面白いものですね。さっきの青は二度光った気がします」
ヨハンもその光を見れば感心したように一息ついて、もうひとつ石を投げる。今度は控えめに、緑の光がふわーっと迷宮を照らした」
「さっきの青い子と同じ色ないかなぁ」
「この辺で拾いましたけれども……」
「ふふ、君も楽しんでるんじゃない?」
「別に楽しんでいませんよ」
肩をすくめるヨハン。じ、とオルハは彼に視線を向けて、
「? なんですか」
「ううん、楽しそうでよかった。なんだか機嫌が悪そうだったから」
「……そんなこと……ありませんよ」
改めて、言われて。
そうだろうかと、ヨハンは思い返して。
ちょっとばっかり気まずげに、そっぽを向いた。
「それより……目的、忘れてませんよね?」
「え、勿論。目的は花火を作ることでしょ?」
「……」
「そ、そんな絶対零度の目で見てこないで……。冗談だってば」
「だと、いいのですが」
「一番の目的は、ヨハンと楽しく一緒に花火を作ることだよ」
「……」
「あ、ごめん、ヨハンと一緒に冒険すること、と、一緒に花火を見ることが抜けてた」
いけない、ここは冷ややかに冷たい目で見るところだと。ヨハンは思いながらも、
「……はあ」
重い重い、ため息が出て。それからオルハの手を引いた。
「急ぎますよ」
「んっ。……んん!?」
繋いでる。引っ張られる。オルハは思わず驚いたように声を上げたけれど、なんだかヨハンの顔を見て、瞬きをひとつ。
「石を忘れないでください」
「はーいっ」
嬉しそうに笑うオルハを見て。ヨハンは表情が緩むのを何とか抑えながら。
「早く退治しますよ」
ヨハンは歩く速度を少し速めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
篝・倫太郎
引き続きマリス(f03202)と
足元に注意して探索
石は違和感感じた時だけ使用する
雷つーか、閉鎖空間だから反響すげぇするもんn………
な、まで言い切れねぇのは
なんかフツーに女の子だったわ、マリス
わぁってる、吃驚しただけだろ?
それよか、索敵頼むぜ?
後、此処じゃ耳が死ぬから石使うのは程々にしとけ?
でもなんか、ちっとばか面白そうだから
マリスが示した方向あるなら一回くらい投げてぇな、俺も
石を使用して追い立てられた敵と遭遇したら戦闘
華焔刀で先制攻撃し掛けて刃先返して2回攻撃
冴えない言うな、お前……
逃げられたら深追いしねぇで再度探索
つーか、夜目効くのに石の発光、目くらましになんねぇのな?
ずっり……(ぶつくさ)
マリス・ステラ
倫太郎(f07291)と参加
【WIZ】連携して戦う
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
地縛鎖・星枢のダウジングと『第六感』を働かせて敵を探す
「郷に入れば郷に従えと言います」
全身から光を放たなくても『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』は機能します
石を投げて探索
「……まるで雷のように轟きました」
ちょっとびっくりして倫太郎の服を掴む
気付いたらそそくさと離す
「べ、別に怖いわけではありませんし」
ここは特に響きますし、大きな音は普通に驚くものです
弓で『援護射撃』
重傷時には【不思議な星】
石を投げつつ星の『属性攻撃』
「天翔ける星々の輝きよ!」
冴えない爆竹の音が聞こえました
「主よ、憐れみたまえ」
マリスはそう、いつものように祈りを捧げた。星辰の片目に光が灯る。
「では……いざ、行きましょう。郷に入れば郷に従えと言います」
はい。とマリスが出したのは、付近一帯にまつわる情報を吸い上げる、星の力を宿した鎖。地縛鎖・星枢である。それをダウンジングのように使用するのだろう。
宣言どおり、今は全身から光を放たない。その方が面白そうだから。
「さあいきますよ倫太郎。こっちです」
「いやいや、そっちは壁だからなー」
「壁ぐらい破壊しましょう。あっちに敵がいると言っています。私のカンが」
「ダメだだめだ。危ないからな」
何言ってるんだろうこのお嬢さん、みたいな顔を倫太郎はしない。もう慣れたから。
「あっちか……っていうと、回り込んで……たぶんこっちの道からだな。ほら、足元」
「はい、ありがとうございます」
気をつけろよ、というまでもなくその言葉を察してマリスも頷いたりして。
注意しながらも石の通路をいくこと数分。
「……倫太郎」
「ん?」
「飽きました」
「言うと思った」
そんなやり取りをすること数分。
とはいえしっかりと周囲を警戒はしている。二人ともやるべきことはわかっているので、むやみやたらに石を投げて遊んだりはしないのだ。
なので……、
「……ふっ」
とある通路の向こう側で、何やら敵っぽい気配を感じたとき、マリスはいやに清々しい表情を浮べて石を拾い上げていた。
「はいはい。任せたから、やっちまえ」
倫太郎が手をひらひらすると、不思議そうにマリスは倫太郎を見る。
「? あなたも一緒にするのですよ」
「……マジか」
それは大丈夫なんだろうか。光多すぎやしないかと一瞬倫太郎は思ったが、
こうなったらマリスがとまらないこともよく知っていた。倫太郎は足元の石をひとつ拾い上げる。
「では、いきますよ……それっ」
「よ……っ。と」
そうして二人して一緒に丁度曲がり角向かって石を投げつけた……瞬間!
ものすごい音と光が周囲に響き渡った。
「うぉっ。流石にすげ……!」
二つ同時に放たれた光はまばゆく周囲を照らし出し、まるで雷以上の耳を痺れさせるような音が周囲に響き渡る。
「……っ!!」
マリスが何か言ったようだが、倫太郎の麻痺した耳には届かなかった。そして、
「……まるで雷のように轟きました」
「雷つーか、閉鎖空間だから反響すげぇするもん………」
次の瞬間、若干耳が痛いながらも聞えてきたマリスの言葉に返答をしようとして、倫太郎は硬直する。
「……」
「……」
「…………あ」
視線に気付き、マリスは無意識のうちに掴んでいた倫太郎の服の袖をぱっ。と、離した。
「……な」
「べ、別に怖いわけではありませんし」
「なんかフツーに女の子だったわ、マリス」と思わずいいかけた言葉は、そんなマリスの言葉に遮られる。
そのやっぱりまた、フツーの女の子みたいな台詞に、倫太郎は思わず言葉に詰まって、
「……わぁってる、吃驚しただけだろ? それよか、索敵頼むぜ? 後、此処じゃ耳が死ぬから石使うのは程々にしとけ?」
「はい。ここは特に響きますし、大きな音は普通に驚くものです。……乱発せずに行きましょう。敵の気配はすぐそこです。逃走はしましたが、走って追いかけることが出来るでしょう」
「りょーかい」
マリスが示す先に、倫太郎もうなずいて石をひとつ拾い上げる。
「……」
「……」
気がつけばマリスもがじっと倫太郎を見ていた。
「あー。ほらこれは、やっぱり戦闘に入るとき、いるだろ? 灯り」
ちょっと面白かったから。という言葉を飲み込んで、倫太郎がいうと、マリスはじーっと倫太郎を見つめたまま、頷いた。
「投げる前には一言声をかけることを所望します」
「……りょーかい」
「では……もうしばらくしたら、恐らく直線の道に出ることでしょう。カンですが。そこで、仕掛けますよ」
「あいよ」
マリスも再び石を拾い上げて、二人して走り出す。角を曲がった先で
「そりゃ……っ」
「えい……っ」
二人は石を投げた。投げてなお走りこんだ。まばゆい光と音も一度聞いていれば覚悟も出来ていることであろう。それに……、
「冴えない爆竹の音が聞こえました」
「冴えない言うな、お前……」
ちょっと遠慮して小さめの石を拾ってきたのに。ひどい言われようだった。
そしてとうのマリスはというと……、
「天翔ける星々の輝きよ!」
あっさり見えた光の向こう側にいる敵に、星の攻撃を開始していたのである。
「はえーなおい。よ……っ、と!」
倫太郎も負けじと走りこんで、華焔刀を振りかざす。敵が反応する前に、衝撃波を放つなぎなたを叩き込んだ。
「!」
しかしふくろうも即座に反撃する。己の羽から矢をマリスにむけて放つ。そこに倫太郎が割り込んで、華焔刀でなぎ払って一撃与えた……ところで、
「あっ」
「む」
すたこらさっさと、ふくろうはその場から逃走していた。
「……素早い。追いますよ、倫太郎」
「つーか、夜目効くのに石の発光、目くらましになんねぇのな? ずっり……」
「いえ、好都合です。今度こそあの後頭部に当ててみせます」
わきわき、となんだか若干目を輝かせるマリスに、
「……ま、いっか」
さっきのも可愛かったけれども、こっちの方がらしいだろう。なんてほんの少しだけ倫太郎は考えて、後を追いかけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エンジ・カラカ
おや?おやおやおや?
面白い石だなァ……。
賢い君、賢い君、投げてもいーいー?
そうかそうか、それじゃまずはひとーつ。
ワァ……火がパチンって面白いなァ……。
もうひとつイイ?イイ?
ぱちんぱちん、たーのしいネェ。
コッチは赤でコッチは紫。色んな色があるなァ……。
たーのしいたのしい。やっぱりもうひとつ、いやふたつ。
アァ……ダメか。それじゃひとつで我慢しよう。
えらい?えらい?そうかそうか。
アァ……遊びすぎるのは駄目なンだろう。
じゃあやろうか。
偶然鉢合わせたあいつを君と一緒に足止めしよう。
アァ……もう少し遊びたいなァ……。
都槻・綾
彼方此方で弾ける石に興味津々
目を輝かせ
一つ投げては
ひかりと音を楽しむ道中
迷路や隠し扉の先々で
発光色と弾ける音の違いに差が無いかなど
特性の有無を実験気分で次々試してみたり
海へ還すべき骸が居ることを忘れたりなどは
……完全に忘れていましたね??
開いた扉の向こう
偶然ばったり出くわした敵の姿へ
暢気に手をぽんと打つ
けれど
みすみす好機を与えはしない
先制攻撃、高速詠唱、二回攻撃で間を空けず
馨遙による深い眠りへと誘おう
動きを封じておけば後は容易い
昏い黄泉路へ賑やかな餞を贈るから
きっと寂しくないですよ
なんて嘯いて
興味は既に新たな石へと移りがち
閃光で点る視界の中
美しい青に輝く石を見つけたら
そっと手のひらへ仕舞い込む
軽く一歩歩けば、
カツンとエンジのつま先石が弾く。
「おや? おやおやおや?」
これがうわさに聞く石だろうか。エンジは持ち上げる。
両手ほどの石はそこそこ重みを感じられて、投げるのにも気持ちがよさそうだ。
「面白い石だなァ……。賢い君、賢い君、投げてもいーいー?」
待つこと、数秒。
「そうかそうか、それじゃまずはひとーつ」
と、いいながら。
エンジはあちこちに散らばる石を、いくつかかき集めた。
ひとつで済ませられるとはまったく思えなかったが、突っ込む人もいなかった。
綾は興味津々でその石を見つめていた。
「軽く蹴ったり、躓いたりしても反応しないのに……。投げたときだけ。これは面白いですね」
目を輝かせ、ひっくり返して観察したり。振ってみたり。
「……」
さすがに、割ってみるのはとりあえずやめておくぐらいの自制心はあった。とても魅力的な思い付きであったが。
「水に浸してみたり……可能なら色々試してみたいですね」
いくつか持って帰ろうかと。回収しながら綾も進む。
するとすぐ近くから……ものすごく派手な音と光が生み出されていた。具体的に言うと、角を曲がったその先から。
「おや?」
「ああ」
角を曲がった先で遭遇した二人。周囲ではすでに爆発した石がものすごい音と真っ赤な光を発し続けていた。エンジが面白そうに笑う。
「ねー。これ、ほら。火がパチンって面白いなァ……。試した? もう試した?」
石を示すエンジに、綾は己の持っていた石を軽く振る。
「いいえ。これから試してみようかと」
「ああ。じゃァやってみるのがいい。面白いよォ」
「そうですね……ではっ」
軽く勢いをつけて、綾は石を振りかぶり、そして投げる。
今度は先ほどよりもちょっと低めの、腹に響くような音がして。そして周囲が真っ青に染まった。
「ああ……風が来ないのが不思議です」
爆発なのに爆風じゃない。そんな好奇心がくすぐられる結果に、
「ワァ……。ちがう。さっきのと違う。ね、もうひとつイイ? イイ?」
「ええ。光も音もどれも違う。でしたらこれは……」
「何がでるかわからないなら、試してみるのも大事だからねェ」
ほらいざというときの為に、知っておくことは大事だと。
顔を見合わせたエンジと綾。
「やりますか」
「やっちゃおうよォ」
二人して、悪い大人というか、だめな大人の顔してた。
どーん、だのばーんだの。一瞬ではじけるものもあれば、ときおりばばばばばっと足元を走り回ってしばらくの間色を撒き散らすものもある。
「ぱちんぱちん、たーのしいネェ。コッチは赤でコッチは紫。色んな色があるなァ……。たーのしいたのしい」
「おや。やはり小さいものは爆発も小さいですね。ではこれとこれをあわせれば……」
「そっちの小さいのをくれよォ。なるべく遠くに投げてみるんだァ」
「はい。どうぞ。では私はこちらの……」
なんて暢気に歩いていれば、ふと綾が足を止める。手の中にはひとつ石がある。このフロアある石は全て黒いが、おそらくは青い花火が輝くであろう、と、状況から推測された石をとりあえず確保した。
「……あれ。こちらの音が」
「音ォ?」
「ほら、反響音です。恐らくは……ああ。隠し扉が」
何かの気配がすると、綾はそっと石の壁を押す。このままぐるりと回って向こう側に行けそうだ。
ふ、と綾は何事か考え込み、ぽんとひとつ手を打ってから息を吐く。まるで仕事を思い出した社会人のような顔をしていたが、一応仕事である。
「そういえばそうでした。海へ還すべき骸が居ることを忘れたりなどは……完全に忘れていましたね??」
「ん~。ん~。そっかァ。かくれんぼも嫌いじゃないけどなァ。やっぱりもうひとつ、……いやふたつ」
名残惜しそうにぶんぶんエンジも首を振るが、仕方がないことはわかっている。愛用の『賢い君』に若干名残惜しそうに語りかけていたが、
「アァ……ダメか。それじゃひとつで我慢しよう。えらい? えらい? そうかそうか……」
遊びすぎるのは駄目なンだろう。なんてエンジが泣く泣くひとつ石を取っている間に、あっさり綾はいくつも準備していたものを試していた。
「成る程これを……恐らく中を砕いて組み合わせれば、文字を作る事も……」
「……じゃあやろうか」
「はい、やりましょうか」
なんかずるい。ってい痛げなエンジの顔に綾は笑いつつ石を押して隙間をあける。糸を察して、エンジがその向こう側に最後の一個を投げ込んだ。
どぉん。と音がする。
先に向こう側に突入したのはエンジだった。
「賢い君、できるよなァ……。アァ……もう少し遊びたいからなァ……」
声と共に、鱗片と毒性の宝石、赤い糸と共に拷問器具の賢い君を投げつける。
「キサマ、なぜこんなところに……」
「はいはい。そういうお話は後にしましょう。みすみすこの機を譲るわけにはいきませんので」
一瞬、敵の動きが止まる。その隙に、綾も誘眠を齎す『馨』を敵へと向けた。
「昏い黄泉路へ賑やかな餞を贈るから、きっと寂しくないですよ。……神の世、現し臣、涯てなる海も、夢路に遥か花薫れ」
詠唱と共に放たれた『馨』も合わさり、敵の動きが完璧に止まる。眠そうに動きが鈍る。その姿に二人は顔を見合わせて、
「それでは」
「どォも」
ぱこんぱこんっ。
攻撃を加えている間に光は消え、世界は再び闇に包まれる。
「……では」
「あァ」
二人はまた顔を見合わせて、
さっ。と石を取ってみるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
清川・シャル
f08018カイムと第六感連携
石投げると綺麗なんですよね。
後で投げて遊びましょ?(投げてみる)
ねぇねぇカイム…
暗いね?明るくしていい?
ぐーちゃん零で閃光弾を使いますね
グレネードで閃光弾を撃ちながら、アサルトで援護を行います
グレネードは範囲攻撃
アサルトは属性攻撃、吹き飛ばし、援護射撃、毒使い、スナイパー
狙うけど、念動力を使ってちゃんとコントロールします
UCも併せて使います
近づかなければ大丈夫じゃないでしょうか
動きを封じてる間に、
カイム〜お願いしまーす。
援護射撃も続行しますけどね
近距離に来られたら桜雅乱舞で殴っておきます
見切り、カウンター、野生の勘で対応ですね
カイム・クローバー
シャル(f01440)と第六感で連携して行動
行動…なんだが、こう暗くっちゃ何が待ち受けてるか全く分からねぇ。
で、この石を投げりゃ良いんだったか。よっ、と…(石投げる)
【SPD】
鮮やかに光る室内には言葉を失うぜ。話には聞いてたが、予想より煌びやかだ。
バリエーションもあるんだったか。色々と試してみてぇもんだ。アイツを倒してから、な
鉈を振り回してくる一撃の名前が叡智の斬撃。何処に叡智があるのか分からねぇが、そう来るならこっちも剣で相手するぜ。
【二回攻撃】【属性攻撃】【串刺し】【衝撃波】を交えてUC。夜目が効く訳じゃないから光が消える頃には離れねぇとな。
援護もあるし、遊ぶのに時間使わせて貰うぜ?
「石投げると綺麗なんですよね」
説明を聞いたシャルが、ての中でポン、ポン、と、石を弄びながらカイムと一緒に歩いていた。おー。とカイムもうなずき返事をする。その顔をちらりと横目で見つめて、
「後で投げて遊びましょ?」
って、言いながら、投げた。それはもう、一瞬で。ノータイムで。
「うぉ!?」
ぺかっ。ばばばばばばばばば
!!!!!
ものすごい大音響に、皆無は思わず足を止める。即座に双魔銃、オルトロスを一瞬で抜いて構える。勿論敵がいるわけではなかったが、どこまでその光で反応できるか試してみたかったという気持ちもあった。
「こ……れは」
結果。いつもの手法に慣れた自分には若干、ちょっと、なんと言うか。カイムは絶句する。
「話には聞いてたが、予想より煌びやかだな……」
すっごい派手。すっごい明るい。すっごい音がする。
そして光は数秒でその力を失い、消えていった。
世界は闇に包まれる。
シャルは軽く、咳払いをした。
「ねぇねぇカイム……暗いね? 明るくしていい?」
わきわき。と両手で石を握り締めて目を輝かすシャル。カイムは軽く頭をかく。
「いや、まあ。こう暗くっちゃ何が待ち受けてるか全く分からねぇ。わからねえのはわからねえんだが……」
そうして自分も石を拾い上げて、軽く投げつけた。
「よっ、と……。こんな風に投げりゃ良いんだったか」
若干小さめの石を狙っていたはずだったが、それでも響く大音響。輝くピンク色のまばゆい光。
「わあー。待って待って、私もする~」
そして喜ぶシャル。ピンクの先行の中に石を投げ入れると、また響く音響。そして今度はエメラルドグリーンの光がピンクと混ざり合う。
「すごい……!」
「ああ……すごいな」
結論:二人の戦法には合わない。
けれどきっと、楽しい。
「まあまあ。本気で戦うときはぐーちゃん零で閃光弾撃ちますから」
微妙な顔をするカイムに、シャルがそういって笑う。それからそれから、とわくわくした声で、
「もうちょっと、明るくしていい?」
なんて、可愛らしくウィンクするのであった。
そして。
その一瞬を、シャルは見逃さなかった。
何も言わない。今までと同じそ知らぬ顔でカイムを見ると、カイムも小さく頷いた。
視線が交錯したほんの一瞬の後。
イケてるピンク色のアサルトウェポンから閃光弾が発射された。
目指すは前方。第六感で囁く、敵の気配より少し手前。
「は……っ!」
同時にカイムが走り出す。まばゆい光を突っ切って、シャルの視線の先をかけた。
シャルはすかさず援護射撃を行う。念動力を駆使してカイムには万が一にも当たらせることなく、敵に着実にその弾を届けていく。
「そこ……だ!」
既に敵の姿は見えている。シャルの射撃になんら心配もしていない。カイムは大剣を振りかぶる。敵もまた、手にしていた鉈で応戦した。
「援護もあるし、遊ぶのに時間使わせて貰うぜ? まだまだやりてぇことがいっぱいあるんだ。……さぁ、踊るとするか!」
「何を、小癪な……!」
敵が声を上げる。踊るような大剣の連続攻撃が幾度も、幾度も敵のみに迫る。それを受け流し、反撃しようとする鉈はしかし、
「ツカマエタ……大人しくしててくださいね?」
紅い無数の有刺鉄線が絡みつき、その動きを封じた。近付かなければ、動ということはないです。なんて冗談のようなほんとのことを言いながら、
「カイム? お願いしまーす」
「ああ……任せろ!」
ひときわ鋭い一刀が、敵の体を切り裂いた。
「……っ」
更に追撃しようとした瞬間、閃光弾の光がふ……と消える。
カイムは即座に後退した。夜目が効くわけではないので、こういうときは即座に撤退する。
逃げていくのか、遠ざかる足音がする。しかし二人とも落ち着き払っていた。
「……追いかける?」
「ああ。慎重にな」
もはや遠ざかる気配に、無理は禁物と二人で視線を交わした。
こういう荒事に慣れている空気が、二人の間に流れていた。
「じゃ……暗くなってきたし、ちょっと明るくしていい?」
ね、って、笑うシャルに、カイムも笑った。
「了解了解。バリエーションもあるんだったか。色々と試してみてぇもんだ。アイツを倒してから、な」
きっと組み合わせたり、色々遊ぶのも楽しそうだろう。
顔を見合わせた二人は、どこか楽しそうに。しかし油断することもなく。追跡を再開するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オズ・ケストナー
わあ、まっくら
なげれば光るんだよね(そわ
いっかいなげてみていいかな
音と光に瞬いて
きれいっ
ふふ、でもたしかに、これじゃあびっくりしちゃうね
壁に手をついてずんずん進んでいくね
耳は澄ませて
なにか物音がしたり
さわってる壁が曲がって分岐点になったら
足元の石をひろって
今度はなにいろかな、えいっ
音もさっきとちょっとちがうんだね
もし姿がみえたらおいかけるよ
斧で攻撃っ
反撃は武器受けして
わ、はやい
にげちゃった
おまつりのときにこんな音がしてたなあ
どーんどーん
どこかから聴こえてくる音にたのしくなって
小さな石を投げて合いの手みたいに
ぱらぱら
おおきさとか手触りで色がきまってるのかなあ
投げながらたしかめ
あっ、守護者
まってっ
ベイメリア・ミハイロフ
まあ、灯りのない道なのでございますね…
隠し扉もあるという事ですので、壁伝いに歩いて参りましょう
足元に気を付けつつ第六感を常に働かせ、気配を感じたら
足元の石をえいっと投げてみます
まあっ、音も結構響きますけれど
光があちこちに散らばる様子はなんだか心躍りますね
もう一投…
お仲間さまでしたらご一緒したく、もし敵でしたら
素早くジャッジメント・クルセイドにて攻撃を試みたい所
一体この気配はどちらなのでしょう?
不謹慎ではありますけれど、ちょっとどきどきいたしますね
お相手の攻撃は絶望の福音にて見えましたら回避したいのですが
暗闇なので見えますでしょうか
常にオーラ防御を張って用心して参りたいです
※爆発の色はお任せ
「わあ、まっくら」
「ええ……、灯りのない道なのでございますね……。大変、お洗濯物がこれでは乾きませんわ」
「それは、すっごく大変だね」
しみじみと言ったベイメリアの言葉に、オズは思わず頷いた。素直なその感想に、ベイメリアも微笑む。
「ええ。ですから気をつけて。隠し扉もあるという事ですので、壁伝いに歩いて参りましょう」
「うん。ころんじゃったら、よくないもの。石がいっぱい、落ちているし……」
石。そう石。
割とあちこちに落ちているので、歩けばすぐ拾い上げることが出来る石である。
オズはつま先で蹴飛ばしてしまったそれをひとつ取る。
「……」
「……」
「なげれば光るんだよね」
オズは、そわっとした。
「いっかいなげてみていいかな」
「そう……ですね。投げてみないと、どのようなものか解りませんからね」
ベイメリアも、非常に心惹かれた様子で石をひとつ拾い上げた。
「とおくまで、投げられるかな」
「近くでは、もしかしたら眩しくて危ないかもしれませんから。なるべく頑張りましょう」
せえのっ。と。
二人して少し大きく振りかぶって、通路の向こう側に石を投げつけた。
ものすごい破裂音と共に、世界が一瞬、光に包まれた。
二色の光が混ざりあって、まばゆい真っ白な輝きが周囲を照らし出す。視界の端にまるで魚が泳ぐように光の粒が泳いでいた。
光だけなら、若干ロマンチックで感動的な輝きかもしれないが、それと同時に鼓膜を破りかねないレベルの爆発音もついでのように周囲に満ちた。
どどーん。とか、そういう類。
ものすごい太鼓の音みたいだね、とオズが言ったが、言った言葉すらその爆発音に混ざってまったく聞えなくなってしまっていた。
しばらくして、光は収束し同時に音も消えていく。
爆風もなければ、石の落下地点が壊れた様子もない。本当にただ光と音だけのものだったようで……、
「おまつりのときにこんな音がしてたなあ……。きれいっ。ふふ、でもたしかに、これじゃあびっくりしちゃうね」
おぉ、と目をぱちぱちさせながらオズが両手を握り締めて感心すると、ベイメリアは両手を胸の前に汲んで沈黙する。しばらく眼の裏の光と、音の反響が収まるのを待ってから。
「ええっ、音も結構響きますけれど、光があちこちに散らばる様子はなんだか心躍りますね」
すごいです。とベイメリアも嬉しそうであった。オズがニコニコしながら、
「それじゃあ、大体どれくらい光るかとか、わかったから。いこうか」
「ええ。そうですね……」
「……」
「……」
今度はベイメリアが、そわそわしていた。
「もう一投……よろしいですか?」
「うん、もちろんっ」
それから。
「あ、こっち、道が曲がってるみたいだよ」
「まあ……。こちら側にも曲がり角がございますわ」
「それじゃあ、投げちゃう?」
「ええ、それはもう」
「えいっ」
「そーれっ!」
壁に手をついて耳を済ませたり。
勘を頼りに進んでみたり。
「あ、今度は赤いろっ。ええと、先が……」
「……っ!! こんなところに壁が……っ」
「わ、まぶしい……っ」
何かあれば石を投げて周囲の様子を図ってみたり、
思わぬ壁に当ててしまって至近距離で爆発してえらいことになったり。
「ああ……まだ少し耳の奥に音が響いている気がいたします」
「ふふ、音もさっきとちょっとちがうんだね」
「ええ。確かにこれを組み合わせれば、光と音で素晴らしい何かが出来るかと……」
「ほんとう? じゃあ今から、色々試しておかないとっ」
とかおしゃべりを進みながら進んでいたが、ふとベイメリアは足を止めた。
「あら」
「うん?」
オズも気づいた。通路の先のほうに誰かがいる気配がする。
「お仲間さまでしょうか。それとも敵でしょうか。一体この気配はどちらなのでしょう? 不謹慎ではありますけれど、ちょっとどきどきいたしますね」
「うーん。どうだろう……」
「ではまずは試してみましょう。えいっ」
「わっ」
言うなり、ベイメリアは石を振りかぶって投げた。それにくぢて、オズも走る。
カッ。と輝く水色の光。その光の向こう側で翻るのは確かにふくろうの羽。
「見えたよっ、敵みたいっ」
「了解いたしました」
すかさずベイメリアが指先を向けるのと、オズが距離をつめるのは同時であった。身の丈ほどある斧を軽がるオズは旋回させる……が、
「わ、はやい。にげちゃった」
「まあ。追いかけましょうっ」
オーラの防御を身に纏いながらもベイメリアが言うので、オズも頷いて、
「それじゃあ……今度はわたしが、いくよっ」
もう一投。今度はふくろうが走る先に石を投げつける。
今度はどこかキーン、という高い音程の音と共に、オレンジの光が周囲に満ちた。
「待って……それっ!」
「ええ。今度こそ……参ります!」
オズがふくろうの腕を斬り裂き、そして天からの光が同様に腕を打つ。
しかしその一瞬後。ふくろうの姿が消失していた。
「早いね。もう、見えなくなっちゃった……。追いかけようっ」
「ええ。無論追いかけましょう」
言いながらも、二人とも石を拾い上げて顔を見合わせてちょっと笑う。どっちが目的なのかだんだん解らなくなっている……かも、しれない。
「この子たち、おおきさとか手触りで色がきまってるのかなあ」
「そうですね。大き目の石の方がやはり、力強いような気がします……」
特大のを探しましょう。なんて冗談か本気かわからぬ口調で言うベイメリア。
「んっ。じゃあわたしは、ちいさいのをいっぱい探して……」
大きい音に、合間に聞える小さな音。
まばゆい光に、ほんの少し別の色が混じればまた姿かたちも変わっていく。
「次は……これっ」
「あら。ではこちらを……」
そんな二人のやり取りは、もうしばらく続くだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG。
「SPDで判定」
ぼくは姫の守り刀だったから……おく内でも、くらやみでももんだいなくうごける!と、おもってたけど。人のからだってどうしてふべんなの?(よくみえないので手探りで進みつつ、むむっ)あ、でも、足元の石をひろってえいってなげたら、なんかの生きものみたいなうごきで少しの間あかるくなってたのしいかも!これ、ネズミ花火っていうんでしょ?あれ、ちがった……?(きょと)
たのしく光をおってたら、うっかりボスとそうぐう?もし、そうぐうしたら見うしなわないようにひろってた石でボスがいそうなあたりになげつけて、きょりをあけながら、舞風でしょうぶするよ!
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
ふーん、照明弾ってやつ?みてーな石か。
……明るくなったり暗くなったり繰り返すんか。なんか目がちかちかしそう。
暗いんは全然怖くねえけど、戦うんはやっぱ怖くてヤだな。
とりあえず、スリングショットで件の石を放ちながら光源代わりにして進んでいく。
……待てよ? いっそ直接オブリビオンに当てるんもいいかもな。〈目潰し〉になるかもしれねえし、効果がありそうならやってみようっと。
あんまり安定した視界じゃねえかもしれねえから、《忘れられし十三番目の贈り物》で相手の攻撃を避けながら、反撃でダメージを重ねていくか。
近くに味方がいるなら適度に〈援護射撃〉や〈鼓舞〉を飛ばして支援もする。
「ぼくは姫の守り刀だったから……おく内でも、くらやみでももんだいなくうごける! と、おもってたけど……」
景雪は少し、困っていた。
「人のからだってどうしてふべんなの?」
真っ暗闇を手探りで進むのは、ひとの体にそこまでなれているわけでもない景雪には少々不便だったのだ。
石につまずいて、転がれば。むぅ、と困ったように眉間にしわがよる。
しかしそのとき……、
「わ……っ」
しゅん。と、景雪の頭上を飛び越えて、ひとつの石が景雪のいるところより少しはなれたところに落ちた。
同時にまばゆい光に周囲は包まれる。景雪はあわてて両手で目を覆った。そこに、
「わっ。大丈夫か?」
スリングショットを抱えたままの嵐が声を上げる。その石は嵐が放ったものであった。一瞬、当たってしまったのかと嵐は景雪に駆け寄ると、
「悪い。当たったか? どこも怪我してねぇか?」
「だいじょうぶ。さいしょからかってにころんでただけだから!」
「そっか。それはよかった……いや、よくねぇのか?」
何故か胸を張る景雪を、嵐は若干ほっとしつつその手を引いて立ち上がらせる。景雪はぽんぽん。と、服の裾を軽くはたいた。
「ねえねえ、それ……それ?」
「ああ。これか? 照明弾ってやつ? みてーな石か」
それで嵐は再び石をスリングショットの弾として、適度に使えそうなものを拾い上げて装填する。ところで、景雪が両手を広げるので、ほら。ともうひとつ手にとってそれを手渡した。
「……明るくなったり暗くなったり繰り返すから、なんか目がちかちかしてるんだが。これでなかなか、面白いぞ」
何が出るか解らないので、それは楽しいのだと嵐は笑う。
「なるほどなるほどー」
そういえばそんな話を聞いたと。景雪も目を輝かせて両手で手にしていた石を投げた。
「えいっ」
そんなに遠くまで投げる子とは出来ないけれど、既に再び真っ暗になっていた世界に灯がともる。
足元に落ちた石はオレンジ色の光と共に、べべべべべべべべべ、と足元を走り回るようにぐるぐる回って光と音を撒き散らした。
「……っ! すごい、すごい! たのしいかも! これ、ネズミ花火っていうんでしょ??」
花火が走り回っている!!
と、目を輝かせて思わず花火を追いかける景雪。
特に熱があるわけでも、爆風があるわけでもない石は、しばらくすると急速に光を失い、消えていく。
「ねえ、もう一回やってい……あれ、ちがった……?」
消えかけていく花火に、景雪が嵐を振りかえる。その嵐の顔に、景雪がぱちりと瞬きをすると、
「あ、いや。どんどんやっていいとおもうぞ。何があるかわかんねぇから、あんまり近付きすぎないようにな」
「うんっ」
無邪気に走り回る景雪に、嵐は軽く頭をかいた。
(暗いんは全然怖くねえけど、戦うんはやっぱ怖くてヤだな。……なんて、いってられねぇか)
いや、嫌は嫌で嫌なのは間違いないのだが。
それでも、しっかり援護しなきゃな、なんて。
嵐は己の手を見つめた。
時々周囲を光らせながら、二人は進む。
景雪がえいっ。と足元を照らし、嵐が的確に遠方へと石を放って光らせ遠くを確認する。
そうやってしばらくいった……とき、
「ちょっと待った」
それは第六感だったり失せ物探しのような野生の勘だったり、はたまた周囲の状況から収集した情報から導き出される結論だったりするのだが、
何せ嵐がピンと来て、景雪もぴたり足を止めた。
「うっかりボスとそうぐう?」
「ああ。したみたいだが……向こうは気づいてないみたいだな」
「じゃあ、ぼく、がんばってこーげきするよ!」
「頼りにしてる。……待てよ? けど、その前に」
ぐ、と嵐はお手製のスリングショットを引き絞り狙いを定める。敵はまだこちらに気づいていないようで……、
「あ……たれ!」
全力で狙いを定めて、嵐は打った。弾は勿論、さっきまで使用していた閃光弾だ。先ほどから足元、または壁を狙っていた嵐の弾はしかし、
「が
……!?」
「わ、あたった!」
ふくろうの後頭部に見事命中した。そして周囲に光が溢れる。
「いまだ!」
「うんっ! いちげき必殺、とはいかないけれど。そのぶん、手数でしょうぶだよ!」
景雪が自分の本体、短刀の分身を作り出す。その数21、
「見やすくて、ちょうどいいよ! いくよー!」
「ああ。頼んだ!」
刃がふくろうへと飛ぶ。明るくて狙いやすかった。ふくろうの体に刃が突き刺さる。
「この……っ」
「させねえ!」
走り出そうとするふくろうの周辺に、嵐がどんどん光を放つ石を走らせる。めくらましになり接近できないふくろうが、せめてもの反撃にと羽を出鱈目に飛ばした。
「わ……っ」
「……ッ、何だコレ……ってヤベぇッ!」
悩んだのは一瞬だった。嵐はとっさに景雪を掴んで庇うように伏せさせる。
「それ、でも……っ!」
「ああ、たのんだっ」
景雪も倒れこみながらも刃を操り続ける。そうしてごろごろ転がって、顔を上げたときにはふくろうの姿はもうなかった。
「やったか」
「うん、ちょっとは」
血痕だけが残っている。二人は顔を見合わせて、
「じゃ、追いかけるか」
「うんっ」
またそうして、探索に戻るのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
え、何コレ面白い
足元の石ひとつ投げてみれば軽快な破裂音と共に散る琥珀の光
他にはどんなのがあるの、と拾っては投げしながら相方の後を歩き
イイ事思い付いた、と
【彩雨】呼び細やかに降らせてから石を投げれば、光が氷にきらきら反射
どうよ、と自慢気に胸張ってみたり
悠長に遊んでちゃ敵サンも出てきそうになくない?
ナンて思うものの、まあコレも一種の威嚇? みたいな?
こうやって石拾ってたらひょっこり出てきたりしてネ
遭遇したらとりま手の石投げつけて
彩雨で集中攻撃すんね
『2回攻撃』で逆方向から更に氷降らせよう
反撃は自分らの前に彩雨で氷の盾作り防ぎながら
石拾って次の明かりの確保もしないとネ
火狸・さつま
コノf03130と
ここ、まっくらー!!
わーわー、石、いっぱい落ちてる、ね?
てててーっと走って迷い無く一つ拾い、ぽぉ~いっ!
!!
なにこれ!楽し…!!
つぎー!と、てってけ駆けて
『暗視』で見えてはいるものの
楽し過ぎて次々投げまくる
何色が一番綺麗、かな?
次はどれにしようかなときょろきょろしてる間に光が消え
瞬間、煌めく氷と光
わぁあ!!綺麗…!!
しっぽぶんぶか振り倒し
!
じっと曲がり角を凝視
んん、出て来ない?
じゃ、じゃ、ちょっと、待ってみる?
敵の動き『見切り』躱せば
『だまし討ち・カウンター』【燐火】
光源代わりに何匹かちょろちょろ走らせる
コノに危険あれば『かばう』
『カウンター』<雷火>の雷撃
闇討ちイく無いっ!
さつまは、テンションが、上がっていた!
「ここ、まっくらー!! わーわー、石、いっぱい落ちてる、ね?」
てててててー。っと暗闇の中に走ってぐるぐる回る。
「コノ! コノコノコノコノ!!!」
「はいはい。ここここ。ここにいるって」
ぐるぐる回るともうどこから来たのか解らなくなって、しょうがないので自分からコノハを呼ぶと、
「コノ! これ、これ!」
「はいはい?」
「それぽぉ~いっ!」
足元から石を拾って、コノハの声が聞こえたほうと反対側に石をぶん投げた。
バチバチバチバチバチバチバチバチ!
石は足元付近で爆発すると、ぐるぐると先ほどのさつまと同じように回転して光を撒き散らす。石自身も動き回って、しばらくの間ものすごい輝きと音を周囲に振りまいた。
「!!!!!!」
しばらくして光は消える。
その間にさつまの隣にたどり着いていたコノハには、その相棒の顔は見えずともどんな顔をしているのか容易に想像がついた。
「え、何コレ面白い」
「なにこれ! 楽し…!! つぎー!」
コノハが音の余韻に一息ついている間に、さつまはハイテンションにまた足元の石をいくつもいくつも拾い上げる。
「あ、ちょっとたぬちゃん、それネ」
「えーい!!」
およそ10個。
立て続けに放たれた花火が、ものすごい音と光を立てて周囲を満たした。
「……たぬちゃんネ、オレの言いたいこと、解ってるよネ?」
「コノ……。楽しいねっ」
「…………そうだねネ」
あんまりにも楽しそうなさつまの顔に、コノハはしばらく悩んだあと、まあ、いいかとほんの少し笑った。
「コノ! コノ! 次はどれ投げよう。どれしよう!?」
「あー。走らないの。例え見えててもあんまりはしゃいだら転ぶでショ?」
「平気ー!」
暗視もちのさつまにとって、まったくそんな必要はないのだが。楽しげにさつまはひとつとっては投げ。とっては投げ。ちぎっては投げ。ちぎっては投げしている。
「何色が一番綺麗、かな? コノの色はなに色かな?」
「オレの色? まーた変なことを言うネ」
尻尾をぶんぶん振るさつまに、コノハは苦笑する。そうして光と光の切れ目でちょっと周囲が暗くなったとき、
「イイ事思い付いた。たぬちゃんちょっとすとーっぷ」
「?」
次、と投げようとしていたのをコノハはとめる。
そして自ら拾っていた石をぽん、ぽん、と軽く手の中で弾ませてから、
「煌めくアメを、ドウゾ」
呼び出したのは水晶の針だ。氷属性の、自在に大きさを決められるそれを、今は殺傷能力のない、細やかな美しい雨へと変化させて空中へと散らす。そして、
「それっ」
と、そして声と共にコノハは石を投げた。
音と共に光が輝く。琥珀色の光はコノハの呼び出した氷にきらきら反射して、まるで光の雨のように二人を包み込んだ。
「どうよ」
自慢げに胸をはるコノハ。
「わぁあ!! 綺麗
……!!」
さつまは更に千切れそうなくらい尻尾を振った。
その顔にコノハも満足げに、うんうん、なんて大げさに頷いていたりして。
「コノ、すごいすごい……っ」
「よせよ、照れるだロ。……じゃあ次は……」
しばし目的忘れて遊び倒す二人なのであった。
それから。
「悠長に遊んでちゃ敵サンも出てきそうになくない?」
コノハが気づいたのは、しばらくたってのことであった。
「敵サン?」
さつまは、そんなのいたっけかな、みたいな顔で首をかしげたので、コノハは若干反省する。うん、と、腕を組んで、
「まあコレも一種の威嚇? みたいな? だから。遊んでるわけじゃないから」
こうやって石拾ってたらひょっこり出てきたりしてネ。なんて。
いいわけっぽいことをまったくいいわけと感じさせないような口ぶりで、ひょいと石を拾い上げるのであった。
それからしばらく道をいくと、不意にさつまが足を止めた。
「!」
曲がり角をじぃぃ、と凝視する。それでコノハも察して石をもうひとつ拾い上げる。
「んん、出て来ない? じゃ、じゃ、ちょっと、待ってみる?」
「やー。せっかくだしつついてみない?」
「わかった!」
石を投げる。それと同時にコノハは水晶の針を作り出す。今度は鋭い、敵を抉るための刃で、
「いくよ……っ。ちょいと遊ぼうか」
さつまもまた、愛らしい仔狐の形を成した狐火を光源の足しにと走らせながら、そのまま敵へと肉薄した。
「闇討ちイく無いっ! 勝負!」
「次の灯りも確保して……。ま、遊んだ分だけ、働かないとネ」
若干冗談めかしたコノハの声。
水晶の針が落ちると共に、蛮刀が翻った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
ソヨゴに手を差し出す
はぐれたら困るでしょ?
ぜんぜん不自然じゃないネ
足下にけっこう石がごろごろしてる
気をつけて
手を繋ぐもう一方の手に石を持ち
敵の気配を感じたら投げつける
眩しい
思ったより音が大きくてビクッとする
敵に悟られないように声は飲み込む
お化け屋敷っぽくて楽しいネ
投げる石によって色彩が変わる
風景の色も
ソヨゴの横顔も
敵に遭ったら鎌を取り出して攻撃
敵の羽がソヨゴを狙うなら全てUCをぶつけて相殺する
逃げる敵は追いかけよう
引っ張るつもりが引っ張られている気がするけど
気にしないでついて行こう
いつもよりはしゃいでいるのは自覚してる
理由はまだ秘密
これからこの道の先に、それは待っている
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と】
アヤネさんから手を繋いでの移動を提案されます
私、暗視があるから暗いところも見えるんですよね
口には出さないけどなんだか今日のアヤネさんはちょっと変
さっきのテンションといい
攻撃だって終盤はミスしてたし
どうしたのかな…
さてはまた何か悩んでるのかな?
うん、ここは普段通りに振る舞いつつ気付かれないようこっそりフォローしよう
手を握り返し【第六感】【暗視】を駆使して不意打ちを警戒
投げられた石は光って大きな蛍みたいですね
とても綺麗です
攻撃は【衝撃波】で
羽はなるべく当たらないよう【ダッシュ】と【残像】で回避します
アヤネさんが転ばない程度のスピードで手を引いて敵を追いかけますね
「ほら、ソヨゴ」
「はーい、アヤネさん」
差し出されたアヤネの手を、冬青はそっと握った。
「足下にけっこう石がごろごろしてる。気をつけて。はぐれたら困るでしょ?」
(うん。それなりに筋の通ってる話だ。ぜんぜん不自然じゃないネ。……ん、ちょっと嬉しい)
アヤネの若干どきどきしたような顔と自分に言い聞かせるような台詞に、
「はーい。じゃ、手を繋いで一緒にいきましょうー!」
(アヤネさん……。私、暗視があるから暗いところも見えるんですよね。どうしたんだろう……なんだか今日のアヤネさんはちょっと変)
冬青はわかった! みたいな顔をして実のところまったくわかってなかったのだけれども、そのすれ違いに二人は気づくはずもなかった。
(さっきのテンションといい……。攻撃だって終盤はミスしてたし。どうしたのかな……さてはまた何か悩んでるのかな?)
(さっきもそうだけれど、これもやっぱりデートみたいだよネ。手を繋いで、お化け屋敷……じゃないけど)
(うん、ここは普段通りに振る舞いつつ気付かれないようこっそりフォローしよう!)
すれ違ってはいるが口に出さない限り互いが互いのそのすれ違いに気づく気配はなく。
二人は思い思いに一歩、暗闇の先へと足を踏み出した。
手を繋いだ、そのもう片方の手にアヤネは石を持って。
「ええと……この辺かな?」
なんとなくこの辺、と思ったところに石を投げつけてみた。
石は少し遠く離れた壁へと当たって、一瞬で光の噴水のようなシャワーを作り上げる。
「……っ」
眩しい。一瞬驚いて、びくっ。とアヤネは冬青の腕にしがみついた。冬青は大丈夫、と軽くその背中をなでる。
(すごいすごい。お化け屋敷っぽくて楽しいネ)
(アヤネさん……。敵が現れたわけでもないのに、やっぱりなんだか変。大丈夫かなぁ)
「石……。光って大きな蛍みたいですね。とても綺麗です」
「そうだネ。いろんな色があって、本当に不思議で素敵だ」
(投げる石によって色彩が変わる……。風景の色も、そして、ソヨゴの横顔も。綺麗だなあ)
(私がしっかり、アヤネさんを護らなきゃ)
様々な思惑を抱えたまま、二人は迷宮の先を進む。そして……、
「いました、アヤネさん」
不意に。冬青が囁いてアヤネは足を止めた。
「わかった。それじゃ……」
行こうかと。言うと同時にアヤネは石を投げて己の鎌を取り出した。
「ソヨゴ!」
「はいっ! 花髑髏の本当の姿を見せますね!!」
その明かりが合図となり、冬青が全力でかけた。
「ぬぬ……。また、お前たちか!」
既に何度か猟兵の攻撃を受けていたのであろう。傷のあるふくろうがいっせいに羽を飛ばしていく。
「させない!」
アヤネが機械兵器を召喚し、その羽を撃ち落す。その隙に冬青が敵に接近し、
「そぉれ!」
花髑髏を一閃させた。
「ぬぉぉぉぉぉぉ!」
まさに一刀両断。
ばっさりと切り込まれた刃に、追いついたアヤネが鎌を振りおろす。確かに手ごたえはあった。だが、
「この……っ」
たまらずふくろうは退散した。隠し扉を使ったのだろうか。ゴゴ、と音がしたと思ったら、一瞬でふくろうの姿は消え去っていた。
「ソヨゴ、追いかけよう!」
「はいっ!」
言って。どちらかというとだが冬青がアヤネを引っ張る形で、二人は走り出す。
隠し扉の先を覗いたら、ふくろうの姿はもう見えない。
「どっちにいったのでしょう」
「うーん。これだと解らないネ」
「了解です。では……こっちです! たぶん!」
なんて子とを言いながらも、再びアヤネの手を引いて冬青は走り出す。
「あはははは。わかった。たぶんだね、たぶん!」
冬青の言葉に、アヤネも笑ってその後について走った。
いつもよりはしゃいでいるのは自覚してる……。でも、
(理由はまだ秘密。これからこの道の先に……、それは待っている)
さあ。お楽しみはこれからだ。なんて。
まったく気づいていない冬青の後ろを、アヤネは上機嫌に追いかけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木元・杏
【かんさつにっき】
真っ暗……(固まる)
真琴は暗いの平気すごいえら…(物音にびくっ!)
……あ、ありがと真琴(手をぎゅっと)
ん、うさみみメイドさん、石、集めて投げる(灯り担当)
ついでに幅広の大剣にした灯る陽光を抱えてオーラでほんわりあかりを灯して
わたしは【絶望の福音】に第六感も働かせ奇襲に注意
少しの気配も洩らさず皆に知らせる
……え、知らせ過ぎ?
も、もふっとした気配だけ知らせる(ぐ)
扉の奥は明るいかも(こくこく)
あ、まって、開ける前に予知
!何!?(びくっとして羽をオーラ防御)
ん、皆にもオーラ飛ばす
暗いのも狭いのも高いのも恐いけど
狭い高い無いし暗いだけだし皆と一緒だしへいき…
(色んな音にびくうっ!
駒鳥・了
【かんさつにっき】
引続きオレちゃんことアキだよ!
杏ちゃんダイジョーブ?
琶咲ちゃんと手を繋いでるならいっか!
UCでオレちゃんもう一人登場!
うさミミメイドやうさ耳オジサンと一緒に石投げ&灯り担当!
組合わせの凄さは気にしない!
暗闇で集団戦闘は危ないもん!分担大事!
杏ちゃん、落ち着いていーんだよ(ぽふ
隠し扉めっちゃ気になる!
入ってみたい!でも迷子になっちゃう?
開けるだけならいーよねっねっ?(振返り
よし!(バーン
梟を発見!あの羽根むしって団扇にしよ!
刀を抜いて射程?距離に入るよう見せてナイフの投擲!
ナタって近づかなきゃいーもんね!
一撃や残像で逃げながら足元薙ぎ払ったりだまし討ちしたりで
翻弄しまくるよー!
琶咲・真琴
【かんさつにっき】
わわっ
真っ暗なところに出ましたね
でも
敵さんっぽい気配はします(第六感・野生の勘
夜目は効くので
暗闇もへっちゃらですよ(暗視+視力
聞き耳も立てながら進む
杏姉さん、大丈夫です
ボクたちがいますから
手をつなぎますか?(手をつなぐ・鼓舞
灯りは姉さんたちにお任せ
アキさん
隠し扉があったのですか?
お祖父ちゃんたちも行きたいみたい
覗いちゃいましょう
杏姉さんの予知を聞いたら彩色演舞っ!
スナイパー・援護射撃・追跡など使える技能で
怪しい場所に撃つ
夜光塗料なので
当たった場所が明るくなります
あ、動いているのがある
敵さんだーっ!
逃がしはしませんっ!
敵の攻撃はカウンターと使える技能でお返しです
アドリブ歓迎
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
たーまやー♪
なるほど石花火ね、なかなか綺麗じゃないの
杏を気遣い手を繋ぐ真琴の成長ぶりに笑顔になる姉バカ
賑やかに行くなら、私も石投げ要員にオジサン呼ぼうかな
サモニング・ガイストで鎧武者(お調子者でノリがいい)召喚
でも薄明かりに照らし出される鎧武者の図は余計にホラーだったり
兜にウサミミ付けて誤魔化すオジサン
今日はリボンも結んでバージョンアップ
…って、それ私のだから!
もふっと…重要ポイントはそこなんだ
杏の可愛さに思わず笑う
あ、何か出た
団扇…
アキの言葉に毟られた後の姿を想像してちょっとだけ同情
ほらオジサン今度こそ出番!
盾役を任せつつ
私はスナイパーとして破魔の矢で射貫くよ
※アドリブ歓迎
【かんさつにっき】の四人の中で、まずは暗やみの中に足を踏み入れた杏がびし、と固まった。
「真っ暗……」
どうしよう。と硬直する杏。そのとなりで、
「わわっ、真っ暗なところに出ましたね」
ぴょーん。と杏の隣をすり抜けて、真琴が駆け抜けていく。真っ暗闇の中数歩いくと、くるりと一回、回って。
「でも、敵さんっぽい気配はします」
野生のカンっぽい。感じます、という真琴に、うぅ、と杏は胸に手を当てた。
「真琴は暗いの平気すごいえら……っ」
誰かが石を蹴る。その物音に杏は思わず震えた。
「杏姉さん、大丈夫です? ボクたちがいますから。手をつなぎますか?」
「……あ、ありがと真琴。つなぐ……」
手を繋ぐ杏と真琴。二人を了が覗き込む。
「杏ちゃんダイジョーブ? ……あっ、琶咲ちゃんと手を繋いでるならいっか!」
「ん、心配してくれて、ありがとう」
「いえいえ、ドーイタシマシテ!」
にしし、と笑う了。その後ろで、
「……」
めっちゃ小太刀がいい笑顔をしていた。
あれは、己の弟の成長を喜ぶ笑顔であったのだろう。たぶん。
「……」
それにしては幸せそうだなあ。と了は思ったのだけれども、いわないようにすることにした。
「よーし、オレちゃんも張り切っちゃおうかな!」
そういいながら了ももう一人の自分を作り出した。
「さあ、そっちはうさミミメイドやうさ耳オジサンと一緒に石投げ&灯り担当!」
「うさみみおじさん……」
思わず、その互換に真琴がポツリと呟く。そうしてちらりと視線を隣に向けると、
「いいでしょ、賑やかに行くなら、私も石投げ要員にオジサン呼んで」
そ知らぬ顔で小太刀がサモニング・ガイストで鎧武者を召喚していた。なお、お調子者でノリがいい、らしい。
そしてなぜか兜にウサミミ付けていた。曰く、「薄明かりに照らし出される鎧武者の図は余計にホラーだった」からである。
ウサミミで誤魔化されているかどうかは、いまひとつわからないオジサンである。
「今日はリボンも結んでバージョンアップしてるのよ。……って、それ私のだから!」
自分で言ってて自分で突っ込む小太刀に、了はけらりと笑った。
「組合わせの凄さは気にしない! 暗闇で集団戦闘は危ないもん! 分担大事!」
「そうよ、分担は大事なの」
「う、うん……。分担、頑張るよ」
みんなの言葉に、杏もちょっと緊張気味に頷くのであった。
そして杏がメインにうさみみメイドさんを操り、ともに石を集め、そして投げていく。同時にその灯りをカバーするように、おじさんも了(もう一人のほう)も石を投げていく。
ついでに掲げた杏の「灯る陽光」は今、幅広の大剣に姿を変えて、ほんわり白銀の光を放っていた。
「たーまやー♪ なるほど石花火ね、なかなか綺麗じゃないの」
光に照らされながら歩く小太刀はどこか上機嫌である。先頭に立つ真琴と杏はその言葉を聞きながら、杏はみんなと石をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。真琴はぺたぺた、時々壁に手を触れたりなんかして、隠し通路を探していたりした。
「大丈夫? 杏ちゃん、落ち着いていーんだよ」
何か表情ががっちがちに固い杏の頭を、とんと軽く了が優しく手を置く。ん。と杏も小さく頷き……、
「うん。暗いのも狭いのも高いのも恐いけど……狭い高い無いし暗いだけだし皆と一緒だしへいき……」
いいかけたとき。がんっ。音がした。
びくぅ! と杏は身をすくませながらも、
「……平気……」
と、プルプル震えながら言うのであった。
「あ……、ご、ごめんなさい、ボクです。この壁が……」
押したら開きそうだったのでつい。と、真琴があわてて言うので、杏もプルプルと首を横に振った。
「平気……。平気……」
それから緊張気味に正面に幹治ったとき、
「あ……!」
そのとき、杏が声を上げる。僅かな気配でも伝えなければと、あわてて指をさした。
「――!」
一瞬で空気が変わる。了と小太刀が杏と真琴を庇うように前に出た。小太刀が鋭い視線を通路の向こう側に投げかける。そして、
「そこの角に、ねずみが……!」
「ね、ねずみ……?」
上擦った声で放たれた言葉に、了は若干転びそうになった。
「はい。ねずみです。あっちにもああ。こっちにも、そっちにもいます……」
「杏、杏。落ち着いて、ねずみはいいから」
「……え、知らせ過ぎ?」
小太刀の言葉にやってしまったっ。と思わず顔が青くなる杏であったが、
「あはははは、杏ちゃんかっわいいーっ」
了が笑い飛ばす。優しく杏の背中を叩く。真琴も微笑んだ。
「杏姉さんが、がんばってくれてるのはみんなわかっていますから、大丈夫ですよ」
「う、うん……。今度はも、もふっとした気配だけ知らせる」
優しくまことにも言われると、照れたように若干顔を赤くして、杏は小さく頷いた。
「もふっと……重要ポイントはそこなんだ。……可愛い」
そんな杏の可愛さに、小太刀はまたふふっ。と笑っていた。
そして……。
「うっわー!! なにこれ、ねえ、これ! ほらみんな!」
ぶんぶん。と少し言ったころ、突然了が手を振った。
「アキさん。隠し扉があったのですか?」
とてとてーっと真琴が手を繋いだまま了に近寄って、覗き込む。自然と杏も覗き込むことになる。
「隠し扉? こんなところに? ……いいえ、こんなところだからこそ、か」
小太刀もなにやら考え込んでいる。何の変哲もない壁であったが、確実に隠し扉の気配を感じることが出来た。
「そう! 隠し扉めっちゃ気になる! 入ってみたい!」
うひゃー。と発見者の了はハイテンションだ。今にも押したい押したいと石の扉に手をかけて、
「でも迷子になっちゃう?」
はた、と首を傾げたので、真琴は微笑んだ。
「お祖父ちゃんたちも行きたいみたい。覗いちゃいましょう」
「異議なし。せっかくだから、飛び込んでみなきゃ」
小太刀が片手をあげて同意する。
「うんっ。開けるだけならいーよねっねっ? 何かあるかもしれないし!」
「そうだね、……扉の奥は明るいかも。……あ、でも、まって……」
そこでようやく、杏が声を上げた。開ける前に、と、杏は絶望の福音とともに未来を確認する。しよう……として、
「! あ、何!?」
気配を感じた。あわてて杏はオーラ防御を試み、同時に仲間へと同じオーラを飛ばす。
「よし!」
それだけで察した。了がすかさず扉を蹴破るようにして開ける。
「この世を彩りしものよ、舞い踊れっ!―――神羅写成・彩色演舞っ!!」
同時に、やはり瞬時に理解した真琴が。陰陽五行思想属性の魔法の塗料弾を放った。ちなみに夜光塗料なので、当たった場所が明るくなる。
「んじゃ、ここは私が、突入する!」
あいた扉から小太刀が真っ先に突入した。
「あ、動いているのがある。敵さんだーっ!」
明るくなる塗料弾から導き出された姿を、真琴が捕らえて指をさす。
「よっしゃーー!! 梟を発見! あの羽根むしって団扇にしよ!」
「団扇……」
やる気満々の了の言葉に、一瞬、小太刀は絶句した。むしられた敵の姿を想像したのである。本当はちょっとだけ、同情した。
「む……。この美しい羽根を、くれてやるわけにはいかぬ!」
ふくろうもやる気のようであった。ばさーっと翼を広げる姿に、了は一瞬で駆け出す。接近してそのまま刀を抜く……、
「よーに見せかけて、あらよーっと!」
びしぃっ。とふくろうが鉈で迎撃しようとするのを見越して了はナイフをぶん投げた。
「!」
「ほらオジサン今度こそ出番!」
驚いたふくろうの反応が遅れる。反撃の態勢をとる前に、小太刀が命じてオジサンが盾になるように前に出た。
「……私も、行くけどね!」
そして同時に、小太刀は黒漆塗の和弓を構えて破魔の矢を番える。即座にそのまま射掛けた。
「ぐぉぉぉぉ!」
「ほーら。こっちにもいるって!」
鉈を持つ手に矢が突き刺さる。そしてその隙に素早く了が回り込む。
「ボクたちも、いますよ……。逃がしはしませんっ!」
「んっ」
真琴は魔法の塗料弾を。杏はうさみみメイドさんを操り、小太刀と了の攻撃をサポートしていく。
そうして隙のない連携で、ふくろうを着実に追い詰めていくのであった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
赫・絲
かいちゃん(f00067)と!
うーん、とりあえずよく見えないしこの石一個投げちゃえ
……おおー!今の見たかいちゃん、流れ星みたいに光ったよ綺麗ー
どれも光り方一緒なのかな、こっちのごつごつしたのは……わっ閃光弾みたい!
色んな種類があるんだねー、こっちはどうだろう
えっ?何、よく聞こえない!
わ、忘れて楽しんだりなんてしてないよー!
ちゃんとここのフロアの敵も探してるよー!
ほら、なんかこっちにいそうな気がするー……えいっ、って、えっ扉!?ぎゃー!ほんとにいたー!
光の向こうに敵を発見すると
石を投げた体勢のまま一瞬驚いて固まるも
即座に全力の電流を載せた鋼糸を射出、敵の身体を捉えて拘束する
……あーびっくりした!
壥・灰色
いと(f00433)と
なんかおれが投げなくてもおれの分まで投げまくってくれそうだし、ついて歩いて光と音を眺める
……光ったね
ああ、あのね、あの、いと……
(ぱーんぱーんぱーんぱーん)
……そのね。あんまり鳴らして歩くと敵も寄ってこないだろうし
ほら、控えめにね
それとももしかしてもう遊びたいだけになってる?
目的忘れて遊んでない?
大丈夫?
……ちゃんと探してるならいいんだけどね
(ぱーん)
あっ
(驚きの声とは裏腹、敵影を見るや滑らかに構えを取る)
(いとが捕まえてビリビリと電気を流す敵に向け「衝撃」を宿す拳を思い切り叩き込み)(ぶっとばす)
……びっくりしたねえ
(ビックリしたって感じじゃない反射的な戦闘挙動)
「うーん、とりあえずよく見えないし……」
暗やみの中、絲が悩んだのは一瞬であった。
「この石一個投げちゃえっ」
しゅっ。
どぉん……!
凡そ爆弾に近い思い音が響き渡り、一瞬で視界が黄色く染まっていく。
しゅばばばばーっと爆発後更にしばらく光を撒き散らすその姿に、絲は思わずその様子を、食いいるように見つめていた。
その後ろで、灰色もすごい、と僅かに目を見張る。
それと同時に、なんだかなんとも言えない予感ががした。それすなわち……。
「……おおー! 今の見たかいちゃん、流れ星みたいに光ったよ綺麗ー」
はしゃぐように、くるりと振り返る絲。
「……光ったね」
灰色はその予感が的中していたことを知る。
「どれも光り方一緒なのかな、こっちのごつごつしたのは……わっ閃光弾みたい!」
次はこれー! と絲また近くにあった石を拾って投げる。
今度は一瞬でカッ。と周囲を照らし出す石だ。尾を引かないがその分光量がすごい。
「ああ、あのね、あの、いと……」
「色んな種類があるんだねー、こっちはどうだろう」
灰色が思わず声をかけようとするが、聞いちゃいねえ。
ポーン、と投げては爆発させ。ときに低めに。ときに高めに。大きいのを試せば、次は小さいのを連続して爆破させて。
「ふっふっふー。私なんだか、才能あるかも!」
「……何の、才能……?」
爆弾魔の才能だろうか。口元まで出かかった言葉を灰色は押さえる。
楽しいのは何よりでいいことだとは思う。
いいことだとは思うが……、
「よーし、こっちもそれ……っ」
ちゅどーん。と。言うまたすさまじい音。
「うんうん、やっぱり大きいのは派手でいい!」
爆風もなく、破壊もなく。ただ音と光だけの戯れであるのは確かであったが、灰色は若干、頭を抱えて。
「……そのね。あんまり鳴らして歩くと敵も寄ってこないだろうし……。ほら、控えめにね」
「えっ? 何、よく聞こえない!」
ものすごく控えめに申告する灰色に、絲はそんな風に返事をする。
「だから……それとももしかしてもう遊びたいだけになってる?」
なのでちょっと大きめの声で灰色が言うと、なんだかちょっと、絲の肩が揺れた気がした。
「目的忘れて遊んでない? 大丈夫?」
「……」
「……」
一瞬の沈黙。
「わ、忘れて楽しんだりなんてしてないよー! ちゃんとここのフロアの敵も探してるよー!」
ものすごくあわてたような絲の口調に、灰色は思わず黙り込んだ。突っ込むべきか、突っ込まぬべきか、しばし思案して、から、
「……ちゃんと探してるならいいんだけどね」
深くはきかなかった。なんだか楽しそうだったから、いいか、と。
そんな生暖かい視線に気付いたのだろうか。絲はふるふると首を横に振りながらも、手近にあった壁を軽く殴る。
「ほら、なんかこっちにいそうな気がするー……えいっ」
がこんっ。
絲が壁の一部を殴った瞬間、その石が奥へと引っ込んだ。思わず絲は壁に体重をかける形になって、
「わっ」
そのまま壁が動いた。ぐりん、と壁は回転してそのまま向こう側の部屋へと絲は移動する。とっさに握り締めていた石を、その新たな部屋の中へと投げつけた。
「あっ、いと!?」
今まで見守り体制だった灰色も、即座に武器に手をかける。すぐさま離れないよう一緒に部屋の中に突入して、
「って、えっ扉!? ぎゃー! ほんとにいたー!」
「! 何だ、お前たちは……っ!」
もう割りと傷だらけだったふくろうの姿に、絲は石を投げた体制のまま固まること、数秒。
「びりびり、する?」
ものの数秒で絲は立ち直った。即座に鋼糸を射出する。雷の魔法を全力で鋼糸に乗せて、瞬く間にふくろうを拘束した。
「壊鍵、起動…………それっ」
灰色の動きも速かった。絲が立ち直ると同時に灰色もまたふくろうに肉薄し、雷の鋼糸が拘束した瞬間に、己もまた拳を叩きつける。同時に衝撃を放って全力で叩きつけると、何かが折れるような嫌な音がした。
しゃああああ。とふくろうの羽が放たれる。二人に向かって放たれたそれを、冷静に二人が叩き落している間に、ふくろうはぴゃーっと二人に背を向けて逃げ出していた。もう後一歩で倒せそうなところであったが、無理に追いかけたりはしない。
「……あーびっくりした!」
「……びっくりしたねえ」
絲がしみじみ言う言葉に、灰色も頷いた。
びっくりした、という言葉の割には、適切で素早い動きだっただろう。
「追いかけようよ。……今度は、かいちゃんも投げる?」
せっかくだし。と絲はての中でひとつ石を弄びながら言うと、灰色は少し考え込んで、
「いいよ。なんかおれが投げなくてもいとがおれの分まで投げまくってくれそうだし、いと、楽しそうだし」
「楽しいは楽しいけど、一緒に投げたいんだよー」
「いと……目的忘れて遊んでない?」
本日二度目の問いかけに絲は瞬きをひとつ、して。
返事をしないまま、にっこりと笑ったりなんてするのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
両角・式夜
クラゲにフラれたな……わしかなしい……
気を取り直して!
可燃性の鉱石があると聞いたが火薬とは違うみたいだな。
研究材料に、多目に拾っておくとしよう!
研究目線で~
ついでに、投げ方に寄って光り方が違うかとか確かめながら進むとしよう
発光には色や瞬き方の違いはあるかな?
あぁ、早く帰って資料を纏めたいな!
……む?なんだ?わしの研究を阻むと言うのか?
ふ、そんな程度ではわしの道を阻むまでも無いな!
暗闇だろうが、この地竜の技の冴えは曇らぬぞ!
逃がさぬよう、接近戦に持ち込んでやろうか!
なぁに、肉を切らせて骨を断つとは、わしの事を表した言葉だからな!(ドヤァァ)
(アドリブ、絡み大歓迎です!!)
ディフ・クライン
海月、可愛かったな
それにしても暗い迷路か、困ったね
流石にオレもあんまり見えないや
仕方ない
一先ず数個石を拾っておいて
まずは1個、投げて道を照らしてみよう
わ、綺麗だね
見えたものや道を学習力で覚えたら、壁に手をついて進んでみるね
光は綺麗だったけど、使いすぎて警戒されないよう、最低限だけの使用で我慢、我慢
周囲を警戒しつつ、何か、敵意や殺気の気配を感じたら
UCで王を呼ぼう
王は王も騎馬も真っ黒だ
多分紛れて見にくいと思うから
石を投げて見えた光で王が居たら、敵は驚くかな
梟、かな
王よ、貴方の剣を貸してくれ
王と共に騎馬に乗り
王の後ろに隠れ
攻撃は、王に受けてもらおう
王よ
狩りは、好きだったよね?
連携・アドリブ歓迎
香散見・千夜之介
爆竹なぁ、ちびの頃ようやったわぁ。
石投げるいうんも水切りみたいでおもろいねぇ。
などと余裕ぶっていたのもつかの間
試しにいろいろ投げてみて、色や音の違いを確認していく
敵のことも忘れて夢中、拾って投げては先へ進む
夢中の時に敵と鉢合わせれば「ひえ」と驚き笑ってクイック・ドロウ
「あかんよなぁ、大人やのにこんな夢中になってもたら……」
言いながら同時にたくさんわし掴んで一気にぱぱぱぱんっ💥💥💥💥💥💥
しばらくして
「……ちゃうやん!さっきの奴を倒しに来たんやん!!」
やっと気付いて慌てて探す
こんままじゃ次から仕事来よらんでぇ。やばいやばいぃ。
ディフ・クラインは苦労していた。
と、いうのも……。
「クラゲにフラれたな……わしかなしい……」
「しゃあないやん。惚れた腫れたばっかりはなぁ。片方の気持ちだけじゃどうにもならんと思うんやで」
「うう、千夜之介殿は良い方であるなあ」
「ほんまに? かうんせりんぐ料もらえる?」
「ああ。好きなだけ請求するがいい。ここは彼が男気を出してくれるはずだ!!」
「……男気は出してもお金は出さないからね?」
頭を抱えるディフに、ええー。だの言う式夜。クラゲにびりびりされたのが若干ショックだったらしい。そんな二人を千夜之介は非常に面白そうな(人の悪いといわざるをえない……かもしれない)笑顔で眺めていた。
「まあ、俺は出すもんだしてくれたら誰でもええねんけど」
「出さないから。海月、可愛かったな、とは思うけど。……ああ。それにしても暗い迷路か、困ったね。流石にオレもあんまり見えないや」
ほぼ強引に話をそらすディフ。二人から視線をそらすように前を向けば、一寸先は闇である。
「……仕方ない。話しに聞いていた、これで……っ」
足元の石をひとつ手にとり、そうしてディフは投げた。
ふわっ。と石は広がって、手話わわわーって優しい光を周囲に撒き散らす。
なんだかピンク色の毛玉があちこちに飛び交っているようにも見えた。若干光が眼に痛かったが……、
「わ、綺麗だね」
なんだかかわいい。と思った瞬間に光は消えてしまう。少し残念だったが、
「光は綺麗だったけど、使いすぎて警戒されないようにしよう。最低限だけの使用で我慢、我慢……」
そ。と壁に手をやってディフが歩き出そうとする。……そのとき、
「おお。おおっ! 何だあれは、光ったぞ! これはもう、気を、取り直すしかない!!」
「へえ。爆竹みたいなもんかなぁ、ちびの頃ようやったわぁ。石投げるいうんも水切りみたいでおもろいねぇ」
背後から聞える大人たち二人の声に、ディフは思わず歩き出そうとする足が、止まった。
「可燃性の鉱石があると聞いたが火薬とは違うみたいだな。研究材料に、多目に拾っておくとしよう! そして研究とは、爆発だ!!」
上質な鉱石で上等な刀を作るのがユメ。そんな鉱石の式夜が沸きわきわきわき両手を握り締めて、ひゃっほーい。と無造作に石を拾い上げて、ぶん投げる。
「ひゃ~。何や、色も音も光り方も違うやん。やったら俺も……」
今度は輝くばかりの光のシャワーに、千夜之介もひとつ手に取る。なるべく平べったいのを選んだのは水切りを思い出したからだ。しゅっ。と鋭く遠くまで投げると、
どぉん。と。
腹のそこから響くような音と共に、ものすごい光があたりを包み込んだ。色とか何とか言う前に、とにかく眩しい。
「ふむ……。しかし熱もなければ爆風もない。これはすごい。面白いぞ。千夜之介どの、もっと試そう。投げ方に寄って光り方が違うか否か。発光には色や瞬き方の違いはあるかな? あぁ、早く帰って資料を纏めたいな!」
「了解りょーかい。何やお祭りみたいで楽しいなぁ」
どんどんするものもあれば、ひゅうるるーっというモノもあり。
噴水のように水が流れるように光りだすものがあれば、足元を走り回るようなものもあり。
「うむ、まさに千差万別、創意工夫!」
「んー。何やばくちみたいで楽しいなぁ」
「……」
とっても楽しそうな二人に、なんとなくディフは己の胃のあたりに手をやった。いや、別に痛みはなかったのだけれど、そういうときは人間はここを抑えるものだと、今、たった今、なんだか身にしみてわかった気がしたからだ。
「……あの」
「ほな、どんどんいくで。ちゃんと記録とっといてぇな」
「うむ、任せてくだされ!」
聞いちゃいねえ。ちらりとディフが目をやると、二人はなんだかとても楽しそうにあれを投げて、今度はこれで。なんて、あれこれ試したりしているようで。
「……」
いいなあ、というより、なんでこんな風に楽しそうにしているんだろう。という感情がちょっとだけ頭をかすめて。
「ほら、そんな難しいかおしとらんで、あんさんもひとつ投げてみたらええですやろ」
へらへら笑いながら、千夜之介が石を押し付けるようにディフに渡すので、
「…………」
そもそも押し付けながら千夜之介は面白おかしく石投げをしまくっているので、
灯り的な意味合いとしては、ディフが投げる意味はまったくないのだが。
「そうそう。もしかしたら投げ手によっても光りかたは変わるかも知れぬ。是非」
きらきらした目で式夜も彼を見るので、小さく頷いてディフはそれを投げつけた。
空中を走る石はどこかに当たる前に雨のように光の雫を飛ばして飛んでいく。
丁度千夜之介の地を這うように走り回る花火と合わさって、なんとも楽しげな光と音の世界を作り出した。
ちょっと、ディフもやっぱり、楽しかった。
流石に口に出すには、複雑な気持ちだったので出さなかった。
そして……、
「……」
「ひえっ」
いくつめかの曲がり角を曲がったとき、それと遭遇した。
即座にディフは一歩下がって敵との距離をとり。その瞬間既に千夜之介は発砲していた。
「……っ、仲間だったら」
「そのときは、ごめんやでぇって言うわ」
へらへら笑いながらも千夜之介の動きは速かった。
「あかんよなぁ、大人やのにこんな夢中になってもたら……。お仕事せんと」
そらっ。とばかりに言いながら、一気に持っていた石を投げつけた。
ばばばばばばばばばんっ。
しゅわわわわわわわ。
謎の音と共に、今までない光が混ざり合い、一斉に音を立て、もはや何がなんだかわからないほど。眼も空けていられないほどのまばゆさが周囲を包み込む……!
「……ちゃうやん! さっきの奴を倒しに来たんやん!!」
「!? 解っててやったんじゃなかったのかい!?」
「そーんな、俺なーんも考えてへんわー!」
二人の声すらも轟音の中へ消えていく……。
「……む? なんだ? わしの研究を阻むと言うのか?」
色々なメモを取っていた式夜が、いまさらながらにはっ。と顔を上げるのであった。
「こんままじゃ次から仕事来よらんでぇ。やばいやばいぃ」
「……っ、大丈夫だよ。気配はまだ消えていない」
へいへい。って走り出す千夜之介に、ディフもまた後を追いかける。敵の気配を追いかけて、幾度か角を曲がった先に、
「こっちだ……。梟、だな。王よ、貴方の剣を貸してくれ」
言うなり、ディフはかつて王であった死霊騎士とその愛馬であった漆黒の死霊騎馬を召喚し、その背に跨る。ちらと千夜之介を見ると、千夜之介も頷いたようであった。
「式夜さん」
「ふっ。みなまで言うな。ふ、あんな程度ではわしの道を阻むまでも無いな!」
式夜にも声をかけると、式夜も頷くので、ディフは王と共に駆けた。
ふくろうは既に傷を追うているのか、逃げるのを諦め迎え撃つような気配があった。
だからこそ、そのさっきがはっきりとわかった。ディフは呼び出した王の影に隠れる。こうすると完全な暗闇になって見えないだろう。
そうしてふくろうの近くまで迫ったとき、
「王よ。狩りは、好きだったよね?」
言って。ディフは持っていた石を至近距離から投げた。
まばゆい光がして世界が明るく染まる。逆に突然表れた黒い影にふくろうが思わず目を奪われる。
「は……っ」
「暗闇だろうが、明るかろうが。この地竜の技の冴えは曇らぬぞ!」
羽が放たれる。それを死霊騎士の王は受け止めながら剣を振るう。
銃声がした。千夜之介の銃が、灯りを目印に的確に、ふくろうのなたを持つ腕を打ち抜いたのだ。
「こんまま遊んでたんじゃ次から仕事来よらんでぇ。やばいやばいぃ」
まるで冗談みたいに言いながらも、その動きは的確で、千夜之介は正確に銃弾を腕へと撃ち込んでいく。……そこに、
「さて、わしも追いついたからにはもうおしまいだ。……逃がさぬよ!」
ふくろうの後ろに回りこんで、式夜が都祁愚姉香と名づけた赤い刀身の刀を振るった。
ばっさりと一刀両断する。おぉぉ、と翼を飛ばして反撃しようとふくろうは振りかえろうとする。しかし、
「追い詰めるよ。……よそ見できない、くらいにね」
それを緋色の目を持つ死霊騎士の王は許さない。振り返る間もない猛攻を加え続ける。そして、
「なぁに、肉を切らせて骨を断つとは、わしの事を表した言葉だからな! とはいえ今回は……」
その隙に式夜の刀が一戦して、ふくろうにトドメをさしたのであった。
「その必要すらなかったのだが、な。なーに。今日のわしの目的は研究じゃからな」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『花火を楽しもう』
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POW : 打ち上げ花火を造って豪快に遊ぶ
SPD : 手持ち花火を作って楽しく遊ぶ
WIZ : のんびり花火を見てすごす
|
こうして、アルダワ魔法学園からまたひとつ、危機が去ったのであった。
激しいたたかい(?)の末、猟兵たちが学園に戻ると、もうすっかり夜になっていた。……とは、いえ。
お楽しみはこれからであった。
いつも賑やかなアルダワ魔法学園だが、今日はそこに賑やかな音も混じっている。
そう、花火である。
散々迷宮で遊んだ石ではあるのだが、どうやらその石を利用して、花火を作ることができるらしい。
作り方は簡単。誰でも教われば自分の望む花火を作ることができるし、今日はそれをいくらでも打ち上げても構わない。
打ち上げ花火で何らかの形を作ったり、文字にして手紙にしたり。音も利用して本格的な光のショーを演出したり。
それこそ作るものは自由自在、好きなように遊ぶことができるだろう。
また、ランダムな花火を楽しみたければ、何になるか解らないままに花火を作ることも出来るだろう。
打ち上げるのが大げさなら、手持ち花火に加工することも可能である。
だだっ広い広場の一角では、小さいサイズの花火を作って、みんなでゆっくり楽しむことも出来るスペースがある。
そうなれば屋台なんかもでてきていて、ラムネ飲んでスイカを食べながらだらだら花火する一段を見ることも出来るだろうし、
自分は花火を作らず、ベンチにでも座って花火を眺めることも可能である。
好きに過ごせばいい。きっとなんだって楽しいだろう。
●マスターより
後はみんなで楽しく遊べれば、なんだっていいのです、お好きにどうぞ。
【第三章プレイングの受付は、6月30日(日曜日)8:31より7月3日(水曜日)23:00までです 】
朝沼・狭霧
ベイメリア(f01781)と
「とりあえず、ケガはない?」
ベイメリアに暖かい紅茶をふるまう
「ここが事件が起こったという学園迷宮ね、すてきな事はありましたか?怖い怪物さんはいた?」
ベイメリアの話を聞くだけで私もわくわくしてしまいます
花火の良く見える丘の上に二人並んで
手持ち花火や
打ち上げ花火を楽しみます
「そういえば、屋台で今回活躍した人のお面とかもう売ってるのよ、商魂たくましいですよね」
「一つ買ってきちゃいました」
と少しアニメちっくなベイメリアのお面を見せます
きれいな花火が上がったら
「たまやー」「かぎやー」
自分でも一つねこさんの
形の打ち上げ花火を作って
うちあげます
上手く花火ができるでしょうか?
ベイメリア・ミハイロフ
狭霧さま(f03862)と
狭霧さま!(お姿を見つけ駆け寄って)
ああ…ご心配をお掛けしてしまい申し訳ございません…!
ええ、とても不思議な体験をいたしました
敵も不思議なものばかりでしたけれど
それより、石を投げると
とても大きな音が鳴り
そのあと鮮やかな色の火花がバチバチですとか
ばあーっですとか…
思い出すだけでわくわくしてしまい、うまく言葉になりません…!
まあ、狭霧さま、そのお面は…!
ちょっとびっくりでございます
花火が上がったら
ええと、たーまやー?でよろしいのでしょうか
狭霧さまに習って声を上げます
あとは狭霧さまのねこさん花火作りのお手伝いを
花火を経験してまいりましたもの
きっとうまくお手伝いできるはず…!
少し小高い丘のところに、綺麗めなテーブルと椅子の置かれた区画があった。
普段はカフェなのかもしれないが、今日という日はお客さん以外の人にも開放していて、朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)はのんびりとそこで彼
女の姿を待っていた。
果たして。ひとごみの中にちらちらと赤い衣装が混じり、それがこちらへ近付いてくる。狭霧は軽く手を振ると、赤い彼女、ベイメリアはそれに気
づいて狭霧の元へと駆けつけた。
「狭霧さま!」
息を切らす様子に、狭霧は思わず微笑む。
「とりあえず、ケガはない? 紅茶を用意していますから。座ってください」
「ああ……ご心配をお掛けしてしまい申し訳ございません……! そして、ありがとうございます」
席に着くと、狭霧が用意していた温かい紅茶のカップを差し出して。それから焦ったようなベイメリアの言葉に、首を横に振った。
「いいえ。したくてしていることですもの。それよりも、ここが事件が起こったという学園迷宮ね、すてきな事はありましたか? 怖い怪物さんはい
た?」
教えてください、という狭霧に、ベイメリアもはい、と嬉しそうに微笑んだ。
「怖い怪物はいませんでしたが、そうですね。とっても愛らしくて、倒すのが怖いような子はいらっしゃいました。それから、戦い自体は恐ろしくはなかったのですが……」
こんな仕掛けがあって。なんて、ベイメリアは楽しげに語るのを、狭霧は時折相槌をうちながら聞いていく。
「それはすごい。ベイメリアの話を聞くだけで私もわくわくしてしまいます。ではそのときの光は何が……」
「ええ、それが……」
一頻り話をしていると、周囲もどんどん人が増えていって。
やがて歓声が上がった。どうやら花火が始まったようだ。
「せっかくですから、移動しますか」
「ふふ、そうですね。花火もしたいですから」
紅茶を片づけて、狭霧は歩き出す。ベイメリアの手を引くと、ああ、と思わず足を止めた。
「そういえば、屋台で今回活躍した人のお面とかもう売ってるのよ、商魂たくましいですよね」
「え?」
なんと目に入ってきたのはお面やさん。もちろんその中にはアニメチックなベイメリアのお面もあった。
「まあっ。え。えっと、それ……は」
びっくりしてベイメリアは目を見開く。自分の顔と言うのもなんとなく照れる……なんて、思っていたら、
「おひとついただけるでしょうか?」
「狭霧さま、そのお面は……!」
なんと、購入する人がいた。それも目の前に。
なんと言っていいのか解らず、若干おろおろするベイメリアに、そ知らぬ顔で狭霧はお面を買っていた。そして売り子さんに「あれ?」みたいな顔でベイメリアは見られたので思わず数歩下がった。
「一つ買ってきちゃいました」
にっこり。
そ知らぬ顔でお面を斜めがけにする狭霧に、ベイメリアは思わず両手を胸の前で組んでプルプルするのであった。
「ええと……ありがとうございます?」
「ええ。どういたしまして」
そうして二人、手を引いて。
もう少し丘の高いところまで。
もう少し見晴らしのいいところまで。
その間にも綺麗な花火があがっていって。
「ええと、たーまやー? でよろしいのでしょうか」
「そうですよ。たまやー」
ついでにかぎやー。なんていうと、ベイメリアもそれを真似してかぎやー、とつけたした。
そうして少し人気の少ないところまでいくと、二人は花火作りを、開始する。
「花火を経験してまいりましたもの。きっとうまくお手伝いできるはず……!」
「ふふ、それは頼もしいですね」
特殊な方法で砕いた石の粉を使っての花火作り。
「確かその石を入れれば、音が明るくなったような気がします」
「わかりました。……そういえば、ベイメリアはどのようなねこさんがお好きですか?」
「そうですね……」
えいえい、しながら。しながら。
遠くで花火が上がり、そして散り。
「ねこさんの敵を倒さねばならないとなったなら、わたくし、もしかしたら涙してしまうかもしれません」
「まあ。ではわたしもそのときは一緒に」
そんな他愛ないやり取りをしながら、完成したその花火は、勿論ねこさんの花火であった。
「さあ……上手く花火が出来たでしょうか?」
「きっと出来ましたよ! さあ、火をつけましょう!」
狭霧の言葉に、自信満々にベイメリアが言って。狭霧も微笑む。
火をつけると、瞬く間にその花火は空へとあがっていって、
「たまやー」
「かーぎやー」
ふたりの掛け声。それと共に、
可愛らしい猫の花火が夜空へと輝いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クラリス・ポー
やりましたね、椛さん(f08841)!
花火が作れるご褒美
尻尾も足どりもルンルンです♪
私は打ち上げ花火にしますが
椛さんはどうしますか?
同じが嬉しくて髭もふっくら
肉球とお魚と…私の好きなもの
椛さんの四季のお花もロマンティックですニャ!
今日はアウラちゃんも頑張りましたから
どんなのがいい?と聞いてみます
ふんふん…それ、いいですよ!
新緑の葉っぱが宙泳ぐお魚になって
ピンクの肉球が咲くのと物語を紡ぐ
完成したら打上げ手伝ってくれる?
椛さんとアウラちゃんと一緒に花火を見上げた
咲きましたね!
こんなに!と両手をいっぱいに広げ
かき氷はブルーハワイ
甘くて儚くて美味しくて
この一日をきっと忘れないのは
二人と花火のおかげです
岡森・椛
クラリスさん(f10090)の軽やかな足取りと尻尾が可愛すぎる
手作り花火に一緒にワクワク
私も打ち上げ花火が好き
肉球もお魚も可愛いの
私は四季の花火にしてみるね
最初は雪だるまから始まって、桜や向日葵が花開いて
最後は紅葉が咲き誇る感じで…
クラリスさんに問いかけられ、アウラの瞳がキラキラ輝く
少し悩んでから、くるり舞い宙に描くのは木の葉の形
風に舞う新緑の葉っぱがいいなと全身で表現してる
手伝っての言葉にうんうんと頷き
力を求められた事が嬉しくて誇らしげ
クラリスさんとアウラと一緒に打ち上がる花火を眺める
すごく綺麗!
折角だから屋台のかき氷も食べようよ
苺味に練乳をたっぷりかけて…
笑顔の花は空にも此処にも咲いてるよ
ふるふると。
クラリスの尻尾が揺れていた。
「ついに……ついに! やりましたね、椛さん!」
尻尾をルンルン振って、スキップしそうになるぐらいはしゃぐクラリスを、
「待って待って。後クラリスさん、可愛すぎる~」
椛があわてて追いかけるのであった。
「ええ。だって、だって椛さん。花火が作れるのですよ! ご褒美ですよ! これがルンルンしなくて、どうするんですか」
「ふふ。クラリスさんの姿を見ていたら、なんだか余計にワクワクしてきちゃうよ~」
それから。
二人は教えられたいれものを吟味する。打ち上げ花火なら大きく丸い形のいれもの。手持ち花火ならスティック状のいれもの。どちらでも、迷宮で
採掘された石を特殊な方法で砕き、粉にし、そして火をつけることによって、花火が出来上がるのだ。
「私は打ち上げ花火にしますが、椛さんはどうしますか?
クラリスは迷うことなく丸いほうを選んだ。椛もんー、と、ちょっと手の中で丸いほうを弄ぶと、
クラリスの髭がふっくらした。
かえではスティック状のほうを取ってみた。
クラリスの髭が少ししぼんだ。
「……私も打ち上げ花火が好き」
最初から打ち上げ花火のつもりだったけれども、ついからかってしまった。丸い球をもう一度とると、再びクラリスの髭がふっくらして。
「どういう花火にしようかな」
ちょっと椛が思案すると、はいはい、とクラリスは片手を上げた。
「肉球とお魚と……私の好きなものをいーっぱい、詰め込みますニャ!」
こぉんな感じ。と、両手で表現するクラリスに、
「肉球もお魚も可愛いの」
後クラリスさんもかわいいとは心のうち。
「こぉんな感じなの?」
「そうニャ! 椛さんはどうしますか?」
「そうね……」
ほんの少しの間、椛は思案して。
「私は四季の花火にしてみるね」
「四季……?」
「そう。最初は雪だるまから始まって、桜や向日葵が花開いて、最後は紅葉が咲き誇る感じで……順番に姿かたちが変わっていく、そんな花火を作れ
たらいいとおもうの」
何度なく紅葉を最後にしたのは、自分らしいかもしれない……なんて。なんとなく漠然とした言葉で希望を述べていく椛。
「……」
ふと気づくと、クラリスがきらきらした目で椛を見ていた。
「椛さんの四季のお花もロマンティックですニャ! 素敵ですニャ!」
「そうかな、ありがとう。上手に出来るといいんだけど」
「きっとできますニャ。……あ、それじゃあ、それじゃあ……今日はアウラちゃんも頑張りましたから、アウラちゃんはどんなのがいいですか?」
ニャ、とクラリスが視線を上げると、アウラがきらきらした眼で二人を見下ろしていた。
悩むような仕草を見せたのは一瞬。アウラはくるりと宙を舞う。体を使って描くのは、木の葉の形であった。
「ふんふん……ふんふん?」
アウラは精一杯表現している!
全身を使い、描き出している。椛はそれを一瞬で解ったけれども、口に出さずに見守っていると、
「わかりました。新緑の葉っぱですね! ……それ、いいですよ!」
そう! とアウラも楽しそうに踊るので、椛は微笑んだ。どこかアウラの姿は、力を求められたことが嬉しくて、誇らしげで、そんな顔をしていた
。
それから……。
音を立てて花火が開いた。
打ち上げられた雪だるまは、ぱらぱらぱらっ。と音を立てて桜の花へと変化していく。それからひまわり、椛へと変わっていく。
一方で、打ち上げられた新緑の葉を象った花火は、ぱっと姿を魚に変えた。魚は夜空を泳いで最後にピンク色の肉球が咲いていく。
「わあ……。すごい。すごく綺麗!!」
空を見上げて、椛は目を輝かせる。せっかくだからと買ったかき氷。苺味に練乳たっぷりかけを手に。目を輝かせて空を見上げる。
「はい! 咲きましたね! こんなに!」
思わずクラリスも両手を広げる。その手にはブルーハワイのカキ氷が握られていた。
「すごい。本当にすごいのね……ん」
ぱくり、と椛はかき氷を一口。
「そしてまたこれが、美味しいの」
「はい。……甘くて儚くて美味しくて。この一日をきっと忘れないのは、二人と花火のおかげです」
クラリスが微笑んで言う。嬉しげにくるりとアウラも踊るように宙を舞った。
空を彩って、そして一瞬で消えていく花火たちだけれど、
「そうね、きっと……。私たちは忘れないのね」
今日のことを。そう言って椛も微笑んで。二人して空を見上げた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
篝・倫太郎
マリス(f03202)と
手持ち花火楽しむ前にラムネでかんぱーい
リュカもお疲れさんなー?
や、喰ってねぇってばよ、適当な事言ってんなよ
マーリースー……
そもリュカはなんも言って無かっただろーが
なぁ?と同意求めつつ
いつも通りマイペースなマリスの様子にガックリ
キクラゲがキノコなんは知ってる……
中華はこないだ喰いに行ったし、帰りに食材も買って帰ったもんよ
つーか、そりゃ初耳だ
ユダの耳なぁ……
リュカ、お前知ってたか?
前置きなげぇわ!
色々おかしくなってラムネ片手にげらげら笑い
ネズミ花火くらい勢いありゃいーのに(ぼそっ)
つーか最後までトコトンマイペースだな、マリスよぅ
なんだかんだ言いつつも最後は手持ち花火を楽しむ
マリス・ステラ
倫太郎(f07291)と参加
【WIZ】リュカも誘います
手持ちの花火を楽しみながら、
「リュカ、残念ながら件のクラゲは食べられませんでした」
倫太郎が試したのですが、食するには適さなかったようです
クラゲは珍味として定番だからいけると思ったのですが……
「クラゲと言えば、中華料理では定番の食材であるキクラゲは、クラゲではないのです」
知っていましたか、倫太郎?
神の使徒が亡くなった場所に生えたことから"ユダの耳"と呼ばれることもあります
実はキノコの類なのですと胸を張る
「さて、メインイベントを始めましょう」
手作りの花火と聞いて用意しました
黒い石つぶてほどの塊に火を点けるとうねうねと伸張し始める
ヘビ花火です
「かんぱーい」
カツンとラムネが三つ、合わさった。マリスと倫太郎。そしてリュカの分だった。
「リュカもお疲れさんなー?」
「ん、お兄さんも(色々と)お疲れさま」
「あー。うん。(色々と)今日も疲れたわ」
手持ち花火をしながらラムね。そして井戸端会議めいた会話。
なんとなく目を合わせて、そして訳知り顔で頷いていたりする二人完全にノリが放課後の男子高校生めいたそれでったが、マリスはわかっているのかいないのか。そ知らぬ顔で、
「リュカ、残念ながら件のクラゲは食べられませんでした。倫太郎が試したのですが、食するには適さなかったようです」
「や、喰ってねぇってばよ、適当な事言ってんなよ」
「倫太郎がもうちょっと根性を出して食べた感触から調理法をひねり出せば、美味しくいただく方法が見つかったのかもしれませんが」
「マーリースー……。そもリュカはなんも言って無かっただろーが」
「どのようなものでも、まずチャレンジしなければわからないことがあります。タコだろうとイカだろうと、最初に食べたものは食べられるかどうか解らないままで食べたのですから」
どやぁ。
「……なぁ? どう思うよあれ」
「どう思うって……お兄さん、頑張って」
いつもどおりマイペース鉛巣の様子に、肩を落としながらも倫太郎は花火を振った。まばゆい光が夜の中に散って、眼の奥にちかちかと光が落ちる。
「クラゲは珍味として定番だからいけると思ったのですが……」
「そういえば、クラゲを食べる文化もあるらしいからね」
「ですよね。もう少し捌き方を学んでおくべきでした」
「ちょ、リュカ、余計なこと言うな」
若干あわてる倫太郎に、
「冗談ですよ」
「冗談の人間のやる所業じゃないだろう。あれは」
「まあ。そんなことを人前で。しかもリュカさんのような小さな子供のいる前で口にするなんて」
「え……」
「何の話だ。リュカも本気で引くんじゃねぇ」
あの丸っとい体を刻んで食べるところ自体からして……とかあわてて説明しだす倫太郎に、マリスとリュカが顔を見合わせた。
二人の目に、若干面白そうな色が宿っていたのを、倫太郎が気づいていたか否かはちょっとわからない。
「クラゲと言えば、中華料理では定番の食材であるキクラゲは、クラゲではないのです」
そんな倫太郎を可哀想(?)に思ったのか、マリスが終わった花火を片づけて、もうひとつの花火に火をつけながら言う。
「キクラゲがキノコなんは知ってる……。中華はこないだ喰いに行ったし、帰りに食材も買って帰ったもんよ」
「……ほう。リュカさん、倫太郎がこの後ふかひれをご馳走してくれるそうです」
「くれねーよ。で?」
「知っていましたか、倫太郎? 神の使徒が亡くなった場所に生えたことから"ユダの耳"と呼ばれることもあります。実はキノコの類なのですよ」
「へえ。つーか、そりゃ初耳だ」
「でしょうでしょう」
感心したような倫太郎の声に、マリスも胸を張る。
「ユダの耳なぁ……。リュカ、お前知ってたか?」
「ん……。そもそもゆだってのが、何かよく解らない」
「そこを聞きますか。なら……」
きらりと、マリスの眼に輝きが宿った気がしたので、倫太郎はぶんとラムネを振った。
「前置きなげぇわ! おーい校長先生じゃないんだから話まとめろー」
何かげらげら笑ってる。
「リュカさん、あれが酔っ払いというものですよ」
「……仲良しだなあ、二人」
「そんなことはありません。彼とはこつにくのいさんあらそい……は繰り広げていませんね、はい。というわけで、さて、メインイベントを始めましょう!」
どんっ。とマリスが手にしていたなんか黒い石つぶてほどの塊を目の前に置いた。
「……お姉さんのことだから、派手系のもの?」
「派手というより美しすぎるものです」
「……」
なんとなく倫太郎にはその時点で予感はしていた。けれども一応黙ってみていた。マリスが花火に火をつける。ずももももももももも、と怪しげな黒に近い灰色のあれが姿を現した。うねうねと伸張し始めている。
「ヘビ花火です」
「知ってた。ネズミ花火くらい勢いありゃいーのに」
「何をいっているんですか、こんなに美しい曲線を描いているのに」
「つーか最後までトコトンマイペースだな、マリスよぅ。ほらほらリュカ、こっち来い。手持ち花火のちゃんとしたのあっから」
反応に困っているリュカに、倫太郎が笑って花火を持つ手を振って。
「……」
「ほら、マリスも持て持て」
「こんなの美しいのに」
黙りこんだマリスを倫太郎が覗くと、マリスは思いっきり解せぬ、みたいな顔をしていて。
思わず倫太郎は爆笑したいのを、すんでのところでこらえて、
「……まあ、かわいいといえば可愛いな。な?」
「あ……。そう、だね。うん。そういえばかわいいかも」
「……そうでしょうそうでしょうとも」
二人の言葉に、若干気を取り直してマリスはまた胸を張るので、倫太郎とリュカはまた顔を見合わせて、
今度こそ倫太郎は爆笑して、リュカもまた少し笑うので、
「なぜ、笑うのですか」
「いや、だってよー」
マリスも不満そうな顔を作りながら、ほんの少し、微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
三咲・織愛
ムルヘルベルくん(f09868)と
待ちに待った、花火ですねー!
あ!私花火を上から見てみたいです!
賢者パワーでばびゅんと飛べたりしませんか? しません?
飛べないの……(がっかり)
せっかくですからドドーンと派手な花火にしたいですよね!
スパパパッとフラッシュのように炸裂する光から天に向けて昇る竜のような…そんな花火を…
作りました!ジャジャーン!
そおれ!
(地面に叩きつける)
奥義! 飛竜昇天花火!
どうですかー?
ムルヘルベルくんの作った花火も見せてください!
ええっ、ないんですか?
それじゃあ今から作りましょう!
ガシッと掴んでゴーゴーです
あとですね、線香花火も作ったんですよ
最後はこれでゆっくり楽しみましょうね
ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛(f01585)
【WIZ】
あれだけ大暴れして何が『待ちに待った』であるか
子供か? いやワガハイから見れば子供であるがそういう話では
うんもう聞いておらぬなそうだな!
もうオヌシの好きにいや飛べるかー!!(怒りジャンプ)
ぴゅおい
!?!?(花火に対するリアクションらしき音声)
ははーんあれだな? ワガハイを心停止で殺す気であるな?
ていうかオヌシのセンス男子児童か何か???
まあ綺麗だが……え、ワガハイ?
花火も何もへとへとでそれどころでは……は? ワガハイのぶんも作る?
待てだからその握力で腕掴んで全力疾走はギャワー!!
ワガハイおうちかえるー
!!!!!
(線香花火はなんかエモい感じでアレしたのでは?)
ムルヘルベルは、半ば力尽きていた。
「待ちに待った、花火ですねー! そう、花火!」
織愛は、元気そうであった。
「あれだけ大暴れして何が『待ちに待った』であるか! 子供か? いやワガハイから見れば子供であるがそういう話では……」
「ひゃー! 待ちきれない! 作りますよ、こっちでスコッチです!!」
「うんもう聞いておらぬなそうだな! そういうやつであるな。知ってた!!」
「あ! 私花火を上から見てみたいです! 賢者パワーでばびゅんと飛べたりしませんか? しません?」
「もうオヌシの好きにいや飛べるかー!!」
「飛べないの……」
「なんでそんな台詞だけちゃんと聞いておるのじゃ……」
急にしょんぼりする織愛にあわてるムルヘルベルなのであった。だがしかし、
「いつだって聞いてますよ。聞いた上でスルーしてるだけで」
「余計悪いわ!!」
織愛の本気なのか冗談なのかわからぬせりふに、またムルヘルベルは怒りジャンプをしたり、肩を落としたりと非常にせわしなかった……。
そ・し・て。
丸い弾に砕いた石を入れたり。練ったり、なんやかんや色々しながら言った織愛の言葉であるが、
「せっかくですからドドーンと派手な花火にしたいですよね!」
ムルヘルベルは嫌な予感がしていた。
だから広場の人気の少ない離れた場所でやっていたのだ。
そして若干織愛から離れていたのだ。
しかし。
「スパパパッとフラッシュのように炸裂する光から天に向けて昇る竜のような……そんな花火を……。作りました! ジャジャーン! そおれ!」
徐に語りだす織愛。手にはぐぐぐと花火玉を掲げている……と思ったらそれもつかの間。一瞬。一秒にも見たず。ノータイムで、織愛はその場で花火を打ち上げた!
「奥義! 飛竜昇天花火!」
「ぴゅおい
!?!?」
耳を劈くようなすさまじい音と共に光が輝き、天へと撃ち登り、そしてものすごい超爆発を起こし、消える。ていうか音がすごい。音がすごい。音がすごい。
「……あれ、ムルヘルベルさん?」
ムルヘルベルは屋台の影で小さくなっている!
「ははーんあれだな? ワガハイを心停止で殺す気であるな? ていうかオヌシのセンス男子児童か何か??? 奥義って何ぞや??」
流石の音にびっくりして、プルプルしているムルヘルベル。
「どうですかー? ムルヘルベルくんの作った花火も見せてください!」
そして織愛はそんなムルヘルベルの姿を、果たして自分の所為だと解っているのかいないのか。まったく構わぬ口調でにっこり笑って屋台の陰でプルプルしたままのムルヘルベルに笑いかけるのであった。
「まあ綺麗だが……。音がな。うん。音が、驚くのもあり……え、ワガハイ?」
「そうですよー。せっかくなんですから。ムルヘルベルさんも作らないと」
「花火も何もへとへとでそれどころでは……」
「ええっ、ないんですか? それじゃあ今から作りましょう!」
「は?」
今この子、ワガハイのぶんも作るって言った?
そんな顔を、ムルヘルベルはしていた。
そして嫌な予感がしていた。今日一日嫌な予感しっぱなしであったが。
「さあ、そうと決まればいきますよ! ゴーゴーです!」
「待てだからその握力で腕掴んで全力疾走はギャワー!!」
ぐぁし! と。
織愛はムルヘルベルの腕を掴んで走り出す。
そうと決まれば織愛にためらいなぞ存在しない。
「いーやー!! ワガハイおうちかえるー
!!!!!」
ていうか腕が抜ける!! と声を上げるムルヘルベル。織愛はにっこり、
「嫌ですね。そう簡単に腕なんて抜けませんよ」
「そう簡単に引っこ抜くのがオヌシであろうー
!?!?」
「あとですね、線香花火も作ったんですよ。最後はこれでゆっくり楽しみましょうね」
「ひっ。その線香花火、爆発しないか?? 閃光花火にならぬか???」
「なりませんっ。人のことなんだと思ってるんですか」
「それをワガハイに言えというのかー!!」
連行されるムルヘルベルは、せめて穏やかな花火を作ろう……と心に決めるのであった。
……いや、でもきっと。
一緒に作った花火も。本当にしみしみした線香花火も。
いい感じにエモい話になったに違いない。
……たぶん。きっと。二人だってそういう時間もあるはずだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン/f05367と
どうにか彼を説得してお互い作ってみたわけだけど
目的達成?
何言ってるの。遊ばなきゃ意味ないでしょ!
聞く耳など当然もたず、広場の片隅へ
さ、やろっ
とっておきの花火は最後のお楽しみで……まずはこれ!
黄色と黄緑を混ぜてみたんだよね
見て見て!と派手に振り回して
手持ち花火はね、昔ネクと一緒に遊んだことがあるの
こんな風に振り回してたな……
ヨハンは初めて?
あー、打ち上げ花火も作ってみればよかったね
いよいよこれの出番かな
出し惜しみしていた一本に火を点ければ、優しく光る藍色が溢れ出す
綺麗でしょ?君の瞳にそっくりな色だなって思ったの
その色、って……
都合のいい解釈かなと頭を振って
うん、そっちも素敵
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
まぁ、花火が目的だったという事は分かっています
分かっていますとも
だから強引にぐいぐい押し付けられても文句言わずに……いや文句は言ったが
とにかく花火は作ってみせた訳で
目的達成したので帰っていいですかね
なんて、聞きはしないと……分かっていたとも……
はぁ。手持ち花火ってそんな振り回すものなんですか?
あんまりはしゃぎすぎないでくださいよ、危ないから
こういった形の花火は初めてですね
打ち上げ花火なら見たことありますけど
何かと思えば……
それなら俺もと、作った一本を取り出して眩しい新緑の光を点ける
俺にはこちらの方が綺麗、ですよ
そうしてオルハは宥めたり、すかしたり、ああだこうだ言ったり、あんなことやそんなことをしたりして、
どうにかこうにか、お互いの花火は完成したっ。
「まぁ、花火が目的だったという事は分かっています。分かっていますとも」
色々言ったけど。と、嬉しそうなオルハにヨハンも息をついている。解っていたからここまで押し付けられても文句言わずに……いや文句は言ったが、一緒に花火を作ったのだ。だから、
「目的達成? 何言ってるの。遊ばなきゃ意味ないでしょ!」
「……まだ、何もいっていませんが」
「目的達成したので帰っていいですかね、って顔、してたよ」
「……」
ヨハンは若干気まずそうに視線をそらした。
流石に口に出すほども野暮ではない。解っているとも。だが、オルハにはお見通しだったようだ。
「さ、こっちこっち」
オルハはヨハンの手を引いて、広場の片隅へと向かう。まだなにかいいたげな顔をヨハンはしていたけれども、気にしないことにして。
「さ、やろっ」
「はあ……」
「とっておきの花火は最後のお楽しみで……まずはこれ!」
ほらっ。とででんとオルハが示したのは、黄色と黄緑を混ぜた手持ち花火であった、
火をつけると、瞬く間に美しい光が流れ出す。光の川は黄色から黄緑へ。狙ったとおり色が変わっていくので、成る程きちんと調合できている、などとヨハンは感心していたのだが……、
「ほら! 見て見て! 明るいー!」
何故かオルハは花火を持っている手を大きく振りまわす。光の筋が、目に輝きを残して右へ左へと飛び交う。
「はぁ。手持ち花火ってそんな振り回すものなんですか?」
「そうだよ!!」
ヨハンの言葉にオルハが全力肯定する。
「手持ち花火はね、昔ネクと一緒に遊んだことがあるの。こんな風に振り回してたな……」
「……あんまりはしゃぎすぎないでくださいよ、危ないから」
「んー、ヨハンは初めて? 花火」
「こういった形の花火は初めてですね。打ち上げ花火なら見たことありますけど」
そう、ヨハンが応えると、オルハは瞬きをする。勿論花火を振り回したまま、
「あー、打ち上げ花火も作ってみればよかったね」
「いいですよ。うるさいですし」
「またそんなことを言う……あっ」
こつん、と。花火を振り回しながら言葉を続けるオルハが何かに躓いた。思わずたたらを踏むオルハに、
「……っ」
ヨハンが思わず手を伸ばそうとする。しかしそこはオルハもなれたもので、
「……っ、と、それ……あれ、ヨハン、その手、どうしたの?」
軽くステップを踏んで体勢を持ち直すオルハに、ヨハンは思い切り渋い顔をしていた。
「……だから、あんまりはしゃぎすぎないでくださいよ、危ないから。って、いいましたよね」
「えええー。なんともなかったんだから、いいんじゃないかな」
「だめです。花火は振り回さない。……ほら」
「……はぁぃ」
振りまわすオルハの手を、ヨハンが掴む。しっかり下方向に固定すると、むぅ、とちょっとオルハは嬉しいような、恥ずかしいような複雑な顔をして、おとなしく今度は花火を見つめるのであった。
そうやって二人でいくつか花火を楽しんだ後に、
「いよいよこれの出番かな」
徐にオルハが、花火を持ってくる。それは最後の一本で、出し惜しみしていたものであった。
「それは? 何か特別なんですか?」
「そうだよー。……ほら」
最後のとっておきに火をつける。そうすると優しく光る藍色が溢れ出す。音も少ない、今度は振り回さない。優しい気持ちになる花火だった。
「綺麗でしょ? 君の瞳にそっくりな色だなって思ったの」
ふふ。と嬉しそうに笑うオルハ。だが……、
「何かと思えば……」
どうやらヨハンは違うようであった。若干呆れたような声で、どこからともなく彼も隠していた最後の一本を取り出す。
「それなら俺も、見せるものがあります」
「うん? みせるもの?」
「はい」
そうしてそれに火をつけると、眩しい新緑の光が花火から溢れて、流れ出していった。
「俺にはこちらの方が綺麗、ですよ」
こともなげに言うヨハンに、オルハは言葉に詰まる。
「その色、って……」
美しい緑の瞳を瞬かせて、オルハはそれ以上は言わずに黙り込む。ヨハンもそ知らぬ顔をして、何も言わなかった。ので、
「……うん、そっちも素敵」
本当に、本当に嬉しそうにそういって、オルハは笑った。
「……」
その笑顔に、ヨハンも少しだけ照れたように視線を新緑の花火へと逃がす。
光は美しく。いつまでも、いつまでも輝いていた……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
両角・式夜
【POW】
わしはリュカ殿に声を掛けるぞ!
千夜之介殿とディフ殿に検証に付き合って貰ったからな、その成果を見せるのだ!
リュカ殿リュカ殿、見てくれ、石の形とか色合いで花火の色や形もある程度作れる様になったぞ!
この打ち上げ花火、着火は是非リュカ殿がやってくれ。
離れたとこから銃で撃てば安全面も問題ないな!
さぁ、刀には加工出来なさそうだからな、沢山花火を作ったのだ!よろしく頼むぞ!
色んな面白いパターンがあったのをわしの研究メモと共に見せるからな!楽しいは共有すべきだな!
花火はドパパパッと派手なのからしゅわわわーって消える儚いのまで、三回に一回はハズレ入り
(アドリブ、絡み大歓迎です!)
「リュカ殿、リュカ殿ー!」
人ごみの中姿を見つければ、式夜は片手で箱を抱えたまま、もう片方の手でぶんぶんと手を振った。
「ああ。お姉さん、お疲れさま」
「お疲れさまだ。そして聞いてくれリュカ殿。千夜之介殿とディフ殿に検証に付き合って貰ったからな、その成果を見せるのだ!」
「検証?」
走ってくる式夜が、全力でそういうので、リュカは一度瞬きをする。
リュカ自身は、迷宮の中のことは窺い知ることが出来ないのだが、普段の彼女を知っているだけに、その物言いにそ、とリュカは視線をそらしたのであった。
「うん? どうした。その生暖かい目は」
「なんでもないよ。それより、花火を作ったんだ?」
苦笑して、リュカが首を横にふると。式夜も笑顔でその通りだ、と、ででん。と箱を示した。
「……」
箱の中にはぎっしりと花火が詰まっていた。
なんだか、学園が提供している花火のいれものとは若干違うような、気がする。
「石の形とか色合いで花火の色や形もある程度作れる様になったぞ! 自由自在だぞ!」
式夜は得意げだ!
「そしてこの打ち上げ花火、着火は是非リュカ殿がやってくれ。離れたとこから銃で撃てば安全面も問題ないな!」
「間って。普通に導火線に火をつけるんじゃだめなんだ?」
「? どうかせん? なんだそれは、美味しいのか……?」
「……!?」
まさか。と。若干リュカは難しそうな顔をしていた。
「もしかしてこれ、自作なんだ?」
「む……う? ほかにどんな花火があると……?」
「ちなみに、試しうちは?」
「ああ。それなら大丈夫だ。ちゃーんとできておる!」
「出来てるんだ」
えへん。と胸を張る式夜に、おお、とリュカは若干驚いたような顔をする。
「ふふ。鉱石の扱いなら任せよ。この石はとても面白かったが、刀には加工出来なさそうだからな。沢山花火を作ったのだ! よろしく頼むぞ!」
「そういうことなら……どこを撃てばいい?」
「勿論、あのてっぺんだ!」
人通りの少ないところにいくつもの花火を並べる。並べるや否や、リュカは銃を構えて、撃った。
連射する。ひとつたりとも外さなかった。どぉん、と言う音とともにはじける花火もあれば、その場でものすごい火柱を立てる花火もある……が、
「リュカ殿、リュカ殿。ひとつずつ行かねば何が何やらわからぬ」
「あ……」
そんなことも、あったりした。
それから。
「で、このパターンを組み合わせたら、こうなるのであるな!」
「成る程……」
ひとつずつ上がっていく花火。
研究メモを見ながら二人して。上がる花火の形や色をひとつずつ確認していく。
ちなみに今上がった花火は高く高く上って言って、ぽぽぽぽぽん、とポップコーンのような音を立てて連鎖的に爆発した。
「うむ、研究どおりだな! ではリュカ殿、次はちょっと大きいぞ」
「大きいのか。それじゃあ……」
気をつけてリュカが花火を撃つ。
それと同時にふわわわわーッと煙のように湧き出す花火であった。
「ふっ。はずれだ!」
「ええ」
「冗談だ冗談だ。次こそでっかいぞー」
「……」
三回に一回は外れてる気がする。討論下名目をするリュカに、けらけらと式夜は笑った。
「なーに、次こそは成功するぞ! すっごく楽しいのが出来上がる! 楽しいは共有すべきだな!」
「……否定はしない、けどね」
あっけらかんと笑う式夜に、リュカは苦笑しながらも小さく頷いて、じゃ、次も楽しみだと花火を撃った。
今度こそ。大きな音が響いて、天へと火の花が舞い上がっていった。
大成功
🔵🔵🔵
向坂・要
ディフ(f05200)に誘われ
なんか色々と愉快なお人らと一緒だったみたいですねぇ
ま、せっかくのお誘いだ
楽しみましょうぜ
なんて彼の話を聞きつつどこか楽しげに労い
こりゃまた律儀な
けどそこらへんはお互いさま
謝られる様なことじゃありませんぜ
こちらこそ、共闘出来て有り難かったですぜ
誘われた理由、礼を聞きそんな彼の様子が微笑ましくも好ましく
なるほどねぇ
作ってみるのも楽しいもんですねぃ
っと折角だ
派手に打ち上がるのでも作ってみますかぃ?
と手持ち花火の後、打ち上げ花火を提案し
たーまやー
ってね
えぇ
本当に
ヒトってのはすげぇもんですぜ…
勿論、お前さんも含めて、ね
屋台で買ってきたラムネを手渡してのんびり楽しみ微笑ましく
ディフ・クライン
要(f08973)と
あの二人は…絶対楽しんでるだろうな
道中を共にした二人にそんな思いを馳せつつ
要
先日、精神を抉られる敵との闘いの時
無様に倒れそうになったところを支えてもらった
だから礼を
この間はゴメン。ありがとう
ヒトはお礼をする時に、美しいものや、楽しいものを贈ると喜ぶと聞いたから
あの石の光は綺麗だったんだ
それから、ちょっと楽しかった
…あの感じは、たぶん「楽しい」であってる
貴方も、楽しいを感じたら、いいと思って
手持ち花火、作ってみようか
難しくないらしい
派手なの……?
どうすれば、いいだろうか
首を傾げて思案して
出来た花火に火をつけ
花火の光が弾けて、目を見開き
…綺麗だね
ヒトが作るものって、すごいな
ぽんぽんぽんと、
あちこちで派手な音の花火が上がっている。
楽しげに駆ける人と人の間を歩きながら。ディフと向坂・要(黄昏通り雨・f08973)はのんびりと話をする。
ディフが今日の敵の話。今日であった人の話。そんな話を、のんびりする。
「あの二人は……絶対楽しんでるだろうな。今もどこかで」
「なるほどなるほど。なんか色々と愉快なお人らと一緒だったみたいですねぇ」
「愉快……愉快。そうだな、好ましかったと、思う」
「そりゃあよございました。楽しいついでだ。何か食べて行きますかぃ?」
「食べる? 何か……?」
「カキ氷とか」
「氷を、わざわざお金を出して買うのか……」
要の提案に、首を傾げるディフ。その様子に、軽く要は吹き出した。
「ま、せっかくのお誘いだ。ここは俺に奢らせてくだせぇな。楽しみましょうぜ」
「む……。しかし要には先日、助けてもらったばかりだから。今日はその礼を兼ねているのだし、だったら奢るのは俺のほうだよ。……この間はゴメン。ありがとう」
先日の戦いを思い出し、改めて礼を言うディフ。先日、精神を抉られる敵との闘いの時、倒れそうになったところを支えてくれたのが彼だったのだ。
生真面目に礼を言うディフに、要はからりと笑った。
「こりゃまた律儀な。けどそこらへんはお互いさま。謝られる様なことじゃありませんぜ。こちらこそ、共闘出来て有り難かったですぜ」
ほほえましく、好ましくて。思わず笑ってしまう要。ついでに何か奢ってみたくなるところだが、ディフの顔があんまりに真剣だったので、それじゃあ、と要もうなずいた。
「それじゃ、奢ってもらいましょうかねぃ、氷も」
「……ああ。喜んで」
それから。
石を砕いた粉をさらさらと、細長い筒のような入れ物に入れていく。
ここに火をつければ、花火が出来るらしい。入れる粉は少し前に散々投げつくしたあれを、上手いこと砕いたものであるらしくて、
「あの石の光は綺麗だったんだ」
思い出しながら、ディフが言った。
「それから、ちょっと楽しかった……あの感じは、たぶん「楽しい」であってる。貴方も、楽しいを感じたら、いいと思って」
「なるほどねぇ」
「ヒトはお礼をする時に、美しいものや、楽しいものを贈ると喜ぶと聞いたから」
「……なるほどねぇ。かわいいことを、いってくれますねぇ」
「そう……だろうか?」
「えぇ。普通は人ってのは、もっとひねくれてるもんですよ」
勿論あくまで、要から見てのことであるが、人間以上に素直なディフに、要はおかしげに笑う。
「ほーらできました。火をつけてみましょうか」
「あぁ。聞いていた通り、そんなに難しくはなかったからよかったよ」
よしよし。と完成した花火を要もディフも、火をつける。
流れる光は暗闇に浮かび上がって、眼の中に痛いような、心地よいような光の残像を残した。
「作ってみるのもこれでなかなか楽しいもんですねぃ」
要がそういうと、言ったところで花火が終わる。一瞬周囲が暗くなったその後ろで、ぱっと誰かの打ち上げ花火が上がった」
「……っと折角だ。派手に打ち上がるのでも作ってみますかぃ?」
終わってしまった花火を名残惜しげに振るディフに、要がそんなことを言う。
「派手なの……?」
「そうそう、ああいうの」
どーん。とまた天高く上がる花火を要は指差す。
「やりかたは、難しくはないと聞いていたけれど……」
「うん?」
「デザインが、心配だなって。どうすれば、いいだろうか」
「よし、そこはお前さん、俺に任せてくださいねぇ」
今度は二人して、大きな花火の製作に取り掛かる。
「せっかくだから、お前さんの顔でも造ってみましょうかねぇ」
「それは……勘弁してほしいな」
「はは、冗談ですって」
本当かなあ。なんて。ディフが首をかしげたところで花火は完成する。
「それっ。たーまやー、ってね」
ディフが火をつける。それにあわせて要が声を上げる。花火はひゅうるるるる、と上がって行き、声に合わせてオーソドックスな大輪の花を咲かせ
た。
ぶわっ。と広がる光の玉。まあるく大きく。ぱっと花が咲く。そのままぱらぱらと光の粒がはじけて、音を立てて落ちていくところまで。そして、
「……綺麗だね。ヒトが作るものって、すごいな」
光が消えていくところまで。
「えぇ。本当に。ヒトってのはすげぇもんですぜ……」
見送るように真剣に見つめるディフに、要も空に視線をやりながら小さく頷いた。
「勿論、お前さんも含めて、ね。……ほら、今日はお疲れさまですね」
ひょい、と屋台で買ってきたラムネを要はディフに差し出す。
「いつの間に……ありがとう」
ディフも笑って、それを受け取った。
光の余韻が、いつまでも二人の目の奥に残っていた……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
清川・シャル
f08018
カイムと一緒に
おっきな打ち上げ花火がいいです。
何かの形に出来るんですって。
シャル、りんごがいい!
ねぇねぇカイム、一緒に作ろ?
教えてもらったら出来るって。
上手く出来るといいなあ。
りんごラブ!を空にどかーん!って打ち上げるんです。派手な感じに!
打ち上げたら大喜びで、りんごー!!って言ってる!
派手な花火、初めて見たよ。
綺麗だね?
きらきらしてる。
一緒に見れるの、嬉しいな。
シャルはね、りんご好きなんです
知ってるよね。
あのね、小さい頃に初めて食べたりんご、美味しかったんだ〜
今はね、カイムと食べるのがいい。
1人じゃなくて、一緒だともっと美味しいし、幸せ。
花火もすっごく綺麗に見えるの
ありがとう。
カイム・クローバー
シャル(f01440)と行動
さて、いよいよお待ちかねの花火大会だ。仕事も終わって気分は夏休みの宿題から解放された学生気分だな。
ま、俺は学生やった事ねーけど。
シャルと協力してアルダワ魔法学園に残る過去最大規模の花火を打ち上げるぜ。
求めるのは空を彩る超・巨大なリンゴ型の花火。デカイだけじゃなく、彩りも考えて、緑(青リンゴ)から赤に変わるって工夫まで入れた渾身の自信作だ。
それゆえ、空中でそこそこ残る持続力も求められるか。ま、結果どうなるにせよ、やるだけやってみても良いよな?
花火作成に際して、手先の器用さが必要なトコは俺に任せな。夜空にリンゴ花火の大輪、打ち上げてやろうぜ!
また来年も二人で見に来ような
「さて、いよいよお待ちかねの花火大会だ。仕事も終わって気分は夏休みの宿題から解放された学生気分だな」
んー。とまるで本当に学生のように軽く伸びをするカイム。
「ま、俺は学生やった事ねーけど」
「ふふ。シャルもカイムと一緒に学生になりたいですねー!」
なんて、シャルがまねて同じように伸びをした。
「よっしゃ。じゃ、学生に負けないようにでっかい花火作るか! アルダワ魔法学園に残る過去最大規模の花火を打ち上げる! って感じの」
「わあ。いいですねいいですね!! おっきな打ち上げ花火がいいです。カイムと一緒に、作るのですよー!」
そのままの流れで腕まくりをするカイム。シャルも頷いて、一緒に材料を取りにいく。
いわれたとおり、作るのは簡単だ。規定のいれものに、先ほどまでぽんぽん投げていた石を上手いこと砕いて粉にしたものを入れる。粉によって生じる光や音が色々変わるから、そこは上手いこと説明を受けて、自分の望む形にしていくのだ。
「あー。ものすごくでっかいのしてぇんだけど。もっと大きい箱ねぇの?」
「ないなら作るですよー! 作れますか? 作っちゃっていいですか??」
どうやら大丈夫らしい。
せっかくなので箱作りから開始して。それから材料をどんどん投入していく二人。
「何かの形に出来るんですって。シャル、りんごがいい!」
「おぉ。任せろ。だけどただのリンゴってのも勿体ねぇな。デカイだけじゃなく、彩りも考えて、緑(青リンゴ)から赤に変わるって工夫まで入れて……」
「あ、シャルシャル、音も決められるみたいですよ! どうしますか?」
「お。どうせなら腹にたまりそうな音にしようぜー」
仲良く二人してペタリ、ぺたりと作っていく。手先の器用さが必要な細かいところはカイムが創って行き、シャルがデザインのこだわるべきところなどをつめていく。二人の共同作業は、それだけで楽しい。
最大級と言うことで、相当な重量になったがカイムは気にしない。シャルもなんだか楽しそうで、
「えへへ、できましたできました~」
「ああ。渾身の自信作だ」
結構な時間が掛かって二人、花火を完成させると天を見上げた。
「っし。今は誰も上げてねえな。上手く出来てるかはわかんねえけど……結果どうなるにせよ、やるだけやってみても良いよな?」
「ふふー。うまくいきますよ! なんたってシャルとカイムの花火だからね!!」
なんて、笑って。そうして、着火。
「夜空にリンゴ花火の大輪……、打ち上げてやろうぜ!
「りんごラブ! お空にどかーん! 派手な感じに打ち上げますよー!」
掛け声(?)と共に。
二人は、花火の導火線に火をつけた。
ひゅるひゅるひゅる……という音と共に光の筋があがっていく。
固唾を飲んで見守るカイムとシャルの目の前で、花火は天まで上がり、そして……、
「わっ」
「っ、こりゃ」
どぉん。と。
地響きのような音を立てて爆発した。
「りんごー!!」
ものすごい音量に負けずに、シャルが叫ぶ。爆発した瞬間、ぱっと花火はリンゴの形を取って。
「おう。たまやー」
まけじとカイムも叫んだ。
超巨大リンゴは、今までにない大きさで空を彩る。
最初は青リンゴ。次に赤くなる。形が崩れるのも、なんだかリンゴが食べられているみたいに見える。
「すごいすごい! カイム! カイム!」
「ああ。見てる、見てる」
「派手な花火、初めて見たよ。綺麗だね? きらきらしてる!!」
ふわわわわ。と目を輝かせるシャルの横顔に、カイムも笑った。そしてほほえましく見ていたら……、
「シャルはね、りんご好きなんです知ってるよね」
くるりと、シャルがカイムのほうを見た。目が合う形になって、シャルも笑う。
「あのね、小さい頃に初めて食べたりんご、美味しかったんだ~。今はね、カイムと食べるのがいい」
えへへ。とシャルがカイムの顔を覗き込んで、
「1人じゃなくて、一緒だともっと美味しいし、幸せ。花火もすっごく綺麗に見えるの。ありがとう」
と。本当に楽しそうに言うので、
「……ああ。俺のほうこそ」
そっと。
カイムもシャルを抱き寄せる。
ふふ、と小さくシャルが笑い声を上げて、
「一緒に見れるの、嬉しいな」
「ああ……。また来年も二人で見に来ような」
「うんっ」
二人が見守る中で、花火がゆっくりと夜の中に溶けていく。
少し残念なようで……それはやっぱり、楽しいことだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紫牢・奇依
手持ち花火を作って遊ぶ。
あちきはまずは紙に構造をしっかり記述してから何度も見返すよ。
準備はばっちりとやらないと失敗するかもしれないからね。あくまでも自己認識だけど、心配性とかではないよ。
あちきからは、花火を持ってただ大人しくしているよ。ただし、花火を持ってくるくる回っている人とかがいたら。そして、安全そうなら真似をしちゃうかもね?
手持ち花火の色は派手派手なグラデーションの色のでるやつだよ。
作ったのが終わったら、どデカい花火の人がいるならそれを観賞するよ。
あっそうそう、紙に書いた情報は燃やして灰にしたりして処分するよ。
鏡島・嵐
へぇ、石を加工して花火にすんのか。なんだか面白そう。
……そうだなぁ、花火と言えば、おれはやっぱり線香花火だな。
地味だけど最後まで見てて飽きねえし。子供の時は何度も途中で玉を落としちまってわんわん泣いたりもしたっけな。
最初は牡丹。次に松の葉、柳と続いて、最後は菊。
〈アート〉技能を駆使して、試しに火を点けて確かめてはなるべく綺麗な形が出るように思考錯誤を繰り返す。……なんか職人になった気分だ。
線香花火自体小っちぇえからそんなに大きな石は要らねえけど、数だけはいっぱい作って他の奴が作った花火と交換したりする。
巧く出来たら、後はお披露目ってな。
レイブル・クライツァ
流石に作ったことは無かったから、とても興味があるのよ。
育ての親面々は、燃える物質によって炎色反応が決まってるだとか
全然浪漫の欠片もない話をしていたのを思い出すけれども
火をつけるまでどうなるか判らない物だって、あっても良いと思うわ。
…その方が、夢を見れる気がするのよ
(上手く作れたかはお任せ)
不揃いよりも、細かく丁寧に粉にして…手元で楽しむ程度の花火を
ランプと違って、直ぐに消えてしまうのだけれども
弾けて消えるこの特別感を楽しむのが、感情と言うか感性を育む上で大事なのよね
…他の方は如何されているかしら?
お邪魔にならない様に気を付けつつ、参考にしたいなと思ってるわ
終わったら、片付ける所までがセットよ?
「へぇ、石を加工して花火にすんのか……。なんだか面白そう」
嵐もまた一息つけば、あちこちで花火の上がる音がしていて周囲を見回す。
そこかしこで上がる花火は、やっぱり派手な色をしていて。嵐はほんの少し、悩んだ。派手なのを作れないわけでもないけれど……。
「……そうだなぁ、花火と言えば、おれはやっぱり線香花火だな」
それが似合っているんじゃないかと。嵐は一人、小さく頷く。
「地味だけど最後まで見てて飽きねえし。子供の時は何度も途中で玉を落としちまってわんわん泣いたりもしたっけな」
折角だから、落ちにくい花火にしよう。そしてなるべく、綺麗な形にしようと。
嵐は説明を聞きながら、思った。
花火を作るのは簡単で、けれども望んだ形にするのはほんの少しだけ難しくて。
渡された棒のような筒にダンジョンで採れたあの石を砕いた粉をいれて、作っていくのだけれども。
「ん……。もうちょい、もうちょっとだな」
細かいことに拘りだしたら、ほんの少し大変だった。
なるべく綺麗な形になるように、嵐は試行錯誤を繰り返す。
なるべく綺麗なのを、たくさんつくろうと。嵐はそんなことを考えた。
「……」
そのとなりで。
奇依も真剣に、手持ち花火を作っていた。
学園の説明は非常に大雑把なものであったが(この筒にさらさらーっといろんな粉を入れればいいんですよ、とかいう)、
奇依はその粉の成分をひとつずつ真剣に聞き、紙にメモを取り、何度も何度も見返しながら、じっくりひとつのものを作っているのである。
「準備はばっちりとやらないと失敗するかもしれないからね」
あくまでも自己認識だけど、心配性とかではないよ。と。
言い聞かせるように慎重に。慎重に。奇依は花火を作っていった。できればグラデーションは派手派手に。超華やかにしたかったのだ。
そんなふたりを。
じ、とレイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)は見つめていた。
流石に花火を作ったことはなかったから、とても興味があったのだ。
だから、邪魔にならないように気をつけつつ、レイブルは二人の様子を見ていた。
「育ての親の面々は、燃える物質によって炎色反応が決まってるだとか、全然浪漫の欠片もない話をしていたけれども……」
思い出すと、渋い顔になる。
渋い顔になりながらも、となり二人の様子をレイブルは見つめながら粉を入れていく。
学園の人にもっとしっかり聞けたなら、ちゃんとしたものを作れたかもしれないが。
レイブルは、完璧なものを作りたいわけではなかったのだ。
むしろ……、
「火をつけるまでどうなるか判らない物だって、あっても良いと思うわ。……その方が、夢を見れる気がするのよ」
知らないぐらいが、丁度いい。
均等に、細かく、丁寧に。
ささやかだけれども、美しいものを。
思い出に残るものを。
うまく出来なくてもかまわない。だから……。
丁寧に。丁寧にレイブルは花火を作った。
そして……。
「よ……っ、と」
嵐は花火に火をつけた。一瞬で繊細な光が周囲に満ちる。
「最初は牡丹。次に松の葉、柳と続いて、最後は菊……。よしよし、完璧だな」
いい感じに出来ていてうれしい。と。努力の結晶、なんていうとちょっと大げさかもしれないけれども嵐の拘りがきちんと反映された線香花火に、嵐は嬉しくて。
「そっちはどーだ?」
「!」
丁度隣で火をつけていた、奇依に声をかけた。奇依の花火はしゅわわわわー。っと勢いよく。派手派手なグラデーションを夜に落としていく。
「あ、ああ。とってもいい感じだよ。でも」
もう一声……と。奇依がいいかけた。ところで、
「……、……! ……!!」
なにやら音が聞こえて二人は顔を上げた。
ものすごい光を放つ手持ち花火が、二人の前を通過した。
「ええ。これは……これ、は」
まったくの無表情で、レイブルがぶんっ。と花火を振り回す。思いのほか光の勢いが強くて、焦っている……のだと思われる。無表情だけれども。
「お、おお。大丈夫かー? 落ち着いて下に向けるんだ」
「下……ああ。そうね。下……ね」
こうですね。と、レイブルが花火を下に向ける。しばらくして、光は徐々に徐々に弱まり、消えていった。
「……振り回すのは、危なそうだね」
「ん? ああ。真似するにはちょっとばっかり危ないな」
真面目に言った奇依に、嵐も真面目にひとつ、頷くのであった。それから、
「粉の量が多かったんだな。もうちょっと減らして作り直したらどうだ?」
「……ばっちり丁度いい数量は書いてるから、参考にする?」
「ええ……。やられっぱなしは性に合わないから。ありがとう。やってみるわ」
嵐の指摘に、奇依がひらりと紙を振って。それにレイブルは頷いた。
それから……。
「ランプと違って、直ぐに消えてしまうのだけれども、弾けて消えるこの特別感を楽しむのが、感情と言うか感性を育む上で大事なのよね……」
それなりの大きさになった花火を見つめながら、レイブルが言うと、となりで嵐がおかしげに笑った。
「……だな。なんかものづくりの、職人になった気分だ」
「職人……。成る程あなたの花火は、とても精巧に出来ているからね」
「んー。交換すっか?」
「! いいのかしら。是非、やってみたいわ」
「おーい。そっちはどうするー?」
「あちきの……派手なので、いいのかい?」
「勿論。是非交換して、色々試したいわ」
レイブルが真面目に頷けば、奇依もこくりと首を縦に。
三人で交換して、火をつければ。
また違った色を楽しむことができた。
「……なんだか夏! って感じがするなぁ」
輝くそれぞれの花火を見ながら、嵐が呟く。レイブルもええ。と静かに頷いて、
「季節季節を楽しむこと……それがとても、大切ね」
「だな……」
「でも、終わったら、片付ける所までがセットよ?」
「はは」
片づけか。と嵐が笑う。笑った先で花火が音を立ててはぜて。そして消えていく。
「片付けは……大事だよ」
奇依も炎の前に自分が取ったメモを翳して、そしてそれを燃やしながらいった。
「……そうだな」
名残惜しいけれど、そろそろおしまい。今はもう、線香花火が落ちてなく年でもなくなった。
嵐の目の前で、レイブルが持っていた線香花火がゆっくりと落ちていく。
それに合わせるように、奇依とレイブルの作った花火もゆっくりと光を失っていった。
光が消えた世界で、美しい花の色が、いつまでも暗やみの中に残っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エンジ・カラカ
飲み物、食べ物たーくさん
賢い君、賢い君、コレはなーに?
水、水。パチパチ辛い水。
リュカリュカ、コレコレなーに?
瓶の中に入ったパチパチ辛い水。
賢い君も知らないらしい。
攻撃性のない炎はキレイで、それを作るミンナもキレイだ。
面白いヤツはさっき堪能したから今はのーんびり
この不思議な水を堪能しようと思ってなァ……。
アァ……でも、ほんと予想外の味だったなァ……。
またいつか、飲んでみたい気もする。
たまにはこうやって、のんびりするのもイイ。
なァ……賢い君?
「飲み物、食べ物たーくさん」
エンジは学園を歩く。今日はやけに人が多くて。人と人とをすり抜けるように進んでいく。
「賢い君、賢い君、コレはなーに?」
たずねても返事はない。エンジはひとつ水を持っていた。まあ、平たく言うとラムネビンなのだけれども、エンジにはそれが珍しい。
「物、物、物、ひと。ひと。ひと。いっぱいいっぱいいっぱいいるなぁ」
ごみごみしてる。ぎゅうぎゅうしてる。そんな中でエンジはまたラムネを一口。
「水、水。パチパチ辛い水。……あ」
「あ?」
すれ違う、その一瞬。
見慣れた青い色に、思わずエンジの手が伸びた。
「!」
「!」
気付けばリュカの首根っこを引っつかんでいた。
「あ。ごめんごめんー」
まったく悪びれていない様子でぱっとエンジは手を離す。リュカは襟元を直しながら、エンジのほうに向き直る。
「大丈夫。少し驚いただけだから」
「そっかそっか、よかったなァ。……ね、リュカリュカ、コレコレなーに?」
ほら。とエンジは鼻先に瓶を突きつける。
「これ。パチパチ辛い水。賢い君も知らないらしい」
「んん……?」
リュカは難しい顔をした。まさかラムネを知らないとは思わなかったから。
「飲む?」
「ん、ちょっともらう
………………??」
あれ? ラムネだよな? って顔を、リュカは、していた。
「ラムネ、ラムネ。こいつはラムネ」
「気に入ったみたいだね、お兄さん」
「もっちろんー」
名前を知れば、何度も呼んで。二人してベンチに座って、エンジはラムネをたしなむ。
空のうえでは明るい花火が、いくつも上がっては消え、上がっては消えと美しく輝きを放っていた。
「キレイだなキレイだな」
「……花火、好きなんだ」
「あァ。攻撃性のない炎はキレイで、それを作るミンナもキレイだ」
「じゃあ、自分では作らないの?」
「俺は、面白いヤツはさっき堪能したから今はのーんびり」
へらーっとエンジは笑って、ラムネの瓶を軽く揺らした。
「この不思議な水を堪能しようと思ってなァ……」
これ。と、もう一度エンジは瓶を揺らして。くいっとあおろうとしたところで、
「……」
空だった。
「……」
「……もう一つ、買ってこようか?」
じっと空の瓶を見つめ続けるエンジに、リュカが声をかける。
「や、や、こーゆーのは、ちょっとだけ、がいいんだなァ……」
「……そうなの?」
「そう、そういうもの。賢い君、わかるよなァ……」
「そうなんだ……」
解せぬ。と言う情緒のない顔をリュカがしていたので、
エンジはからからと笑った。
花火があがっていく。
平和な炎は今日も目に優しい。
リュカと別れてエンジは賢い君とともに天を見上げる。
「アァ……でも、ほんと予想外の味だったなァ……」
けれどもやっぱり、思い出すのはラムネの味だったりして。
エンジは空になった瓶を、からころと音を立てて軽く振った。
「またいつか、飲んでみたい気もする。たまにはこうやって、のんびりするのもイイ」
でもそれは、またいつかであって今ではないのだと。
エンジは口元をゆがめて相棒へと目を落とした。
「なァ……賢い君?」
返答は勿論ないけれども、
答えのようにどぉんとひとつ。花火が天まで昇って弾けた。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
【かんさつにっき】
双子の兄=まつりん(祭莉・f16554)
まつりん
顔を見たらほっとしてぱたぱた駆け寄り
皆で屋台に花火
小太刀、アキ、輪投げ(そわ
丸いもふもふひよこがわたし見てるの(取らねばの使命感
いか焼きにさざえに、まつりんはりんご飴?
なら真琴の分も
洞窟でしっかりさんだったごぼうび
初めてのロケット花火(わくわく点火)
あのねまつりん
クラゲがきれいで
フクロウな人が扉からぱーんで
暗いも平気だっ……(こくこくこくこく
ねっ、小太刀!(ぶん、と花火向けかけ
はうっ!(慌てて元に戻し
アキ?何して……あっ(上がる花火に)
夜空の花に見を輝かせ
あれ、パラシュート?
すごい、タンポポの種みたい
落ちるの取ろうと手を広げて
木元・祭莉
【かんさつにっき】に合流ー。
やほー♪(いつもの作務衣に下駄履き からんころん)
ゴメン、遅れたー。
まつりはおいらにお任せ!(胸張り)
お小遣い握り締めて屋台巡り。悩んでリンゴ飴ゲット!
あーアンちゃん、そんなにホイホイ……ほら持てなくなってる。
持っててあげるから……え、ひよこ?(雌鶏は苦手)
ん、暗かったのに頑張ったんだね。(よしよし)
真琴も偉いなあ、ハイ、ご褒美♪
幼馴染のコダちゃんと、ロケット花火ー。
昔、おぉっと手が滑ったー!ってやったねー♪
どっちが遠くまで届くか、競争しよ?
あ、よそ見注意ー!
アキちゃんの打ち上げ花火に拍手ー♪
スゴイね、ふわふわだね!
わー、なんかいっぱい降ってきた。花火のはなびらだ!
駒鳥・了
【かんさつにっき】の5人で!
祭莉くんこっちだよーと手を振り合図
お土産の(梟の)羽根いる?
詳細は杏ちゃんに聞いてね!
杏ちゃんは食べ物より先にひよこ?
よーし、誰が取れるか競争だ!(腕捲り
さーてもふひよさんも一緒に花火楽しもっか!
ポテト棒をもぐもぐしながら皆が屋台で吟味している隙に
こっそり仕入れっと
皆がロケット花火で遊んでる間に打ち上げ花火を幾つか作る!
色はもうめっちゃランダム!そしてパラシュート仕込み!
一直線に並べて設置する頃にみんなの勝負も終わるかな?
点火式!かーぎやー!
いっぱい作って奪取ゲームしてもいいけど
今日はこのまま眺めてよっかー
最後は琶咲ちゃんの手持ち花火でしっとりかな。
アドリブ歓迎!
鈍・小太刀
【かんさつにっき】
あ、祭莉ん…べ、別に待ってなんかなかったし(無駄にツンデレ
駄洒落の先を越されたからって悔しくなんかないんだからねっ!(無駄に対抗意識
屋台巡りも勿論満喫
ふふふ、輪投げなら任せなさい
弓で鍛えたスナイパー技能を見せてあげるわ!
無駄に負けず嫌いを発揮しつつ
もふもふさんゲットしたら杏やアキときゃっきゃして喜んだり
ロケット花火の打ち合いは浪漫ね!(でも祖父母な真琴の人形に×印を付けられ
危険だからダメ?仕方ないなぁ
代わりに競走かぁ…その勝負、乗った!(超楽しそう
そうだね杏も頑張…わぁ!?ほら、余所見しないのっ!(笑
アキの花火、何か落ちてくる?…パラシュートだ!
ふふふ、楽しい夏の始まりだね♪
琶咲・真琴
【かんさつにっき】
わぁっ!屋台も花火もすごいですね
大賑わいですっ
まつりん兄さんっ!
大丈夫です、今から回るところでしたよ
手作り花火っ
いいなぁ、ボクもやってみたい
お祖父ちゃん、お祖母ちゃん
やってもいい?(2体で大きな〇
やった、ありがとうっ!
アキさんはロケット花火なので
ボクは手持ち花火を
五色花や線香花火とか、できるかな?
色は綺麗さを重視
オーロラ花火は派手にっ!
姉さんが楽しそうで何よりです(競争や輪投げでもふもふゲットしてキャッキャしてたりする様子を見ながら
杏姉さんはリンゴ飴ありがとうです
お返しに手作りの手持ち花火ですよ
暗いところもピカピカも
お母さんの雷に比べたら怖くないのです……(遠い目
アドリブ歓迎
「おっ。祭莉くんこっちだよー」
最初に気づいたのは了だった。片手をあげてぶんぶんと手を振り合図をすると、
「やほー♪ ゴメン、遅れたー」
いつもの作務衣に下駄を履き。からころ音を響かせて【かんさつにっき】の仲間の元へやってきた、木元・祭莉(祭莉・f16554)はひらひらと手を振った。
「まつりん!」
「やあやあ待たせたね♪ まつりはおいらにお任せ!」
双子の兄の登場に、杏が駆け寄り飛びついた。顔を見られてほっとした。そんな様子で杏は祭莉に駆け寄って嬉しそうな顔をする。
「あ、祭莉ん……べ、別に待ってなんかなかったし」
小太刀も思わず手を挙げて、ぶんと手を振ろうとして。すんでのところで気づいてあわてて手を引っ込めた。
「……駄洒落の先を越されたからって悔しくなんかないんだからねっ!」
「え? 駄洒落? なんのこと?」
「……!」
「うそうそ、ごめんねコダちゃ~ん」
「べ、別に悔しくなんてないっていってるでしょっ!」
「そうそう、大丈夫です、今から回るところでしたよ、まつりん兄さんっ!」
なんだかでれでれしているのかつんつんしているのかわからない小太刀にかわって、真琴も嬉しそうな顔で祭莉を出迎える。結構な人ごみだったから、出会えたことだけでもなんだか嬉しかったのだ。ふふん、と了が腰に手を宛てて得意げである。
「ね、無事合流できるなんてオレちゃんたちやっぱりついてるね。あ、祭莉くんお土産の(梟の)羽根いる?」
割と綺麗目ででかいところのが取れたから。なんて笑顔で羽を差し出す了。
「もらうもらうー……羽根?」
何でも貰うけど、なんで羽根? なんて首をかしげる祭莉。
「詳細は杏ちゃんに聞いてね!」
「……だ、大丈夫。怖いことはしてないの……大丈夫」
一瞬。祭莉がざんこくなそうぞうをしたのに気づいて杏はふるふると首を横に振った。
「わぁっ! 屋台も花火もすごいですね。大賑わいですっ」
そして。
賑やかな通りを歩けば、はじける花火に立ち並ぶ屋台と、目移りしそうなものがいっぱいあって。真琴が歓声をあげる。
「走ったらだめ、はぐれるわよ」
「はーい」
返事だけはいいが、果たして聞えているのだろうか。興味深そうにあっちの露店、こっちの露店に首を突っ込んでいく真琴を、小太刀が「話を聞きなさいよ」なんて口ではぶつぶつ言いながら、温かい目で見守っている。
「あはははは、だいじょぶだいじょぶ、オレちゃんもちゃーんと見てるし」
「そう? アキもすぐいなくなるから、あてにならないわよ?」
「あ、ばれた?」
小太刀の言葉に、了は頭を掻く。こっそり仕入れ。とはいえ小太刀もどこに行ってるかは気付いていないようだった。にしし、と笑う了に、小太刀は肩をすくめる。
「いか焼きにさざえに……」
「お小遣いお小遣い。ど~れ~に~し~……リンゴ飴ゲット!」
一方杏は真剣な顔で、露天を一つずつ見て。気になるものを買って、買って、していた。隣で祭莉が悩んだ末にリンゴ飴を購入しているのを見ると、
「まつりんはりんご飴? なら真琴の分も
……。……あ、」
「あーアンちゃん、そんなにホイホイ……ほら持てなくなってる」
「うん、でも、全部欲しかったから……」
「そっかー。じゃ、半分かしてね♪」
持っててあげる、という祭莉に、杏も嬉しそうに頷いて少し食べ物を預ける。それから、
「わ、ボクにも? いいんですか?」
「ん、洞窟でしっかりさんだったごぼうび」
杏がリンゴ飴を差し出すと、真琴はとても嬉しそうにそれを受け取った。
「コダちゃんもいる~?」
「こ、子ども扱いしないで。……いらないわけじゃ、ないけれど」
「はーい。じゃあコダちゃんにはおいらからっ」
「……一応、貰っておいてあげるわ。……ありがと」
祭莉が差し出したリンゴ飴を、むむぅ、と若干照れたように口の中でごにょごにょ言いながらもあっさり小太刀が受け取る。
「って、アキは?」
「ふ……。このオレちゃんを呼んだかなー?」
「わっ。アキ、どこに行ってたの?」
「それは聞かないお~約束~」
ひょっこり顔を出した了は、ポテト棒をもぐもぐしてた。
「……アキさん、ポテト……」
「あははっ。食べる?」
真琴の言葉に笑って了がポテトを差し出した……ところで、
「小太刀、アキ、輪投げ……」
ふ、と。杏が屋台のひとつに目をやって、それから硬直して動かなくなった。
「……え、ひよこ?」
今まで笑顔だった祭莉が硬直する。雌鶏は苦手なのだ。だからこそ杏も祭莉の名を呼ばなかったのかもしれない。杏はこくりと頷いた。
「丸いもふもふひよこがわたし見てるの」
取らねば、と指をさしたのは輪投げコーナー。
ふわふわもこもこのひよこのぬいぐるみがそちらを見ていた。
「おおー。杏ちゃんは食べ物より先にひよこ?」
買うだけ買って食べずに屋台を覗き込んでいる杏に、了は腕まくりをする。
「よーし、誰が取れるか競争だ! ほら祭莉くんこれ持って」
「え?」
よいしょ、とポテトを預けられて、祭莉は瞬きをする。
「ん、輪投げやる?」
「いや……」
鶏系に祭莉は引き気味だ。
「じゃあ、いいでしょ。ふふふ、輪投げなら任せなさい。弓で鍛えたスナイパー技能を見せてあげるわ!」
小太刀もひとまずリンゴ飴を預けて、ふふん、と得意げな顔をした。無駄に負けず嫌い精神を発揮している。
「姉さん、頑張ってください~」
「うん、まっかせてー!」
「よーし。じゃあ二つあるから両方ゲットしようー! 姉妹かな。兄弟かなー」
了も張り切ってそういって、お金を払って輪投げを手に取る。
「てやー!!」
「それ!!」
「わ、入った、入った……!」
「姉さんも、アキさんも流石です。姉さんが楽しそうで何よりです」
見事入ってゲットして。
きゃっきゃきゃっきゃとはしゃぐ彼ら。
「アンちゃんアンちゃん。でもそれ鶏。鶏……」
祭莉が若干離れたところで色々な意味でしょぼくれていたのだが、しばし気付いてくれる人はおらずに……、
「まつりん、まつりん」
一頻り四人のもふもふ感が落ち着いたところで、両手にもふもふを抱えた杏が声をかけた。
「さーてもふひよさんも一緒に花火楽しもっか!」
了がご機嫌に声を上げている。それで祭莉も我に返った。
「花火……!」
気付けば周囲に人影もまばらで、ここなら花火を上げることができるだろう。
「そう! みんなが屋台に夢中だった間に作ったんだ! ほれ! ほれ! ほれ!!」
隙を見て準備していた了が、声に合わせてぽいぽいぽいと打ち上げ花火を取り出しては地面に、取り出しては地面にセットしていく。小太刀がそれを覗き込んで、
「ちょっと待って。ロケット花火……その打ち合いは浪漫ね! まさに炎と炎。めくるめく光と色の戦いのはてに手にするものは……」
「姉さん、姉さん」
ちょいちょい。と、真琴が木立の服を引っ張る。小太刀が振り返ると、お祖父ちゃんとお祖母ちゃん人形が二人で両手を使ってバッテンを作り出していた。
「危険だからダメ? 仕方ないなぁ」
「でも手作り花火、いいなぁ、ボクもやってみたい。……やってもいい?」
むぅ、と頬を膨らませる小太刀。一方真琴の問いには、人形たちは二人で大きな丸を作って、
「やった、ありがとうっ!」
嬉しそうにはしゃぐ真琴に、祭莉がにやりと笑って小太刀に声をかけた。
「昔、おぉっと手が滑ったー! ってやったねー♪ どっちが遠くまで届くか、競争しよ?」
「代わりに競走かぁ……その勝負、乗った!」
二人して各自、自分の花火を手早く作り出すことにする。
「初めてのロケット花火……! アキの、火、つけていい?」
盛り上がる小太刀たちの隣で、わくわくと杏はマイペースに火の準備。
「勿論勿論。琶咲ちゃんもねー!」
「うん」
別の花火を作っている真琴にも、了が声をかけると真琴はこっくり頷いた。了が最後の仕込を完了させているころには、小太刀たちの花火作りも終わっていて、
「よーし。じゃあ先ずはロケット花火から、いっくよー!」
「おー!」
了の掛け声と共に、いっせいにロケット花火に火がついた。
「点火式! かーぎやー!」
色とりどりの花火がいっせいにあがっていく。了が声を上げると同時に爆発する。みんな花火自体はオーソドックスな花火だけれども、色は五色。きらきら輝く花たちが、いっせいに夏の空を彩った。
「おお!! これはおいらの方が高いみたいだね♪」
「何をいっているの。私のは……二段階式よ! まだ登るわ!」
「な、なんだってー!」
「ふっ。甘く見たわね!」
小太刀と祭莉がはしゃいでいる。そこからそこから、
「かーらーの!!」
了の掛け声と共に、いっせいに花火に仕込まれていたパラシュートが花開いた。杏と小太刀が目を見開く。
「あれ、パラシュート?」
「アキの花火、何か落ちてくる? ……パラシュートだ!」
「わー、なんかいっぱい降ってきた。花火のはなびらだ! スゴイね、ふわふわだね!」
祭莉もそういって、「アキちゃんの打ち上げ花火に拍手ー♪」なんていうと、了も嬉しそうに軽く鼻の頭をかいた。
「いっぱい作って奪取ゲームしてもいいけど、今日はこのまま眺めてよっかー」
なんて。嬉しそうに言って。
花が夜の空に散って、そして消えていく。
「すごい、タンポポの種みたい」
パラシュートもふわふわと、どこかに落ちていく。そっと手を伸ばすとふんわりと。パラシュートのひとつは杏の手の中に落ちてきた。
「最後は琶咲ちゃんの手持ち花火でしっとりかな?」
それで。了が振り返ると。
手持ち花火を抱えた真琴が、うん、って、頷いた。
「杏姉さんはリンゴ飴ありがとうです。お返しに……って言っても、みんなに、あるんですけど、手作りの手持ち花火ですよ」
五色花も線香花火も。
色々詰め込んだ手持ち花火は、真琴が丁寧に、丁寧に、綺麗さを重視した花火となった。いやオーロラ花火は派手さを重視したけれども、基本どれも作り手の正確がよくあらわれてしっかりしている。
それを五人で火をつけて囲むと、なんだかしっとりした気持ちになった。
となるとはなすのは今日のこと。
「あのねまつりん。クラゲがきれいで、フクロウな人が扉からぱーんで。暗いも平気だっ……」
杏が一生懸命、一生懸命。今日の話をすると、
「ん、暗かったのに頑張ったんだね」
って、撫でられるとうれしい。杏もうんうん、って頷いて、
「ねっ、小太刀!」
ぶん、と花火を持ったまま振り返ったので、
「そうだね杏も頑張……わぁ!? ほら、余所見しないのっ!」
「はうっ!」
花火が走って、思わず小太刀が飛びのいた。
「あはは、よそ見注意ー!」
怪我がないことを確認して、祭莉もそう言って笑う。それから、
「真琴も偉いなあ、ハイ、ご褒美♪」
頑張ったねえ。なんて。祭莉が真琴の頭をなでると、真琴は嬉しそうにしながらも……、
「暗いところもピカピカも、お母さんの雷に比べたら怖くないのです……」
若干遠くを見るような目をするので、了が思わず吹き出した。
「あはははははははは。そうか雷かー」
「アキさん、笑いすぎですよ~」
笑う了に焦る真琴。そんな彼らの様子を見て、
「ふふふ、楽しい夏の始まりだね♪」
小太刀も嬉しそうに笑う。
手持ち花火がぱちぱちと、音を立てて輝いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
壥・灰色
いと(f00433)と
スイカたべる
久しぶりだなあスイカ。夏だって気になる
あと屋台も美味しいものが沢山ありそうだなあ
焼きそばとかあるかな、アルダワならではの軽食とかも食べてみたい
あるもの出されるものは何でも美味しく頂くよ
およそ好き嫌いなんて一つもないからさ
……いと、そんな引っ張らないでってば
ちゃんと見てるって、食べながらだけど
花より団子なんだよ、おれは
一緒にやりたいと言われると一先ず食べ物をその辺のベンチに置いて
二人で線香花火を見下ろしてみたりなんかする
派手に打ち上げるのは綺麗でいいけど、実はこういうささやかな花火の方が好きなんだ
普段、自分のやってることが派手なぶんの反動かな
またやろうね、花火
赫・絲
かいちゃん(f00067)と!
見て見てかいちゃん、すごいよきれーだよ!夏だよ!
打ち上がる花火に目をキラキラ
いとはさっき散々遊……、いや、仕事で使ったし、今度は小さい手持ち花火にしよっかなー
七色の手持ち花火にご満悦
ほら見て!上手にできたよかいちゃん!
って……ちょっと、かいちゃん見てる?ていうかさっきから屋台に夢中すぎでしょ、ねえ
スイカを奪い取って食べ膨れ顔
折角だから一緒にやろうよー
一人でやるより二人のが楽しいじゃんかー
応じてくれたなら作ったうちの一本を
あはは、確かにそうかもー
いとも好きだよ、線香花火
いつか消えるってわかってても、少しでも長くって
そう思う時間が、格別な気がして
うん!またやろ!
ぽんぽんぽん。だったり。
どんどんどん。だったり。
はたまた別の音だったり。
今日というよりは、せわしなくて。
「見て見てかいちゃん、すごいよきれーだよ! 夏だよ!」
あがっては消え、あがっては消えてしていく花火を指差しながら、絲は目をきらきらとさせていた。
「すごいすごい。いろんなのがある。色も、音も!」
「そうだな。なんだかにぎやかで、見ているだけで楽しいな」
「うんっ」
「いとも、おおきなのするか?」
「いとはさっき散々遊……、いや、仕事で使ったし、今度は小さい手持ち花火にしよっかなー」
ふふんふん。と鼻歌交じりである。貰ってきた入れ物に先ほど散々遊び倒した石を、うまいこと砕いた粉をさらさらと入れて。どんな色にしようか。あんな色にしようかと作り上げていく。
絲の様子に灰色は笑う。そんな灰色に絲は、
「かいちゃんは? どうするのかな?」
七色にするの。と。くるくるさらさら。七色分、粉末状になった石のかけらを手持ち花火用のつつに入れながら、絲が尋ねると、
「おれ? おれはスイカたべるかなって」
なんてあっさり言ったりして。
「スイカ??」
「そ。久しぶりだなあスイカ。夏だって気になる。ちょっといってくる」
「あ。え。かいちゃん??」
思い立ったら吉日だ。さっと顔を上げて灰色は屋台のほうへ。絲があわてて花火を持ったままそれを追いかけた。
スイカ売りは少ないけれどもないわけではなくて、探しながらあれこれ屋台を覗き込んだりも、していて。
「あー。屋台、美味しいものが沢山あるなあ。焼きそばとかあるかな、アルダワならではの軽食とかも食べてみたい……」
「かいちゃん、ねえ、かいちゃんの花火は?」
「お。兄ちゃん。ねじカステラ買ってかないかい?」
「買う」
出されるものは何でも買う。凡そ好き嫌いなぞないのだ。
そうやって手を出すと、自然と灰色の周囲にはあれを食べればこれがお勧め、なんて声が掛かってくることになる。
「お。歯車せんべい。それも美味しそうだな。ひとつもらおう」
「かいちゃん」
「ん? 線香花火型飴細工? うん、もちろんそれももらう」
「かいちゃんー」
「あ。あそこに……」
「……ちょっと、かいちゃんきいてる? ていうかさっきから屋台に夢中すぎでしょ、ねえ」
ついに絲は灰色からスイカを奪い取った。むしゃむしゃむしゃ!!! と種ごと食べ尽くすと、口の中でもぐもぐしつつじと目で灰色を見つめる。
「もー。ほら見て! 上手にできたんだよ、かいちゃん!」
「わっ。と、と。……いと、そんな引っ張らないでってば。ちゃんと聞いてるって、見てるって、食べながらだけど」
しかし灰色もなれたものだ。スイカがなくなればカステラを食べればいいじゃない。的な顔でねじカステラをほおばっている!
「もー。折角だから一緒にやろうよー。一人でやるより二人のが楽しいじゃんかー」
ねえねえ。と絲が灰色を引っ張るので、灰色はせんべいをいただきながら、
「花より団子なんだよ、おれは」
なんていっていたのだが、むくれる絲にとりあえずひとまず食べ物をその辺のベンチに置くことにした。
「んじゃ、でもまあ。せっかくここまで来たんだし」
「そうだよー。花火やってかないと、勿体無いよー。ほら、いとの作ったの、半分あげるよ」
「ん。さんきゅ」
ひとつずつ。二人は花火を手にとって火をつけた。
輝きだしたそれは線香花火であった、
ささやかな光であるが、それは絲が言ったとおり七色で。ぱちぱちと燃えながら、その色を徐々に変化させていく。
「派手に打ち上げるのは綺麗でいいけど、実はこういうささやかな花火の方が好きなんだ。……普段、自分のやってることが派手なぶんの反動かな」
灰色の言葉に、絲はぱちりと瞬きをする。
「あはは、確かにそうかもー。いとも好きだよ、線香花火」
ぱちぱちと、静かに燃える花火を絲は見つめる。……たぶん、同じようなことを思っていたから。絲も線香花火を作ったのだろう。
遠くでは、大きな音の花火も上がっているけれど。それよりもこの花火のほうが、なんとなく、自分の中では強く思い出に残る気がしたのだ。
「いつか消えるってわかってても、少しでも長くって。……そう思う時間が、格別な気がして……」
いっている間にも、だんだんと、だんだんと、花火は終わりに近付いていく。
長めに作ったとしても、それはやっぱり線香花火で。いつか最後のほうになったら。ぽとっとひとつ。火を落として終わるのだ。
「またやろうね、花火」
だから。終わったときに、灰色がそう言った。ささやかな時間。今日の花火はもうおしまい。……それでも、いいのだ。また、次があるから。
「……うん! またやろ!」
そんな気持ちが通じたのか。絲も嬉しそうに笑い。灰色はそう、と、ほっとしたように頷いた。そして、
「……じゃ、再開。食い倒れだな」
「え。ええ???」
なんだと? なんて顔をする絲に、にやりと笑って灰色はせんべいを取り出す。そして半分こだ、って絲のほうに差し出すのであった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG。
「SPD」
ぼくはせっかくだから、さっき見たようなはじける石…ねずみ花火
作ってみるよ!
りゅかさんがいたらさそってみようかな?
しゅわしゅわするらしいのみもの…らむねも、よういしておくよ!
おもてなしの心は大事っておじ上もいってたしね、うん(えへん!
りゅかさんがきてくれたら何色がすきか聞いて、その色の花火もつくって
みたいなぁ
え、ぼくのすきな色…?あの方によくにあってたふじ色が一ばんすき!
火をつけたら、花火とおいかけっこ…きけんだから、だめ?
たのしそうだし、少しだけ…はーい、がまんするね
それにしても、ふよふよくらげふにふにでもっとさわりたかったなぁ
華やかな音がしている。
小さな景雪には、行きかう人々の背は少し高くて。
見えにくい花火を人と人の隙間から眺めながら、のんびりと歩いていた。
「あっ」
「ん?」
ふと。
すれ違った青色に景雪は振り返る。
「りゅかさん!」
「ああ、景雪さん。こんばんは。……花火、これから?」
花火を作る材料を、両手に景雪が持っていたので。リュカがそう声をかけると、景雪も嬉しそうに笑った。
「そう。そう。ぼくはせっかくだから、さっき見たようなはじける石……ねずみ花火を作ってみるよ!」
どう? って。って花火道具を振っている。それは楽しみだな……って、リュカが言った、ところで、
「あっ」
「ん?」
とたたたたーっと景雪は走り出した。屋台のひとつに駆け込んで、買い物をして、戻ってくる。
「しゅわしゅわするらしいのみもの……らむねも、よういしているよ!」
「くれるの?」
「そうっ。おもてなしの心は大事っておじ上もいってたしね、うん」
はい、とラムネを差し出す、得意げな景雪の言葉に、リュカはそっと微笑んで、
「でも、それじゃああなたの分がないから……ちょっと待っていて」
同じものを、もうひとつ。屋台で買ってきて。
「じゃあ、これは俺からのおもてなしの心ね」
「わー」
二人して笑い合う。ラムネを一口でとりあえず一服して、
「しゅわしゅわする」
「本当にね。不思議だ……」
「あ。ぼくがどんってしようと思ってた花火も、ちょっとふしぎなんだよ」
「……へえ?」
「うん。こんな……」
えいや、とラムネを片隅において、景雪は箱を取り出しながら。こんな、と片手で表現する。
「ねずみはなびってやつなんだよっ。りゅかさんは、何色がすき?」
「赤とかオレンジだと……射撃の的にしやすくて好きかな」
「まと? 確かに、戦のことをかんがえるのも、だいじ……なのかな?」
そういうこともあるかもしれないと、若干首をかしげながら景雪が言うと、流石にリュカも花火にするには殺伐とした回答過ぎたのに気がついて、
「じゃあ、景雪さんは?」
「え、ぼくのすきな色……? あの方によくにあってたふじ色が一ばんすき!」
「じゃあ、その色にしよう。折角だから」
「ん……わかったっ」
「ところで、ねずみ花火って、どんなの?」
名前だけは聞いた。なんて言う言葉を景雪は聞いて、
「えーっと、ねずみはなびはね……」
結構、とても、頑張って。説明するのであった。
喋りながら装甲している間にも、花火が完成していく。
「……と、いうわけなんだよっ」
「成る程……」
わかるようなわからないような。って顔をリュカがしていたので、
「とにかく、やってみればわかるよね。それー」
点火。
えいや、と景雪は花火に火をつけた。
しゅばばばば、と足元の花火がはじけて、回転して、走り出していく。
「わ」
「これが、ねずみはなび、だよ」
景雪は嬉しそうに笑って説明した。
花火はぐるぐると足元で回り、そしてそのうち移動を始めていく。
「花火とおいかけっこ……きけんだから、だめ?」
「え……。どう、なんだろう」
「たのしそうだし、少しだけ……はーい、がまんするね」
「……危なくないぐらいはなれたら、大丈夫だと、思うけど……」
「わ、ほんと?」
「うん。気をつけてね」
ラムネを掴んで再びしゅるしゅると追いかける。
「それにしても、ふよふよくらげふにふにでもっとさわりたかったなぁ」
「……痺れても?」
「う。そこは……なんとかしたいよね」
難しい顔をする景雪に、リュカが笑う。藤色のねずみ花火が、ぱちんと優しい音を立ててはじけた、
大成功
🔵🔵🔵
ザザ・クライスト
【ラボ】で参加
花火作りは任せてオレは荷物番
といっても祭りを楽しむ気で浴衣姿のオレ様だったりする
作った花火はなかなかバリエーションに富んだイイアイデアだぜ
「フラウ・青葉、俺にはタコ焼きを頼む」
ラムネよりビールが欲しいが、まァ悪くはねェよな
準備が整ったら預かって頃合いを見て順次着火して打ち上げる
「鍵屋ァー!」
返してヘル・幽暮に笑み
「フラウ・久篠、あまりはしゃぐとラムネをこぼすぜ?」
おしとやかかは疑問だが、三人ともなんだかんだで楽しんでる空気が伝わってくる
こういう平和がいつまでも続いて欲しィモンだぜ
ラムネを軽く掲げてヘル・幽暮とも乾杯だ
「所長たちも浴衣を着てくりゃ良かったのによォ」
それだけが残念だ
秋吉・シェスカ
【ラボ】で参加
7月、今年も夏がやってきたわね…
普段研究所に引き篭もっているけど、こういうイベントに興味がないわけじゃないし
今回はクリエイティブに打ち上げ花火を作りましょう
まずは「STlabo」の文字のロゴ花火
それからオーソドックスに花柄とか・・・
後は猫の顔とかもいいわね
ええ、色々やっちゃいましょう
リジェリ、もっとカラフルにしてみても良いと思うわ
颯夏が調達してくれた食べ物飲み物を手に準備万端
花火の着火は男子の役目とザザ・半月に任せ、少し離れて合図を送る
「3・2・1…fire!」
ラムネの炭酸を味わいながら
ラボのロゴや変な顔の猫の花火を見て
結構かわいく出来たわねとちょっとズレた感想を抱く
アドリブ歓迎
久篠・リジェリ
【ラボ】で参加
花火を作る…すごいわ、職人ね!
打ち上げ花火を作るわ、色とりどりの花火がみたいわね
教わりながら作るわ
カラフル盛りね?
そう、私は今日花火職人になったのだわ!
打ち上げはザザと半月がやってくれるみたい
颯夏にならって私も屋台で買いだししたいわ
ラムネおいしそう
花火を楽しむ準備も完了したらいよいよね
ラボの名前はシェスカね、すごい文字に見えるわ
♪楽し気になれるわ、颯夏作ね!
あ、あれは私のかしら!色が途中で変わる花火ね!
あっ可愛い猫もいるわ!
はっ…
はしゃぎすぎた気がしておしとやかにラムネを飲んだりするわ
ふふふ、微笑みを浮かべつつ花火を楽しむのよ
ラムネを決めながら花火よ
半月、おいしそうに飲むわね…!
青葉・颯夏
【ラボ】
いつもは見るだけだし、せっかくだから打ち上げ花火を作ってみませんか?
あたしは音符のかたちを作ってみたい
色とりどりの石で、できる限りたくさんの♪と
水の泡がはじけるような音を詰め込んで
できあがったらクライストさんと幽暮さんに預けて
屋台で食べ物や飲み物を調達
リクエストされたラムネとたこ焼きは必須ね
戻ってきたら買ってきたものをみんなで分けて鑑賞会
ふふ、こういうところにも性格が出ますね
……友人から聞いていた幽暮さんの飲食スタイルは気になるわ
幽暮・半月
【ラボ】で参加
花火か、ドンパン盛り上がりたい(表面つやつや
何を作ろうか……うーむ、よし、万華鏡風の何かを作ろう(幾何学的風に並べただけ花火
ザザと着火も担当するぞ、俺のスタイリッシュ着火を見るが良い(タールを伸ばして火をつけ、バウンドボディで安全位置まで戻る
たーまやー、であってるか?(腕振るみたいにタールみょんみょーん
鑑賞会の時はラムネをもらおう。体にくぼみを作ってそこに流し込むのが俺の飲食スタイルだ(ざばざばきゅっぷい
花火は各々の趣味が出ていて実に良いな、これが手作りの良さだ
「7月、今年も夏がやってきたわね……」
普段はは【ラボ】……研究所に引き篭もっているけど、こういうイベントに興味がないわけじゃない。
秋吉・シェスカ(バビロンを探して・f09634)たちはそう。そういうことでこのお祭り区画に乗り込んだのだ。
「いつもは見るだけだし、せっかくだから打ち上げ花火を作ってみませんか? あちらで作り方を教えてくれるみたいです」
賑やかな学園の景色。どうやら今日は花火を自分で作ることができるらしいと、声を上げたのは青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)であった。
「折角だから。皆さんといろんな花火を作ってみたいわ」
「なるほど。ならば今回はクリエイティブに打ち上げ花火を作りましょう」
颯夏の申し出に、きり。とシェスカが頷いて、
「花火を作る……すごいわ、職人ね!」
久篠・リジェリ(終わりの始まり・f03984)がきらきら、目を輝かせながらそう言った。両手を胸の前に組んで、とっても嬉しそうである。
「うんうん。花火か、ドンパン盛り上がりたい」
その話を聞いて、幽暮・半月(一葉・f00901)が体の表面をつやつやしてうねる。
「何を作ろうか……うーむ」
どうするどうする。と体をひねる。それでは移動しようか、と。歩き出す一同に、
「フラウ・青葉、俺にはタコ焼きを頼む」
浴衣姿のザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)がそう、声をかけるのであった。彼は荷物番である。
「はいはい」
返事をしてから、四人は花火作りへと急いだ。
「そうね。そうよね。せっかくだから、打ち上げ花火を作るわ。色とりどりの花火がみたいわね……」
花火作りはそれほど難しいものではないが、折角だから丁寧に教わりながら作りたい、というのはリジェリの言葉で。
学園の人に教えてもらいながら、丁寧に、丁寧に。層を盛り上げるように、リジェリは花火を作っていく。
「ええ、色々やっちゃいましょう。リジェリ、もっとカラフルにしてみても良いと思うわ」
シェスカのアドバイスも割と真剣であった。規定の花火の箱に、様々な砕いたすなのようなものを入れることで花火を作っていくのだが、
大雑把にするなら簡単だ。
だけれどもシェスカの場合はそうも行かない。
「『S』『T』『l』……だめね、少しでも乱れたら美しくなくなるから……」
まずは「STlabo」のロゴを作りたかったのだ。シェスカの顔は真剣そのものである。その後にはオーソドックスに花柄を添えたい。
「出来たら……猫も……。猫の顔とかもいいわね……」
ならば、やるしかないのだ。と。なんだかいっている間にやる気になって真剣に花火作りにいそしむシェスカ。むちゃくちゃ集中して没入体勢に入っていた。その横で、
「なるほどなるほど、カラフル盛りね? そう、私は今日花火職人になったのだわ!」
リジェリもめっちゃやる気を出していた。
「あの、とりあえず今ある全色を詰め込むのはどうしたらいいのかな……!」
「い、今ある全色ですか
……!?」
教えてる人がびっくりしていた。
「色……たくさんありそうね」
その言葉だけで、察せられるものがある。颯夏はそんなやり取りを隣で聞きながら、ひとつ、ひとつ。丁寧には子の中に粉を詰め込んでいく。
「ひとつでいいわ……。ひとつの花火から、いっぱい飛び出すのがいい」
颯夏の創造するのは、たくさんの音符の形だ。色とりどりの石を詰めて、打ち上げると同時にいっぱい音符を舞わせるのだ。
そこまでやるなら、勿論音にも拘りたい。いくつもいくつも、後ろで上がっている花火の音を聞いて、自分のイメージにあうのがあれば、すかさずこれと同じ音で。なんて頼んでいく。
きっと綺麗な局のような花火になるだろう。
真剣に黙々と続ける颯夏。そんな彼らの様子を見守って、んー。っと半月は三色信号機をぐるぐる回すのであった。
「よし、万華鏡風の何かを作ろう」
ものすごく創造的なものよりも、単純に幾何学的風に並べただけ花火だが、しっかりとしたものを作りたい…………と、思ったかどうかは不明ではあるのだが。
決めたら半月の動きも速かった。
「では、この色とこの色と……。ああ。難しい形にはしない。だから……」
腕だけぐにぐに動かして、しゅばばばば、と花火を作っていく半月。
「う……。粉がたくさん……。重い……。けれど、挫けてもいられないわ。私は、前に進むんだから」
「リジェリ……。それ、持っていけるの……?」
その隣で、あまりにも大きな箱に粉を全色詰めようとしているリジェリに、思わず、颯夏が声をかけるのであった。
そして。
「ええと。食べ物に飲み物に……。忘れ物はないわね。お待たせ」
ザザがとっている場所に一同は戻る。花火を運んで買出しに行った颯夏とリジェリが戻ってくると、
「おかえり。大丈夫よ、今丁度運び終わったところ」
「うん、がんばったよ~」
シェスカがそういって、リジェリも達成感溢れる顔で笑っている。
「んじゃ、火、つけるか~」
「ああ。ザザと着火も担当するぞ、俺のスタイリッシュ着火を見るが良い」
ザザの言葉に、半月もやる気満々だ。料理と飲み物が全員に渡ったところで、
「そうね。着火は男子に任せるわ」
そういってシェスカたち女子組みは数歩下がった。とはいえ……、
「3・2・1……fire!」
合図をするのはやはりここはシェスカの役目であった。充分に距離をとり、声を上げるシェスカ。それを合図に、ザザと半月は各々花火に火をつける。ザザは走って戻り、そして、
「そーれー!」
半月はバウンドボディでにょろろろろろん。と妙に素早い動きで後退した。
導火線に火がつく。それが花火まで到達するのは一瞬のことである。
固唾を飲んで、というほどではないが、なんとなく沈黙して一同は行方を見守る。そして、
どんっ。という花火が打ち出される音。
そしてひゅるるるる~。っと火の玉が上がっていき……、
どぉん。と音を立てて最初に開いたのは、半月の花火であった。
「たーまやー」
半月がにょろんとタールを動かして腕のように天へと掲げながら声を上げる。美しい幾何学模様の花火は、きちっと計算された美しさがやはりあって、それだけで素敵な絵を夜空に描き出す。
「であってるか?」
「ああ。鍵屋ァー!」
応えるように、ザザも負けじと声を張り上げた。その次の瞬間、
カッ!
「きゃ……っ」
ものすごい光と音と共に、ものすごい大きな花火が上がった。その眩しさに思わず颯夏が声を上げる。
とても大きい花火は、かたち事態はオーソドックスな丸いものだった。しかし色がすごかった。ひと粒ひと粒が違う色。しかも撃ちあがったときと、しばらくたったときで花火の色が変わっていく。
「あ、あれは私のかしら! 色が途中で変わる花火ね!」
はしゃいで声を上げたリジェリは、ぶんぶんと手にしていたラムネを大きく振る。
「フラウ・久篠、あまりはしゃぐとラムネをこぼすぜ?」
ラムネよりビールが欲しいが、まァ悪くはねェよな。なんて。笑いながらもザザがそう指摘すると、
「大きいのはいいことじゃない」
なんて若干ずれた感想を言いながらもシェスカも一口、ラムネを口にした。
「ええ。少し驚いたけれど、綺麗。まだ光の尾が残ってるわ」
颯夏も落ち着けば、徐々に光が散っていく花火に思わず声を上げる。それが消えていく、その直前には、
「あら」
水の泡がはじけるような音とともに、高く上がった颯夏の花火がはじけた。
色とりどりの音符が夜空に散る。特に曲をイメージしているわけではないのだけれども、その音と相まって、独特の雰囲気が感じられた。
「すごいすごい。颯夏作ね! とっても楽しげに見えるわ。かわいいし!」
「ああ。楽しさが溢れるような音もしている」
これはいい。と半月も楽しそうに言うので、
「そ……? そういう風に伝わったなら、よかったけど」
なんて。颯夏も嬉しそうに少し、微笑むのであった。
そして最後には、その後から。
高く高く登っていく花火がある。
「STlabo」の文字とともに、弾ける花柄とにゃんこ柄。
その文字を文字のように見せるには、案外苦労をしたのだ。シェスカの渾身の(?)作品だった。
「この名前はシェスカね、すごい文字に見えるわ! 大変だったんじゃない? あっ可愛い猫もいるわ!」
「そうね……」
実際のところ、文字をきっちり文字として見せるのに腐心しすぎて、若干猫は変な顔になっていたりしていたのであるが、
「でも、結構かわいく出来たわね」
なんて満足げに、やっぱりちょっとずれた感想を言うシェスカであった。
夜空から「STlabo」の文字が消えていく。
「なかなかバリエーションに富んだイイアイデアだぜ」
楽しかったなぁ。って、ザザが一口、ラムネを飲めば、
「そうね、みんな可愛かった。色々やっちゃえたし……」
炭酸も美味しいし。と。
ラムネを一口、二口、しながら、シェスカも満足げに目を細めている。
「ほんとほんと、ほんとうよ! みんな素敵で、楽しくて……」
リジェリが嬉しそうにがばっと立ち上がり、いいかけて、そして何故か「はっ……」。と言って固まった。
「……ふふ。とても素敵だったのよ」
おしとやかに。おしとやかに。なんて、いまさらながら気付いた風で。微笑を浮べるリジェリ。
「……」
それはもう、遅いのではと。
隣の颯夏は突っ込むべきか、突っ込まざるべきか。悩むような顔をしていたが、
「……ふふ、こういうところにも性格が出ますね」
結局、突っ込まないことにしたらしい。颯夏は微笑んで、ね、と隣に視線をやる。それでちょっと興味深げに半月のほうを見るのであった。
「おお、なにか?」
視線に気付いて、半月が問う。颯夏端々迷うような間のあとで、
「いえ……友人から聞いていた幽暮さんの飲食スタイルは気になるわ」
今度は聞いた。
「おお!」
成る程。と半月は言いたいことを察して、体にくぼみを作った。
「ここに流し込むのが俺の飲食スタイルだ」
ざばざばざばーっと手元にあったラムネを掴んで、半月は一気に流し込む。いい飲みっぷりである。
「半月、おいしそうに飲むわね……!」
「ああ。暑い日のこれは最高だな……! そして花火も。花火は各々の趣味が出ていて実に良いな、これが手作りの良さだ」
かんぱーい。なんてラムネを掲げる半月に、
「あいよ。こういう平和がいつまでも続いて欲しィモンだぜ」
ザザも笑って乾杯をする。それにしても……、
「所長たちも浴衣を着てくりゃ良かったのによォ」
なんて。思わずザザが言うので、シェスカはそ知らぬ顔で肩をすくめる。
「だって。どう思う? 颯夏」
「ええと……似合うと、思うわ」
「あなたも着るのよ、勿論」
「……!」
「わあ、じゃ、今度みんなで、一緒に浴衣見に行こうよー!」
リジェリが声を上げて、シェスカと颯夏は顔を見合わせる。
「うーん。それは楽しみ、楽しみだ」
半月が感情の読めない顔(?)でそういって、軽くタールを揺らした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
花火は見て楽しむものだよネ?
作るとか面倒
並んで座りゆっくり鑑賞しよう
夜空の下で火花を眺めてふと思い出し
二度目に仕事をした晩
夜に輝く花を見た
あの時僕がソヨゴも好きと言ったのは
友達としてであって
それ以上の意味はなかったんだ
内心は友達になってと言いかけていたけど
半年も経って
漸く言えた
ありがとう
暫く無言で花火を見つめる
あっソヨゴ
ちょっと目を閉じて
手で瞼に触れつつ
そっと口づけをする
すぐにやめて
でも離れずに
「いや?」
と目を見て問いかける
返事は聞かず
もう一度
問われて
少し困る
ソヨゴはいつもストレートだ
覚悟を決めるしかない
しないよ
今のは恋人のキス
顔を上げはっきり告げる
ソヨゴが好き
愛してる
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と】
アヤネさんが少し懐かしい話をする
あれは綺麗でしたね
私はあの頃から友達のつもりだったのだけれどアヤネさんは変なところで自己評価低いなぁ
私より頭がいいのに
いや頭がいいからこそ変なことまで考えてしまうのかな
と口には出さずに思う
ん?目を閉じて?
何だろう…何かのゲームかな
…そして唇に柔らかいものが当たる
?
目を開ける
目の前にアヤネさんの綺麗な顔がある
少し顔を離した彼女が何か呟く
翡翠が迫る
唇が柔らかい
…?これは…何事??
あの…さっき友達って言いましたけど
その…友達はこういうことをするものなのですか?
冷静にツッコミ入れてるけど
頭は?がいっぱい
愛してる…って
ちょ、え?ええー!!?
花火が上がっている。
各々工夫を凝らしたその花は、あまりみない形や色をしていて、見ているだけでとても面白い。
「花火は見て楽しむものだよネ? 作るとか面倒」
アヤネのそういう主張があって、アヤネと冬青の二人はのんびり川辺に腰を下ろして花火を見ている。
「あ、あんな花火がある。可愛い~」
なんて冬青が楽しそうに空を見上げていて、アヤネはふと思い出したことを口にした。
「二度目に仕事をした晩、夜に輝く花を見たよね」
「ああ……」
いわれて。冬青は花火から視線をはずしてアヤネのほうに向ける。
「あれは綺麗でしたね」
「そうそう。あの時僕がソヨゴも好きと言ったのは、友達としてであって、それ以上の意味はなかったんだ。内心は友達になってと言いかけていたけど……」
思い出しながら、思い出しながらアヤネは言う。
「半年も経って、漸く言えた。……ありがとう」
ふと、真剣に礼を言うアヤネに。冬青はおかしそうに笑った。
「私はあの頃から友達のつもりだったのだけれど……、アヤネさんは変なところで自己評価低いなぁ」
私より頭がいいのに。なんて思いながらも冬青はひらひらと手を振った。
(いや頭がいいからこそ変なことまで考えてしまうのかな)
なんて思うのは胸のうちである。あんまり口にして気にしてしまっても悪いので、そこは冬青は黙っていることにしたのだ。笑いながらぼんやりと花火に視線をまた戻す。
丸だけじゃなくて、様々な形の花火が楽しいと、冬青はのんびり花火を見ていた。
アヤネもそれ以上何もいわずに、しばらく無言で花火を見ていた。
「あっソヨゴ」
そうしてどれくらい立っただろうか。花火の形は様々で、ネタも尽きることがなさそうで。飽きることなく眺めていた冬青に、アヤネが声を上げた。
「ちょっと目を閉じて」
「ん? 目を閉じて、ですか?」
唐突にいわれた言葉に、冬青はアヤネのほうを向いて首をかしげる。
(何だろう……何かのゲームかな)
若干不思議に思ったけれども、今日はお祭りだから何かそういうものかもしれないと、いわれるままにアヤネは軽く目を閉じた。
目に何か置かれる感触がある。これはアヤネの手のひらだろうかと考えていたそのときに、
不意に唇に柔らかいものが当たって、アヤネは内心で首をかしげた。
「?」
それきりだ。
目に乗っていた手のひらが離れたので、冬青は目をあける。
目の前にはアヤネの綺麗な顔があった。
「いや?」
と、アヤネはたずねたが、冬青にはなんていっているのか解らなかった。
そしてひすいの目が冬青に迫って、唇が触れる。先ほどと同じ感触がした。
(……? これは……何事??)
わけが解らずに、呆然と冬青はアヤネを見ている。唇が離れると、冬青はむむ、と眉根を寄せながら、たずねた。
「あの……さっき友達って言いましたけど、その……友達はこういうことをするものなのですか?」
自分はしないけれども、もしかしたらそういう文化もどこかにあるのかもしれないと。
冷静に突っ込みをいれながらも、もう片方では頭の中「?」がいっぱいで。
意味が解らない。と言う顔をしている冬青に、アヤネは若干困ったような顔をしていた。
「……」
が。しばらくして。意を決したように。アヤネは首を横に振った。
「しないよ。今のは恋人のキス」
顔を上げて、冬青の目を見てしっかりと告げるアヤネ。
「ソヨゴが好き。愛してる」
「愛してる……って」
それで流石に冬青も、いわれた意味を理解する。
「ちょ、え? ええー!!?」
思わず冬青は声を上げる。二人の間に花火が上がって花が開く。
何かいわないと。冬青は真剣な顔をするアヤネに向かって、口を開いた……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鶴澤・白雪
エスパルダ(f16282)と
子供みたいにはしゃぐのね
それだけ喜んでるなら誘った甲斐があったわ
花火って素人でも作れるものなのね
芸術的なセンスは無いだろうから適当に作って遊びましょ
目指すものがないと分量とか適当でいいからある意味楽ね
何が出来るか分からないのも運試し感があってワクワクするし
(ランダム花火の判定はお任せ)
さて。出来上がってみたけどどうかしら?
花火に火をつけてうまく出来ていたら一緒にいる友人にどや!と笑って
失敗していたら花火を見て可笑しげに笑う
でもエスパルダの花火の方が綺麗だったらちょっと悔しいわ
ヤンキーのくせに、ずるい……
アイスレイピアは関係ないでしょ
だったらまた遊びに行きましょ
エスパルダ・メア
白雪(f09233)と
……すっげえ
目の前で花咲く打ち上げ花火に、思わず動きが止まる
なあ白雪、花火だ花火!見たか?
ついはしゃいじまうけど、しょうがねえ
見たかったんだ、この目でさ
勝利の祭りの最高の花だ
へえ、花火って作れんの?
いいじゃん、やろうぜ!
ゲージュツはわかんねえけど
どーんと咲いたら最高だよな
案外こういうのは嫌いじゃねえ
よっし完成!
白雪もできたか?
んじゃ、せーので着けようぜ、せーの!
ランダム花火の結果はお任せ
上手く行ったら儲けもんの大喜び
失敗したら大爆笑!
白雪のどや顔にも思わず吹き出して
最高だったぜって満面の笑み
ふふん、オレはアイスレイピアなんだぜ?
ヒトってのは――ダチと遊ぶってのはいいな
花火が上がっている。
戦場でもないのに炎が上がり、綺麗な形になって、そして落ちて消えていく。
悲鳴を上げる人はいない。それどころか歓声が聞えてきていて。
エスパルダ・メア(ラピエル・f16282)は目を丸くして、思わず動きを止めて、ぽかんとそれを見つめていた。
そして、一瞬で我にかえる。
「……すっげえ。なあ白雪、花火だ花火! 見たか?」
あれが花火。話には聞いていたけれど、見るのは初めてだった。ぶんぶんと手を振りながら隣に目を向けると、鶴澤・白雪(棘晶インフェルノ・f09233)は赤く鋭い目をほんの少し和らげた。
「子供みたいにはしゃぐのね。それだけ喜んでるなら誘った甲斐があったわ」
ふ。と口元を揺らして微笑む白雪。対するエスパルダはちょっとばかり照れたように頭をかく。子供っぽいという自覚はあった。だが、
「ついはしゃいじまうけど、しょうがねえ。見たかったんだ、この目でさ」
それでも。そうせずにはいられない美しさがこの花火にはあったと。
エスパルダは言う。言ったとたんにもうひとつ花火がはじける音がして。すぐに視線を天へと向けた。
「勝利の祭りの最高の花だ」
綺麗だと。
思わず息をついたエスパルダに、白雪もまた空へと目を向ける。そういえば、先ほどすれ違いざまに人から聞いた話を白雪は口にした。
「そういえば、ここの花火はみんな、学生たちや猟兵や……いわゆる素人が作ったものらしいわよ。花火って素人でも作れるものなのね」
だからだろうか。色や形に個性が溢れている気がする。それを聞いて、エスパルダは瞬きをひとつ。
「へえ、花火って作れんの? いいじゃん、やろうぜ! オレたちも」
「ワタシたちも?」
「ああっ」
目をきらきらさせているエスパルダ。その目があまりにも輝いていたので、白雪もふふ、と笑いながら頷いた。本当に楽しそうなのが、見ていて楽しい。
「いいわ。芸術的なセンスは無いだろうから適当に作って遊びましょ」
「ああ。ゲージュツはわかんねえけど、どーんと咲いたら最高だよな」
「あら。大きいものが好み?」
「雑でも派手で、みんなで楽しめるものがいいよ。案外こういうのは嫌いじゃねえ」
こんな感じかな、と両手を広げるエスパルダに、そんな感じなの。と白雪も少し真似して両手を広げて見せる。
「いいわ。なるべく大きなのを作れるように、頑張りましょう」
そうして共に、のんびりと受付まで。
説明はいたって簡単であった。箱の中に花火の元になる粉を入れればいいらしい。
一定の形や色、音を作りたいのであれば、多少工夫なりとも必要になってくるが、
今日の二人には必要ないので、
「目指すものがないと分量とか適当でいいからある意味楽ね。何が出来るか分からないのも運試し感があってワクワクするし」
ざらざらざらー。
ものすごく雑にいろんな色を詰め込んでいく白雪。この方が寄りランダム感がますだろう、とは彼女の弁である。
対するエスパルダはものすごく真剣である。あれを入れて、これを入れてと。ふかく考えているようには見えないのに、なんだかこだわりのあるようなことをしている。
砂場で城を作る子供みたい。とまでは白雪もいわないけれども。なんとなくあれも楽しそうだ。
「さて。出来上がってみたけどどうかしら?」
「よっし完成! お、白雪もできたか?」
そして、大体同時ぐらいに完成した二人ではある。
勿論その場で、やるよな? ってかおをエスパルダはしていたので、はいはい。って白雪も頷く。
「どんな感じに出来てるかしらね……」
「それは、つけるまでのお楽しみってやつだな。んじゃ、せーので着けようぜ、せーの!」
はいっ。なんて掛け声と共に、
二人同時に、花火に火をつけた。
ひゅうるるるる~。っというようなオーソドックスな音がしたのは、両方から。
そして一呼吸。息を飲み込むような間のあとで、
どぉん。と、重く響くような音と共に、視界いっぱいに二つの花火が広がった。
「ふふ、なかなかいいんじゃないかしら」
白雪の花火はオーソドックスな丸い花火。放射状にぱっと広がって、色とりどりの花びらを散らしていく。そのコントラストがとても綺麗だと、白雪は非常にドヤ顔であった。エスパルダの花火よりも、ちょっと大きい。
綺麗な花火。得意げに白雪はそれを見送る。エスパルダの花火も綺麗に花が散っていた。そして……、
「え」
花火が終わった、と思ったら、エスパルダの花火はそこから更にもう一度、爆発した。火の弾がひとつ、更に上へと上がる。そしてもう一度、同じような。形はオーソドックスだけれども、色とりどりな二段階花火に、
「しゃ! なあ、見たか! 見たか!! 二つに咲いたぜ! ちゃんと、高いところ!!」
エスパルダは大はしゃぎであった。何度も何度も、見たかと白雪に語りかけて、きらきらした眼でその顔を覗き込む。
「……」
「なっ」
感想待ちの子犬の瞳。
あんまりにその眼がきらきらしていたので、白雪はエスパルダの鼻先を軽く弾いた。
「あんな小細工するなんて、ヤンキーのくせに、ずるい」
「ふがっ。ふふん、オレはアイスレイピアなんだぜ?」
鼻を押さえながらもエスパルダは得意げだった。
「アイスレイピアは関係ないでしょ。だったらまた遊びに行きましょ」
「おうっ。……あ、白雪のだって、最高だったぜ」
「遅いわよ」
満面の笑みに、白雪は肩をすくめるのであった。
「ヒトってのは――ダチと遊ぶってのはいいな」
「何、そんなの、いまさらよね」
そんな会話の間にも、花火が一つ、開いて消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
都槻・綾
※リュカさんとご一緒出来たら嬉しく
ラムネで乾杯
しゅわり弾ける炭酸もまた
花火みたいで楽しい
どんな花火がお好きですか?
石によって色や咲き方が様々に違っていた事を
語る口調は穏やかなれど
輝く瞳は隠せぬままで
密やかに燥ぐ胸の裡を
あなたには見抜かれているかもしれない
私も作ってみたのですよ
点火した手持ち花火を
水を満たした丸い金魚鉢へ
ゆっくりゆっくり入れる
各種小石を組み合わせて作った花火は
炎色反応で次々と色が変わり
長く燃え続ける設計
水中で艶やかに咲く花が
やがて細かな光の軌跡となって
満天の星空のように煌いたところで
金魚鉢を差し出す
小宇宙のようでしょう?
なんて
悪戯っぽく微笑んで
まぁるい星空を
リュカさんへプレゼント
「はい、乾杯」
「えーっと、乾杯?」
綾とリュカがラムネで乾杯すると、
「……お兄さんって、お酒飲めないの?」
「いえ、飲めるか飲めないかは兎も角、こういうところではラムネもいいものですよ?」
リュカさんもいますしね。なんて微笑んで、綾もラムネを一口、釣られてリュカも一口。
「この、しゅわり弾ける炭酸もまた、花火みたいで楽しいですね」
「んー……」
「おや、炭酸は苦手ですか?」
「いや、どうしてこう、後から胃から上がって来るのかな? って。つまり……」
ものすごく曖昧な言い方だったが、少し考えて綾はああ。と頷く。
「確かに暫くしたら、なんだか炭酸が鼻先に抜けてくるような心地がしますね。それは……」
綾がしてくれる説明を、リュカはなるほど、と感心したように聞いている。
その様子は、どこか先生と生徒のようであった。
「……と、いうわけです」
「成る程……。よく、解りました」
「ところでリュカさんは、どんな花火がお好きですか?」
「どんな
……。……強そうなのとか、いざというときに使えそうなものとか? ……好きって感情で見てないから」
明らかに実戦で使えることを想定しているリュカの回答に、綾はしばし考える。
「そうですね。では……。折角ですから、私の話を聞いてくれますか?」
時々リュカが口にする殺伐さを、綾は否定することはしない。
「……それで。石によって色や咲きかたが違っていて」
「へえ。色々あるって、案内するとき軽く調査をしたし、それは聞いてたけれど」
「意外なところがありましたか?」
「というか、お兄さんが話すとなんだか新鮮で」
「ああ……」
(目を丸くしてるところがなんだか年相応に子供らしいですね)
(すごく楽しそうな目をしてるからなんだか子供みたいでかわいいな)
「……」
「……」
お互いがお互いに何を考えているのかはよくわからないが、なんとなく笑顔になる。
それで、と綾は話を続けた。
色々な石の咲きかたや、音のこと。そして自分がどう思ったことなんかを詳しく話していく。
穏やかな口調ながらも、やっぱりその目は楽しそうで。
それを見ているだけでリュカもなんとなく面白くて。あっという間に貰ったラムネがなくなって、その後も長い間その話を聞いていた。
それで、
「私も作ってみたのですよ」
と。話の締めくくりに出された花火に、リュカは瞬きをする。
「作った……のは、解るけど」
なんで水の入った金魚蜂も一緒に持ってきているんだろう? と、不思議そうな顔をしていた。
「ふふ、それでですね。……こう、使います」
綾は二人の間に金魚鉢をおく。それから花火に火をつけた。
「……え」
水を満たした金魚撥の中に、ゆっくりゆっくり花火が入っていく。
そうするとどういうわけか。金魚鉢の中で花火が静かに、静かに燃えているのであった。
「……??」
「あ、だめですよ。危ないですから」
思わずためらいなく金魚鉢の中に手を突っ込もうとしていたリュカを、綾はすかさずとめる。
「炎色反応で色が変わるんです。長く燃えているように作りました」
言葉通り。炎はゆらゆらと揺らめき、そうしていつしか細やかな光の筋になる。
星のようにきらめき、色が移り変わっていく、その魔法のような景色に、
「……ほら、小宇宙のようでしょう?」
なんて微笑んで、綾は金魚鉢を差し出した。
「リュカさんへ、星空のプレゼントです」
「わ……。ありが、とう」
受け取りながらも、リュカはその星空から目を話せない。言葉はないけれども、抱えて覗き込むその目が感情を雄弁に語っていて、綾は微笑んだ。
「それでですね。ここから先が……」
なんて、はなしかけても聞いているのか、いないのか。
長い間二人はそうして、小さな星空を見つめ続けていた。
大成功
🔵🔵🔵
無霧・燈艶
【オフィス「管」】浴衣(白地に狐の柄が緋色の糸で刺しゅう)姿で花火遊びに興じる友人を微笑ましく眺めています。
〇夜とはいえ熱中症が怖いですから、皆さんの分の麦茶と軽くつまめるお菓子も用意しておきます……西瓜も良いですわね。
「皆さん、水分補給も大事ですわよ?」
〇基本的に自分から行動を起こすことはしませんが、誘われれば喜んで参加します。
「童心にかえる…というのでしょうかしら。こういうのもたまには良いですわね(微笑」
マカ・ブランシェ
【オフィス「管」】の同僚と花火をするのだよ。
泳いでる青い魚の模様がお気に入りの浴衣は、カレンくんに着付けをしてもらって。
髪は邪魔になるから結んでおこう。
燈艶くんは何を着ても様になるのだよ……(うっとり)
屋台で売っていたりんご飴を齧ったり齧られたりしながら、カレンくんの花火文字を当てるのだ。
「大女子力! むむ、少し違うような……?」
反対側から文字を当てるのは難しいのだよ……。
私は白と青の色に光るように組み合せた花火で『スイカ』と書いてみよう。
そう! さっき屋台で見て美味しそうだったのだ!
この花火が燃え尽きたら買いに行くのだよ〜♪
食べ物がたくさんあるって幸せなことだねぇ……。
(アドリブ歓迎)
カレン・ナルカミ
【オフィス「管」】
浴衣の着付けをお手伝い
柄選んで小物選んで可愛い女の子相手だと楽しくて仕方がないわ♪
浴衣姿で手作りの手持ち花火を持ち寄り花火大会開始!
どうですかどうですか
吹き出す火花と色がくるくる変わる万華鏡のごとく飽きのこない花火は!
みんなの花火は…マカちゃん花火じゃなくて林檎飴よね?
美味しそうね。一口ちょうだい♪
みんなの分も作ってあるの、燈艶さんも、是非どうぞ♪
浴衣姿、ナイス色気(ぐっ)
手持ち花火で書いた文字を言当てる遊びに誘うわ
今の気持ち「大好き」って文字を書く
花火文字をバカみたいにボケて言い当てたり
無いげないひと時が花火みたいに消え去っても
大切な記憶になってずっと覚えていられますように
浴衣だ!
【オフィス「管」】の皆様方は、今日は浴衣で行くのであった。
「柄選んで小物選んで……可愛い女の子相手だと楽しくて仕方がないわ♪」
カレン・ナルカミ(焔桜の糸遊狐・f02947)がご機嫌で、自分が浴衣を着た後に楽しみ楽しみと着付けを手伝っていく。
「助かるのだよ。どうにもうまく行かなくて」
「あら。じゃあ、上手に手伝えてとってもよかったわ」
泳いでいる青い魚の模様の浴衣を着ながら、マカ・ブランシェ(真白き地を往け・f02899)がいうとカレンが嬉しそうに笑う。
「髪は邪魔になるから結んでおこう……」
よいしょ。と。髪を結ぶマカ。その髪が一筋流れるのを、無霧・燈艶(オフィス・管 社長・f00766)がすっと指先で掬った。
「ほら」
「わ、ありがとうだよ」
「いいえ。どういたしまして」
こぼれた髪も一緒に結びなおすマカ。その様子に燈艶は微笑む。白地に緋色の糸で刺繍された狐の柄がよくはえていた。
「んー。燈艶くんは何を着ても様になるのだよ……」
その姿にマカは笑うと。カレンもくすりと微笑む。
「さあ、こちらも出来たわ。行きましょうか」
「そうね。人が多いから、気をつけるのですよ」
「ああっ」
マカが先人をきって歩き出す。カレンがすぐ後ろに続いて、その後をゆったりと燈艶が追いかけた。
「浴衣姿、ナイス色気っ」
三人して浴衣姿で歩く姿に、カレンがぐぐぐ、となんだかとても楽しげに拳を握り締めるのを、二人はちょっと面白そうに、見ていた。
遠くから花火の音が聞こえてきていた。少し人気の少ない学園の角あたりで、三人は足を止める。
このまま準備していた手持ち花火をする流れになって。先ずはカレンが火をつけた。
「どうですかどうですか。吹き出す火花と色がくるくる変わる万華鏡のごとく飽きのこない花火は!」
これでいっぱい、作ったのである。しゃららららーっと流れる花火は素敵に美しく色を変えて輝いていく。
「うむ。じゃあ私が持って来たのは……これなのだ!」
「マカちゃん……花火じゃなくて林檎飴よね?」
どーん。とドヤ顔でマカが掲げたのはリンゴ飴だ。カレンがおかしげに笑いながらも手を伸ばす。
「美味しそうね。一口ちょうだい♪」
「ひゃー。食べられてしまったのだー」
口調とは裏腹にマカも楽しそうである。そんな二人を燈艶は微笑んで見つめていたが、
「みんなの分も作ってあるの、燈艶さんも、是非どうぞ♪」
カレンが差し出すと、
「ええ、ありがとう」
と笑顔のままでそれを受け取った。
「あ。私は? 私の分は?」
「勿論、ちゃんとあるわよ」
かわいいわねえ。なんて。たくさん持ってきていた花火をカレンはマカにも手渡す。
「わーい。私もつけるのだー!」
なんてマカも楽しげに火をつけた。
花火の彩りはとても綺麗で。
移り変わっていくその光は、まるでたくさんの少女のよう……なんて。カレンが思っていたかどうかは兎も角として。
「じゃあ、次はこれで行きましょう。解るかしら?」
カレンは持っていた花火を揺らす。手持ち花火で書いた文字を宛てる遊びである。
「大女子力! むむ、少し違うような……?」
マカは難しい顔をしていた。反対側だと、ちょっと難しいかもしれない。
「惜しいわ、マカ。正解はね」
「正解は……?」
「大好き、よ。みんなのこと大好きだわ」
「……! じゃあじゃあ、私もやるのだ! ええと、ええと……」
折角だから。何かすごい文字を書いてみようと意気込んでマカは花火をぐっと握りこんで。
「……」
白と青の色に光るように組み合せた花火で、『スイカ』と書いてみた。
割と大真面目な顔をしていた。
「ええと……マカ、かしら?」
「違うのだ!」
「それじゃあ……」
なんとなく解っていたが、あえてぼけるカレンにマカは真剣に返答していく。
「スイカ?」
「そう! そうなのだ! さっき屋台で見て美味しそうだったのだ!」
何度目かの応酬の末に、カレンが正解するとマカは目を輝かす。
「この花火が燃え尽きたら買いに行くのだよ?♪」
「あら。それには及ばないですよ」
嬉しそうに決意表明するマカに、今まで様子を見守っていた燈艶が声をかけたのであった。
「おお?」
「西瓜も良いですわね。夜とはいえ熱中症が怖いですから、皆さんの分の麦茶と軽くつまめるお菓子も用意しておきました」
そういって。燈艶はお菓子とスイカを一緒に配っていく。
「皆さん、水分補給も大事ですわよ?」
「ああ……。嬉しいわね。ありがとう、燈艶さん」
「ほんとだ! ほんとにうれしいのだ! 食べ物がたくさんあるって幸せなことだねぇ……」
カレンの言葉に、わーい。とマカもばんざいしている。
「燈艶さんも、一息ついたらもうひとつ花火、どうかしら?」
一時休憩。スイカをいただきながら言うカレンに、燈艶も頷いた。
「ええ、喜んで」
休憩終われば、次に広げるのは線香花火。
ぱちぱちと三人で火をつけて。
覗き込めばなんだかそれだけで楽しかった。
「童心にかえる…というのでしょうかしら。こういうのもたまには良いですわね」
燈艶の言葉に、
「ふふふー。とっても楽しいのだ。……あ」
ぶん、とマカが手を振った瞬間、線香花火がぽとんと落ちる。
「大丈夫よ、まだあるから」
カレンがそういうと、たちまち笑顔になるマカ。そんなやり取りの中で、
(何気ないひと時が花火みたいに消え去っても……、大切な記憶になってずっと覚えていられますように)
そっと。カレンがつぶやいたのは胸のうち。
口には出さなかったけれども。ぱちぱちと弾ける線香花火にそっとそんな願いをこめた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
火狸・さつま
コノf03130と
ね、ね、花火作れる、らしい、よ!
打ち上げの、作れるなんて、そうそうない、から!
やりたい!って視線キラッキラ向けて
一緒に!!と力強く
いっしょにー!!と、おてて引っ張って
いざ挑戦!
わぁわぁ、何にしよ!
最初はキョロキョロしても
作り始めれば黙って
眉間に皺寄せ
何度も首傾げつつも
手つきには迷いなく
でけた!
コノは?一緒、打ち上げて、貰お!!
一緒に座って
西瓜しゃくしゃくしながら花火見物
わぁあコノの美味しそ!綺麗!
己のは
いつもありがとうの文字と
シュッとオスワリした狸の色合いの狐
き、きつねきつね!
迷宮でやってくれたのも綺麗だった
くらげさん(とコノ)、も楽し(可愛)かた、し
今日も、とても、良い、日
コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
へー、色々作れるンだねぇ
きょろり見渡すもキラッキラの視線に若干たじろぎ流される
まあ折角の機会だしいっか
悩んでる間は、相方の手元覗きこんだり、眉間に皺寄せる様をスマホで撮ってみたり
やがて閃いてひとつ頷けば、此方も作業の流れはスムーズに
ウン、上がるの楽しみだねぇ
ラムネ片手にベンチ探して空を見上げる
自分のは沢山のカラフルマカロン的な円に金平糖思わす綺羅星の雨
たぬちゃん好きそうだと思って、ナンて言ってたら
続けて上がったありがとうの文字
……あらまあ可愛い狸だコト
にしても良いタイミングネ、とひとしきり笑い
コチラこそアリガト
学園守って沢山楽しんで、ホント今日も良い日ネ
「ね、ね、花火作れる、らしい、よ!」
さつまは、くるくると回っていた。
「へー、色々作れるンだねぇ」
一方コノハは気のない……というほどでもないが、さほどでもない口ぶりである。「それより今日の夕飯は屋台飯でいいかな?」ぐらいの雰囲気をかもし出していた。
「打ち上げの、作れるなんて、そうそうない、から!」
「うーん。そうそうないかもしれないねェ」
ので。
「やりたい!」
は。と力強い視線を感じてコノハが顔を上げると、
ものっそキラッキラの視線がコノハを包み込んでいた。
「えーっと」
「一緒に!!」
「いっしょに」
「いっしょにー!!」
若干引きそうになるコノハの手を、ぐいぐいぐいーっとさつまは掴む。
「いざ挑戦!」
返事を待ちもしない。コノハが付き合ってくれると完全に信じている。
コノハはう、と思わず黙り込んだが、
「……まあ折角の機会だしいっか」
結局。
軽く頭をかいてコノハは手を引かれるがままにさつまについていくことになる。
花火の作り方はいたって簡単だった。
ついさっきまでちぎっては投げちぎっては投げして遊んでいたあの石を、どういうわけかうまいこと砕いて粉にしたそれを所定の箱に入れていくだけ。
色も形も、粉の工夫次第で好きなように出来るという優れものだ。
だからこそ、己の想像力が試されるのもまた、事実であった。
「わぁわぁ、何にしよ!」
適当に材料をもらってきて。ひと少な目の町の一角。石のベンチに腰をおろしてさつまはきょろきょろ、周囲をうかがっている。
「うーんそうだねぇ」
コノハも若干難しいかおだ。なんでもいい、と言われると、ほんの少し困ってしまうから。完全に止まっているさつまの手を覗き込んだりしていると、
花火が上がる音がして、あちこちで花が咲いている。
「む~~~~~」
それを見ると、なんだかちょっとだけ焦るさつま。
「たぬちゃんのんびりいきなよー。マイペースマイペース」
そういうコノハは更にマイペースに、難しい顔をしているさつまをスマホで撮影していたりするのであった。
「……」
しかしそれもしばらくの間だけ。
「!」
(あ、何か今ぴんと来たな)
そんな様子がありありとわかる一瞬に、コノハはスマホを下げる。
そのまま真剣に花火に向き合いだすさつまに、コノハも己の花火の箱に視線を落とした。
その顔を見ていて、なんだか自分もひらめいたものがあったのだ。
「ん~~~~~」
迷いない手つきで着々と粉を入れていくさつま。
「ん~~~~~~~~~~~」
たぬちゃん、うるさい。って、一瞬いいそうになったけれどもギリギリ堪えることにする。それぐらいその顔が真剣だったからである。
「ウン、上がるの楽しみだねぇ」
するするとこちらも頭の中で思い描いていた花火を形にしながら、コノハはそっと呟いたが、たぶんさつまには届いていなかったであろう。
「でけた~~~
!!!!!」
そうして数分後。
くぁっ。と顔を上げたさつまに、コノハは瞬きをひとつ。
「コノは? コノは? どう??」
「はいはいおちついておちついて。出来てるヨ」
「やったー!! 一緒、打ち上げて、貰お!!」
はいはい。と。
己の花火を示したコノハに、さつまはぶんぶんと手を振る。
「えー。今時分らであげてもいいと思うんだけどナ?」
「だめ! 花火にも、さほうが、あるの!」
「……難しい言葉、知ってるネ、たぬちゃん」
何か拘りがあるらしい。
引っ張られながらコノハはもう少し歩くことになる。箱を学園の人に預けて、凡そあげてもらう時間帯をお願いして、
それから立ち並ぶ建物を通り抜けて。見晴らしのいい丘の上まできて。
ベンチに一緒に並んで腰を下ろして。
「西瓜しゃくしゃく! しながら花火見物!! これが、さほう!」
と。さつまは主張した。
「おー……」
さつまの勢いに、わかった。わかった。と、コノハは頷きラムネを片手にベンチに腰をおろした。
「ラムネ飲む?」
「のむ!」
そうして二人くつろぐこと数分。
その間もどんどんと花火は上がっていく。
綺麗だねえ。なんていっていると、そろそろ約束の時間になった。
「……お」
ひゅるひゅるひゅる……どどん。
そんなお決まりな音とともに上がったひとつの花火。
「あれだネ」
ぽんと広がると同時に、たくさんのカラフルなマカロンっぽい円が飛び出す。
「わぁあコノの美味しそ! 綺麗!」
さつまが目を輝かせるので、コノハはにやりと笑った。
「これだけじゃないヨ?」
夜空に散ったマカロンは、す……。と消える、と同時に。
「わ……!」
色とりどりの花火のかけらが、金平糖のように夜空にもう一度だけきらめいて。それから尾を引いて雨のように落ちていった。
「どう? たぬちゃん好きそうだと思って」
「うん、すごいすごいー!!!」
わああ。と嬉しそうなさつまの姿に、コノハが口元を緩める……。そのとき、
もうひとつ、花火が上がった。
コノハは顔を上げる。これはきっとさつまのものだろう……とおもっていたら。
「……あらまあ可愛い狸だコト」
そこには。
シュッとオスワリした狸の色合いの狐と。いつもありがとうの文字が踊っていた。
「!? き、きつねきつね!」
狸の言葉にさつまがあわてて顔を上げると。けらけらとコノハは笑う。
「にしても良いタイミングネ」
なんていってから。それからしっかりと、薩摩のほうを見つめた。
「コチラこそアリガト。学園守って沢山楽しんで、ホント今日も良い日ネ」
「ん……」
お礼を言うときだけは、真剣で。
そんなコノハの言葉に、さつまはこっくりと頷いた。
「コノはが、迷宮でやってくれたのも綺麗だった。くらげさん(とコノ)、も楽し(可愛)かた、し……今日も、とても、良い、日」
しみじみという、さつまの言葉にコノハは肩をすくめる。
「その行間に隠れてる言葉が気になるけど……」
花火ははじけて、消えていく。でも、
「そうだネ。そして明日もきっと、いいひだヨ」
なんて。
二人して、笑い合うのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オズ・ケストナー
リュカ、こっちこっちっ
いっしょにつくろう
花火をみるのもつくるのもはじめて
たのしいっ
でーきた
どっちからみせる?
それじゃあ、まずいっこめっ
空に咲くのはたくさんの小さな金の花火
ぱらぱら控えめな音と瞬き
どう?
星みたいにみえた?
それじゃあね、つづけてこっちっ
今度はたくさんの小さな色とりどりの花火
こんぺいとうっ
に、みえた?
リュカのすきなもの
花火でつくれるかなあっておもって
リュカはどんなのつくったの?
わあ、わあ。きれい
てもち花火もつくってみよっ
それからねえ、屋台もみにいきたい
わたあめ、あるかな?
こんぺいとうもあったらいいねっ
話しながら手を取って広場へ
今度はリュカの目の色みたいな
青い花火を作るんだと心に決めて
オズはきょろきょろ、ひとごみの中で姿を探す。
「リュカ、こっちこっちっ」
そして見慣れた姿を見つけて、声を上げて手を振った。
リュカも、オズの事を探していて。声が聞えたらすぐに顔をあげて駆けて来る。
「花火、いっしょにつくろう」
「うん、勿論」
「わたしねわたしね、花火をみるのもつくるのもはじめて」
「俺は、見るのは研究して来た」
「研究?」
「そう。凄いのつくろうとおもって」
なんて話をしながらも、一緒に人の少ない石段に移動。
火はもう落ちていて、ぼんやりとした闇の中。二人して花火の製作に取り掛かる。
「すごいのってどんなの?」
「ええと……お兄さんが喜びそうなの」
どんなのを作るか。想像しながら、二人して。定められた箱やら筒やらに爆発する石を砕いた粉を詰めていく。
「たのしいっ」
「……うまく出来ない」
「うまく出来なくても、楽しかったら、いいんだよ」
「そう……」
「楽しい?」
「ああ。……それなら、楽しい」
「ふふ、よかった。……あ、でーきた」
完成ー。とオズは最後の一個の花火を掲げる。
「できた?」
「ん。ちょっと待って
。………………大丈夫、出来た」
「どっちからみせる?」
「俺は一個しか出来てないから、お兄さんのあとでいいよ」
「はーい。それじゃあ、まずいっこめっ」
石段の、少し下のほうにオズは花火を置いて火をつける。
そのままぴゃ、とちょっと駆け上がってリュカの隣に並んだころに、花火がポンッ。と打ち上げられた。
天へと上がった火の玉は、黒い夜空の中で弾ける。
それは、今日数多上がった花火の音の中では控えめなほうであった。
開いたのは、たくさんの金の花火。一つ一つは大きくない。光の粒が、限りない輝きを放って空に散らばっていく。
「どう? 星みたいにみえた?」
「……ほんとだ。散らばってるところが、星みたいだ」
おお。と感心するリュカに、オズはにこにこ笑いながら、
「それじゃあね、つづけてこっちっ」
間髪おかず。もうひとつのほうを打ち上げる。
今度もまた、一つ一つは大きくない花火だった。光の粒が、無数に散らばる。今度は色とりどりで。星よりも少し大きめ。
「こんぺいとうっ……に、みえた?」
「え……。ええと、言われてみれば……?」
「いわれてみれば?」
「や、だって金平糖をするなんて、思っても見なかったから」
そういえば、どれもこれもぎざぎざしているかもしれない。と真剣に空を見上げるリュカに、
「こんぺいとう、リュカ、好きでしょう? リュカのすきなもの、花火でつくれるかなあっておもって」
「……」
「リュカはどんなのつくった……わ。わたしのぼうし、とったらだめだよ」
「ごめん、なんとなく」
そんなに嬉しいことを言われたら、どう返していいのか解らない。ので。何故かリュカはオズの防止を勝手に取って、かわりに自分の帽子をオズの頭の上において、
さっ。と階段を数段下りると自分の作った花火を置いて火をつけた。
ふわっと花火があがっていって、そして夜空に花が咲く。
いくつもいくつも空に散らばるのは、青いパンジーの花だった。
「わあ、わあ。きれい。バレンタインの、ときの?」
「そう。なんだか、お兄さん見てたら思い出したから。あれ、嬉しかったし、絵にももしやすかったし。……でもリボンが、デザインに組み込めなかった」
説明を、しているうちに。だんだん声が小さくなっていく。勉強した割りにそんな難しいものでもないことは自覚あった。
「あ、じゃあじゃあ、てもち花火もつくってみよっ」
花火たちは夜空に上がって、そして消えていく。それが消えてしまうと、オズはぎゅっと両手を握り締めて主張した。
「あのときのリボンみたいな花火にしよ」
「……わかった。それならやりやすそうだ」
「それからねえ、屋台もみにいきたい。わたあめ、あるかな?」
オズが立ち上がり、リュカの手を引っ張ると、リュカも立ち上がって、
「わたあめはさっき見かけた。案内するよ」
「こんぺいとうもあったらいいねっ」
「……そうだね。そしたら、はんぶっこしようか」
話は尽きることがない。そうしよう、と手を取り合いながら共に広場へと歩き出す。
(それと、今度はリュカの目の色みたいな、青い花火も作るんだ)
(一緒に何か、お兄さんに贈れるような花火を作って驚かせよう……)
花火は火をつけて消えるまでは一瞬で。つけたらなくなってしまうようなもの。だけど、……だからこそ。
何より楽しい時間に違いない。と。
それぞれそんなことを思いながら、二人共に夜の喧騒の中に向かっていった。
大成功
🔵🔵🔵
浮世・綾華
【鈴守】
俺は打ち上げ花火作る
手伝ってくれる人っ
やったと笑って
皆で作ったらすげーのができそーだ
ヘビ玉は知ってるからヒゴと一緒に煽る
うんうん、これはヤバいやつだよ。そして――
くねくねと出来上がっていく蛇のような形
…ふ、はは。耐えきれなくなって吹き出す
いや、面白いな?この人数でこれ囲ってるって
弾けないぞ、ふふ。こーゆーもんなの
よし!打ち上げも点火しよ
あ、でもいっぱいあるから
エノちゃん手伝ってくんない?
一緒にわーってさせようぜ
おー!ちゃんと上がった、綺麗
花畑みたいに見える?
あ、俺らの分もあるんデス?
夜彦さんと銀之介に礼を告げ一緒に楽しむ
すげ、二人が作った花火、きれーだな
さぁて、誰が最後まで持つかねえ?
アルル・エノ
【鈴守】
はい!はーいっ!
エノも、エノもウチアゲハナビ作るー!
いっぱいつくろー、ねー綾華!
いろんなハナビ、できるといーな!
ヘビダマ……!!
すごいのか。やばいらしい。そわそわ体揺らして。
そわそわ……おっ、おお?
じい。じー。
うねうね、ヘビみたい。なんだか目が離せない。
う!エノも火つけるの手伝う、ぞ!一緒にわーってするー!
火種持ってトテトテ走る。
あ、でも気を付けないと、ね、夜彦!そーっとそーっと
つけたらちょっと下がって。ヤケドニチューイ、だぞ!
ヒゴと一緒にわーってするんだー!ばんざーい!
センコーハナビ?銀から貰って。
…おお!ほしさまみたーい!ぱちぱちだ!
誰が最後に…
ふお、がんばれエノのセンコーハナビ!
相楽・銀之介
【鈴守】
俺は夜彦殿と共に全員分の線香花火を作ろう
ヘビ玉は何やらにょきにょきと生えてきて
お、おぉ…これはなんとも…
初めて見るヘビ玉の光景に思わず零れる笑い
笑い合う二人にこのヘビ玉はパチパチ弾けたりはしないのか?と真面目に聞いたりしている
綾華とエノの打ち上げ花火はまさに輝く華のごとく
二人の力作だな。とても綺麗だ。
キラキラ舞落ち消える光さえも目に焼きつける
賑わう声も花火の醍醐味かとヒゴやエノたちの楽しそうな姿に和んだ
さぁ、最後は皆で線香花火を楽しもう
パチパチ星が弾けるように
暗闇に五つの線香花火が輝く
ふふ、綺麗だな。
始まったばかりの夏だ
これからもたくさん思い出を作ろう
今日がその一日目だなと笑って
月舘・夜彦
私は銀之介殿と線香花火を作ります
綾華殿は打ち上げ花火を作るとの事でお手伝いしましょう
花火自体初めて作るのですが上手く作れるといいですね
ヒゴ殿のヘビ花火、初めて見るのですが……なるほど
花火といっても火花が散るものだけではないのですね
騙すなんてとんでもない、延々と出てくるようで面白いです
次は打ち上げ花火
エノ殿は火にお気を付けて一緒にお手伝いしましょう
頑張って作った打ち上げ花火は、さぞ美しい事でしょうね
線香花火は多めに作りましたから、銀之介殿と合わせれば人数分はやれるかと
小さな灯りを静かに眺める一時は心を落ち着かせてくれる
賑やかな夏も静かな夏も、どちらも私は好きです
稲成・ヒゴ
【鈴守】
火花散らすだけが花火に非ず
じゃじゃーん!と、皆にヒゴのヘビ玉を披露
アヤカの花火を手伝う傍らに拵えたのだ。フフフ
ヘビ玉が初見な者もいるので、凄いぞー。驚くなよー?と期待を煽りいざ
この面子でヘビ玉の様を眺める…
これぞシュールレアリスム!
アヤカと並んで吹き出すも、
真面目なヤヒコとギンノスケを騙した様でちょっぴり心が痛い
打ち上げ花火で気持ちを切り替えよう!な!
打ち上がったら、エノと「わーっ!」だ
火傷に注意するんだぞ?
色鮮やかな花火、確かにこれは花畑の様だ
ヒゴは線香花火も勿論すきだ
終わりがけの儚さが何ともいい
華やかで豪快な打ち上げも、可憐で繊細な線香花火も、
どちらも風情があって夏だなーと感じるよ
「俺は打ち上げ花火作る」
まず、そう宣言したのが【鈴守】の浮世・綾華(千日紅・f01194)であった。じ。と一度、真面目な顔で周囲を見回して、
「手伝ってくれる人っ」
「はい! はーいっ!」
そこでがばちょ、と両手を挙げたのはアルル・エノ(└( 'ω')┘ムキッ・f15161)であった。
「エノも、エノもウチアゲハナビ作るー!」
「やったー。じゃあ俺たちはここから打ち上げ花火組だ!」
「ウチアゲハナビぐみー!」
「じゃああっちで作ろう。いくぜっ」
「ごーごー! だぞ!」
あっちだ! と走り出す二人をほほえましそうに見やって、
「成る程……。では俺たちはさながら線香花火組、だろうか? 夜彦殿」
相楽・銀之介(八頭一神・f02575)が笑う。それから思い出したように、
「あまり遠くへ行くなよ?」
はーい! と綾華とアルルの明るい返事に、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も目元を和らげた。
「そうですね。線香花火組……」
なんだか子供みたいで面白いかもしれない。銀之介と夜彦は顔を見合わせると、
「花火自体初めて作るのですが上手く作れるといいですね」
「そうだな。きっといい思い出になるだろう」
なんだか二人してほのぼのとしていた。そのとなりを、
「ふっふっふ。ヒゴはも手伝うぞ、アヤカよ。しかし……火花散らすだけが花火に非ず」
稲成・ヒゴ(空籤・f15074)が上機嫌に綾華たちの後を追う。
「うん? どういうことだ?」
「ふっふっふ、いずれ、解る」
ヒゴは得意げににやりと笑った。……かもしれなかった。テレビ画面が凶の字から大の字に変わっている。ご機嫌のようだ。
「綾華殿。私たちも線香花火を作りながらですが、手伝わせていただきますね」
思わず微笑んだまま夜彦が声をかけて、おお、と綾華も笑った。
「皆で作ったらすげーのができそーだ」
「うんうん、いっぱいつくろーねー綾華! いろんなハナビ、できるといーな!」
わーい。とアルルも嬉しそうに。
そして花火作りが始まった。
「できたっ」
「できたー!」
まず最初に声を上げたのは、やはり綾華とアルルであった。両手と両手をパンと合わせてハイタッチ。
「それは良かった。こちらのほうも、もう少しで終わりますよ」
「ああ。片付けもきちんとしないとな」
どちらかというと片づけをしたり、手伝いをしたりしながらの作成となった夜彦と銀之介は、いくつもの線香花火の棒をまとめながらも楽しそうにする綾華たちをほほえましく見守っている。
「ヒゴは? ヒゴは?」
「勿論、ヒゴも完成しておるのだ。とっておきだぞ!」
ほら、とヒゴのほうも手伝いしながら作成していた花火の箱を差し出した。
「じゃじゃーん! これぞヒゴの! ヒゴによる! ヒゴのつくりし! ヒゴのヘビ玉だ!!」
「お、おおおおおおおおおー……? ヘビダマ
……!!?」
「アヤカの花火を手伝う傍らに拵えたのだ。フフフ」
得意げなヒゴの顔に、アルルが思わず歓声をあげる。が、たぶんあれはよく解っていない。
「これはなー。とっても凄いんだ。凄いぞー。驚くなよー? 見たこともないものが見られるぞー?」
「うんうん、これはヤバいやつだよ。ちゃんと見ておかないと、大変なことになるかもしれない」
目を丸くするアルルを見ながら、綾華がノった。どうやらこの中で蛇玉を知っていたのはヒゴと綾華だけらしい。割りと頑張って、笑いを噛み砕くようにして、綾華は一緒にあおる様にそんなことを言うので、
「ヒゴ殿のヘビ花火……、初めて見るのですが……。話に聞く限り、それは凄そうですね」
夜彦が感心したような声でヒゴの箱を覗き込み、銀之介も不思議そうにそれを見つめていた。
「おお。確かに、そこまで凄いといわれれば気になってしまうものだな。どんな花火なのだろうか……」
「そーれはみてのお楽しみって、やつだなー。な? ヒゴ」
「ああ! 腰を抜かすことが無いようにな! では、ゆくぞー!」
今! とヒゴがみんなの期待を一身に受けて、
ヒゴが全力で、蛇玉の火をつけた!
「……」
「……」
「……」
ずもももももももももももも。
五人が見守る中であふれ出す蛇っぽい何か!
「……おっ、おお?」
もうさっきからずっとそわそわしていたアルルが、なんだか変な声を上げながらじぃぃぃぃぃ、と、見ている。
「うねうね、ヘビみたい」
「それは、ヘビ玉であるがゆえんだろう……」
「ヘビダマ……」
目が離せない。じぃぃぃぃ。と見つづけるアルルに、
「なるほど。花火といっても火花が散るものだけではないのですね。これは面白い発想です。やはり、固定観念にとらわれていてはいけませんね」
「お、おぉ……。確かに、これはなんとも……おぉ……」
やたら寒心する夜彦に、ぱちぱちと瞬きをする銀之介。……それで、
「……ふ、はははははっ。いや、面白いな? この人数でこれ囲ってるって」
堪えきれなくなって綾華が笑い出した。思っていた以上に真面目に観察している三人になんだかもう、……もう、
「この面子でヘビ玉の様を眺める……これぞシュールレアリスム! これぞ芸術!」
そんな様子に、ヒゴもも笑顔でしてやったり、と胸を張ったりしていた……のだが。
「このヘビ玉はパチパチ弾けたりはしないのか?」
なんて真面目に銀之介聞かれると、ちょっとヒゴはたじろぐ。
「確かに。この後に光や音が現れるのでしょうか」
「時間差! かもしれないから! 待ってたらもしかしたら……!」
「ヤヒコ、ギンノスケ、エノ……!」
きらきらした目の三人組に、思わずう、と胸(?)のあたりを抑えるヒゴ。心が痛んだらしい。
そんなヒゴの要素を横目で見て、綾華が微笑んだ。
「弾けないぞ、ふふ。こーゆーもんなの。ほら、ちょっと面白いんじゃねぇの?」
「はい。成る程……興味深いです」
三人してまたしてもへび玉を覗き込むのであった。
「騙すなんてとんでもない、延々と出てくるようで面白かったですよ」
その後。
夜彦の感想に、うんうん、とアルルも銀之介も頷いたところで、
「よし! 打ち上げも点火しよ」
ころあいを見計らって、綾華が声をかける。はっ。とアルルも顔を上げた。
「あ、でもいっぱいあるから、エノちゃん手伝ってくんない?」
「う! エノも火つけるの手伝う、ぞ!」
拳を掲げて、アルルはぶんぶんそれを振り回す。やる気充分! とアルルが主張する間に、綾華は一つ、二つ。と、作った打ち上げ花火を地面においていった。
「ああっ。打ち上げ花火で気持ちを切り替えよう! な!」
ぶんぶんヒゴが首を振りながら言うので、銀之介も頷く。
「ああ。手伝いはしたがどのように仕上がっているのか……気になるな」
「そうですね……。こちらも、同じぐらい楽しみです」
「! 期待、されてる……! エノ、やる! 一緒にわーってするー!」
「おうっ。一緒にわーってさせようぜ」
綾華とアルル、二人して分担を決めて。
アルルは火種をもって、とてとて走って。
綾華はそんなアルルにあわせる歩幅で。
「火傷に注意するんだぞ?」
ヒゴの声賭けにはっ。とアルルが顔を上げる。
「あ、でも気を付けないと、ね、! そーっとそーっと。綾華もそーっと!」
「はは、了解りょーかい」
「つけたらちょっと下がって。ヤケドニチューイ、だぞ!」
「ああ。そっちこそ、怪我するんじゃねぇぞ」
そんな言葉を掛け合いながらも、呼吸を合わせて、
そしていっせいに、火をつけた。
「わーっ!」
「わーっ! ばんざーい!」
ヒゴが声を上げる。アルルも声を上げる。一緒に声を上げると同時に、花火が空へとあがっていく。
どぉん、という音がして、満開の花が開いた。
「おー! ちゃんと上がった、綺麗。花畑みたいに見える?」
綾華がひらひら、手を振ってそれを見送る。いくつもいくつも。打ち上げられる花火はほんの少しの時間差と共に夜空を絶え間なく彩っていく。
「ああ。まさに輝く華のごとく……。二人の力作だな。とても綺麗だ」
連続して上がる炎の花。それは色とりどりの景色で思わず銀之介は目を見張る。きらきらおちて消えていく。その光を目にい開きつけるように見つめ続ける。
「ああ。色鮮やかな花火、確かにこれは花畑の様だ!」
「ようだー!」
そうしてはしゃぐヒゴとアルルを、思わず和む目で見ていた。
「頑張って作った打ち上げ花火です、本当に美しい事ですね」
上がり続ける花に、夜彦も感心したような声を漏らす。いくつもいくつも作った花は、一瞬ではじけては消えていく。その姿もまた美しいのだと、夜彦も納得したように、頷いた。
「あ……。終わっちゃった」
しかし何事にも終わりがくる。全ての花火が打ちあがって、空に大きな花を咲かせて、そして形を崩して消えて生き。アルルはすん、と鼻を鳴らして夜空を見上げると、
「ああ。結構いい感じに出来たから、俺は満足だぜ」
なんて、綾華は得意げであったという。
「では……。さぁ、最後は皆で線香花火を楽しもう」
そうして打ち上げ花火の余韻が消えたころ、銀之介が徐に線香花火を取り出した。
「あ、俺らの分もあるんデス?」
すすす、と目を輝かせて綾華がよってくる。
「勿論です。線香花火は多めに作りましたから、銀之介殿と合わせれば人数分はやれるかと」
「お、アリガトゴザイマース」
「センコーハナビ? センコー?」
「まあまあ。つけてみればわかるって」
「そうそう。ヒゴは線香花火も勿論すきだ。終わりがけの儚さが何ともいい」
首を傾げるアルルに綾華がそう言って。ヒゴが同意を示したところで、
「では、つけましょう」
と、夜彦が声を上げて、いっせいにみんなで火をつけた。
「すげ、二人が作った花火、きれーだな」
ぱちぱちと、静かに花が咲いている。
先ほどまでの喧騒はどこへやら。思わず綾華の声も少し小さくなった。
「……おお! ほしさまみたーい! ぱちぱちだ!」
「星……。か。成る程」
パチパチ星が弾けるように、暗闇に五つの線香花火が輝く。
「……ふふ、綺麗だな」
なんだか楽しくなっていて、銀之介は優しい目で花火を見つめた。それで、
「華やかで豪快な打ち上げも、可憐で繊細な線香花火も、どちらも風情があって夏だなーと感じるよ」
「小さな灯りを静かに眺める一時は心を落ち着かせてくれる……。賑やかな夏も静かな夏も、どちらも私は好きです」
少ししんみりと、ヒゴと夜彦もそんなことを言って目を細め。繊細に輝く線香花火を見つめた。
ほんの少しだけ、静かになる。周囲に線香花火が燃える音だけが響く。
なんとも風情のある瞬間であった。
なのに。
「さぁて、誰が最後まで持つかねえ?」
唐突に。
にやりと笑って、綾華がそんなことを言ったので。
「誰が最後に……ふお、がんばれエノのセンコーハナビ!」
アルルが全力でおうえん! の体勢に入り、
「! ヒゴも乗った! 頑張るのだ、ヒゴの花火!」
ヒゴもつられておうえん! をしている。
「始まったばかりの夏だ。これからもたくさん思い出を作ろう。……そして、今日がその一日目だな」
そんな彼らを見て銀之介も「まあ、それはそれとして負けないがな」なんて嘯くと、
「わかりました。折角ですから、私も参加しましょう」
夜彦もまたやる気になった。
「っし、じゃー。一番最初に落ちたやつがラムネおごりなー」
綾華がそんな条件を提示する。了解、とあちこちからめいめい声が上がって。
五つの線香花火が、夜の闇を優しく照らし出していた。
大成功
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