#UDCアース
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●どうせみんな餌になる
『××地方にある無人島に来ました!』
威勢の良い若い男達がカメラに向かって変顔をキメる。動画の撮影をしている様だ。
『何かね、ここには昔ッから恐ろしい怪物が封印されてるとか……』
海と砂浜と林以外、何も見当たらない。無人島というのは確からしい。
『今回はその伝説が本当なのかを検証したいと、思いますッ!』
検証……違う。聞き齧った知識だけで深淵に相対しようという冒涜。
男達は何人かで連れ立って楽しそうに林の奥へ進んでいく……。
「というモノが視えた。後は、分かるな?」
虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)はため息をついて、グリモアベースの会議室に集まった猟兵達へ状況説明を始める。僅かな怒りを語気に孕ませて、志郎は続けた。
「阿呆どもが日本国内の無人島――竜首島と呼ばれている曰く付きの所でやらかした」
竜首島――たつくびじま、たつしゅじまとも呼ばれているその島は、江戸時代より以前から罪人の流刑地でもあったらしい。首を断つにも等しい罰、断首島が訛って竜首島と転じたそうだ。そんな出自である、曰く付きの件も恐らく殆ど事実なのだろう。
「そいつらが動画撮影の為に無断でその島に立ち入った挙句、島の祠を動かして……」
はあ、と溜息をついて志郎は続ける。祠とは恐らくその島で古くから祀られている何かなのだが、そんな物が正しい位置から動かされるとどうなるか――こんな事件に関わる者ならば誰しもが想像出来るだろう。呆れた風に、志郎は作戦目的を伝えた。
「つまり、封印されていた邪神が解放されちまった。今回はそれの殲滅が目的だ」
●なんでそんな事をした!
「まあ幸いと言うか、奴ら何をしたかも知らずにさっさと島から抜け出してるんだよ」
そして海上で海保に掴まった挙句、移送先のUDC組織で徹底的に尋問されていたらしい。そこで彼らが行った冒涜的な所業が次々と明るみになったのだが、祠の移動はその中でも最たるもので、邪神絡みを除いて余罪を追及したら両手でも足りない位あるそうだ。
「動画サイトのイイね欲しさにやり過ぎたんだ、奴らは……。っと、話を戻そう。動かされた祠は5か所、全部元の位置に戻して欲しい。そんなに重くないから大丈夫だろう」
その副産物と言うべきか、祠の場所は彼らの取材映像の中からはっきりと分かっている。手始めに彼らの上陸地点の砂浜近くにある祠から、元の場所へ戻せばいいだろう。
「そして問題の邪神だが、確認次第始末してくれ。敵は殴り合いが得意なタイプだが、姿を虚ろにして攻撃を躱す事もある。放っておくと周辺の船舶や本土にまで被害が出る恐れがあるからな……容赦はいらない。何せ無人島だ、戦闘は好きにやってくれて構わん」
衛星上から確認出来た相手は獣型の巨大な邪神――UDCである。暴力的な外見と武器を手にしているが、無人島の地形を使ったり――ちょっと頭を使えば、対処も少しは容易になるだろうと思われる。だが、恐らくこれだけじゃあ終わらないと志郎は続けた。
「この海域、本当に昔から曰く付きなんだ……何が起こるか予想も出来ない」
奴らの冒涜的な所業も相まって、不穏な予感がするんだ、と締める。
手にしたグリモアが輝いて、潮の香りを運びながら蜘蛛の巣状のゲートが開く。
「十分気を付けてくれ。グッドラック、イエーガー」
志郎は片手を上げて敬礼の仕草を取る。そして祈る様な表情で猟兵達を送り出した。
ブラツ
ブラツです。
無人島で怪獣退治です。
邪神ですが。
●作戦目的
第1章:ボスオブリビオンの殲滅。
第2章:集団オブリビオンの殲滅。
第3章:ボスオブリビオンの殲滅。
以上になります。
恐れ入りますが今回はリプレイ執筆期間の調整の為、
全章幕間反映後にプレイング提出期間を確認の上、提出をお願いします。
もしアドリブや連携を希望される場合は、文頭に●とご記載下さい。
同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。
お手数をお掛けしまして申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。
第1章 ボス戦
『骸の海のギガントピテクス』
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POW : 震える巨体
【全身の筋肉】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 無骨な塊
【手に持った棍棒】を向けた対象に、【その後に振り被った棍棒】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 影化
【輪郭のぼやけた影】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠秋冬・春子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●事件は現場で起きている
転移先は竜首島沿岸部、静かな砂浜だった。
正面には鬱蒼と木々が生い茂り、背後は暗澹たる色をした海が広がっている。
幸か不幸か本日は晴天、所々白い雲が散らばっているものの、風も静かにそよいでいて、これが邪神絡みの仕事でなければ一息入れてもいいくらいだ。
しかし残念ながら静かな時は突然終わりを迎える。
悍ましい獣じみた何かの咆哮が正面の林から聞こえた。その声は徐々に近づいて、近づく度に不安定な砂の大地を揺らす。
そして影が、巨大な類人猿じみた姿が木々の間からのっそりと姿を現わした。あれが邪神か。
よく見るとその足元に、祠めいた形状の朽ちかけたオブジェが転がっている。恐らくこれを元の位置とやらへ戻せばいいのだろう。
だが先ずは目の前の敵を倒すことが優先だ。血に塗れた棍棒を手に再び咆哮する怪獣じみた邪神。
やるべき事は決まった。ここから先は猟兵の時間だ。怪獣退治を速やかに済ませ、この島を元の形へ戻そう。
※祠は第1章成功後に戻しますのでプレイング不要です。
※プレイング募集は6/19(水)8:30からとなります。ご注意下さい。
フィーナ・ステラガーデン
●邪神確保ー!って
無人島の住民!って感じのが出てきたわね!
えーっととりあえずあれ(邪神)を倒せばいいのよね?
んで無人島だから別に容赦する必要もないのよね?むふーっ!
じゃあ鬼ごっこね!追いかけてくる邪神とひたすら距離を取りつつ戦うわ!
【ダッシュ】【属性攻撃】で火球を飛ばしたり、小規模の爆発を起こしたりUCで【吹き飛ばし】
【ジャンプ、空中戦】走って飛び回りながら魔法を撃つわ!
相手がムキになってきたら【アイテム:魔法陣が彫られた靴】で
海の上を走ってひたすら移動と攻撃よ!やけどは海ではしみるわよ。
テン・オクトー
●
ボクの夏の水着の発注は間に合うのだろうか。カナヅチだけれど、最近リゾートや温水施設に行って、水に浸かるのもいいなって思い始めてたんだ。間に合うかなあ…。砂浜を見つつため息…は!お仕事しないと!
POW
祠を元の状態に戻したいから、敵を足元にある祠めいたオブジェから少し引き離したいな。砂浜の方へ敵を【おびき寄せ】してから戦闘を仕掛けるよ。
【UC】で攻撃。体の大きそうな相手には効果あるはず。柔らかい砂浜は重そうな敵には不利になるんじゃないかな。敵からの攻撃は【見切り】と【盾】を使って避けるよう尽力。
にしてもこの類人猿の格好ときたら。水着の発注が通らないとボクもこんな格好になってしまう〜(ため息)
パル・オールドシェル
うわあ、かつてこの世界にはあんな生物が居たんですね。
何はともあれ、作業用ドロイドである僕の本懐、土木作業を遂行するためにあの巨大生物には早々に退去してもらいましょう。
L.B.Dsのドロイド部隊を一緒に上陸させます。労働力兼戦力ですね。
こういう時、銃器で武装した軍隊が役に立つんですよ。
とりあえず制御プログラムはレベル1で投入、数の暴力で巨人を牽制。
上陸地点を【拠点防御】しつつ、隊列を維持して【一斉発射】で【援護射撃】、前衛をフォローします。
「キミ達の任務は?」
『走る!』『撃つ!』『守る!』『――海兵万歳!!』
「……うーん、なんで海兵隊の思考なんでしょう。まあ、モンスター相手は海兵隊が定番ですか」
●魔女と子猫と機械聖母
「邪神確保ー!」
叫び声とともに姿を現したギガントへフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)が雄叫びを上げる。えーっととりあえずあれ(邪神)を倒せばいいのよね?
『UBoooooAaaaaaa!!!!!!』
そのゴリラじみた巨体からは想像も出来ない敏捷性で、返す咆哮と共にギガントがフィーナへ向けてそこら辺のデカい石(ブルーシートを押さえられるくらいの奴)をブン投げる。
「そんな、分かり易い攻撃……!」
早い。想像以上の剛速球に一瞬たじろぐも、慌てず急いで【圧縮セシ焔ノ解放】――必殺の爆炎魔法を解き放つ。正面から迫る巨石が溶岩の様にドロリと溶け落ち、辺りに灼熱の礫が飛び散った。
「無人島だから別に容赦する必要もないのよね? むふーっ!」
環境保護団体が見たり聞いたりしたら卒倒しそうな宣告。空を舞うフィーナから、続けて容赦の無い炎の連弾がギガントを襲った。
「ボクの夏の水着の発注は間に合うのだろうか」
「キミは何を言ってるのですか?」
常夏っぽい浜辺が灼熱地獄と化す様を見やり、テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)は溜息を吐く。その姿を後ろからパル・オールドシェル(古き戦友・f10995)が不思議そうに眺めていた。小柄なケットシーを覆う様にウォーマシンの巨体が影を落とし、一層の何と言うか、どんよりした雰囲気を醸し出す。
「水着の発注が通らないとボクもあんな格好になってしまう……」
「そうですか。僕にはまあ、関係の無い事ですが」
ギガントの方を見て肩を落とすオクトーへ、無慈悲な女神は己の勝利(受理)を確信し――ええいやめなさい。仕事をしろ仕事を。
「カナヅチだけれど、最近リゾートや温水施設に行って、水に浸かるのもいいなって思い始めてたんだ。間に合うかなあ……」
側を掠める火炎の礫をふわりと躱しながら、再び溜息をつくオクトー。
「私も祈りましょう。それにしても、かつてこの世界にはあんな生物が居たんですね」
傍迷惑な爆炎を撒き散らす戦友が追い回す『あんな格好』の巨猿を見やり、感嘆の声を上げるパル。彼女の故郷からすればこの世界は遠き過去の事象にも等しい、長い年月の隔たりがある。故にその記録の模倣たるオブリビオンは、不思議な感慨を思わせるものだった。
「……何はともあれ、作業用ドロイドである僕の本懐、土木作業を遂行するためにあの巨大生物には早々に退去してもらいましょう」
出番ですよ戦友――パルが呼び出したるは【Control:L.B.Defenders】、百戦錬磨のドロイド海兵隊達だった。
「キミ達の任務は?」
『走る!』『撃つ!』『守る!』『――海兵万歳!!』
「よろしい。それでは仕事の時間ですよ」
『○せ!』『○せ!』『○せ!』『Gung-Ho!』『Gung-Ho!』『Gung-Ho!』
総勢28体の荒くれマシンが陣を構築しつつ、魔女に続いてギガントを追撃、包囲、殲滅の為に動く。
「……うーん、なんで海兵隊の思考なんでしょう。まあ、モンスター相手は海兵隊が定番ですか」
プリセットされた思考パターンは下手に弄れない。だがそれが頼もしい。パルは果敢に動き回る同志達を見やり、自身は祠の崩れた土台を修繕し始めた。
「早く、元に戻るといいですね」
「は! お仕事しなきゃ」
自身を覆っていた大きな影が離れ、ふと役割を思い出したオクトーは、以前にも増して凄惨な状況と化した戦場を見直した。投石も剛腕も効かぬ当たらぬと悟ったギガントは空と陸からの波状攻撃から逃れんと、軽やかな身のこなしで浜辺から林へ逃げ込もうとしている。
「朝のナパームは格別よ!」
『逃げる奴はオブリビオンだ! 逃げない奴はよく訓練されたオブリビオンだ!』
最早どっちが邪悪なのかよく分からない。先回りされ逃げ道を燃やされ、祠周りの陣地の所為で遠回りを余儀なくされたギガントはそう――必然的にオクトーの方へ向かう事となった。
「こっちに来るの!? でも、これで祠の方は大丈夫そうだけど……」
ボクが危ない。目論見通りでもあの筋肉が猛然と襲い掛かってきたら――。
「でも、やるしかないよね」
柔らかい砂浜の上ならば小柄なボクが有利な筈。じゃらりと愛用の『フレイル』を取り出して、爆炎を背負って迫るギガントと対峙する。ドシン、ドシンと大地を揺らして、焦げ臭さと潮の香りが入り混じった戦場の空気が、嫌が応にもオクトーを緊張させた。
「あの速さならタイミングは――!」
タイミングは、狂いそうだ。何故ならば。
「燃やせ燃やせ! 真っ赤に燃やせぇ! 水着が何よ、焼き尽くしてくれるわ!」
『ホームより入電、3秒後にデリバリーが到着』
『Yeah! それじゃフィナーレだ、アンコールはいらねえな!』
追われるギガントは恐るべき猟兵達から逃れんとその速度を速めて、眼前のオクトーを突き飛ばす勢いで迫って来た。
「ああもう、危ないじゃない――か!」
最早形振り構ってられない。オクトーはフレイルを気合の一撃【グラウンドクラッシャー】で自身の目の前の地形を思い切り叩く。崩れた砂浜が蟻地獄の様にすり鉢状に抉れて、ぐらりとギガントが体勢を崩してその場に座り込む様に倒れる。
「ヒッ! ちょっと、近い!」
矢張りというか、一緒に崩れ落ちる事になったオクトーは目の前の巨猿に向かってフレイルを叩き付ける。しかしその分厚い筋肉は小柄なオクトーの一撃を通す事なく、ぎょろりとその目がオクトーを憎々しげに覗いた。
「やっぱり! 効かない!」
「逃げるわよ!」
筋肉に恐怖し竦むオクトーを、フィーナが空から掴んで持ち上げる。直後、海兵隊のデリバリーがギガントが埋まる砂浜に直撃した。
『弾着! やったか?』
陣地からの迫撃砲で巻き上げられた砂埃が視界を遮る。その中で巨影がゆらりと蠢き、咆哮が辺りに響いた。
『UBoooooAaaaaaa!!!!!!』
怒りの感情が空気を揺るがす。追われながら放たれた爆炎が自慢の毛並みを焦がし、容赦の無い精鋭の一撃が身体を痛め、子猫の何気ない反撃がギガントのプライドを傷つけた。身体も心も、虐げられたのだ。
「あーもー、五月蠅いわね!」
「って、何するの!」
フィーナがオクトーを低空で離す。くるりと回って着地出来たからいいものの、ケットシーでなければ危なかったじゃないか! と憤慨するオクトー。
「すぐに終わるわ。ぎゃあぎゃあ喚くなら……海に入って頭でも冷やせっての!」
爆炎で加速するフィーナ。その勢いでギガントに身体ごとぶつかって、その巨体を海の方へと吹き飛ばした。
「これでどう? やけどは海ではしみるわよ」
フィーナの『魔法陣が彫られた靴』がふわりと水面に輝く足場を作って、魔女がその上に降り立つ。
祠を守り、邪神を遠ざける。
先陣の切込みは見事、その大役を果たしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
【POW】
賢者ばかりでは物語は紡がれない。愚者も必要という事だね。
まずは類人猿、数十万年の時を経ての帰還者か。
……いや、邪神だから違うのか。まあ、いい。どちらにせよする事は同じだ。
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
剛柔、変幻自在の剣術でオーラセイバーを振るって戦います。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)など
敵POWUCはその予兆を見切って回避しつつのカウンター攻撃を。
(戦闘知識×第六感×見切り→カウンター)
カウンター攻撃は『バベルの消失』の魔力を纏った拳打。
エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎
POW
くだらない理由で面倒ごと起こしてくれちゃって、まったく…
ま、バカは事務方に任せてこっちはこっちの仕事を片付けようか
最初の敵は、見たところ近接特化の脳筋って感じだなぁ
レッキスの機動力をいかして中距離からの射撃戦に持ち込みたいところだけど、それを許してくれるほど相手が重鈍かはわからない
ここは相手の判断を乱す為に隠し玉を織り交ぜよう
スルーアの流体操作で空気を圧縮して不可視の炸裂弾を作成
これを相手の目前で破裂させて目くらましに使う
目に見える攻撃だけに注意していれば空気弾が、そちらに注意を向ければビームとグレネード弾が襲い掛かるって算段だ
戦闘の主導権はこっちに握らせてもらおうか
●GUNHARD
「くだらない理由で面倒ごと起こしてくれちゃって、まったく……」
「賢者ばかりでは物語は紡がれない。愚者も必要という事だね」
海中に没したギガントの周囲をエルト・ドーントレス(灰色の雷光・f14009)とシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が哨戒する。先程の攻撃を辛くも逃れる形となったギガントは、海面には上がらずに水中へと逃れていた。
「まずは類人猿、数十万年の時を経ての帰還者か」
しかし相手はオブリビオン。こちらの常識が通じる相手でもあるまいと、シーザーは『オド』を張り巡らせ周囲の異変を感知する。どうやら真下に潜伏している様だ。
「……いや、邪神だから違うのか。まあ、いい。どちらにせよする事は同じだ」
「そうだな。ま、バカは事務方に任せてこっちはこっちの仕事を片付けようか」
エルトも『レッキス』のセンサーで目標を感知。本土へ逃れられては目も当てられない――二人は各々の得物を手に、海中へ潜む邪悪に対して追撃を開始した。
「戦闘の主導権はこっちに握らせてもらおうか」
空中からエルトは【守護擬精】を発動――プライマリは流体を操作するスルーア、流体操作で空気を圧縮して不可視の炸裂弾を生成し、海面を次々と穿つ。まるでフォークで抉られたケーキの様に、なだらかな海面に無数の大きな傷跡が付けられて、その奥へ炸裂する空気の炸裂弾が気泡と共にうっすらと赤い色を浮かび上がらせた。
「フム、矢張りこの下のようだな……」
続けてシーザーの『オーラセイバー』がその刀身を限りなく伸ばし、エルトが付けた傷跡に向けて輝く刃を振り下ろした。怪力が張力と水圧を押しのけて海面を割り、Vの字に裂けた海中の断面から、傷ついたギガントがのっそりとその姿を現した。
「ターゲット確認、掃討戦に移る」
「右に同じだ。自ら退路を塞いだか、可哀そうに」
マークされた巨猿はその場にいては逃げる事も敵わず、海中で慌てて竜首島へと進路を変えた。しかし容赦の無い、二人の猟兵の追撃は止まる事を知らない。そして――隆起した海面から巨猿が再び姿を現すのに、そう時間は掛からなかった。
「ターゲット目視確認、ウェポン選定。見たところ近接特化の脳筋なら、こいつだ」
エルトは距離を取って、レッキスが手にした『ビームライフル』と『グレネードランチャー』から追い撃ちをかける。光条が海面を舐める様に照射されれば、榴弾がギガントの側面で爆ぜて、再び海中へ逃れる事も敵わない。そして目に見える攻撃を避けられても、第三の――目に見えぬ圧縮空気弾がギガントの腹部へ炸裂し、筋の切れ目からぼたぼたと赤い血が流れる様が見えた。
海中へ逃れても先の様に目に見えぬ攻撃が、せめて林の方へと逃げられれば――ギガントは痛みを堪え、海中で拾った巨岩を渾身の力を込めて放り投げた。
「そんな物が、当たるか!」
尚も追撃の手を緩めないエルトは、その場から下がる事無くギガントを照準に納め続ける。傷を負った巨猿の必死の一撃はエルトの眼前で海面に落ちるが、その威力が飛沫を上げてレッキスの全身に浴びせられた。
「センサーが、それでも……!」
一瞬、上げられた飛沫がレッキスのセンサーを阻害する。だがそれだけで十分。必死の形相で逃げるギガントは、その隙にようやく陸地へと逃げ延びた。
「慌てるな、私はどこへも逃げたりしないよ」
ギガントの前にはシーザーが、既に先回りして砂浜の上で待ち構えていた。
「故に、正面から相手をしてやろう」
タイを緩め指先で挑発するシーザー。それを見て怒り狂った様に雄叫びを上げるギガント。流血の痛みを吹き飛ばす様に、空気と大地を震わせてシーザーを恫喝する。
「気合十分か、ならば手加減は無用だな」
瞬間、砂浜を蹴り飛ばしてシーザーが動いた。刀身を隠す様に手にした光刃を、脇構えから瞬時に振り上げる。その動きに合わせて、ギガントも手にした棍棒を勢いよく振り下ろした。
詰められた間合い、交錯した光刃が棍棒をばらりと切り落とす。しかし既に用を成さない棍棒の柄を投げ捨て、ギガントが一歩踏み込み――その挙動を見切ったシーザーは半歩前に、光刃を放した手を握り締めて【バベルの消失】を放つ。
「消えたまえ」
血に塗れたギガントの鳩尾に必殺の一撃が入る。その衝撃で遥か遠くへ、祠から離れた浜辺へとギガントは吹き飛ばされた。
止めを刺さんと吹き飛ばされた先へ向かった二人は、血痕と足跡だけが残された砂浜を見て顔を合わせた。
「タフだな、これでまだ動くか」
「何、有象無象を取って喰らう輩でもあるまい」
奴は生きている。
そして恐らく、二人の猛攻を受けその怒りは頂点に達しているであろう。
手負いの獣の恐ろしさ事を身をもって知る二人は、残された痕跡を追って歩を進めるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
蓮条・凪紗
●
島流しの地、なら相当な怨念や負気が溜まってるんやろな。
禍つ神を怒らせたんなら鎮めなアカン。
ま、オブリビオンなら骸の海にお帰り頂くだけや。
で、何なんこの類人猿。
脳筋な気やろこいつ。いや、見た目で判断するんも良くないか。
基本は札を投擲しての遠距離攻撃。
共におる連中の援護射撃的に立ち回る。
あの筋肉で殴られとぉないし、間合い詰められないように。
オレ含めて、皆が砂地に足取られんよう注意。
逆に誘導して敵の巨体を脆い砂に埋められれば僥倖。
式神顕現は「太陽」。本物の太陽と重なるように幻影出現。
本日は晴天なり。お天道さんも元気一杯やし。
攻撃命中一点集中のソーラービームを脳天から一撃ぶっ放す。
消し炭にしたるわ。
オリヴィア・ローゼンタール
●
祠や堂を粗末に扱うとは……
不信心者にお説教をしたいところですが、そちらはもう対処されているようですね
【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎の魔力を纏い攻撃力を増大
人と猿の中間のような姿ですね
獣は火を恐れますが、あまり通用しなさそうですか
【怪力】を以って聖槍を振るい、リーチを活かして戦う
攻撃を【見切り】、【槍で受け】流して【カウンター】で【串刺し】
見た目に違わぬ怪力……ですが、力強さはあなたの専売ではありません
【ジャンプ】や【クライミング】で木の上に登ったり(地形の利用)、【ダッシュ】や【スライディング】で翻弄する
攻撃よりも追うことに意識を取られた瞬間に攻撃を叩き込む
●南海の大決闘
「島流しの地、なら相当な怨念や負気が溜まってるんやろな」
蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は先程の戦いの最中、陽気な海兵達と共に祠を修繕して、一通りの作法を済ませた所だった。
「ええ。そんな所の祠や堂を粗末に扱うとは……」
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)も一緒に、宗派は違えど祈りは同じ。祀られていた土地の神様へお勤めを果たしていた。
「不信心者にお説教をしたいところですが、それはもう対処されているようですね」
「そうみたいやな。ま、そんなんでも禍つ神を怒らせたんなら鎮めなアカン」
気が付いたらそこら中に火の手が上がり、辺りには焦げた臭いが充満していた。このままだと島内も危ないのではないかと、二人は揃って他の祠に異常が起きていないか、林の中を調べていたのだった。
「で、何なんこの類人猿」
そしてそれは突然現れた。3mを超す巨躯、腹部には真っ黒なかさぶたが――あるいは患部を焼き固めたのだろうか、その周りには飛び散った鮮血の跡が痛々しく残っている。
「人と猿の中間のような姿ですね」
全身を覆う体毛は猿のそれ。所々がつるりと皮膚を曝け出してはいるものの、やや前傾じみた姿勢が人では無いとその正体を明らかにさせる。
「ま、オブリビオンなら骸の海にお帰り頂くだけや」
そして巨猿はまだ、二人には気づいていない。凪紗は『二十二の秘符札』を手に取って念を込めた。
「ほな、いこか」
先ずは奴をここから追い払う。風を切って放たれた金属札が、ギガントの傷ついた腹部に突き刺さる。苦悶の表情を浮かべてぎょろりと猟兵を睨み返すギガント。しかし凪紗の手は止まらない。続けて放たれた力ある札はギガントに自由を許さず、足元、手元と枷の様にその動きを封じ込める。
「獣は火を恐れますが……あまり通用しなさそうですかね」
オリヴィアが手にした『破邪の聖槍』に魔力を込めれば、破魔の炎が『黄金の穂先』に灯される。そして【トリニティ・エンハンス】で強化された身体能力がその身体を飛翔――生い茂る木々を蹴り上げ軽々と上に登り、凪紗が足止めしているギガントへ上空から必殺の一撃を叩き込む。
『UBoooooAaaaaaa!!!!!!』
深々と肩口に刺さった聖槍がギガントの身を焼き、傷口からは肉の焼ける香りが漂う。完璧なコンビネーション――そのまま着地し、引き抜いた聖槍で再び貫かんと、オリヴィアは腹部に向けてその穂先を奔らせた。しかしギガントもただでは終わらない。
「矢張り、一筋縄ではいきませんか」
穂先が突き刺さる瞬間、ギガントの腕が『白銀の柄』をつかみ取り、剛力を込めてその威力に拮抗した。流石、見た目に違わぬ怪力とオリヴィアは嘆息する。
「……ですが、力強さはあなたの専売ではありません」
ぐわん、とギガントの足が宙に浮く。地に足がついていれば力を込めるのは容易い、後は支えと加える力の加減だけ。目の前の小柄なシスターのどこにそんな力があるのかと狼狽するギガントに、遠くから続けて金属札の連弾が飛ぶ。
「見た目で判断するんも良くないが――いや、やっぱ脳筋な気やろこいつ」
身動きの取れない巨体の急所に一つ、二つと突き刺さる札がギガントに悲鳴を上げさせる。その叫びが木々を揺らして、慌てて聖槍から手を離したギガントは、再び浜辺の方へと逃げていった。
「蓮条さん、あの」
逃げるギガントを見やり聖槍の血振りを済ませると、オリヴィアが静かに口を開く。
「私は脳筋じゃありませんよ?」
シスターはにこりと柔和な笑みを浮かべて小首をかしげた。
「……し、知っとるわ」
ほな追おうか、と話題を切り替える凪紗。見た目で判断するのは良くない、と呟いて。
「砂地に足を取らせれば――オリヴィア、少し時間をくれ」
ギガントは翳りを見せ始めた空の下、辺りを見渡しながらのそりと歩みを進めていた。火の手が上がる祠の方へは進める訳もなく、背後の追手に掴まらぬ様、警戒を解かずに前へと進む。
「分かりました。仕上げのタイミングは任せます」
宣告すると同時に跳躍――オリヴィアはギガントの前へと踊り出る。再び聖なる炎を掲げ、一歩、一歩と間合いを詰めた。
『UuuuBoooooAaaaaaa!!!!!!』
自慢の怪力を封じられた恐るべき相手を前にして、再び退路を探すギガント。しかし視線の先にはもう一人――凪紗が既に止めの一撃を放たんと待ち構えていた。
「――我が名において来たれ、神秘の札に宿りし識よ!」
そして僅かな雲の切れ間から太陽が――否、幻影の灼熱が、ギガントの身を滅ぼさんとその牙を剥いた。
「まだまだお天道さんも元気一杯やし。消し炭にしたるわ」
太陽と重なる様に――【式神顕現「正逆之秘霊」】で呼び出された太陽の式神が、全てを焼き尽くすソーラービームを放ってギガントに照射される。上空からの攻撃では逃げ場も無い。そして今度はシスターのけん制がギガントに自由を与えない。
『UBoooooAaaaaaa!!!!!!』
じわり、と再び肉の焼ける香りが漂い始める。傷口は裂けて、再び全身を流血が襲う。その痛みで狂った様に砂浜をのた打ち回るギガント。これで終わりか……そう思った矢先、猟兵達は異変に気付いた。
のた打ち回り巻き上げられた砂埃の中のギガントが、突如姿を消したのだ。
血の混じった砂塵を散らして――恐らく、砂の中を掘り進んで逃げたのだろう。
山積みになった血塗れの残滓を見やる二人。だが奴は相当の手負いだ。
つまり、第一の戦いが終局を迎えようとしている。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
御形・菘
●
いいねが欲しいという熱意、妾には責められんよ(ブーメランが刺さるし)
しかるべき筋からきっちり大目玉を食らったなら、妾からはノーコメント!
策を講じて対処などとつまらんことを、妾がするはずがなかろう?
当然、真正面で相手するとも
30cmの至近距離は、妾にとっても最高の間合いよ
さあ、まず先手は譲ってやろう!
楽しく派手に殴り合おうではないか!
防御は右手で制御した邪神オーラだけに任せ、左腕と頭突きでガンガン攻めるぞ
尻尾を巻き付け、様々な部位の行動阻害をしながらな
はっはっは、お主のようなドストレートに物理全振りな邪神とバトれるとは、実に嬉しいぞ!
期待上げられた巨躯、美しくも素晴らしい!
だが妾の方が強い!
ニア・スクニロトマ
●
怪獣〜〜〜〜?
この値を差し置いて楽しそうなことしてるじゃないか!
まっ、封印されて解き放たれたと思ったら攻撃対象にされるのはかわいそうだけど、オブリビオンに情けは無用!
あたいこそはアルダワの怪獣博士スクニトロマ!殴り合いがお望みなら、相手になってやる!
鎧装のテクノロジーを満載した着ぐるみ「原始怪獣ジュギラス」で相手するぞ。こいつは追い詰められると体内の原始炉(原子炉じゃないよ)がオーバーヒートして炎に包まれるんだ。
これでサイズ差の問題はカバーだ、さあ殴り合おう!
「いいねが欲しいという熱意、妾には責められんよ……」
吹き荒ぶ海風に身を任せ、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は腕を組んで海を眺める。心の中でブーメランが飛ぶし、と呟いて。(ここはスーパーで処理)
「しかるべき筋からきっちり大目玉を食らったなら、妾からはノーコメント!」
くるり、と振り向きのしのしと林の方へ歩みを進める。その動きに迷いは無い。
「策を講じて対処などとつまらんことを、妾がするはずがなかろう?」
ガシッ、とその腕を高々と天に伸ばし、力強く宣言する。
「当然、真正面で相手するとも! 楽しく派手に殴り合おうではないか!」
そして沈黙。しばらくしてから『天地通眼』を呼び戻して録画を確認する。
「……よいしょっと。さて、良い画は撮れてるかのう。おお、逆光が何かいい感じ」
「しかし、ギガントなんちゃらはどこにおるのか……」
浜辺に座り込み動画の編集を始める菘。そこにのそりと、大きな影が姿を現した。余りにも巨大なそれは、全身に無数の傷をつけた巨体を庇う様に、菘からそろりと離れようとした。
「ややっ、お主大丈夫か! 全身血だらけではないか!?」
編集の手を止め、目の前にいる傷だらけの巨人に手を差し伸べる菘。すぐさま『八元八凱門』で巨人の傷口を塞いで、形ばかりの止血を完了した。端々から滲み出る鮮血が痛ましいその姿を見かね、二人は揃って浜辺に座り込んで休む事にした。
「これで止血は大丈夫じゃろうが……うんうん、何々?」
「見つけたぞーッ!」
静寂を切り裂いて叫び声が木霊する。ニア・スクニロトマ(蒸気工学/魔法生物学/宇宙物理学博士・f06973)が自慢の怪獣鎧装を纏い、のっしのっしと二人の方へと近付いて来たのだ。
「このあたいを差し置いて楽しそうなことしてるじゃないか!」
「静かにせい、今休憩中じゃ。あ、まだカメラ回しといて。特典映像で使うからの」
何この空気読めない怪獣おばさんと言わんばかりの雰囲気を察する事も無く、ニアは高々と名乗りを上げる。
「あたいこそはアルダワの怪獣博士スクニトロマ! 殴り合いがお望みなら、相手になってやる! って何してるんじゃーッ!」
所々で咆哮音のSEが入る便利な『原始怪獣ジュギラス』の着ぐるみの尾をブルンブルンと振りかざし、ビターンと砂埃を巻き上げてニアは叫ぶ。
「いや何かのう、人間が己に火を点けたり火を点けたり火を点けたりして虐めて来るんじゃって」
「火しか点けてないだろう!」
いや充分酷いじゃろ……ニアのツッコミに菘が呟く。菘は巨人の愚痴を聞いていた。これまでずっと燃やされ続けていたのかとその所業を憐れむ菘に対して、巨人がぼそりと呟いた。
「また火を点けるつもりか、と言っておる」
「点くよ! ボーボーに燃えるよ!」
火に油を注ぐどころか強制着火。正に悪魔の所業と言わんばかりの宣言に、巨人が僅かに怯んでしまう。その姿を見て菘は溜め息を交えつつ、ニアへ返した。
「いやもう火はいいんじゃないか」
菘の優しさに巨人はか細い声で同調した。傍目には唸り声としか聞こえないが。
「そうだ、そうだとこ奴も言っておる……って、お主の名前は」
ふと思い出したかの様に菘は巨人にその名を問う。その名はギガントと聞こえた。
「お、お前かぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その叫びと共に全周のカメラドローンが全てアクティブに。続けて菘の『尤物狂雅』がギラギラと光を放ち、おもむろにギガントに向けて指を差した。
恐らく編集で、ここにタイトルバックが入るのだろう。
●地球最大の決戦
既に【逆境アサルト】な菘は両手を広げてギガントを待ち受ける。
「さあ、まず先手は譲ってやろう!」
王者のポジション、主導権をくれてやる事で絶対の自信をアピールし、懐に入ったギガントから鳩尾に結構イイのを貰った。凄いイタイ。
「お主、結構……やるではないか」
「あたいを忘れるなッ!」
カメラ目線を忘れずに早速膝をついた菘の後ろから、今度はニアが躍り出る。
「封印されて解き放たれたと思ったら攻撃対象にされるのはかわいそうだけど」
重量級の足音を響かせギガントへ向かいながら、ジュギラスの戦闘管制を近接戦闘へ移行。視界を覆う情報の束が瞬時に引いて、目の前の巨大な敵が大写しとなった。
「オブリビオンに情けは無用!」
咆哮音と共に跳躍。研ぎ澄まされた軽合金の爪が鈍く光を放ち、鋭い一撃がギガントの首筋を狙う。
「さあ、「原始怪獣ジュギラス」で相手するぞ!」
ジュギラスの一撃を、それでもギガントはすんでの所で受け止める。首筋を守った大腕に爪がめり込み、飛び散った鮮血が辺りを染める。
「少しは知恵が働くようだねぇ……でも!」
宙ぶらりんになったジュギラスは自慢の尻尾を大きく振って、ギガントの顔面に一撃を加えた。視界を遮られ、あまつさえ皮膚の薄い顔面を狙われたギガントは怒りに身を任せてそのまま大腕を振るう。
「って、やっぱりサイズ差かぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
刺さった爪がするりと抜け、その勢いでジュギラスは後方へと吹き飛ばされた。
「痛た……だが、こいつは追い詰められると体内の原始炉(原子炉じゃないよ)がオーバーヒートして炎に包まれるんだ!」
「ヤ○グエリート! カド○ウム弾持ってきて!」
再び環境保護団体が目を覆いたくなるような惨事を前に菘が叫ぶ。既にジュギラスは真っ赤に燃え上がり――【赤熱原始怪獣ジュギラス】と化していた。
「これでサイズ差の問題はカバーだ、さあ殴り合おう!」
「そういう問題ではない! 来年度を無くす気か!?」
その炎の色がギガントを怯ませる。ほんの僅かの隙……それこそ、菘が狙った絶好の撮れ高ポイント。崩れた身体を置き上げて、右腕に黒い邪神オーラを滾らせながら、跳ねた尻尾の勢いで一気に間合いを詰めた。
「……この距離は、妾にとっても最高の間合いよ」
今度は菘がギガントの懐に――痛みを堪え、渾身の左を脇腹に喰らわせてやる。
「お主のようなドストレートに物理全振りな邪神とバトれるとは、実に嬉しいぞ」
しかしギガントも今度は引かない。攻撃を受けたまま、返す刃で同じく左のストレートを菘の顔面に叩き込む。
「ゴフッ! 流石だの……その鍛え上げられた巨躯、美しくも素晴らしい」
血を吐きながら頭突きをギガントの下顎に喰らわせる。重量級の一撃がぐらりと、ギガントの体勢がよろめかせた。
「だが――妾の方が強い!」
「捉えた……口からビーーーーム!」
立ち上がれぬ様片脚に尻尾を巻き付けて、崩れた身体に止めの一撃を。残された漆黒の右がギガントの心臓を貫いて、合わせてバーニングジュギラスが放つ赤熱化した渾身の『熱線放射』が頭頂を爆ぜさせる。そしてそのまま、ギガントは地に伏せた。
「フハハハ……骸の海へ還るが良い」
最早叫ぶ事も叶わない。首から上の無いギガントはその血を残して姿をかき消したのだった。長きに渡った上陸戦は、ここに一応の決着を迎える。
「滅びた種か。生まれる世界が違えば」
菘が鮮血の跡に、島で拾った花を手向ける。
「ああ、きっと良い怪獣になっていた!」
「違うわ!」
全身を使った激闘を思い返して頷くニアに菘がツッコむ。
これで戦いは終わった――否、始まったばかりだ。
『Gyaaaooooooooooooooon…………』
不意に林の中で、何者かの叫びが木霊した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『暴れまわるティラノサウルス』
|
POW : がぶがぶ
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : びたーん
【尻尾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : がおー
【大きな鳴き声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●急に泣き出した空
空に陰りが――ちらついていた雲がその数を増したかと思えば、今度は突然の雨が竜首島を襲った。南国ではよくあるスコールの様なものだろうか。
『Gyaaaooooooooooooooon…………』
再び、林の中から叫び声が聞こえる。それも一つだけじゃない。
『Gyoooaaaaaaooooooooon…………』
『Gyaaaaaaaaaaaooooooon…………』
『Gyaaaooooooooooooooom…………』
それぞれ微妙に違う、複数の叫び声。がさりと木々を揺らして、その声の主らが姿を見せた。
ティラノサウルス・レックス――地上最大の肉食恐竜。
それらの様なオブリビオン、だろう。何故ならばそのどれもが微妙に違う。
二足歩行の様な姿のモノ。
首を降ろして尻尾を水平に駆けるモノ。
首周りに羽毛めいた羽根を生やしたモノ。
そのどれもが、ティラノサウルスである事は間違いないが、それは人間の記憶が生み出したティラノサウルスという概念めいた存在か。
『Gyaaaooooooooooooooon…………』
くるりと、踵を返してティラノは林の中へと戻る。
残る祠は4つ。
今度は林の中に点在するそれらを全て、元に戻さなければならない。
そしてその時は、あのティラノと再び見える時になるだろう。
雨はいつの間にか、止んでいた。
※プレイングは6/23(日)8:30以降に受付いたします。
※次回は集団戦です。敵が沢山出てきますので、対多数戦を想定して下さい。
※ティラノサウルスは凡そ全高5m前後です。
御形・菘
それだけ恵まれた体躯、威容を持ちながら、群れて戦うとはつまらんのう
(鱗持ち的な意味で)同類として、上下関係をきっちり示してやるとしようか!
右腕を高く上げ指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 元気かのう皆の衆?
初戦からかなりアガったと思うが、次は下っ端どもをボコって掃討よ
で、此奴ら鳴き声で攻撃をしてくるそうでな
そこで! 皆の声援を、歓声を! 妾とこの場の皆に叩き付けてくれ!
小者どものイキりを掻き消すぐらいの勢いでな!
さて、お主らが距離を詰めるか離れるか、どう動き攻めてこようと関係ない!
元気パワーMAXの妾の前では、何ら違いは無いのだからな
せめて最善の連携と全力で掛かってこい!
ニア・スクニロトマ
あたいにはサイズ差を補って余りある技術があるっ!
今のあたいは地獄怪獣コキューモン! 永久凍土から現れた(300文字ほど略)シロクマのような怪獣だっ!
そして、恐竜相手ならこの冷凍光線をくらえー!
こいつはただ命中した対象を凍らせるだけじゃない。周囲の気温を下げてしまうんだ。
ふふ、寒さに弱い恐竜と、一方こっちは寒い中でも動きが鈍らない地獄怪獣! 時間が経てば経つほど、戦いに差が出てくるはずだ!
まぁ、他の猟兵もちょっと寒い思いをする可能性はあるけど、我慢してもらおう!
まさか水着で怪獣退治に来るやつなんていないだろうから、大丈夫!
この暑いなか着ぐるみを着てきたあたいの執念を思い知れ!
テン・オクトー
●
どう考えてもボクは捕食される側…怖いなあ。なるべく戦闘回避して祠修復頑を張りたいところ。
祠もまだいっぱいあるし、ティラノ達からは逃げたいしで、先日猟兵お給料で買った三輪車で走り回ってみるよ。ケットシーサイズだから林の中でも平気平気。
WIS
がおー攻撃に対しては【見切り】つつ三輪車で【ダッシュ、クライミング】して、ちょこまか回避してみるね。無差別攻撃するなら同士討ちしてくれないかな。三輪車乗りつつ【UC】も使って場を混乱させるよ。
三輪車行動で体力温存出来てるから、祠見つける事が出来たら修復頑張るね。
連携アドリブ大歓迎。
●ダイナソー・クライシス
「それだけ恵まれた体躯、威容を持ちながら、群れて戦うとはつまらんのう」
自身の倍近い巨躯の肉食恐竜の群を睨み、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は不敵な笑みを浮かべる。揺れる巨躯が樹上の雫を滴らせ、ぽたりと落ちた水滴が菘の肩を濡らす。
「フン、同類として上下関係をきっちり示してやるとしようか!」
鱗持ち的な意味で! 巨猿を退けたのも束の間、戦端は再び開かれる。
『Gyaaaooooooooooooooon!!!!!!』
威嚇の雄叫びを上げるティラノを意に介さず、菘は右腕を高く上げて指を鳴らす。
するとシロクマがのそりと奥の林から現れたのだ。
「え、いや、お主じゃなくてのう……」
「今のあたいは地獄怪獣コキューモン! 永久凍土から現れた(300文字ほど略)シロクマのような怪獣だっ!」
「そんな説明聞いとらんわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
喝采は妾に降り注ぐべき、なのに。突如現れたニア・スクニロトマ(蒸気工学/魔法生物学/宇宙物理学博士・f06973)の纏う『地獄怪獣コキューモン』の姿においしい所をもっていかれ、呼び出した【喝采よ、妾に降り注げ】――『生配信視聴者が映る無数の空中ディスプレイ』が新怪獣の登場に興奮の声を上げる。
「まあ、盛り上がっとるし……これはこれで」
「出演料は応相談よ!」
「カメラの前で楽屋の話はしないで!」
確かに効果は――オーディエンスの熱狂が菘に力を与えている。だがそれはそれ、これはこれ。カメラは止めるな、回すのは舞台、倒すべきはオブリビオン。楽屋の話は戦場に持ち込まない。
「……そういう訳よ。それにもう、止まる訳にはいかんのでなあ!」
くるりとティラノに向き直り、そしてカメラに目線をくれてやる。
「はーっはっはっは! 元気かのう皆の衆?」
主役は妾、主役は妾と心の中で強く念じて、菘は大仰な振る舞いでスクリーンに映ったオーディエンスを煽り続ける。
「初戦からかなりアガったと思うが、次は下っ端どもをボコって掃討よ。で、此奴ら鳴き声で攻撃をしてくるそうでな」
ビシィ! と恐竜の群に指をさし、オーディエンスに神託――オーダーを告げる。
「そこで! 皆の声援を、歓声を! 妾とこの場の皆に叩き付けてくれ! 小者どものイキりを掻き消すぐらいの勢いでな!」
湧き上がる歓声、狂騒、熱狂。それはティラノの咆哮を塗り潰す。そしてこの場の支配者は誰であるかを告げる様に、菘は恐竜の群れの中へとその身を投げ込んだ。
ティラノが如何に声を上げようと最早届かない。ブンと振られた尻尾を飛び越え、手にした『八元八凱門』が鈍く光れば、刻まれた印から鋭い刃をティラノの首筋へ放たれる。散らされた血の飛沫が辺りを濡らし、緑を赤く染めて。血の中で舞い踊る菘の威容は、正しく現世に解き放たれた邪神そのものだった。
「盛り上がってるねぇ。こっちもやるよ!」
内蔵モニタに映された兵種画面から冷線砲を選択。照準がニアの眼前に展開し、コキューモンの周囲に冷気が漂い始めた。
「恐竜相手ならこの冷凍光線をくらえー!」
「へくしょん!」
爬虫類なら効果絶大だろう。冷気の一撃を放たんとした刹那、直前に集音マイクが可愛らしいくしゃみの音を拾った。ここにはあの邪神と自分しかいなかったはず。
「なるべく戦闘回避して祠修復を頑張りたいところだったけど……」
ガラガラと『オート三輪』の排気音を立てて、テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)が姿を現した。足元には霜が張っていて、動きは微妙に覚束ない。
邪神が乱舞しシロクマが場を凍らせる中、オクトーは溜息を吐いて叫びを上げた。
「祠をさ、直そうよ!」
「撮れ高が」
「怪獣が」
ええい面倒。ニアが冷線砲を起動して、恐竜の群に無慈悲な一撃をぶちかます。水滴が氷となって樹木を瞬時に凍らせて、悍ましさを感じる程の冷気が場を包み込んだ。そして冷線砲が直撃したティラノの頭を凍らせ、そのまま頭部を破砕する。
「ドリルが無いだけ有難く思う事だね。さあ次の相手はどいつだい!?」
余りに強力なその威力にたじろいだ恐竜達は、後から現れたちいさな闖入者に狙いを変えて、その身を喰らわんと威嚇の咆哮を上げた。
「ちょっと今話をしてるんだ、邪魔しないでくれるかな?」
だがそれは誤算――この小さきものは、そもそも自身より大きいモノとしか戦ったことが無い。そんな威嚇が通じる相手では無かった。そして若干怒っている。
「大体大きいのばかり相手にしてきたんだ、それに」
オクトーがふわりと手を掲げれば【ジャッジメント・クルセイド】――裁きの光が焦る恐竜の群へと放たれる。既に幾度も邪神を屠ったこの光、群れなければ戦えない有象無象など、そもそも物の数ではない。余り戦いたくはない巨大な恐竜と言えど、オクトーにしてみればそこらの触手と何ら変わらないのだ。
「寒くても、ボクには毛皮があるからね」
シロクマの着ぐるみを見やり親指を立てるオクトー。ちょっと寒いのは本当だけど、マグロの冷凍庫よりは大分マシ。
「ふふ、そういう事。寒さに弱い恐竜と、一方こっちは寒い中でも動きが鈍らない地獄怪獣! 時間が経てば経つほど、戦いに差が出てくるはずだ!」
「ぶえっくし!」
オクトーのサインに応えて気合を入れるニア。そして迷惑そうな菘。成程同じ爬虫類系、寒いのはちょっと苦手な所だった。
「ちょっと寒い思いをする可能性はあるけど、我慢してもらおう!」
「コッチヲミロ」
憤る菘をちょっとだけ見て、コキューモンは直ぐにティラノの方へ顔を向け直す。まあお互い言葉はなくとも、何となく感じていた。それはオクトーも同じ。
「フン、多少寒かろうと……元気パワーMAXの妾の前では、関係ないわ!」
「そうだ! そしてこの暑いなか着ぐるみを着てきたあたいの執念を思い知れ!」
「悪いけど恐竜さん、ここから先は怪獣の時間だよ。ボクは猛獣だけど」
幸い移動はオート三輪、体力はそこまで消耗していない。祠は後で直すとオクトーも決意を新たにして、先ずはこの戦いに勝つ。
『Gyaaaooooooooooooooon!!!!!!』
「威勢だけか? せめて最善の連携と全力で掛かってこい!」
「ガオォォォォォン!!!!!!」
「にゃぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
咆哮を返す二人に続いて、菘が叫ぶ。
「はーっはっはっは! 参るぞッ!」
全ては撮れ高の為に。揃った三つの影が再び戦場を飛翔した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
シーザー・ゴールドマン
【POW】
類人猿の次は恐竜か。
ふむ、ドラゴンとはまた違ったロマンを感じるね。
まあ、様々な説を採用したような姿を見るに実際の存在とは違う様だが。
『ウルクの黎明』を発動。天を舞って戦闘態勢へ。(空中戦)
基本的には頭上からの魔法攻撃。
複数纏まっている場合は広範囲の雷攻撃
天雷(属性攻撃:雷×串刺し×投擲×範囲攻撃)
単体相手には天からの巨大な鉄槌
天墜(属性攻撃:鉄×串刺し×投擲×鎧砕き)
敵POWUC対策
がぶがぶのタイミングを見切って、口を開けた瞬間にそこ目掛けて天墜の一撃を放ちます。
(第六感×見切り→カウンター)
恐竜型ではあるがオブリビオンなのでジャンプとか想定外の動きも考慮しつつ戦闘。
オリヴィア・ローゼンタール
驚きましたね、UDCアースにもドラゴンがいたとは……
【偽槍展開】にて複製槍を作成し【念動力】で周囲に待機させる
数が多い上になかなか大きい……安全策でいきましょうか
【怪力】を以って複製槍を【槍投げ】【投擲】
鱗と巨体で頑丈そうだが、そういう手合いは慣れている(鎧砕き)
上手く突き刺されば【属性攻撃】で穂先から炎を噴出させて内側から焼く
囲まれないように距離を取り、木や岩の影に身を隠しながら戦う(地形の利用)
ドラゴンスレイヤー……勇者らしい戦い方ではありませんが
尻尾攻撃は【ジャンプ】や【スライディング】の身のこなしや【聖槍で受け】流して回避
噛み付きには槍を突き立てて自身の咬筋力で貫かせるように
●真紅と聖女
林の中、恐竜の群が闊歩する。現代日本のUDCアースでは本来あり得ない光景。
「驚きましたね、UDCアースにもドラゴンがいたとは……」
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は目の前の悪しきものを前に故郷を思う。それだけ、この世界も歪んでいるのだろう。
「ふむ、確かに似ているがあれは恐竜。ドラゴンとはまた違ったロマンを感じるね」
類人猿の次は恐竜か、とシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が呟く。自信に満ちたその姿は戦を愉しむ手練れの風格を醸し出す。
「ロマン、ですか?」
「ああ。まあ、様々な説を採用したような姿を見るに実際の存在とは違う様だが」
オブリビオンである事は変わりない。つまり猟兵の敵。
「私は、そこはかとない悪しき意思を感じます」
「それも間違いない。姿形はどうであれ、中身は一緒だ」
GRuuu……と恐竜が唸り声を上げる。どうやら気付かれたみたいだ。
「戦いにロマンがあるとでも?」
「気の持ちようだ。何、好き好んで血生臭い業に正面から向かう事もあるまい」
戦い方はそれぞれ。誰もが聖人めいたお題目だけで剣を取れる訳ではない。そしてそれを咎める必要は無い事も、余程尋常ならざる理由でも無い限り、理解している。
「それは……そうですね。行きましょうか」
オリヴィアは『破邪の聖槍』を手に取り【偽槍展開】――42本の複製を自身の周囲に顕現する。敵の数が多かろうと、やり様は幾らでもある。
「ああ、狩りの時間だ」
そして【ウルクの黎明】――全身を真紅のオーラで覆ったシーザーが飛翔し、眼下の敵を睥睨する。ここに、第二の戦端が開かれた。
『Gyaaaooooooooooooooon!!!!!!』
咆哮を上げ突進する恐竜の群――十数頭程だろうか。大地を揺らし木々を薙ぎ倒すその威容を前に、オリヴィアは落ち着いて聖槍の複製を一本ずつ投げ放つ。如何に強靭な皮膚だろうと怪力の前には為す術も無い。強靭な膂力が放つ一撃は空を裂き、無謀に突進してくるティラノの首筋、脇腹、大腿と、一頭ずつ確実に串刺しにした。
『GuuuuAoooooooon!!!!!!』
それでも突進は止まらない。突き刺さった槍の柄を揺らし、傷口から血を撒き散らしながらオリヴィアへと向かう恐竜。しかしこういった手合いは、慣れている。
「数が多い上になかなか大きい……安全策でいきましょうか」
正面から迫る巨躯をくるりと、片脚を軸にしてその場で回りながら躱す。ひらりと翻ったスカートが闘牛士の様、手にした聖槍がそのままティラノの足首を切り裂いて、その倒れ様に石突で後頭部を抉る様に穿つ。悪あがきに振られた尻尾を跳躍で回避して、止めの一突きを喉元に。
「ドラゴンスレイヤー……勇者らしい戦い方ではありませんが」
その猛威に一瞬たじろいだ恐竜の群が、突如狂った様に悲鳴を上げる。鈍重な巨躯――血の巡りが悪いのか、己の傷口が燃え始めている事にようやく気が付いたのだ。
「祠に火の手が回らない様、気を付けなければなりませんね」
悲鳴を上げようとするティラノの顎を、貫いた『黄金の穂先』がばっくりと切り裂く。血飛沫が咲かせた真紅の花の上で、オリヴィアは大群に対峙した。
オリヴィアの攻防から少し離れた場所、その場をぐるぐると回りながら様子を伺う恐竜の群に、天から雷の洗礼が降り注ぐ。
「休んでる間など無いよ、既に戦いは始まっている」
それはシーザーの魔術。放たれた閃光はティラノの皮膚を舐める様に這い、衝撃が内蔵をズタズタに焼き尽くす。肉の焼け焦げた匂いが辺りに充満し、力無く倒れ伏せる恐竜達。その中で生き延びた僅かなティラノが、ぎょろりとその双眸で上空のシーザーを睨み、怒りの咆哮を上げた。
「そう大口を開けるのならば、喰らわせてやろう」
これが最後の晩餐だ、と続けざまに巨大な鉄槌を生成する。属性魔術のちょっとした応用――元素を組み合わせ形状を操作する、即席の武装生成。単純な質量兵器故に、鉄槌くらいであれば容易いモノであった。
「ゆっくり味わうがいい、味わえるならば」
鉄槌が風を裂いて放たれる。その先端がティラノの大口へ吸い込まれる様に迫り、鮮血を撒き散らしながらその巨躯を地面へと縫い付けた。
『Gauuu……』
力無く頭を垂れて、バタンと地を揺らし倒れ込むティラノ。しかし生き延びた恐竜の数はまだまだ多い――真紅の燐光を撒きながら再び鉄槌を生成し、シーザーは次の獲物の狩りへと移った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パル・オールドシェル
今度は森林で大型爬虫類ですか……
海兵、こういう時は全員で全周警戒しながら――
うわ一瞬で全滅ですか。うーん……何故か僕のメモリーには"お約束"というワードがチラつきますが仕方ありません。
海兵の装備では場所と相手が悪かったんでしょう。ならば次の部隊を投じるまで。
というわけで戦術を防衛にシフトします。前進する猟兵を重装ドロイド部隊で護衛。
敵に飛び道具がないなら、こちらから下手な攻勢に出ずに飛び出して来た所をカウンターで叩けばいいんです。
味方を【かばい】、攻撃を【盾で受け】て隙を生み出し、シールドバッシュで押し返させます。
一度捕捉した後は深追いせずに一定距離を維持し追跡、味方の攻撃を援護させましょう。
エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎
WIZ
こうして恐竜が闊歩してるところを見ると映画の中に迷い込んだ気分だ
どっちが狩る側かは言うまでもないけどさ
さっさと元居た場所にお帰りいただきましょうか
わざわざこっちから近づく必要もないし罠を張って待ち伏せよう
【見えざる工兵】で落とし穴を作成
そこに誘導するために地形も偽装しておこう
連中の小さな脳みそじゃ罠に気付けやしないだろうけど、狙撃で流血させて血の匂いで興奮させればより確実かな
上手く策に嵌ってくれたならあとはグレネードランチャーで一網打尽にするだけ
そういや祠のパーツはどこだろう
そっちを探すほうが面倒だったりしないよね…?
●スペースシップ・トルーパーズ
『こちらデルタ、こちらデルタ、至急応援を乞う!』
『こちらチャーリー、駄目だやられた! こっちはもう持た』
「海兵、こういう時は全員で全周警戒しながら――」
『アルファよりマム、もう戦線が持たない! このままではアーッ!』
インカムには咀嚼音が響き、ガンと何かが吐き出される音と共に通信が途絶した。
「うわ一瞬で全滅ですか。うーん……」
何故か僕のメモリーには“お約束"というワードがチラつきますが仕方ありません。パル・オールドシェル(古き戦友・f10995)は陽気な海兵達が一瞬で鉄屑と化す実況を聞かされて頭を抱えた。まあ、きっと海兵の装備では場所と相手が悪かったんでしょう。
「――こうして恐竜が闊歩してるところを見ると映画の中に迷い込んだ気分だ」
通信と共にスラスター音が。音の方へ顔を向けると、そこには『レッキス』を纏ったエルト・ドーントレス(灰色の雷光・f14009)がいた。
「今しがた映画みたいに部隊が全滅した所です」
周囲をスキャンしてその有様を改めて確認するエルト。確かに恐竜の大群が鉄塊の中でうろうろと蠢いていた。ほんの僅かな時間に起きた惨劇に緊張が走る。しかし。
「それでも、どっちが狩る側かは言うまでもないけどさ」
「ええ、きっと次は上手くやってくれるでしょう」
敵の動きは分かったのだ。であれば次は早々に破られはしない。
「じゃ、さっさと元居た場所にお帰りいただきましょうか」
ガチャリと、レッキスが手にした『ビームライフル』のセーフティが外れる。
狩りはまだ、始まったばかりだ。
最早動かぬ鉄塊を踏みにじり、勝利の雄叫びを上げるティラノの皮膚を一筋の光条が掠めた。焼き裂かれた傷跡からジワリと血が流れ、つうと赤い筋を描く。
「初弾命中。奴さん、こっちに気づいた」
「確認しました。ではポイントまで誘導をお願いします」
了解、とエルトは短く返し、迫る恐竜の群に向けてトリガーを引き続ける。流血させて血の匂いで興奮させればより確実と、一頭ずつ傷をつける度にけたたましい咆哮が、そして怒りに燃える瞳がエルトに殺到した。
「そうだ、こっちだ。ちゃんと付いて来い」
スラスターを吹かしレッキスを背面飛行。やっぱり脳味噌の小さな連中だ――血を垂らしながら迫る恐竜の群に、エルトは口元を歪ませる。
「さあ戦友、出番が来ました。ヒトを護り、ヒトに仇なすものを撃滅する。僕らの任務はシンプルです――」
エルトの交戦を確認したパルは【Control:H.B.Guardians】――屈強なる重ドロイド軍団を召喚し、陣の構築に当たる。あくまで手前に仕掛けたエルトのとっておきに恐竜の群をぶつける事が目的だ。うっそうと茂る木々を伐採して即席の防壁を作り、開けた土地に塹壕を拵えて重装ドロイドを配備。布陣は着々と整いつつあった。
誘導されているとは知らずに追撃を続けるティラノは、目の前の猟兵が加速したのを逃さなかった。ここまで追って逃げられてなるものかと再度の咆哮、それに続いて後続の恐竜達も一斉に雄叫びを上げる。
「いいぞ、そのまま」
素直な良い子だ。陣まであと僅か――ここでライフルの残弾が切れる。そのまま投げ捨てて全速力で逃げるレッキス。それを好機と追撃する恐竜も速度を上げて。
『レッキス確認、1番隊行動開始』
逃げるレッキスを援護する様に上空から曲射の榴弾が飛来した。炸裂する鋼の礫が恐竜の群を血塗れにして、一頭、また一頭と脱落していく。
『着弾確認、続けて陣を後退。後退戦術に移行』
「了解です。こちらの準備は整っています」
逃げるレッキス、放たれる砲火。豪雨の様な榴弾に退路を断たれ、最早前進するしか道の無い恐竜の群は、怒りを胸に猟兵が待ち伏せる陣へと殺到した。
「そろそろ……頃合いだ」
エルトは周辺をスキャン――確認出来たティラノの頭数と現在の頭数を照合し、罠の起動を承認する。
「領域指定。コード注入。ナノマシン、始動」
それは【見えざる工兵】――無機物の分解・再構成を行うナノマシンが、恐竜の群がる足場を瞬時に崩し特大の落とし穴を作る。無論一瞬の出来事、逃げる間も無い。
『対象の無力化を確認、全軍砲撃開始』
「ええ、ちょっと可哀想ですが……止むをえません」
続けてパルと重装ドロイドが、手にした得物から立て続けに火を放つ。突進除けに立てた防壁の内側から、拵えた塹壕から、ありったけの弾薬を恐竜達へ叩き込んだ。
「そういや祠のパーツはどこだろう」
エルトは『グレネードランチャー』を撃ちつつ、思い出したかのように尋ねた。
「ああ、それならば」
濛々と上がるむせる程の硝煙を浴びて、パルはいつの間にか拾った祠を背後から取り出した。どうやら陣地建造の折に回収していたらしい。
「大事なものですからね……中身は無事です。これが終わり次第」
血と煙が晴れた頃に直しましょうと、言葉を続けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フィーナ・ステラガーデン
●
(雨に濡れた帽子をぎゅーっと絞りながら)
GyoooGyaoooうっさいトカゲね!っていうかでかすぎじゃないかしら!?
何食べたらそんな大きさになるのよ!
でかいからって良い気になってんじゃないわよ!(キシャー!)
まあでもあれね!食いではありそうだわ!
引き続き【属性攻撃、空中戦、範囲攻撃】で火を飛ばしたり
小規模爆発起こしたりして戦うわ!
獣っぽいしやっぱり火は苦手なのかしら?
よくわかんないわね!口から火とか吐きそうだし!
びたーんがびたーんしてきそうならUCで尻尾を斬るわ!
こういうでっかい怪獣の尻尾焼きとかロマンが溢れると思うのよ!
強く!激しく!気高く!思うのよ!!
蓮条・凪紗
●
でかいトカゲやな…あんなのが大昔おったってホンマ?
(エンパイア生まれなので微妙に疎い)
動き速そうやし、ちまちま詠唱しとる暇はないか。
両手の翡翠爪伸ばして今回は接近戦と行こ。
自分の腕を傷つけてその血で魂喰の衝動発動。
この血の匂いに釣られて奴等やってくるやろかね。
恐竜の動きをしかと見て避けつつ、すれ違いざまに切り裂く。
特に足の腱や首の頸動脈辺り狙いたいけど。
基本的には傷口抉るよう切り裂き。
一緒におる連中にも気を配って、互いに囲まれんようしたいとこ。
多数相手でも、攻撃する都度生命力頂戴してスタミナ回復するさかい、バテることはあらへんよオレ。
遊園地の恐竜アトラクションは暫く行かんでエエかな。
響・夜姫
5mの。ティラノ。
…モモ、ロース、バラ、ヒレ。
「いっぱいいるから。多少、雑にやっても。大丈夫そう」
倒しながら仕留め方を考えよう。
無人島でばーべきゅー。素敵。
「では、ふぁいやー」
いつも通り【誘導弾/一斉発射/範囲攻撃】。手ごたえを確かめてからフルバーストで一掃。
囲まれない様に立ち回るけど、時々全方位に範囲攻撃。
マルチなロックオンで乱れ撃ちー。
【部位破壊】で頭だけ狙ったりもする。
防御は【オーラ防御/武器受け】。サバーニャを口に突っ込ませる。
「恐竜にはそこらへんの十字架でも、食わせておけー」
戦闘後はお肉の剥ぎ取り。…消えなければ。
連携、アドリブ歓迎。
【援護射撃】で牽制も忘れない。
●踊る大怪獣島
ずぶ濡れの帽子をギューッと絞りながら、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は喚き散らす眼前の恐竜を威嚇する。
「GyoooGyaoooうっさいトカゲね! っていうかでかすぎじゃないかしら!?」
キシャーッ! と気勢を上げながら頭上の顔を睨み返し、威勢よく言葉を続ける。
「何食べたらそんな大きさになるのよ! でかいからって良い気になってんじゃないわよ! 聞いてんの、ねえ! この――」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
ひょっこりとフィーナの影から響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)が現れて、興奮するフィーナを宥める。そして。
「何よ! 夜姫も何か言ってやんなさい!」
「お姉ちゃん、囲まれてる」
ぎょろりと睨む瞳の数が徐々に増えていく。大地を揺らす巨体がのそりとその身体を起こして――いつの間にか林の中で、二人は恐竜の群に囲まれていた。
「って、あれだけ騒げばこうもなるだろうに……」
登った樹の上から祠を探していた蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は、早速窮地に陥る仲間を見つけた。そして祠も幸いその近くに見つける事が出来た。
「しっかし、でかいトカゲやな……あんなのが大昔おったってホンマ?」
ざっと見渡して10頭以上はいるんじゃないかと。放っとく訳にもいかないし、何より祠が巻き添えを喰らってはたまらない。であれば、やるべき事は一つ。
「まあ放っとく訳にもいかんやろ。ほな行こか」
ひらりと樹の上から舞い降りて、凪紗は戦場に向けて疾駆する。
じりじりと近寄る恐竜の群に退路を断たれた二人の猟兵は、しかし焦る事無く、まるで値踏みする様に恐竜達をじろりと睨み返した。
「……まあでもあれね! 食いではありそうだわ!」
「……モモ、ロース、バラ、ヒレ」
フィーナの勇ましい発言に合わせ、恐竜の部位ってこれで合ってるのかなと小首を傾げる夜姫。まあ、食べてからでいいか。姿形が残っていればだけど。
「いっぱいいるから。多少、雑にやっても。大丈夫そう」
「その通りよ! だから遠慮なく、やる!」
愛用の『マガツ/ダルク』を手に取って攻撃端末『サバーニャ』を展開――【フルバースト・マキシマム】のスタンバイを進める夜姫。続けて『花のような杖』に魔力を込め、灼熱の火球を形作るフィーナ。
「では、ふぁいやー」
豪快な発砲音が辺り一面に響き、地面と恐竜にクレーターの様な大穴を開ける。そして更に放たれた火球が恐竜の群に突っ込んで、惨劇が幕を上げた。
「びたーんびたーんって、鬱陶しいのよ!」
立ち向かったティラノが振り回した尻尾をフィーナの【首刈鎌】――平面に圧縮した炎の刃が無残にも切り裂き、傷口を焼け焦がして血液を沸騰させる。
「おのれ、恐竜にはそこらへんの十字架でも、食わせておけー」
大口を開けて噛みつかんとするティラノにサバーニャを突っ込み、脳天ごと撃ち貫く。飛び散った飛沫が辺りに血の花を咲かせ、一方的に見えた猛々しい戦場は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
しかし冒涜的な物言いを理解したのか、あるいは単なる気まぐれか、更なる怒りの雄叫びを上げた恐竜の群は左右に分かれて、挟み討つ様に突進してきた。前後から尻尾と噛みつきの連撃が二人を襲い、返す刃の巨大な火球や精密射撃がティラノを襲うが、倒れてもその屍を踏み越えて次々と現れる巨体に対し、二人とも流石に疲労を隠せない。
不意にぶぉんと、尻尾が上段から振り下ろされた。今までの横薙ぎとは違う動き――一瞬の判断の遅れが、大きな影が二人に迫った。
「危ない所やったな。それに」
間一髪駆け付けた凪紗が、すれ違いざまの【魂喰の衝動】――伸ばした両手の『翡翠の刻爪』でその影を真っ二つに、ティラノの尻尾を瞬く間に両断した。
「祠燃やしたら、アカンよ」
ちょいと伸ばした爪先で二人に指し示す。確かに祠らしき、やや小汚いオブジェが地面に転がっていた。
「さあ、血の匂いに釣られてこっちへ来い」
爪をティラノに向け直すと同時に、どろりと凪紗の腕を赤い筋が伝った。己の血を媒介にして発現した異能の力は、自身のみならず他者の生命をも媒介に出来る。凪紗は狙い通り血の匂いに釣られて飛び出たティラノの噛みつきを舞うような所作で躱しつつ、その首筋を抉る様に切り裂いた。ギザギザの傷跡から溢れる血を、その爪が啜る様に吸収する。
「……これでバテることはあらへんよ」
ブンと血振りを済ませて、凪紗は不敵な笑みを浮かべた。
「こういうでっかい怪獣の尻尾焼きとかロマンが溢れると思うのよ!」
戦いは終わった。猟兵三人の働きは圧倒的だった。火砲と火球と斬撃が容赦なくティラノを襲い、如何なる距離であろうとその追撃から逃れる事は敵わなかった。
フィーナと夜姫は容赦なく仕留めた獲物を解体し、そこら辺に転がっている枯れ枝や何やらで即席のバーベキュー会場を設営していた。その真ん中に、先程仕留めたティラノの尻尾を丸々焼き上げる為の巨大な回転肉焼き装置が鎮座している。手作りだからか随分と怪しい形状をしているが、とりあえず機能はしている様だ。
「――遊園地の恐竜アトラクションは暫く行かんでエエかな。ん……?」
キャッキャとバーベキューで騒ぐ二人を横目に、凪紗は祠を元の位置へと戻す。札を張り直したり土台を整えたりと、ようやく『再封印』を済ませた所だった。刹那、ぞわりと悪寒が背中を走る。
「しもた、これ」
祠に異常は見られない。恐らく他所の祠もそうだろう。だとしたら、この悪寒は一体何処から、何を感じて……。
「ここではない、何処か」
そう離れていない場所で目覚めた、巨大な悪しき気配を凪紗は強く感じた。
それこそが本来この島で封じられていたモノ。祠はそれを目覚めさせる罠だった。
「強く! 激しく! 気高く! 思うのよ!!」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
脂の焼ける香ばしい香りが辺りに漂う。肉&肉。とりあえず肉の味はしているのだから多分大丈夫だろうと、それを頬張るフィーナの裾を夜姫が摘まんで呼びかける。
「あっち。何か、出た」
さっと夜姫が指をさす方角には、今まで存在していなかった何だかやたらでっかい――巨人の様な悍ましい影が蠢いていた。
「蜈?ー励〒縺吶°繝シ繝シ繝シ繝シ??シ?シ?シ?シ?シ」
最早人間には聞き取れない奇怪な言語を大音量で放つそれは、海の中からゆっくりと竜首島へと向かって来たのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『海零』
|
POW : 縺薙?譏溘?逕滓擂謌代i縺ョ繧ゅ?縺ァ縺ゅk縲
単純で重い【巨体や、別次元から召喚した大量の水】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 陦ィ螻、縺ョ蝪オ闃・蜈ア繧√
【額や掌】から【強烈なサイキックエナジー】を放ち、【心身の両方への衝撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 窶晏卸荳匁峅縺上?∵オキ髮カ窶
【念力や別次元から生じさせた津波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を海に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠フォルティナ・シエロ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●巨大不明邪神
『蜈?ー励′縺ゅl縺ー菴輔〒繧ょ?譚・繧具シ』
祠が封じていたのは『ギガント』と『ティラノ』。ではこれは?
『謔ゥ縺ソ縺ェ縺後i霎ソ繧顔捩縺?◆邨占ォ悶?繧??繧翫ヨ繝ャ繝シ繝九Φ繧ー縺励°縺ェ縺』
これは二つの邪神を媒介に、祠の正位置から呼び出された巨大な邪神。
『閾ェ蛻?〒骰帙∴縺ヲ縺、縺代◆遲玖i縺ッ陬丞?繧峨↑縺?シ』
全長30m程の巨神はその人魚の様な脚で砂浜を這い、既に上陸を開始している。
『陦後¥縺槭???シ?シ?シ?シ?シ』
その口からは相も変わらず、奇怪な言語が吐き出され続けている。
いずれにせよ、これを倒さねば戦いは終わらないという事。
既に空は日が落ちかかっている。
夕日を背景に、無人島での最後の戦いが始まった。
※プレイングは6/27(木) 8:30より受付いたします。
御形・菘
●
お主も参加希望ということだな? もちろん大歓迎だ!
言葉が交わせんのは残念だが、視聴者の心を震わせる素晴らしいバトルをしようではないか!
海だとか水場は、妾の行動を阻害できんぞ
むしろ普通の地面より動きが速いかもしれん!
高く跳び上がり、翼で着弾地点の狙いを定め……派手にブッ潰れろ!
そして、お主も得手は同じなのであろう?
さあ来い! もちろん避けはせん、堂々と受けて耐える!
ダメ押しで水まで乗せてくれるとは嬉しいぞ!
あとは、どちらが先に音を上げるかの我慢比べよ
ただ攻撃速度を上げるとしようか
実はのう、演出で跳んではおるが……本当はその必要はない!
全力の身体の捻りと遠心力だけで、零距離からでもブチ込める!
テン・オクトー
●
ひい!何だろうこれ。UMAっていうやつかな?デカいだけなら平気だけど、この得体の知れない感じは怖いや。何を言っているのか知りたいところだけど無理そうかな?【動物とはなす】
WIZ
津波VS竜巻!
【UC】の竜巻効果でどうにかこうにか津波を回避し、【クライミング】で巨体をよじ登り、武器フレイルに【衝撃波、気絶攻撃】を乗せて殴りにいくよ。上手く気絶させれたり、よろめかせれたり出来たらいいな。あとは仲間に託すよ。
ぎゃー!ボク泳げないの、たーすーけーてー!
津波に飲まれたり、足場を海にされたら…
…ぶくぶくぶく
オリヴィア・ローゼンタール
猟兵である私たちでも理解できない言葉を操るとは……なんとも奇怪な生き物ですね
【属性攻撃】【破魔】にて聖槍に炎の魔力を纏う
【怪力】を以って振るい斬り裂く
ダメージは通っている筈ですが、巨大すぎて実感できませんね
もっと大威力で一気に削らなければ……
津波に対して大きく跳躍して木の上に、木を足場に更に跳躍し、上空へ
空中で【神聖竜王の召喚】で白き翼の竜王を呼び出し【騎乗】
水没して足場がなくなってしまいましたか
このまま【空中戦】を仕掛けます!
敵の身体に飛び移って斬り裂き、反撃される前に竜王にまた飛び移る
追撃は竜王の爪牙で迎撃
【全力魔法】で破壊のブレスを放つ
今です! 破壊の吐息で邪悪を打ち砕け!
パル・オールドシェル
巨人、恐竜ときて怪獣ですか……なんというサイキックエナジー……そして巨体……
ですが勝つのはいつだって解放軍です!
上陸阻止ならば戦車! これは古より約束された戦術であると僕のメモリーが訴えています!
沿岸に配置したMTRsの多脚戦車による阻止砲撃と随伴ドロイドによるロケットランチャーや重機関銃による迎撃で侵攻を遅滞しましょう。
彼らには全滅するその一瞬までこの島を【拠点防御】するため、電磁戦車砲による【スナイパー】の如き正確な攻撃に合わせた【援護射撃】の【一斉発射】で戦ってもらいます。
僕は彼らの指揮で動けなくなりますが、その火力でならば他の猟兵がつけ入る隙を生み出せるはずです。
さあ、戦車前へ!!
エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎
POW
原人、恐竜と来て最後は怪獣か
映画みたいな展開はもうお腹一杯だよ
このバカ騒ぎにもそろそろ幕を下ろさなきゃね
…と言っても、この巨体相手じゃ長期戦は避けられないか
なら回避からのカウンターで削る作戦で行きますか
【電撃進攻】発動
纏った電撃による電磁加速を回避の瞬間のみ最大にして、エネルギーのロスを最小に
反撃の射撃は弱点に集中、狙うなら頭かな
こっちから目を離すようなら、その隙に距離を詰めてヒールバンカーの一撃をお見舞いしてやる
それにしても不快な奴だ
特にあの喚き声は聞いてるだけで頭が痛くなる
勘弁してほしいよ、まったく
蓮条・凪紗
どんな術式で封じとったんやゴルァ!
(陰陽師の端くれとしては見抜けなかったのが暗に悔しい)
何言っとるか、文字化けして良ぉ聞き取れんし。
どうせろくでもない呪詞には違いないか。
水には水で対抗しちゃる。
式神顕現「節制」(詠唱略)
両手に水瓶持った乙女が出現。
敵の放つ大量の水は、その魔法の水瓶が全部吸い取る。
そして反撃で肩に構えて高圧水キャノンぶっ放してお返し。
ほら、水は節約せぇと女神もお怒りや。
直の体当たりや地形変化はあのでかい体相手なら動きも見当つくやろし、避けながらも近づいて爪の一撃は食らわせたいところ。
ぶ厚い皮膚を抉るように目一杯引き裂いたるわ。
海に沈みや。ここやのぉて骸の海にな。
響・夜姫
フィーナお姉ちゃん【f03500】と行動
お肉片手に巨大邪神を眺めて
「美味しくなさそう。あと、ここでは猟兵の言葉で喋れー」
大きい上に水属性。
相談。我々は火属性なので。
「例のやつ。私の銃にお姉ちゃんが魔力付与して特大の一発にするやつ。二人で撃てば威力倍増、相手は死ぬやつ。初披露ー」※説明
マガツを渡して「お姉ちゃん、魔力を銃に」
片方に注げば、リンクしたもう片方にも供給されるから。※説明
右手にダルク、お姉ちゃんが左手に持ったマガツとぴったり揃えて
「せーふてぃーを外す。構える。撃つ。相手は死ぬ。簡単」
「特大の一発」
【誘導弾/2回攻撃/鎧砕き/衝撃波】で華焔。
魔法陣を通って強化された銃弾をぶっ放す。
フィーナ・ステラガーデン
●(夜姫f11389と行動)
がつがつがつっ!
お肉の追加の量はんぱないわね!?でかすぎよ!
ってあれ何言ってんの?
わかりやすい言葉で喋りなさいよ!
とりあえず【属性攻撃】とか火球とか打ち込むけど
こいつ水使うのね?火の魔法が届かないわね!
遠い距離から魔法を打ちながらサイキックエナジーは【ジャンプ、ダッシュ、オーラ防御】で気合で避けるわ!
不利な状況ね!夜姫!例のやつをやるわよ!
左手で夜姫の片方の銃【ジャンヌ・マガツ】を借りて
両方の銃にUCで魔力を付与するわ!
いいですとも!よ!
「ぶちかましてやるわよ!」
(2人の銃口から魔法陣が展開され
魔法陣を通って強化された銃弾をぶっ放す
銃弾が入り込み大爆発を起こす)
シーザー・ゴールドマン
【POW】
ふむ、類人猿、恐竜と来て最後は巨大人魚か。
まあ、悪くはないね。
『ウルクの黎明』を発動。オド(オーラ防御)を活性化させて飛翔。
天からの多様な属性の槍撃で継続的なダメージを。
(属性攻撃:雷or炎or氷or鉄×串刺し×投擲×2回攻撃)
どの属性が効くか見極める。
敵POWUC対策
発動を見切り、残像を残して高速飛翔で回避。
技を発動した間隙を突いてオーラセイバーから雷(又はこれまでの戦闘で一番、効いた属性)のギロチン的な衝撃波を放って首を刈り取る。
(第六感×見切り→残像×空中戦→カウンター×属性攻撃×なぎ払い×衝撃波)
なかなか楽しかったね。
●狂界戦線
「巨人、恐竜ときて怪獣ですか……」
パル・オールドシェル(古き戦友・f10995)は眼前の巨大な怪生物の威容に感嘆の声を上げる。びたん、びたんと尾鰭を振って、障害物を薙ぎ倒しながら進む姿はさながら破壊神の様。
「なんというサイキックエナジー……」
センサが捉えたものはSSWでも馴染みのあるサイキックエナジーだった。つまりこの怪生物は宇宙由来の存在なのかもしれない。
「ですが勝つのはいつだって解放軍です!」
そしてこのまま放っておけば折角安置した祠が破壊されてしまうと、パルは宇宙の民として、解放軍として、何やら近所から逃げ出して来たっぽいコレに鉄槌を下す事を決断する。
「ここは盛大に行きましょう、一気に全ての火力を投じて制圧です。さあ戦友、出撃してください!」
呼び出された【Control:M.T.Raiders】――無人多脚歩行戦車と随伴歩兵ドロイドの一部隊が、夕日を浴びて昏いシルエットを浮かび上がらせる。
「上陸阻止ならば戦車! これは古より約束された戦術であると僕のメモリーが訴えています! さあ、戦車前へ!!」
パルの叫びに戦車前進と歩兵の号令が響けば、多脚戦車はストローク一杯にその長足を振り上げて、海零の進路へ先回りする。それに合わせて陽動の歩兵部隊が手にした対戦車ロケットを海零に向けて放ち、砲撃準備が整う迄の時間を稼ぐ。
『縺ゅ?√%繧薙↓縺。縺ッ?√??螟ァ蛻?カシ縺励¥縺ェ縺」縺ヲ縺阪∪縺励◆縺ュ?』
奇声と共に放たれた念動波が歩兵をぼろくずの様に吹き飛ばす。
『畜生! エコー1の仇だ!』
残る歩兵が絹を裂く様な轟音の重機関銃で海零を迎撃する。しかしその分厚い皮膚には歩兵の火器など豆鉄砲の様な物、まともなダメージも与えられずに戦線は依然海零の侵攻を止められないでいた。
「お肉の追加の量はんぱないわね!? でかすぎよ!」
がつがつがつっ! と恐竜肉を頬張るフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、びたびた暴れる海零――新たな獲物を前にして、舌なめずりをした。
『譌・繧り誠縺。縺ヲ縺阪∪縺励◆縺励?√◎繧阪◎繧榊ッ晏コ翫↓謌サ繧翫◆縺?s縺ァ縺吶¢縺ゥ縺ュ縺』
「ってあれ何言ってんの?」
「美味しくなさそう。あと、ここでは猟兵の言葉で喋れー」
隣の響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)は微妙に嫌そうな表情を浮かべて海零を睨む。その足下で友人の軍用ドロイドらが奮闘しているものの、どうやら旗色は悪い様であった。不意に夜姫の横で影が揺れる。それはお姉ちゃん――フィーナの攻撃。
「こいつ水使うのね? 火の魔法が届かないわね!」
走りながら回り込む様に火球の連弾を放つものの、海零に当たった所で霧散してしまう。返す刃の念動波を避けながら、フィーナはふわりと夜姫の横へ陣取った。
「不利な状況ね! 夜姫! 例のやつをやるわよ!」
「例のやつ。私の銃にお姉ちゃんが魔力付与して特大の一発にするやつ」
二人のユーベルコードを合わせて放つ必殺の一撃、例え自身の10倍以上の巨大なオブリビオンであろうと、その一撃を喰らえばただでは済まない筈。
「二人で撃てば威力倍増、相手は死ぬやつ。初披露ー」
夜姫は愛銃『ジャンヌ・マガツ』をフィーナに渡して、フィーナは指先を切って零れた己の血をマガツの銃把に塗りたくった。
「お姉ちゃん、魔力を銃に」
「いいですとも! よ!」
フィーナは左手でマガツを構え、夜姫は右手にダルクを構える。引っ付いて合わせる様に銃口を海零へと向けて、双方の拳銃にはフィーナの【呪血付与】が、リンクした双子拳銃に魔女の魔力が満たされる。
「せーふてぃーを外す。構える。撃つ。相手は死ぬ。簡単」
「ぶちかましてやるわよ!」
重ねた銃口に巨大な火球が形成され、その先には星々と炎をあしらった曼荼羅めいた更に巨大な魔方陣が中空に描かれる。
「特大の一発」
夜姫の【華焔】はフィーナの魔力が付与されて、桜色の燐光と紫電が魔力の砲身を形作る。そして展開された魔法陣には大樹めいた魔力の枝葉が描かれて――まるで血管が集合した筋肉の様に膨張し、爆ぜた。
「ばーにんぐ、ちゃーじ。ふぁいやー」
夜姫の掛け声と共に放たれた二つの弾丸は魔力の筒と魔法陣を通り抜けて、最早拳銃弾とは思えない別の何かに変貌した。その軌跡は流れ星――否、隕石めいた巨大な力場の塊となって海零を襲う。
「チャンスです! 多脚戦車、砲撃用意!」
頼れる仲間の恐るべき一撃を目にして、パルが号令を掛ける。十分に稼がれた時間のお陰で、多脚戦車は既に砲撃位置へと移動を完了していた。ガチャンとアウトリガーを固定させ、長大な砲身を海零の方へと向ける。
『大気圧正常値、風速良好! どうぞ!』
『測距よし、進路クリア! どうぞ!』
「よし、電磁戦車砲、発射!」
『発射!』
牽制のロケット砲や重機関銃に紛れて、更には特大の火炎弾の背後から、必殺のレールガンのトリガーが引かれた。音を切って飛翔する有翼弾頭が火炎弾を通り越して海零の皮膚を抉る様な一撃を喰らわせる。
『縺ら李?√??菴輔〒縺吶°繧ゅ≧?√??隴ヲ蟇溷他縺ウ縺セ縺吶h?√??繝励Φ繝励Φ?』
『着弾確認! 奴が引き返していきます!』
『やったぞウオオォォォ!!!!!!??????』
歓喜の叫び声と共に轢き潰される随伴歩兵達。海零の右脇腹はフィーナと夜姫の一撃で、腰部下はパルのレールガンの一撃がごっそりと抉り取り、バランスを崩したその巨体では最早真っ直ぐ進む事もままならない状態となっていた。そしてそのまま、這う様にして海へ戻ろうとしている所だった。
びちびちと砂浜を這う様に進む海零の目の前で、テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)は『フレイル』を片手に立ち塞がっていた。が。
「ひい!何だろうこれ……」
じわりと、林の方から海水が流れて来たのだ。海は自分の背後、なのに何故正面から……それこそ海零が放った地形を変える超次元の津波、大地を抉る様に流れ出る海水に乗って、海零は勢いを増してオクトーへと迫る。
「ぎゃー!ボク泳げないの、たーすーけーてー!」
バタバタと砂浜を駆けて逃げ回るオクトー。相も変わらず海零は奇声を上げながら近付いて来る。こうなってしまえば自慢の『三輪車』でも逃げる事は難しい。
「蜊ア縺ェ縺?〒縺吶h繝シ?√??縺ゥ縺?※荳九&繝シ縺?シ」
「な、何を言っているのか知りたいところだけど無理そうかな?」
無理だった。ざばざばと足元を凄まじい量の海水が覆い、最早逃げ道を塞がれたに等しいオクトーは一心に【サモニング・ガイスト】――頼れるご先祖を呼び出した。
「ご先祖さまー!」
ふわりと、オクトーの傍らに英霊が現れる。かざした両の手から巨大な竜巻が巻き上がり、オクトーを宙へと飛ばして自身もそれに寄り添った。
「ふ、ふええ……何とか溺れずに済んだ、けど」
落下するオクトーはそのまま海零の背へ。振り落とされない様必死にしがみついて、ガツン、ガツンと重たいフレイルの一撃を加える。英霊も同じく鉤爪を振りかざし、海零の皮膚に生々しい傷跡を刻み続けた。
『繧凪?ヲ窶ヲ菴輔°縲√>繧九?縺九↑窶ヲ窶ヲ?』
効果があったのか、呻き声を上げる海零はオクトーを振り落とさんと左右に大きく体を振る。開けられた風穴からゴポリと海水を滴らせながら、うねうねと蠢く姿が夕日を浴びて妖しく煌く。
「わ、何! 危ないよ!」
英霊の竜巻が再びオクトーを吹き飛ばし、海零はそのまま海の方へと加速した。最早その勢いは止められそうにも無い。
「原人、恐竜と来て最後は怪獣か。映画みたいな展開はもうお腹一杯だよ」
「ふむ、類人猿、恐竜と来て最後は巨大人魚か。まあ、悪くはないね」
その様子をエルト・ドーントレス(灰色の雷光・f14009)とシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は上空から眺める。あの小さきものはああ見えて、それなりにダメージを与えられたのだろう。先程より明らかに、進行スピードが上がっている。
「――このバカ騒ぎにもそろそろ幕を下ろさなきゃね」
「ああ、なかなか楽しかったが……幕引きは必要だ」
二人は顔を合わせ頷き、それぞれの得物を手にして海零の前へと立ち塞がった。
『菴輔〒縺吶°縺輔▲縺阪°繧会シ√??驍ェ鬲斐r縺励↑縺?〒荳九&縺?シ』
「それにしても不快な奴だ。特にあの喚き声は聞いてるだけで頭が痛くなる」
エルトは【電撃進攻】を――守護擬精アウロラが増幅した電磁スパークを全身に纏い、海零の目の前で『レッキス』の手にした『ビームライフル』を振るう。光条が海零の皮膚を焼き、辺りに肉の焦げたような匂いが漂う。それに怒った巨体はまだ健在な剛腕を大きく振るって、エルトを叩き落さんと迫り来る。
『縺セ縺?縺セ縺??√??蜈ィ辟カ遲玖i縺瑚カウ繧翫∪縺帙s?』
「私を倒したければ筋肉が圧倒的に足りない、だそうだ」
「――勘弁してほしいよ、まったく」
分かるのか? という疑問は口にせず、レッキスのスラスターを小刻みに吹かしてエルトは回避を。続けてシーザーも【ウルクの黎明】――全身を強大な真紅のオーラで包み込んで、滾る『オド』を刃に変えて海零の懐へと入り込む。それぞれが夕日の中、赤黒いシルエットを煌かせながら舞う姿は、勇ましき妖精戦士の様でもあった。
その赤い軌跡を追う様に海零は腕を振り回す――しかし、当たらない。それはシーザーの残像。返す刃か、上空より鉄杭、氷柱、雷撃、火柱と多様な属性の洗礼を浴びせられ、一瞬呻き声を上げる海零。
「ふむ……矢張り、雷か」
「それは良かった、俺も同じだ」
幾つもの属性攻撃を繰り出し、得た結論は雷の攻撃が一番効果的だという事。シーザーは手にした『オーラセイバー』に雷の属性を付与し、エルトはレッキスの電磁スパークを最大出力に昇圧させる。
『縺。繧?▲縺ィ縲∽サ翫?縺ッ逞コ繧後∪縺励◆繧茨シ√??險エ縺医∪縺吶h??シ』
「いや、遠慮しておこう。どちらにせよ――これで終いだ」
「やっぱり、何言ってるかは分からないが……!」
この一撃は必ず通じる。それだけは分かるとエルトは更に己を加速させ海零との距離を詰める。狙うは頭頂、工業用パイプラインの様に太い首筋に沿ってくるりと回り上昇。上空より後頭部目掛けて一対の『ヒールバンカー』を展開、加速して突き立てる。併せてシーザーは上空より滑る様に急降下、海零の首筋目掛けて長大に伸ばしたオーラセイバーを抜き放ち、ヒールバンカーの直撃に合わせて動きが止まった所を、必殺の刃で斬り落とさんとする。
『繧ェ繧、繧ェ繧、繧ェ繧、縲∵ュサ繧薙□繧乗?窶ヲ窶ヲ縺ェ繧薙※縺ェ繝?シ』
脳天を貫いたヒールバンカーが海零の全身に電撃を走らせて、僅かの間動きを止める。しかしそれで十分――シーザーの一刀がその隙に海零の巨大な首を撥ねたのだ。ボトンと音を立てて砂浜へ落下する首級。しかしこれで戦いが終わった訳ではない。
「どんな術式で封じとったんやゴルァ!」
「恐らく封印と解放を同じ場所に仕掛けていたのでしょうが……」
蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は陰陽師の端くれとして、仕掛けられた術を見抜けなかった悔しさを滲ませて、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)と共に砂浜に立つ。
「何の為にそんな事したか、だな」
そもそも海零は封印されていたのか、いなかったのか。あの巨猿と恐竜は少なくとも祠で封じられていた悪しきものだろうが、それを封じる事でコレが目覚めるとは……控えめに考えて、何者かが悪意を以って海零を呼び出す為の罠を仕掛けていたとしか思えない。
「何言っとるか、文字化けして良ぉ聞き取れんし」
「ええ……なんとも奇怪な生き物ですね。猟兵である私たちでも理解できない言葉を操るとは」
海零はその首を落とされたばかりだが、首の無い巨体はもぞもぞと海に向かって未だ蠢いている。その様子は原始の海の生き物の様に、巨大な軟体生物の様であった。
「ダメージは通っている筈ですが、巨大すぎて実感できませんね」
「んなら、水には水で対抗しちゃる」
どうせろくでもない呪詞には違いない。ならば正しき式にて迎え撃つ。
「我が名において来たれ、神秘の札に宿りし識よ!」
凪紗が印を結び、放たれた『節制』の札から【式神顕現「正逆之秘霊」】――両手で水瓶を抱えた乙女が出現する。
「ほら、水は節約せぇと女神もお怒りや」
女神が手にするは底無しの水瓶。それは海零を押し流す大質量の海水を吸い上げて、砂浜だった場所にぽっかりと大穴を穿つ。腹を抉られ膝を討たれて首を無くした巨体が、日が落ちて光も射さず、深淵の様な大穴に蠢く真っ暗な威容となって悍ましさを醸し出した。
「地形も殆ど流されて――ならば、このまま空中戦を仕掛けます!」
もっと大威力で一気に削らなければと、オリヴィアは『破邪の聖槍』に聖なる炎の魔力を宿して、飛び乗った沿岸の樹木の上で【神聖竜王の召喚】――頼もしき白き翼の竜王を召喚し、騎乗する。
地獄の入口めいた漆黒の大穴に飛び込んで、手にした炎の聖槍が海零の皮膚を斬り裂き、貫き、焼き上げる。呻き声を上げながら振るわれる両腕を竜王から跳躍して躱し、飛び掛かった勢いで抉る様に分厚い皮膚を穿いて、竜王の爪牙が振るわれると共に飛び乗って、幾度も重たい一撃を繰り返す。
『縺昴m縺昴m縲√>縺?刈貂帙↓縺励※雋ー縺?◆縺?b縺ョ縺?縺娯?ヲ窶ヲ縺ェ?』
海零の呻き声と共に、再び地形が海水に――大瀑布の様な津波に姿を変えて、大穴の底から海零を押し出さんとする。しかしそれこそが猟兵達の狙い。
「わざわざ戻ってきてくれてご苦労さん……ッと!」
押し上げられゆったりと巨体を再び見せた海零の腕を狙って、凪紗の『翡翠の刻爪』が片腕の腱を狙って煌いた。びしゃりと、裂け目から再び海水が漏れ出て狂ったように暴れまわる海零。その脇をオリヴィアが振りかざした聖槍を突き刺して、もう片側の腕を両断する。
「今です! 破壊の吐息で邪悪を打ち砕け!」
「海に沈みや。ここやのぉて骸の海にな!」
全力で放たれた破壊のブレスが、水瓶から放たれた圧縮された水流が、炎と水が渦を巻いて再び姿を現した海零の巨体を焼き裂いて吹き飛ばす。全身を走る無数の傷がそのダメージを物語る。舐める様に焼かれた皮膚が黒く焼け爛れ、最早声を上げる事も叶わない。そして。
海零は海へ飛ばされた。本来座するべき島ではなく、生まれた海へと帰ったのだ。
「フン、お主も参加希望ということだな? もちろん大歓迎だ!」
その先には邪神が、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が蛇の様な尾を揺らめかせ、海の上を滑る様に揺蕩っていた。
「言葉が交わせんのは残念だが、視聴者の心を震わせる素晴らしいバトルをしようではないか!」
これで最後だと言わんばかりに拳を振り上げる菘。星明りの下、辺りでは『天地通眼』が海零と菘を先程からずっとモニタリングしている。
「それと、海だとか水場は、妾の行動を阻害できんぞ」
ニヤリと笑みを浮かべる出す菘。蛇は泳ぐのだ、水中戦は決して不得手ではない。
「お主も得手は同じなのであろう? さあ来い!」
ここから先は我慢比べよ、どちらが先に音を上げるかの! 威勢よく海零の巨体へと飛び掛かる菘。最早首も腹も無きに等しく、片腕を失い、残った腕の自由も利かぬ海零であるが、それでも尚圧倒的な巨体を生かした暴威は健在、幾ら邪神とは言えその実小柄なキマイラ、海零が巨大な尾を一振りすればたまったモノでは無い。
『縺励▽縺薙>繧薙□繧遺?ヲ窶ヲ迪溷?繝?シ』
「喧しいわ……派手にブッ潰れろ!」
振り回された片腕を正面から受け止めて、返す【楽土裁断】が今度こそぼっきりとその腕を叩き折る。豪速で振るわれた菘の尻尾は岩の礫の様に、骨格から海零の剛腕をへし折ったのだ。
『縺セ縺?縺?縲∬?縺檎┌縺上※繧るヲ悶′辟。縺上※繧ゅ?∝ヵ縺ォ縺ッ縺セ縺?窶ヲ窶ヲ縺薙l縺後≠繧九ャ?』
「ごちゃごちゃと五月蠅いッ! 長台詞は視聴者が飽きてしまうぞ!」
呪詛の声と共に溢れ出た水流と、それに乗って放たれた海零の尻尾が菘の顔面を直撃する。だがそれも狙い通り――撮れ高の為ならば何だってするのがこの邪神。
両腕の『八元八凱門』と『五行玻璃殿』がどす黒いオーラを出して、海零の尻尾にまとわりつく。もう逃れる事は敵わない、菘はべったりと海零に張り付いて、止めの一撃を繰り出さんと尻尾に力を籠める。
「フッハハ! 全力の身体の捻りと遠心力があれば、零距離からでもブチ込める!」
ギチギチと筋肉がしなる音を響かせて、海零の尻尾の真ん中、二股に割けた中心目掛けて、渾身の一撃を繰り出さんと体を捻る菘。
『縺昴?蟆上&縺?コォ菴薙〒菴輔′蜃コ譚・繧具シ』
「その巨体が命取りよ、真っ二つにしてくれるわ!」
更に速度を増した最後の一撃は海零の身体に沿って、稲妻の様な亀裂を走らせた。
全身を穿たれ、皮膚を焼かれ、身体を裂かれる。
一つ一つの積み重ねが、猟兵達のつけた一つ一つの傷跡が勝利を呼び寄せた。
空間を裂くような悲鳴と共に、海零は海中に没する。
もう、奇妙な叫び声はどこにも聞こえない。
日も落ちて星が瞬く夜空の下で、猟兵達の戦いは終わりを告げたのだ。
大成功
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