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ヤンデレ少女と泥棒猫達?

#UDCアース



 UDCアース。
 そこは、人知れずUDC怪物や邪神が暗躍している世界。
 彼らは邪悪な教団、都市伝説、意味不明のオブジェクトなど、その活動の爪痕を残しながらも、凶暴化、頻出化の一途をたどっていることから、確実に力をつけているものと思われる。
 彼らは儀式など、確実な方法だけで戦力を集めているわけではない。
 時に、こんな偶発的な出来事から、UDC怪物は呼び出されることだってあるのだ。

 とある青年宅。
 この青年、仮名、飯尾・弘和はいわゆるオタクであり、妹ものの漫画、ライトノベル、アニメ、ゲームなどをこよなく愛する男である。
 とはいえ、弘和は表向きはしっかりと社会人をしており、そんな個人的な趣味を全く感じさせずに仕事へと打ち込んでいるようだ。
 1人暮らしを行う弘和の部屋は、妹をテーマとした作品がずらりと並び、妹キャラのフィギュアやポスター、タペストリー、抱き枕といったグッズなどが並ぶ。
 平日の昼間は弘和も仕事で出かけているわけだが、ある時、近場の工事の影響からか、建物が大きく揺れた。
 古い建物ゆえに仕方ないことだったのかもしれないが、その時、弘和宅ではフィギュアやグッズが床へと散らばってしまった。
 それらはうまく魔方陣を描く形となり、淡い光が彼の部屋へと灯る。
 そして、その陣から現れたのは、触手の様な邪神。
 そいつは周囲を見回し、あれこれと作品を見回してから少女の姿へと擬態していく。
「これでいいのかな、お兄ちゃん」
 瞳に邪な光を湛え、邪神は薄暗い笑いを浮かべる。
 ――お兄ちゃんはどこ?
 少女の姿をとった邪神は舌なめずりしつつ、兄という存在を求めて弘和の部屋を後にしていくのだった。


 グリモアベース。
 この場を行き交う猟兵達へと、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が声をかけ続ける。
「UDCアースの依頼なのだけれど、興味ないかしら?」
 すると、個々人の事情で立ち止まる者がちらほら。
 話を聞いてくれる猟兵を認め、セレインは笑顔で握手を求めてから説明を始める。
「立て続けに現れるUDC怪物の討伐依頼ね」
 UDCアース某所のアパートにて、妹が大好きで、妹をテーマとした作品をこよなく愛する青年が一人暮らしをしていた。
 ある時、近場で行われた工事の影響で、彼の住むアパートが軽く揺れてしまう。
 それによって、青年の部屋にあったグッズなどがうまく魔方陣を描く形となってしまい、UDC怪物……邪神を呼び寄せてしまったのだ。
「元は触手状の邪神なのだけれど、呼び寄せられた場所の影響を大きく受けたのか、どこかの妹の姿へと擬態するようよ」
 この邪神は「黒木・陽夏」を名乗り、兄となりうる存在を求めて行動する。
 そして、兄と認めた存在を侵食し、仮の兄としてしまうのだとか。
「それだけではないわ。この召喚した邪神を、別のUDC怪物が自らの勢力に取り込もうとしているのよ」
 そいつは、眷属として猫人間の様なUDC怪物達を差し向けたようだが……、召喚された「黒木・陽夏」は兄を狙う女性を「泥棒猫」と毛嫌いする予知をセレインは確認しているようだ。
「ともあれ、まずは召喚された邪神を先に倒すべきだと思うわ」
 少女の姿をとり、街を彷徨う邪神は、兄となりそうな男性を探している。
 路地裏へと往来を歩く一般人の青年を連れ込んだ「黒木・陽夏」から青年を解放しつつ、この邪神を撃破したい。
 邪神の言う「泥棒猫」……別のUDC怪物の眷属達も程なく駆け付けてくると思われるので、合わせて倒してしまいたい。
「以上ね。UDC怪物達の討伐、よろしく頼んだわ」
 話を締めたセレインは改めて、猟兵達へとそう願うのである。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。

 UDCアース某所で、偶然UDC怪物が召喚されてしまいますので、この討伐を願います。
 また、召喚された怪物を、別のUDC怪物の眷属が迎えに来ているようですので、合わせて撃破を願います。

 こちらのシナリオでは、
 第1章は、召喚された邪神「黒木・陽夏」の討伐を。
 第2章は、邪神を迎えに来た眷属、「ウェアキャット」の群れの討伐を。
 第3章は、眷属を率いる「五三二『デビルズナンバーぶっとばし』」の討伐を願います。

 まずは、偶発的に召喚された触手状の邪神「黒木・陽夏」の討伐を願います。
 どうやら、道を歩いていた一般人男性が路地裏に引き込まれてしまうようです。
 迎えに来たはずの眷属達の姿が見えませんので、この邪神を倒すチャンスです。手早く撃破してください!

 章間はプレイングの幅を広げる為の情報を加筆しますので(前章終了から半日以内を目途に)、そちらが確認できましてからプレイングを手掛けていただければ幸いです。
 最速のプレイングが届いてから、そちらが失効する前(3日以内)にリプレイを執筆いたします。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 ボス戦 『黒木・陽夏』

POW   :    お兄ちゃんは私だけのものなんだから!
【ヤンデレ妹モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    捕まえたっ、お兄ちゃん!
【全力のハグ】【笑顔】【触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    お兄ちゃん、あいつらやっつけて!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【仮のお兄ちゃん】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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隣・人
「病んでますね。隣人ちゃんが根本から叩き直してあげましょう。え? 隣人ちゃんの得意技は拷問だって? は、は、は――仕方が無いので遊びましょうか。さあ。あなたの席は此処ですよ!!!」
遊園地のコーヒーカップを構えて頭部をぶん殴ります
超耐久を怪力でゴリ押し、頭蓋の破壊を試みる
対象がピヨピヨしている間、コーヒーカップに乗せましょう
そのまま互いを【決して吹き飛ばされない、高速回転する地面】で繋ぎましょう。人型ならば高速回転も効果的でしょう
「さあ。隣人ちゃんと一緒にモザイクの果てへ行きますよ。さあ。運命は虹色と決まっているのです。あなたの『赤い糸』なんてのは妄想だってわからせてあげましょうね!!!」


中村・裕美
「……自分のオタクグッズが……邪神召喚に使われるとか……嫌過ぎる。……彼の名誉のためにも……処分せねば」
自分のこととして考えてみれば、そんな事件が露見したら、引きこもり生活一直線。いや、今もそんな感じだけども

戦闘で敵の精神にミームインベイジョンで【ハッキング】を仕掛ける
「……『泥棒猫』は……その名の通り……猫の姿。……つまり私達は……お兄ちゃんを奪うような敵ではないわ」
本当は暗示をかけた上で眷属と鉢合わせて同士討ちできればいいが、攻撃を緩めさせるだけでも上々
あとは一般人を襲うようなら、電脳魔術と【罠使い】で空間に干渉して拘束系トラップ(鎖や虎挟み等)を生成
「……おとなしく……しなさい」


ケイ・エルビス
★アドリブ連携台詞歓迎&ソロ禁止


POW


UCで命中率重視を選択

まずは確実に一撃一撃当て
戦力を削いで
仲間のチャンスに繋げる


お気に入りのテンポの速い曲を
脳内再生しながら


様々な格闘術を即興でミックスした
連続攻撃で対象を攻撃


手早く仲間と撃破したい



【装備】
ナイフ
ブラスター
ウィップ



【技能】
早業
先制攻撃
2回攻撃
咄嗟の一撃
カウンター
フェイント
だまし討ち
目潰し
零距離射撃
傷口をえぐる
怪力
吹き飛ばし
クイックドロウ


織り交ぜ使用




【回避や防御】
見切り
野生の勘
オーラ防御
鞭で地形を利用し
変則移動




【仲間のサポート】
必要時援護射撃
かばう
救助活動


雨咲・ケイ
なにやらおかしな偶然が重なって
酷い事になったようですが……。
義妹がいる身としては捨て置けませんね。

【WIZ】で行動します。

とにかく一般人に被害が及ばないように戦います。
戦場に一般人がいる場合は避難を促し、
必要に応じで【盾受け】と【オーラ防御】を
併用して敵の攻撃を引き受けましょう。

……それにしても酷い妹ですね。
私の義妹を見習ってほしいものです。
……私はシスコンではありませんよ、断じて。

敵に対しては【シールドバッシュ】による
【2回攻撃】で牽制し、隙が出来た所で
【サイキックブラスト】を撃ち込みます。
【仮のお兄ちゃん】に対しては威力を抑えた
UCで動きを封じましょう。


アネット・シェルティ
わたしは泥棒狼さんだよー!
そこの男の人をいただいちゃうぞー!
なんちゃって、えへへへー!

◆行動
速く動く物を攻撃するならそこを上手く使えるかな?

とぉーーーりゃーーーー!!
バトルアックスを敵に向かったおもいっきり投げつける。
斧は敵の触手を切断しながら敵本体目掛けて一直線だよ!

わたしも投げた斧の後ろから走って敵に近づくよ!斧に気を取られいるうちにわたしの溢れ出る怪力を十分に発揮した拳で敵を殴りつけるよ!

あの青年を諦めるまでわたしはキミを殴るのをやめない!

アドリブと連携歓迎


火奈本・火花
「このような偶然でUDCが召喚される事もあるのですね。召喚に躍起になっている邪教集団にとっても予想外なのでしょうが……厄介に変わりはありませんね」

■戦闘
引き込まれた青年の安全が最優先です
効果があるかは分かりませんが、私自身が『変装』で男装し、お兄ちゃんを演じてUDC『誘き寄せ』ましょう
会話で『時間稼ぎ』をし、最終的にはグローブからの鋼糸で触手を捕獲し動きを封じられれば理想的ですね

機動部隊にはその間で青年の確保と避難をして貰います

引っ掛からない場合は9mm拳銃での『クイックドロウ』で攻撃して無理矢理にでも意識を私に向けます
捕獲に成功し動きを封じた場合も、最後には厄介な触手を狙って銃撃は行いますが




 UDCアース某所の繁華街を、数人の猟兵達が足早に移動していく。
「このような偶然で、UDCが召喚される事もあるのですね」
 今回の様な偶発的な要因で呼び出されるUDC怪物。
 こうしたケースに、伊達メガネ着用のUDCエージェントである火奈本・火花(エージェント・f00795)は興味を抱いていた。
「召喚に躍起になっている邪教集団にとっても予想外なのでしょうが……、厄介に変わりはありませんね」
 一方で、火花とは違った観点でこの1件を厄介と感じていた、ダウナー系少女の中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。
「……自分のオタクグッズが……邪神召喚に使われるとか……嫌過ぎる」
 ぐるぐる眼鏡着用の裕美は、間接的な被害者となった召喚部屋の主である青年の名誉の為にも、今回の邪神は処分せねばと考えている。
 この邪神が召喚された状況が自分の部屋であり、そんな事件が露見してしまったなら……。
 裕美は自らが引きこもり生活一直線になるだろうと考えたものの。今もそんな感じだと、小さく苦笑してしまっていた。
「なにやらおかしな偶然が重なって、酷い事になったようですが……」
 蝶の髪飾りと眼鏡をつけ、黒一色の衣装を纏う雨咲・ケイ(人間のクレリック・f00882)はこの事件の事情を顧みて。
「義妹がいる身としては、捨て置けませんね」
 復活した邪神は妹に擬態し、兄なる存在を求めるという。こうした相手を放置できぬとケイは考えたのだろう。
「全く、飛んでもねえ相手だな」
 顔見知りの依頼とあって参上した元軍人、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)が悪態づく。
 額に愛用のサングラスをかけているケイは現在、運び屋兼何でも屋の仕事を請け負っているとのことだ。
 なお、ケイが2人いる為、ここから先はそれぞれ雨咲、エルビスと苗字で呼称する。
 今回のメンバーの中、唯一眼鏡らしきものを利用していない人狼の少女、アネット・シェルティ(いのち短し恋せよ人狼・f15871)。
 彼女はにこにことしながら、狼の耳をピコピコと動かして仲間達の会話に耳を傾けていた。
「……病んでますね」
 眼鏡ではないが、黒い目隠しを装着した長い茶髪の人型UDCオブジェクト、隣・人(六六六番外・f13161)が呟く。
「隣人ちゃんが根本から叩き直してあげましょう」
 そして、隣人……本人の希望につき、フルネームで表記する……は口元を吊り上げ、歪んだ笑みを浮かべてみせたのだった。


 繁華街の路地裏。
「お兄ちゃん……」
 純白の衣装に身を包む少女……いや、少女『黒木・陽夏』の姿をとった邪神。
 そいつは、1人の青年を自らの虜にしていた。
「お、俺は……」
 大学生だろうか。精悍な見た目の彼はふらふらと邪神の誘いを受け、こんな場所までついてきてしまった。
 ふらふらしながらも、まだ完全には邪神の支配下には落ちていないらしい。青年は自らの内に入り込む異なる意識に戸惑い、抗っているようにも見えた。
「お兄ちゃんはもう、私だけのものなんだよ」
「俺は、陽夏の……」
 足元で触手を蠢かせる少女……邪神はさらに歩み寄り、青年をより兄らしくしようと両手を広げる。
「ああ、お兄ちゃん、大好き……もう離さない……」
 恍惚とした表情を浮かべる『黒木・陽夏』の前に、猟兵達が一斉に踏み込んでいく。
「わたしは泥棒狼さんだよー!」
 真っ先に飛び込んだアネット。
「そこの男の人をいただいちゃうぞー! なんちゃって、えへへへー!」
 勢いのままに振りかぶったバトルアックスを、彼女は敵に向かって投げつけていく。
 しかし、牽制の一撃は、ステップを踏む邪神に避けられてしまって。
「邪魔するんだ……許さないゆるさないよ……?」
 目を見開いた『黒木・陽夏』は、口角を上げて笑う。
 その笑いに少女らしさは感じられず、どことなく薄暗い影すら感じさせた。
「……おとなしく……しなさい」
 裕美は電脳魔術を行使し、空間に干渉して邪神の足元に虎挟みを仕掛け、さらに周囲に鎖を張り巡らせて敵の動きを奪おうとする。
 素早く飛び退いてそれらを躱す邪神へ、男装した火花が近づいて。
「お兄さんを求めているのでしたら、私などいかがです?」
 邪神を誘き寄せるべく、火花は会話で時間稼ぎを試みる。
 彼女の狙いは敵の気を引き、兄とされかけた青年を解放させることだ。
 自らのユーベルコードで、この場に機動部隊を投入した火花。
 駆け付けた機動部隊ひー4("四葉のクローバー")に青年の確保と避難を任せ、火花は語り掛ける。
「どうして、お兄ちゃんを……兄を求めるのですか?」
 装着した『エージェントグローブ』からいつでも鋼糸が出せるよう構えを見せていた火花。
 だが、邪神もそれほど甘くはないらしい。
「あなたはお兄ちゃんにはなれないよ」
 その笑顔はやはり、不気味さを感じさせる。
 まだ、機動部隊は青年を確保できていないことを確認し、火花はやむを得ず『自動式9mm拳銃』を抜いて素早く発砲して自らに意識を向けようとした。
 足元からせり上がる触手が銃弾を受け止めると、『黒木・陽夏』はゆらりと動く。
「お兄ちゃん……邪魔はさせない」
 嗤う少女の瞳はひどく澱んでいた。
「……それにしても、酷い妹ですね。私の義妹を見習ってほしいものです」
 それに、雨咲は思わず本音を漏らしつつも、断じてシスコンではありませんと小声で断りを入れていた。
 避難に関しては、自分達の声は届かぬ可能性が高いと雨咲は判断し、火花へと任せる。
 その上で、彼は敵が伸ばす触手を小型の盾『アリエル』で受け止めた。
 そんな雨咲にも、邪神は薄暗い嗤いを浮かべて。
「いい、お兄ちゃんになりそう……」
「させねえぜ!」
 エルビスも素早く愛用ブラスター『スタリオン』を連続発砲し、邪神を牽制する。
 だが、邪神はその銃弾を敢えて受けながらも、エルビスへ両手を広げて飛び込もうとしてきた。
 ハグしてこようとする邪神を、エルビスは直感で避ける。
「あれは食らうと、まずそうだな」
入れ替わるようにアネットが飛び込んで。
「とぉーーりゃーーーー!!」
 再び、バトルアックスを投げつけたアネットは、相手の足元の触手を切断しながら本体を狙う。
 それだけではない。今度は彼女も敵の本体目掛けて一直線に走っていく。
 それらを別の触手で防いだ邪神に、隣人が笑い声を浮かべて。
「え? 隣人ちゃんの得意技は拷問だって? は、は、は――仕方が無いので遊びましょうか」
 隣人が手にしたのは、遊園地で遊具となっている『コーヒーカップ』。
「さあ。あなたの席は此処ですよ!!!」
 彼女はそれを使って怪力で殴り掛かり、邪神の頭蓋の破壊を試みる。
 ゴリ押しで隣人は攻撃を仕掛けるが、『黒木・陽夏』は複数の触手を使い、その勢いを殺してしまう。
「……あれ、お兄ちゃんは?」
 そこでふと、邪神は青年の姿がないことに気づく。
 すでに青年はこの場から、火花の機動部隊が運び去ってくれている。
 兄がいないことに、邪神は怒りを露わにして。
「お兄ちゃんは……私だけのものなんだから!」
 怪しく瞳を輝かせたそいつは【ヤンデレ妹モード】へと変化し、足元の触手を大きく広げて猟兵達へと襲い掛かってきたのだった。


 しばし、本性を現した邪神と猟兵との交戦が続く。
「おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん……」
 ユーベルコードを使い続ける猟兵に対し、理性を失った『黒木・陽夏』を名乗る邪神はただ盲目的に猟兵を攻撃し続ける。
「……『泥棒猫』は……その名の通り……猫の姿」
 戦いの最中、裕美は電脳空間からハッキングを仕掛ける。
 常識を書き換えるプログラムによって、裕美は邪神へと暗示をかけようとしていたのだ。
「……つまり私達は……お兄ちゃんを奪うような敵ではないわ」
 できるなら、この邪神の確保に動いているはずの眷属『泥棒猫』と纏めて同士討ちできればと裕美は考えていたのだが、そちらの眷属は姿を現さない。
(「……攻撃を……緩めさせるだけでも」)
「おにいちゃんおにいちゃんおにい……ちゃん……?」
 ただ、その暗示によって、邪神の動きを僅かに止めることができたようだ。
 小型盾『アリエル』で牽制を続けていた雨咲がそのタイミング、両腕から高圧電流を発していく。
「あうう、おにい、ちゃん……」
「皆さん、今です」
「ええ、もう邪魔はさせません」
 雨咲の言葉に応じ、火花が厄介な触手を拳銃で撃ち抜いていく。
「…………♪ …………♪」
 脳内でお気に入りのアップテンポな曲を流すエルビスが素早く、拳の連打を邪神本体へと浴びせかけて。
「悪いな、手間はかけていられないんだ」
 続けざまにエルビスは胴体目掛けて飛び蹴りを食らわせ、邪神の体を大きく蹴り飛ばす。
「おにイチャン、オにいちゃん、おにいちゃん……」
 少女『黒木・陽夏』の姿を僅かに崩しかけた邪神。
「おにいちゃんハわたさナイ……」
 だが、理性は失ったままであっても兄に執着したままのそいつは触手を叩きつけ、猟兵達を締め上げようとしてくる。
「もーー、いっちょーーーー!!」
 そこで、アネットが再度自らの斧を投げ飛ばして。
「…………おにい、ちゃん」
 敵がその斧に気を取られた隙にアネットが接敵し、邪神の体を殴り倒す。
「あの青年を諦めるまで、わたしはキミを殴るのをやめない!」
 邪神の腹を殴り続けるアネット。
 さらに、隣人が敵の頭をコーヒーカップで殴りつけた。
「お、おに、い……」
「さあ。隣人ちゃんと一緒に、モザイクの果てへ行きますよ」
 頭をくらつかせた邪神を、隣人はそのコーヒーカップへと乗せて。
「さあ。運命は虹色と決まっているのです」
 高速回転する地面で互いを繋ぎ止め、隣人は邪神を捕らえて逃がさない。
「あなたの『赤い糸』なんてのは妄想だって、わからせてあげましょうね!!!」
「ああああっ、おにいいいいいちゃああああアアアアァァァァ…………」
 その回転の中、ついに邪神はその体が維持できなくなったのか、少女の姿から全身触手へと姿を変え、それもまた溶けるようにして無くなってしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ウェアキャット』

POW   :    引っかき
【伸縮自在で鎌の刃のように伸ばす鋭い爪】が命中した対象を切断する。
SPD   :    好奇心は猫を殺す
自身の【好奇心が旺盛過ぎる猫の本能】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    猫騙し
【かしわ手を打つ動作】から【相手の意識の中に幻影】を放ち、【驚かせたり怯ませる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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 偶発的に生まれたヤンデレ少女……触手状の邪神『黒木・陽夏』を猟兵達は撃破して。
 今回の騒動に巻き込まれた青年へと説明する間もなく、路地裏へと新手の敵の集団が現れる。
 現れるのは、白い髪から突き出す猫耳に、お尻から二股の尻尾を生やす豊満な体の女性達。
 一部では、猫又とも呼ばれるUDC怪物『ウェアキャット』だ。
「そろそろ気が変わったかニャー」
「いい加減、『泥棒猫』呼ばわりは止めてほしいのニャ」
 ウェアキャット達のその呟きから幾度かヤンデレ少女の邪神と接触し、ほとほと手を焼いていたことが窺えるが、裏路地を訪れた彼女達は思わぬ状況に毛を逆立てて警戒する。
「何ニャこれ!」
「邪神はどこへ行ったのニャ!」
 しばらく、この場にいたはずの邪神『黒木・陽夏』の姿が影も形もなくなっていることに、ウェアキャット達は少なからず戸惑いを見せる。
 この場の猟兵達が自分達が倒したことを主張すると、彼女達はやや興奮して敵意をむき出す。
「ボスに連れて来いって言われてたのに」
「よくもやったのニャ!」
 ウェアキャットは先ほど倒した邪神に比べれば、個々の能力は大したことはないものの、数で攻め来るので面倒な相手だ。
 猫の本能で可愛さアピールしつつ、相手を猫騙しで硬直させ、鎌の刃のように伸ばした鋭い爪で引っ掻いてくる。
 一般人などざっくりと切り裂くほどの威力を持つ為、その可愛らしい見た目に釣られた男は肉片となって邪神の供物とされてしまうのだろう。
「「覚悟するのニャ!」」
 飛びかかってくる『泥棒猫』……もとい、ウェアキャット達。
 青年に事情を説明しようとしていた猟兵達は有無を言わさず、その迎撃を迫られるのである。
ケイ・エルビス
★アドリブ連携台詞歓迎

SPD

技能は得意なものを数値化済み
ステシ参考にされて下さい



★攻撃
UCで
素手
銃撃
ナイフ
鞭等

近接格闘に関連した技能を強化


フェイントやだまし討ちを織り交ぜ
早業の攻撃&常に素早く動き続け挑発
敵をおびき寄せ時間稼ぎ
動きを読ませない


敵が多いので常に複数を攻撃


必要時仲間のサポート役で鼓舞
仲間のチャンスに繋げる


戦闘中は非常に徹する



先制攻撃
範囲攻撃
咄嗟の一撃


カウンター
敵を盾にする
怪力
なぎ払い
零距離射撃
傷口をえぐる


吹き飛ばし
クイックドロウ
ダッシュ
スライディング
ジャンプ
踏みつけ
空中戦




★防御
見切り
野生の勘
オーラ防御
武器受け
鞭で地形の利用



★援護
援護射撃
かばう
救助活動


雨咲・ケイ
ヤンデレの次は猫ですか。
う~ん、普通の猫やケットシーの方々は
物凄くかわいらしいと思いますが、
オブリビオンには全く心が動きませんねえ……。
大人しく骸の海で眠っていただきましょう。

【WIZ】で行動します。

引き続き戦場に一般人がいる場合は【盾受け】と
【オーラ防御】で護衛しながら戦いましょう。
深追いはせず、【スナイパー】を活用した盾の【投擲】で
味方の援護を行い、弱っている敵から【ジャッジメント・クルセイド】で
着実に潰していきます。
接近してくる敵は【シールドバッシュ】で追い払いましょう。

泥棒するなら、狙うのはお魚だけにしてほしいものです。
いや、それもダメですね。


隣・人
「隣人ちゃん思うのですけれど。猫にも眩暈って効きますかね?」
拷問しましょう
手枷足枷で時間稼ぎし、動きを阻害します
其処に追加で高速回転する椅子を投擲
それに拘束したならば半永久的に回しましょう
たとえ相手が猫でも回し続ければモザイクすると信じて
「ささ。隣人ちゃんが猫ちゃん達を止めるので皆さんに留めは任せますよ。トドメ!!! え? 猫が汚くて触りたくない? 残念ですね。仕方が在りませんので隣人ちゃんが撲殺しましょう」
先程使ったコーヒーカップでぶん殴る
なんか虹色と鮮血のぐっちゃぐちゃにしましょう


アネット・シェルティ
がるるるるぅー!
泥棒狼が邪神を頂いちゃったもんね!
次はキミたちを頂いちゃおうかな!

◆行動
相手の引っかき攻撃には【見切り】で察知して先に引っかきに使う腕を掴んじゃおう!【怪力】【グラップル】でしっかり掴んで離さないよ。

これでキミは攻撃出来ないね。
でもわたしの攻撃はここからだよ!
しっかりと掴んだ腕を起点におもいっきり地面に叩きつけるよ!
ある時は他の敵も巻き込む形で叩きつける!
またある時は裏路地にある建物の壁に向けて叩きつける。何度も何度も叩きつける。

ふふーん。
わたしの女子力(物理)を前にして立っていられる敵はそうはいないよ!!


火奈本・火花
「文化としては、先程のUDCよりは馴染みやすい外見に入るのだろうか? この程度のコスプレならありそうだし……見た目、こちらの方が男性を騙しやすそうには見えるな」

■戦闘
狙いは終了した邪神のようだし、男性を狙う事はないだろう
だが万が一彼を利用されたり、人質に取られると厄介だな。彼を出来るだけ戦場から遠ざけ、背後で庇う位置取りに注意しよう

私自身は敵の本能を利用する形で攻撃を仕掛ける
「実は私にはとっておきの秘密があるんだ。見たいか? 特別に見せてやっても良い」
好奇心を煽る言葉と共に近付き『時間稼ぎ』をしよう
仲間や青年を巻きこまず、かつ周囲に眷属がいる状態を作ってから、ヤドリギを解放して攻撃するつもりだ


中村・裕美
「……本当にいたのね……泥棒猫」
コミュニケーションが苦手なので、猫達よりも話の通じなさそうだった黒木陽夏の方がまだ相手しやすかったかも

「……とにかく……倒し」
猫の旺盛過ぎる好奇心でメガネに食いつかれ、グイグイ来られ、無理やり外されそうになる
「……ちょ……やめ……」
「やめてと言っているではありませんの」
メガネを奪われた瞬間に人格をシルヴァーナに切り替え、そのままナイフで切りかかる【だまし討ち】
「いけない野良猫達は躾けないといけないですわね」
そのまま【切裂姫】で【傷口をえぐる】ように執拗に攻撃。野良猫を向こうが否定するなら
「では飼い主は誰かしら?」
とボスの情報をさり気なく訊こうかしら


燈夜・偽葉
おのれ、白髪にケモ耳ケモ尻尾などと…
私と被ってるじゃないですか!許せません!
斬ってあげます!
まぁ私の方が可愛いんですけどね。それに胸も大きい!
えっそこ関係ないって?そうですね!

ダッシュやらジャンプやらで跳び込んでから「剣よ、天を斬って」で周囲のネコを纏めて、なぎ払い、範囲攻撃を乗せて斬りますね
それから、見切りや第六感で敵の攻撃を回避しつつ、UCやUCを使わずに普通に刀で斬ったりしてます




 邪神を倒した猟兵達だが、すぐに路地裏へと現れた別のUDC勢力との交戦を迫られることとなる。
 集団で現れたのは、豊満なボディラインが出るほどに薄手の白い衣装を纏う女性のUDC怪物『ウェアキャット』達だ。
「何ニャこれ!」
「邪神はどこへ行ったのニャ!」
 猫の獣人を思わせる彼女達は毛を逆立て、猟兵達を威嚇してくる。
「がるるるるぅー! 泥棒狼が邪神を頂いちゃったもんね!」
 ウェディングドレスを来た人狼の少女、アネット・シェルティ(いのち短し恋せよ人狼・f15871)が可愛らしく唸りながらも、相手を煽る。
「次はキミたちを頂いちゃおうかな!」
「そうはさせないニャ!」
 2本の尻尾をピンと立て、ウェアキャット達は両手の爪を煌めかす。
「可愛い娘達ばかりだけれど、仲間を傷つけるなら許しちゃおけねぇな!」
 頭にゴーグルを装着した傭兵兼運び屋&何でも屋、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)が黒い指ぬきグローブ【ブラックレイン】を装着する。
 ケイ・エルビスはすぐ銃を抜けるようにもしているが、この場は素手の他、ナイフや鞭など近距離での立ち回りを考えていた。
「……本当にいたのね……泥棒猫」
 コミュ力レベルが高そうなウェアキャットを前にした、長い黒髪にぐるぐる眼鏡という風貌の中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。
 コミュニケーションが苦手な彼女としては、この猫達よりも、話が通じなさそうだった邪神『黒木・陽夏』の方がまだ相手をしやすかったと嘆息する。
「文化としては、先程のUDCよりは馴染みやすい外見に入るのだろうか?」
 黒いストライプスーツ着用の火奈本・火花(エージェント・f00795)もウェアキャット達の姿に、この程度のコスプレなら巷にありそうだと考えて。
「……見た目、こちらの方が男性を騙しやすそうには見えるな」
 なお、この場の男性……というにはまだ純真さも抱かせる黒無地スーツの少年、雨咲・ケイ(人間のクレリック・f00882)はというと。
「ヤンデレの次は猫ですか」
 雨咲・ケイとしては、普通の猫やケットシーの方々には物凄く可愛らしさを感じるようだが。
「オブリビオンには全く心が動きませんねえ……」
 少なくとも、ウェアキャット達はこの場の男猟兵達の心を動かすには至らなかったようだ。
 また、新たに駆けつけた妖狐の少女、燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)が珍しく今回の相手に敵意を燃やして。
「おのれ、白髪にケモ耳ケモ尻尾などと……。私と被ってるじゃないですか!」
 実質的には猫と狐で全く違うのだが、それでも、外見特徴が似ている点を偽葉は見過ごしては置けぬようで。
「許せません! 斬ってあげます!」
「こっちこそ、許せないのニャ!」
 偽葉とウェアキャット、互いに怒っている原因が若干ズレているようだが、それはそれとして。
「隣人ちゃん思うのですけれど。猫にも眩暈って効きますかね?」
 目元を隠したメイド服姿の隣・人(六六六番外・f13161)が疑問を抱く。
 だが、それを確認する前に、ウェアキャットがこちらへと飛びかかってくる。
 ならばと、隣人は直接確かめるべく、手枷足枷を投げつけ、相手を拷問しようと考えていたのだった。


 己の爪を鎌のように鋭く伸ばし、躍りかかってくるウェアキャット達。
「ウニャアアアアアアッ!」
 すでに邪神を連れてくるという任務を達成できぬとあって、その怒りは猟兵達へと向けられている。
(「狙いは終了した邪神のようだし、男性を狙う事はないだろう」)
 そこは火花の考える通りだが、敵がいつ男性へとその矛先を向け、利用したり人質に取られたりすると厄介だ。
「できるだけ、離れていてくれ」
 火花は青年を背後で庇うよう位置取りながら、敵の注意を引きつけようと考えて。
「実は私には、とっておきの秘密があるんだ。見たいか?」
「…………? 何ニャ?」
「特別に見せてやっても良い」
 ウェアキャットの好奇心を煽りつつ、火花は青年を逃がす為の時間稼ぎをしていた。
 隣人もまた、しばし手枷足枷で時間稼ぎ。
 相手の動きを阻害しつつ、彼女は追加で高速回転する椅子を投げつけていく。
「ニャッ!?」
 拘束されてしまえば、隣人の思惑通り。
 眩暈や嘔吐に執着する彼女は、たとえ猫であっても回し続ければモザイクするのだと信じ、延々と半永久的に回し続けようとしていく。
 ケイ・エルビスもまた相手の猫騙しと競うように、フェイントを織り交ぜて殴り掛かっていく。
 格闘戦かと思えば、彼は至近距離からブラスター『スタリオン』を発砲してウェアキャットを撃ち抜いてみせた。
 とにかく、動きが読まれてしまえば、それだけで敵の刃に切り裂かれてしまいかねない。
 非情に徹し、ケイ・エルビスは纏めてウェアキャットへと、革製の鞭『インディ』を近距離で叩きつけ、さらに直接回し蹴りを叩き込み、敵を突き飛ばして距離をとる。
「大人しく、骸の海で眠っていただきましょう」
 そんなケイ・エルビスと名前が同じ雨咲・ケイが援護する。
 雨咲・ケイは青年を護る為、オーラ防御を展開しつつウェアキャットの爪を小型の盾『アリエル』で防ごうと考えていた。
 だが、青年がこの場から距離をとるのを見た雨咲は、その盾を使って相手を追い払い、または投げつけてウェアキャット達の体勢を崩していた。
 そこへ、ダッシュで一気に距離を詰め、ジャンプで跳び込んで偽葉は攻め込む。
 ウェアキャットを敵視する彼女はこれ見よがしに、自らの体を見せつけて。
「まぁ、私の方が可愛いんですけどね。それに胸も大きい!」
「うるさいのニャ!」
「関係ないニャ!」
「えっ、そこ関係ないって? そうですね!」
 相手の感情を煽り、勝ち誇ったように微笑む偽葉は『黄昏の太刀』で複数のウェアキャットを纏めて薙ぎ払い、斬り捨ててしまっていた。

 序盤はその数や好奇心から得られる力に圧倒される部分もあり、猟兵達はウェアキャットの猫騙しに身を竦ませる一幕もあった。
 その隙を突き、敵は鋭い爪で切りかかってこようとするのだが、アネットがその腕をつかみ取る。
「これで、キミは攻撃出来ないね」
「ニャアアアッ、離すニャ!」
 怪力とグラップルの技能を活かし、決して腕を離さぬアネット。
「でも、わたしの攻撃はここからだよ!」
「ニャッ、ニャアアアッ!!」
 アネットから逃れようと、ウェアキャットは必死になって暴れまくる。
 今回は、好奇心の強い猫がベースとなったUDC怪物が相手。
「……とにかく……倒し……」
 傷つきながらも、ウェアキャットは裕美のぐるぐる眼鏡に興味津々。
「これ、何なのニャ?」
「初めて見るのニャ」
「……ちょ……やめ……」
 思いっきり眼鏡を引っ張られ、裕美はタジタジとなってしまっていて。
「やめてと言っているではありませんの」
「よいではないかよいではないかニャー」
「じっくり、見せてほしいのニャ!」
 しつこいウェアキャット達はついに、彼女の眼鏡を奪ってしまう。
 その瞬間、裕美の人格がシルヴァーナへと切り替わる。
 髪は銀色に変わり、両目を赤く光らせた裕美は、眼鏡を奪ったウェアキャット達を惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』で切り裂いていく。
「いけない野良猫達は、躾けないといけませんね」
 裕美は取り戻した眼鏡を装着せず、そのまま応戦を続けることにしたようだった。


 最初は怒りに身を任せ、襲い掛かってきたウェアキャット達。
 彼女達も戦いの中で猟兵達に興味を持ち、場合によっては面白がりながらも襲い掛かっていた節がある。
 しかしながら、やはり『好奇心猫をも殺す』ということだろう。彼女達は猟兵達に倒され、その数は減らしていく。

「ニャッ、ウニャッ!」
 かしわ手を打ちつつ、攻め来るウェアキャット達。
 ケイ・エルビスもその動きをある程度見切り、早業で至近距離から銃弾を放つ。
 相手が動きを止めれば、エルビスは仲間へと呼びかける。
「今だぜ!」
 すると、時間稼ぎをしていた火花も、もういいだろうと腕からヤドリギを伸ばしていく。
「一瞬だけ、だ……暴れすぎるなよ――!」
 火花が解放したヤドリギは広範囲へと暴れ狂い、ウェアキャットの体を抉り、貫いていく。
「薙ぎ払え!」
 一気に攻勢を強める偽葉も横薙ぎの斬撃を繰り出し、ウェアキャット達がいる一定空間ごと切り裂き、次々に敵の体を分担してしまう。
「泥棒するなら、狙うのはお魚だけにしてほしいものです」
 雨咲・ケイも弱った敵を狙って指先を向け、天からの光で撃ち抜いていく。
「ニャアアアッ!!」
「……いや、それもダメですね」
 そんな雨咲の忠告も、光に灼かれたウェアキャット達には聞こえていないようだった。
「ニャアアアアッ!!」
 アネットの腕につかまれたウェアキャットも叫び、暴れ続けていた。
 その敵をアネットは腕を起点として、思いっきり地面に叩きつけていく。
 さらに、他のウェアキャットを巻き込むように。建物の壁に向けて。何度も何度も叩きつけていった。
「う、ニャ……」
 やがて、ウェアキャットは抵抗を止め、力なく崩れ落ちてしまう。
「ふふーん。わたしの女子力(物理)を前にして、立っていられる敵はそうはいないよ!!」
 敵を倒し、アネットはどや顔して大きな胸を張って見せていた。

 数を減らすウェアキャット。
「おろろろろろろ……ニャ」
 隣人によって体を回転させられ、目を回してモザイクまみれになっていたウェアキャット。……抽象的な描写となるのは、勘弁願いたい。
「ささ。皆さんに留めは任せますよ。トドメ!!!」
 だが、さすがにその状況に、ドン引きするメンバーもちらほら。
「残念ですね。仕方が在りませんので、隣人ちゃんが撲殺しましょう」
 もはや物言わぬ敵の頭へと隣人はコーヒーカップで何度も殴りかかり、確実にそいつを仕留めていく。
 裕美も己の眼鏡に興味を抱いていた敵へと、執拗に【惨殺ナイフ】で切りかかり、傷口を抉り続ける。
「悪かったニャ、許してニャー!」
 命乞いをする彼女へと、裕美は尋ねる。
「では、飼い主は誰かしら?」
「ボスは……、ぶっとばし親分ニャ……」
「ついでに、アジトの場所は?」
 裕美は可能な範囲で、ウェアキャットから情報を引き出していく。
 ある程度問答したところで、裕美は躊躇なくナイフを素早く一閃させて。
「すまないわね。これはお礼よ」
「そん、ニャ……」
 とどめを刺されたウェアキャットはうな垂れるようにして、事切れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『五三二『デビルズナンバーぶっとばし』』

POW   :    悪魔の圧砕(デビルクラッシュ)
単純で重い【鉄骨】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    悪魔の鉄骨(デビルフレーム)
【鉄骨】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    悪魔の振回(デビルブランディッシュ)
【鉄骨を高速で振り回す無差別攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
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 裏路地での戦いを2度、潜り抜けた猟兵達。
 ようやく、青年に事情も説明できたメンバー達は、先ほど倒した眷属『ウェアキャット』から聞き出したアジトへと向かうことにする。

 先ほどの戦闘現場からは少し距離があったが、やはり人が気づかぬようなうらびれた路地、建設作業が止まって久しい工事現場がUDC怪物達のアジトとなっていた。
「……遅かったな」
 奥を見つめていた男は振り返りながら、配下と思っていた突入者……猟兵達へと告げる。
 そいつは、フェイスガード付きのアイスホッケーヘルメットを着用し、素顔を直接拝むことができない。
 首から下は皮ジャンを纏い、背中に「五三二」と数字が刻印されている。なぜか皮ズボンの上に足だけアイスホッケーのレガースを着用していた。
 彼の名は、五三二『デビルズナンバーぶっとばし』。
 考えるよりも殴った方が早いという、完全な脳筋のUDC怪物である。
 振り返った彼は入ってきた猟兵を確認し、大きく溜息をつく。
「……ウェアキャットどもは倒されたのか」
 大儀そうに頭を振ったぶっとばしは、近くに置いてあった鉄骨を拾い上げて。
「まどろっこしい。だから、泥棒猫も、ヤンデレ少女も、全部ぶっとばせばいいと……」
 こいつの攻撃方法は至極単純。
 その鉄骨を使って相手に重い打撃を食らわせたり、近距離から超高速高威力での一撃を食らわせたり、高速で振り回して無差別に相手を連続して叩きつけたりすることができる。

 おそらく、新勢力を増やす為、他のUDC怪物やウェアキャットが死神の説得に当たるということで、このぶっとばしは力技で事に当たるのをアジトで我慢していたのだろう。
 だが、その全てが失敗したのであれば、ぶっとばしが我慢する必要もなくなるわけで。
「武器を抜け、猟兵」
 促された猟兵達が武器を手に取ると、ぶっとばしも鉄骨を両手で構えてみせて。
「まずはオレがお前達を、屈服させてやる」
 いっそすがすがしい程に脳筋なUDC怪物、五三二『デビルズナンバーぶっとばし』に対し、猟兵達はそれ以上の力で相手を屈服させる為、攻撃を開始していくのだった。
ケイ・エルビス
★アドリブ連携台詞歓迎&ソロ避けたい


SPD


素早い攻撃を求められる為
アサルトウェポンは最初の遠距離のみ


UCで近距離で敵攻撃を連続で回避し続け

地形も鞭や回避で利用して張り付き

時間稼ぎ
挑発

仲間に集中させねえぜ

回避から
徒手格闘やナイフ
ブラスターで

気合
カウンター
咄嗟の一撃
零距離射撃
武器飛ばし
吹き飛ばし
2回攻撃
フェイント
クイックドロウ

に繋げて反撃


仲間のチャンスを作るぜ



◆回避&防御
見切り
野生の勘
オーラ防御



◆仲間のサポート
援護射撃
かばう




「どうした、もうお終いかい? 
力があっても当たらなきゃ大したことねえな」


火奈本・火花
「随分と単純なUDCだな――発見は容易だが、捕獲と収容に手間取るタイプ、か。人間と同様に、力で上回る必要があるな」

■戦闘
見たところの攻撃方法は怪力と、武器である鉄骨による殴打か
鉄骨を投擲する可能性もあるが、まず接近戦に持ち込まれない必要があるな

まずは牽制に9mm拳銃の『クイックドロウ』で『先制攻撃』を取り、『2回攻撃』での銃撃を行うつもりだ
その後は距離を取りながら二丁拳銃乱舞で攻撃しよう。使うのは9mm拳銃のみ。耐久力も高そうだし、攻撃力を重視する

だが拳銃乱舞の前に奴が地形を破壊したら、遮蔽物や連射の足場になる物がないか『地形の利用』をする
私の攻撃後なら、破壊に巻き込まれないようにしなくてはな


雨咲・ケイ
どうやら真っ向勝負をご希望のようですね。
それはこちらも望む所。
正面から戦いましょうか。

良い勝負になりそうです。
【POW】で行動しましょう。

【シールドバッシュ】による【2回攻撃】で
牽制を行いながら、敵の動きと攻撃をよく見て
観察していきましょう。

敵の攻撃は【地形の利用】を活用して避けますが、
回避できない攻撃は【盾受け】と【オーラ防御】を
併用してダメージを最小限に抑えます。

そして、敵の【悪魔の圧砕】に対しては【第六感】を
併用した【光明流転】で反撃し、一気に攻めましょう。


燈夜・偽葉
清々しいほどの脳筋っぷりなのですね
まぁわたしも大して変わりないかもしれませんけど
というわけで斬りますね?

「剣よ、空を分かちて」で攻撃しますね
あなたの攻撃はどれも鉄骨を用いています
ですのでまずは鉄骨を斬っておきますね
持ち替えればいい、とか考えていませんか?
私が斬ったのは、あなたが今持っているもの、だけじゃなくて視界内に有る、予備の鉄骨も全部、ですよ
ここからは、あなたが猟兵に屈服する時間ですよ

敵の30cmの間合いに入らないように位置取りをします


アネット・シェルティ
でびるずなんばーって何だろー?
まぁ、いいや。
相手もその気だしとりあえず叩こう!

◆行動
脳筋……気が合いそうな相手!
わたしと力比べをしようよ!!
キミの自慢の技とわたしの技どっちが強いかなあ?
あ、キミから先に攻撃していいよ!!

相手の重い攻撃を【武器受け】で受け止めて【怪力】で押し返すよ!

ふぬぬぬぬぅぅ……!

押し返したらわたしの番だよ!
UCを使用してバトルアックスを相手に叩きつけるよ!【怪力】も存分に発揮だ!

これがわたしのぶっとばしだぁー!
キミは受けきれるかな!!


中村・裕美
せっかく出てきたのですから、このまま参りましょう
「こんばんは、悪魔さん。今宵は素敵な夜ですわね」
優雅な佇まいで一礼をして、戦闘に入る

相手の射程を見極め、優美なステップでかわす
「わたくしは、本来の自分が憧れていたもう一人の自分。優美で社交的であって欲しいと望まれた一面」
蝶のように舞い、蜂のようにドラゴンランスで串刺し
「そして、自分に害を与える者を躊躇なく仕留める残虐性も望まれた一面ですわ」

「わたくしはそうやって望まれた一面。貴女がもし、わたくしをグシャグシャに潰したくなると思うのであれば、わたくしは常にそう思われる存在でなければいけない。潰されて無価値なものへと消耗されるわけには行きませんの」




 路地裏にて、邪神に惑わされていた青年に事情を説明した猟兵達。
 2度の交戦と事後処理も経て、徐々に日が傾き始めてきている。
 眷属、ウェアキャット達からUDC怪物達のアジトを聞き出した猟兵一行は、敵がやってくる前にこちらから攻め込むことにしていた。
 すでに、眷属達のボスの名も、聞き出しているのだが。
「でびるずなんばーって何だろー?」
 豊満な体を持つ人狼の少女、アネット・シェルティ(いのち短し恋せよ人狼・f15871)は、敵の名に素朴な疑問を抱く。
 ボスの名は、五三二『デビルズナンバーぶっとばし』。
 「悪魔の数字」と呼ばれる彼らは、猟兵となった一人の男が戦い続ける相手のようだが、それはさておき。
「……遅かったな」
 とある工事現場で待ち受けていたそのデビルズナンバーぶっとばしは、ウェアキャット達が帰還したと思い、振り返る。
 しかしながら、そこに入ってきた猟兵達の姿を認めると、彼は一つ溜息をついた。
「……ウェアキャットどもは倒されたのか」
 革ジャン、革ズボンにホッケーマスクにレガース。
 彼の傍に鉄骨が1本放置されているが、先端の方の塗装が剥げているのは気のせいではないだろう。
「随分と単純なUDCだな――」
 スーツ姿の男装の麗人、火奈本・火花(エージェント・f00795)が今回の状況を分析して。
「発見は容易だが、捕獲と収容に手間取るタイプ、か」
 人間と同様に、力で上回る必要があると火花は考えていた。
「オレとしては、素早い攻撃で攻めたいところだな」
 それも、ある意味で相手の力を上回ることだと、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)は仲間達へと告げる。できるなら、連携して一気に攻撃したいところだ。
「まどろっこしい。だから、泥棒猫も、ヤンデレ少女も、全部ぶっとばせばいいと……」
 ぶっとばしは大儀そうに鉄骨を拾い上げ、猟兵達へと促す。
「武器を抜け、猟兵」
「どうやら、真っ向勝負をご希望のようですね」
 眼鏡着用の美少年、雨咲・ケイ(人間のクレリック・f00882)が黒いガントレットに小型の盾を構え、間もなく始まる戦いに備える。
「清々しいほどの脳筋っぷりなのですね」
 こちらも13歳にしてスタイル抜群の妖狐の少女、燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)が呟く。
 彼女は自身も大して変わりないかもしれないとしながらも、『黄昏の太刀』に手をかけて。
「……というわけで、斬りますね?」
「まぁ、いいや。相手もその気だし、とりあえず叩こう!」
 それまで、デビルズナンバーについて考えていたアネットもまた、巨大斧『バトルアックス』を担ぎ、勝負に臨む。
「まずはオレがお前達を、屈服させてやる」
「それはこちらも望む所。正面から戦いましょうか」
 鉄骨を両手で構えたぶっとばしへ雨咲が言葉を返す。
 丁度そこに間に合ったとばかりに、やってきた猟兵が1人。
「こんばんは、悪魔さん。今宵は素敵な夜ですわね」
 優雅な佇まいで一礼をして来たのは、銀色の長い髪を靡かせた中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)だ。
 彼女は先の戦いで別人格シルヴァーナを呼び起こしており、そのままの姿で参戦していた。
「せっかく出てきたのですから、このままの姿でお相手しますわ」
「よかろう。纏めて相手になってやる」
 鉄骨を手にしたぶっとばしは悠然と立ち、猟兵達を迎え撃つのである。


 工事現場内部で、すぐに甲高い金属音と銃声が響き始めた。
 鉄骨を軽々と振り回す五三二『デビルズナンバーぶっとばし』へ、各メンバーはそれぞれの立ち位置から武器で、ユーベルコードで攻め立てる。
「脳筋……気が合いそうな相手!」
 アネットは明らかに力押しタイプの敵に目を輝かせて。
「わたしと力比べをしようよ!!」
「散々待たされた身でな。遊んでいる暇なぞない」
 ぶっとばしは太く重い鉄骨を、高速で軽々と振り回してみせる。これもユーベルコードの力だろうか。
「あなたの攻撃はどれも鉄骨を用いています」
 偽葉は納刀状態のまま、ぶっとばしに告げる。
「ですので、まずは鉄骨を斬っておきますね」
 直後、彼女は抜刀し、切りかかろうとする。
 だが、ぶっとばしも手にする鉄骨をうまく振るうことで、それを避けてみせていた。
「そうやすやすと、武器を奪われてはかなわん」
 斬撃を避けたぶっとばしは鉄骨を縦に振り下ろし、偽葉へと殴り掛かってくる。
 そこで、火花が素早く抜いた『自動式9mm拳銃』の引き金を連続して引き、ぶっとばしを牽制する。
「鉄骨を投擲する可能性もあるが、まず接近戦に持ち込まれない必要があるな」
 見たところ、攻撃方法は怪力と鉄骨殴打。
 そう判断し、火花は銃撃で敵の牽制を続けていく。
 エルビスも初撃のみライフルを掃射していたが、すぐに接敵し、敵の鉄骨の的となって。
「ヒュッ……! 当たらねえよ!」
 彼は至近距離で動きつつ、周囲の鉄骨や鞭『インディ』を使い、鉄骨から素早く逃れる。
「仲間に攻撃は集中させねえぜ」
 エルビスはぶっとばしを挑発しつつ、直撃を食らわぬよう逃げ回っていた。
 しかし、敵の狙いは的確だ。
 危なくなったところで、雨咲が盾を前に出して体当たりし、さらにその盾で殴り掛かり、牽制する。
「良い勝負になりそうです」
 雨咲もまた牽制に当たり、敵の攻撃パターンを直接観察していた。
 風を切る鉄骨。裕美はその距離を見計らい、優美にステップを踏んで躱してみせて。
「わたくしは、本来の自分が憧れていたもう一人の自分。優美で社交的であって欲しいと望まれた一面」
「何をわけの分からんことを……!」
 横薙ぎに振るう鉄骨。それを裕美は蝶のように避けて。
「そして、自分に害を与える者を躊躇なく仕留める残虐性も望まれた一面ですわ」
 猟奇的な笑いも見せつつ、裕美は蜂のようにドラゴンランスをぶっとばしの肩を突き刺す。
「ぐっ……、まだだ」
 そこへ、斧を振るうアネットが近づいて。
「キミの自慢の技とわたしの技、どっちが強いかなあ?」
 彼女はにっこりと微笑んで、くいくいと手を動かして自分に鉄骨を振るうよう誘う。
「あ、キミから先に攻撃していいよ!!」
「ならば、望み通りにしてやろう」
 ぶっとばしは渾身の力を籠め、アネットへと鉄骨を振り下ろす。
 それを、彼女は己の『バトルアックス』で受け止める。
 またも高く響く金属音。その後、2人の呻き声が響く。
「ふぬぬぬぬぅぅ……!」
 あまりにも重たい一撃に、アネットは刹那潰れてしまいそうになるが、持ち前の怪力で押し返していく。
「おりゃああああっ!!」
「なに……っ」
 アネットの斧に押し切られ、鉄骨を大きく突き上げられる形となったぶっとばしが体勢を崩す。
 そこで、さらに偽葉がもう一撃仕掛けていった。
「逃がしませんよ!」
 彼女が再度繰り出した一閃は、ぶっとばしが持つ鉄骨を切り裂いてしまう。
「ふん、たかが鉄骨の1本で……」
 ぶっとばしは代わりの一本を手にすべく、周囲を見回す。
 偽葉はそんな彼へとこう告げる。
「持ち替えればいい、とか考えていませんか?」
「な、んだと……?」
 すると、ようやく事態に気づいたホッケーマスクの中の顔が歪む。
 偽葉が最初の斬撃で斬ったもの。それは。
「私が斬ったのは、あなたが今持っているもの、だけじゃなくて視界内に有る、予備の鉄骨も全部、ですよ」
 気づけば、近場にあった鉄骨は皆寸断され、バラバラになっていた。
「ここからは、あなたが猟兵に屈服する時間ですよ」
 だが、ぶっとばしは怪力で、工事現場で組まれた鉄骨の内から一本を抜いて見せて。
「この程度で、俺に勝ったと思ってもらっては困る」
 そいつはさらに鉄骨を振るい、猟兵達を攻め立てるのである。


 両者譲らず、薄暗くなりつつある工事現場で戦いを繰り広げる。
「うおおおっ!!」
 五三二『デビルズナンバーぶっとばし』の一撃は、まともに受ければ一撃で昏倒してしまうどころか、体を潰されかねない威力。
 前線でその攻撃を避け続ける雨咲は、相手が大きく鉄骨を振りかぶった隙をついて。
「その瞬間を待っていました」
 直感を活かし、氣の流れを読んだ雨咲は高速で盾によるカウンターを敵の顎へと食らわせていく。
「ぐはっ……」
 よろけたぶっとばしだが、踏みとどまって近場のメンバー達に向けて鉄骨をスイングする。
「わたくしは望まれた一面なのですわ」
 ぶっとばしは裕美の独白を理解できず、力任せに鉄骨を叩きつけようとしていく。
「貴女がもし、わたくしをグシャグシャに潰したくなると思うのであれば、わたくしは常にそう思われる存在でなければいけない」
 裕美……シルヴァーナは内なる自分……主人格である裕美へと呼びかけながら、さらにぶっとばしへとドラゴンランスを突き出していく。
「ぐはあっ……」
「潰されて、無価値なものへと消耗されるわけには行きませんの」
 ぶっとばしは呻き、立ったままうな垂れる。
 そこへ、エルビスが迫っていく。
 彼は仲間達が攻め込むチャンスを作るべく、近距離から様々な武器を駆使していった。
 敵が鉄骨を振りかざし、一撃を叩きこもうとしてきた直後は、ぶっとばしに大きな隙ができる。
 エルビスは徒手格闘の他、ナイフ、ブラスターと、攻撃方法を特定させず、多角的な攻めを行う。
「どうした、もうお終いかい? 力があっても当たらなきゃ大したことねえな」
 だが、次の瞬間、ものすごい速さで鉄骨が振り上げられた。
 とっさに避けたエルビスは後方へと飛び退ったが、たった一度かすった鉄骨が彼の体力を大きく削ぎ落とす。
「おおおおおおっ!」
 追撃をかけようとするぶっとばし。
 だが、そいつを火花が拳銃で撃ち抜く。
 銃弾に撃ち抜かれながらも、ぶっとばしは地面を殴りつけて足元を破壊する。
 ぐらつく建設現場。すでに、戦いの中でぶっとばしが鉄骨を3本抜いている上、地面まで破壊されれば、流石にこの場はもう長くはもたないだろう。
「おおおっ、うおおおおおおおおおっ!」
 傷が増え、敵は死力を尽くして猟兵達を殴りつける。
 火花も物陰や破壊された鉄骨を使って遮蔽物とし、攻撃重視でぶっとばしの体に銃弾をいくつも埋め込んでいく。
「捉えましたよ」
 仲間達が気を引く隙に、距離をとる偽葉がまたも黄昏の刃でぶっとばしの体を大きく裂いてみせた。
「おああっ……」
 大きくよろけたぶっとばしへ、アネットが『バトルアックス』を大きく振り上げて。
「これがわたしのぶっとばしだぁー! キミは受けきれるかな!!」
 勢いに任せ、彼女は怪力で敵のホッケーマスクをかち割ってしまう。
 それだけの衝撃、多少オーラを張っていたところで、耐えられるはずもなく。
「小細工も、正面からも、太刀打ちできん、とは……」
 ぐらりとぶっとばしの体が崩れ、倒れてしまう。
 それと同時に、崩れ始める建設途中の建物。
 メンバー達はこの場に倒れた五三二『デビルズナンバーぶっとばし』を残したまま、外へと避難していく。

 轟音を立てて崩れ落ちた建物内にはバラバラの鉄骨が転がっていたが、今度はどうやら新たな邪神が偶発的に生まれることはないようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月25日
宿敵 『五三二『デビルズナンバーぶっとばし』』 を撃破!


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒木・冬夜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は六六六・たかしです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト