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お触り厳禁? もふもふウルフガールズ!

#アックス&ウィザーズ


●肉食モフモフ姉妹(仮)
 その場所は、スモークチーズのような色の土と、背の低い緑で構成されていた。他に目に入るものといえば蝶や蜂がまばらに舞っているくらいで、あとはせいぜい空の青と雲の白だ。
 そんなところにある日突然、灰白色のもこもこした一群が発生した。
 そう頻繁に人の寄りつくようなところではないため、その光景を見る者はなかった。が、仮にそんな者がいたとしたら、鼻の下を伸ばしていたかもしれない。
「おねーちゃーん。おなかすいたよー」
「すいたよー」
 その一群はことごとく、簡素な毛皮の下着のみを纏った美少女ばかりだった。そのくせ遠景で見て肌色よりも灰白色が目立つのは、頭髪、さらに手足を覆う『自前の』毛皮、頭から生える獣耳、尻尾といったものが、白だったり灰色だったりするためだ。
 人に似て人にあらず。彼女らは人狼型のモンスターであった。
「……私はあなたたちの姉ではないのだけれど。でも、確かにね」
 群れの中心に、明らかに別格のオーラを放つ人狼型モンスターが在る。
 こちらは全身を自前の白銀色の毛皮で覆い、顔も鼻先の尖った獣顔。二本の足で立つ様などは人じみてはいるが、周囲に侍る美少女の群れに比べると、より狼に近い。身に纏っている金色の装身具は、下着のようでもあり、鎧のようでもある。
「それで、何が食べたいの?」
 白銀の人狼が、灰白色の少女たちを見回しながら言う。
 すると、彼女たちは無邪気にはしゃぎながらめいめい好き勝手に主張し始めた。
「ニンゲンー」
「エルフー」
「ドワーフのニクはカタいからキライー」
「フェアリーはクいでがないからキライー」
「……何を馬鹿なことを言ってるの、あなたたち」
 眉間にしわを寄せ、白銀の人狼は言った。
「好き嫌いせず、どんな肉も食べなきゃダメよ。ちゃんと、会う者全て皆殺しにして食い尽くしなさい」
「はーい、おねーちゃん」
 一斉に明るく素直な返事をする、怪物の集団。
 そう頻繁に人の寄りつくようなところではないため、その光景を見る者はなかった。ゆえに、彼女たちが生み出す惨劇に備えることができる者もまた、なかった。
 彼らを除けば。

●油断大敵、下心厳禁
「連中を放置した場合、あちこちの集落の肉という肉が食い荒らされる。人も家畜も問わず、な。つーわけで、奴らの出現ポイントに行って、移動を始める前に殲滅してもらいてえ」
 そう言いつつ大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)は、グリモアベースに集う猟兵たちの顔を見回した。
 幸い、出現場所は人気のない高原であり、全力で戦っても被害を考えなくて良いという。存分に暴れられるのは相手も同じこととはいえ、戦闘以外のあれこれに思考のリソースを割かなくて済む分、比較的気楽に構えられる。
 その高原で初めに戦うことになるのは、美少女人狼の群れだ。
「これがまあ、まとめてウチのプロダクションにスカウトしたいくらいの美少女揃いなわけだが……」
 朱毘は冗談めかしてそんなことを言いつつ、しかし、目をキッと鋭く細める。
「見た目にほだされたり、不埒なイタズラ仕掛けようなんて考える余裕なんざ、これっぽっちもねーぞ。個々のパワーやスピードも脅威だが、なお怖いのは集団戦法の上手さだ。尋常じゃなく連携が巧みでな、隙を見せたが最期、寄ってたかって――」
 そこで朱毘は、歯をカチリと噛み鳴らした。
「――食いちぎられんぞ」
 ナニが、とは言われなかったものの、聞いた者の中にはヒュンと身(あるいはその一部)を縮めた者も多かっただろう。
「次に戦うのは、群れのボス……つーか、姉貴分に祭り上げられた人狼だ。群れの連中とは方向性が違うが、これまた美人さんだぁね」
 生前は『白麗公』とも呼ばれた強モンスターで、神速でもって双剣を操る様はまさに一騎当千、群れを成す人狼たちと比して頭三つか四つは抜けている猛者だという。彼女もまた、油断が死に直結する強敵だ。
「奴らは血肉に飢えた状態で……まあそれを差し引いても、オブリビオンとしての猟兵に対する敵愾心も強い。話し合いだ籠絡だ何だは一切通じねえ。もふもふ好き、可愛い子好きにとっちゃ断腸の思いを強いる仕事になるけど、涙を呑んで遂行してくれ。あ、それから……」
 手をポンと叩いて、朱毘は続けた。
「戦場から少し離れたところに、なぜか四つ葉のクローバーが妙に大量に見つかる原っぱがあるんだわ。景色もなかなか綺麗っぽいから、戦いが終わったら足を伸ばしてみてもいいかもよ」


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良(おおかみとら)です。

 第一章は、狼型美少女モンスターの集団との戦いになります。オープニングでも述べられています通り、身体能力が高い上に集団戦に長じた難敵です。どさくさに紛れてお胸様にちょっかいを、などの邪念を抱えて戦っているようですと、間違いなく袋叩きの憂き目に遭うことでしょう。注意して下さい。
 第二章は、ボスとの戦闘になります。姉扱いされて困惑しているように見えて、実はまんざらでもない感じだったりします。ですから、妹たち(仮)が倒されまくるとどうなるか……ご想像に難くないかと思われます。氷の魔力を持ち、スピードと剣技も冴え渡るという強敵です。隙を見て尻尾もふもふしようかしら、などと思うのはご自由ですが、実行したところで返り討ちにされる未来しか訪れませんので、これもまたご注意願います。
 第三章は、オブリビオンの発生場所の近くの野っ原で、ごろごろだらだらして頂く日常パートとなります。一応ですが、朱毘も呼ばれればお邪魔することができます。

 では、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ウォルファン』

POW   :    みんなでコウゲキだ!
【足の速い個体の攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【群れの集中攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    つかまえろー!
【高速移動】から【飛びかかり】を放ち、【抱きつき】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    わたしにマカせろ!
自身の【群れの目的の達成】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
👑11
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●猟兵は肉で餌らしい
 問題の高原に至った猟兵たちに、美少女人狼――ウォルファンの群れが反応する。
「エサだ!」
「ちがう、イェーガーだ!」
「ちがわないぞ、だってニクだ!」
「ニクはエサだ!」
「じゃあイェーガーはエサだ!」
「そうだそうだ!」
「たべるぞ!」
「おー!」
 空腹で正常な判断力が弱まっているのか、オブリビオン化によって正気を失ったためか、あるいは生前からおバカだったのかははっきりしないが、何やら微妙に頭の悪そうなやりとりを叫びながら。
 殺意と食欲が渾然一体となったいかにも肉食獣らしい暴性を向けつつ、襲いかかってきた。
風嶺・陽
【アドリブ・他猟兵との絡み歓迎】

【心情】
あの、朱毘さん。グリモアのお仕事もいいんですけどちゃんと事務所でアイドルのお仕事もしてくれません?
そんなわけでグリモアのお仕事をサクサク片付けて朱毘さんを事務所に連れて帰りますよ。

【行動】
ひとまず相手の飛びかかりを【見切り】ながらユーベルコードを発動。
抱きついてきた相手を【怪力】で引き剥がしつつ、餓者髑髏で【範囲攻撃】。可及的速やかに殲滅します。

「貴女達も生きる為に喰らわねばならない事は重々承知ですが、それでも限度というものがあります。度を過ぎた行為には報復を。ええ、許さなくても結構です。私は私のために貴女達を蹂躙します」


アネット・シェルティ
幸運の四葉のクローバー!
いいなぁ。旅の始まりに取っておきたいなぁ。
よーし。がんばろう!

えーと、最初の相手はなんだろ。
人狼かなぁ?だったらわたしとお揃いだね。挨拶しておこうかな。

わたし、アネット!よろしくねー!

◆行動
向こうはわたしを攻撃して来るよね。
足の速い個体が攻撃してきたら【怪力】で攻撃を受け止めてそのまま攻撃してきた部位をしっかり掴んでおもいっきり地面に叩きつけちゃおう。
相手が意識を飛ばしているうちにバトルアックスを叩きつけちゃう。
敵の子達はこの光景を見て怯んじゃうかな?
わたしの活躍を沢山アピールしたいからもっと来ても良いんだけどな。

※アドリブ、連携歓迎



●豪腕麗舞
「あなたたち、わたしとお揃いね! わたし、アネット! よろしくねー!」
 明るい声で呼びかけられたウォルファンたちは、困惑して足を止めた。
 声の主、アネット・シェルティ(いのち短し恋せよ人狼・f15871)の頭には明るい茶色の狼耳がぴこぴこと動いているし、同じく茶色い狼尻尾もふりふりと揺れている。
 体毛のカラーリングは違えど、アネットもまた人狼だ。そして、体毛とは別に全体的に白っぽい……のは、戦闘用に簡略化したウェディングドレスを着ているせいなのだが。
 一応の親近感を呼び起こす姿のアネットを前に、ウォルファンたちはひそひそと会議を始める。
「あれ、ナカマ?」
「ちがうだろ。だってイェーガーだ」
「イェーガーだけどオオカミだろ?」
「イェーガーはオオカミじゃないぞ、イェーガーだ」
「じゃあテキ?」
「そうだ、イェーガーはテキだ!」
「テキはコロす!」
 過程はともかくまあまあ正しい結論に達したウォルファンたちは、戦意を新たにしてアネットに殺到した。
「あれー?」
 困惑したように小首を傾げつつ、しかし、アネットの所作に戸惑いはない。
 ドレスに合わせた純白の手袋に包まれた、一見なよやかな左腕。それが一直線に、最前にいるウォルファンに伸びる。
 そして、ウォルファンが爪を振るうより早くその手首をつかみ上げ、ぎぢぃ、と異音が出るほどの怪力で握りしめた。
「が――!?」
 ウォルファンの悲鳴を意に介さず、アネットは自身の足下に力任せに叩きつけた。さらに背負っていた長柄の戦斧を右手一本でもって軽々と振り上げ、無造作に打ち下ろす。
 ご! と呆気ない轟音を上げて、斧の刃を中心に半径五メートルほどのクレーターが形成される。暴力の中心にあったウォルファンはひとたまりもなく、微塵になって骸の海へ還った。
 地面が破壊されたことで足の着けどころを失った後続のウォルファンたちも、転倒したり体勢を崩したりと、ごちゃついた状態になる。
 と、そこに底冷えするような声が届く。
「集え怨讐、戦慄け惆悵――」
 届いたのは声だけではない。どす黒く揺らめく妖気めいた何かをまとった、三メートルを超す人型のガイコツ。そしてその肩に乗った、妖気よりなお黒い機械的な全身甲冑をまとった人影。その一塊が、アネットの手前あたり、即ちごちゃついたウォルファンたちのただ中へと躍り出た。
「薙ぎ払え、餓者髑髏!」
 人影の発した声に応じ、ガイコツが腰をかがめて腕を横薙ぎに振るう。
 不格好なラリアットのような一撃は、数体のウォルファンをまとめて打ち払い、消滅せしめた。
「ああん! せっかくのアピールチャンスだったのに!」
 ぷりぷりと頬を膨らませ、アネットは人影――風嶺・陽(鬼刹猟姫・f06532)へと抗議の声を上げる。
「……失礼。効率よく片付けたかったものですから」
 アネットの言葉が予想外だったのか、陽の声色にはやや困ったような、呆れたような気配がにじんでいた。顔の上半分を覆う兜のせいで、表情の方は読み取りにくいが。
「あんまり派手に倒したら、この子たち怯えちゃう。どんどん来てくれなきゃ、わたしの活躍が……」
「無用の心配ですよ、それ」
 即座に陽が告げる。言われたアネットは、周囲のウォルファンらを見回してみる。
 そして瞬時に、陽の言葉の正しさを知った。
「キサマら……!」
「よくも……!」
 ウォルファンたちは怯えるどころか、殺気をさらに獰猛に高めていた。各々の目に宿った光も、より熱く鋭くギラついている。
 そも、強固極まる結束でつながった一群であり、かつ群れを生かすためには己の身を捨てることさえいとわぬ暴勇の徒ばかり。群れの仲間が派手に討たれたとて、憤激することはあれ、怯え竦むことなどない。
「つかまえろ!」
 誰のともつかぬ号令一下、ウォルファンたちがアネットと餓者髑髏とに群がる。
「――負けないよ!」
 アネットは餓者髑髏に背を預けつつ、力任せに戦斧を振り回してそれらを撃退した。
 が、体格の分小回りの利きにくい餓者髑髏は、数体に取り付かれた。振りほどこうとするものの、肉が潰れ、骨が軋む音を響かせてなお、ウォルファンたちは離れない。
 動きの鈍った餓者髑髏を足場にして、ウォルファンの一体が陽に肉迫する。
「ユルさないぞ!」
「ええ、許さなくて結構です」
 淡泊に言い放ち、陽は噛みついてくるウォルファンの口目がけて精密に貫手を突き入れた。そして、すかさず口中で握り拳を作る。
「!?」
 ウォルファンが口中を圧迫されて怯んだところ、さらにグイと押し込んで懐を広くする。
「貴女たちも生きるために喰らわねばならないことは、重々承知。その上で、私は私の都合で貴女たちを蹂躙するまでです」
 怪力でもって腕を薙ぎ、陽はウォルファンのあごを砕きつつ振り落とした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大豪傑・麗刃
わたしは常日頃から変態と言われているのだ。
だがそんなわたしでもこの戦いは勝ったも同然だとわかるのだ。
なぜなら!
相手はどう見ても鎧とか着てないのだ!防御力皆無なのだ。
変態なので色気とかわからないのだ。

さて敵は集団で来るらしいのだ。
集団で来る相手なら対処法はただひとつ。

全員斬るのだ。

そんなわけで右手にはいつもの刀!左手には新たに入手した刀フライングシャドウ!
この二刀流でばっさばっさなのだ。剣刃一閃!二刀流なので二閃!2回攻撃あるから四閃!1回のアクションで4匹斬れるのだ。これを繰り返せばいつかは全滅するのだ。
敵の攻撃は見切ったり武器で受けたりカウンターしたり当たったと思ったらスカったり。

残像だ。


竜洞・梓
なるほど……
確かにアイドルとしてスカウトしたくなるのも分かります
が、人を襲うならその時点で失格です!というかオブリビオンですし!

【WIZとはパワーなり】
妖精さんを喚んでサポートしてもらいます
群れのために敢えてデコイになるというなら、正面から撃破してくれましょう
これが猟兵の、魔法少女アイドルの拳というものです!(パンチキック尻尾ビンタなどで乱戦突入、【勇気】【カウンター】【挑発】でステゴロ応戦
ボルテージ上げていきますよ!(攻撃成功で盛り上がるほどバフ

死角からの攻撃も妖精さんのアドバイスで避けて見せましょう!(【第六感】【オーラ防御】使用ピンチに対してもバフ


リグ・アシュリーズ
あら、親近感……と思ったけど人狼型「モンスター」なのね。
被害の防止って建前はあるけど、今回それだと気が乗らなくて。
後腐れなく、力比べといきましょうか!

黒剣を下段に構え、出会いがしらに一太刀浴びせる。
そのまま何度か斬り結んだ後、手傷を負うのを嫌がるように転身。
段差や崖のある方へ向かうわ。
狼の性質を残してるなら、弱った獲物は追わずにいられないわよね?
そのまま段差の手前で待ち構え、襲いくる敵を
【カウンター】気味に剣でいなし、段差下へ叩き落す!

高低差を利用し、【ジャンプ】の勢いも加えた剣を
相手に深々とお見舞いするわ。
力勝負とはいっても、【地形の利用】、相手の力の利用。
あるもの全てを使うのが実力よ!



●天丼に海老三本
「あら親近感、と思ったけど……人狼じゃなくて、あくまでモンスターなのね」
 肩をすくめるリグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)を前に、ウォルファンたちは怪訝な顔になって、こそこそと会議を始めた。
「あれ、ナカマ? ニオいがオオカミだぞ」
「オオカミじゃないぞ、イェーガーだ」
「イェーガーはオオカミじゃないのか?」
「オオカミじゃないぞ、だってテキだ」
「テキか! じゃあコロす!」
 理屈は謎だがとにかく結論だけは正しく導き出し、ウォルファンたちは戦意も新たにリグに殺到した。
 常人なら腰を抜かしそうな光景の中、しかし、リグは不敵に笑う。
「いいわね。後腐れなく、力比べといきましょう」
 自然体に近い下段構えから、すくい上げるような黒剣の一閃を放つ。刃の鋭利さより造作の頑強さに重きが置かれたそれは、斬撃というより打撃に近いものを生む。
 自慢の爪を見舞おうとしていた先頭のウォルファンの腕は、骨の砕ける音とともに弾かれた。
「ぎっ――!」
 ウォルファンは退かず、逆の手を振るう。
 その動作に合わせて半歩下がりつつ、リグは剣を返して袈裟に振り抜いた。
 頸椎と鎖骨を砕く鈍い手応えがあって、ウォルファンを絶命せしめる。同時、ウォルファンの全身がザラリと灰のように崩れ、消えた。
 一息つく間もなく、後続のウォルファンが次々に襲いかかってくる。
 囲まれては堪らない。リグは慌てて、後方に大きく跳躍した。
 慌てて――いるように、見せかけながら。
(鬼さんこちらってね。手は鳴らさないけど)
 如才なく目を配って周囲の地形を把握しながら、リグは駆けた。

●急転直下
「なるほど、スカウトしたくなるのもわかります。かわいいし、色っぽいし」
「そうなのか? 麗ちゃんそういうのわからないのだ。変態だからな」
「――?」
 大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)の主張が呑み込めず、竜洞・梓(まじかる☆どらくる・f11833)は首を傾げた。その類の無理解は、変態だからという理由で起き得るものだろうかと。
 さらに。
「だが、わかることもある。それは、奴らは防御力が皆無ということだ。鎧とか着てないからな!」
「――……」
 その台詞は、レオタードを基調とした魔法少女用の衣装を着ている梓にも刺さる。それ以前に、着流しにジャージという出で立ちの麗刃自身にも刺さるはずなのだが。
 大丈夫か、この人。
 これから共闘する人物のアレ具合に、梓はうっすら不安を覚える。が、そんな梓の不安をよそに、麗刃は一気にウォルファンの群れに突撃した。
「両手に刀を持ち、いつもの倍の速さで振る! 今、我が【剣刃一閃】は剣刃四閃なのだ!」
 けたたましく宣言しながら、滅法に振る。
 実際は、腕二本といっても一つの胴について離れぬものであって自在に跳ね回りはせず、ゆえに一閃が四閃になるほどの破格の効率は生まれない。また、相手は人並み外れた身体能力を持つ天然戦士の集団。一息四殺というほど都合良くはいかない。
 が、麗刃の剣がべらぼうに速いのは事実だった。
 しかも彼の太刀筋は一見乱雑なようで、その実精妙だった。襲い来るウォルファンに合わせて突きを放って後の先を取る、振り下ろされた爪の一撃を受け流す、返す刀で胴を薙ぐ……と、実に緻密に振るう。
 このまま群れの全てを斬り伏せるだろうかと思われた、そのとき。
「わたしに――」
「マカせろ!」
 二体のウォルファンが挟撃の形で麗刃に飛びかかる。
 任せろと言う割には工夫のない、と思いつつ麗刃は身を捻り、右で袈裟斬り、左で逆袈裟を放つ。
 狙い違わず、左右の刀はウォルファンたちを同時に斬り裂いた。が、完全に両断するつもりで放った双撃は、いずれも彼女らの胴の半ばで止まる。
「!?」
 血の泡を吐きながら、彼女らは凄絶に笑う。その手は、抱きかかえるようにそれぞれの刀をつかんでいた。
 その力の凄まじさ。のみならず、刀の食い込んだ部位の筋肉が異様に硬化し、両刀ともにビクともしなくなった。
 次の瞬間、八方から爪が迫る。
「シ――!」
「ね――!」
「ぇ!」
 麗刃の顔がえぐられ、首がちぎられ、胴が貫かれた――かに、見えた。
「残像だ」
「!?」
 どう動いたものか、麗刃は一瞬でウォルファンの包囲の外にあった。
 刀は二本とも決死のウォルファンたちが握ったままだが。
「刀は!?」
 思わず梓がツッコむ。
「離してくんなかったから手放さざるを得なかったのだ残像だ」
 答えながらも麗刃は、梓でなければ見逃してしまいそうな恐ろしく速い動きでウォルファンたちの攻撃を回避し続ける。
「まあ絶命すれば消滅するタイプっぽいから、それまで待つのだ残像だ。それまでわたし残像だを守ってほしいの残像だだ」
「わかりました。わたしの後ろに……」
「残像だ」
「どうしろって言うんですか!?」
 梓が絶叫する。
 しかしまあ、ムキになって次々に襲ってくるウォルファンたちの猛攻を残像だでかわし続けている様を見る限り、梓がわざわざ何かしなくても平気そうではある。
 そこに声が掛かる。
「残像屋、こっち!」
 やや離れたところで戦っていたリグが、ぶんぶん手を振っている。
「よくわからんがわかったのだ!」
 麗刃は残像を駆使しながら、リグの方へと駆ける。頭に血の上ったウォルファンたちもそれに続く。
「そしてあっち!」
「わかったのだ!」
 素直にリグに指差された方に方向転換。ウォルファンたちも続く。
 そして。
「ざんぞ?」
「お?」
「あ?」
 全員同時に、足下から依って立つべき地面が消えたのを知る。
「のああああぁぁぁぁ!?」
 一団は急に現れた崖の下に真っ逆さまに落ちていった。
「お、落ち――!?」
「あれだけの手練れ、この程度で死にやしないよ」
 崖のところに駆け寄った梓に向かって、リグは言う。
 梓は一瞬考え――手練れだからというのとはまた違う要素もあり――納得した。
「それもそうですね」
「じゃ、私は落ちたのを片付けるよ。残ってるのは任せていい?」
 言われ、梓は周囲を見回した。かなりの数が崖に落ちたため、残っているのは数体ほどだ。
「ええ、私一人で充分です!」
 敢えて挑発的な言葉を使う。と、ウォルファンたちが色めき立って梓を睨んだ。
「OK、お願いね」
 リグは黒い風に身を包んで崖下に跳躍し、中途で引っ掛かっているウォルファンを斬り払いつつ駆け下りていった。
 そして梓は、ウォルファンたちに向き直る。
「掛かってきなさい!」
「ナめるな!」
 ウォルファンたちが押し寄せたとき、すでに梓の【妖精の加護(フェアリーウィッシュ)】は発動していた。
 そちらを一瞥すらせず、左のウォルファンを喉輪で捕らえる。それを振り回し、正面のウォルファンに投げつける。そこに右前蹴りを叩き込めば、折り重なった二体はもろともに天高く吹っ飛ばされた。
 蹴りの動作に引っ張られるように振られた尻尾が、右から来ていたウォルファンの爪を叩いて逸らしたのは、偶然ではない。体の流れた彼女の首筋に、流れるように左後ろ回し蹴りを打つ。首の骨をへし折られたウォルファンはたちまち砂と化した。
 背中に目があるような――いや、背中のみならず、天に目を持って戦場を俯瞰しているような立ち回り。召喚した妖精たちからの助言に依るものだが、それを的確に攻防の動作に結びつけ得るのは、梓の修練の賜物である。
「な――!?」
「これが――」
 後続が追撃を仕掛けるよりも早く梓は踏み込み、心臓目がけて正拳を放った。胸から背中に衝撃が駆け抜け、ウォルファンの鼓動が止まる。
「魔法少女アイドルの拳というものです!」
 拳嵐がウォルファンたちを殲滅するまで、一呼吸ほどの時も掛からなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『フェンリル』

POW   :    白銀景色
【地面を氷結させ、吹雪をもたらす領域を展開】【白銀の景色と同化し、身を隠すとともに】【領域から冬の魔力を吸い上げること】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    透剣氷狼
【透き通る氷の刀身を持つ双剣】による素早い一撃を放つ。また、【金色の拘束衣『グレイプニル』を解放する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    千殺氷華
レベル×5本の【炎】属性の【魔法の矢】を放つ。
👑11
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●氷狼、狂奔す
 皮肉といえよう。
 ウォルファンたちはことごとく、死をも恐れぬ勇卒であり、絆深き家族であった。
 ゆえに、猟兵たちに斃されても斃されても、前線に征くことをやめなかった。
 ゆえに、彼女がいくら「退きなさい!」と命じても、家族を害した者たちに立ち向かうことをやめなかった。
 ゆえに、彼女という真打ちが前線に至るのは、ウォルファンが壊滅した後にならざるを得なかった。
「貴様ら――!」
 慟哭が天を裂く。
 怜悧狡猾なる様の氷のごときをもって知られた白麗公の面影は、ない。そこには、かりそめの妹たちをことごとく討ち滅ぼされ、怒り狂う『おねーちゃん』の姿があった。
「絶対に――絶対に、許さん!」
 激昂が氷雪の嵐を呼び、地を白銀色に染め上げる。
 決死戦の火蓋が、切られた。
竜洞・梓
むっ、セクシー系獣人お姉さん……
な、なんか……!被ってる気がします!キャラが!(被ってねーよと妖精ごしに飛んでくる師匠のツッコミ
あいでんてぃてぃーくらいしすです!

【WIZとはパワー也】
何はともあれ氷属性というのなら燃やします!
エレメンタル・ファンタジアで炎の竜巻を作りましょう
進路を邪魔するように展開して、相手の攻撃を阻害します
他の方のサポートですね

私に炎の矢が飛んでくるのなら好都合
炎の竜巻を拳と蹴りに乗せて落としてくれます!
どっちの炎が熱いか比べてみましょう!

さて……気温が上がりましたが、次の氷技に簡単にシフトできますか?
あと、フェンリルって原典で氷要素ありましたっけ……?

アドリブ共闘歓迎


大豪傑・麗刃
むう。なんとも冷たそうな敵なのだ。
だがわたしも常日頃から周囲に冷たい目で見られまくっている男。かつ今回はなんか同行者の目とか天の声とかがやけに冷たいのだ。今更冷たさが加わった所で大した問題ではないのだ!氷結耐性も積んできたし。
ともあれ!おまえも怒っているようだが、わたしもさっきひどい目にあった(崖落ちの事か)ばかりなのだ!

わたしは怒ったのだーー!!

(スーパー変態人発動)

んで右手に刀と脇差(と呼ぶにはちと大きすぎる剣)!左手には斧!この二刀流3本武器で斬って斬って斬りまくるだけなのだ!

姿隠されたら第六感とかで相手の攻撃来るの読んで力溜めつつ敵動くの待って来た所を残像だでかわすとかカウンターとか


アネット・シェルティ
妹思いの良いおねーちゃんだね。
オブリビオンじゃなかったら仲良くなりたかったな。

◆行動
すごいなー!
辺り一面が雪になっちゃった!
うー。雪で遊びたいけど我慢我慢。

相手の姿が見えないからこちらからは動けないな。
ここは相手が攻撃したところを捕まえちゃおう。

【オーラ防御】【激痛耐性】で一撃目を防御したら逃さないよ!
【怪力】【グラップル】【手をつなぐ】で相手を捕まえたらUCて反撃だ!

防御はしたけどさっきのは痛かったもんね。
おもいっきり派手にお返ししてあげるから!


風嶺・陽
【アドリブ・他猟兵との絡み歓迎】

【心情】
なるほど、先ほどの群れ成す者たちと違って家族のために怒りを奔らせる程には情というものを理解しているようですね。
ですが、相手も同じ気持ちを抱いている事を理解出来ないのであればそれは単なる利己主義でしかない。
ええ、やるべきことは変わりません。いつも通り、互いのエゴを押し付けあいましょう。

【行動】
【視力】を強化して【見切り】に努めましょう。
大きく避けずに急所への直撃を避ける程度に初手は受けましょうか。
相手が間合いに飛び込んで来てくれたのなら【怪力】で【グラップル】。
逆の手で渾身の一撃を叩き込みます。

「見事な技の冴え。相対するこちらの無骨さをお許しくださいね」


リグ・アシュリーズ
突然やってきた私たちが先手を打つんだもの。
状況的に怒りは買うわよね。

引き続き、黒剣主体で戦うわ。
読みにくい太刀筋でヒットアンドアウェイを繰り返し、
相手のミスを誘っては傷を負わせます。
余計な声は発さず、終始ポーカーフェイス。
魔法と知略で戦う敵、みたいだしね。

敵が白銀の領域を展開したら、一言短く「それを待ってたの」。
知恵者ほどリスクを嫌い、事を優位に運んで安心したがる。
大規模な魔法を使った直後こそ、隙が生まれるはず。

凍結した地面に黒剣を一度。続いて回転しながら二度、叩きつける。
どこに隠れようとお構いなし、破砕した鋭い氷の破片を全域にバラまくわ。
『砂礫の雨』あらため、氷礫の雨……たんと味わいなさい!



●氷華一輪
「すごいなー! 辺り一面が雪になっちゃった! うー、遊びたい……」
「ふむ、とても寒いのだ。だが麗ちゃんも常日頃から周囲に冷たい目で見られまくっている男。大した問題にならないのだ!」
 アネット・シェルティ(いのち短し恋せよ人狼・f15871)と大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)の緊張感を欠く態度を目の当たりにしたフェンリルは、白銀の毛に包まれているはずのこめかみに、ビキリ、と目に見える大きな青筋を浮かべた。
「おちょくっているのか貴様らァッ!」
 怒号と同時、フェンリルは氷の双剣を振りかざして突進してきた。
 元来、フェンリルの【白銀景色】は雪景色に彼女自身の姿を紛れ込ませることを肝要の一つとしている。だが、大きな怒号と突進の際に巻き起こる雪煙が、それを台無しにしていた。
 そう、冒頭の両者の態度はこれを狙った高度な頭脳プレイだった――わけではなく、単なる偶然ではあるだろうが。
 とまれフェンリルの位置が丸わかりであるゆえに、竜洞・梓(まじかる☆どらくる・f11833)は素早く対応できた。
「燃やします!」
 【エレメンタル・ファンタジア】で炎の竜巻を生み出し、フェンリルの進行方向にかち合うように放つ。
「――ちっ!」
 竜巻に呑まれる寸前、フェンリルが急制動を掛ける――ところに間髪入れずリグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)が駆け寄って、黒剣を大上段から打ち込む。
 重みのある一撃を、しかしフェンリルは左の剣を柔らかく振るって受け流し、同時に右の剣でリグの喉笛を掻き斬りにいく。
「わお」
 ヒヤリとするが刹那、リグはすんでのところで身を翻して回避し得た。灰色の髪が何本か散りはしたが。
「小癪な」
 フェンリルが舌打ちし、己を挟むように立つ梓とリグとを睥睨する。
「むむむ……」
 梓は、フェンリルを睨み返しながら。
「セクシー系獣人お姉さん……か、被ってる気がします! キャラが! あいでんてぃてぃーくらいしすです!」
 悲鳴を上げた。
 同時、一帯の空気が凍る。フェンリルの魔力とは無関係に。
「――――…………ふむ」
 いち早くその空気に亀裂を入れたのは、リグ。
「ねえ、ひょっとして私もくらいしす?」
 自身の顔を指差しつつ、サバサバ系美女人狼が梓に言う。
 梓は「ハッ」と息を呑んだ。そんな梓の横で、ドラゴン型が「ハッじゃねーよ」とツッコミを発したような気がしたが。
 さておき、フェンリルは白かった顔を朱色に染め上げた。
「だから! 貴様らは! 私を! おちょくっているのか!?」
「ふ、おまえも怒っているようだが……」
 ずい、と一歩前に出ながら麗刃が言う。
「わたしもさっきひどい目にあったばかりなのだ! わたしは怒ったのだー!」
 ひどい目というのは、崖に落ちたことを指しているのだろうか。ぎくっと身を強ばらせたリグが、いやまー利用できるものは何でも全部利用するのが戦いってもんだしっていうかーそのーごめんってばー、と言いたげな目を麗刃に向けるがそれはさておき、麗刃の髪は逆立ち、その身は黄金色のオーラに包まれていた。
「わたしの【スーパー変態人(スーパーレイクン)】はこうして気を溜めることで戦闘力を上げるのだ……あ、もう少し溜めなきゃだからしばらく待ってて欲しいのだ」
「死ねぃ!」
 フェンリルは双剣を逆手持ちにして海老反りハイジャンプし、殺意の高い刺突攻撃を麗刃に見舞おうとする。
 が、大振りなそれを好機と断じたアネットが麗刃の前に躍り出た。麗刃のそれとは性質の異なる、半透明のオーラをまといながら。
「ァああぁ――!」
 アネットのオーラが剣先を押しとどめ――たのは、ほんの一瞬。双剣は容易にアネットの両の肩口に至り、深々と突き立てられた。
「ぁ――っ!」
 声にならぬ悲鳴が絞り出され、目尻に涙がにじむ。
 そんな様のアネットはしかし、先刻麗刃の刀を奪い取ったウォルファンにも似た凄絶な笑みを浮かべた。
 全身の筋力を動員し、肩口に刺さった双剣を『噛む』。肉に噛まれて剣が微動だにしなくなったところで、つかみかかりに行く。外見にそぐわぬ豪腕、ひとたび捕らえられれば、いかにフェンリルとてどうにもならぬはず――が。
 ぱきん、と。
 氷の刃はフェンリルの魔力操作に応じ、あっさりと中程から折れた。
「な!?」
 アネットが狂おしいほどの激痛に耐えながら成した剣の拘束は、呆気なく無効化された。嘲弄の眼差しをアネットに向けつつ、フェンリルはアネットの胸を蹴って後方に飛び退いて、アネットの手をかわす。
 ――いや、飛び退こうとした刹那。
「させない!」
 その進路を妨害する位置に、梓が炎の竜巻を放った。絶妙のタイミングに、さしものフェンリルも回避あたわず直撃を許す。
「ぐ!?」
 紅蓮の炎に炙られ、美しい白銀の体毛に黒斑が刻まれる。さらに、竜巻の風勢に叩かれたフェンリルの身は、吸い寄せられるかのようにアネットの腕の中へと弾き返された。
 驚喜に目を輝かせたアネットは、今度こそフェンリルの胴体にしっかりと腕を回した。
「派手にお返し――」
 そして、フェンリルの足が背に、頭が前に来るように抱え上げる。プロレスを知る者ならば、サンダーファイヤーパワーボムという単語を想起するだろう。
「してあげる!」
 物理法則を蹴散らす超重量の投げがフェンリルの背中を地面に打ち付け、【乙女の純情は大地を揺らす(アースクエイカーガール)】の名に恥じぬ激震を生んだ。
「ガ――」
「まだまだぁ!」
 抱えた腕は離さない。再び振り上げ、投げ落とす。振って、落とす。地面の亀裂が縦横になり、幾重にも重なり、地面というより砂利の集まりのようになる。
 それでもなお。ウォルファンならば十回は絶命するようなダメージを受けてなお。
「――ナ、メ、る――なァ!」
 大気を断つような咆哮を上げるフェンリル。
 同時に、彼女の身を包む黄金の装身具が弾け飛んだ。
 それは桁外れの剛腕を誇るアネットの拘束が一瞬ながら緩むほどの勢いで、生じた隙からフェンリルはするりと抜け出る。
「その執念、賞賛に値しますが――」
 いち早くその退路を塞いだのは、風嶺・陽(鬼刹猟姫・f06532)だった。無駄のない動きで肉迫しつつ、腕を伸ばす。彼女もまた怪力の持ち主、捕らえてしまえば瀕死のフェンリルは今度こそひとたまりもあるまい。
 しかし、装身具――否、拘束具を取り払ったフェンリルのスピードは、ただでさえ速かったそれまでよりもさらに数段階上を行った。
 毛の一筋に触れることさえ許さず陽の手をかわしざま、フェンリルは大きく跳躍して距離を取った。
「流石に、しぶとい……」
「でも、かなり気温も上がっています! 簡単に次の氷技は出せないはず!」
 梓の言葉は、その通りだった。先刻まで周囲を覆っていた氷雪は梓の炎の竜巻などでかなり駆逐され、元の地肌がまばらに露出している。そして満身創痍のフェンリルは余力がないのか、折れた双剣の柄は持っているものの、刀身を再生させられていない。
「氷、か」
 フッ、と、フェンリルは鼻で笑った。
「確かに私の魔力は氷……対象の熱を奪うモノだ。だが、不思議に思わないか? 奪われた熱が、一体どこに行くのか」
「……?」
 猟兵たちが怪訝に顔を歪める。
 すると、フェンリルはユラリと手を上げ、梓を指差した。
「ほぇ?」
「お前の炎、掛け値なしに素晴らしかったよ。おかげで――いつもの倍は出せそうだ」
 「「「「ぼう!!」」」」と。
 幾重にも重なった轟音とともに、フェンリルの周囲一帯に火球が生まれる。数百、いや、千にも届こうかという数。
 その超高温の鬼火は、赤を超え、青を超え、白く――氷雪と見まごうほどに白く、輝いていた。
「皆、気張って防ぎなさい!」
 その技の性質を看破した――看破できてしまった陽が、叫ぶ。
「どこに飛んでも、かわす隙間はない!」
 その警告が届くが先か、否か。
「千の炎が全てを灼き、残るは氷の華、一輪。故に――千殺氷華」
 凶猛を極めし華麗なる氷狼が、高密度の白熱する魔矢の弾幕を放つ。
 刹那、つい先刻まで銀世界だった周辺は一転、灼熱の地獄と化した。

●おねーちゃん
 ゆらめく陽炎の中、フェンリルは笑った。
「少しは怯みなさいよ」
「ハッタリ半分なのは見切っていましたから」
 フェンリルの眼前に迫った黒い影――陽が、淡泊に言う。
 回避する隙がなかったのは事実だ。しかし、気張って防げば防げてしまう程度の威力しかなかったのも、また事実だった。
 自らが吐き出した熱のせいで、フェンリルの双剣は完全に刃を失い、柄だけになっている。陽が首を狙って手刀を放ってくるのに合わせ、フェンリルは柄尻を陽のこめかみ目がけて叩き込もうとする。
 刹那、陽の手刀が軌道を変じてフェンリルの腕を圧し、そのまままとわり付くように前腕の内側を握る。そしてそれを手繰り寄せるや、逆の手をフェンリルの脇腹に添える。
 ――寸前、フェンリルが逆の手を返し、その柄尻で陽の喉元を突きに行く。
 バギィ! と。
 半歩踏み込んでの頭突きで柄を止めた陽のヘルメットが割れ、眼鏡をかけた素顔が露わになる。
「見た目の割に、ワイルドね」
「見事な技の冴え。相対するこちらの無骨さをお許しくださいね」
 超速、超効率の陽の体さばきが、彼女の身を一瞬霞ませる。刹那、フェンリルの脇腹に添えられた掌が爆圧を生み、フェンリルの体を錐もみ状に吹き飛ばした。
 一撃必殺を期した【鬼哭灰燼掌(キコクカイジンショウ)】――だが。
「――ま、だ――よ!」
 どこにそんな力が残っているのか、再びフェンリルを中心に氷嵐が吹き荒れる。陽炎漂う大地は、忙しなくも再び白銀に塗り替えられていった。
「ぬ、っ……!?」
 吹雪に押され、陽は追撃かなわない。
 が。
「それを待ってたの」
 宣言するや、黒剣で氷結した大地を砕いたのは、リグだ。
「味わいなさい、【砂礫の雨(ダスティ・レイン)】あらため氷礫の雨(ダスティ・ヘイル)!」
 一の太刀で作り出したいくつもの鋭利な氷片を、二の太刀で弾き飛ばす。広範囲にばらまかれたそれはフェンリルから回避先を奪い、危険な弾丸の雨が彼女の体を打ち据えた。
「もう行けるでしょ、残像屋!」
「うむ、待たせたじょ!」
 同時、リグの背後から全身を黄金色に染めた麗刃が飛び出した。
 ここに至るまで、麗刃は気を溜め続けていた。ろくに身動きできなかった彼を千殺の炎から身を挺して守ったのは、リグである。崖の件の借りを返すつもりだったのかもしれない。
 右手に順手でサムライブレイド、逆手でバスタードソードを握り込み、左手でバトルアックスを持つという、とっちらかった二刀流だか三刀流だかの様相で、麗刃がフェンリルに迫る。戦闘力を極限まで上げたその速度は、拘束を外したフェンリルと互角か、それ以上。
 迎えるフェンリルは、もはや動くだけの余力もないのか、棒立ち――のようで、その両手には、氷の刃を復活させた双剣が握られていた。双眸鋭く、麗刃を捉えている。
「――ッ――っ!」
 両腕の影さえ消えるほどの斬閃。麗刃が攻撃するよりも早く、フェンリルの爪が麗刃を十文字に斬り裂いた。
 ――かに、見えた。
「残像だ」
 フェンリルの背中側に駆け抜けた麗刃が、サムライブレイドに付いた血を払う。
 同時、フェンリルは前のめりに倒れていった。
「仇の一人も、討てず――……皆……だらしない、おねーちゃんで、ごめ――」
 地に伏せる音はない。それより早く、フェンリルの体は日にさらされた雪のごとく、はかなく消えて、還った。
「……妹思いの、良いおねーちゃんだったね」
 両肩から血を流しつつ、アネットはフェンリルの消えた辺りの地面に手をやった。
「オブリビオンじゃなかったら、仲良くなれたのかな」
「……どう、でしょうね」
 額から流れる血を指でぬぐって、陽は言った。
「確かに彼女は、家族の情というものを理解していたようですが、それはあくまで己の身内に対してのみ。たとえていえば……狼が羊の家族に遠慮して狩らずにおく、とはいかなかったと思います」
「そっか……」
 氷雪が溶け、露わとなった緑が雫を弾いた。
 それは、涙にも似ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『幸せの四つ葉』

POW   :    気合いで四つ葉のクローバーを探す

SPD   :    勘で四つ葉のクローバーを探す

WIZ   :    あたりをつけて四つ葉のクローバーを探す

👑5
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 凍らされたり灼かれたり破壊されたりで、原形を留めぬ形になってしまった戦場から、少し歩いたところ。
 高原の一角に、クローバーの群生地があった。ここはどういうわけか、当たり前の群生地に比べて四つ葉、ないしそれ以上の数の葉を持つクローバーが見つかりやすい、幸運の土地なのだという。
 一方を眺めれば、美しい山肌を望める。もう一方を眺めれば、遠く下界の集落などの光景を望める。
 良い風も吹く。
 しばしの休息をするには、悪くないロケーションであった。
風嶺・陽
【アドリブ・他猟兵との絡み歓迎】

【SPD使用】
うーん。四つ葉四つ葉……。
いざ探すとなると見つかりませんねぇ。

折角なんで探してみますけど、まあ見つからなくても何も弊害はないのでお気楽に行きますよ。
それよりさっさと帰って仕事しますよ朱毘さん。
貴女がいないとただでさえやる気のない紫乃々が仕事しないんですから。

そういえばクローバーの葉の枚数、確かギネス記録では最大56枚でしたっけ。正直それだけついてるとちょっと気持ち悪いですよね。



そして余談ですが七つ葉のクローバーの花言葉は『無限の幸福』。
此度散っていったあの子達も、来世では抱えきれない幸せを家族で掴めるといいですね……。



●もしも来世があるのなら
「うーん、四つ葉、四つ葉……」
 緑の原をなでるようにしながら、風嶺・陽(鬼刹猟姫・f06532)はつぶやく。記録によると最多で五十六枚の葉を持つものがあったらしいが、流石にそこまでの豪勢さは求めていない。しかし、ただの四つ葉でもいざ探してみるとなかなか見つからないのだった。
 ただ、そもそも見つからずとも弊害はなしと考えている陽の探しぶりには、さほど真剣味がない。付言すれば、別に懸案事項があることも、彼女の気がそぞろになっている要因であった。
 ちらりと視線を動かす。大の字で寝転がっている眼鏡の女の方へと。そして彼女の脇ににじり寄り、聞こえよがしにため息を吐いた。
「朱毘さん、さっさと帰りましょう。貴女が事務所にいないと、あの子がサボるんですよ」
「……ん~?」
 大儀そうにうなりながら、朱毘は目を開けた。
 あの子というのが誰を指しているのかは、朱毘にもすぐわかる。朱毘とアイドルコンビを組む、相方の女だ。
 だが、と朱毘は怪訝そうな顔を作る。
「あいつ、あたしがいたってサボってるだろ?」
「貴女は貴女と一緒のときのあの子しか知らないから、そんなこと言えるんです。貴女がいないときは、もっとサボってますよ」
「マジか」
 それは確かにやべーなぁ、と言いつつ、朱毘は眉間にしわを寄せた。
 そんな朱毘の耳の横あたりに、ふと陽の目が留まった。緑が妙に濃い部分がある。
「ちょっと失礼」
 手を伸ばし、ツンと引き抜く。
 一本のクローバー。その葉は幾重にもなって、四枚どころではない。ひー、ふー……と数えてみると。
「……七枚」
「お。すげーじゃん」
 朱毘が目を輝かせる。
 確かにレアだ。ついでに、七つ葉のクローバーの花言葉は『無限の幸福』と、陽は覚えていた。
「すいません、朱毘さん。急かしておいて何ですが、もう少し時間を下さい」
「? そりゃ構わないけど、急にどしたの?」
「これは、あの子たちに手向けてきます」
 言って、陽はさっきまで戦場だった場所に目を向けた。
 次に生まれたときは、家族みんなで、限りない幸せを抱いて。陽にだって、そう祈ることくらいは許されているだろう。
「……行ってらっしゃい」
 ひらりと朱毘が手を振ると、陽は背を向け、歩いていった。
 朱毘は再び目を閉じた。彼女が行って戻ってくるまで、少し時は掛かる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
自慢ではないが、わたしは日ごろの行いが良い事で有名なのだ(大嘘。変態とか奇人変人とか頭おかしいとか言われてると思われ)
だから当然幸運だってわたしに味方してくれるはずなのだ。

だからまあ。
そこらのクローバーひとつふたつ見れば、すぐに四つ葉だろうがもっとすごいのだろうがすぐにゲットできるはずなのだ。

(ネタキャラは基本不運な気もするが、さて今回も不運が続くのか、それとも普段の反動で幸運が来るのか?知らん。ただまあ見つかるにせよ見つからないにせよ、たぶん活発に動きまわるので精神的にはともかく肉体的には休息にならないとはおそらく間違いないと思われる)


リグ・アシュリーズ
アネット(f15871)さんと四つ葉を探すわ!
なぜか他人に思えなくて、戦いの後お声をかけたの。

高原の空気を吸って、うんと背伸び。
こんなに生えてたら、きっと見つかるわ!

お花を踏まぬよう探しながら、気になってた事を。
「綺麗なドレスだけど、もうすぐご結婚なのかしら?」
ドレスの真意を聞いてはっと我に返り、表情を隠す。
――そうよね。私たちは強く、輝くように生きなくちゃだもの。

手分けして探すフリして、こっそりクローバーで花冠を編むわ。
そしてアネットさんに忍び寄り、頭にふわりと掛ける。
返された花冠には驚くけど、嬉しそうに笑って。
――貴女に、ありったけの。
――見てる人も涙ぐむぐらいの幸せが訪れますように!


アネット・シェルティ
リグ(f10093)さんと幸運のクローバー探しだよ!
一緒に探そうって誘われちゃったもんね!

すごく良い場所だねー。
リグさんと一緒なら幸せがいっぱい見つかるよ!

リグさんの質問に嬉しそうに答えるよ。

「そうなったら嬉しいな。わたしは人より長くは生きられないけど、幸せだったー!って最期は笑っていたいんだ。だからね、やりたいことするの!今の一番は結婚したい!!だからアピールするんだ!私に気づいてー!って。そのためのドレスなんだよ」

別行動をしたら花冠を作るよ。
幸せのおすそ分け。不器用だけど、一生懸命に。

喜んでくれるといいな。

リグさんのくれた花冠にびっくりしながら私もリグさんに花冠を乗せてお揃いだねと笑うよ。



●だから、歩いて行く
「ふっ。自慢ではないが、わたしは日頃の行いが良いことで有名なのだ」
「さっき、周囲から冷たい目で見られまくってるって言ってなかったっけ?」
 ニヤリと笑いながら言う大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)に、小首を傾げたアネット・シェルティ(いのち短し恋せよ人狼・f15871)のツッコミが入る。
 が、そんな彼女の言葉など馬耳東風。
「だから当然、幸運だってわたしに味方してくれるはず。四つ葉だろうがもっとすごいのだろうが、すぐゲットできるはずなのだ!」
 言うが早いか麗刃は四つん這いになると、しゃかしゃかと器用(というか何というか)に手足を動かして這い回ってクローバーを漁り始めた。
 そして数秒後。
「お。おお!?」
 一本のクローバーを手に取り、麗刃は目を輝かせた。
「いち、にい、さん……きゅ、九枚葉!?」
 麗刃の手がプルプルと震える。自然発生する確率は実に十億分の一という、九つ葉のクローバー。邪悪を払う力を持つともされる、まさに激レアの逸品である。麗刃の善行の人という自称は、あながち間違いでもなかったのか。
「あ、残像屋。その辺、地盤が脆くなってるから気を付けなさいよ」
 地形把握に長けたリグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)の警告に麗刃が顔を上げたのと、彼のいるあたりから「ピシリ」と乾いた音が鳴ったのが、ほぼ同時。
「ざんぞ?」
 次の瞬間、ガラガラと崩れ去った地面が麗刃もろとも崖下に落ちていった。
「ぬおおおおぉぉぉぉ!?」
「……遅かったか」
 リグがつぶやく。まあ、麗刃は手練れだ。死にはしないだろう。
 というわけで気持ちを切り替え、リグはうんと背伸びしつつ、高原の美味なる空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
 かたわらのアネットは、楽しげに鼻歌を歌いながらクローバーを探している。その様を見ていたリグは、ふと、気になっていたことがあることを思い出した。
「ところでアネットさん」
「なぁに?」
「綺麗なドレスを着ているけど、もうすぐご結婚?」
 アネットの衣装は、戦闘に適した形にアレンジされているらしいが、紛れもなくウェディングドレスである。
 猟兵の戦闘衣装は様々で、全身甲冑もあれば普段着めいたものもあるし、材質不明な名状しがたいものも、全裸に近いものさえある。そんな魔窟の中にあっては、ウェディングドレスというのはさして奇抜なものとも映らないが、それでも衣装の指向性といおうか、用途の限られ具合でいえば、やや特殊といえる。
「ん~、そうなったら嬉しいな!」
「あれ。じゃあ、お相手の方はまだ渋っている感じなのかしら」
「ううん。そもそも、まだ相手が決まっているわけじゃないの」
「へ?」
 きょとんと目を丸くするリグに、アネットは屈託のない笑顔で言う。
「わたしって人狼だから、人より長くは生きられないでしょ。けど、幸せだったー! って、最期は笑っていたいんだ。だからね、生きている間にやりたいこと全部するって、決めてるの」
 アネットの台詞は、リグのと胸を突いた。
 同情や憐憫とは異なる。同じ人狼――人狼病感染者であるリグにとってそれは、圧倒的な共感を招くものだった。
「それで、わたしが今一番やりたいのは、素敵な恋をして、素敵な結婚をすること! だから、わたしもまだ知らない運命の人にアピールしてるんだ。わたしに気づいてー! って。そのためのドレスなんだよ」
「そう……そうだったの。うん、そんなに綺麗なんだもの、きっと見つかるわ」
 歪になった表情を隠すために、リグは顔を背けた。声は震えていなかっただろうか。自分では抑え込めたつもりだが。
 幸運のクローバーを一緒に探さないかと声を掛けたのは、リグだった。なぜか、アネットのことが他人とは思えなかったからだ。
 その理由の一端が、今、わかった気がする。単に同じ人狼だからではない。リグもまた、胸を張って「幸せな人生だった」と言えるように生きている。世界中の――猟兵という立場に即するなら、一つや二つの世界でなくして、訪れうる全ての世界線において――美しいものをこの目で見てやるために、旅をしている。後悔なぞ入り込む隙間のない、充実を極めた人生を送ってやろうと心に決めている。その姿勢は正しく、アネットと通じるところがあった。
 短命を嘆いたことが一度もないといえば、長命な他種族を羨んだことが一度もないといえば、嘘になるかもしれない。だが、だからといって辛気くさい顔してふて腐れながら一生を費やすなど、言語道断だった。
(そうよ。だからこそ私たちは、強く輝くように生きなくちゃ、ね)
 リグは目尻を指で弾いた。
「……なかなか見つからないわね。ちょっと手分けして範囲を広げましょ。私、あっちの方を探してみるわ」
「はーい」
 アネットから少し離れたリグは、言葉とは裏腹に、四つ葉を探すのをやめていた。代わりに探すのは、シロツメクサの白い花。
 長い茎ごと抜いては、結び合わせいく。いくつもの白いモコモコした花が連なり、腕ほどの長さになったところで、くるりと頭と尻尾をくっつけ、縛り上げる。ちょいちょいと形を整えてやれば、まずまず満足のいく出来映えの花冠が完成した。
 それを手にしたリグは、音を殺してアネットの背後に忍び寄った。
 そして、アネットの頭にフワリと花冠を載せる。と、アネットは驚いたように振り向いた。
「素敵なドレスに合わせるには、ちょっぴりリーズナブルかもだけ、ど――」
 言葉の最後が、散らかる。
 リグの目はアネットの手元に釘付けになっていた。
「お揃い!」
 ぽん、とリグの頭に載せられる、クローバーの花冠。リグの作ったそれに比べて、少しばかり「力を入れすぎました」感のあるささくれだった造作のそれ。だが、たとえ千万枚の葉を持つクローバーでも敵わないほどの多幸感を運ぶ、心尽くしの一品。
 こんなところまで、似たもの同士になるとは。
「ありがとう」
 リグは顔を背けることではなく、アネットをぎゅうと抱きしめることで、歪んだ顔を隠した。声は震えていなかっただろうか。今度は、ちょっと自信がない。
 彼女たちは、天から幸せが降ってくるのを待つ性質ではない。自ら幸せを探し出して手に入れるという、強い意志と行動力とがある。そういう意味では、多幸を天に祈るという行為が最もそぐわないタイプといえなくもない。
 それでも、誰もが祈らずにはいられないだろう。彼女らの進む道に幸の多からんことを。



「誰か、麗ちゃんの幸せも願って欲しいのだぁ~っ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月20日


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#アックス&ウィザーズ


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ライヴァルト・ナトゥアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト