6
幻郷の守護者

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




 藍の空に宝石のような雨が降る。
 きらきら、きらきら。
 雲間から覗く月光に、その滴は虹色の光を反射していた。葉に落ちる前に溶けて消えてしまうそれは、まるで一時の夢のよう。
 そんな幻想の宵を、獣は翔けてゆく。
 月明かりにも照り返さない黒の毛並み。流線を描く角。そして仄光る翡翠の光。
 美しい面で、雲に隠れゆく月を見上げてひとつ啼いた。
 それは自然を愛するが故の咆哮だった。
 自然を穢す存在への、怒りの声だった。
 獣は宵をひた奔る。その全てを喰らうために。

「今回、皆様には自然への旅支度をして頂きたく思います」
 グリモアベースに柔和な声が響く。
 燕尾服姿で柔らかな表情を浮かべるグリモア猟兵、千堂・レオン(ダンピールの竜騎士・f10428)。それは、アックス&ウィザーズ世界に予知されたオブリビオンに関する話なのだと言った。
「とある強力なオブリビオンの存在が察知されたのですが──この個体が少々、人里離れた場所にいらっしゃるようなのです」
 今の所正体に関する詳細はつかめていないが、危険な存在であることは確かで、放置しておけば多くの人をその牙にかけてしまうだろうという。
「ただ予知によって判っている情報が少ないために、例えばどこかで待ち伏せ──といった手段をとることが難しいのです」
 お力及ばず申し訳ありませんが──と困り眉を見せつつレオンは続ける。
「故に、皆様にはこの敵の潜伏場所を見つけ出し、先んじて討伐していただきたいというわけです」

 レオンによれば、オブリビオンは荒野から探すのがいいだろうという。
「といいますのは、その近辺において不思議な獣が目撃されたという情報があるのです」
 逆に言うと、今の所それ以上の確かな情報はない。
「それでも痕跡がゼロというわけでもないはずですので、それを追ってみるのもいいのではないか思います」
 言って、レオンは丁寧に猟兵達に地図を差し出した。
「現場周辺の環境は、大凡こちらで分かるのではないかと思います」
 曰く、荒野は高低差のある岩の柱がたくさん並んだ場所で、視界はあまり良くない。ただ近くに林や洞窟、海につながる道や広い草原に出る場所などがあるので、何か見つかればそちらへと足を伸ばしていくことになるだろうという。
 総じて天気の崩れやすい一帯であるが、今の所荒野は晴れていると情報も付け加えた。
 それと、とレオンは声を続ける。
「探索を終えてオブリビオンの場所が判明した後も、ぜひお気をつけください。今回探すオブリビオンの他に、ゴブリンの影も察知されています」
 或いは集団戦になるだろう。充分な準備をもってお臨みくださるよう、お願い申し上げますとレオンは語った。
「では参りましょう──幻想世界の旅路へ」


崎田航輝
 ご覧頂きありがとうございます。
 アックス&ウィザーズの世界でのオブリビオン討伐となります。

●現場状況
 岩柱の多い荒野。基本的に不毛の大地で緑はありません。

●執筆ペースなど
 随時執筆します。同行者の方などがいる場合はその方を待ったりする場合があります。

●リプレイ
 荒野から始まります。一章は探索メインとなりますが、難解なわけではなく雰囲気重視であると思って頂ければと思います。
 後の二章や三章からでもご参加頂ければ幸いです。
133




第1章 冒険 『荒野の探索』

POW   :    荒野を虱潰しに強行軍で探索する

SPD   :    標的の痕跡を探して追跡する

WIZ   :    地形や気候、目撃情報から居場所を推理する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イルナハ・エイワズ
POWで探索

この世界についても知識としては記録していますが
実際に目にし、経験することにより
記録はより価値のあるものと変化するのでしょう

荒野の岩の柱に登ってみましょう
出来れば一番大きく、一番高い柱がいいですね
どうして、このような地形が出来たのか気になるところですが
今考えることではないのでしょう

高い場所から周囲を見渡せば何が見えるでしょうか
私の視力で見える範囲を記録し、地図を作製し
探索へ向かう人へと託しましょう

どうせなら、岩の柱の上で夜を待ち
ユルと一緒に月と星を眺めて過ごしたいものです

この荒野で見る月はどのようなものでしょうね?


ワズラ・ウルスラグナ
ふむ。不明なオブリビオンか。
放置してどれだけの被害が出るかも分からんとなれば早急に対処すべきだろう。
俺個人としては、強力な敵が出て来てくれるのを願うばかりだ。

さて。
意気込んだは良いが、出来る事は歩き回る事くらいだ。
高低差があるならなるべく高所を取り周囲を確認しながら気になる場所を片っ端から見て回る。
天候が不安定との事だし、空の様子も確認しつつな。
また、見て得た情報はなるべく他の猟兵にも共有しよう。
逆に脚が必要なら他の猟兵を手伝うでも良い。
戦闘でなければ腕力だ体力だくらいしか役立てられんからな。痕跡一つ見つけられれば重畳だ。
効率は考えずに、先ずは歩こうか。



青い空に、はらはらと砂の風が交じる。
 地面は黄土と白の間の色合いで、陽光を反射して輝くよう。
 岩柱の造形美が影を落とすそこは──不毛ではあるけれど、剣と魔法の世界に相応しい荒涼な美しさを持つ場所だった。
「ここが件の荒野ですか」
 イルナハ・エイワズ(挟界図書館の司書・f02906)は眼鏡を軽く指で直しながら、辺りを見回している。
 司書が故か──あるいは魔導書が故か。その心の一端は知識を求める。
 この世界についても知識としては記録しているけれど、実際に目にし、経験すればこそ記録はより価値のあるものと変化するのだろう。
 だからよく見ようと、そう思っていた。
 無論、どこかにいるというオブリビオンのことも。
「ただ……今の所は、その影も形も見えない、か」
 金眼をぐるりと巡らせて、ワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)は口にする。
 移動の邪魔にはならないが、柱は視界を遮って遠方までを望ませない。
 岩の間を吹く風ばかりが細く鳴っていて、現状は手がかりに乏しいのが事実だった。
「早急に対処すべき敵なのだろうが……」
 強力な敵との闘争を望むワズラも、一先ず敵影が見えなければ戦うことが出来ない。
 だから、ふむ、と口腔から軽く息を吐くと踏み出した。
「出来ることは、歩き回ることくらいか」
 役に立つのは何よりこの体力だと。岩柱に昇って周囲を見回し始めた。
「では、私もまずは上方へ移りましょう」
 イルナハも続いて、低い柱から高い柱へとすたりすたりと登っていく。周囲で一番の高所に辿り着いて、景観を見下ろす形をとった。
 見えるのは雄大な自然だ。
 石の柱は荒野のあるかぎりに分布していて、先の方まで似た景色が続いている。
「どうしてこのような地形が出来たのか気になるところですが──これについては今考えることではありませんね」
 呟き見つめるのはその向こうだ。
 北方に林、西に海への道、東に草原があるのが見える。
 南は人里がある方向で、それも含めて概ね地図通りだが……目にした状況も含めればもっと詳細な図が作れそうだ。
 故に、イルナハはまずその作業に没頭した。
 その間に、ワズラはひたすら足を動かす。
 岩から岩へ飛び、時に地に降りて見回し、時に天候にも目を配り。片端から観察をしていった。
 判ったことといえば、荒野の中心部付近には明らかな痕跡が何も無いということだが──これも一つの大きな成果だろう。
「つまり、何かあるとすればもう少し進んだ先か」
 ワズラは北と東西の三方を見つめた。荒野に何かがあるのは判っているのだから、残るはその三箇所との境目付近だろう。
 それを聞いたイルナハは頷いた。
「荒野の縁にあたる部分ですか。その辺りも丁度地図にしましたのでどうぞ」
 と、縮尺が大きく作られた新たな地図を、ワズラや猟兵達に渡す。
 ワズラは礼を言いつつ見上げた。
「ここは青空だが遠くには雲も見えた。北方ではそろそろ雨が降るんじゃないか」
「そういえば、予知では降雨があったらしいですね」
 仮に、敵のいる場所も北方も、同じく雨が降りやすいのだとすれば……そちらから調べるのも一つの手かもしれない。
 ワズラは頷きつつ、歩を再開した。
「では北へ行こう」
「私はもう少しここで」
 イルナハは待機だ。陽が早めに落ちそうだと見て、夜を待ったら何か見つかるかも知れないと思ってのことだ。
 槍の姿から戻ったドラゴンのユルが、イルナハの傍らに寄る。
 その温度を感じつつ、イルナハは空を見上げた。
「この荒野で見る月はどのようなものでしょうね?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンセ・ノーチェ
サヴァー(f02271)さんと一緒に探すね
「不毛の大地だけど…荒野には荒野の生命があるって、僕は思います」
僕は五感を活かして動物の足跡や毛などを探す
見つけたらサヴァーさんに伝えるよ
荒野なりに生き抜く動物がいる筈
僅かな草を食む有蹄類…それを狙う肉食獣…屍の掃除を務める猛禽…
雨の後にできる僅かな水場とか
今いなくても隠れて待ってたら来たりするし
見つけたら【動物と話す】で珍しいものを見かけなかったか訊ねる
(オブリビオンの特徴は動物に分かり易く簡単な言葉で伝える)
得た情報はサヴァーさんに伝えるね

不安定な気候というから僕達も注意して
荒れる予兆(土の湿る匂いとか黒い雲とか)があれば
少しでも安全な所に避難する


サヴァー・リェス
リンセ(f01331)と共に…オブリビオンを探す
リンセに頷き
「ええ…生命は、私が思うより…多分、強い」
彼ほど…目鼻や耳、利かない…私は、
彼の情報と、周りの地形などから…私の知識にある、
この地に住まう動物の心当たり…その習性、リンセに教え…
彼らを見つける助けと、なれば…良い
知識にない、奇妙な痕跡であれば…ゴブリンやオブリビオンの可能性もある、と…伝える
他に…そう、ね。地形などから…洞窟のありそうな位置、割り出す
天気が荒れた時、雨風雷…しのげる場所の候補に…なる
ただ、先客…敵のいる可能性も、あると、思う
危険、【第六感】で、感じられないか…試みる

近くに他の猟兵がいれば、色々と情報を整理し、共有する…



荒野の外縁に近づくに従って、岩の柱は低くなっていく。
 それでも砂が大半を占める景色は、どこまでも不毛という表現が合っていた。
「この辺りで、見つかるでしょうか──」
 リンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)は、呟きつつ視線を奔らせている。
 優しい灰と白の毛並みを砂風にそよがせて、探すのは毛や足跡。
 北方といっても狭くはない。そこで野生動物の痕跡に捜索の手がかりを求めることにしていたのだ。
 一見、動物など居なさそうではあるけれど。
「……何か残っているはずです。荒野には荒野の生命があるって、僕は思いますから」
「ええ…そうね」
 頷くのはサヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)。月の如き銀の瞳を四方にやって、リンセと共に捜索している。
 リンセに比べ、自分は目鼻や耳も利かない。だからそれ以外の部分で力になれば、と。
「岩場が多い…けれど。砂地もある、から…その中に潜ったり、隠れたりした動物の…痕跡が、あるかも知れないわ…」
「砂の中かぁ、探してみますね」
 リンセは礼を言って岩陰の砂地を掘り返してみたりする。
 二、三調べても何もなかったが──それでも、動物にとってはいい隠れ場のはずだという確信もあった。
「ここで時間を過ごした動物も、きっといるはずですよね」
「ええ…きっと。生命は、私が思うより…多分、強い」
 静かなサヴァーの言葉は、リンセに力を与えてくれる。
 匂いに、砂のさりさりという音に混じる音、目で見た違和感。五感を活かして捜索をすることで、リンセはついにそれを見つけた。
「動物の短い毛、ですね」
 少し窪んだところにある砂地だった。隠れ場兼、雨天時の水場だったのだろう。
 その近辺の砂をのけて見ると、同じ色の毛が点々と落ちているのが判った。
 それが、希望の足跡。
「サヴァーさん、これ──!」
「大きな、動物では…なさそう、ね。軌跡が細かく…蛇行、してるから。別のところに…移動、したか…逃げたのかしら…」
 訥々といいながら、サヴァーはリンセとそれを辿ってゆく。
 その先にあったのは洞窟だった。荒野と地続きになっているとは思えぬほど、穴からはひんやりとした空気が流れている。
 洞窟は元々、サヴァーにとっても調査をしようと思っていた場所だ。ここに手がかりがあるとすれば、ちょうどいい。
 リンセはゆっくりと歩み入る。
「もう、奥が見える……あまり大きな洞窟ではなかったんですね」
 ここでずっと過ごせるほど、自然が豊かなわけではない。だから動物も荒野に出ていたのだろうか。
 そこでリンセはあっと気がつく。物陰に潜むリスを見つけたのだ。
 小さすぎると言うほどではなく、プレーリードッグに近い。固有の個体にも見えたが、どちらにしろ不毛の地で力強く生きている命に違いなかった。
 リンセは動物と話す能力を駆使して、情報を教えてもらう。
 ──曰く、黒い獣は林のある方からやってきたという。
「木々の中に、棲んでいるのでしょうか……」
「それなら…このまま、北に向かうのが…よさそう、ね」
 サヴァーは梟の翼を広げて、洞窟の外からはためいてみる。林もまた広域にあるが、ここからの直線的な距離はさほど無い。
 だからまずは北へ。
 二人は頷いて、共に歩み出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

唐木・蒼
強力なオブリビオン…面白そう!ぜひぜひ手合わせ願いたいわ。……あわよくば、肉とか食べられたりしないかしら?
【POW】
まあ私は推理とか細かい痕跡探したりとかできないし、脚を使ってしらみ潰しよね。目撃証言があるって事は人が立ち入れる場所の近くを縄張りにしてたりするのかしら…岩場の深い所よりは林とか草原に近い所をまず捜索ね。そこで見つからなければ徐々に岩場の深部へって感じで。あと折角だから、野生動物とか何か食べられる物も一緒に探してエネルギーにできたら嬉しいなぁ。


九之矢・透
不思議な獣の追跡か…どんな姿なんだろ
ちょっと興味があるな

【SPD】

荒野なら植物に痕跡が消される事もないだろう
じっくり【追跡】していくぜ

地面の足跡、砂利を踏んだ凹み
岩肌に擦れた痕なんかが無いかチェックしていくよ
探す方向は【野生の勘】も生かして
獣道なんかも怪しいよな

移動中は【忍び足】で音を立てない様に注意するよ
方向が正しくたって追ってるのがバレちまったら仕方ないからな!


犬曇・猫晴
不思議な獣、一体どんな姿をしてるんだろうね?
【SPD】
不思議な獣って言ってもどう不思議なのか分かんないよね……
とりあえず地面に付いた足跡や岩肌に付いた傷の中で、他のものと比べて極めて少ない痕跡を探してみようか。
特性とかもいまいち分かってないみたいだし、小さいもの大きいもの関係なしに調べていこう。
こういうのは集めてなんぼ、とにかく集めて調べての繰り返しだね。

一応奇襲対策のために、周囲の警戒は怠らないよ。
休憩する時は適当に【仕掛け罠】を置いてから腰を落とそう



林が近くなってくると、微かな緑が匂い始める。
 空気には湿気が含まれてきて、中心部に比べればだいぶ涼しかった。
「林も広いみたいだしさ。荒野のどの辺りと行き来してたのか、先に痕跡を見つけておきたいよね」
 荒野の北方にて、犬曇・猫晴(忘郷・f01003)は歩みながら視線を下に落としている。
 おっとりとした瞳で、観察しているのは足跡や岩の傷跡だ。
 この辺りは様々な動物が来ることがあるのか、既に複数の跡が見えている。猫晴はその中でも、他のものと比べて極めて少ないものを探していた。
 他の動物は数がいるが、探す黒の獣はただの一匹だけ。それを見つければ足取りを正確に辿れることだろう。
「とは言っても、結構いろんな種類があるね。小動物に、狼っぽいものまで……やっぱり緑が近いと違うな」
 新たな足跡を見つければメモし、それが求めるものでないと確信すれば除外する。そうやって一つ一つの痕跡を収集していく。
 途方もない作業にも思えるけれど、猫晴に焦りはない。
「ま、こういうのは集めてなんぼだね」
「この辺なら、植物で痕跡が消えたりもしないだろうしな」
 声を継ぐ九之矢・透(人間のシーフ・f02203)も、怪しい痕跡があると見れば、つぶさに近寄って調べることを続けていた。
 焦って手がかりを逃すくらいなら、じっくりと追跡していこう。それが最善ということは、透にも分かっていたから。
 地面の跡や、砂利を踏んだ凹み。岩の擦れた痕。帽子を押さえてしゃがみ込みつつ、じっと目を近づけて観察していく。
「これは違うか……」
 ただ、目を上げた透は動かず真っ直ぐを見ていた。
 それは林への直線を東に逸れていく方向。確証はないが、野生の勘がそちらに何かがあると告げている気がした。
「向こうの方も、見てみるかな──」
「ねえ、その前に休憩するのはどうかしら?」
 朗らかな声が猟兵達の耳朶を打つ。
 それは皆へ笑みを向ける唐木・蒼(喰らい砕くはこの拳・f10361)。その手に、ぷらりとトカゲをぶら下げていた。
 地面に叩きつけられたのか、既に息はないようだ。
「飛びかかってきたから撃退したの。これも自然の摂理ね」
 それなりの大きさを誇るそれを地に置くと、蒼は小枝を集めて火の準備を始める。
「休憩か。林に入ったら機会もなさそうだし、ここらでしておくのもいいかもね」
 猫晴も頷くと、レプリカクラフトの力で仕掛け罠を作った。
 触れると刃が飛び上がる仕組みで、それを周囲に設置しておくことで、万が一の危険の対策にもなるだろうと思ってのことだ。
 焚き火が点くと、蒼は上機嫌にトカゲを炙っていく。それを慣れた手付きで捌いていくと、早速口に入れていた。
「ん、美味しい!」
「逞しいね」
 猫晴は林の方を見やっている。
「……不思議な獣、一体どんな姿をしてるんだろうね?」
「見た目はアタシも、ちょっと興味があるな」
 獣についての情報は少ない。
 けれどそれは美しいのだという。透の大きな瞳には、それへの好奇心も宿っていた。
 どんな動物に似ているのだろう。
 どれくらいの大きさなのだろう、と。
 蒼は明るく頷く。
「強力なオブリビオンという話よね。ぜひぜひ手合わせ願いたいわ!」
「そのためにも、しっかり見つけないとね。……さて」
 休憩を終えた猫晴は、立ち上がって罠を解除する。調査再開だ。
 ただ、そこから進展するまでに長くはかからなかった。透が気になっていた北東方向へと踏み出すと、そこに新たな足跡を見つけたのだ。
「これ、さっきの方にはなかった足跡じゃないか?」
「ちょっと待って……うん。間違いないね。他にはなかったやつだ」
 猫晴が素早くメモを確認すると、推測は確信に変わる。この足跡だけは、極端に少なく他に類を見ないものだった。
 それは林の東寄りの位置へと続いていっている。
 無論、それが絶対の証拠ともいい切れないが──。
「気になるなら、とりあえず調べてみましょ」
 蒼はすたすたと歩み出している。
 元より蒼は、林を虱潰しに調べるつもりでもあった。僅かな手がかりがそれを示すなら迷うよしもない。
「目撃証言があるって事は、人が立ち入れる場所の近くを縄張りにしてる可能性もあるし……距離は案外遠くないかも知れないわ」
 言うと惑わず、蒼は前へ前へと進んでいく。戦いを求めて──あわよくば、美味も求めて。
 猫晴と透も、それに続いて歩を踏み出す。
 砂地に雑草が交じり、景色はだんだんと翠色の様相を呈してきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャイア・アルカミレーウス
不思議な獣かー、オブリビオンじゃなければ仲良くなれたのかもね。
ともあれ人を襲うなら勇者的にはほっとけないね!

(wiz)
力任せに行くのが得意なんだけど、ちょっと当てもないし目撃情報を集めて推理してみよう!
近くに林があるから、そこで目撃者を探そう。
まずは『野生の勘1』で果物とか美味しいものを探そう。
そしたら武器とかの危ない『物を隠し1』て、柔らかい仕草や『礼儀作法3』を心掛けて、『動物と話す1』よ!

「ごきげんよう森の皆様、少々お尋ねしたいことがあるのですが……」
って感じだね。
よく現れる場所とか、塒の洞窟とかを聞き出そう。聞き出せたらお礼に果物をあげるよ!

アドリブ、連携大歓迎さ!


神宮時・蒼
…思案。…獣が、怒る理由も、分からなくは、ありません。
…疑問。…一体、何処に、身を、潜めて、いるの、でしょう。

【SPD】
相手は獣。
でしたら、足跡や生活動作の痕跡がどこかに残っているかもしれません。
周囲をよく観察します。
痕跡は一つではない筈。根気よく探せばきっと見つかる筈。

…好奇。…見た事が、ない、別の、世界の、獣に、ちょっと、興味が、あります。…この、獣が、ゴブリンを、使役、して、いるの、でしょうか。



風の強さは変わらないはずなのに、静けさが増した気がした。
 荒野から林の中へと移ると、揺れる葉が陽光を遮って僅かに暗い。生命の息づく自然の景色は、岩の大地とは全く雰囲気を異にする環境だった。
 さわさわと、葉の音が響く。
 そんな木々の間へと歩んできたシャイア・アルカミレーウス(501番目の勇者?・f00501)は、背の高い木々を仰いで深呼吸する。
「空気が美味しいっていうのはこういう感じかな?」
「…静謐。今の所、異常な気配は、無い、ようです」
 氷が水面を揺蕩うような、静かな声音。
 神宮時・蒼(終わらぬ雨・f03681)は林の奥をじっと見渡していた。
 その顔は温度も色も介在しないかのような無表情。氷晶の如き白い髪の、毛先だけを風で揺らがせて──琥珀の瞳も今はただ、無限に続く木々だけを映している。
 言葉通り、一見して手がかりはなかった。
 見える限りでも足跡は無いし、少なくとも漫然と探すのが得策ではない環境だろう。
「…疑問。…一体、何処に、身を、潜めて、いるの、でしょう」
「なら、まずは聞いてみようか」
 そう言ったシャイアは、周りに何かを探していた。
 野生の勘を働かせて、がさりと葉の間に見つけたのは木の実。小さく成っている熟した果実も見つけて満足気に頷いた。
 それから敢えて自身の装備を外して丸腰になると、木々の密集地へ歩み入った。
 目的は、動物だ。
 林まで来るとそれを見つけるのは難しくない。すぐにヤマアラシや、鳥類の仲間と見られる数匹を発見していた。
 そこでシャイアは動物と話す力を行使した。
「ごきげんよう森の皆様、少々お尋ねしたいことがあるのですが……」
 礼儀作法も活かして、恭しく。集めた食べ物は動物へのお礼というわけだった。
 彼らは黒の獣を詳しく知ってるわけではなかったが──それでも“北の森で見た”ということは教えてくれた。
「北の森、かぁ」
 地図によれば、林を北に進むと木々が深くなるらしい。
 すなわち北の森とはここの奥部のことだ。
 東西の方向が大凡合っているとするならば──。
「…理解。このまま、直進すれば、近づける、かも知れません」
「そういうことだね。皆さん、感謝いたします。どうぞお受け取りください……」
 蒼に頷くシャイアは、採った果物を動物に捧げて、歩みを再開することにした。
 木々が深くなってくると、通れる道もだんだんと限られてくる。だが蒼にとっては、それこそが手がかりを見つける好機でもあった。
 狭い範囲に獣が通ったと限定できれば、その分調査を密にできるからだ。
 そして丁寧に一帯を調べていくことで、蒼は獣の足跡を発見した。
 草の茂る中では簡単ではなかったが、根気よく探せば見つかるという確信も持っていたのだ。事実、それは荒野で見つかったものと酷似していて──森へ続いている。
 それこそが標。蒼は丁寧にそれを辿っていった。
 この先にその存在が居るのだろうかと、改めて思う。
「…好奇。…見た事が、ない、別の、世界の、獣に、ちょっと、興味が、あります」
「詳しい情報はなかったけど。何だか綺麗な不思議な獣らしいね」
 シャイアも何となくその姿を想像していた。
「オブリビオンじゃなければ、仲良くなれたのかもね」
 まあ、人を襲うなら勇者的にはほっとけないね! とシャイアは気合を入れ直す。
 蒼も敵ならば戦うつもりはある。
 それでも少し、心は静かだった。
 曰く、黒の獣は自然を愛する存在なのだという。
 それこそが人を襲う理由なのだろうか?
 話ではゴブリンも近場に居るという。そんな存在を使役してまで、それを成そうとしているのだろうか。
 ただ、蒼は一度目を伏せる。
「…思案。…獣が、怒る理由も、分からなくは、ありません」
 蒼は人間という存在が綺麗なだけではないのだと知っている。
 だから薄い感情の中で、その獣と相対した時自分の心はどうなるのだろうか、と少しだけ思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
SPDを使用

天気が崩れやすいとのことですし、雨で痕跡が消えないうちに急ぐとしましょう。
基本は荒野のつもりですが、他の人が探索に成功していれば他の場所の探索ですね。
【スカイステッパー】で荒野なら岩、林や草原、海沿いの道なら木に登り、『視力』、もとい銃のスコープを利用して探索を。
探すものはまずは足跡でしょうか、あとは斃れた野生の動物などを見つけられれば手がかりになるかもしれません。
もし探す場所が洞窟などになれば【スカイステッパー】は活かしづらいですが、その場合は『暗視』ができる銃のナイトビジョンを利用するとしましょう。


アルバ・ファルチェ
探索かぁ…

人狼……と言うか狼の嗅覚で追えたりしないかな?
一応追跡技能もあるわけだけど、試してみようか

とりあえず狼姿になって現場辺りで黒い毛がないか確認

物的な痕跡あってもなくても周囲の匂いも確認しておこう

それで何か得られるなら匂いを追って進むし、得られないなら…
人の姿に戻って神の御心のままにロザリオに祈りを捧げ、勘に従って進んでみようか
第六感に従うにしても少しは頭を使わなきゃね
…もし何かに追われる子がいて、そんな子が身を隠すならどんな所か…
そんな事も想像しながら追跡してみよう



森は深い緑の世界だった。
 気づけば空も暗くなり始め、空気は藍色に沈んでいる。
 冷えた風が豊かな植生を揺らすと、枝葉のさざめきが輪唱して森が声を上げているかのようだった。
「中々、深くまでやってきましたね」
 セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)は声音も反響するような木々の中で、奥に視線を向けている。
 おそらくは、この昏い森のどこかに探し求める獣は居るはずだ。
「こっからあとひと押し、って感じかな」
 アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)は軽く髪をかきあげて、整った容貌で四方を見回してみる。
 ここまで来ると、地面を草木が覆ってしまっているために足跡は無い。
 それでも何か手がかりがあるならば、とアルバは狼姿へ。うっすらと差してきた月光に毛並みを煌めかせつつ、体勢を低くして周囲を観察し始めた。
「……やっぱり、間違いないみたいだね」
 程なく、そこに見つける。低木の上にはらりと乗っていた黒い毛だ。
 数本見つけただけでも美しいとわかるその毛は、尋常の獣のものではあるまい。
 付着状態から見て、それほど以前のものというわけでもなさそうだ。
 その発見に頷いたセルマは、上方を仰いだ。雨も近い。
「急ぐとしましょうか」
 ふわりと地を蹴って、活かすのはスカイステッパー。空中を蹴り上がって直上に昇っていき、あっという間に大木の高所へと掴まっていた。
 そこで銃のスコープを覗いて、前方を探索していく。暗視の機能を持つそれは暗くなった場所でも視界を良好に保ってくれた。
 無論、深い森林では全てを見通すことは難しいが──。
「今、何か動きましたね」
 高台からの眺望は、風の流れに逆らって動く影の一端を見つけることには役立った。
 獣そのものか、木が別の理由で揺れたかは判らない。ただ、その周辺に異常があることは確かだ。
「直進して、やや東方向です」
「よし、追いかけるか」
 地面で応えたアルバは、狼の姿のままに駆け出す。落ちていた黒毛も頼りに、嗅覚を活かして正確な方向を感じ取っていた。
 木々を縫い、草を跳び、葉を通り抜けていく。景色を背後に置き去りにするアルバに、セルマも素早くついて走っていた。
「敵も敵で移動していることでしょう。方向が不確かになったら言ってください」
「ああ、それじゃあ、早速頼むよ」
 アルバがちらと振り返ると、セルマは再び木の上へ跳躍して辺りを精査。それらしき影を見つけては、距離を詰めていくことを繰り返した。
 愛用のマスケット銃を握り直す。その時は近いと、セルマは感じた。
「もうそろそろでしょう」
「そうだな──けど」
 と、アルバは形の良い眉をほんの少しだけ顰めさせた。
 匂いは確かにすぐ傍だ。
 けれどその先にいる影は、探しているものとは少しばかりかけ離れている。
 否、ある意味ではそれは、予期していた通りのものではあったろうか。
 木の間を抜けて、僅かに開けた場所へ出る。そこでセルマとアルバが見たのは異形の人型の集団。
「──ゴブリン、ですか」
 セルマが表情も変えずに言うと、アルバはぐるりと視線を廻す。
「みたいだね」
 離れた大きな木の陰。その先に微かに、黒色の毛並みと翡翠色が垣間見えた気がした。
 ──ようやく、見つけた。
 だが辿り着くには、超えるべき壁があるらしい。
 ならばそれと戦うだけだ。
 強い風が吹く。森が啼く中、猟兵は異形の集団へ相対する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●異形の狩人
 赤い眼光が鈍く輝く。
 獣の如き声が漏れる。
 地を踏みしめて猟兵達を睥睨するのは、三十体を超えるゴブリンの軍勢だった。
 無数の武器が揃えられているのは、戦の準備をしていたが為か。昏い森の中に群れが居並んでいるのは、何者かの命令を受けているからか。
 何にせよ、獲物を見つけたゴブリンが取る行動はただの一つだろう。
 刃を取り、牙を鳴らし、乱暴な視線で猟兵達を見据える。
 次の瞬間、声を上げて殺戮へと邁進してきた。
 深い知能を持ちはしないだろうが、猟兵達を包囲しようとする意識はあるらしい。横広がりに迫ってきたゴブリンは、乱雑に刃を振り上げた。
セルマ・エンフィールド
囲みに来る、と。厄介ですね…囲めるほど私に近づけるならば。

できれば他の猟兵、それも対複数よりも対単体が得意な人と共闘したいですね。もともと対複数が得意な人には援護の必要はなさそうですし。

その人に前線で戦ってもらい、私はその人を『援護射撃』し、側面へ回り込もうとするゴブリンを『スナイパー』【氷の狙撃手】で狙います。

もし無理やり前線を抜けてこちらに来るゴブリンがいても、単体ならば問題になりません。『クイックドロウ』で抜いたデリンジャーの『零距離射撃』です。

貴方たちが……いえ、貴方たちに指示を出しているものが何を考えているかは知りません。私たちが生きる上で害になるなら仕留める、それだけです。


ワズラ・ウルスラグナ
ゴブリンか。
強靭とは言えんが、地味に多彩な技を持つ侮れない存在だ。
囲まれ死角を突かれれば余計に対処し切れなくなるだろう。
が、広がってくれるなら塊のまま突っ込んで来るよりやり易い。
広がった端の者から順に攻撃する。各個撃破させて貰うぞ。

それが難しくなれば戦獄の焔を纏い技能を駆使して薙ぎ払う。
囲まれるのを避けるのなら受けには回れん。仲間は庇うが、立ち止まらず攻め立てるぞ。

俺の技能は全てが戦闘用。
臨機応変とは口で言うほど易く無いが、防御からの攻撃を常に意識し、ゴブリンの多彩な技を上から捩じ伏せる。
さあ、我が戦獄へ飛び込んで来るが良い。熱烈に歓迎してやろう。


アルバ・ファルチェ
さぁて団体さんのお越しだね

盾の騎士として、仲間の身を守るとしようか。

各種耐性に、見切り、武器受け、盾受け、かばう…おびき寄せもあるからね、利用させて貰おう。

一度に全方向から襲われたら流石に危ないし、それには気を配って位置を取らなきゃね

『敵は僕が引き付けておくから、倒して貰っていいかな?
僕、守りは得意だけど攻撃は苦手でね』
…いつもなら双子の兄(セラ)と協力するんだけど、今回は一緒じゃないからなぁ。
でも、頼りになる仲間が一緒なら大丈夫かな?
任せっきりになっちゃいたかもしれないけどその分僕は僕の役割を、守る事をしっかりやらせてもらうからね。



木々の間に、甲高い金属音が反響した。
 ゴブリンの濁った赤い目が、僅かに見開かれる。
 そこにあるのは驚きの色でもあったろうか。振り下ろした筈の刃がアルバの盾に真っ向から防御されていたのだから。
「簡単に、斬り伏せられはしないよ」
 涼風に森の葉が揺れて、まるで木漏れ日のように月明かりが降る。その光を美しく反射する白銀の盾は、傷一つつかずゴブリンの剣を押し留めていた。
 牙の間から異形の惑う声が漏れる。
 一呼吸の後には無論、再度の攻撃を叩き込もうと刃を掲げ直してきていたが──その一瞬が大きな間隙。
 ゴブリンの斜め方向に漆黒の鱗が迫っていた。大きな踏み込みと共に、腕を下方へ引いていたワズラだ。
 既にその体からは、地獄の焔が溢れ出ている。瞬間、腕を逆袈裟に鋭く振り上げることで炎を撃ち出して、敵の半身を灼いていた。
 焦げる音と共に、ゴブリンの叫声が劈く。勢い緩めぬワズラは肉迫し、炎を湛えていたもう片腕で打撃。一体を灰燼に散らせていた。
 敵の初撃は、こうして失敗に終わる。
 そこで初めてゴブリンの間に動揺と警戒心に似たものが浮かんでいた。
 眼前の存在は容易に御せる餌ではない、と。
 アルバは素早く視線を走査させ、敵数と位置取りを見て取っている。敵陣は緩やかに弓なりの形を取り、こちらの包囲を狙っていることが判った。
「団体さんのお越しだね」
「ああ。──ゴブリン、か」
 ワズラは異形達の姿に呟く。
 手応えからすれば、一体一体は強靭とは言えないだろう。だが、多彩な技を持つ侮れない存在であるとも知っている。
 少なくとも囲まれ、死角を突かれれば容易に対処はできまい。
 ならばやることをは、一体ずつを確実に討つこと。
「さあ、殺し合おうか」
 周囲の枝葉が揺らぐほど、豪速の疾駆を見せる。横方向に跳んだワズラは、敵陣を端から狙う戦法に打って出た。
 左舷側の終端に到達すれば、ワズラも簡単には囲まれない。
 端の一体が繰り出してきた斬撃を、ワズラは躱さずに前進すると──敵の腕と交差させるように腕を突き出しカウンター。怪力を以てその顔を潰して見せた。
 アルバも目の前の敵の斬撃を受け流すと、左側へ。巧みに包囲を逃れながらワズラと、そして自分の後方へも声を掛ける。
「敵は僕が引き付けておくから、攻撃して貰っていいかな? 守りは得意だけどそっちは苦手でね」
「了解しました」
 頷き、後方側へ位置するのはセルマ。アルバとワズラの背後に間合いを取っていた。
 言葉通り、アルバが盾で異形達の注意を惹くと、セルマはその間に枝葉を挟んだ距離から狙いを定めている。
 フィンブルヴェト──愛用のマスケット銃に微かな音を立てさせ、発射装置を整える。照準を中心に留めて引き金を引けば、発砲音と共にゴブリンの頭部を弾丸が穿った。
 氷の狙撃手(アイシクル・スナイパー)──着弾と同時に弾けた氷気は、異形の体を凍結させ、軋ませる。連続して、二射目。乾いた弾音が響けば、貫かれたゴブリンは絶命して倒れていた。
「ありがとう、助かるよ」
「こちらこそ、敵を引き受けて頂き感謝を」
 アルバに応えつつ、セルマは次の弾丸を装填してコックを引き上げる。
 狙いを澄ます表情は、あくまで冷静。大外に回ろうとする個体がいれば、素早くスコープの中に収めていた。
「この数が囲みに来るのは、確かに厄介ですね」
 尤も──囲めるほど近づけるのならばの話。
 細枝を紙一重で掠め、弾丸が飛ぶ。足元を貫通されて呻くゴブリンに、セルマは間断を与えず銃撃。心臓を氷砕させて命を奪い去っていた。
 それを目の当たりにして怒りを浮かべるゴブリンも、セルマの元へはたどり着けない。アルバの盾に横の薙ぎ払いが弾かれ、縦の斬撃がいなされ、一歩も前進が叶わないのだ。
「通さないよ。盾の騎士として、仲間の身を守るのが仕事だからね」
 アルバは目を惹く瞳に笑みの色を浮かべてみせる。
 ゴブリンが躍起になる程に、守りは堅く、意志は強く。
 いつも共闘する双子の兄は、今日は居ないけれど──頼りになる仲間が一緒なら、切り抜けられるという確信がアルバにはあった。
 敵が正面突破を諦めて横に逸れようとすれば、その横合いから獄炎が襲う。ワズラが抜刀しざまに焔の流線を放ち、敵の傷口から体内までもを炭化させていた。
 倒れ込む一体をよそに、敵は未だ陸続と攻めて来る。だがワズラは立ち止まらず、前へいでて、攻め立てて、背後を取らせない。
 敵が蹴り上げてくれば刃で突き下ろし、突撃してくれば体当たりを正面から返す。防勢を取る個体には刺突を打って盾を砕き、一体また一体と敵を沈めていた。
 軍勢を前に、怖じけるどころか焔が戦意に昂ぶるばかり。
「さあ、我が戦獄へ飛び込んで来るが良い。熱烈に歓迎してやろう」
 捨て身に躍りかかってくる敵がいれば、言葉と力で招き入れるように。両手を突き出して熾烈な火焔を放ち、骨すら残さなかった。
 敵陣の右方から流れてきて、セルマに接近する個体も居た。だが、セルマがそれを予期していないはずもない。
 かちりと鳴るのはスカートの中から抜いたデリンジャー。
 驚きに震える異形の瞳に、セルマは零距離から銃口を突きつけていた。
「貴方たちが……いえ、貴方たちに指示を出しているものが何を考えているかは知りません。私たちが生きる上で害になるなら仕留める、それだけです」
 最後に送ったのは怜悧な声音。
 刹那、マズルフラッシュ。
 その閃光に目が眩む前に、銃弾に射抜かれたゴブリンは命の灯を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンセ・ノーチェ
サヴァー(f02271)さんと一緒に戦う
「多い…けど、負けないよ。行こう、フォルテ!」
ユーベルコードで友達を召喚し騎乗
【騎乗】技能も活かし一心同体となり素早く立ち回るよ
サヴァーさんを守れる様に彼女の前方、又は背中合わせに位置するのを心掛け
不意討ちを受けない様、互いに注意し合って動く
木陰に隠れている敵とか特に注意

彼女が積極的に攻撃してくれるから、それに重ね
より負傷した敵優先に精霊銃を撃ち込み確実に撃破
【マヒ攻撃】も混ぜ敵の足並みを乱すよ
敵の攻撃は【見切り】回避するけど
サヴァーさんに当たりそうなら武器で防御

もうあと一息なら【全力魔法】で一掃
フォルテの首筋を叩いて労いサヴァーさんと頷く。もう少しだ!


サヴァー・リェス
リンセ(f01331)と共に、戦う
私は、リンセほど素早くない…せめて、彼が私を守りやすい様に、位置
不意討ちを受けない様、敵の動きを、彼と注意しあい、動く…
止まっていたら、敵の良い的になってしまう…息切れしない程度、適度に移動
ユーベルコードで…敵だけを攻撃
「花、鈴蘭の花、ちいさな花に、おおきな毒」
私の攻撃で出来る敵の隙に、リンセが攻撃を重ねれば…命中しやすい…と、思う

敵の攻撃は、リンセと私…他の猟兵も、届く限り【オーラ防御】で守るけれど
攻め手がおろそかにならない様に…他の猟兵とも、連携…効率良く、守る

「リンセ、フォルテ…何時も守ってくれて、有難う」
少しでも返せていれば、良い
頷き返し…次の、一手を



唸り声が木々を揺らし、足音が地を鳴動させる。
 刃を振りかざし、本能のままの殺意を振りまく。この異形の行進こそが、自然を蹂躙し森の啼き声を呼んでいるように感じられた。
「多い……ね。けど」
 右舷側。敵を見渡すリンセは、その数に微かに圧倒されている。
 それでも立ち止まるのは、一瞬だけ。
 右の草、左の菫。澄んだ色の瞳は逸らされず、真っ直ぐに戦うべき敵を捉えていた。
「負けないよ。行こう、フォルテ!」
 ──不可能を、可能に! 強き嘴と爪、気高き翼と蹄。奇跡なす友よ!
 優しくも芯の強い声音で喚びかければ、渦巻く光から顕れたのは美しきヒポグリフ。
 純白の頭部。琥珀色に耀く体。瞳に友愛を湛えて、体勢を少し低めるとリンセを背に騎乗させている。
「サヴァーさん、行きましょう」
「ええ…リンセ。あなたに…続くわ」
 そっと頷いたサヴァーは、囲まれぬように右側寄りに移動を始めている。
 リンセは先行してサヴァーを背中に守れる位置に進んでいた。前から迫りくる異形の群れを、一歩もサヴァーに近づけさせはしない。
「ここで、止まっててもらうよ」
 同時にリンセは精霊銃で射撃。狙いを変えながら連射することで、前方数体の足元に魔力を弾けさせ、麻痺によってその足並みを崩していた。
 その好機をサヴァーは逃さない。
「花、鈴蘭の花、ちいさな花に、おおきな毒──」
 美しく紡がれる月色の声音は、夜闇に響いて無数の花を生む。
 鈴蘭の嵐──はらはらと咲きゆく可憐で純粋な花弁が、鮮やかな息吹に踊るように、花風となって吹き抜けていた。
 触れる花はゴブリンを蝕み浄化するように、その生命を絶えさせていく。広範囲を見舞った花嵐は、月に煌めきながら数体を倒していた。
 慄く異形達は、敵陣内側から加勢した数体と共に、弧状に進軍して二人の左方を取ろうとする。
 だがサヴァーも、止まっていれば良い的になると判っている。狙いを定めさせぬように逆の角度を取る形で北上し、常にリンセに守ってもらう形を崩さない。
 ゴブリンは自然、リンセへと攻撃を集中させた。だが振り下ろされた異形の刃は、光に弾かれる。
 サヴァーのオーラによる守護。淡い銀色の光をリンセとフォルテに纏わせて、粗暴な毒牙の威力を抑えていた。
 敵が僅かに惑えば、リンセはその隙に銃を向ける。それだけでフォルテは意思を理解するように、高速で敵の横合いへ翔けた。
 そのまま、円を描くように移動して射撃の嵐を与えてゆく。木陰に潜む敵をも纏めて穿ちながら、前方の数体を撃破していた。
 素早く元の位置に戻るとリンセはサヴァーへ目を向ける。
「サヴァーさん、護りを、ありがとうございます」
「お礼を言うのは…私の方、よ。リンセ、フォルテ…何時も守ってくれて、有難う」
 それがこの戦いで少しでも返せていればいいと、サヴァーは心に思う。
 静かでも、想いは深く。だから二人は視線を交わし合った。
 リンセはフォルテの首筋を叩いて、もう少しだ、と労うと──サヴァーと頷いて魔力を集中させた。
「こっちの敵はもうあと一息ですから。一気に行きましょう」
「そう、ね…合わせるわ」
 月闇がきらきらと光り出したのは、雨露が注ぎ始めたからだけではない。
 フォルテがその輝きを一層強め──サヴァーが同時に花の嵐を喚んでいたのだ。
 宝石のような光が舞う中を、リンセとフォルテは疾風のように駆け抜ける。薙ぎ払われたゴブリンは溶けゆくように消滅し、夜の間に散っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イルナハ・エイワズ
UDCアースの伝承だとこっそり家事を手伝うゴブリンも居るそうですが
これは違うみたいですね

POWで対処します

少しまとまってくれた方が良いので
周囲を素早く確認して
狭い場所や木々など、地形を利用します

複数を攻撃範囲に収めたら
アッサルの槍で攻撃します
槍は念力で射ち出し
槍の雨を降らせます
トドメを刺せずとも槍で串刺しにして、地面に縫い付ければ動きを制限出来るでしょう

あとは他の猟兵にトドメを刺してもらったり、私が刺したりしましょう

他の猟兵に合わせ臨機応変に対応します


シャイア・アルカミレーウス
ふふん、数だけ揃えても僕たちには敵わないってことを見せてやるんだから!

(POW)
数が多い敵を一々相手してたら疲れちゃうからね。できるだけ一網打尽にしていくよ!
トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化!剣と盾を上手く使って「盾受け5」と「武器受け2」で防御を固めながら敵を集めるよ。
ある程度集まったら、「ジャンプ1」で上に飛んで逃げて、「盾に隠し1」ていた魔弾の杖を抜いて、「全力魔法6」の魔法弾を「一斉発射2」するよ!
打ち漏らしがいたら、そのまま急降下して剣で倒しちゃおう!

「僕の初魔法、全力全開を受けてみろ!」

アレンジ、絡みは大歓迎だよ!


九之矢・透
【WIZ】

おーおー、凄い数だな
あの数で包囲されたら厄介だな
まずはそれを妨害しようか

【エレメンタル・ディザスター】を使用
【先制攻撃】で包囲されるより早く
【範囲攻撃】で広範囲に「土の津波」を起こすぜ

足元を狙って機動力を削げれば連携しての攻撃もし辛いだろう
倒れた奴が居たらトドメを仲間にお願いしよう
頼む、チャンスだぜ!



「おーおー、本当に凄い数だな」
 中央正面側。
 前方から迫りくるゴブリン達を、透は見つめている。
 敵陣の左右は仲間達が既に受け持っているが──それを抜きにした敵数だけでも、全てを視界には収められないほどだ。
 ただ、バックステップで間合いを保つ透と共に、イルナハの目にも焦りは窺えない。
 なるほど──と、寧ろ観察するように異形達を眺めるだけで。
「UDCアースの伝承だとこっそり家事を手伝うゴブリンも居るそうですが、これは違うみたいですね」
「それだったら良さそうなんだけどね」
 声を継ぐシャイアも、敵の威容を前に一歩も退くところはない。
 それも当然──こんなところで倒れては、勇者なんて夢のまた夢なのだから、と。
 すらりと剣を抜き、盾を構えたシャイアは、ふふんと自信の笑みさえ浮かべてみせていた。
「みんな行くよ。数だけ揃えても僕たちには敵わないってことを見せてやるんだから!」
「そうだな。まずは妨害させてもらうか」
 頷く透は手元に魔力を渦巻かせていた。
 視線を注ぐのは前方に見える敵の全て。あの数で包囲されれば厄介だと判っているからこそ──それを許さない。
 手のひらを前に向け、揺蕩う魔力光を森と調和させると透はそれを喚び出した。
「自然の猛威を、受けてみな!」
 放射状に光が散って消えていくと、次の刹那。
 ゴブリン達が踏みしめている地が小さく揺れた。
 異形達は始めその違和に気づかない。だが呼吸を置く間もなく揺れは波へと変じて、土に波紋が生じ始めた。
 敵が下方へ視線をやる頃にはそれは起こっている。
 土の津波。
 エレメンタル・ディザスターで生んだ脈動が、轟音を上げて敵陣へ雪崩込んでいた。魔力を含んだ質量の波は抗うこともさせずに、ゴブリン達の足元を浚って体勢を崩させていく。
「頼む、チャンスだぜ!」
「ありがとうございます。活かさせていただきましょう」
 そっと宙に指を翳すのはイルナハ。
 元より敵が纏まってくれれば、イルナハにとってこれ以上の好機は無い。薄い光を宿した指先で、空気を撫でるように直線を引いていた。
 光の線は細かな文字の羅列から実体へと移り変わり、矛先を持った武器の形を取っていく。
 ──アッサルの槍。
 記録から複製されたそれは、同時にその数を増すことで無数の刃となっていた。
 イルナハは五指を開くと、手を真正面へ。念力で槍の全てを撃ち出し、雨のようにゴブリンに降り注がせていた。
 慈悲のない衝撃の応酬が、悲鳴を上げるゴブリンを串刺しにしていく。動くことも叶わず、地に縫い付けられた異形はそのまま絶命していった。
 真正面の数体を一掃し、前方の視界が一瞬開ける。
 だが津波と雨から逃げ果せたゴブリンも相当数を数え、両脇から迫る個体は未だ軍勢と言ってよかった。
 だからこそシャイアはひとりそこへ攻めてゆく。
 剣でその全てを薙ごうとしているわけではない。
 片側から切りかかってきたゴブリンを盾で受け、いなすように中央側へ。逆方向から新たな個体が来れば、剣で刃を弾いて同じく中央寄りへと移動させていた。
「そろそろ、いい感じかな」
 シャイアの視界に映るのは、再びひと纏まりとなったゴブリンの群れだ。
 一刀一殺出来ずとも、防御を固めればこれくらいのことは出来る。無論、包囲されるリスクはあったが──傍に仲間が控えていればこそ、不安はなかった。
 敵が離散する前に、シャイアは一歩後退。高い跳躍で上方へ昇り、盾に隠していた魔弾の杖を抜いている。
 剣だけが勇者の戦いではない。
 湛える魔法の弾が、まるで小さな太陽のように輝いていた。
「僕の初魔法、全力全開を受けてみろ!」
 複数生み出したそれを、一斉発射。
 凄まじい熱と魔力の奔流に襲われて、ゴブリンは頭を灼かれ、胸を貫かれ次々と斃れていく。瀕死の生き残りが居れば、シャイアはそのまま空中から急降下。直上から剣で突き刺して、違いなくその生命を奪っていた。
 別の個体のとどめを槍で刺しつつ、イルナハは見回す。
「かなり、減りましたか」
「ああ。二人のお陰だ」
 透も周囲をつぶさに観察し頷いた。
 いつしか異形の怒号が、さほど大きくなくなっている。確実に、敵の勢力は傾きかけていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

唐木・蒼
おっと噂のゴブリンね。こっちも数は少なくないとは言え囲まれると流石に厄介…統制を乱した方が戦いやすいかな。
この後本命が控えてるんだから、こんな所であんた達に手間取ってらんないってーの!
【POW】
なまくら大斧「衝撃波」「捨て身の一撃」+ユーベルコードで密度が薄い所を狙ってどっかーん!そのまま止まらず敵の背後に抜けて攻撃続けて群れの混乱を狙うわ。攻撃が当たらなくても多方向に猟兵がいるって印象付けられれば動揺を誘えるだろうし私も暴れてればいいから気が楽ね。
とにかく包囲と不意打ちに気を付けて、大斧のリーチを活かして近づかせないように意識!群がられるのは勘弁だわ…。


犬曇・猫晴
おや、これはまた血の気の多い小隊と出くわしたみたい。
そんなに大勢で、歓迎パーティ……って感じでもなさそうだね。

【SPD】
使用技能【2回攻撃】【敵を盾にする】【傷口をえぐる】

こうやって囲もうとするって事は、ある程度の知能があるってことだ、ありがたい。
近付いてきたゴブリンを1匹捕まえて、致命傷にならない箇所を何度か刺して群れの方に投げる。
味方の死に怯える絶叫ってのは結構キくぜ。
何度か繰り返したら、同じ様に傷つけてそいつを盾に突っ込むよ。
狼狽えずに攻撃してきたとしても、こっちには絶好の盾がある。多少の負傷程度なら気にせず攻撃を続けよう

負傷描写、アドリブ歓迎


神宮時・蒼
「…視認。…ゴブリンが、いる、という事は、オブリビオンも、近い、という事、でしょうか」
「…討伐。…少しでも、数を、減らせたら、いい、のです、けれど…」

包囲されては後々面倒な事になりそうなので、それを崩せるように動きましょう。
輪の一角を崩す様に。
ゴブリンは近接攻撃が主なようですので、近づいてくる個体には要警戒。
此方は様子を見つつ、包囲を崩せそうな位置・個体を攻撃します。
態勢を崩した味方が居ればそちらのフォローを。目の前で倒れられるのはさすがに気分がよろしくないので。

…獣は、何処かで、この様子を、見て、いるのでしょうか…。



木々のさざめきが響いていた。
 それがよく聞こえる気がしたのは、ゴブリン達の声が段々と散発的になってきたからだろう。
「…視認。…目的のオブリビオンも、近い、という事、でしょうか」
 神宮時・蒼は静かにそれを見て取って呟く。
 猫晴も頷いて見回す──が、蒼に同じくその顔に油断はなかった。
「それでもまだまだ、残っているみたいだね」
 正面と左右端から瓦解したゴブリンの集団だったが、その中間に当たる部分の個体がまだ多く残っていた。
 今はそれらのゴブリンが合流し、新たにこちらを包囲しようと目論んでいる状態だ。
 だから未だ、異形の鳴声が風を穢す。
 猫晴はほんの少しだけ肩を竦めていた。
「血の気の多い小隊、って感じだったけど。それはまだ健在みたいだね。これだけ大勢で歓迎パーティ……っていうんなら良かったんだけど」
「ま、減ったとはいえ囲まれたら流石に厄介だし──早めにやっちゃいましょ!」
 くるりと大斧を携える唐木・蒼は、さっと視線を流して敵陣を端から眺め、その一端に密度の薄いところを見つけている。
 直後にはそこへ疾駆。一息に接近して、斧を振り上げていた。
 強烈な威力で放つのは、グラウンドクラッシャーに衝撃波を乗せた一撃。
 防御を顧みず、攻撃に全ての力を振って繰り出されたそれは──暴風のような波動を生み、複数のゴブリンを直撃。吹っ飛ばすように離散させていく。
 異形の悲鳴と怨嗟が混じり合った。
 ゴブリン達は蒼を捕らえようと刃を掲げ、手を伸ばす。が、蒼は一切速度を落とさずにその場を駆け抜けていた。
 そのまま背後側に回ると、再度加速して斧に力を込めている。
「この後本命が控えてるんだから、こんな所であんた達に手間取ってらんないってーの!」
 振り下ろされた衝撃が放射状に炸裂し、またも数体の敵が後退を余儀なくされる。統制が乱れ始めた敵陣は、徐々に陣形を歪め始めていた。
 その隙に、猫晴は一体のゴブリンを捕らえて致命傷にならない箇所を刃で刺していた。
 手加減ではなく、寧ろ苦しみの声を上げさせるため。苦悶を浮かべるそのゴブリンを、猫晴は敵の只中に放り投げていた。
 死に怯える絶叫を上げる仲間に、ゴブリン達は何を感じたろうか。
 少なくとも、異形達に僅かなうろたえが奔る程ではあった。猫晴はその間に冷静に同じことを繰り返すと──最後に一体を盾にして突撃を始める。
 ゴブリンは、攻撃するものしないものと二分されたが……猫晴自身が傷つかないことに変わりはない。充分に肉迫した猫晴は、剣鉈の斬撃で一体一体を確実に沈めていった。
「差詰め、絶好の盾か」
 ゴブリン達にある程度の知能があったことに、猫晴は今だけ感謝したい気持ちだった。
 物理的に、そして精神的に和を乱されていく異形達は、最早全体ではまともな隊形を持てなくなっている。
 それでも目の前の一人二人ならば囲い込めると踏んでか、少数での挟み撃ちを狙う戦法に出ようとしていた、が──。
 淡い光が揺らめく。
「…阻止。…これ以上、思い通りには、させ、ません…」
 残像がぶれるように、神宮時・蒼は神々しい姿へ変遷していた。
 巫覡載霊の舞。花と蔦の絡む色彩の刃を構えると、それを横薙ぎに振るって衝撃波を放ち、ゴブリン三体を纏めて斬り払っていく。
 正面から切り込んでくる個体の攻撃は、刃でしかと受け止めてダメージを抑える。そのまま横に廻り、敵の剣を逸らしながら反撃の斬閃で斬り伏せた。
「…協力。…残りは、少し、ですから、急ぎ、ましょう…」
「最後の掃除だね」
 猫晴は頷き、剣を握り直す。
 元より単体ならばさほど苦慮はしない相手。最早集団でなくなったゴブリンを後ろから突き、切り捨てるのに困難はなかった。
 蒼も斬撃を重ね、掃討の速度を増していく。唐木・蒼もそこに加わり斧での乱舞を繰り出せば──ゴブリンが全滅するのに時間はかからなかった。
 森に静寂が帰ってくる。
 だがそれで終わりではないと皆が知っている。
「…獣は、この様子を、見て、いたでしょうか…」
 神宮時・蒼の言葉に、猫晴は視線を木々の向こうにやっていた。
「おそらくね。ゴブリンを手下にしてたんなら、それがやられれば自分が出るしか無いと思うはずだし」
 合流した猟兵達もその言葉には頷き、獣を探す。
 その姿が見つかったのは、すぐのことだ。
 風音だけとなっていた森の中に、どんな動物とも似ていない足音が響いてきていた。猟兵達は警戒に武器を構える。
 大木の陰から、それは現れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●守護者
 それは深い樹海に根を下ろす幻獣であった。
 足跡から木々を芽吹かせ、森を広げ、生命を育む。翠に囲まれた世界に生きゆく、樹海の住人の守護者であったという。
 だが、森は破壊される。
 人の営みは自然を喰らう。それが必要以上に暴走した時、森は傷つけられ、命は採取され、緑は穢されるのだ。
 幻獣はそれを悲しみ、憤怒する。
 だから、そんな存在を見つければ滅ぼそうとするのは、至極当然のことであった。
 ヒューレイオン──仇敵を眼前に見つけたその幻獣は、一歩一歩と猟兵に歩み寄った。
セルマ・エンフィールド
私は自身の行いが善であるとは思いません。ですが、退く気もありません。

『スナイパー』【凍風一陣】での『援護射撃』を。
死角をとっても敵のSPDのUCがある限り意味はありません。スコープの『視力』で見つけることができれば仕留めるのですが、極めて発見し半透明の妖精です。無理に探すことはせず、動きは見られているという前提でいきましょう。

敵のPOWのUCの起点は蹄の一撃、であれば狙うのは、蹄での一撃を狙う最中に軸となっている方の脚です。
二足歩行に適した体型ではないでしょう、脚を1本あるいは2本上げた状態で、どこまで動けますか?

この一戦はつまるところ生存競争。私が、人が生きるために、貴方を犠牲にします。


リンセ・ノーチェ
サヴァー(f02271)さんや猟兵皆と戦う
僕だって森はずっと豊かであって欲しいって思う
だけどその為に人を滅ぼすというのはやっぱり違う
「止めるよ…ヒューレイオン」

ユーベルコードのフォルテに【騎乗】し敵に向かう
サヴァーさんに攻撃が行かない様、彼女より前に出るよ
敵の攻撃、特に蹄の一撃はしっかり【見切り】避ける
木々があっても小回りは僕達の方が利く筈
【フェイント】のトリッキーな動きで敵を翻弄しつつ
精霊銃の【2回攻撃】を撃ち込んでいく
「行って、極光の精霊…!」
【マヒ攻撃】も混ぜて敵を鈍らせられると良いな
仲間への大技攻撃の後など敵の隙には
エレメンタルロッドで【全力魔法】を叩き込むよ
「森に抱かれて、おやすみ」


サヴァー・リェス
リンセ(f01331)や他の猟兵達と戦う…
そう、ね…時間は、かかるかも、知れない…けれど
リンセの様な優しい子が、いる限り…森は、滅びず…いつか、蘇る

リンセや皆の邪魔にならない様、可能な限り後方から、支援
敵の、ユーベルコード…私のユーベルコードで、相殺、していく…
敵の追跡技…リンセのフェイントの邪魔になりそう、だから…しっかり、相殺
相殺しきれない攻撃は【オーラ防御】で、リンセ、私、皆を、守る
特に、蹄の一撃が命中してしまった人…追撃が入らないよう…守りきる
「守りは…任せて…」
防御を主に動く、けれど、召喚された植物人間が厄介に、ならない様…
媒介道具の【衝撃波】で…早めに、倒していく、ことも…心がける


ワズラ・ウルスラグナ
ふむ。
自然の理と言えば弱肉強食、そして食物連鎖だ。
事情は深くは知らんが、自然を以て自然を侵すオブリビオンよ。せめて自然の摂理に従い、骸の海へと帰るが善い。
…しかし、草木の為に土にも還れんとは、皮肉なものだな。

武器・防具改造で地獄の焔を全身に纏う。
その状態で仲間を庇い、武器受け・盾受けからのカウンターを狙う。
ブレイズフレイムの薙ぎ払いで植物人間を焼き払い、基本的には仲間が動き易い様に立ち回るぞ。地獄の焔なら仲間に延焼しても即座に消せるしな。

木霊の妖精は発見次第全力で叩き潰す。
共有した五感を通して苦痛と死の感触を伝えてやる。
無論、隙あらば本体をも消し炭にしに行くぞ。


犬曇・猫晴
……これは、これは。
そうか、君はぼく達が節度を守らず、礼を失したが為に怒ってるんだね。
仲間?身内?のゴブリンを見境なく殺した時点で、和解は無理ってところかな。
僕も覚悟を決めよう、君と同じで、死ぬわけにはいかないから。

まずは【下降突風】にて足場を破壊、相手のバランスを崩そう。
その後は接近戦、【グラップル】
自分の射程範囲ギリギリのところで引き寄せて、攻撃してきた隙を突いて組み付き。
うまく行くならそのままワイヤーで首を締めて動きを制限、味方が戦いやすい様に。

戦いが終わって亡骸が残っているなら、角の一部を切り取った後に丁重に埋葬を。
大自然からの警告は、忘れないようにしないといけないね


アルバ・ファルチェ
人間達にも非はあるのかもしれない。
幻獣を、守護者を倒すことによって何か問題が起きるかもしれない。
けれど、だからといって僕も守り手として今目の前にある危機を見過ごすわけには…退くわけには行かない。

同じ守護者として敬意を払い幻獣に対しては礼節を持ってあたる。
だからといって手を抜くようなことはしないけれど。

庇う、盾受け、武器受け、見切り、地形の利用…使えるものを駆使して仲間の身を守る。
特に蹄の一撃はできるだけ避けるように気をつける。

各種耐性もあるから少しは無理もきくはず。
「盾の騎士の誇りにかけて」、倒れるわけには行かないから。
あ、治療も忘れないようにする…だから皆、悲しき幻獣に引導を渡してあげてね?


触叢・アン
仲間らが戦ってるのを確認し、忍び足4・暗殺2・騎乗6・操縦8を駆使し、敵の脇腹目がけ鎧無視攻撃6っ、で宇宙原付ど~~~ん!
「ほれ、ど~~~ん」
その弾みで…騎乗6、操縦8、逃げ足3、地形の利用1、等と機体に付いたワイヤーを活用し戦場から離れそのまま高い場所に移動

「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!(タンクトップ破り捨て)」
ミリオンライドアタック、それは宇宙のエネルギーをその身に吸収し体内生成した幻影分身を放出する…つまり露出が多いほど分身が増えその威力が増すのだ!
「とぉ! ふぅらっしゅ!Ah~~~♪」
敵に目がけて降り注ぐ無数の原付サーフィン乗りのセクシーネーチャン、それが1点に集束し蹴り貫く!


シャイア・アルカミレーウス
御伽噺の聖霊みたいに綺麗だけど、人を襲うなら見過ごせないよ。聞いておきたいけど人に自然の守り方を教えて、一緒に暮らす道はないのかい?

(pow)
あの角の攻撃が厄介だから、何とか対策してみよう!角を部位破壊できれば相手の動揺も誘えないかな?
戦闘前に武器をバスタードソードに持ち変えるよ。これ重くて使いづらいけど、今回は力と重さが要るからね。

相手の攻撃に合わせて「武器受け、盾受け」と無敵城塞を併用して角を受け止める。受けきったら盾を支えにして、「力溜め」したバスタードソードで角を叩き折るよ!
怯んだところを仲間と追撃して一気にたたみかけよう!

仲間に攻撃がとんだときは「かばう」でカバーリングに入るよ!


九之矢・透
【SPD】

うわあ、めちゃくちゃカッコいいな…!
アンタの怒りは正しいのかもな。
でも残念だけど、大人しくやられる訳にはいかねえよ。
人間だって、生命のひとつなんだぜ。

【不羈への枷】を使用
いかにも素早い、って感じだな!
まずは機動力をそぐ事にしよう
【スナイパー】と【2回攻撃】を使って的確に、確実に。
ジャンプした後なんかだと着地点も想像しやすいかな?


イルナハ・エイワズ
ユルに槍になってもらって挑みましょう
「ユル、行きますよ」

初めて見るオブリビオンです
折角ですから、自分の本体に記録して帰りましょう

まずは戦闘知識と視力でよく観察しましょう

ディープフォレスト・アベンジャーは蹄での攻撃さえ躱せば
角での追撃は避けれるでしょうから
見切りと残影を駆使して、蹄での攻撃を回避しましょうか
蹄は4つありますから十分に注意しましょう

攻撃の後には隙が生じるでしょうから
その隙を狙って、ドラゴニック・エンドで攻撃します

仲間と連携出来る場合には上手く連携して戦いましょう
素早く倒せたら、荒野の岩の柱の上で月を眺めたいものです


神宮時・蒼
…遭遇。…あれが、件の、獣、ですか。…やはり、幻獣の、気持ちも、分からなく、ない、です…。
…葛藤。…倒すのは、心苦しい、ですが…、向かってくるの、ならば、此方も、対処、する、まで、です…。

相手の動きに注視。POWはこちらに走ってきたら動きを見極めて避けましょう。
WIZで召喚された植物人間は早めに対処。合体されると厄介ですね。
あの、綺麗な角を狙えるでしょうか。やってみましょう。
うまくいけば、戦力を削げるかもしれません。


唐木・蒼
綺麗ね…森の守護者、みたいな風情。自然を壊す人間を許さない、滅ぼしてやる、みたいな感じなのかしら?そしたら私達は悪者なのかもね。
でも、あなたはオブリビオン…過去の存在なのよね。だからその思いがどれだけ高潔だろうと、存在は今ここにあるわけじゃないのよ。来なさいな、成仏させてあげる!
【POW】
味方は多いし、正面戦闘に行っても大丈夫そうね。わざと正面から目立つように「ダッシュ」で突撃して迎撃を引き出して、その攻撃を「ジャンプ」で避けて落下しながら重力乗せた二連拳骨。あわよくば「鎧砕き」で立派な角を叩き折って戦力を削りたいところ。
倒したら、オブリビオンと言えど合掌して送ってあげたいわね。



空気が澄み渡った気がした。
 その幻獣が地を踏む度に草が萌え、枝葉が緑に息づく。
 漂う空気は樹海そのものであるかのように濃密なのに、同時にどこまでも清廉で透明だった。
 だからこそ、その怒りの感情が純粋に感じられる。
 静謐さに同居する憤怒。幻獣──ヒューレイオンは殺意を浮かべて、猟兵達を視線で射抜いていた。
「……これは、これは」
 ようやく目にしたその姿に、猫晴はどこか得心した気持ちになる。
「そうか、君はぼく達が節度を守らず、礼を失したが為に怒ってるんだね」
 その獣の瞳を見つめる。深い理知があるのに、それよりももっと根深い敵意が宿っているように見えた。
「人間全部に対する怒り、なのか」
 呟くシャイアは、きっとこの衝突は避けられないのだろうと思った。
 それでも口を開く。
「聞いておきたいけど。人に自然の守り方を教えて、一緒に暮らす道はないのかい?」
 幻獣はそれに応と答えない。
 ただ黒の毛並みを揺らがせて、戦闘の姿勢を取るだけだった。
 猫晴は小さく息をつく。
「仲間か身内か──あのゴブリン達を殺した時点で和解は無理ってところかな」
 ならば自分も覚悟を決めようと、猫晴は思った。
「君と同じで、死ぬわけにはいかないから」
 声と同時、木々が震えた。
 それは極低く、猫晴が跳躍していたからだろう。単なる助走に過ぎない一歩ですら強い風圧を漂わせるそれは──直後に一層強烈な突風を発生させた。
 下降突風(ダウンバースト)。
 着地と同時に、地面に苛烈な震脚を叩きつけることで──まるで地が爆破したかのような衝撃を生み出していたのだ。
 接近しながらの一撃は自然、敵の足場を破壊する。初手に蹄を打とうとしていたヒューレイオンは、それによって微かにだけバランスを失った。
 その隙に、駆ける影と足音がある。
 一直線に疾駆するシャイアだ。雨露に煌めくのは、一振りのバスタードソード。自分の体躯には少々扱いづらさもあれど、構わず大振りに振り上げていた。
 何よりこの一手には、力と重さが要るのだから。
 間近で見つめた幻獣の姿は、御伽噺の聖霊みたいに綺麗だとシャイアは思う。
 ──それでも、人を襲うなら見過ごせない。
「そこ、貰うよ!」
 膂力を込めて狙ったのは、敵の角だった。
 硬質な音を立てて、翡翠色に小さな亀裂が奔る。破壊には至らないが確かなダメージであったのだろう、幻獣は喉を震わせて声を零した。
 無論倒れるには至らず、寧ろ狂暴に蹄を暴れさせてくる。が、それがシャイアを捕らえるよりも先に零距離に飛び込んだ影があった。
 文字通り、盾となって打撃を押し留めたアルバ。
 敵の眼光の緑を、美しき十字の意匠が照り返す。人を遥かに凌駕する獣の脚力を、それでも盾で受けきってヒューレイオンを見据えていた。
「その攻撃にもその瞳にも、あなたの強い意志が感じられる。守護者として、長く守ってきた誇りがあるのでしょう」
 同じ守護者として、アルバはその存在に敬意を払わずにはいられない。
 だからこそ、手を抜くようなこともしない。
 別の方の蹄が飛んでくれば、盾の側面で打つように流す。横に回り込まれて逆からの脚が襲ってくれば、剣の柄で滑らして逸らす。
 吼え声と共に乱打が繰り出されれば、全てを盾で真っ向から防御した。
 それは敵に劣らぬ強い意志。
 幻獣の啼き声は、まるで人の存在を糾弾しているかのようだ。
 アルバはそれを否定しない。
「人間達にも非はあるのかもしれない。あなたを──守護者を倒すことによって何か問題だって、起きるかもしれない」
 だからといって今目の前にある危機を見過ごすわけにはいかない。退くわけにはいかない。
 ──僕だって、守り手なのだから。
 幻獣を押し返すように、盾で打撃を真逆に弾く。
「さあ、皆も全力を!」
「ええ」
 かちゃり、と後方で細かな金属音が聞こえた。セルマが葉の間から銃身を向けていたのだ。
 呼吸で僅かに上下するスコープのレティクルも、セルマの精密な狙いには瑕疵をもたらさない。ヒューレイオンが前進と攻撃を兼ねようと蹄を上げた、その軸脚へ向けてセルマは引き金を引いていた。
「──そこです」
 風の速さを宿して加速しながら、弾丸は飛んだ。
 凍風一陣。速度のみならず、極寒の冷気と魔を貫く鋭さで強化された弾頭は、白色の軌跡を描いて黒色の脚を貫いていく。
 気づいていたとて、脚を上げた四足獣の挙動では回避困難であったろう。戦略も手腕も正確無比に放たれた一弾は、その足元を瞬間的に凍結させていた。
 幻獣がよろめく間に、セルマは既に次の弾込めを終えている。
「銃撃でも間断は与えませんよ」
 火花が散り、発砲音が木霊する。
 獣の肉体を抉った弾丸は、風を巻き込みながら宙に血潮を散らしていく。

 細く鋭い声が鳴る。
 それはヒューレイオンの高く上げた吼え声。傷を受けて尚倒れない幻獣は、苦しみではなく一層強い怒りの声を上げていた。
 そしてそのまま高く跳び上がる。こちらの頭上を取りながら、同時にその誇り高き姿を誇示するように。
 翔ける幻獣はやはり美しく──透は一瞬だけそれに見惚れた。
(「うわあ、めちゃくちゃカッコいいな……!」)
 見上げるその姿は確かに、幽玄なる森の守護者。
 イルナハにしても、初めて見るそのオブリビオンには強く視線を注いでいた。
 美しく強き樹海の獣。イルナハの本体に記録されたその姿は、しかと彼女の中に残ってゆくのだろう。
 無論、二人に油断はない。
 透は頭上を取らせずにしかと位置をずらすと、幻獣の着地点に狙いを定めて腕を振りかぶっていた。
 直後、投擲するのは虎挟に投げ縄、そして投網。
 ──不羈への枷。広範囲に放たれた束縛の凶器は、ヒューレイオンの着地と共その脚を絡め取り動きを鈍化させてゆく。
 幻獣はそれでも自由の利く脚で踏み出そうとしていた。が、透は始めから二連の攻撃を放っている。狙いを研ぎ澄ませたそれは正確に別の脚を縛り、攻撃を許さなかった。
 煌々とした視線を向けてくるヒューレイオンを、透は見上げる。
「アンタの怒りは正しいのかもな。……でも残念だけど、大人しくやられる訳にはいかねえよ。人間だって、生命のひとつなんだぜ」
「…葛藤。…倒すのは、心苦しい、ですが…」
 神宮時・蒼も注ぐ雨粒のような透徹な声を向ける。
 間近で目にすればこそ、蒼はやはりその幻獣の気持ちが理解できる。人で無いものから見る人は、確かに多くの理不尽さを内在しているのだと。
 それでも、蒼はそっと手を伸ばす。
「…抗戦。…向かってくるの、ならば、此方も、対処、する、まで、です…」
 瞬間、光に煌めくものを空中に招来していた。
 それは氷晶石と琥珀のブローチ。自身の本体から複製された複数が、月明かりに白と橙を反射して澄明に耀いていた。
 蒼が腕を小さく下方に振ると、それらが刃のごとく宙を飛翔する。ダイアモンドダストのように舞う輝きはヒューレイオンに残らず命中、全身に斬撃を加えていた。
 ヒューレイオンも動きは鈍れど、未だ素早く踏み込んでくる。
 だがその面前に、既にイルナハが走っていた。
「ユル、行きますよ」
 呼応するように、手元に飛来したユルが槍の姿へと戻ってゆく。
 ユルを握りしめたイルナハは残像を揺らめかせて横へ移動。すんでのところで幻獣の蹄を回避していた。
 横合いから放つのはユルを突き出しての刺突。瞬間、解放されたユルの力が刃状の葉の嵐を形成し、ヒューレイオンの肉体を深く穿っていった。
 微かに苦しみの呼気を漏らす幻獣は、人型の植物を無数に召喚。数の力で退けようとイルナハを囲ってくる。
 だが蒼の踊らすブローチが、それを素早く刈っていた。
「…掃討。…一体一体が、弱ければ…、問題は、ありません…」
「ご助力に感謝を」
 短く声を送ったイルナハは、その場で連撃。黒色の毛並みを穿ち、その肉体を貫いた。

 揺ら揺らと枝葉が揺れていた。
 強い風が吹いているわけではない。寧ろ風は凪いでいて場は静謐だった。
 なのに緑が揺らめくのは、ヒューレイオンが深く深く、周囲の草木を萌やしているからだ。
 それは傷ついた自身の身を守るようでもあり──それをもって森の声を代弁しているかのようでもあった。
 これを破壊するのが人間なのだという弾劾の意志を込めて。
 リンセにも、その幻獣の心が少しだけ判る。
 自分も自然に親しんで育ち、自然を愛しているから。草を、木を、花を見つめるヒューレイオンの意志が、伝わってくる気がする。
「僕だって森はずっと豊かであって欲しいって思う。だけど」
 と、リンセは退かずに視線を返していた。
「その為に人を滅ぼすというのはやっぱり違う」
 人やその仲間が、森に踏み入ってしまうことはあるかもしれない。けれど全ての人間が森に消えてほしいと願っているわけじゃないから。
「そう、ね…時間は、かかるかも、知れない…けれど」
 サヴァーも月下の木々を見上げる。
 この緑がこの先も美しくあるであろうと信じる心が、そこにはあった。
「リンセの様な優しい子が、いる限り…森は、滅びず…傷ついても、いつか、蘇る」
 静けき声音に、揺るがぬ意志を携えて。
 怒れる幻獣は、しかしその言葉で敵意の矛を収めない。
 骸の海を経て降りた獣には、或いはもう未来を信ずるだけの心が残っていなかったのかも知れない。
 幻獣はこちらの命を咬み切らんとばかりに、喉を鳴らす。
 だからリンセは、そっと前に手を伸ばした。
「止めるよ……ヒューレイオン」
 光が形を得て、無二の友が召喚される。ヒポグリフのフォルテは素早くリンセを背に乗せていた。
 瞬間、幻獣に接近する形で低空を翔ける。
 ヒューレイオンは咆哮を響かせて、不可視にも近い妖精を喚び出した。それは、こちらの死角から凄まじい木霊を放っていたであろう存在──だが。
 その半透明の体が炙り出されるように靄に包まれる。
 サヴァーの織りなすFata Morgana(モルガンルフェノウタ)。澄んだ声音を鋭い囁きにして、銀色の蜃気楼を作り上げていた。
 ──まぼろし、まほろし、こわれてく。
 例え妖精が発見されがたくとも、立ち昇る蜃気楼はそれを違いなく捕らえていた。
 溶けゆくようにそれが消滅すると、リンセは精霊銃を構えている。
 ヒューレイオンも、正面からの攻撃だと見て体をずらそうとするが──リンセのそれはあくまでフェイント。直後にはフォルテと共に斜め方向に跳び、死角を取っていた。
「行って、極光の精霊……!」
 銃から放った二連の光は、リンセの意のままに飛び幻獣を穿つ。
 深い傷に苦悶するヒューレイオンを、リンセとフォルテは更に翻弄するように移動。細かな動きを交えて隙を作り、足元を撃って麻痺にも陥らせた。
 動きの止まったヒューレイオンは、それでも植物人間を形成。数を二体にまで減らすことで、強大な戦闘力と体躯を有した個体を作り上げる。
 だが、振り下ろされたその一体の巨腕が、剛腕に受け止められた。
「悪くはない力だ」
 轟く声音で植物人間を見上げるのは、地獄の焔を全身に纏ったワズラ。
 手元までも炎で覆うことで、押さえつけた敵の腕に既に火を移している。手を引こうとする植物人間だが、ワズラはその腕力をもって巨躯を逆に引き寄せていた。
「──ならばこちらも全力を見舞おう」
 零距離の植物人間へワズラはブレイズフレイム。全身を燃焼させ、同時に薙ぎ払うように炎を広げることで、もう一体までもを炎上させていく。
 膝をついた人型へ、サヴァーも衝撃波を飛ばして跡形もなく吹き飛ばしていた。ならばと幻獣が再度植物人間の数を増やせば、それこそワズラの業炎の餌食。弧を描くように放射された烈火がその全てを焼き払っていく。
 ヒューレイオン自身も動きを取り戻して疾駆していた。が、ワズラは腕を交差させて蹄を受け止める。
 角の一撃も加わった衝撃は、こちらの腕が軋みを上げるほど。しかしサヴァーがオーラによる防御力を与えることで、それは致命になり得なかった。
「守りは…任せて…」
「ああ、礼を言わせてもらおう」
 サヴァーへ返したワズラは、下がらず敵の脚を掴んでいた。
 強力な攻撃を受ければこそ、そこに戦いの喜びを感じもする。だから尚一層、ワズラは焔を眩く滾らせて。渾身の拳でヒューレイオンの脚の一本を砕ききった。

 か細い声が、雨滴の間に反響する。
 倒れ込んだ幻獣は、弱った顔の中に苦痛の色を浮かべていた。
 それでも草木の支えで立ち上がると、その目に変わらぬ殺意を宿す。
 猫晴はそんな姿を見つめていた。
「最後まで、戦うのをやめるつもりはないんだろうね」
「自然を壊す人間を許さない──あくまでその信念だけで、動いているのかもね」
 唐木・蒼は、ヒューレイオンの怒りに塗れた瞳を見据える。
 その思いに縋るのであれば、確かに人間は悪者であり続けるだろう。或いは、それが森の守護者にとっては崇高なことなのかも知れない。
 蒼はそれでもゆっくりと首を振る。
「あなたはオブリビオン……過去の存在なのよね。だからその思いがどれだけ高潔だろうと、その存在が今ここにあるわけじゃないのよ」
 獣の、唸り声が響く。
 ヒューレイオンは訴えるように眼光を返し、体を一歩引きずってくる。
 だから蒼は逃げず、拳を突きつけた。
「……来なさいな、成仏させてあげる!」
 幻獣は吼えて、前進してくる。蒼は敢えて正面に駆け、一息に接敵した。
 自然、ヒューレイオンも真っ直ぐに打撃を繰り出す。が、蒼はその直前に高く跳躍して直上を取っていた。
 落下しながら繰り出すのは、二連拳骨(ワンツーフィニッシュ)。重力を乗せて左のジャブを打ち、次いで全力の右ストレートを叩き込む。衝撃の加算によって生まれた破壊力で、角の全体へひびを奔らせていた。
 そこへ、風のような駆動音が接近してくる。
 加勢していた触叢・アン(銀河疾風・f01011)。宇宙原付 牙‐ZOOMを駆り、木々を縫って高速で幻獣の脇腹に狙いを定めていた。
 一切の減速をせずに、巧みな操縦で距離を詰めると一撃。機体の重量をそのまま威力に変えて突撃していく。
「ほれ、ど~~~ん」
 痛烈な打力は、幻獣の体を僅かに傾けると同時に反作用を生む。アンはそのベクトルのままにワイヤーを放って枝から幹へと移動。高速度で高所へと移っていた。
 連撃が出来そうだと判断すると、アンは見下ろした状態で自身のタンクトップを破く。
「ほんならまぁ、もいっちょ決めちゃらぁ!」
 瞬間、肌から宇宙のエネルギーを吸収。体内に幻影分身を生成し、自身の鏡写しの如き姿を無数に放出していた。
「とぉ! ふぅらっしゅ! Ah~~~♪」
 ミリオンライドアタック──ヒューレイオンの頭上から襲いかかる分身は、一点に蹴りを注がせて体を貫いていく。
 幻獣は暴れるように、制動を欠いた打撃を繰り出し始めた。
 それも紛れもない脅威に違いない、が、猫晴が捌けないほどではない。至近からの蹄を紙一重で躱した猫晴は、側面から組み付く形で幻獣の体を押さえ込んでいた。
 次いで伸ばしたワイヤーを巻き付け、ヒューレイオンの首を締め上げる。
「今のうちに、やれる攻撃をやってもらおうか」
「了解だよ!」
 応えたシャイアは、剣を手に幻獣へ駆け込んでいた。
 押さえ込んでいるとはいえ未だ蹄は飛んでくる。だがシャイアはそれを見越して動きを止め、全身の防御力を高めて凌いでいた。
 直後には、溜め込んだ力を解放して斬撃を打つ。
 時を同じく、神宮時・蒼の舞わせたブローチの嵐が、収束されるように幻獣の角へ。斬打を同時に受けた翡翠色は、亀裂を深めて一気に粉砕された。
 感覚器官でもある角を破壊され、幻獣の動きは明らかに鈍る。
「…感謝。…このまま、畳み、掛けましょう」
「任せろ!」
 蒼に返した透は、敵の自由な脚を網で捕らえ、絡め取っている。透に視線を合わし頷いたイルナハは、その隙に幻獣へ槍を突き刺した。
 悲鳴を上げるヒューレイオンは、せめてもの反撃に植物人間を構成。数を一体にして全ての力を注いだ殴打を繰り出させる。
 けれど、アルバは仰ぐような巨体の一撃をも盾で止めてみせた。
「どんな攻撃だって、倒れるわけにはいかないよ」
 ──盾の騎士の誇りにかけて。
 そして一撃さえ耐え切れば、ワズラの赫炎が植物の巨躯を焼き尽くす。
 アルバは少しだけふらつきながら、皆へ目配せをした。あの悲しき幻獣に、引導を渡してあげてね、と。
 猟兵の視線に、ヒューレイオンは最後まで反抗の表情を見せていた。自身を滅ぼすことが本当に正しい行いなのかと、問いかけるように。
 セルマの向ける銃口は、ぶれない。
「私は自身の行いが善であるとは思いません」
 単純に、それでも退く気がないだけのこと。
「この一戦はつまるところ生存競争。私が、人が生きるために、貴方を犠牲にします」
「ふむ。自然の理と言えば弱肉強食、そして食物連鎖だからな」
 ワズラも無骨な声音で焔を手元に固めた。
「自然を以て自然を侵すオブリビオンよ。お前もせめて自然の摂理に従い──骸の海へと帰るが善い」
 凍風の弾丸と紅蓮の獄炎が、ヒューレイオンの肉体を破っていく。
 藻掻く幻獣へ、リンセはエレメンタルロッドを向けていた。サヴァーの放った衝撃波と共に、全ての魔力を使って光の塊を撃つ。
「森に抱かれて、おやすみ」
 黒色の獣が、白い輝きに吸い込まれて絶命してゆく。
 嘗て樹海の守護者であったもの。それが跡形もなく消えると、残るのは森の静寂ばかりだった。

 宝石のような雨が、森に差す月明かりに煌めいていた。
 きらきら、きらきら。
 散っていった幻獣は、或いはこんな光景を守っていきたかったのかも知れない。
 猫晴はそんな景色の中に角の破片を見つけて、それを丁重に埋葬した。
「大自然からの警告は、忘れないようにしないといけないね」
「そうね。……せめて、安らかに」
 唐木・蒼は合掌して、そのオブリビオンを送った。
 雨露に濡れて緑が艶めく。深い森は自然が息づいて、どこまでも美しかった。
 皆で森を出ると、イルナハは荒野に戻って高い岩の柱に登る。そうしてユルと共にまん丸の月を眺めた。
 幻想世界の月はどこか神秘的で鮮やかに映る。
 荒野は今も雨がなくて、曇り無くそれを仰ぐことが出来た。
 その眺めもまた自然の恵み。
「美しい月ですね」
 ユルがその声に鳴き声を返す。
 それに目をやってから、イルナハはまた視線を宵空へ上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト