金がないものは力のないもの
サムライエンパイアの世界で子どもが泣いていた。
お腹がすいたとしきりに泣いていた。
そのすぐ脇にある大きな商家では商人二人が大量の米と大量の金を前にほくそ笑んでいた。
「ではこの金で、この米を」
「金のないものは力のないもの。餓死しても構いませぬ」
「まったくです。しかし我々も悪よのう」
商人たちは笑う。子どもはまだお腹がすいたと泣いていた。
「みなさん、聞いてください。『サムライエンパイア』世界にて、事件が発生しました」
グリモア猟兵の一人、フロランス・リスレ(オラトリオのガジェッティア)が声を上げた。猟兵たちが聞き耳を立てたところでフロランスは続きを話し出す。
「ある藩がオブリビオンの影響か、治安が急激に悪化しています。具体的に言えば悪徳商人がはびこり、住民たちの生活が困窮しているのです。藩主も手を尽くしてはいるのですが、悪徳商人たちの後ろに何者かがいるのでしょう、なかなか治安はよくなりません」
フロランスによれば、商人たちは米などの食品の値段を高く上げ、商人同士でしか流通しないようにしているらしい。結果、餓死者も出ているとのことだ。
藩主が藩の財源で食品を購入しようと努力をしたようだが、その財源も底をつく直前だ。
やはり悪徳商人たちをなんとかしなければいけないだろう。
例えば力の強いものであれば悪徳商人たちを力で改心させたり、素早さが身上のものであれば悪事の証拠を集めて突きつけたり、知恵のあるものであれば狡猾な商人たちを論破して正義を諭すことができる。
「悪徳商人を懲らしめれば、藩主も、悪徳商人の後ろにいる者も動かざるを得ないでしょう。これ以上、この藩の治安が悪化する前に、どうかまずこの悪徳商人たちを懲らしめてやってください。よろしくお願いいたします」
フロランスは深々と頭を下げるのだった。
碧海
猟兵の皆様、はじめまして。碧海と申します。
皆様方の冒険をフロランスと共に彩らせていただきます。
今回はサムライエンパイアの世界からの要請です。
ぜひ、皆様らしく解決していただければ嬉しいです。
第1章 冒険
『乱れた治安を回復せよ』
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POW : 治安悪化の原因を力で黙らせる
SPD : 悪事の証拠を集める
WIZ : 狡猾な悪人を論破して正義を示す
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花邨・八千代
「力には力、これって世界の真理だよなァ」と、いう訳でパワーで解決するぜ。
さーてお立会い、悪徳商人のとこに乗りこんで一発恫喝した後反抗心が起きない程度に殴る。「逃げんじゃねぇぞ!」
ある程度無力化したら咎力封じで拘束、喋れるくらいの体力は残しておきてェな。
「んで、お前のお友達にも会いたいんだよなァ。ちょっと紹介してくんね?」
商人仲間でもよし、その後ろにいるやつでもよし。少しでも多くの情報を吐かせるぜ。
武器の拷問具をチラつかせながらにっこり、笑顔って大事だよな。
「安心しろよ、素直になりたくなる方法はいくらでも知ってんだ」
ダン! と商家に乗り込んだ花邨・八千代(羅刹華・f00102)は悪徳商人を恫喝する。
「逃げんじゃねぇぞ!」
金勘定をしていた悪徳商人は悲鳴をあげる。それを無視して八千代は反抗心のおきない絶妙な手加減で商人を殴った。
(力には力、これって世界の真理だよなァ)
赤い瞳が細められ、巧みに商人を拘束する。商人はガタガタと震えた。
「んで、お前のお友達にも会いたいんだよなァ。ちょっと紹介してくんね?」
商人は震えながら首を振るが、八千代は拷問具をちらつかせて、にっこり笑顔を作る。笑顔は大事だ。
「安心しろよ、素直になりたくなる方法はいくらでも知ってんだ」
「商人仲間が、無事にあの世にいける方法を教えてくれたのに……!」
「あん?」
八千代は口を割った商人の胸ぐらを掴む。商人は頷いた。
「あの方のために金を集めれば、無事にあの世にいけると聞いたんだ。それなのに儂はこんなところで……!」
「別に殺しはしねえよ」
商人の言う「あの方」には宗教のにおいがする。八千代は商人の胸ぐらを離すと考え込むのだった。
成功
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白飯・好太郎
【wiz】
可愛い村娘なら幾らでも口説いてやるんじゃが…気は進まんが説得でもするとしようかの。
よくない臭いがするのう…。金に侵された、亡者の臭いじゃ。
お前さんが取引しとるあの方とやら、本当に現世のものかの?
…とまぁ、はったり半分、何か思い当たる節でもあればよし、ないでも不信感を植え付けられれば上々よ。
こんなところでわしらに露呈する、その時点であの方とやらの御利益も大したことないの。
なぁ、洗いざらい話してくれるんなら、わしも一緒に藩主様に頭下げちゃる。長い人生誰でも間違うことはあるもんじゃ。間違った過去は変えられん。だが正すことはできるじゃないのかの。
…最後に天下自在符を見せてでもやるとするかの。
「よくない臭いがするのう……。金に侵された、亡者の臭いじゃ」
八千代が捕らえた商人を見ながら白飯・好太郎(🦊・f05806)は腕を組んだ。震える商人に近づき、青い目で心配そうに話しかける。
「お前さんが取引しとるあの方とやら、本当に現世のものかの?」
「ひいっ」
何か心当たりでもあるのだろうか。商人は好太郎の言葉に悲鳴を上げた。はったり半分で言った好太郎は、商人のなかなかの反応に内心で上々だと頷く。
(こんなところでわしらに露呈する、その時点であの方とやらの御利益も大したことないの)
信心深い、というわけではないのだろう。金はあるけれども結局は弱い者なのかもしれない。
「なぁ、洗いざらい話してくれるんなら、わしも一緒に藩主様に頭下げちゃる」
好太郎は商人に語りかけた。安心させるように微笑む。
「長い人生誰でも間違うことはあるもんじゃ。間違った過去は変えられん。だが正すことはできるじゃないのかの」
「儂を助けてくれるのか……? いや、だが、他の商人仲間のこともある……」
話してはくれなかったが、商人の心に迷いを植え付けることには成功した。好太郎は次の手を考える。
苦戦
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神凪・狐毬
「お金は力、確かに真理よね。だから、その力を奪おうとする人が出るのもまた、真理よね」ということで、証拠を集めるわ。
悪徳商人ひとりでお店は回らないものよ。男性の従業員を数名「誘惑」して、悪事の情報をたくさん集めるわ。
「おにぃさん。ちょっとお話、きかせてくれないかしら。もちろん、お礼は弾むから、ね?」
できれば、悪事の情報のほかに、最近お店に良く来るようになった人物の情報も、あれば教えてほしいところね。
まぁ、無理はせずに情報を抜き出して、他の猟兵のみんなに共有するわ。
「ありがとうお兄さん。おかげで助かったわ。とってもね。」
(お金は力、確かに真理よね。だから、その力を奪おうとする人が出るのもまた、真理よね)
神凪・狐毬(巫女の姿をした小悪党薬師・f00559)は商店へと真正面から入っていく。商人一人で店はまわらない。だからこそ狙いをつけたのは男性の従業員だ。
「おにぃさん。ちょっとお話、きかせてくれないかしら。もちろん、お礼は弾むから、ね?」
艷やかに微笑むと、従業員は鼻の下を伸ばして狐毬へと近づいてきた。
「なんのお話でしょうか」
「ここの商人さんの話。他にも最近お店に来るようになった人とかはいるかしら」
「ああ……」
従業員は少し眉を寄せた。鬱憤も溜まっていたのだろうか、子供を足蹴にしたとか僅かな金を持ってきた老婆を追い返したなどの話を聞かせてくれる。
「あとはそうですね、お布施に熱心です」
「お布施?」
「ええ、金額が信じる心につながると言ってました」
これ以上の情報を得るのは難しそうだ。無理はせず、狐毬は他の猟兵に共有するために店を出ることにした。
「ありがとうお兄さん。おかげで助かったわ。とってもね」
成功
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鈴鳴・藜
胸糞悪ィな。金が全て…とか言うつもりはねぇし、肯定も否定もしないが…。
しっかり弁えてくんないとね、俺も温厚なヤツじゃねぇからさ。
……大人がガキを見捨てちゃ終いだろ。
あの方って誰なんだろうなぁ。
他にも知ってそうな商売仲間とか探してみっか。
近くの住民からも人好きそうな笑みで情報収集を。
怖がられたらまぁ…しゃあねぇか。
ごめんな、もうちょっとだけ辛抱してくれや。
少しでも良いほうに向けて力を尽くすからさ。
向かってくるヤツは納刀のまま伸していくぜ。
一発力の差を見せつけりゃ口を割るヤツもいるだろ。
どうしても往生際が悪い野郎はそうだな、その覚悟は良し。
愛刀抜いて斬る…ように見せかけて寸止めで様子見してみるか。
(胸糞悪ィな)
話を聞いて町を歩きながら鈴鳴・藜(宵暁・f00576)は思う。
(金が全て…とか言うつもりはねぇし、肯定も否定もしないが……。しっかり弁えてくんないとね、俺も温厚なヤツじゃねぇからさ)
座り込んで泣く子供の頭を撫で、呟いた。
「……大人がガキを見捨てちゃ終いだろ」
藜が狙うのは他の商売仲間だ。住民などからも笑顔で情報を集めていくつもりだ。
とりあえず、ひもじそうな住民に声をかけてみる。
「ちょっと商人のことについて、話を聞きたいんだが」
「わ、私は何も! 藩主さまにお聞きくださいませ!」
逃げていく住民。慌てて藜は声をかけた。
「ごめんな、もうちょっとだけ辛抱してくれや。少しでも良いほうに向けて力を尽くすからさ」
住民は足を止めて、深々と藜に頭を下げた。味方だと認識はしてくれたのだろう。
(藩主か)
藩主は住民たちのために頑張ったが、力及ばなかったと聞いている。後で藩主にも謁見する必要はありそうだ。
刀の出番はなかったが、情報を得ることはできた。藜は頷き、他の猟兵と合流を試みる。
成功
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藤色・藤乃
八千代殿が作ってくれた騒ぎに乗じて、悪徳商人の店に忍びこむであります!
抜き足差し足忍び足で潜入
八千代殿が一喝していた商人は、何やら宗教的なにゅあんすの叫びを吐露しておりました故
忍法・真己の術を用い、宗教的な類の怪しい物品や偶像、文言の書かれた品などを分身と手分けして探すであります
何らかの怪しい団体、その元締めに繋がる手掛かりがあれば良いでありますが
一つの建物を調べるだけでは横の繋がりまでは掴めんかもしれんでありますな
八千代殿や他の猟兵の助力を得られるならば、同じ手口でもう幾つかの悪徳商人の店や家を調べる必要があるかと思うであります故
どうかご協力をお願いするでありますよ!
「出でよ、我が真の姿!……これが拙者であります!」
藤色・藤乃(夜に咲くから私は花火・f00761)は忍法・真己の術(ニンポウ・シンキノジュツ)を使用した。もともとスタイルのよかった藤乃より、さらに胸とお尻が大きくなったナイスバディのもうひとりの自分が現れる。
藤乃が狙うのは、八千代が狙った店への忍び込みだ。
二人の藤乃が抜き足差し足忍び足。狙うのは「宗教的なにゅあんす」を感じさせるものだ。
(何らかの怪しい団体、その元締めに繋がる手掛かりがあれば良いでありますが)
大きなお尻で器用に細い通路を通り抜け、藤乃は悪徳商人の部屋らしき場所へとたどり着く。いかにも商人らしい大きな箪笥や豪華な木箱などが置いてある。
二人がかりなので、調べ物も早い。藤乃はとある文書を手にとった。
「む、これはなんでありましょうか」
達筆な文字で書かれているのはお布施を募る意の手紙のようだ。ゆくゆくは藩主を引きずり下ろし、金の力で自分がこの藩を強くすると書かれている。
(これは……オブリビオンのにおいがぷんぷんでありますよ!)
藤乃は文書を懐に入れると、他の商人も調べるべくもうひとりの自分と駆け出した。
成功
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歩・備忘録
おっと、幾人か猟兵が悪徳商人に殴り込みをかけているね。良い具合に商人たちに不安が蔓延るのでないかな。よし、更に恐怖煽ってみよう
まずはあいさつ回りだ。そして
「悪徳商人が恫喝される事件が起こっている、ここにも直ぐに手が回るだろうし、黒幕が没落するのも先の事ではない」
「今手を引いて正常な商いをすれば、藩主や領民の心象も良い。今後の商いもやり易いだろう」
「正しい商いは商人が積むことのできる徳である。徳を積む者こそ正しくあの世に逝くことができる」
と吹聴して回ろう。案外ころっと足を洗ってくれないかな?折角聖者だから、少し輝きながら説法してみたらもう少しありがたみも出るかな?
(おっと、幾人か猟兵が悪徳商人に殴り込みをかけているね。良い具合に商人たちに不安が蔓延るのでないかな)
歩・備忘録(歩く備忘録・f02523)はにっこりと微笑んだ。
(よし、更に恐怖煽ってみよう)
町へ出て、他の商店へと顔を出す。軽い挨拶回りの風情だ。商人は金がないなら帰れという表情で備忘録を眺めるが、気にしない。
「悪徳商人が恫喝される事件が起こっている、ここにも直ぐに手が回るだろうし、黒幕が没落するのも先の事ではない」
「わ、私は悪徳などと呼ばれるような商売はしておりませんが」
声が震える商人に備忘録はさらに続ける。
「今手を引いて正常な商いをすれば、藩主や領民の心象も良い。今後の商いもやり易いだろう」
商人の顔色が変わった。青くなったのがわかる。
備忘録は聖者らしくまばゆい笑顔をみせた。
「正しい商いは商人が積むことのできる徳である。徳を積む者こそ正しくあの世に逝くことができる」
「この方は本物の僧侶さまだ……! あのような武僧さまとはわけが違う!」
商人が備忘録を拝みだす。備忘録は少し困りながらも、なるほどと思った。
(武僧……それが、この地を脅かしている相手なのかな)
これだけ情報が集まり、そして商人たちから言葉を手に入れれば大丈夫だろう。
備忘録たちは集まり、他の猟兵と次の行動を考えることにしたのだった。
成功
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第2章 冒険
『藩主に謁見』
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POW : 情熱をこめて頼み込む
SPD : 迅速に対処すべき事態を説明する
WIZ : 互いに利益のある提案を行う
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「皆様、本当にありがとうございました」
フロランスは集まってくれた猟兵たちに深々と頭を下げた。
「裏にいるのは武僧のオブリビオン。金を積むものによきあの世を約束させながら、自分は金を得て、藩を覆そうとしているらしきことがわかりました」
調べて歩いたすべての猟兵たちの手柄である。
けれども、フロランスは心配そうな表情を見せた。
「相手は狡猾と思われます。一人で立ち向かうとは思えません。それに、ただ武僧を叩いても藩をしっかりとさせなければ、また同じように狙われる可能性があります」
藩の財源は底をついているとも聞いている。藩主はよい人なのだろうが、いかんせん「強さ」に欠けているように思われる。
「敵を叩く前に、まず足元をしっかりと固めましょう。藩主に謁見します。雑魚を抑えていただくための兵力の相談や今後の藩政をお話し、藩主にも立ち上がってもらうのです」
フロランスは猟兵たちの顔を見渡した。
「弱い心のままでは付け込まれます。情熱や事態の説明、益のある提案、色々なものを藩主に見せ、民を救うために立ち上がってもらいましょう。大丈夫です、猟兵の心の強ささえあれば、きっと通じます」
フロランスはよろしくお願いします、と頭を下げるのだった。
神流派・赤跳
とにかく気持ちを込めて頼み込みます!
本題を話す前にしっかりと「お初にお目にかかります」と挨拶をしてから
「藩主様の藩への御心、民への思いは噂程度でありますが耳に入っております」「今、藩を救おうとしているのは藩主様1人ではありません、ボクたちが藩主様の力になります」「そしてこの問題を解決すれば…きっと今後の藩主様の力にも繋がります、ですから…どうか立ち上がるご決断を」
とまっすぐと相手の目を見ながら訴えかけます
少しでも目を逸らせば弱さを見せてしまったようにも見えるのでとにかくまっすぐ、今の言葉が嘘ではないと伝えるために見つめます
「お初にお目にかかります」
藩主との謁見の間に通された猟兵たち。まず、神流派・赤跳(守護ペーパーナイフ・f03650)が丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ、商人の件は聞いております。ありがとうございました」
藩主は優しそうな笑みで赤跳に座るように示すと、気さくに話しかけてきた。気はよい人のようだ。けれども、笑みに象徴されるように優しいだけの人という印象は拭えない。
赤跳はぐっと漆黒の瞳に力を込めた。
「藩主様の藩への御心、民への思いは噂程度でありますが耳に入っております」
藩主が何か言いかけるのを、赤跳は遮るように口を開いた。
(とにかく気持ちを込めて頼み込みます!)
大事なのは気持ちだ。少しでも目を逸したら弱さを見せてしまったようにも見えるのでまっすぐに赤跳は藩主の目を見つめる。
「今、藩を救おうとしているのは藩主様1人ではありません、ボクたちが藩主様の力になります」
「それは本当ですか?」
「はい。そしてこの問題を解決すれば……きっと今後の藩主様の力にも繋がります、ですから……どうか立ち上がるご決断を」
今の言葉は嘘ではない。それを伝えるために赤跳はまっすぐに藩主を見る。
藩主はその視線に耐えられないかのようにうつむいた。
「今の藩のままではいけないことはわかっているのです。狙われていることも。ですが……」
信用は得られたようだ。あとは決意に至るだけの言葉を重ねていくことが必要だろう。
成功
🔵🔵🔴
花邨・八千代
これはちっとばかしケツを叩いてやる必要があるかねぇ
まったく、口で言うよか手で語る方が得意なんだが
「やれ、このまんま後手に回るつもりかよ?勿体ねぇ、勿体ねぇなァ」
「今まではなァんも出来なかったんだろ、だが今やどうだ。こうして藩主様の敵に噛みつこうって腕利きの連中が集まってきてんだぜ」
余裕たっぷり、煙管をふかしながら語るぜ
「なァに、藩主様は一言おっしゃればいいのさ。『不届き者をなんとかしろ』ってなァ」
「粋な采配見せてくだせぇや、後悔はさせませんぜ」
最後まで笑みは崩さず、豪胆に
必要なのは「強さ」なんだろう?
(これはちっとばかしケツを叩いてやる必要があるかねぇ)
花邨・八千代(羅刹華・f00102)は煙管を取り出しながら、藩主の顔を伺う。
(まったく、口で言うよか手で語る方が得意なんだが)
やれやれ、と肩をすくめるとよく通る声で八千代は言った。
「やれ、このまんま後手に回るつもりかよ? 勿体ねぇ、勿体ねぇなァ」
藩主が八千代のほうへ視線を向ける。八千代は煙管を余裕たっぷりにふかし、語った。
「今まではなァんも出来なかったんだろ、だが今やどうだ。こうして藩主様の敵に噛みつこうって腕利きの連中が集まってきてんだぜ」
藩主は集まった猟兵たちの顔を見た。それからもう一度八千代を見、頷く。
「それは大変ありがたいことです。ですが……」
「なァに、藩主様は一言おっしゃればいいのさ。『不届き者をなんとかしろ』ってなァ」
豪胆な笑みは崩さずに。それは八千代の見せる「強さ」だ。その笑みに呑まれたように藩主は口をつぐむ。
「粋な采配見せてくだせぇや、後悔はさせませんぜ」
藩主は葛藤するように、視線をさまよわせた。少しずつ、猟兵たちの言葉や願いは届いているように見える。
成功
🔵🔵🔴
皐月・灯
藩主さんよ。
事件の裏で糸を引いてるヤツは、悪徳商人どもを丸め込んで金を集めてる。
このままじゃ、きっと近いうちに仕掛けてくるぜ。
得意の口先と、ため込んだ金の力でな。
だから、金の供給源を断ってくれ。
今なら、他の猟兵が動いてる。
悪徳商人どもの何人かは、性根を叩き直されてる頃だ。
連中の気勢は削がれ始めてる。
今こそアンタが、連中を厳しく取り締まるんだ。
そうすりゃ、ヤツらはアンタを恐れ、この先も少しは大人しくなる。
弱い藩主と思ってたのが、怒らせちゃならねー鬼、だったってな。
で、ヤツらが大人しくなりゃ、オレ達も黒幕をやりやすい。
アンタはやさしそうだ。
それを捨てろとは言わねー。
けど、アンタは民を守る者、だろ?
「藩主さんよ。事件の裏で糸を引いてるヤツは、悪徳商人どもを丸め込んで金を集めてる」
理知的な二色の瞳で藩主を見据えたのは皐月・灯(灯牙煌々・f00069)だ。抑えた声で告げる。
「このままじゃ、きっと近いうちに仕掛けてくるぜ。得意の口先と、ため込んだ金の力でな」
顔色が変わった藩主を見て、灯は身を乗り出した。
「だから、金の供給源を断ってくれ」
「供給源を……断つ?」
「今なら、他の猟兵が動いてる。悪徳商人どもの何人かは、性根を叩き直されてる頃だ。連中の気勢は削がれ始めてる。今こそアンタが、連中を厳しく取り締まるんだ」
冷静に、しっかりと。何をやるべきかを明確にした灯の言葉に藩主は表情を引き締める。
「そうすりゃ、ヤツらはアンタを恐れ、この先も少しは大人しくなる。弱い藩主と思ってたのが、怒らせちゃならねー鬼、だったってな。で、ヤツらが大人しくなりゃ、オレ達も黒幕をやりやすい」
「私でも……力に、なれるのでしょうか」
迷うような藩主に灯はかすかに笑った。
「アンタはやさしそうだ。それを捨てろとは言わねー。けど、アンタは民を守る者、だろ?」
藩主の瞳に光が灯ったように見えた。灯の薄青と橙の瞳も細められる。
成功
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神凪・狐毬
「では、お金の話をしましょうか」
私は、藩主がどういう心情かは知りませんが、彼がするべきお仕事が目の前にあるのです。それをお伝えします。
今この藩には金が、この藩で流通している金が足りません。例の武僧と商人が不正に集めたお金を溜め込み、市場の金が減っているからです。
だからこそ藩主様は、その金を正当な形で受け取り、一刻も早く藩に行き渡らせなければなりません。
正当な形については、藩主様の方がお詳しいでしょう。ですが、私たちはあくまでも兵、動くには、将が必要です。藩主様、あなたから、私たちに大義名分をお与えください。それがあれば、私たちは万難を排して、敵を討ち果たしましょう。
「では、お金の話をしましょうか」
藩主が少しずつやる気を見せているのを確認した神凪・狐毬(巫女の姿をした小悪党薬師・f00559)は穏やかに語りだした。
(私は、藩主がどういう心情かは知りませんが、彼がするべきお仕事が目の前にあるのです)
そしてお金のことは狐毬は詳しいほうだ。力になれるだろう。
「今この藩には金が、この藩で流通している金が足りません。例の武僧と商人が不正に集めたお金を溜め込み、市場の金が減っているからです」
藩主は真面目な生徒のように狐毬の言葉に頷いた。
「だからこそ藩主様は、その金を正当な形で受け取り、一刻も早く藩に行き渡らせなければなりません」
「正当な形……」
「正当な形については、藩主様の方がお詳しいでしょう。ですが、私たちはあくまでも兵、動くには、将が必要です」
その言葉に藩主ははっとしたように狐毬を見た。狐毬の青い瞳がまっすぐに藩主を見る。
「藩主様、あなたから、私たちに大義名分をお与えください。それがあれば、私たちは万難を排して、敵を討ち果たしましょう」
皆が、藩主に動けと言っている。
それがあれば、自分たちは敵を討ってみせると言っている。
藩主は両手を握りしめた。
「皆さんのお気持ちはとてもありがたいです。そして藩の民を守ることが私の使命であることもよくわかります。すべきことは致しましょう。ですが」
藩主は猟兵たちを見渡した。
「……私は、皆様のこともとても心配なのです。私たちの盾となってくださる、勇敢な猟兵の皆様のことも」
成功
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朝比奈・心乃
……これは異な事を申されます。
天下自在苻。
徳川の紋所刻まれし証を持つ我ら、幕府のお墨付きの手練れで御座いまして。
先のお言葉。ひいては幕府の威を案ずるとも受け取れますが?
って、忠告がてらにお伝えしますけどー。
はぁ……こんっだけ皆に言われて、此処が漢を魅せる場なーのーにー。
そこを期待してめっずらしく大人しく聞いてたら、もうっ
お殿様。
ご心配なのは我らではなく、我らを“手負わせてしまう”やもしれぬ自らのご決断と、その責の重さについてではありませんか?
それは優しさでは御座いません。
臆病と申します。
その臆病が今の藩と民を。
そして悪辣なる者を招いたのです。
……皆が。皆が待ち望んでおります。
どうか、ご決断を。
「……これは異な事を申されます」
朝比奈・心乃(流浪う白狐・f05351)がにこりと赤い瞳を細めた。
「天下自在苻。徳川の紋所刻まれし証を持つ我ら、幕府のお墨付きの手練れで御座いまして。先のお言葉。ひいては幕府の威を案ずるとも受け取れますが?」
その忠告に藩主は顔色を変えた。
自信のなさがすべての猜疑心へとつながっていく。その典型例であろう。
(はぁ……こんっだけ皆に言われて、此処が漢を魅せる場なーのーにー。そこを期待してめっずらしく大人しく聞いてたら、もうっ)
心乃は内心イライラと藩主を見る。藩主は心乃の言葉におろおろと猟兵たちを見渡すばかりだ。
「お殿様。ご心配なのは我らではなく、我らを“手負わせてしまう”やもしれぬ自らのご決断と、その責の重さについてではありませんか? それは優しさでは御座いません」
心乃はまっすぐに藩主を見て言い切った。
「臆病と申します」
藩主は心乃を見る。それは見透かされたような表情だった。
「その臆病が今の藩と民を。そして悪辣なる者を招いたのです」
「私が……」
藩主はうつむく。あと一息だ。猟兵たちの視線を受けて、心乃ははっきりと告げた。
「……皆が。皆が待ち望んでおります。どうか、ご決断を」
沈黙が訪れる。
そして藩主は立ち上がった。猟兵たちを見渡す。
「私が至らないばかりに、ご迷惑をおかけしました。藩の財政のこと、民のことはすべて、私が引き受けます。ですから」
藩主は頭を深々と下げた。
「この藩の平和を脅かす者を……討ってきてもらいたいのです」
大成功
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第3章 ボス戦
『仮面の武僧』
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POW : 末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : 狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
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「わかっているオブリビオンは武僧ということです」
藩主との謁見を終え、フロランスは猟兵たちを急ぎ武僧が住まうという山奥の寺へと案内する。
「戦闘力の増強、生命力の奪取、分身の招来。使用する技はこのようになっています。みなさんが力を合わせれば、十分に勝てる相手です」
そこまで説明してきたフロランスがふと足を止めた。
寺の前に武装した商人たちが立ちふさがっている。
「武僧さまをお守りしなければ、儂らの金はなくなるんだ……!」
「私たちのあの世へのお布施はどうなるんだ!」
悲鳴のように叫ぶ商人たち。困惑したフロランスたちの前に立ったのは、藩で声をかけた民たちだった。皆、手に武器を持っている。
「藩主さまが言ってくださった。あんたたちを助けろと」
「お腹いっぱい食べさせてもらえるよう、手配しているそうだ!」
「今ごろ、町の商家に藩主さまの調べが入っている。あとは親玉を倒してもらうだけだ!」
フロランスは頷いた。
「私も、商人たちの説得に参加します。皆様は、どうか、武僧をお願いできますか」
猟兵たちは頷き、寺への最後の道を駆け抜ける。
遠くフロランスの声が響く。
「大丈夫です、皆様ならきっと楽勝です!」
遠呂智・景明
「金が大切ってのは同意するがよ」
遠巻きに藩邸の外で見た商人たちの光景を思い出し、
「それで他人を縛り付けちゃあいけねぇだろ」
少しばかり遅れたが、と零し。
腰に刺した二本の刀を抜き、武僧へと突きつける。
「生臭坊主が、覚悟しやがれ」
【剣刃一閃】を使用。【ダッシュ】で敵の懐に飛び込み【2回攻撃】による連撃を放つ。そして傷つけた場所を狙い【傷口をえぐる】斬撃をぶつける。
「経を唱える時間なんて与えるかよ!てめぇには極楽浄土どころか、地獄すら生温い!」
【殺気】を込めて【恫喝】する。
「だからここで消えちまいな!」
ほかの猟兵たちと連携しながら息付く間もない剣戟を。敵の攻撃は【残像】【フェイント】を用いて翻弄する。
(金が大切ってのは同意するがよ)
遠呂智・景明(大蛇殺しのヤドリガミ 精霊と一緒・f00220)は遠巻きに藩邸の外で見た商人たちの光景を思い出した。
(それで他人を縛り付けちゃあいけねぇだろ)
少しばかり遅れたが、と零して腰に差した二本の刀を引き抜いた。刀を武僧へと突きつける。
「生臭坊主が、覚悟しやがれ」
床を蹴る。一気に武僧の懐へと飛び込むと剣刃一閃、武僧が動くよりも早く、二本の刀が翻った。右の刀が武僧の肩を斬り裂くと、続く左の刀でその傷口をえぐる。
大蛇をも斬った名剣である。鋭い切れ味は衰えることを知らない。
さすがに苦しむ武僧。自分を強化しようと経を唱えようとするが、それを許す景明ではない。
「経を唱える時間なんて与えるかよ! てめぇには極楽浄土どころか、地獄すら生温い!」
武僧を翻弄しながら、続く剣戟。
「だからここで消えちまいな!」
二本の名刀が繰り出す攻撃に、武僧は手を出すことすらできない。経をあげる声は苦悶の呻きに変わる。
景明が二刀で押しながら、他の猟兵へ目配せをする。
息つく間もない戦いは、猟兵の圧倒的有利で始まった。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
いつの世も弱き者が虐げられるものです
しかし同志達の力によって人々の心を変え、立ち向かう勇気を与えた
同志達の努力も、人々の勇気も決して無駄にはさせません
今こそ討ち取る時――どうか、御覚悟を
立ち回りは近接、敵との距離を詰めて剣刃一閃を繰り出す
目視、音による情報から行動を判断
読経が聞こえたら末世読経の予備動作と判断し、躱し易いよう距離を離す
頭部が狛犬に変形した時は深く噛み付かれないよう刀身を使って防ぐ
金剛力士が召喚された時は本体を攻撃して解除を狙う
ただし金剛力士と武僧と配置が近い時は先に自分から近い相手から狙う
1体倒せた所で武僧を狙い、解除を狙う
(いつの世も弱き者が虐げられるものです)
どこか切ない表情で月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は刀に手をかけた。
(しかし同志達の力によって人々の心を変え、立ち向かう勇気を与えた同志達の努力も、人々の勇気も決して無駄にはさせません)
夜彦は目を伏せ、それから緑色の目を開き刀を抜いた。
「今こそ討ち取る時――どうか、御覚悟を」
景明の剣戟に合わせるように近接距離へと飛び込むと、夜彦は剣刃一閃を繰り出した。
刀は武僧の腕を切り裂き、武僧を呻かせる。
武僧は血走った目を夜彦に向け、今度こそと経を読み始める。けれども、目視と聴覚でそれを察した夜彦は、それを止めるように刀を再び振り下ろした。
「読経は、そのようなことのためにするものではありません」
冷静に言い放つと、武僧に傷をつけ読経を止める。
武僧はうめき声を上げて反撃の手が出ない。夜彦は刀を構えて、武僧の次の手を読むべく神経を集中させる。猟兵たちの優勢は崩れない。
成功
🔵🔵🔴
神流派・赤跳
「民の未来を守る為、我に勝利を!」
という思いを強く持ちながらも決して感情的にならないように注意し相手の動きをよく見て判断する
冷静に判断すれば必ず隙が生まれてくる箇所があるだろう、其処を狙い確実に大きな一撃(ユーベルコード)を討ち込む
「我が一撃を受けよ!」「民の、藩主様の御心を無碍にして堪るものか!」
それまでは一歩引きつつ、避ける、受け流す等の行動で力を温存する
(民の未来を守る為、我に勝利を!)
神流派・赤跳(守護ペーパーナイフ・f03650)は強い思いを抱き、けれども決して感情的にはならぬよう、戦場の動きをしっかりと把握しようとする。
先に攻撃をしかけた景明や夜彦の動きも武僧の動きも確認し、武僧の大きな錫杖がこちらを狙うようなことがあれば、身軽に避けて決定的な隙を待つ。
そして、その隙はやってきた。
武僧は痛みが蓄積してきたのか、振り回した錫杖の重さでかすかに重心を崩したのだ。
(今だ!)
隙を待っていた赤跳だからこそ見いだせた決定的な瞬間。
「我が一撃を受けよ! 民の、藩主様の御心を無碍にして堪るものか!」
一気に距離を詰めると、赤跳は一撃を打ち込む。
「所詮過去の栄光、一時の夢、けれど確かに我の力は此処に在り」
実戦刀「守護大太刀赤跳」。
それは、赤跳が大太刀だった頃の姿。光をまとった大太刀は武僧を切り裂いた。
赤跳の一撃は、武僧の脇腹に食い込み、確かな傷を負わせたのだった。
成功
🔵🔵🔴
花邨・八千代
◆台詞
そうこなくっちゃなァ、そうでなきゃここに来た意味がねェや
さァてオオトリだ、楽しませてもらおうじゃねェか!
どこのどいつか知らねェがタダで帰れると思うなよ
◆戦闘
「恫喝」で敵の意識をこっちに引っ張りながら【羅刹旋風】で思い切り拷問具を振り回すぜ
一気に間合いを詰めて至近へ、攻撃を受けようが構いやしねェ
こんだけ間近なら外す訳もねェからな!
「捨て身の一撃」だ、先に攻撃を受けてんなら狙って「傷口をえぐる」ぜ
「2回攻撃」で更に追い打ちをかけるぜ
誰より先に極楽浄土に叩き込んでやるよ、最高だろ?
あの世で閻魔様によろしく言ってくれや!
(そうこなくっちゃなァ、そうでなきゃここに来た意味がねェや)
花邨・八千代(羅刹華・f00102)はにやりと笑う。
悪徳商人を口を割らせるところからずっとこの件には関わってきた。やはり、最後は華やかに終わりたい。
(さァてオオトリだ、楽しませてもらおうじゃねェか! どこのどいつか知らねェがタダで帰れると思うなよ)
艷やかな笑みを浮かべると、苦しむ武僧へと恫喝した。
「ほォら、こっちも向いてもらおうか!」
武僧が八千代へ視線を向ける。八千代は拷問具を振り回しながら、武僧へとさらに声をかける。
「情けねェ姿だねェ。もっと楽しませろよ!」
武僧が憤怒の表情で読経を始める。だが、八千代にはそれすら大きな隙に見える。こちらの振り回す動きにまったく対応していないのだから。
武僧の読経が終わる前に八千代は一気に至近距離へと飛び込んだ。羅刹旋風。当てにくいその攻撃も、間近の距離ならば外すわけもない。狙うは、赤跳がえぐった脇腹だ。さらに傷口を抉り、武僧の動きを鈍くする。
「あの世で閻魔様によろしく言ってくれや!」
拷問具を引き寄せ武僧と距離を取ると、八千代は極楽浄土へと武僧を叩き落としてくれる続く猟兵へ目配せを送る。
成功
🔵🔵🔴
朝比奈・心乃
お任せあれー!と片目ぱちり。
おんやー?得意の念仏が待てども待てど聞こえてはきませぬなー?
煽りながら先行した皆と入れ替わるようにお邪魔しますよっと。
これだけ読経が遮られれば次なる手に移る頃合いと見ましたが如何?
ほう、一人では足りぬとニ体掛かりとな。
でも、ざーんねん。
金剛力士らの連撃をひらり【残像】残して捌き。
敵の注意を皆が惹きつけてる内にちゃっかりと仕込みは完了。
血塗れた地面に潜ませてたんだなー。要の護符を、ね?
力士は此方。其方は手負い。
其処を逃すはずもなくー。
印を結び祝詞を唱え
『七星七縛苻』
我が命を刻む限り此より術を封ず
ぐぬぬ。けっこーしんどいんだよねーこの術っ
ほらほら!お次の方お早くどーぞっ
「お任せあれー!」
八千代の目配せに片目をぱちり。朝比奈・心乃(流浪う白狐・f05351)は先行した猟兵たちと入れ替わるように前へ進み出る。
「おんやー? 得意の念仏が待てども待てど聞こえてはきませぬなー?」
武僧を煽れば、武僧は痛みと屈辱で心乃を睨む。
「これだけ読経が遮られれば次なる手に移る頃合いと見ましたが如何?」
心乃の予想どおり、武僧は自分が動けぬならばと二体の金剛力士を召喚した。
「ほう、一人では足りぬとニ体掛かりとな」
金剛力士は一体が右から、一体が左から、心乃を殴ろうと腕を振り上げる。
「でも、ざーんねん」
金剛力士が狙ったものは心乃の残像。そして、他の猟兵たちが攻撃をしている間に心乃の仕込みは完了していたのだ。
血塗れた地面に潜ませた、要の護符。
(力士は此方。其方は手負い。其処を逃すはずもなくー)
すっと凛々しい表情になると心乃は印を結び朗々と祝詞を唱えた。
『七星七縛苻』。
「我が命を刻む限り此より術を封ず」
護符が光を放つ。武僧を捕縛すると同時にそのユーベルコードを封じる。威力の大きい技だが、代償も大きい。
毎秒、削られていく心乃の寿命。
「ぐぬぬ。けっこーしんどいんだよねーこの術っ」
それでも心乃の声は明るい。他の猟兵へがつなげてくれると信じているから。
「ほらほら! お次の方お早くどーぞっ」
成功
🔵🔵🔴
ユリウス・アルバート
次の方どうぞと言う訳でお手伝いに来ましたよっと、ちょっと手が足りないようでしたのでね
それではお仕事を始めるとしましょうか
私がやることは非常に簡単です、遠距離から飽和攻撃
『穿ち破裂せよ』
相手が動くより早くナパームアローによる【先制攻撃】を行い
負傷した箇所を狙って攻撃する事で【傷口をえぐり】、爆発による【衝撃波】で【鎧無視攻撃】と【鎧砕き】を狙っていく
そしてそれを【二回攻撃】による連続攻撃を行って手数で圧倒しようとします
相手は遠距離攻撃を持っていませんからね、ユーベルコードを封じられている間に確りと距離を取りながら近づく間も開けずに削り取ってあげましょう
「次の方どうぞと言う訳でお手伝いに来ましたよっと、ちょっと手が足りないようでしたのでね」
柔和な笑みで一礼し、進み出たのはユリウス・アルバート(ダンピールの咎人殺し・f04166)だ。
「それではお仕事を始めるとしましょうか」
きゅっと手袋をはめ直し、ユーベルコードを封じられている武僧へと遠距離から攻撃をしかける。
「穿ち破裂せよ」
ナパームアロー。百本近くの魔法の矢が放たれ、武僧のもとで爆発をした。圧倒的な数による飽和攻撃は、今まで猟兵たちがつけた傷をえぐっていく。
そして爆発の衝撃は武僧の鎧をも無視し、鎧にヒビを入れていった。
そう、ユリウスはしっかりと把握していたのだ。
(相手は遠距離攻撃を持っていませんからね)
つまり相手に近づく間すら与えなければいい。武僧がユリウスへと近付こうとした瞬間を見計らい、ユリウスは二度目のナパームアローをしかけた。
轟音と爆発。
心乃の護符の効果が消え去るが、それ以上にユリウスの攻撃は武僧の鎧を、そして生命を削っていた。
だが、武僧はまだ立っている。まだ足りない。
ユリウスは一歩下がりながら、手袋の埃を払って思案する。
成功
🔵🔵🔴
ナノ・クロムウェル
私も手を貸しましょう。
お金は大切です。ですが、生存には必須と言うわけではないのですよ。
私はユーベルコード「ガジェットショータイム」を使用しましょう。
これで召還されるガジェットは変な形なのですが…その強さは私が保証します。
…これは何と言いましょうか…でかい小判に細い棒が刺さっている…?
……小判型のハンマーでしょうか?
金に目がくらんだ相手には相応しいと言えましょう。
見た目の割りに軽いですね。
ああ…これを弄ると…小判部分が巨大になる…と。
ふむ…どうやら振るたびにちゃりんと音がなるようですね。
つまり軽い小判型のハンマーで高速で動き敵の攻撃を「見切り」隙あらば巨大化させて叩く…これが私の戦いです。
すっと前へ出たのはナノ・クロムウェル(翠炎のメタルサバイバー・f02631)だった。
「私も手を貸しましょう」
お金は大切だ。それはよくわかっている。
(ですが、生存には必須と言うわけではないのですよ)
生きるために代償を支払っているナノだからこそわかる、それは強い信念でもある。
ナノはユーベルコード「ガジェットショータイム」を使用した。
(これで召還されるガジェットは変な形なのですが……その強さは私が保証します)
出てきたガジェットは、やはり変な形をしていた。
大きな小判に細い棒が刺さっている、小判型のハンマー。見た目のわりには軽い。
(金に目がくらんだ相手には相応しいと言えましょう)
少しハンマーを手で確かめると、ナノは一気に武僧との距離を詰めた。
武僧はもはやぼろぼろの腕を狛犬の形にし、ナノの生命力を奪おうとする。それを素早く見切り、高速でハンマーの攻撃範囲に入った。
すかさずハンマーを弄ると、小判部分が巨大化する。そのまま一気にハンマーで武僧を叩きつけた。ちゃりんと音がする。武僧はその音と同時に上体をふらつかせた。
ナノは加速したまま、武僧の脚を今度は殴りつける。ちゃりんという音と同時に武僧が片膝をついた。
(金に目がくらんだ相手が小判にやられる……因果応報でしょう)
武僧を倒すには後少し。ナノはハンマーを翻し、様子を伺う。
成功
🔵🔵🔴
後藤・吉丁
本来なら出張るようなガラじゃあないんだけどね。
この世界はアタシの故郷で、そこに住む人々もまた大切にしたいもの。
それを利用されたんだ、少しばかり頭にきちゃったよ。
まぁ、そんな事を言いつつ、長巻を突きつける
かっこつけに見えるかい?
不意打ち狙いだよ、ユーベルコード「戊の刀身」発動だ。
その後は長巻で「なぎ払い」しながら距離を開けつつ、またユーベルコード発動を狙ったり、武器を落とさせようとしたりかな。
基本距離は詰めないよ、小狡かろうがのが勝つのが目的だからね。
(アドリブや他の方との絡みOKです)
「本来なら出張るようなガラじゃあないんだけどね」
後藤・吉丁(玉虫色の老刀装具・f09119)はやれやれと後方から肩をすくめた。
「この世界はアタシの故郷で、そこに住む人々もまた大切にしたいもの。それを利用されたんだ、少しばかり頭にきちゃったよ」
武僧は吉丁をにらみ据える。そんな視線をものともせず、吉丁は長巻を突きつけた。黒い拵えの長巻。刀身には梵字が刻まれており、曰くのありそうな輝きを帯びている。
「かっこつけに見えるかい?」
武僧が長巻を自身の錫杖で払いのけようとしたときだった。
「鋼は、刃は、土より生まれ出づる」
ユーベルコード「戊の刀身」が発動された。
地から光の刀が飛び出し、武僧を貫く。そう、長巻を突きつけたのは攻撃対象の指定だったのだ。
あきらかな不意打ちだった。武僧は呻き声を上げる。
「アタシより、主人公は若人であるべきなんだけどね」
吉丁は渾身の力で長巻を翻す。
お腹がすいたと泣いていた子。あの子たちの未来のために。
「未来を阻んだあんたはアタシが断とう」
吉丁の長巻が多くの猟兵が刻んできた傷をえぐった。それはすべての猟兵の思いがこもった最後の一撃となった。
どおっと音を立てて、武僧は倒れ動かなくなる。
どうやら、無事にこの件の黒幕は倒せたようだ。猟兵たちは顔を見合わせて安堵の息をついたのだった。
猟兵たちが藩主へと報告に戻ろうと来た道を歩いていると、尻もちをついた商人たちと意気盛んな民が迎えてくれた。
「藩主さまが、握り飯で出迎えてくれるそうだよ!」
「本当に今回はありがとう。心から礼を言うよ」
口々に感謝を言う民たちには笑顔が溢れている。
我慢できなかったのか握り飯をもう頬張っている子供もいた。その満面の笑みに猟兵たちもようやく笑顔が戻ったのだった。
成功
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