●噂の田んぼに謎のくねくねを見た!
UDCアースには、数多の都市伝説が溢れている。
この怪異譚も、そのうちの一編である。
とある片田舎。
田舎と一口に言っても、電車は通っているし、その気になればそれなりの大都市へのアクセスも可能である。
とは言え、やはり景色は田舎のそれだ。広がる田んぼ。橋の下には川が流れ、子ども達が遊ぶ。
だが、そんな一見のどかな風景の裏で、怪しき噂が流れていた。
くねくねである。
曰く……この街の田んぼや河原に、夜な夜な、『くねくね踊る何か』が現れるという。
うっかり、そのくねくねを目撃したものは、正気を失い、精神に異常をきたす。そして自らもくねくねとなり、新たな犠牲者を増やしていくのだという。
怖い。
●グリモアベースに鋼鉄の猟兵を見た!
猟兵を招集したヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、奇妙な挙動をしていた。
「くねくねでございます」
ふざけているわけではない。今回の事件に関わるキーワードだ。重要。
「UDCアースで、奇妙な噂が流布しておりまして。謎のくねくねが現れ、その正体を見たものの精神をグシャアと破壊してしまうという、恐ろしきものでございます」
いわゆる都市伝説、という奴である。
だが、グリモア猟兵がこうして説明する以上、ただの噂ではない。
「そこで皆様には、噂の広がる田舎町に赴き、真偽のほどを確かめていただきたいのでございます」
実際にくねくねがいるのなら、対処を。
ただの噂ならば、その裏に潜む何者かの企みを暴き、事件を解決してほしいのだと、ヴェルタールは言った。
「いかにも怪しき四文字、くねくね。この噂の裏には、何やら歪んだ悪意が感じられます。皆様のお力で、真実を白日の下にバシッとさらして欲しいのでございます」
七尾マサムネ
くねくね。
●第一章
謎のくねくね出現の噂が流れる田舎町に赴き、調査を行います。
●第二章および第三章
噂を追った先に判明した事実に従い、次なる行動に移ります。
その先には必ずやオブリビオンが待つことでしょう。
それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 冒険
『くねくね踊る怪異』
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POW : 本当にくねくね踊る何かがいるのか噂の田んぼや河原に直接行ってみる
SPD : 本当にくねくねした何かに遭遇して精神に異常を起こした人物がいるか病院等に赴き調査する
WIZ : インターネットの掲示板で噂についてより詳しく調べ、可能ならば噂の発祥元を突き止める
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黒河内・柊夜
情報収集は僕、副人格のヒイラギが行います。
くねくねって単語だとなんかベタベタした物を連想してしまうんですよね……
見たらヤバい謎のくねくね、何とも漠然としつつ変な所が具体的な噂ですねぇ。見た人もくねくねになっちゃうならこんな噂の流れ方しないんですよね。それが噂の噂たる部分なんですけど。
せめて形とか見た目が分かればいいんですが。
とりあえず調査は足が大事です。
本当にそれが現れたのなら何らかの痕跡が残るはず、それを探します。
具体的には変に踏み倒された作物が無いかどうか、河原は砂利などに足跡のような妙な痕跡が無いか。
もし本当に現れたら見つからないように様子を観察しましょう。
敵を知るのが第一歩ですので。
清川・シャル
ご存知です?
私、くねくねが嫌いなんです
…某掲示板の書き込みがね、文が上手すぎたのか…気持ちが悪くて仕方ない…
とはいえ、オブリビオンに決まってます
そうじゃなきゃダメです
証明してみせる!
情報収集します
田んぼとか川原近辺で、コミュ力と礼儀作法で聞き込みです
なにか変な噂をご存知ありませんか?怨恨だったりとか、事件でも。
自分の足でも調べますか。
視力…第六感と野生の勘を使ってもいいかも。
何か痕跡あれば追跡でしょうか。
清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)は、くねくねが嫌いである。
原因は、某掲示板の書き込み。筆致が確か過ぎたせいであろう、気持ちの悪さがこれまた大変であったのだ。
であるからして。
今回の一件、都市伝説などではなく、オブリビオンの仕業。シャルはそう信じて疑わないし、むしろそうでないと困る。
という訳で、シャルも現地調査に乗り出した。絶対に証明してみせる。オブリビオンのせいだと。くねくねなどいない。
河原の近く、自転車で走る女子高校生2人組を見つけたシャルは、高いコミュ力を生かした。
「なにかこの辺りで、変な噂をご存知ありませんか?」
「あー、くねくね?」
むむむ。
そのフレーズはやめて欲しいシャルだが、止むを得まい。
するともう1人が、しーっ、と口止めした。
「その名前出すとヤバいって。メンタルぶっ壊されるよ」
「噂は広まってるみたいですね。その他にはなにかありませんか? たとえば、怨恨だったりとか、事件でも」
「うーん」
女子高生は互いに顔を見合わせたが、結局は首を横に振った。
「そういえば、噂ってSNS発信だったよね」
「となると、第三者が意図的に広めた線もあるでしょうか? 例の『く』……の」
断固として口にしないシャルである。理由は、女子高生と微妙に違うが。
ともあれ、2人にお礼を言って別れると、シャルは実際に現場を調べてみる事にした。
一方、黒河内・柊夜(中途半端にこじらせた・f16288)も、噂を探るため、現地を訪れていた。調査に大事なのは足、という訳である。
情報収集は、柊夜の副人格・ヒイラギの担当だ。
「くねくねって単語だとなんかベタベタした物を連想してしまうんですよね……」
精神崩壊とくねくね化、ヤバさの二段構え。
目撃者がくねくね化してしまうなら、筋道立った話になるはずはないのだが。まあ都市伝説あるある、であろう。
ならばやはりそこには、何者かの意志が介在しているはず。グリモア猟兵が調査を依頼するくらいであるし。
ヒイラギは思案しつつ、件の田んぼにたどり着いた。
本当にくねくねなるものが現れたのなら、痕跡があるはずだ。たとえば、変に踏み倒された作物が無いかどうか。
そうしてひとしきり調べた後、河原へと場所を移す。こちらでの注目ポイントは、砂利などだ。
ちょうどそこに、シャルもやってきていた。視力だけでなく、勘の類も生かして、調査を行う。
しばし辺りを回った2人は、結果を突き合わせてみることにした。
「ふむ」
そしてヒイラギは納得した。眼鏡をくいっ、と直しながら。
2つの場所に共通する痕跡。それは、靴の跡だった。好奇心に駆られて訪れた、犠牲者のものと考えるのが自然だろう。
しかし問題は『それしかない』事だ。人間の痕跡だけ。超常的な力の残滓……はっきり言ってしまえば、オブリビオンの力は感じられない。
「つまり、人間の仕業という事でしょうか?」
シャルの推測に同意したヒイラギが、何気なく向けた視線の先。
砂利に混じって、光るものがあった。拾い上げてみると、何やらバッジのようだ。
ヘビのような、うねうね……いや、くねくねとした生物を模した紋章。
「何かの集団のものでしょうか」
「誰か来ます」
気配を察知したシャルと共に、ヒイラギは、とっさに適当な物陰に身を隠した。
現れたのは、2人の男性。白衣をまとい、片方の男の胸には、バッジのようなものが……。
何やらぼそぼそと会話している。そこでシャルが聞き耳を立ててみると。
「……バッジ……くねくね……が……」
「……もっと……にえを……」
(「怪しいですね?」)
(「怪しいですねぇ」)
しばし後。
どこかへ引き上げていく2人の後を、シャルとヒイラギは、追う事にした。
成功
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イリスロッテ・クラインヘルト
見ると駄目なのですね
わかったのです!
◆現地調査
【鏡の国のシャルロッテ】で鏡映しのイリスを召喚
「これをお願いするのです、わたし!」
「任されたのです、わたし!」
防水性のカメラを準備しておいて、
録画状態で頭につけてもらうのです
そして噂の辺りを、なるべく距離を空けて歩くのです
前は鏡映しのわたしで、周りを見て進んでもらうのです
イリスは下の地面とか見るのです。周りなんて見ないのです
喋り続けるように進んで、見つけたか、お返事が来なかったら離脱
「お疲れ様なのです、わたし!」
後ほど他の猟兵にも協力してもらい
安全確保したうえでカメラを回収
ダメでも位置と時間ぐらいは情報が取れるのです
何も起きなければ…残念、なのです
黒木・摩那
【WIZ】
見るだけで正気を失い、精神に異常をきたす怪物というのはいるけれど、
くねくね踊る、というのはよくわからないわね。
何か招喚しようとしてるのかしら。
グリモアまで話が来ているということは、もう噂は随分と出回っているようです。
もしかすると、動画サイトにそのくねくね踊りの動画もあるのかも?
ネットで探してみます【ハッキング】【情報収集】。
それと踊るからには腰の振り方といった型やリズムがあると思います。
その情報も合わせて収集してみます。
件の田舎街を訪れた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
「見るだけで正気を失い、精神に異常をきたす怪物というのはいるけれど」
噂の裏に邪神教団の類が関与しているのなら、何かよくないものを召喚しようとしている可能性は十分に考えられる。よくないもの……十中八九、邪神であろう。
摩那は、適当な公園のベンチに陣取ると、持参した端末を使い、動画サイトにアクセスした。
既にグリモア猟兵が動くほどに、噂が拡散している状況。くねくね踊りに関する動画……踊り動画の類も上げられているかもしれない。
踊り動画。あえてダンス動画とは呼びたくない何かが、くねくね踊りにはあった。
「……あった」
再生回数こそ地味だが、確かに摩那の求める動画はあった。
配信者は、怪し気な2人組。それっぽい背景とBGMの中、都市伝説を再現・解説する内容のようだ。
摩那の目当ては、踊り。すると2人は、噂のくねくね踊りを実演してみせた。
両手をぴたりと合わせて頭上に。そして、くねくね。まるでわかめか昆布にでもなったように全身をくねらせる。一心不乱に。
いい出汁が取れそうである。
「この魅惑の腰つきに、何かヒミツが
……。……?」
踊りの一挙手一投足に目を配っていた摩那は、ふと、気づいた。
この配信者達。胸におそろいのバッジをつけている。くねくねとした蛇めいたデザイン。
怪しい。摩那は、実地調査に乗り出した。
そして、時間は、夜。
くねくねを見てはいけない。
ゆえにイリスロッテ・クラインヘルト(虹の聖女・f06216)は、くねくねを見ない事にした。……直接は。
そのために呼び出したのは、鏡写しの自分。
「これをお願いするのです、わたし!」
「任されたのです、わたし!」
準備して置いた防水性のカメラを、録画状態で頭につけてもらう。
そして、鏡写しのイリスが先行し、河原を歩く。イリスロッテ自身は、万一くねくねと遭遇しても問題ないよう、十分距離を開け、後方から進んでいく。
周りを見回しながら進む鏡写し。そしてイリスロッテ自身は、ただ下の地面だけに気を配る。
実況しながら歩く鏡写しが、橋のたもとに差し掛かろうとした時だった。
「くねくね」
「くーねくね」
鏡写しのイリスは遭遇した。
くねくねと。
……くねくねは実在した!?
それを確認したイリスロッテは、その場から離れるよう促すと、自身も逃げ出した。
「くねくね~!」
あろうことか、鏡写しのイリスを、くねくねは追ってきた。いくら写し身とはいえ、捕まってはまずい。
土地勘などまるでないが、第六感、そして野生の勘が、役に立った。
なんとか、くねくね共を撒く事に成功したようだ。
「お疲れ様なのです、わたし!」
「あとは任せたのです、わたし!」
鏡写しのイリスと合流すると、イリスロッテはユーベルコードを一旦解除。
会話が成立したところをみると、精神は無事だったらしい。
とりあえず、安全な場所まで移動しようしたイリスロッテは、調査に来た摩那と出くわした。
情報を共有した2人は、場所を移し、回収したカメラの映像をチェックする事にした。
「これは……」
くねくねは2人組だった。
そう、2『人』。白い布をかぶり、シンプルなお化け、もしくは、某エジプト神のような風貌をしている。だが、中に人間、最悪でも人間型の何かが入っている事は明白だった。
端末で表示した動画と、カメラ映像。2つを照らし合わせてみせる摩那。
リズム、型……踊りのパターンも、同一。
中でも摩那が注目したのは、2組の2人組の、胸元だった。
「このバッジ……同じでは?」
「あっ」
思わず声を上げてしまったイリスロッテは、慌てて口を手で押さえた。
はっきりとはわからないが、動画とカメラのバッジが同じものだという事はわかる。
「もしかして、動画の2人組とくねくねの2人組は……」
「同一人物か、そうでなくても関係者の可能性が高いですね」
イリスロッテの推測に、摩那も頷いた。
それからイリスロッテ達は、先ほどのくねくねの後を追う事にした。
まだそう遠くへは行っていないはず、である。
成功
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ヒバゴン・シルバーバック
アドリブアレンジ絡み可能。使用はwiz
「怖すぎるでウホ…ヒバゴンはお化けとかそういうの、ホント無理ウホ…」
ゴリラ型ロボットのヒバゴンシルバーバックはそんなことを言いながら掲示板を総当たりしていた。怖くて頭から離れないからである。もはや事件を解決しない限り彼に安息はない。
『畑が全部同じに見える。場所分からんから教えて、見に行ってみるから』
掲示板に溢れる怪しい書き込みに紛れて聞き込みをする。
「雨や雪にお化け、田んぼには危険が多すぎるウホ」
危険だからこそ様子を見に行く人が絶えないのだろう、悲しきジレンマである。
ヒバゴンは調査が空振りに終わることを祈りながら引き続き掲示板を張り込むのであった。
ノイ・グランガイオス
アドリブ・連携OK ※大阪弁です
くねくね。
なんやろなあ……蛇とかミミズ的ななんかか?
それともタコとか触手系の仲間やろか?
百聞は一見に如かずっちゅーし、直接観れんねやったら観ときたいけど、
対策なしで出たとこ勝負っちゅーのはちょっとな。
猟兵やから精神やられへんとは限らんし。
ネットのニュース記事とかSNS、掲示板とかでまずは情報収集。
可能ならハッキングで裏サイトとか、通常閲覧できへんような
サイトも漁っていこか。
最低限、直接対面する前に精神攻撃の対策はしときたいとこや。
現地を訪れたノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)は、喫茶店に腰を落ち着け、『くねくね』の正体に思考回路を巡らせていた。
「なんやろなあ……蛇とかミミズ的ななんかか? それともタコとか触手系の仲間やろか?」
百聞は一見に如かず。直接見られるに越した事はない。
だが、如何に猟兵と言えど、何の対策もなしに相対しては、相手の思うつぼ、という事もありうる。
「ま、その相手っちゅーんがナニモンか、それもわかってへんけどな」
さて。ノイは情報収集に乗り出した。
情報端末を駆使し……幸い、田舎だからと言って通信の類が機能しないというわけではなかった……ネットのニュース記事やSNS、ネット掲示板などを片っ端から当たっていく。
そして、その喫茶店には、ヒバゴン・シルバーバック(ゴリラ型ロボット・f07349)の姿もあった。
「怖すぎるでウホ……ヒバゴンはお化けとかそういうの、ホント無理ウホ……」
大きな体を丸めるようにしながら、ゴリラ型ロボットのヒバゴンも、ネット掲示板を漁っていた。オカルト板などなど総当たり。
失せ物探し、野生の勘、恥ずかしさ耐性……持てる技能を総動員。もはやヒバゴンの方が何かにとりつかれたんじゃないかと心配になるくらい、作業に没頭していた。
全ては恐怖から逃れるため。
一刻も早く事件を解決する。それ以外に、ヒバゴンに安息の時が訪れる事はないのである。
『畑が全部同じに見える。場所分からんから教えて、見に行ってみるから』
締め忘れた蛇口の如く溢れている怪しい書き込みに紛れ、聞き込みを試みる。
レスが来た。
『○○村の×丁目の田んぼって聞いた』
『あと△丁目』
ありがたい。
『行くの』
『やめとけ』
『大丈夫。ちょっと見に行くだけだから』
心配の書き込みにそう返しておくヒバゴンだが、その実、少しも大丈夫ではなかった。
「雨や雪にお化け、田んぼには危険が多すぎるウホ」
ヒバゴンは震えた。
もっとも、危険だからこそ、様子を見に行く人が絶えないのであろう。悲しきジレンマである。
頼むからただの噂であってくれウホ。
調査が空振りに終わることを祈りながら、ヒバゴンは引き続き掲示板を張り込むのであった。
「? これは……」
ヒバゴンは、謎のサイトにたどり着いた……!
「うーん」
一方ノイは、渋い顔でお冷をすすった。
検索で引っ掛かるのは、類似の都市伝説がほとんど。この街の噂に関するものも、あるにはあったが、グリモア猟兵のもたらした情報以上の収穫はなさそうだ。
「よっしゃ」
ノイは姿勢を正すと、少し本気を出す事にした。
ハッキング。表面的に検索していては閲覧できない類のネットの裏を目指す。
「……ん?」
ヒットしたのは、何やら怪しげなサイトだった。
「新興宗教、やと?」
表示されたのは、くねくねをモチーフにしたらしいエンブレム。トップ画像の派手な色使いが、無駄に目に痛い。
『歪みの園』と称するその団体は、救世主として、歪んだものを崇拝しているようだ。そう、たとえばくねくねのような……。
ノイは、ヒバゴンを手招きすると、画面を見るよう促した。
「これはどういうことウホ」
「いや見てへんし」
ヒバゴンの背中に、ノイのツッコミが刺さった。
勇気を振り絞り、ヒバゴンは直視した。
「『歪みの園』。ヒバゴンもさっき見たサイトにあった名前でウホ」
「ホンマか」
「『くねくねジグザグ歪み歪みてねじれの彼方に真理あり』……ってコレが教義らしいウホ」
「くねくね信仰とか絶対ヤバい奴やん。こいつらがくねくねの噂流しとったんか? ……んん??」
ノイが思わず身を乗り出したので、お冷のお代わりを注ぎに来たおばさんがびくっ、と震えた。
すまへんなあ、と謝りつつ、ノイは改めて、表示された文字列とにらめっこした。
「教団の支部があるの、この街やん」
「ひえ」
ヒバゴンは戦慄した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ドアクローザ・バックチェック
『くねくね』か。有名なネット都市伝説だな。
本当にいるわけないと思っていたが、UDCアースだし、うーむ。
とりあえず被害者がいるのなら、くねくねだろうがオブリビオンだろうが、対処しないわけにはいかない。
噂通り、精神を壊された者がいるかどうか、調べてみよう。
田舎町の近辺にある病院やサナトリウムを見て回ろうか。
それらしい患者が見つかれば、その担当医などにくわしく話を聞いてみよう。
例えばいつ、どこで患者の精神がおかしくなったのか、とか。
同じような症状を見たことがあるか、とか。
もしも、医者の口が堅いようなら「親戚が同じような症状になった」みたいに適当な言い訳をして同情を誘ってみよう。
神宮時・蒼
…怪異。…いろいろ、あるよう、ですが、実在、するものも、ある、のでしょうか…。
…字面だけ、見ると、響きは、可愛い、ですが、くねくね…。
…やることは、えげつない、ですね…
…ところで、くねくねって、ボクらが、見ても、大丈夫、なのでしょうか
【SPD】
実際に、被害者がいるのか発生源と思われる近くの病院へ行きましょう。
発狂しているので隔離されて、いるかも、しれませんね。【忍び足】で見つからないように患者を探しましょう。
見つけたらば様子を伺いましょう。言葉に気になる点があれば頭の片隅に留めます。
患者が発見された場所も調べておきたいですね
「『くねくね』か。有名なネット都市伝説だな」
ドアクローザ・バックチェック(Machine Blade・f11864)は、のどかな……ともすれば『寂れた』と形容するのが相応しいような……風景を見回し、つぶやいた。
「まさか本当にいるわけないと思っていたが、何せUDCアースだし、うーむ」
とりあえず本当に被害者がいるのなら、そして、何らかの陰謀が動いているのなら、くねくねだろうがオブリビオンだろうが、対処しないわけにはいかない。それが、猟兵だ。
ドアクローザは、この田舎町の近辺にある、病院やサナトリウムを見て回る事にした。
道中、聞き込みをして回る。くねくねの噂は年代問わず広まっているようだったが、皆、口をつぐむばかりだった。あまり口にするものではない、と。
さて、神宮時・蒼(終わらぬ雨・f03681)もまた、現地の土を踏んでいた。
「……怪異。……いろいろ、あるよう、ですが、実在、するものも、ある、のでしょうか……」
くねくね。字面、そして響きだけならば可愛さすら覚えるフレーズではある。だが、見た時点で問答無用の精神崩壊とは、実にえげつない。
猟兵ならば直接見ても大丈夫なのだろうか? そんな風に思案しながら蒼は、現地の病院を訪れた。
もし目撃者……あるいは被害者と言うべきか……がいるとすれば、隔離病棟である可能性が高い。
受付で堂々と質問するのもはばかられる。それに、もしも裏に何ものかの陰謀が動いているのなら、無用に一般人を巻き込みかねない。
ゆえに蒼は、忍び足で患者を探し回った。
潜入の首尾は上々。
そして、ベッドには、1人の患者がいた。上半身を起こし、何処か遠くを見た風な男性。
「く、くねくねぇー……」
こけた頬。憔悴したようなその顔からは、生気を感じられない。
これが、くねくねを目撃した者の末路なのか。
だがその時、蒼は不意に、気配を感じて背後を振り返った。
「安心してくれ。猟兵だ」
やって来たのは、ドアクローザだった。
他の病院を訪ねた所、ここに該当する患者がいる事を突き止めたのだ。
くねくねを恐れるためか、医師の口は堅く、割らせるのには少し手間がかかった。そこでドアクローザは、「親戚が同じような症状だ」と方便を用いる事で、同情を買ったのである。
そしてドアクローザは、ここの担当医から、患者の病状を聞き出していた。しかし、目新しい情報はなかった。むしろなさすぎる感があり、そこが若干怪しくはあったが。
「ああー……くねくねぇー……」
すると患者は、突然両腕を上げたかと思うと、掌を合わせ、全身を揺らし始めた。
くねくね踊り。その滑らかな動きは、何か別の生命体に変貌してしまったかのよう。
意志疎通は無理か。
くねくねの目撃者、そして被害が確認できただけでもよしとすべきか……ドアクローザと蒼が病室を引き上げかけた時だった。
蒼の目に留まるものがあった。床に、何かが落ちている。
「……バッジ、でしょうか……」
「え? あっ」
患者が声をあげた。
蒼と患者の視線が、交錯する。
「……今、普通に、反応しませんでした、か……?」
「そんな事は……はっ」
うっかり。
普通に受け答えしてしまった患者は、慌てて口をつぐんだが、後の祭りである。
「く、くねくね。くーねくね」
再び踊りを始める患者だったが、もはやドアクローザ達の目は、誤魔化しようがない。
「お前……いや貴様、狂人の振りをしているな?」
「くくくくーねくーね」
滝のように汗が流れるというのはこういう事ですか、と蒼は思った。
患者が2人に屈するのに、さして時間はかからなかった。
自分が、とある教団の一員である事。
くねくねの噂の信ぴょう性を高めるため、自分自身が入院患者を装っている事。そして、ここの医者もまたグルであることを。
そこまで聞いた蒼は、核心について問い掛けた。
「……くねくねの、噂を、流して……一体、何を企んで、いるのでしょうか……」
「はっ、言えませんねぇ。『お歪み様』万歳!」
口は堅い。狂信者に説得は通じない。
ドアクローザは、どこかぼんやりとしていた表情を引き締め、眼光を鋭く改めた。
「そうか。なら、力ずくもやむなしか」
「わかりました喋ります」
この役目、この男にとっては荷が重かったようである。
成功
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第2章 冒険
『駅という名の迷宮』
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POW : ひたすら歩き回り、体で道を覚えて目標に近づいていく。
SPD : 警察や駅員、通行人などに道を尋ねつつ、目標を探していく。
WIZ : 地図やアプリを活用しつつ、目標の場所を特定していく。
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各方面から、くねくねの調査が行われた。
田んぼや河原を調査した猟兵達は、そこに現れた怪し気な人物を追跡。たどりついたのは、『歪みの園』という邪神教団の支部だった。
一方、ネットを中心に調べていた猟兵達は、噂の元が『歪みの園』であることを突き止めた。
そして、病院を訪ねた猟兵達も、『歪みの園』のメンバーとの接触に成功。
かくして、謎の一端をつかむ事に成功した猟兵達は、一旦合流。それぞれの情報を共有した。
くねくね踊る何かとは、『歪みの園』が流布した偽の噂だった。
それを聞きつけてやって来る、好奇心の強い人間をさらう事こそが、邪神教団の目的だったのである。
さらわれた人間は、既に、『歪みの園』の本部へと送られた後だという。そして本部があるのは、田舎町から少し離れた、ターミナル駅の地下らしい。
信者達から情報を引き出した猟兵達は、田舎町を離れ、ターミナル駅を訪れていた。
広い。
到着したターミナル駅は想像以上に大きく、行き交う乗客の数も多かった。
複数の路線が乗り入れている上、駅地下、土産屋、立ち食いソバ屋……たび重なる増改築の末、複雑怪奇となった内部は、くねくね、ジグザグ。もはや迷路だ。
このどこかに、『歪みの園』の本部に続く、地下通路が存在するはずだが……ここで、残念な報せがある。
猟兵達が接触した信者達は、あくまで支部のメンバー。いわば末端の構成員に過ぎず、本部への詳しい行き方は知らないという。
ならば、自分の目で隠された通路を見出し、自分の足でたどりつくまで。
さらわれた人間達が、無事で済むはずはない。歪みし教団の魔の手より、人間達を救い出せるのは、猟兵しかいないのだ。
神宮時・蒼
…虚偽。…偽物、だったの、ですか…
…くねくね、ちょっと、気に、なっていました、のに…
…とは言え、嘘は、いけませんね。…本当に、嘘だったら、いい、ですね…
【SPD】
こんな広い駅が、あるのですね。新しく利用する方は、大変ですね…
ともあれ、駅員の方や、よく利用している方にお話を聞いてみましょう
広い駅です。信者だって道を把握していない可能性があります
ので、最近変わった事や、見知らぬ人が頻繁に出入りしている場所が無いか聞いてみましょう
不審がられたら、この駅の何処かに隠し通路があると噂を聞いたので調べていると言い訳を。
見た目だけは幼いので、噂に釣られたと思ってもらえたらいいのですけれど
黒河内・柊夜
怪しい人を追いかけて、たどり着いたはでかい駅。
引き続きヒイラギがお送りいたします。
やっぱり調査は足が大事です。
しかし闇雲に歩き回るのは迷子の元、着眼点は絞っていきましょう。
一点目、「門番」みたいな人を探します。待ち合わせを装って長時間一か所から動かない人とか、ガードマンとか。
そんな人に接触している誰かがいて、どこかへ誘導されていたら怪しさMAXです。
二点目、バッジの紋章っぽいマークがどこかに無いか探します。迷子に目印は大切です。バッジをかざすとドアが開く~みたいになっている可能性がありますから。
僕の視点だけだと気付けないこともあるでしょう、他の猟兵を見かけたら積極的に情報交換しましょうか。
怪しい人を追いかけていたら、何やかんやあって、駅に着いていた黒河内・柊夜である。
くねくねがちょっと気になっていた神宮時・蒼は、落胆を隠せなかった。ちょっぴり。
「……とは言え、嘘は、いけませんね。……本当に、嘘だったら、いい、ですね……」
それから蒼達は、他の猟兵と手分けして、隠し通路の探索に乗り出した。
実際に訪れた駅構内は、やけに広かった。あちこちに矢印や案内が設置されているが、正直、認識しずらさは否めない。
「……新しく利用する方は、大変ですね……」
目的地に行くだけでも一苦労ではないだろうか。
さしあたって、蒼が聞き込み相手に選んだのは、駅員だ。最近何か変わった事はないか。人が妙に頻繁に出入りしている場所はないか、尋ねてみる。
何せ、こうも広く複雑な駅だ。本部の存在を知る信者すら、道を正確に把握していない可能性があるのではと、蒼は考えたのだ。
が、蒼の問いを受けた駅員の眼差しには、怪訝さが混じっていた。
まさか『歪みの園』のメンバー? 一瞬疑った蒼だったが、確かにこんな質問をする一般人はあまりいないかもしれない。
そこで蒼は答えた。この駅の何処かに隠し通路があるという噂を聞いたのだと。
すると駅員は、納得したように、「ああ……」とうなずいた。
「ここから少し行ったところの町でも、くねくねだったかの噂が流れてますよね。でも、当駅にはそんな隠し通路なんてありませんよ。あってもおかしくない構造ですけどね」
駅地下のテナントとかも、結構入れ替わりが激しかったりしますからね、と駅員は続けた。
「でも、半年くらい前に入ったお店だったかな、あそこは意外と長続きしてる気がするな。あんまり流行りそうにないのに、人は結構入ってて」
直感を得た蒼は、駅員に礼を述べると、その店へ行ってみる事にした。
そして、調査は引き続き、ヒイラギにお任せ。
調査の要は、やはり足。とは言え、迷路めいたこの駅を、闇雲に歩き回るのは迷子の元。新たな都市伝説『迷子のヒイラギくん』の誕生は避けたい。
そこでヒイラギは、着眼点を絞る事にした。
すれ違う人々、駅員、店員……その中から、ヒイラギは、警備員や長時間待ち人をしているような利用客に注目した。
民間人を装った『歪みの園』のメンバーが、本部の『門番』を務めている可能性があるからだ。
そうして数人に目星をつけたヒイラギのもう1つの着眼点は、その懐にある。
例のくねくねバッジだ。『歪みの園』の信者の証。今思えば、調査中に現れた怪しい2人組は、落としたバッジを探していたのだろう。
バッジの紋章めいたマークが、どこかにないかと、視線を巡らせるヒイラギ。
このバッジ自体、何らかの機能を持っている可能性がある。たとえば、バッジを認証させる事でしか開かないドア、とか。あるある、というか、ロマン、というか。
しばらく構内を探索したヒイラギは、ちょうどすれ違った蒼と、進捗を確認し合った。
「なるほど。その店を『歪みの園』が隠れ蓑にしているかもしれませんね」
そう判断したヒイラギは、蒼に同行した。
たどりついたのは、健康食品や、健康グッズばかりを扱うショップだった。
「いらっしゃいませ~。どうですかこの健康ジグザグ棒! これを一日30分振るだけで体が柔らかくなって健康間違いなしですよ!」
ジグザグ棒……確かに流行らないような気もする。
「どうです?」
「……試して、みましょう……」
蒼が店員の相手をして、時間稼ぎをしている間に、ヒイラギが店内を調べる。
そしてバックヤードへの扉に、それはあった。そう、くねくねマークである。
その時、店員がヒイラギの動向に気づいた。
だが、ヒイラギは冷静だった。すっ、と無言でバッジを見せ、蒼にも視線を送る。
「…………」
こくり。
『事情』を勝手に理解した店員……おそらく教団員であろう……は、黙って頷き、2人を扉の向こう、地下へと送り出す。
話が早くて助かった。
成功
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ヒバゴン・シルバーバック
アドリブアレンジ絡み可。使用はPOW
「これよりマッピングを行うでウホ」
ヒバゴンはそう言うと早速UCで分身を呼び出した。一人より二人のほうが効率的だし何より怪しい集団の根城に近づくのは危険だ。本体は安全な場所から、分身を通して駅構内を調べていく。
「支部が見つかったときはゾゾーってしたでウホが、こっちもなんだか嫌な空気ウホ…」
雑な増改築で歪んだ内部は店があるならまだいいが、人が少ない方ヘ行くと途端に街中の駅という感じがしなくなっていく。
「広く浅く調べて皆が奥に行くのを待つウホ、こういう時、変人が出るだけと油断して一人になるとお化けに会うウホ」
ヒバゴンは油断なく周囲を警戒しながらマッピングを続けた。
清川・シャル
ほら、くねくねなんて居ないんです
でも名前を騙っただけでも絶許です
…歪みの園…ねえ…
名前からして胡散臭い
そもそもアプリとか有効なんでしょうか?
とりあえずのマップをスマホで情報収集、ハッキングで手に入れられたら。
あわよくば教団のデータとか
私はSNSの可能性を信じる…
あとはマッピングして行きましょうね
視力、地形の利用、第六感とか
何か見つけたら忍び足で追跡
構成員なんかに会ってしまったら、コミュ力、礼儀作用、言いくるめ
上手く情報聞き出せないかな
最終手段、身が危険とか思ったら、迷い込んだ子供ぶりましょう
迷って困ってるんです、本部に居るはずの教団のパパママに会いたい…
まぁ隙を見て逃げ足で逃げますけどね!
「ほら、くねくねなんて居ないんです」
いばりっ。清川・シャルは胸を張った。
「でも名前を騙っただけでも絶許です」
絶許認定された。
だいたい、『歪みの園』なんて名前からして胡散臭い。ろくな奴ではない。許すまじ。
「では、ヒバゴンはこれよりマッピングを行うでウホ」
ヒバゴン・シルバーバックは宣言した。
ユーベルコードの能力で呼び出されたのは、ヒバゴンの分身。理由は単純である。1人より2人の方が効率的なのは、明白。
そして最大の理由は、怪しい集団の根城に近づくのは、危険だからだ。
ゆえに、ヒバゴン本体は安全な場所に身を置き、分身を通して駅構内を調べていく作戦である。
ある意味損な役回りを押し付け……もとい、重要な任務を託された分身は、駅構内の探索を開始した。心なしか抗議の色が顔に浮かんでいた気もするが、ヒバゴン本体の罪悪感が見せた錯覚かもしれない。
一方のシャルは、スマホで駅の情報を検索。マップを閲覧。更に、ハッキングで公開されていないデータの入手を試みた。
「私はSNSの可能性を信じる……」
信じた甲斐があった。
公開されている駅構内見取り図と、ハッキング見取り図を照らし合わせたところ、謎の空間がある事が判明したのだ。
どちらかのデータが古い可能性もあるが、何にしても怪しいので調べる価値はありそうだ。
後は、その空間がどこに実在するかの確認だ。
シャルは、マッピングを開始した。視力、地形の利用、第六感……技能を駆使して、構内を歩きまわる。
さてこちらは、ヒバゴン本体。
「支部が見つかったときはゾゾーってしたでウホが、こっちもなんだか嫌な空気ウホ……」
行き交う乗客・利用客は、ごく普通の人間。だが、雑然とした雰囲気の中に、うすら寒いものがちらりのぞく瞬間がある……気がする。
雑な増改築で、出来の悪い迷路の如く、歪んだ駅構内。ひとたび人が少ない方へ足を向ければ、途端に活気が薄れ、非日常がちらりと顔をのぞかせてくるよう。
「広く浅く調べて、皆が奥に行くのを待つウホ、こういう時、変人が出るだけと油断して一人になるとお化けに会うウホ」
他の猟兵が遭遇したという偽くねくね。あれは幸か不幸か人間だったが、邪神教団が絡んでいるとなると、リアルにヤバいものが出てくるかもしれない。
周囲への警戒だけは怠らず。ヒバゴン分身に探索を任せ、ヒバゴン本体はマッピングを継続する。
地下への秘密の入り口が、一か所であるという保証はない。
どれか1つでも見つけられれば御の字です、とシャルは意気込む。
「この辺りのはずですけど」
マップ上では、謎空間があるはずの場所。
コインロッカーの奥まで来たシャルは、怪しい人の気配を感じ、物影に身を隠した。子ども力発揮。
怪しい人……びしっとスーツで決めた二十代女性は、辺りをきょろきょろと見回すと、バッグから何かを取り出した。
(「例のバッジですね」)
あのくねくね柄の奴だ。女性が持つには、センスが少々アレだ。
間違いない。教団関係者だ。シャル、的中である。
アレなバッジをかざすなり、壁が開き、女性が中に入っていく。その間、わずか数秒。忍者か。
とっさに後を追おうとするシャル。だが、壁が閉じる方が早い。そしてシャルは忍者ではない。
「間に合いません……?」
がこん。
閉じる直前。壁を押さえたものがいた。
ヒバゴン2Pカラー……もとい分身が、割って入ったのだ。ヒバゴンもマッピングによって。この場所を突き止めていたのである。
「凄いです! 助かりました!」
これ以上ないタイミングでの救世主登場に、シャルが目を輝かせてお礼を言った。
さっそく壁の中に入り、階段を下っていく。
が、ふとシャルは足を止め、
「……行かないのです?」
振り返ると、ヒバゴン分身は、なぜかその場にたたずんだまま。
浮かない顔をしている。それどころか、体を小刻みに振るわせている。
そしてヒバゴン本体は。
「これは……うっかり早めに見つけてしまったウホ……」
ゾゾーってしてた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドアクローザ・バックチェック
やつらの本部が地下にあることは確からしい。
ならば、地下に降りて聞き込みだ。
本部メンバーの目撃情報を辿ろう。
本部自体は人目につかない所にあるとしても、そこへ向かう際に主要な通路を通っている可能性は十分にあるからな。
駅地下のお店の人などに話を聞いてみよう。
やつらの特徴と言えば、そうだな……。
患者のフリをしている時でさえバッジをつけていたくらいだし、本部の連中も常にバッジをつけているんじゃないだろうか。
病院で信者が落としたバッジでも見せて、同じようなものをつけた連中を見かけなかったか聞いていこう。
目撃者に、やつらの行く方向を教えてもらって、それを辿れば、いずれ怪しげな所が見つかる、気がする。
黒木・摩那
この駅のどこかに『歪みの園』の本部への入り口があるわけね。
何とか見つけ出さないと。
駅に教団本部があるということは、駅員の誰かが教団員と考えられます。
その方が出入りの際にも都合が良いでしょうし。
まずは駅内の教団員を探します。
UC【影の追跡者の召喚】で適当な駅員を追うことで、
駅員達の日々のお仕事や人となりを把握します【情報収集】。
教団のバッジを付けているとか、くねくね踊ってるとか、
素振りが怪しい駅員を探り当てたら、後は本部へ行くまで
じっくりと追跡します。
本部もくねくねなのかな、やっぱり。
ノイ・グランガイオス
「うえ~…ターゲットはこのどっかって…広すぎへん?」
まあ、邪教カルト団体の本拠地がそんな分かりやすいわけもないけど…
「でも、こんな人通り多いとこに誘拐犯の本拠地て、
誰も見てへんわけないわな?」
銀河皇帝やグリモア猟兵でもなし、UDCアースでワープが実用化された話は
聞かんもんねえ?
【コミュ力】と【情報収集】を活かして
駅員さんとか地下街の店員さんとかに当たってみるわ。
広さのわりに全然使われてないスペースがないか?
最近、大きなオブジェや箱を運んでるのを見てないか?
『歪みの園』とか言う単語に聞き覚えないか?
聞き込みで場所が分かればよし
敵の警戒網にかかって向こうから釣れてもオッケーやね。
「うえ~……ターゲットはこのどっかって……広すぎへん?」
ノイ・グランガイオスは、げんなりした。先ほどの田舎町とは180度変わった、現代感半端ない景色と、その広さに。
相手は邪神教団。本拠地が、看板ぶら下げて待っていてくれるはずもない。
注意深く、黒木・摩那も、駅構内を見回した。
複雑怪奇である。
「けれど、この駅のどこかに『歪みの園』の本部への入り口があるわけね」
駅の地下に教団本部があるということは、駅員にも教団員が混じっているのだろうと、摩那は考えた。
関係者の誰にも知られず、構内を改造する事は不可能なはず。何より、駅員に関係者がいれば、出入りや物資の運搬などの際にも都合がいいはずだ。
というわけで、摩那は、駅員チェックを開始した。
『歪みの園』の本部が、地下にあることは確からしい。
ならば、聞き込みを行う場所も、おのずと絞られて来る。ドアクローザ・バックチェックは、駅地下へと足を向けた。
ドアクローザが探すのは、隠し通路そのものの在処ではない。本部メンバーの目撃情報だ。
本部自体は人目につかない所にあるとしても、そこへ向かう際、主要な通路を通っている可能性は、十分に考えられる。
「こんな人通り多いとこに誘拐犯の本拠地て、誰も見てへんわけないわな?」
同じく、地下街を行くノイの言うとおりである。
かの銀河皇帝や、グリモア猟兵でもなし。UDCアースでワープが実用化されたなんてニュースは、とんと聞いた事がない。
オブリビオンならともかく、信者はあくまで人間。
ノイは、溢れるコミュ力と情報収集能力を生かし、周囲の人々に当たってみることにした。
ドアクローザも、駅地下の店員に聞き込みを行う。
『歪みの園』の信者の特徴といえば、くねくね、そしてバッジだ。アイデンティティとして欠かせないものなのだろう。患者役をしていたメンバーも所持していたくらいだ。まして、本部のメンバーが携帯していないとは考えづらい。
幸い、ドアクローザの手元には、バッジの実物がある。それを見せつつ、同じようなものをつけた連中を見かけなかったか、尋ねていく。
その頃、地上階では。
適当な駅員に目星を付けた摩那は、足元から影を走らせた。ユーベルコード【影の追跡者の召喚】。
相手に気づかれぬよう、日々の業務や、その人となりに関して情報を収集するのだ。
他の猟兵も着目しているように、教団員にとっては、例のバッジはかなり重要なもののようだ。とは言え、さすがにそれを付けたまま業務している事はないようだ。
目を付けた駅員が、利用客とぶつかりそうになった時だった。
「失礼いたします」
にゅるっ。
華麗なムーブで衝突を避けた駅員だったが、その挙動が滑らかだった。不自然なまでに。
相手を避けるのに、腕を挙げてにゅるにゅるする必要はない。いや、にゅるにゅるではない。
「あれは、くねくね……」
摩那が閲覧した動画のものと同じ挙動が感じられた。
怪しい。これは、追跡調査が必要だ。
やがて、休憩時間が来たようだ。他の駅員に業務引き継ぎを終えたくねくね駅員が向かったのは……。
「ここね」
健康グッズを扱うショップだった。
ジグザグ健康法をうたっており、様々な器具を使って体を柔らかくする事で健康になろう、というコンセプトのようだ。
「?」
だが、摩那がわずかに目を離したすきに、先ほどの駅員の姿はなくなっていた。
おかしい。他の場所に行ってしまったのだろうか?
そう簡単にはいかないか。ドアクローザは思う。
意識して注目している自分達ならいざ知らず。すれ違う程度の相手の小さなバッジなど、気にかけないものだ。普通は。
しかし、根気強く聞き込みを続けたドアクローザは、2人組の店員から有力な情報を得ることに成功した。
「そういえば、うちによく来るお客さんにも、それっぽいのを付けてる人がいますね」
やはり調査は足が大事か。
その客が決まって行く方向を教えてもらったドアクローザは、さっそくそちらを辿り始めた。
ドアクローザがバッジの線を追う中、ノイは、別の確度から聞き込んでいた。
広さの割に、全く使われていないスペースがないか?
最近、大きなオブジェや箱を運んでいるのを見ていないか?
そして、『歪みの園』とか言う単語に聞き覚えはないか? ……直球である。
とはいえ、とんとん拍子に進むとは限らない。あまり長引きそうなら何か買って腹ごしらえでもしよか……とノイが考えた矢先だった。
「ああ、聞いた事ありますよ、その名前」
駅員さんが、朗らかに答えた。
どこかに連絡を取ると、ノイを促す。
「では、こちらについてきてください」
ノイが大人しくついていくと、そこは健康グッズなどを取り扱うショップだった。
体を柔らかくする、うねり養成パッド……いいお値段のするものばかりだ。
「お?」
「おや」
そこに先客がいた。摩那だ。これはビンゴの予感……。
すると、店員さんが2人ほど現れた。
「『歪みの園』について嗅ぎまわってるってのはお前か」
どうやら、この駅員さんは、グルだったらしい。
だが、ノイにとっては渡りに船、思うつぼである。
「何を笑ってる」
「いや、そっちから連れてってくれるとはな?」
ちょうどそこへやってきたのは、ドアクローザだった。
「どうやらビンゴだったらしいな」
ノイと摩那、2人もの猟兵の姿に、ドアクローザは、状況を察した。
2人に協力して、信者達を反対に捕まえると、本部施設へ案内してもらう事にしたのである。
ドアクローザのバッジが、扉を開く。
「さて、いよいよ黒幕の元にたどり着くか」
地下へと降りていく、ドアクローザ達。
教団の陰謀を暴く時は、近い。
「本部もくねくねなのかな」
摩那は思った。
成功
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第3章 ボス戦
『狂ったカガク者あるいは探究者』
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POW : 研究の副産物
自身の身体部位ひとつを【蠢くナニか】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : ビビットケミカルズ
【蛍光色の薬品が入った試験管】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【にぶちまけられ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 薬品大乱舞パーティー
自身が装備する【劇薬や毒物の入ったフラスコ】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑11
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複数のルートから、地下へと潜入した猟兵達。
螺旋階段に始まり、くねくねの通路を進んでいく。
そして、一行が合流したのは、地下儀式場めいたホールであった。
信者達が集まり、今まさに邪神復活の儀式の最中。
祭壇の前には、はりつけにされた人間達が並べられている。くねくねの噂によって誘い出され、まんまとさらわれてしまった被害者達。くねくね踊りのポーズのまま、固定されている。
「邪神様、『お歪み様』! お望み通り好奇心に満ちたイケニエを捧げます! ねじれの彼方より我らが元へと来られませい!」
これはいけない。
猟兵達は囚われのいけにえ達の元に駆け付け、それらを解放した。
「おのれ! 邪魔をしてくれたな!」
「儀式は失敗だ……!」
体をくねくねと揺らし、うちひしがれる信者達。
その直後だった。祭壇より闇の力の螺旋が立ち上ったのは。
闇色の二重くねくねの中から、負の念をまとった何ものかが出現する。不完全ながら、邪神は復活したのだ。
「おお、『お歪み様
』……!」
「そんな名前で呼ぶんじゃねぇ、バァカ!」
巨大な闇の力を伴ってこの地に降り立ったのは……子どもだった。男の子とも、女の子ともつかぬ体と声。
とても邪神とは思えぬ風貌だ。何より、くねくねしていない。
「失敗しやがってクソが。好奇心の強い人間をイケニエにしたらどうなるか試す予定が台無しだ」
「ももも、申し訳ございません、どうか命だけは……」
命乞いする信者を、しかし邪神は、鼻で笑い飛ばした。
「殺すかバァカ。それより命乞いする顔する顔をもっと近くで見せてくれよ、なあ」
ニマァ、と意地の悪い笑みをのぞかせる邪神。
なるほど理解した。
確かに、歪んでいる。性格が。
その口調が荒いのも、全ては不完全召喚だからであろうか……?
そして邪神は、猟兵達の存在を認識すると、
「今の力がどの程度か、テメエらで実験だ。いいデータが取れるよう、せいぜい頑張ってくれよ?」
にゅるり。邪神の右腕が変質した。あたかも蛇のように。
なんだ、やっぱりくねくねだ。猟兵達はそう思った。
ならばこれを倒せば、まっすぐ、ハッピーエンド行きである。
黒河内・柊夜
ふむ、知性ある敵ならば我が格好の獲物よ。真っ先に『言葉司りし堕天使の罠』を発動しておくとするか。
堕天使の刃に焼かれし者は瞳に闇を映すのみ。生まれし隙に我が剣の一撃を喰らわせてやろうではないか!
ハハハハハ!片羽の歪みし邪なる神よ!我らが力で闇へと葬り去ってやろうではないか!
汝不完全なる者なれば、天の恵みに祝福される事すら叶わぬだろう!むしろさせぬわ!
……とまあ、剣を交えつつ幾らか煽れば十分であろうな。
先ずは防御に力を割き、後にて確実に傷を与えてゆくのが我が戦いよ。反撃などの技能も身に着けた故な。
そして我が存在感は奴の意識を釘付けにすること違いない。同胞達にもその機会を逃さぬようしてもらわねばな!
ヒバゴン・シルバーバック
アドリブアレンジ絡み可能使用はPOW
「ウホォーー!見た目が怖くないならなんともないウホー!」
うっかり先行してしまい内心ヤバイと焦っていたヒバゴンだったが、現れた不完全な邪神の姿に威勢を良くした。
「お化けじゃないならこっちのもんだウホ!こんなときはふたぷーウホ!」
UCを発動し再び分身を呼び出し二人掛かりで挑みかかるヒバゴンズ。身代わりにされがちな日頃の鬱憤を晴らそうと分身も心なしかやる気に見える。
「モンスターに変身したって無駄ウホ!ヒバゴンたちは怪物退治の専門家ウホ!」
でもお化けは怖い。
「だから大人しくやられ、あれ?」
それと相手は不完全な復活とはいえ邪神である。思ったより強敵だ、頑張れヒバゴン!
ヒバゴン・シルバーバックは、遂に降臨した邪神にも、臆する事はなかった。
何せ相手は、ちんまい子ども。
「ウホォーー! 見た目が怖くないならなんともないウホー!」
うっかり先行してしまい内心ヤバイと焦っていたヒバゴンだったが、不完全な邪神の姿を目の当たりにしてからというもの、威勢が良い。
「外見で物事を判断するとは、バァカめ。アハハ!」
うおおーとテンション爆上げにかかるヒバゴンを見下す邪神。
その哄笑が、不意に、二重奏になった。
デュエット相手はヒイラギ……黒河内・柊夜である。満を持して眼鏡を取り去る時が来たのだ!
「ハハハハハ! 片羽の歪みし邪なる神よ! 我らが力で闇の彼方へと葬り去ってやろうではないか!」
「そうだウホ! お化けじゃないならこっちのもんだウホ! こんなときはふたぷーウホ!」
都市伝説にビビりまくっていた事実をなかった事にするように、勇ましく突撃するヒバゴン。その姿が、2つになった。再びの分身参上。
2人掛かりで、挑みかかるヒバゴンズ。どちらもやる気だが、分身の方が若干上回っているようだ。
何かと身代わりにされがちな日頃の鬱憤を、邪神相手に晴らそうというのか。
「そんな頭の悪い攻撃でボクに抗おうって? バァカどもめ!」
邪神は片腕の蛇を、更に強化。ぬるり、と脱皮することで大蛇の頭部に変えると、ヒバゴンズの捕食にかかった。
「供物となれェ!」
腕自体が伸び、ホール内を暴れ回る。変幻自在の大蛇によって、くねくねのオブジェが食いちぎられ、なぎ倒されていく。
なお、信者達はとっくに逃げている。要領いいではないか邪教の徒どもめ……と柊夜は、心の片隅で称賛した。
「そんなモンスターに変身したって無駄ウホ! こう見えてヒバゴンたちは怪物退治の専門家ウホ!」
でもお化けは怖い。
それと相手は、不完全とはいえ邪神である。
「さあ大人しくやられ……あれ?」
がぶり。
ヒバゴン分身の頭に、大蛇がかぶりついていた。その巨体を持ち上げ、右に左に振り回し、床へと叩きつける。ビターン、と。
「分身、頑張るウホー!」
思ったより強敵だ、頑張れヒバゴンズ!
柊夜とて、敵のビターン攻撃を指をくわえて見ていたわけではない。
知性ある敵ならば我が格好の獲物よ……! 柊夜は、邪神が余裕のうちに、『仕込み』にかかった。
「汝不完全なる者なれば、天の恵みに祝福される事すら叶わぬだろう! むしろさせぬわ!」
「不完全、だって?」
ぴくん。邪神の片眉が跳ねあがった。
剣で切りかかって来る柊夜をかわして後退すると、邪神は白衣の下からフラスコをばら撒いた。
中の液体の色がえぐい。ヒバゴンも震える。
だから柊夜は、あえて中身がこぼれ出ぬよう、弾き飛ばすにとどめた。
「かくもくねくね歪んでいては、真理の高みに到達することなど不可能!」
「ボクが不完全なのは、バァカ信者共とテメエらのせいであって、ボクの過失はゼロ! むしろ責任を取って滅びろムシケラ!」
柊夜の挑発に、邪神が真正面から反応した。煽り耐性もゼロのようである。
それこそ柊夜の狙いである。
神らしからぬ苛立ちを得た邪神に呼応して、柊夜の背後に影が降臨した。
堕天使をかたどったシルエットは、ただの二次元存在にあらず。
放たれしは、漆黒の刃。命刻む裁きにして、邪神の視覚を奪う、闇色のヴェール。
「くっ、視界が……! どこだ!」
邪神が、闇を払おうと手を振るう。
柊夜の目的は、自らに相手の意識を縫いとめる事。
「堕天使の刃に焼かれし者は瞳に闇を映すのみ。さあ同朋よ、堕ちた天の与えしこの好機に、神殺しの一撃を!」
柊夜に、ヒバゴンズが応えた。
「ウホォーー!」
「ウホォーー!」
ウホ共鳴。
2人のヒバゴンによる、左右からの挟み撃ち。タイミングに寸分狂いはない。
同時に2つの拳が、邪神の小柄を痛打した。
心なしか、分身のパンチ力の方が若干高かったような気がする。ストレス発散……!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神宮時・蒼
…落胆。…くねくね、偽物、でしたか…
…いや、本物が、いるとは、思って、いませんでしたが
…そのおてて、落として、しまい、ましょう、か
もうちょっと、まともな研究は、なかったんでしょうか…
蛍光色とか、身体に悪い前提じゃないですか。投げ付けられたら【属性攻撃】の風で吹き戻すか、【なぎ払い】で当たる前に叩き落します
劇薬や毒物は、それぞれ【激痛耐性】【毒耐性】があるので当たってもけろり。
いや、さすがに色とか匂いとかはちょっとだけ気にはなりますが
【2回攻撃】で蠢くナニかを全部切り裂いてしまいましょう。
…だますの、なら、最後まで、やり通す、べき、でした、ね。
ノイ・グランガイオス
連携・アドリブ歓迎 大阪弁です
なんや、どんなくねくね邪神がお出ましかと思ったら
ちょーっと調子乗ったおガキ様やないの。
っと、あんなんでもオブリビオンやし見た目で油断は禁物やな。
危ない危ない
地下とはいえある程度広さはあるみたいやし、射撃戦主体で行こか。
HMカスタムでブースター装着してスペースを最大限利用
2丁のブラスターと使えるならグラン・アイも併用して
高速移動しながらの射撃戦。仲間の援護射撃とかもええね。
敵がデカい隙を見せた好機にはダッシュで突っ込んで
熱エネルギー入りのキックを叩き込んだる!
「グラン・キィィック!」
参戦するなり、ブラスターで邪神を牽制するノイ・グランガイオス。
「なんや、どんなくねくね邪神がお出ましかと思ったら、ちょーっと調子乗ったおガキ様やないの」
へっ、と笑いをこぼしたノイへの返答は、試験管の形をしていた。
「この薬で、お前もくねくねにしてやろうか?」
慣れた手つきで空中に投じられたそれは、ひゅひゅん、と弧を描いて、ノイに迫る。
「っと、こんなんでもオブリビオンやし見た目で油断は禁物やな。危ない危ない」
軽いステップのみで、試験管をかわすノイ。
この儀式場は、それなりに広い。信者を収容するためか、邪神を本来の姿でお迎えするためか。
いずれにせよ、ノイにとっては戦術の選択肢が増える。好都合だ。
「許しを請うなら今のうちだ。骨になってからじゃ遅いからな」
神宮時・蒼が、傲慢な笑みをたたえた邪神を見て……肩を落としていた。
「……落胆。……くねくね、偽物、でしたか……」
蒼の感想に、憤慨する邪神。
「何だその悲嘆! ボクは邪神だぞ?」
「……でも、くねくねじゃ、ない、です……いや、本物が、いるとは、思って、いませ んでしたが。……そのおてて、落として、しまい、ましょう、か」
「っしゃあ! ブースター装着! 高機動モードでいくで!」
蒼の背後から跳び上がったノイに、ユーベルコードで転移してきた大出力ブースターがドッキング。
「頭の悪そうな武装だ、ボクならもっと小型化できる!」
「ああん? 何か言ったか『お歪み様』?」
「その名で呼ぶなァー!」
互いの口の悪さと互いのユーベルコードが、ぶつかり合った。
自壊した試験管が不健康な色彩をばら撒き、ブースターの排気が周囲の空気を歪ませる。
虚空を舞う試験管をかいくぐり、ノイの二丁のブラスターが火を噴く。
「もうちょっと、まともな研究は、なかったんでしょうか……」
ノイの援護攻撃もあり、試験管乱舞を避けながら、蒼は思った。蛍光色とか、もはや身体に悪い前提ではないか。
うかつに破砕して中身を浴びるのはよろしくない。
風を呼び、あるいはなぎ払い。蒼は、安全な距離を安全なだけ保ちつつ、試験管に対処していく。
視界が開けたら、陣術を発動。月光ノ吹雪で、邪神本体を包み込む。
「なら、これで焼け爛れろっ!」
白吹雪の洗礼を浴びた邪神の次なる手は、フラスコだった。
「いや、ほぼほぼ二度ネタやん!」
これも悠々とかわしていくノイ達……のはずだったが。
「お前達の癖、行動パターンは把握してんだよォ!」
邪神の念動力の精度が上がっていた。
蒼の防御を突破し、激突するフラスコ。中身は毒物に劇薬。普通の化学物質ならいざしらず、邪神によって生成されたそれを受けて、無事で済むはずが……。
「何ッ!?」
邪神が狼狽した。
蒼はけろりとしている。耐性の賜物だ。さすがに色や匂いは、少々気にはなるが、裏を返せば、実害はないという事。
そして蒼は、茉莉花の花と蔦が絡む刃を振るった。
一度目で、下段から切り上げ、相手のガードを崩したところで、本命の二撃目。
「ちぃっ、できそこないの体じゃ!」
「……だますの、なら、最後まで、やり通す、べき、でした、ね」
蒼が、横方向に床を蹴った。
ノイが衝撃波の環を伴い、ブースターの加速で一気に飛び込んできていたからだ。
空中で態勢を整え、今、必殺の、
「グラン・キィィック!」
邪神の体が、白い輪を二度生んで壁に叩きつけられた。
「ぐはぁっ……!」
「どやあ」
これぞ、ザ・どや顔であった。
そして邪神の体は、勢い余ってバウンド。宙に浮いた先に、蒼が待ち構えていた。
標的は、向こうから接近してきてくれる。ゆえに、蒼のなすべきは、目的の部位に武器を命中させる事のみ。
一閃。
「……これで、どう、です……」
蒼の一振りが、邪神の右腕を斬り飛ばした。くねくねの、右腕を。
成功
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ドアクローザ・バックチェック
人さらいに生贄、すべては邪神の指示か。
悪逆非道は見過ごせない。悪の根はここで断ち切る。
さて、
いつもならまっすぐ行って、くねくねの手もろとも叩き切るところだが……。
謎の薬品、触れるのはまずい気がする。
薬品を避けられるよう、距離を取って戦った方が良さそうだな。
では、ブレイドエンジンを起動しよう。
いい的にならぬよう間合いを取りつつ、エンジンを吹かして【力溜め】だ。
十分に太刀が温まったら、邪神の周囲をぐるりと高速移動。やつの周囲にいくつかの【残像】を生み出す。
周囲のどこかから来ると思わせておいて、本命は「上だ!」
奴の頭上から渾身の刃風を食らわせてやろう。
黒木・摩那
外見こそ普通の人間だけど、やっぱり邪神なのね。
人を実験材料としか見てないとか、まさにマッドというにふさわしいわ。
そのひねくれた精神を叩きのばしてあげます。
UC【偃月招雷】をルーンソードに下ろして帯電【属性攻撃】【破魔】。
攻撃力を上げて、切りに行きます。
相手からの薬品攻撃は【念動力】で抑えます。
薬品の瓶さえ割れなければ、薬品なんて怖くないですからね。
さぁ、お歪み様はあっちの世界に戻りなさい!
清川・シャル
真の姿は鬼神なんですけどね
なんかちょっと変化しますよ
あー!やだぁくねくね!
その動きほんと嫌!
とりあえず砲撃ですよ。
ぐーちゃん行けー!
くねくねが来たら、零距離射撃か、桜雅乱舞で殴ってそのまま氷魔法で氷柱射出するか、Soul VANISHでパイルバンカーどーんしますね
あとは連撃の繋ぎは、修羅櫻でめった切り…って気持ち…
なんか足りない気がするので、そっと携えていた金棒、そーちゃんでそぉい!UCです
どうですか!これでくねくねも居なくなりました!?
敵攻撃には見切りカウンターで対応したい
何かあれば第六感でいい感じになんとかしましょう
「人さらいに生贄、すべてはこの邪神の指示か」
ドアクローザ・バックチェックが、諸悪の根源を睨んだ。
不完全であろうとも、満身創痍であろうとも、邪神は邪神。たまたま子どもの形をして、猟兵に追い詰められているだけに過ぎない。
その証拠に、黒木・摩那は、敵の小柄からにじみ出る瘴気と、邪悪さを感じ取っていた。
「しかも、人を実験材料としか見てないとか、まさにマッドというにふさわしいわ」
狂気に満ちた双眸をみやり、そう評する摩那。
しかし、邪神にとっては、むしろ称賛に等しいらしい。
「冷静でいられるのも今だけさ。すぐにお前達も正気でいられなくなるんだからな!」
「また子どものような事を。そのひねくれた精神を叩きのばしてあげます」
摩那が、虎の子のルーンソードを抜いた。片腕を失った相手とはいえ、油断してはいけない。
破壊しちゃっていいんですね? と清川・シャルは、変化を始めた。荒ぶる鬼の神へと。
頭の双角が伸び、蒼の瞳が赤く輝く。
「こけおどしだな!」
「失礼な! 真の姿ですよ! 腕を蛇にする方がよっぽどこけおどしです。くねくねキモいし!」
「なっ、歪みの象徴だぞ!」
「あーもーキモいですー」
言いあう邪神とシャル。
「ともあれ、悪逆非道は見過ごせない。悪の根はここで断ち切る」
今こそ畳みかける時。ドアクローザが、敵に仕掛けた。
摩那も斬りかかる。
ウロボロス起動……励起。
昇圧、集束を確認……帯電完了。
ルーンソードが帯電する。更に、属性攻撃と破魔の力を刀身に宿す。対邪神用に、ありったけの攻撃力を注ぎ、くねくねオブジェの残骸を蹴って邪神に向かった。
「どんどん来るがいいさ、こっちは一歩も動く必要がない!」
対する邪神は、フラスコの群れを召喚した。複雑な軌道を自在に操作するあたりは、さすが理系邪神というところか。
ドアクローザも、いつもなら正面突破、迷わず叩き切るところだが。
「謎の薬品、触れるのはまずい気がする」
「いいぞ、ビビれ、おののけ! 恐怖の味は格別だ」
飛び交うフラスコ。1つ1つが異なる軌道と速度で、猟兵達を狙う。
ドアクローザは距離を取ると、機械太刀に搭載された、ブレイドエンジンを起動。
「邪魔だろ? その剣で切れば? 綺麗な顔がドロドロになるけどな!」
いやらしい笑みをこぼす敵にドン引きしながらも、フラスコをかいくぐるシャル。 何処から攻撃が来ようとも、実戦経験と第六感、二段構えで対応。
こちらもフラスコを回避しながら、間合いを測るドアクローザ。その間にも、ブレイドエンジンは吹かされ、蓄積される力が、解放の時を待つ。
「ハハッ、逃げろ、踊れ!」
「全く、よく喋る邪神もいたものね」
はあ、と摩那が溜め息をついた瞬間だった。
不意に、フラスコが空中で停止した。摩那の念動力による干渉だ。
内部の薬品に触れなければどうという事はない。ならば割らず、近寄らせず。
「よーし、ぐーちゃん行けー!」
シャルが火力を披露した。
ピンク色(しかもイケてる)の12連装式グレランと30弾アサルトが、火を噴いた。
ターゲットが停止している今ならば、命中させるのは容易い。距離さえ保っていれば、溢れる薬剤も脅威ではない。
冷静に対処され、みるみる邪神の表情が歪んでいく。
「クソが! ならこれで、お前達の嫌悪感をかきたててやる!」
変化し始めた邪神の左腕を見て、シャルの全身に怖気が走った。
「あー! やだぁくねくね!」
ホントやめてほしい。
しゃッ、と虚空を翔ける蛇腕の狙いは、シャル。仕方ないので、桜色のメリケンサックで打撃した。蛇腕を殴り返すたび、衝撃が桜吹雪となって舞い散る。
そのまま、伸びた腕をたどって邪神に接近すると、袖の下からパイルバンカーを撃ち出す。
「ぐはっ!」
邪神の体をえぐる。シャルの連撃は止まらず、今度は二刀を振るって敵に反撃の隙を与えない。まさに鬼神の如し。
邪神の間合いが制圧された機に乗じて、ドアクローザも攻めに転じた。既にブレイドエンジンは十分に温まっている。
シャルとやりあう邪神の周囲を、ぐるりと高速移動。2つ、3つ……次第に、ドアクローザの『数』が増えていく。
「残像? そんな古典的な技でボクの判断力を乱せるとでも? バァカめ!」
嗤う邪神。そして、顔を上げ、
「上だろ?」
見切られた。
だが、邪神にはいくつかの誤算があった。
残像を見破る事ができたとしても、対応できるとは限らない事。
そして、残像の主が、ドアクローザであるという事。その技と身のこなし、今の不完全な邪神にかわせるものではない。
「!?!?」
渾身の刃風が、邪神の全身を切り裂いた。
よろめく邪神へと、摩那が斬撃を浴びせる。剣が閃くたび、サイキックエナジーの輝きが尾を描く。
必死に蛇腕で防ごうとするが、鱗は既にボロボロ、摩那の技量も相まって、満足に盾の役目を果たせていない。
「クソが
……!!」
「なんか足りない気がしますね」
足りないのは、相手へのダメ押しか、それとも戦いの満足感か。
シャルは、そっと携えていた金棒『そーちゃん』を振るった。
どごぉん!!!
単純で重い一撃が、邪神を叩き潰した。
衝撃がクレーターを生む。周囲のオブジェはおろか、祭壇も原型をとどめていない。
「どうですか! これでくねくねも居なくなりました!?」
灰塵舞い散る中、シャルが金棒を肩に担いだ。
「ちくしょう……この身体が脆すぎるのがいけないんだ!」
もはや邪神の体は朽ちかけている。ぴきぴきと全身にひびが走り、人としての形さえ保てなくなっている。
「今こそチャンスですね」
摩那が剣を握り直す。溢れる雷撃が、ばちり、と音を立てる。
回り込んだドアクローザが敵の背中を切り、シャルが胴を薙ぐ。
そして、摩那が踏み込む。
蛇腕のカウンターを回避すると、攻撃力の塊となった剣を繰りだす。
「ぐはっ……!」
手応えは十二分。ありったけのエナジーを解放、相手に叩きこむ。
「さぁ、『お歪み様』はあっちの世界に戻りなさい!」
「だからその名で呼ぶなって言ってるだろうがっ! ボクの名前は……!」
答えを放つ前に、邪神は消滅した。
2本の螺旋が、天に昇っていく。
かくして、邪神教団『歪みの園』による邪神復活作戦は、喰い止められた。
教団自体も、UDCの介入により潰滅。また1つ、危険の芽が摘み取られたのである。
しかし、人の口に戸は立てられぬもの。
新たな、そして『本当の』くねくねの噂が流れる日も、そう遠くはないのかもしれない。
くねくね、くねり。
成功
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