「借りたモン返ェさねぇたぁ、どういう了見でェ!?」
寒村に、ドスの効いた怒声が響いた。坊主頭で派手な着物を着た中年男が、土下座して許しを乞う農夫を怒鳴りつけているのだ。
高利で貸した米を返せ、それでは冬が越せぬ、と良く有ると言ってしまえばそれまでの光景である。一点を除いては。
「チッ……痛ェ目見なきゃ分かんねェ様だな。オイ、やっちめぇ!」
言われてヌッと姿を表したのは、子分ではない。真っ赤な肌。大きく裂けた口には牙。手には金棒。頭には角――。
それは見ての通りの鬼。それが数体、この坊主頭の指図を聞いて農夫を取り囲んだ。痛めつけて取り立てをしようとするのかと思いきや。
何の躊躇いも無く、手にした金棒で農夫を肉片に変えてしまったのである。
「オ、オイ、殺ッちまったら意味無ェだろうが!このタコ野郎共が!」
何と言われても、揺すぶられても鬼は云とも寸とも言わぬ。
「先生ェ、話が違うじゃねェか!言うこと聞きゃしねえ」
坊主頭が振り向いた先には、浪人風情の男がニヤついた顔で立っている。
「何が違う?話が早くて気の効いた手下だろうが」
なおもわめき散らす坊主頭に、浪人は舌打ちを一つ。同時に甲高い金属音が響いたかと思うと、坊主頭の首はゴロリと転げ落ちた。
「あぁ、面倒だな。どうせ皆殺しだろうが」
この村の人々が春を迎える事は、どうやら出来そうにもない。
馮・志廉(千里独行・f04696)は、集った猟兵達の前で、眉間に深くシワを刻み腕を組んで立っていた。
「悪党というのはどこにでも現れるものだな」
志廉は自らの予知した事件について語り始める。
事件が起こるのはサムライエンパイア。放っておけば、オブリビオンによって村が一つ、消える事になるという。
事の発端は、地元の侠客を自称する坊主崩れの男――通称『野狐の善次郎』が、一人の浪人を用心棒に雇った事。抜群の腕前で瞬く間に信頼を得て、相談役のようなことまでしていたらしい。だが、その用心棒こそが、オブリビオンだったのだ。
「良民をいたぶるような奴が侠客を名乗るなど話にならんが……」
志廉は吐き捨てるが、更に話にならないのはここからだ。
命知らずの手下が欲しくは無いかと唆された善次郎は、昔とった杵柄とばかり弔いと偽って死体を集め、オブリビオンの指示に従い『棍棒鬼』を作り出したのだ。
しかし、オブリビオンの手下など、所詮小悪党の手に負える代物ではない。全く制御できず、志廉の予知した事件に繋がるという訳だ。
「今から向かえば、連中が農夫をいたぶろうとしている所に間に合う。そこで仕掛けて、用心棒もまとめて討ち取る」
善次郎は棍棒鬼の軍団を信用している上、用心棒を身から離したくない。更に用心棒もこちらの様子を見るために、棍棒鬼と同時に戦闘にはならない。
不意討ち等の心配もなく、戦闘に専念できるはずだ。
「それに、この用心棒、案外骨の有る相手を望んでいる節がある。こちらを差し置いて農夫に手を出そうとまでは思わないようだ」
一通り語り終えた志廉は一息つくと、思い出した様に付け加えた。
「サムライエンパイアでは、正月の時期だ。村の近くに、中々大きな神社仏閣がある。ついでに覗いてくると良い」
鉄錆
鉄錆と申します。
今回は第一章から戦闘開始となります。
猟兵達とオブリビオンの戦闘が始まれば村人は自然と逃げ散りますし、オブリビオンもあえて村人を狙いはしないので、避難等は気にしなくても問題ありません。
また、『野狐の善次郎』の生死等もシナリオには影響しません。
第1章 集団戦
『棍棒鬼』
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POW : 鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : 死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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忠海・雷火
善次郎とかいうのも、あまり褒められた人ではないようね
わざわざ殺す気は無いけれど、巻き込まれるのを気にする必要も感じない
今は配下を倒しましょう
普段は別人格に交代する所だけれど、今はまだ私のままで行く
鬼は力で攻めてくるタイプかしら
攻撃を躱し、隙を見て攻撃するのが良さそうだけれど、まずは戦って動きを読む所からね
一先ずは手近な鬼を相手に刀を振るうわ
他の人が居るなら、同じ相手を狙って戦い、一体一体確実に倒したい
回避と攻撃に専念しつつ、対時している鬼が弱ってきたらユーベルコードを使用
近接攻撃しかないと思って油断しているなら、良い感じに命中する筈
他の鬼達や、鬼が召喚した霊が居るならそれも纏めて攻撃に巻き込む
ツーユウ・ナン
(善次郎に数十文ぶんの銭差しを投げて)……百姓を飢え死にさせては一文の得にもならんじゃろう。今日の所はそいつを持ってとっとと帰りな。
わしはそっちの(オブリビオン)連中に用があるんじゃが、ちと荒れるぞ?
(戦いは百姓の家から離れ、馬歩站椿の姿勢で氣を練る[力溜め])
⇒『ドラゴニアンチェイン』敵が向かって来た所に練った氣を放ち、生じたオーラの鎖を利して格闘の間合に持ち込む
・鎖の緩急を使った崩し、絡め引き倒しや撹乱[グラップル][怪力][敵を盾にする]
・靠撃[吹き飛ばし]・頂肘[カウンター]・突き等で仕留める
(突進と震脚から生み出される爆発的な発勁が持ち味)
呀ヤ!哼フン!哈ハ!
「ちょいと待たんか」
鬼達と用心棒を連れた『野狐の善次郎』は、正に農夫の家に乗り込まんとする時かけられた声に振り返る。見れば、この辺りではとてもお目にかかれないような美女達ではないか。目を向いていると、更に己の目の前に銭差しを投げて寄越すではないか。
「百姓を飢え死にさせては一文の得にもならんじゃろう。今日の所はそいつを持ってとっとと帰りな」
銭差しを投げたのは、ツーユウ・ナン(粋酔たる龍女・f04066)。
「あら、お優しいのね」
善次郎達を冷めた目で見つつ、そうこぼすのは、忠海・雷火(多重人格者のグールドライバー・f03441)。このような小悪党、どう転んでも気にする程では無いのだ。
「な、なんでェ!何モンだ?」
ちゃっかり銭差しを素早く懐に納めつつ、口ではそう凄んで見せる善次郎。
「わしらが用のあるのは、ほれ、そっちの連中じゃ……ちと、荒れるぞ?」
善次郎など眼中にも無く、ツーユウは用心棒に視線をくれ、クイとアゴで場所を移すよう提案する。
用心棒もまた、己の親分など居ないように頷く。
「……良かろう」
かくして、猟兵達とオブリビオン達は村からやや離れた野ッ原まで移動する。ぎゃあぎゃあと喚き立てる善次郎を引き連れて。
「いいかお前ェら、痛めつけてやンな」
そんな指令とは全く関係無く、棍棒鬼達は猟兵達に殺到する。
その先に居たツーユウは、馬歩による站椿の姿勢。僅かにもれ聞こえる息づかいは、静かに気を練っているのだ。
「呀!」
突如爆発的な気合いを発したかと思うと、ツーユウが発した気が、先頭の鬼を打つ。それだけでも打撃だが、真に重要なのはここからだ。ツーユウと鬼との間が、気による鎖で繋がれている。
大地を踏み締めて一引き、鬼を引き寄せる。元々は突撃を仕掛けて居た所に、凄まじい勢いで引かれたのだから堪らない。つんのめって倒れかけた所に、ツーユウの頂肘が突き刺さる。
更に群がろうとする鬼に対し、靠撃ではね飛ばした鬼をぶつけ、自らも動いて鎖で鬼達をまとめて翻弄するツーユウ。
こうなれば、鎖に繋がれた鬼は、ツーユウの長大な兵器と化したも同然である。
縦横に暴れるツーユウを横目に、雷火は『銘なき刀』を構える。注意を惹かれている相手の隙を突き、一体ずつ確実に仕留める腹積もりだ。別人格は、まだ出さなくて良い。
一体の鬼に斬りかかると、思惑通りに釣られてくれる。鬼が振り回す金棒を躱し、まずはその動きを見切るのだ。
鬼の動きは単調である。雷火が見込んだ通り、力任せ一辺倒だ。雷火は、金棒と斬り結ぶ愚を犯さず、僅かの動きで躱したかと思うと、すぐさま踏み込んで斬りつける。
深手を負い、距離をとる鬼は突如悲しげな叫びを上げる。すると、在りし日の仲間の姿だとでも言うのか、落武者の霊が出現した。
鬼の方でも、通じぬと分かっている事を何度も繰り返したりはしない。叫びに呼応して、他の鬼も雷火を囲むように落武者の霊を呼び出していた。落武者の持つ弓で仕留める積もりらしい。
「近づかなければ問題ないとでも?」
刹那、『銘なき刀』は無数の凍てついた桜の花弁へと変ずる。この美しい『氷桜雪花』は吹雪のように舞い散り、落武者の霊は勿論、油断しきった鬼達をも切り刻んでいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メタ・フレン
【SPD】で対応します。
バトルキャラクターズで、僧侶や聖職者、神聖魔法の使い手といった対アンデッド系のゲームキャラを18人召喚。
彼らを合体させて、最強の対アンデッドキャラを作り出します。
で、【怨念疾駆】で【怨念の塊】と化した彼らに、特大の浄化魔法をぶっ放します!
「迷わず成仏してください! 来世はゲームキャラなんかが、おススメですよ」
ベール・ヌイ
「鬼は・・・ボクの刀で・・・殺す・・・」
鬼がでると聞いて眠たげな目がいつもよりも開いてます
ユーベルコードの火鳥乱舞で火の鳥を纏いならが妖刀の鬼殺で斬りかかります
鬼殺は設定上、鬼に特効する刀ですので多少は威力は出る・・・といいなぁ
攻撃に関しては火の鳥で相手を撹乱し、【殺意】を伴った【先制攻撃】で【二回攻撃】で切りつけます。
相手に攻撃に関しては基本的には避けますが、よけれそうにないなら【武器受け】で防御します
「鬼は……ボクの刀で……殺す……」
ベール・ヌイ(桃から産めれぬ狐姫・f07989)は、目を見開き、そう呟いた。尤も、普段からベールを知る者で無ければ、気付かぬ程度の差ではあるが。
ベールの眼前に、大きな火の鳥が浮かび上がる。ベールのユーベルコード『火鳥乱舞』だ。火鳥を奔らせ、ベールはその後に続き鬼共に突撃を仕掛ける。問答無用の先制攻撃だ。
迫り来る火鳥を迎え撃つべく、振り下ろされた金棒が火鳥を捉える寸前、火鳥はパッと複数に別れ、別々の火鳥となって他の鬼を襲い始めた。そして火鳥の陰に隠れていたベールは、空振りした金棒を踏み台に、妖刀『鬼殺』で斬りつける。
その太刀が鬼を深く斬り裂いたのは、その刀の妖力によるものか、その心に秘められた、深い殺意によるものか。
火鳥による炎からほうほうの体で逃げ出した鬼達を待ち受けていたのは、いつの間に現れたのか、18人の聖職者だった。聖職者と言っても、その姿は僧侶のようであったり、神官のようであったりと様々である。その全てに共通するのは、額に見える『1』の文字。
これらは、メタ・フレン(バーチャルキャラクターの電脳魔術士・f03345)の呼び出した『バトルキャラクターズ』だ。
本能がそうさせるものか、聖職者達の姿に後ずさる鬼達。じりじりと後退し、さながら押しくらまんじゅうの様。
しかし、このままやられる訳にもいかない。咆哮とともに、鬼達は自身の肉体を怨念の塊と化す。しかし、これこそがメタの狙う機であった。
「さあ、今です!」
メタの号令に集うバトルキャラクター達。一瞬の閃光の後、僧侶とも見え、神官とも見え、様々な聖職者の特徴をごった煮にしたような姿の一人が立っていた。その額には『18』の文字。
その『18』のキャラクターは、一塊となり、『怨念の塊』である鬼達に、特大の浄化魔法をお見舞いした。
「迷わず成仏してください!来世はゲームキャラなんかが、おススメですよ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メイロン・ミラー
へぇ、鬼か……強そうだな!
そして用心棒は…もっと強いんだろうなぁ!!
よし、あたしが相手になってやろうじゃないか!
さあ何人でも掛かってきなッ!!
戦闘では冷静に。鬼のパワーが強そうなのは見れば分かるな
それなら『動静の構え』だ。静の構えで防御を固めて迎え撃つ
「見切り」には自信があるんでね
馬鹿でかい金棒を振り被るよりも先に、あたしの「早業」で強烈な「カウンター」パンチを叩き込む
一撃で倒れないならば「2回攻撃」で一気に仕留めよう
金棒が当たりそうなら「武器受け」「盾受け」で更に防御を固め、受け流す
地形変化で不利なまま戦うのは避けたいんで、すぐ「ダッシュ」で距離をとり体制を整えるぜ
さて……どこからでも来いよ
畔扉・瑞
やれやれ。
悪いことをしていると、
より大きな悪いものに目を付けられてしまうそうですよ。
まあ、小悪党さんはともかく、
今は鬼を倒さなければなりませんね。
さて、踊りましょうか。
戦うときは、【巫覡載霊の舞】で神霊体に。
【なぎ払い】【2回攻撃】【鎧砕き】【衝撃波】を頼りたく。
複数の鬼と同時に戦うなら、
【範囲攻撃】【吹き飛ばし】も活用します。
まとめてさようなら、ですね。
攻撃されそうになったら、
【第六感】に任せて避けたり【武器受け】するなりを。
他の猟兵さんたちと連携が出来るようでしたら、
攻撃を繋げていければと思います。
御剣・神夜
棍棒鬼ですか
有名な妖怪ですが、集団での行動はしなかったはずなのですが………
まぁ、良いです。人々に害をなすなら斬って捨てましょう
鬼の金棒は振り下ろされる前に距離を詰めて鍔迫り合いにするなどして防ぐ
怨念疾駆で移動されそうになったら移動方向を予測して移動する
死武者の霊は刀で邪魔をするのがいるなら鬼ごと斬って捨てる。弓矢ならそんなに気にしない
重い野太刀を扱っているからと言って振り抜いた後隙になるようなことはない
「剣術道場の娘です。こういう時の修練も当然してあります」
「お、オイオイ、話が違うじゃねェか……先生ェ、連中てんで役に立たねェぞ!」
不安げに用心棒にすがる善次郎に冷ややかな視線をおくりつつ、畔扉・瑞(あわいにたゆたう・f04531)は声をかけた。
「悪いことをしていると、より大きな悪いものに目を付けられてしまうそうですよ」
その微笑みの内にある思いは如何に。
小悪党は捨て置くとして、今は鬼達を葬らねば。瑞は一つ息をつくと、その体は淡く美しい光に包まれる。
「さて、踊りましょうか」
その戦いぶりは、はじめから形の決まっている『舞踏』であると言っても信じるものがいるだろう。それほどに、見事な立ち回り。
そのなぎなた『みなも』を振るう度、衝撃波が鬼達を襲い、優雅に戦場を舞う。神霊体であるその身には、死武者の放つ矢など、ものの数ではない。
ひらりと鬼達の中央に降り立つと、キッと鬼達を見据えて『みなも』を周囲にぐるりと一回り。すると、その広範囲に及ぶ衝撃波は、鬼達を弾き飛ばした。
鬼が弾き飛ばされた先で、背中にドンとぶつかったものがある。振り替えれば、メイロン・ミラー(堕ちた武人・f01473)が片手で鬼を支え止めているではないか。
「へへ、鬼ってさ、強いんだろ?それであっちは、もっと強いんだろうなあ!」
実に生き生きと、その強さへの期待を隠そうともしないメイロンは、鬼をトンと前に突き飛ばした。
「よし、あたしが相手になってやろうじゃないか!」
そう言うとメイロンは、両手を前に出し、一見して守りを固めていると、見える構えをとると――
「さて……どこからでも来いよ」
その雰囲気を一変させた。
メイロンが自らは動かないと判断した鬼達は、四方からメイロンを囲む。同時にかかれば、どんな強者でも対象出来ぬはずだ。一斉にその金棒で襲いかかった。……しかし、その考えは、やはり甘い。
このメイロンの構えこそ、多種多様な武術を基に自ら編み出した『動静の構え』だ。静中に動有り。ただ待つような構えでは無い。
メイロンの目は、同時の様に思える鬼達の攻撃に、僅かな時間差を見いだしていた。同時ではない。同時ではないなら――順番に対処すれば良いだけだ。
ここから先は、まるで敵がスローモーションの様。金棒を振り上げる前方の鬼にパンチを一撃、バックステップで後方の鬼に裏拳を見舞う。左の鬼の顎をカチ上げるや、右の鬼の腹に拳をめり込ませる。
鬼達の振り上げた金棒は、地面を打つことすら無く地に転がったのだった。
もはや残りも少なくなった鬼を討ち漏らすまいと、御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)は身の丈程もある野太刀を構えた。豪刀と称するに相応しいそれは、切れ味も龍の爪牙の如し。
このご時世に棍棒鬼が集団で行動している事をいぶかしみつつも、やることは決まっている。
「まぁ、良いです。人々に害をなすなら斬って捨てましょう」
全体として劣勢でも、そのような事で怖じ気づく棍棒鬼ではない。咆哮を上げつつ突進してくる鬼に対し、神夜は軽々と野太刀を翻し迎え撃つ。
鬼は棍棒を振り上げ、振り下ろす。ただそれだけの単純な攻撃は、それだけで地形を変えてしまう程の破壊力を持つ。しかしそれは、最高に力が乗った状態での話だ。
素早く懐に飛び込んだ神は、金棒の根本と『豪刀・牙龍』の鍔元を合わせ、鍔迫り合いに持ち込む。これなら、金棒も思いきって振り下ろす事が出来ない。しかし、これでは神夜も有効な斬擊を繰り出す事が出来ない――などという事は無かった。
神夜は、その身体からは想像もつかぬ程の豪剣の使い手である。気合いとともに『剣刃一閃』、鍔迫り合いの体勢から、信じ難い事に一切の勢いをつけず、鬼の手の金棒ごと肩口から袈裟懸けに斬り下ろしたのだった。
地面まで斬り下げた瞬間、もう一体残っていた鬼が、この隙を逃すまいと躍りかかる。身の丈程の野太刀を力で一杯に斬り下げた瞬間である。あわや――とちうことも、やはり無い。
一瞬の滞りも無く、野太刀はその尺からは思いもよらぬ程に小さく回転し、棍棒鬼を斬り裂いたのだった。
「剣術道場の娘です。こういう時の修練も当然してあります」
大成功
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第2章 ボス戦
『用心棒』
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POW : 剛なる居合い
【居合い 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 飛刃縮地の構え
自身に【修羅の気 】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 死者の誘い
【用心棒が殺した死者 】の霊を召喚する。これは【悲痛な叫び声】や【生前持っていた武器になりそうな物】で攻撃する能力を持つ。
👑17
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「せ、先生ェえ……」
目の前で起こっている事が信じられぬ。あんぐりと開いた口が、善次郎の心境を表していた。
もはや、棍棒鬼は居ない。しかし、真打ちが残っている。
「ふん、俺にしちゃ手間をかけたんだがな。面倒な事をしてくれる」
ずい、と歩みを進める用心棒。だがその表情は、口とは裏腹に楽しげですらある。
人を斬るのはこの男の楽しみである。しかし、それと同じく、いやもしかしたらより一層渇望しているのは、強者との果し合い。
これは、この男がオブリビオンとなる前の僅かに残った武士の一分か。
「行くぜ。俺をその木偶の坊共と一緒にするなよ」
居合腰になり、臨戦態勢を整えたのだった。
メイロン・ミラー
おお……強いなあんた!
へへ、武者震いしてきたぜ……!
あたしの名はメイロン・ミラーってんだ、覚えても覚えなくてもいい
そんじゃ、始めようか
スピード勝負と行こうじゃないか
だが、あたしの速さは並大抵じゃあないよ
さっきの「早業」を真の実力だと思うなよ?
あたしが持つ最速の技、名付けるなら『縮地の一掌』と言った所か
…武器はもう必要ないんで全て捨てて身軽になるぜ
さあ、受けてみな
「残像」すら見える程の「ダッシュ」で用心棒に接近
「覚悟」を決めて、衝撃波はギリギリの所で「見切り」、渾身の「カウンター」掌底を打ち込む
躱されたのならばもう一度だ、「2回攻撃」で当ててみせるさ
……少しは満足したかい?
ベール・ヌイ
「鬼じゃないなら・・・こっちで・・・いくねぇ・・・」
普段と変わらぬ眠たげな目つきで、双銃を構えます
自分から積極的に攻めず、援護射撃とクイックドロウ、火鳥乱舞の火の鳥達で用心棒の攻撃の相殺を狙います
もし、刀を使わないか聞かれたら
「この刀は・・・鬼を殺すためのもの・・・キミには・・・不要」とある意味挑発にとれる言葉を言うでしょう
「おお……強いなあんた!」
武者震いが抑えられぬ。そんな面持ちで、メイロンが歩み出る。
「あたしの名はメイロン・ミラーってんだ、覚えても覚えなくてもいい」
「名前か……フフ、とうに忘れたわ」
互いに戦闘体勢に入り……後ははじめるのみ。
その時、用心棒の周囲に、ぼぅ、と現れたものがある。目や口から血を流し、手には鍬や鋤などの農具を持つ、農民と見える霊達の姿。数体が用心棒を守る様に位置取りながらも、その目は恨みがましく用心棒を睨み付ける。かつて、その手にかかったもの達の怨霊だ。
農民の怨霊達を捌きながら、用心棒に拳を叩き込む事が出来るか?
メイロンの集中力は高まり、いつもの饒舌も鳴りを潜め、呼吸を整える。
じり、と用心棒がにじりよる。
その時、突如用心棒が後ろに飛びすさった。先程まで居た空間を、輝く軌跡が通過する。
「鬼じゃないなら……こっちで……いくねぇ……」
それは、ベールの『氷火双銃』。氷の魔力を持つ弾丸だ。
「ガキ、さっきの刀はどうした?お前も抜け」
「この刀は……鬼を殺すためのもの……キミには……不要」
先までの殺意は収まったものらしい。その目も、普段通りだ。この言葉も本人にとっては当然の理であり、なんら含むところのあるものでは無いが――聞く方には、そうは響かない。
ギロリとベールを睨み付け、怨霊達をベールに向かわせた。
襲い来る怨霊達に、ベールはまるで動じない。対複数戦闘こそ、『火鳥乱舞』の本領。それに、怨霊達を引き付けるのは有効な援護にもなる。
呼び出した火の鳥を敵の数に併せて分け、怨霊達を農具が届く範囲にも近寄らせない。抜け出てくるものがあっても、その双銃は決して逃さない。
ベールを農民達に阻止された用心棒は、メイロンと対峙する。その距離は刀の届く距離ではない。しかし、用心棒はメイロンを斬る事が出来る。その身に修羅の気を纏わせた、この『飛刃縮地の構え』ならば。
そんな用心棒の思惑をメイロンの目は見抜いていた。
速さの勝負になる。向こうも自信が有るのだろうが、こちらも並大抵では無い。先ほど見せた速さを、自分の限界だと思ってもらっては困る。
ふっ、とメイロンが力を抜く。すると、袖や服からガシャ、と隠し武器が落ちる。その身に一切の力みを消し、同時により身軽になるためだ。
極限まで速さを追及した、『縮地の一掌』。
そう。メイロンも、届くのだ。
二人は同時に動いた。踏み込みは、メイロンの方が速い。
しかし用心棒の斬擊は、飛ぶ。正面から抜き上げの抜刀と同時に衝撃波を飛ばし、超高速で接近するメイロンを襲う。
メイロンは、その攻撃をも予測……というよりは、『覚悟』していた。この相手に当てるには、それなりに危ない橋を渡らざるを得ない。
最後の一歩の飛び込みとともに限界まで身体を捻り、その体線に沿うように衝撃波は通過した。ハラリと舞うは、衝撃波に触れた髪の毛数本。
そしてその踏み込みは、振り抜かれた刀が戻る前にメイロンの体を用心棒肉薄させ、その一掌が用心棒の胸元に叩き込まれた。
奇しくも同じ『縮地』の名を持つ二つの技。より速く地を縮めたのは、メイロンの一掌だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
畔扉・瑞
真打ち登場、といったところですか。
……面倒なことをしてくれているのはそちらでしょうに。
そうですよね?
戦いは【巫覡載霊の舞】で行いましょう。
他の猟兵さんたちの動きを邪魔しないように行動したく。
なぎなたは刀身以外も武器になりますので。
柄や石突きも有効的に使います。
【2回攻撃】を意識しつつ、【鎧砕き】【衝撃波】を食らわせます。
【第六感】で用心棒の攻撃を警戒。
避けられそうなら避け、無理なら【武器受け】を。
距離を取りたいときは【なぎ払い】【吹き飛ばし】ましょう。
衝撃波が来たらこちらも【衝撃波】で対抗してみます。
ここが年貢の納め時、ということで、
大人しく倒されてください。
ガッと血を吐きながら、用心棒は再び怨霊を呼び出した。今度は農民ではない。一体の、当世具足に身を包む鎧武者。その手には、無骨な長巻き。かつて戦場にて討ち取り、誉としたものか。
「やれやれ。何が面倒ですか。面倒なことをしてくれているのはそちらでしょうに」
ふぅとため息を吐きつつ、なぎなた『みなも』を構える瑞。その顔には微笑みが浮かんではいるが。
「何を……」
「そうですよね?」
その目は、笑っていない様にも見える。
鎧武者が仕掛けた。
決して鈍重な動きでは無いが、対する瑞の動きは軽やか。その身軽さを更に、神霊体に変ずる事で、高めている。増して、怨霊と神霊体である。その相性は、極めて良い。
瑞の放つ淡い光に対する畏れを断ち切るように、鎧武者は長巻きで唐竹割りに斬り下ろす。瑞は『みなも』の刃で受ける――と見せ、直ぐ様その半身を転換。斬るのではなく、柄で鎧武者を押し飛ばす。
何故か?
瑞の第六感が、横から迫る用心棒の驚異を告げていたからだ。鎧武者に斬りつけてからでは、こちらが間に合わない。
瞬時の判断で両者との距離を確保した瑞は、用心棒の方を見もせずに『みなも』の石突きで激しく突く。
不意を突いたと思っていた用心棒は、予想だにしない反撃に、身を投げ出して転がり躱すしか無い。
鎧武者が押し崩された体勢を整えて再び瑞に向かおうとした時には、『みなも』の刃がその兜ごと鎧武者の首をはね飛ばしていた。
「ここが年貢の納め時、ということでしょう」
大成功
🔵🔵🔵
ツーユウ・ナン
相手は浪人風じゃが、決闘慣れしていると見るべきか。間合の取り方には注意せねばならん。
剣士ならば”氣の鎖”が有利と思ったが、先ほど見せてしまったからのう。
ここは太刀筋を見切り、少ない機を見極めて一気に間合を詰める!
・味方と連携して牽制して攻撃を[見切り]、"鉄箸"(装備4)で白刃を挟んで[武器受け]逸らせた隙に刀の間合の内側へ突進
・居合抜きを狙った敵の利き手や刀の柄頭を押える等の攻防[グラップル][怪力]
切っ先が走らねば必殺とは言えぬぞ……!
(肉を斬らせて一撃必殺の拳を打ち込む)[カウンター][勇気][覚悟]
『灰燼拳』
重い震脚から腰、肩、腕を伝えて加速させた勁を、拳を通じて爆発的に発する!
御剣・神夜
剣士として勝負を挑むつもりですか?
良いでしょう。剣士としてその勝負、お受けしましょう
居合の一撃を受けないように間合いは常に注意する
飛刃縮地の構えで遠距離から攻撃されるようになったら野太刀を横にして受け止めながら突っ込んで攻撃する
死者からの攻撃は悲鳴が耳に触るようだったら一緒に攻撃する。
「リーチは私と同等ですか。面白い仕合になりそうですね」
豪剣同士の斬り合いに少し心が躍り、斬り合いを楽しむ
「おっと、猟犬としての本分を忘れるところでした。貴方との勝負を楽しみたいですが、目的を優先させていただきましょう」
起き上がり体勢を整えた用心棒と、神夜は対峙した。一介の剣士としての勝負。退くつもりは無い。
「リーチは私と同等ですか。面白い仕合になりそうですね」
無論、その得物の長短で言えば、神夜の野太刀に比するようなものでは無い。しかし、その踏み込み、飛ぶ斬擊、諸々考え併せて、その間合いは互角と見たのだ。
この勝負は、間合いを制した方が取る事になる。
神夜は野太刀を大上段に。用心棒は居合の構えで腰を落とした。僅かの間に互いの動きを探り合い――用心棒が仕掛けた。
刹那の内に、神夜に様々な思いが去来する。
得難い豪剣同士の斬り合い。
互いに撃ち合わすか?
楽しいな。
どんな技を使うのかな。
見たいな。
その想いがほんの僅か、神夜の対応を鈍らせたか。それだけでなく技同士の相性の悪さが大きいが。
間に合わない。斬られる。神夜はそう覚悟した。しかし、構わない。今の自分の目的は、この男を斬る事だ。
全ての迷いを断ち切ったように、神夜の捨て身の豪剣は振り下ろされる。
相討ち――。
しかし、そうはならなかった。じっと機を狙い、隙を伺っていたツーユウの鉄箸が用心棒の白刃を挟みとり、軌道を逸らしたのだ。その刃は、神夜の纏う衣を傷つけるに留まった。
対する用心棒も、ツーユウの横槍を受けて斬れぬと判断し、鉄箸に流される方向に飛んだが、野太刀によって肩口を斬り裂かれていた。
そしてツーユウもまた、鉄箸に全力を込めたために、その勢いのままに転がり抜ける。
ツーユウと用心棒は、同じ方向に飛んでいた。用心棒が刀を鞘に納めて立ち上がるのと、ツーユウが立ち上がって振り向いたのが同時。そして、互いに一瞬の硬直。その距離は、互いの息がかかる程しか無かったからだ。
どちらに有利不利も無い。互いの必殺の間合い。
その攻防は、時間にするならば秒にも満たぬ。
用心棒が柄手を取れば、ツーユウが擒拿手でその手を押さえ、阻害する。
抜かせない――かと思えば、用心棒は大きく左足を後退させ、腰の捻りで抜刀し、左手を添えて圧し斬りを狙う。
だがその後退は、ツーユウにとっては前進する空間となった。パッと柄手を押さえていた手を離すと、反動で僅かに用心棒の刀が浮き立つ。
一歩の距離。拳一つ分の隙間。十分だ。
「哈!」
凄まじい震脚と共に生じた勁は、その腰、肩、腕へと加速する。
用心棒の刀がその腕を斬り落とさんと肌に触れた時には、既にその爆発的な破壊力が用心棒の寸前に迫っていた。
用心棒もさるもの、とっさに左腕でかばうが、凄まじい衝撃とともに弾き飛ばされ、左腕の骨は砕けていた。
成功
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忠海・雷火
そこの小悪党よりは、まだ理解出来る
死合いが望みなら付き合うわ
最も、死ぬつもりはないけれどね
「私」の戦い方は既に見られているから、切り結ぶ瞬間に別人格に交代し不意を突く
負けているであろう速さでなく、見られている魔術の類でもなく、今度は力で攻める
受け止められれば刃を押し付け、競り負けるなら蹴り飛ばす
接近戦を挑む以上、間違いなく居合での一撃を狙われる
回避こそ出来ずとも、せめて傷を軽減出来るようにガードの準備はしておく
とはいえ、それ程に近付く事を選んだ段階で、此方は捨て身の覚悟。ただ受けるだけでもない
受けた傷から流れる血で、即座にユーベルコードを発動
刀を無数の刃からなる異形の武器へと変えて、喰い斬る
ツーユウ・ナン
(尚、狂猛な剣気を放つ用心棒の反撃に傷を負いながら)
こやつ戦いを、いや極限の命のやり取りを愉しんでおるな……。じゃが、わしとて負けるわけにはいかぬ。これは互いの存在意義を賭けた”死合い”よ……
日々の鍛錬は昨日の己に打ち克つ為、我が功夫は”過去の亡霊(オブリビオン)”を打ち晴らす為に積み重ねて来た……。
(入静すると氣が迸り、立ち上るオーラが龍鱗の如く揺らめく⇒真の姿)
◆UC『絶招・地龍硬爬山』
谷を割り、山を爬い、地を平らげる龍の姿を見よ……
・重い震脚を打ち鳴らしながら、打ち込み、反撃を捌いては押し、防御ごと突き崩す怒涛の連続技
・突き、爪掌、頂肘etc. 〆は龍の顎門アギトの如き双掌打
前腕部から流れ出る血を、ツーユウは止血する間も無いと感じていた。今の一撃を受けて尚、用心棒は二本の足で立ち、兇猛な笑い声を上げていたからだ。
「こやつ戦いを、いや極限の命のやり取りを愉しんでおるな……。じゃが、わしとて負けるわけにはいかぬ。これは……」
「互いの存在を賭した死合い……といったところかしら?」
『銘なき刀』を携えた雷火が歩み出る。相変わらずの気怠さを纏ってはいるが、その心中、少しは理解を示す雷火。少なくとも、あそこでだらしなく口を開き放しの小悪党よりは。
「私も乗るわ、死合いにね」
ただし、死ぬのはあちらだけだ。静かに息を整え始めたツーユウを残し、雷火は走る。
雷火は考える。あの用心棒を討つにはどうすれば良い?
全てを考慮すれば、接近戦。これが最も可能性の高い選択肢だろう。まだ見せていないものもある。
刀での斬り合いを仕掛けて来た雷火を、用心棒は居合で迎え撃つ。その太刀筋は、鬼達との戦いで十分に見ている。
斬れる。
走り来る雷火に向け、その剣先を走らせた。間違いなく、斬った――。
しかし、その刃は空を斬る。突如、雷火の拍子が変わったため、読み違えたのだ。
拍子をずらすどころでは無い。全く別人の拍子だ。
斬った……が、浅い。雷火――いや、『カイラ』の刀は、致命の一撃には届かなかった。ならば、届くまで斬るのみ。
返す刀の二の太刀は受けられ、鍔迫り合いになる。
純粋な押し合いでは分が悪いか。咄嗟に蹴り出し、距離を取る。
しかしそれは用心棒に居合の体勢を整えさせる間を与える事でもある。
強烈な一撃を覚悟し、雷火は刀を腕に沿わせ、防御姿勢をとった。
次の瞬間、想像を上回る衝撃。刀もずれ、腕に刃が食い込む。骨までは、達しない。
これが、まだ見せていないもう一つの奥の手。
何の変哲も無かった『銘なき刀』は、雷火の血を浴びた瞬時に無数の刃を持つ異形の武器へと変ずる。
「なッ!?」
思わぬ変化に対応出来なかった用心棒の左腕を、雷火が振るう異形が刻み、その血肉を喰らった。
オブリビオンであっても、その血は赤い。鮮血を散らしながら、よろめき歩むその先に。
その全身から迸る氣が龍鱗の如く揺らめく、ツーユウの真の姿があった。いつの間にやら、その傷から流れ出る血も止まっている。
決着の時――。
用心棒が渾身力を込めた居合の、その柄頭をツーユウの拳が捉えた。振り抜けぬ。
一旦引いて……その間も与えず、重い震脚と共に拳。
躱す。止まらない。震脚。肘。防ぐ。終わらない。震脚。掌。いなす。まだ続く。震脚。靠。防――げない。この角度では、左腕が無ければ無理だ。砕けていても、在れば盾に出来たのに。衝撃。
門は開いた。
谷を割り、山を爬い、地を平らげる龍の顎門たる双掌が、オブリビオンの暗い命の炎を砕いた。
彼は、満足の行く立ち合いが出来たのだろうか?
死合いとは、そんな言葉を言い残す間も、与えてはくれない。
成功
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第3章 日常
『神社仏閣での祈祷』
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POW : 情熱をこめて祈願する。
SPD : 礼節を重んじて祈祷する。
WIZ : 心のそこから祈願する。
👑11
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猟兵達の活躍が無ければ、この村に春が訪れる事は無かった。そんな事実は知らずとも、村人達は厄介者を追い払ってくれた恩人として、猟兵達を歓待する。
といっても寒村のこと、結局は大したこともできぬと、近くの神社仏閣へと案内をした。
折りは正月、こちらは大層な賑わいだ。
初詣等を済ましたら、サムライエンパイアの文化に触れてみるのも良い。
出店もあれば、おみくじもある。座禅や滝行など、神社仏閣で行えそうな事は、大体できるだろう。
ツーユウ・ナン
ざっくり斬られたと思ったが……
(見ると、先ほどの刀傷は意外に深くない。⇒真の姿?
傷口を洗いながら不思議に思うも、さらし布を巻いて手当てする)
まぁ良い。
せっかくの正月じゃ。歳神様にあやかってお神酒でも頂こうじゃないか。
やはり正月なら寺より社じゃな。
(振る舞い酒にありつくと、境内の片隅に腰掛け、思い思いに祈願する家族を眺めながら「新たな年が、人々の希望に満ち溢れるように……」と、無言で盃を捧げる)
「ざっくり斬られたと思ったが……はて?」
真の姿の力の片鱗か?先ほどの刀傷は、案外浅手……というよりは、自然と塞がったものと見える。一応さらし布で手当てはしたものの、痕が残るようなものにもならなさそうだった。
気に留めてもしかたあるまい、とツーユウは村人達に誘われ、神社へと赴く。
やはり正月なら寺より社、とはツーユウの弁。
都市部では無いとはいえ、やはり新年の御詣りは賑わうもの。地域の民総出、といったところだ。
そんな中、ツーユウは御詣りもそこそこに、お目当てのものを発見した。
そう。お神酒である。
「せっかくの正月じゃ。歳神様にあやからねばのう」
嬉々として振る舞い酒にありつくと、氏子と思しき男性から愛用の盃にお神酒を受けると、あっさりと干す。
「うむ、これは上等じゃ」
「お、姐さんいける口だね!ささ、もっとどうだい」
神社の方でも、村人から恩義については聞いている。この上自慢でもある酒を誉められたとあっては、気分も上がらぬ訳がない。
氏子達は入れ替り立ち代わり、ツーユウにお神酒を注いでゆく。
とうとう徳利ごとお神酒を頂戴したツーユウは、境内の片隅に腰掛けていた。
その視線の先には、両親と見える男女に、幼子が二人でじゃれついている姿。
母の腕には赤子が抱かれており、子らのやんちゃをもて余しながらも何とか御詣りをしている。
先ほど、村で姿を見かけた家族と思う。つまり、放っておけば、この家族は――。
(新たな年が、人々の希望に満ち溢れるように……)
そんな想いを胸に、ツーユウは盃を天に捧げるのだった。
大成功
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ベール・ヌイ
心のそこから祈願を行います。内容は「料理がもっとうまくなりますように」「鬼の大将首を取れますように」
修行するような性格ではないので出店に向かいます。可能なら自分でお店もだします。内容はお汁粉売りで
でも基本寝ているのでゴリラさんにお願いして代わりに店番してもらいましょう
出店ができないなら美味しそうなモノを適当に食べ歩いて味のチェック、自分で再現できるか確認します
珍しい食材が売ってたらついつい購入するかもしれません
アドリブ等大歓迎です
パンッ!と大きく柏手を打って、ベールは社の神に願いをかけていた。
一つは、『料理がもっとうまくなりますように』。こう見えて、家庭的なベールは、料理の腕もかなりのもの。
先ほども出店を仕切る氏子に頼んで、出店を一つ都合つけてもらったところだ。
もう一つは……『鬼の大将首を取れますように』。自分にとって、捨て去った過去であり、今の自分を作るもの。願いと言うよりは誓いとでも言うべきか。
鬼にからむ時ばかりは、いつもの眠気も何処へやら。凛とした雰囲気を纏うのだ。尤も――。
「ぬい……さて……お汁粉だよぉ」
切り替えの速さも大したもの。先ほど約束した場所まで小走りで行くのだった。
「兄ちゃん!汁粉一つ!」
威勢の良い声で、近隣の町人と思しき男が汁粉を注文した。これが、ベールの作ったお汁粉だ。
丁度うまい具合に欠員が出ていた店だったため、渡りに船とばかりにベールに場所を貸し、材料などを無駄にせずに済んだわけである。
そのお汁粉は絶品と評判になり、続々と注文が飛んでくるのだが――その店に立つのはベールでは無い。
「兄ちゃん、良い体してんじゃねェか!」
「あらやだ兄さん、八重歯がステキじゃない」
「若ぇの、お前さん、良い目をしとるのぅ」
人類など及びもつかぬその筋肉。
野性味溢れるその牙。
知的で、それでいて優しい瞳……。
ゴリラ。ゴリラである。
ベールは作るだけ着くったらさっさと奥でうとうとし、『護理雷招来』で呼び出した雷獣ゴリラを店番に立たせたのだ。
猟兵達の力として、そうでない普通の住民達に、どんな格好でも違和感を覚えさせない、というものがある。無論、この雷獣も例外ではない。
かくして雷獣は、地元住民達に妙な人気を絵ながら、ある意味では戦場よりもハードな仕事をこなして行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
メイロン・ミラー
いやぁ、中々に楽しめたぜ……!
やっぱオブリビオンってつえぇな!
もっと強い奴もこれから現れるって考えると、滅茶苦茶楽しみだぜ!
何を祈ろう?
武術力の向上、強い奴との戦い、後は……健康とか?
……いや、全部自分で叶えられるか
……あ、ゲームの続編がやりたいからそれにしよう!
今年こそは開発されて下さい……!
ホントお願いします……!
よし、おみくじも引いていくか!
さてさて、なーにが出るかーな……
「いやぁ、中々に楽しめたぜ……!」
強敵との闘いこそ、人生の快事。メイロンは、その余韻に浸りつつ、初詣の順番を待つ列に加わっていた。
今後の事を考えても、楽しみは尽きぬというもの。
さて、いよいよ自分の番が近づいてきたが……何を祈ろう?
武術力の向上?……いや、それは自分の鍛錬次第か。
強い奴との戦い?……いや、オブリビオンはゴロゴロしている。自分で当たりに行けば良い。
じゃあ……健康とか?……もうちょっと早く寝れば……うん。
どれもこれも、自分の心がけ次第じゃないか。あれこれと考えている内に、いよいよ順番が回ってくる。
「……あ!ゲームの続編!」
大好きなあのゲーム、その続編を神様にお願いするのだ。
開発の噂だけは前からある。でも、それから何年たってしまったのか。
「今年こそは開発されて下さい……!ホントに……!」
鬼気迫る表情で祈るメイロン。果たして、この神様の神通力も、異世界まで届くものだろうか。
「よし、止めにおみくじでも引いていくか!」
ガシャガシャとおみくじ筒を振り、全力の気合いを込めて出した結果は……。
「はっはー!こりゃ続編間違いなしだな!」
大成功
🔵🔵🔵
忠海・雷火
故郷の世界での初詣にも行かなくなって幾年か経つ
良い機会だから、此処でお詣りするのも悪くないわね
何を祈願するかは考えていなかった
私自身に関しては何もない、心の内で訊ねてみても、カイラもそれは同じらしい
であれば、世界の平和を心の底から祈りましょう
オブリビオンの発生が少しでも減りますように
過去という理不尽に未来を奪われる人が、少しでも減りますように
初詣を終えたら……おみくじでも引こうかしら
結果は別に何でも良いけれど、猟兵なのだから仕事運は確認
結果次第で結ぶか持ち帰るかはこの神社、或いはこの世界のルールに合わせる
周囲の人々が楽しんでいるようで何よりよ
これからもこうした平穏が続くよう、力を尽くしましょう
初詣って、何を祈願すれば良いのだったかしら?そんな事を考えながら歩いていたら、もう自分の番になっていた。
何せ、初詣自体が久しぶりだ。行かなくなって、もう何年が立つだろう。こんな機会でもなくては、もう何年かはお詣りなんて行かなかったかも知れない。
そう思うと、余計に思い付かないのかも知れない。
そんなこんなで、雷火は賽銭箱の前に立っていた。
あなたはどう?そう心に訪ねても、カイラも同じらしい。
なら――やはり、他人のために祈るのが良いだろう。
世界が平和でありますように。冗談みたいだけれど、本気の、心の底からの願い。
オブリビオンの発生が少しでも減りますように。
過去という理不尽に未来を奪われる人が、少しでも減りますように。
かなりの時間、雷火は神に願掛けをしていた。
あとは、そう。せっかく初詣に来たのだから、おみくじを引かなくては。
そのおみくじは、中吉。仕事運は……向吉。
これから、良くなる。
「良い結果のおみくじは、持ち帰るのかしら?」
「そうじゃな。この辺では皆そうしとるよ」
近くにいた老婆に尋ねると、そう帰ってきた。なら、と雷火はおみくじを綺麗にたたみ、懐にそっとしまう。
周りを見れば、雷火の他にもおみくじを引いている者はたくさん居た。
大吉だ、大凶だ、だの、今年は良縁がありそうだ、だの。
これは、雷火達の戦いで守れた平和だと、そう自負しても良いだろう。
これからも、こんな平穏が続くよう、力を尽くす。
新年。雷火はその決意を新たにするのだった。
大成功
🔵🔵🔵
御剣・神夜
ふぅ。村を守ることができて何よりです。
お正月ということで、色々で店もあるようですね
何か体の温まるものを貰いましょうか
「良いですねぇ。こういう喧騒は大好きです」
と、神社仏閣の中を練り歩く
冷えてきたら甘酒を配っていたらうれしいなと屋台を見て回り、あったら甘酒を貰って少しづつ飲みながら体を温めつつ喧騒の中を歩く
「ふぅ。寒い時にはこれですね。体が温まります」
「良いですねぇ。こういう喧騒は大好きです」
神夜は、戦いの末に守られた、この穏やかな喧騒の中を歩いていた。参拝よりも、この賑やかさと、様々な出店が目当てである。
豊かな都市部とは言えない地域だが、正月ばかりは賑やか。お汁粉のような甘味や団子も有るようだ。
しばし歩いていたが、しばらくすると神夜は覚えず体を震わせた。いつの間にか、すっかり体が冷えていたようだ。
かじかんだ手を息で温めながら、温かいものを探す神夜。戦場では無類の剛剣を誇る神夜も、普段はのんびりとしたものだ。
「おっ、お姉さん寒そうだね!これでもどうだい」
そう声をかけてきた男は、甘酒を振る舞っているようだ。
絶妙のタイミングでお目当てのものに巡りあった神夜は、小走りで甘酒を受けとり、その暖かさに一息つくのだった。
「ふぅ。寒い時にはこれですね。体が温まります」
改めて喧騒の中に向かう神夜。甘酒の温かさと、村を守ることのできた安堵に、激しい戦いの疲れも癒されるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
畔扉・瑞
ああ、村が無事で何よりです。
初詣では、これからも村が、村の人たちが安心して暮らせるよう祈りましょう。
そのあとは、出店を見て回りたく。
行儀は悪いですが、
温かいお茶でもありましたら買って、ぶらぶらしながら飲もうかと。
この人たちの笑顔を守ることが出来たのですね、としみじみ。
特に何か買うと決めたものはありませんが。
出店の方に寄っていってと言われたら
見に行ってしまうかもしれません。
ふふ、それは美味しそうですね。
一つ頂きます。
おいくらでしょうか?
※お茶に合う、甘いお菓子系のものが好きです
瑞は、初詣で祈ることを迷わなかった。
その内容は、村と、そこに住む人達の安寧。自分の大切なもののために祈るのではなく、他人の大切なもののために、瑞は祈る。
もちろん、そんな事をあえて口に出したりはしない。想いは、全てその微笑みの下に。
祈願を終えた瑞は、温かいお茶を片手に出店の辺りをぶらついていた。もちろんお茶は、出店で購入したもの。
とりあえず温かいものは手に入れたものの、後は特に決めていない。さてどうしようか、と逡巡していた時、あどけない声をかけられた。
「お兄ちゃん、お団子あるよ、お団子!」
振り向けば、店の手伝いをしているらしい男の子が、ニコニコとしていた。
この子も、先の村で見かけたように思う。今回の戦いで、守れた一つ。
微笑み返してついていこうとすると、更に子ども達が寄ってきた。
「あ、こっち!こっちの飴も見てよ!」
「こっちはお饅頭だよ!見て見て!」
たちまち囲まれてしまった瑞。しかし、子ども達の笑顔はまぶしい。この笑顔を守る事が出来たのだ。
「ふふ、どれも美味しそうですね」
子ども達につれられて、店へと歩んで行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵