オフィス大乱闘 with ティラノ
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UDCアース、日本。首都圏の高層ビルにて。
「うはは、この化石はどうだ!なかなかにくっきりと関節が残ってるじゃないか!」
ここはある企業の社長室。
化石や恐竜が大好きな社長は、今日手に入れたばかりの恐竜の化石を眺めてご満悦である。
だがこの社長、従業員をコキ使ってばかりいて、目標達成のためなら法律スレスレの残業をさせたり、残業代を払わないなんて日常茶飯事なのだ。
他人をこき使って儲けた金で化石蒐集、ということである。
今日の収穫はティラノサウルスの化石だ。
そして、一つ不幸な偶然があった。
今日、社長が入手した化石だが……実は、UDC生物を誘引しうる呪具なのだ。
かつて、恐竜と云う太古の生き物が知られていなかった時代には、こういった化石は龍の骨として権力者に珍重されていた。そこを逆手に取った昔の呪術師は、化石にとある術式をかけた。
それは『手にした者が受けている恨みに応じて、太古の龍(要するに生前の姿)を顕現させ、目の前の人物を襲わせる』というモノ。
こんな社員からも取引先からも恨まれまくりのブラック社長が化石を手にすれば、発生する恐竜は一頭どころのレベルじゃない。
三頭ものティラノサウルスが社長室を占拠し、彼を食い殺す。
白亜紀の王者の出現まで、あと数分……。
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「みんなー、UDCアースのオフィス街でお仕事よー。集まって頂戴な。」
小野・通(夕星・f10508)が、耳をピコピコ、尻尾をパタパタさせつつ。のんびりした口調で猟兵に呼びかける。
「ある会社の社長室に、暴れ回るティラノサウルスが出現するのよー。」
ん?と、猟兵達が聞き返す。
「暴れ回るティラノサウルス。文章ソフトみたいなあれよー。」
なんでも、持つ人間が他者から受けている恨みの数に応じて、ティラノサウルスが出現してその人間を襲うなんていう化石の呪具があるらしい。
それを、化石マニアのブラック企業の社長が入手して、社長室で愛でていたら……という案件。
ブラック企業の社長かぁ……と、ぽつりと誰かが漏らす。
しかし、どんな悪人でも一般人は一般人。人命が失われることは避けるに越したことは無い。
なだめるようにお通は、チケットの束を差し出す。
「まあまあ。みんな腹拵えして、気合い入れて行って頂戴な。」
お通の手にあったのは、ハンバーガーショップの無料チケット。
「このハンバーガーショップはオフィスの入っているビルの1階にあるから、そこで作戦会議するといいんじゃないかしら。で、オフィスに侵入ね。」
オフィスへの侵入は、時間が昼間であるのこともあり、社員のフリや、社会科見学のフリ、業者を装うなど色々取れるだろう。
「それじゃみんな。……ブラック労働は許せないと思うけど、頑張ってきて頂戴ー」
烏丸くろえ
お久しぶりですクワッ!
梅雨で毎日羽根がびっしょり、烏丸くろえです。
今回はUDCアースで、ブラック企業の社長室で暴れまわるティラノサウルス退治のお仕事になります。
第一章では、現場となるオフィスが入っているビルの1階で、ハンバーガーを食べつつ作戦会議。ハンバーガーショップにあるメニューなら何でもあります。
(単独参加の方も、他PCさんとの絡みが多くなると思います)
第二章はオフィスへの潜入。
変装や偽装、その他それらしい理由を付けてオフィスへ入り込んでください。
第三章が暴れ回るティラノサウルスとの戦闘、集団戦になります。
最初の戦場は社長室ですが、戦闘の推移次第では壁が壊れてオフィス全体が戦場と化します。
では、皆様のご参加お待ちしておりますクワッ!
第1章 日常
『ファーストフードパーティー』
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POW : ファーストフードは量を食え! 食べられるだけ食べる
SPD : パーティーは戦場だ! 好きなものを素早く確保し食べる
WIZ : カロリー計算は大事です! 量や種類を気にしながら食べる
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シン・ドレッドノート
アドリブOK
【SPD】
「ファーストフードは普段あまり食べないのですけどね」
素早くスパイシーチーズバーガーと野菜ジュース、オニオンリングを確保。
「この辛さの中にも負けない旨味が好きなのですよ」
できれば2個くらいはキープしておきたいところ。
あふれんばかりの具もこぼさないように鮮やかに噛り付きます。
野菜ジュースで辛さを中和しつつ、オニオンリングをくわえて皆さんの方に向き直り、
「さて、どんな風に潜入しましょうか?」
口に付いたケチャップも妖しく舐めとりながら、作戦会議といきましょう。
人命はもちろん大切ですが、あまり周囲への被害も出さないようにしたいですねぇ…。
「あ、そのポテト、少しいただいても?」
グラファイル・パランニウム
【絡み・アドリブOK】
「ブラックは許せないけど、彼が死んだら路頭に迷う社員さんもいると思うし、頑張らないとね」
そう言いながら、ジャイアントナゲットをマスタードに付けて食べます。
「社長室に恐竜が現れるってことは、社長室がでかいのか、それとも恐竜が小さいのか…どちらにしろ、普通の社員さんへの被害は0にしないと」
そう言いながら、トリプルエルサイズのフライドポテトをつまみましょう。食べられる時には食べないとね。ポテトの後は、メインのビックミートハンバーガーです。
「そうだなぁ…恐竜は尻尾がなくなるとバランスが取れなくなって倒れると聞くから、尻尾を狙ってみよう」
そう言って、食事を終えましょう。頂きました。
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口に運ぶのはハンバーガーなのに、辺りはまるで宇宙のよう。例えるなら、ハリウッドのSF映画のワンシーン。
オフィスの入るビルの1階にはハンバーガーショップがあるのだが……内装は宇宙船の内部そのもの。
今流行りの『SNS映え』する空間を目指したらこうなったとか。
「ブラックは許せないけど、彼が死んだら路頭に迷う社員さんもいると思うし、頑張らないとね」
そう呟きながら、大きなチキンナゲットを口に運ぶ灰色髪のイケメン。
「ファーストフードは普段あまり食べないのですけどね……でも、この辛さの中にも負けない旨味が好きなのですよ」
真珠のように白い歯をきらめかせ、この店の限定メニュー【スペイシー】チーズバーガーに齧り付く金髪のイケメン。
イケメン二人が膝を突き合わせて話し込む光景に、見ている一般客(特に女性)からため息が零れる。
この二人、金髪の方はシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。妖狐という種族の傾向もあり非常に若く見えるが、その実年齢は壮年の域。積み重ねた人生経験と、青年そのものの容姿のギャップが、なんとも言えない魅力になっている。
灰色髪の青年はサイボーグの戦場傭兵、グラファイル・パランニウム(サイボーグの戦場傭兵・f18989)こちらは見た通りの年齢のようだが、背負った過去からくる影はミステリアスな雰囲気となって漂う。
「さて、どんな風に潜入しましょうか?」
オニオンリングに手を伸ばしながらグラファイルに問いかけるシン。
揚げ物が好きなのは、やはり狐故か。口に付いたケチャップをぺろりと舐める姿は男の身でありながら、何故か色香がある。
「面接希望者や飛び込み営業のフリが無難かな?」
グラファイルが幾つかの案を挙げる。話しながらも、手は3Lサイズのフライドポテトへ。腹が減っては戦はできぬ。
それにしても、とグラファイルは続ける。
「社長室に恐竜が現れるってことは、社長室がでかいのか、それとも恐竜が小さいのか……」
確かに、戦う上で敵の大きさを知るのは重要だ。が、実際に目にしなければ分からない。
大きいか小さいか、そのパターンに応じて戦術を考えておいた方がいいだろう。尻尾を狙って、バランス崩しを狙うのはどんな大きさでも有効な戦法になるだろう。
どちらにせよ、社員さんへの被害は絶対に食い止めねばならない。その点については、シンも同じ考えだ。
お待ちかねの、母艦級ビッグミートハンバーガーに取りかかろうとするグラファイル。
そこへ、シンが問いかける。彼が指差すのは、まだまだ残っている3Lサイズのポテト。
「あ、そのポテト、少しいただいても?」
「どうぞどうぞ」
何だか嬉しそうにポテトを食べるシン。こうして見ると、本当に20代の青年にしか見えない。
あらかた食べ終わり、二人の男は手を合わせる。
「「頂きました」」
大成功
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剣堂・御空
【WIZ】
「バーガーとポテトを食べながら会議する。」
たまに、バーガーって食べたくなるよな。最近食べてないし…それが依頼人の計らいでタダだからこの依頼受けようと思った。
食欲に釣られた分は依頼頑張るからよろしくな。
会議内容はこんな感じ
「とりあえず誰かが社長室に侵入してその化石に触れてティラノ退治って感じかな。社長を離しておいて退治する方がいい気がする。
俺はこの身なり…だし女性を装って社内見学としてオフィスに入ろうと思う。女性口調なら多少使えるし。ブラック企業に気に入られるには「即戦力」って言葉と「何でもやります、頑張ります」って言葉を使えばいいって聞いたし、なんとかなると思う。」
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この作戦、即応できた猟兵は三人。最後の一人が、少し遅れて入店する。
見たところは、大分背が高い女性に見えるのだが……。
実はこの三人目の猟兵も男性である。
剣堂・御空(猟兵騙しの黒礼装・f17701)は養母の意向により、女児のように育てられた過去を持つ。
女性らしい振る舞いや作法も完璧だ。清楚なワンピースを着てしまえば、もうモデル級美女にしか見えない。
「じゃあ、俺はこのコズミックバーガーのビッグと、あとポテトの2Lで。」
ファッションモデルもかくやという容姿だが、そこは17歳の少年。ファストフードだってたまには食べたい。ましてやタダなら。
食べ盛りの彼女……もとい彼がガッツリメニューを頼めば、ギャップに驚いたのか、宇宙服風の制服の店員がちらりと彼を見る。
「予知したおばさんがタダ券くれたし、その分頑張らないとなー。」
年相応の少年らしく、元気よくガブリといく御空。
だが、ただ腹ごしらえだけしては居られない。ウェットタオルで指を拭きながら、ノートに要点を書き出す。
「とりあえずは、社長をどう社長室から引き離すかだよなー……」
社長の背負う恨みに反応してティラノサウルスは顕現する。が、そのまま戦ったのでは社長に危害が及んだり、流れ弾を喰らう可能性は大いにある。
ティラノと引き離し、すぐに避難させるのが得策か。
考えながらもよく噛んで食べ進め、バーガーもポテトも半分になる頃。
さて、どうオフィスに入ろうかと、御空のノートのページは次へ。
「俺はこの格好だし、男の恰好しても高校生にしか見えないよな。社会科見学とも言い張れるけど」
もっと無理なく言いくるめられる格好なら。そう、成人に見えるなら。
この身長で女性もののビジネスファッションをしていたなら、まず成人女性に見えるだろう。口調にも自信がある。
「ブラック企業なら、【即戦力】【やりがい】【なんでもやります】【頑張ります】って言葉だよな」
思いついたことをノートに書き出し、特に役立ちそうなフレーズには蛍光ペンでマーキング。
多分、これで行けるだろう。よし、そうとなったら潜入だ!
「ごちそうさまでした!」
大成功
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第2章 冒険
『権力者の懐に潜り込め!』
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POW : 雇われた警備員や邪教組織の妨害を、力で乗り越えてアイテムを手に入れる。
SPD : 会場に忍び込み、誰にも気付かれずにトラップ警備の目を掻い潜る。
WIZ : 警備員として、あるいは権力者に従う部下として入り込み、機をうかがう。
👑11
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シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
「さて、化石とやらを拝ませていただきますか…」
ビルの警備員のIDカードを早業で盗み、オフィスのあるフロアに侵入、警備システムをハッキングやメカニックの知識で無効化しながら、忍び足で足音を消して進んでいきます。
監視カメラの映像などを逆に利用して、変装して侵入している方への情報連絡も行っておきましょう。
オフィス内で人を見かけたら、【紅影の予告状】で行動を予測し、見つからないように回避しながら社長室を目指します。
あ、ハッキングの際に警報装置に細工をして、いつでも好きな時に火災報知が発動するようにし、社長室で戦闘が始まる際、ビルの中の人を避難させられるようにしておきますね。
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昼下がりのオフィス。本社勤務の社員たちは、世話しなく通路を行き交ったり、電話をかけたり。
彼らは、これからこの空間に召喚される存在のことなど知る由もない。
「では、一番槍で行かせてもらいましょうか?」
先陣を切って潜入したのはシンだ。
警備員とすれ違った一瞬、鮮やかな早業でビルのIDカードを掠めとる。
カードを奪われた警備員は、自分の身に何が起きたかなど知らぬまま遠ざかってゆく。
シンが足を運んだのは、セキュリティを管理する警備室。
自分は一番乗りだ。ならやることは一つ。あとから来る仲間たちのためにも、セキュリティシステムを無効化しておかなくては。
「大体想像はついていましたが……簡単すぎて仕事にもなりませんね」
幸いにして、警備システムは然程高度なプログラムでもないようで、彼のハッキングやメカニックの力量で十二分に改竄が出来る。
彼は最後の仕上げも怠っていなかった。
警備システムへのハッキングの際、任意のタイミングで火災報知器が作動するように仕掛けたのだ。
これで、オフィスで戦闘が始まった瞬間に警報音が鳴り響き、社員たちはすぐさま逃げ出せるという寸法。
最後、警備室を抜け出す彼はニッコリとこう呟いた。
「では、このビルの警備を頂いて行きますね」
大成功
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挑もうとする猟兵達は、一つ重要なことに気が付いた。
それは『大きな恨みを背負った社長でないと、恐竜は出現しない』ということ。
社長を予め逃がして、出現を待つことはできない。
故に、恐竜が出現したら即社長を避難させる手筈を整えておかなければ――!
リリー・ベネット
先に行った仲間が警備システムを無効にしてくれたみたいですね。
スーツさえ着ていれば普通の会社員に見えるでしょうか。
もし話しかけてくる社員がいれば社長室に案内してもらいましょう。
いなければ、話しかけます。
「社長に依頼され、アタッシュケースに化石を入れて持ってきた」と。
警備を抜けた後であれば不審がられないてしょう。
大きめのアタッシュケースに私の人形「アントワネット」と「フランソワーズ」を忍び込ませておきます。
社長に会ってひとまずそれを手渡すことができれば、恐竜が出てきても助けられるでしょう。
あとは、化石と社長の対面を待つだけですね。
剣堂・御空
※アドリブ、連携可
つまり、社長に化石をもってもらう必要があるな。
私は採用面接として会社に潜入して社長に会いましょう。
容姿と言動は女性口調で行きます。こちらの方がウケな良いでしょう。
面接が始まったら、「即戦力になりたい」「何でも頑張ります。」と言うワードを使い志望動機を話します
趣味についてのPRで化石について話します。「生命の神秘が眠っている化石を見るとウズウズします。」と笑顔で言いましょう。
社長が話に乗ってきたら「仕事だけではなく社長から化石の扱い方もご教授頂きたいです。」と言って興味を示し近寄ってみます。社長が例の化石へ触れた時に自分の身体が社長に触れられる位置なら避難させやすいはずです。
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(あれ?今日は外資系の人との話し合いがあるのかな?)
オフィスに訪れた二人の麗人を見て、何も知らぬ社員は素直にそう感じた。
彼の視界にはスーパーモデルのような長身に金髪の女性と、凛として落ち着いた銀髪の女性。
わざわざこんなブラック企業に来なくても……と内心考えはするものの、思いがけぬ珍客はこの上ない目の保養だ。
直接じろじろと見はしないものの、中性的で整った二人の美女に、オフィス内の視線はくぎ付け。
彼女らが進んでゆくのは社長室。商談か?面接か?
再びちらりと見れば、女性達が何やら話しているように見えたが……。
銀髪の方はリリー・ベネット(人形技師・f00101)。細身ながらも、スーツに包まれた体は曲線的なシルエットを描いている。
しかし、金髪の方は……先程も女性の身なりをしていた御空である。つまり、少年だ。サイズの合うレディーススーツを纏い品よく佇む姿は、やはり女性に見える。
二人とも、IDは無い。
しかし、先だって警備や認証システムを無効にしてくれた仲間のおかげで、IDがなくとも無事に入ることができた。
御空は飛び込みの面接、リリーは社長直々の依頼品の持ち込みとしてオフィスに入り込んでいる。堂々としているだけに疑う者は皆無。
どちらもかなりの美人ということも、それに拍車をかけているかもしれない。
「俺、タッパの分リーチあるし、いざとなったら社長の近く行くわ」
「承知。任せました」
社長と面談する前の、ほんの数分。僅かな時間だが、貴重な作戦会議。
緊張からか、御空は年相応の素の口調で囁く。
ドアが開いた。先に行くのはリリー。
出迎えたのは、ブラックな経営をしているとは思えぬ程、人当たりの良さそうな初老の紳士。輪郭や胴体は丸みを帯びて福々としている……まあ贅肉だ。
穏やかな笑みを浮かべた社長は、優しく話しかける。
「ええと、お嬢さんは……」
首を傾げて彼女を見つめる社長。
「お取引先からの依頼で、よい化石を持って参りました。」
大きなアタッシュケースを一瞥し、言外で示すリリー。実を言えば、その中には彼女の繰る人形も秘められているのだが。
「そうかそうか、突然でちょっとびっくりしてしまったよ。」
疑いの表情が消える社長。しかし、ほんの一瞬だけ彼の顔に浮かんだ表情を、リリーは見逃さなかった。
それはまるで、伝達ミスをした社員に殺意を抱いたかのような。
他愛ない会話でリリーは引き上げ、入れ替わりに進むのは御空。
「是非、御社で即戦力になりたいと思いまして。ええ、頑張らせて頂きますわ」
女らしい口調でにこやかにアピールする彼は、どう見ても淑やかな成人女性だ。
「わたくし、化石も好きですの。生命の神秘、太古の生命が眠っている化石を見るとワクワクしますの」
「ほう、そうなのかね!ところでこれはつい先日手に入れたティラノサウルスの化石なのだがね」
嬉しそうに一つの化石を指さす社長。だが、何かがおかしい。
御空は、視界の先に現れた微かな黒い靄を見逃さなかった。
あれは、化石に反応した恨みの念ではないか……?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ナターリャ・ラドゥロヴァ
ルー(f19531)と
ルー、指差し点検ご苦労様
そうだね、だいたい何とかなりそうだ
一応、有事の為に戦力は多いほうが良いだろう
社員の避難の導線でも確認しておくかね
「ルー、よく見ておくんだよ。これがブラック企業だ。皆忙しそうに動き回る割に目は死んでる…禄でもないねえ。君は将来絶対にこんな場所に勤めちゃいけない」
こっそりルーに耳打ちを
「課外授業参観『親子で職業体験』の会場はこちら?…あら違う?ごめんなさいね、どうしましょう」
「ああ、もう間に合いそうにない時間だね。もし良かったらこのままこちらを見学させて頂けない?」
適当な嘘と口からでまかせを催眠術で信じ込ませて、
社員達が社長室に近寄らないよう引きつける
ウルウ・エイシィ
せんせ(ナターリャ(f19517))と一緒
警備システムのハッキング、よーし
戦闘始まってからの社員さんの安全確保、よーし
社長さんの避難準備、よーし
せんせと一緒に、指折り確認しながらオフィス内をてくてく
あと、何をすればいいんだろうねぇ
やることがあれば、何でもするよ
社会見学
「これがブラック…ホントだ、目がまっくらな穴みたいだね
大人になったら、はたらいている人をよく見て、おつとめするところ、決めるね」
せんせの耳打ちに頷いた
社長室に近づこうとする人がいたら、足止め
「職業体験、よろしくお願いします!…あれ、ここじゃなかったの?どうしようか、せ…お母さん」
せんせをお母さんっていうのは、ちょっと照れくさいよ…
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会社である以上、取引や面接などの来客は多い。
だが、今日はやけに風変わりなお客が多い日だなと、ある社員は思った。
モデル級美女が二人も来たと思ったら、またも外国人とみえる長身美女だ。しかも子連れ。連れている少年の方は、物珍し気に周囲を眺めている。
子連れの外人美女が、こんな会社に何の用だろうと、見ていた社員は首を傾げた。
息子か?弟か?少年の方は何やら指を折って数えているが……
一方こちらはその来客者本人の側。
すらりとした上背に金髪のナターリャ・ラドゥロヴァ(Moon Howler・f19517)と、未だ幼い顔立ちのウルウ・エイシィ(忘レモノ・f19531)の二人。
先だって潜入した、銀髪の娘がこちらに軽く会釈するのが見えた。
こういったオフィスというものに縁が無かったからか、きょろきょろと辺りを観察するウルウ。
(ルー、よく見ておくんだよ。これがブラック企業だ。皆忙しそうに動き回る割に目は死んでる…ロクでもないねえ)
君は将来絶対にこんな場所に勤めちゃいけないよ、と、傍らの愛し子に耳打ちするナターリャ。
(これがブラック…ホントだ、目がまっくらな穴みたいだね)
彼の青い眼に映る従業員達の表情は、程度の差はあれど共通してどんよりと暗い。
特に、こちらを一瞥もせず、背中を丸めるようにデスクトップに向かう中年男性。
その落ち窪んだ目は、まるで天体図鑑に載っていたブラックホールというもののようだ。
(大人になったら、はたらいている人をよく見て、おつとめするところ、決めるね)
いい子のウルウは、「せんせ」の忠告に深く頷く。
そして二人は「社会見学」から猟兵の本分、オブリビオン退治へ気持ちを切り替える。
「警備システムのハッキング、戦闘始まってからの社員さんの安全確保、社長さんの避難準備。全部よーし」
この場では母であるナターリャに、ぴったりとくっつくウルウ。
先行してオフィスに入り込んだ猟兵が完了させた下準備を、指折り数えて再確認。
その仕草を見て、ナターリャは彼の頭をそっと撫でる。
「せんせ。僕たちはあと、何をすればいいんだろねぇ」
「だいたい何とかなりそうだ。あとは……」
一般人である社員が、ティラノサウルス出現後に避難する際の導線確認か。
出入口は、さっき自分達も通ってきた両開きの自動ドアが一つ。
少し離れて、片開きの社員用のドアが一つ。
自動ドアさえ大丈夫なら、全員避難は容易だが。
ガラス張りの自動ドアは、いっそその時になったら粉砕してしまうのも手だろう。
「あ、あの、弊社に何か御用ですか……?」
怪訝な顔をして、気弱そうな女性社員がおずおずと話しかけてくる。
「職業体験、よろしくお願いします!……あれ、ここじゃなかったの?どうしようか、せん……お母さん」
ウルウが元気よくお辞儀するも、ますます困った表情を濃くする女性社員。
「あの?お客様?」
「課外授業参観『親子で職業体験』の会場はこちら?……あら違う?ごめんなさいね、どうしましょう」
彼女の言葉を遮るように話しかけるナターリャ。
今、三人が位置しているのは社長室にも近い受付。
おそらく、あと数分もせずにオブリビオンのティラノサウルスは出現する。ここを離れるわけにはいかない。
「ああ、もう間に合いそうにない時間だね……もし良かったらこのままこちらを見学させて頂けない?」
どことなく獣めいたナターリャの瞳。そのムーングレイの虹彩を見た女性社員は催眠に落ちる。
「はい。この中でしたらどこでもご覧になってください。」
この二人は、正当な手順でやってきた見学者なのだと。
ウルウとナターリャは、それとなく社長室の前に足を進める。
社長室の中には、既に面接として潜入した仲間もいるはずだが……
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『暴れまわるティラノサウルス』
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POW : がぶがぶ
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : びたーん
【尻尾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : がおー
【大きな鳴き声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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最初に異変に気付いたのは、面接として社長室にいた少年だった。
先刻から黒い靄が見えていたのだが、この数分でいやに濃くなった気がする。
「む?地震かね?」
社長が呟く。
傍らの化石は、誰も触れていないのにカタカタと震えている……と、思ったその瞬間。
『グゥウオオオオオオオオオオオ……』
何処からともなく響く、恐ろしい唸り声。
黒い靄が、社長室の中を満たしたかと思えば、その靄が三つの大きなシルエットを形作る。
その靄が緑色を帯び、実体を成し……現れたのは。
社長に向かって牙を剥く、三頭のティラノサウルス!!
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
ハッキングした警備システムで火災報知器を鳴らすと同時に、社長室に駆け込みます。
さほど広くもない戦場、今回は距離を取って狙撃と言うわけにはいきませんねぇ…。
「ビット展開、ダンス・オブ・ブルーサファイア!」
とりあえず社長を逃がすため、ビットをティラノと社長の間に割り込ませると同時に、ソードビットで閃光の魔盾のビームを増幅・展開。
社長室の内側に破魔の力を込めた光の壁を作って戦場を隔離します。
また、ライフルビットは味方を援護するように配置。援護射撃を行います。
私自身はビットを操りつつ、真紅銃の粒子剣と、精霊石の銃の零距離射撃で戦いますね。
「永劫の闇へと還れ、呪われし龍!」
剣堂・御空
最初の攻撃を止めないと社長室にいた人が危ないですね。
まず持ってきたバッグからスニークペインター(スプレー)を取り出して吹き付けて行きます。目潰しをすれば多少足止め出来ると思います。
「社長、お逃げください。こいつは私と仲間達で退治しますので!社長がいれば会社は存続できますから!」
スニーク・ペインターを腰に装着しながら避難誘導。数秒あれば社長が逃げてくれるでしょう。
ティラノの次なる噛みつきを近くにある道具を噛ませて止めて、スプレーで×印を付けます。これで断罪者の刻印を発動させて切断攻撃します。
「今こそ、断罪の時!」
社長室から出たら机などを使って隙を作り同じように攻撃していきます。
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『ゴルルルルルル……』
白亜紀の王者、ティラノサウルス。令和の世に降り立った3体は、どす黒い眼で社長を見据える。
彼らが顕現するトリガーとなった化石の呪物は『他人からの恨み』に反応する術式を仕込まれていた……なら、この老人を狙うは必定か。
火災を知らせるけたたましい警報音がオフィスに鳴り響く。先だってハッキングでシンが掌握していた警備システムが作動したのだ。
何だ何だとキョロキョロする社員たちへ、駆け込んできたシンが火災だと虚偽の通達をすれば、社員は次々に外へ。
「ひぃぃいいっ!ほ、本物のティラノサウルスだぁーっ!!」
御空は社長室にいたこともあり、室内で社長を庇う形でティラノサウルスと対峙していた。社長の目と鼻の先まで、ティラノサウルスの牙と爪が迫る。
傍らに置いていたリクルートバッグから取り出した、愛用のペイントスプレー。御空はそれを、最も近い一体へすかさず吹き付ける!
『ぐぅっ!』
一瞬ひるむ恐竜。かかったのは単なるペンキではなく、ゴッドペインターの使う物なのだからただでは済まない。
「社長、お逃げください。こいつは私と仲間達で退治しますので!社長がいれば会社は存続できますから!」
ブラック企業じゃ先はどうだかなと内心思いつつも、淑やかな口調は崩さずに勇気づける御空。
「そ、そうだな!そうだな!よし、逃げよう!!」
鞠が転がるようにドアへ進む社長。あとは仲間がうまく逃がしてくれるだろう。
尚も社長を追おうとするティラノサウルス。
最も突出して迫る一体を狙い、社長室にあった電話機を噛ませて怯ませる。
そのがら空きの胴体を狙い、ペイントスプレーで思い切り×印を描く!
「今こそ、断罪の時!この印こそ、俺の必殺技だ!!」
次の瞬間、刃物も無いのにティラノサウルスの胴体が大きく抉れる!
御空のユーベルコード、断罪者の刻印だ。×印を描いた所を切断する、まさに色彩のギロチン。
シンはやや戸惑いながら応戦していた。
さほど広くもない戦場だ。遠距離戦を得意とする彼だが、この屋内では距離を取って狙撃というわけにはいかぬ。
ならば、と選択したのは粒子剣での白兵戦と、精霊銃の零距離射撃。そして……
「ビット展開、ダンス・オブ・ブルーサファイア!」
召喚されるはソードビットとライフルビット。いずれも宙に浮いており、室内を縦横無尽に飛び回る。
輝く蒼は仲間の盾となり、悪しき竜を打ち倒す剣となる。
「皆さん!援護射撃は任せて下さい!……永劫の闇へと還れ、呪われし龍!」
未だ暴れ回る恐竜達を睨み付ける。整った顔に怒気を浮かべ、シンが吼えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リリー・ベネット
来ましたか。
化石に命が宿るのは少し興味深いですが、そんな事も言ってられませんね。
先にアタッシュケースに忍ばせておいたアントワネットとフランソワーズを起こします。
人形自らアタッシュケースから飛び出せるようにしてあるので、
他の仲間が社長を助けるようならその援護を、
私達が一番早く動けそうであれば社長を部屋の外に連れ出してしまいましょう。
まぁ、社長は少しくらい怖い思いをしてもよいと思いますがね。
ティラノサウルスにはアントワネットの【誘惑】で視線を誘導します。
【毒使い】や【マヒ攻撃】で動きを鈍らせることができるでしょうか。
隙ができたらフランソワーズに漆黒の斧槍を持たせて攻撃です。
さっさと終わらせましょう
●
時間はティラノサウルス出現直後へ少し巻き戻る。
「来ましたか」
アタッシュケースで眠らせていた二体の人形、アントワネットとフランソワーズを呼び起こすリリー。
命を宿す化石と、蘇った太古の竜。惹かれないと言えば嘘になるが、今はそんなことは言っていられない。
やりたい放題のご老人は、少しは怖い思いをした方が良いのではないかと、内心思わなくもないが。
そう考えていた瞬間。
ヒュン、としなる竜の尾がリリーの鼻先を掠めた。フランソワーズの頭にも当たり、リボンが落ちる。
いくら一体毎は強力ではないとはいえ、こんなもの直接喰らったら堪ったものではない。
一方。真紅のドレス纏うアントワネットは、裾をひらひらとさせながら右へ左へ。
紅は挑発、そして誘惑の色。
ティラノサウルスに向かって、可愛らしい仕草でアピールして惹きつける。
恐竜たちが牙を剥き噛みつこうとしても、妖精が飛ぶようにひらりと躱してしまう。
「さっさと、終わらせましょう」
その後ろで、漆黒の斧槍を持って力を蓄えていたのはフランソワーズ。
何事も暴力で解決するのが一番だとばかりに、小さい人形とは思えぬ力で斧槍を最も近くの個体の首目掛けて振り下ろす!
空色ドレスの人型機械人形が振り上げたのは、麻痺毒を帯びた呪いの刃。
『ギョグッ!!』
呪いの刃を受けたティラノサウルスの首が社長室を舞う。その血……ではなく、黒い靄が放物線を描く。
残された身体は、痺れたように小刻みに震えたかと思うと、その場にどっかりと倒れ込んだ。
成功
🔵🔵🔴
ナターリャ・ラドゥロヴァ
ルー(f19531)と共闘
まぁこういう社会見学も良いだろう
社長を部屋の外に蹴り出しながら記憶消去銃で撃つ
「まぁなんて言うか自分が蒔いた種だ…君が恨まれてなけりゃあこいつらは現れなかった訳だし」
出てきたものは仕方ないから倒すけど
「さて、ルー、問題です。この生き物は何でしょうか?」
そっか、覚えてないかぁ…仕方ないなあ
「レテ、あんまり取らないでよ」
ルーと水猫の会話に返しつつルーの壁になる位置で立ち回りながら、武器の複数本のメスで敵を牽制
ルーが仕掛けたタイミングでUC発動
「ごめんルー、後でちゃんと縫ってあげるから!」
まだ制御し易い最初の一撃を、極力、力を逃しながらルーへ
その後敵に連続で斬撃を叩き込む
ウルウ・エイシィ
せんせと(ナターリャ(f19517))一緒
『わわ、勿体ねえ!』
左手からレテが顔を伸ばして、社長さんから抜け出た記憶をパクリ
「僕、知ってるよ。恐竜、でしょ。種類は、えっと…」
あれ…せんせと勉強した気がするのに、忘れてる
「レテ、お手伝いして」
「…パンケーキ『傘と散歩、お手伝い券もだな』
ダメ、取り過ぎ『駄目だ足りねぇ』…じゃあ雨の日の記憶まで、ね」
せんせと過ごした幸せな記憶を対価に、レテの力を借りるよ
【忘レ者ノ約束】
水猫の顔が、恐竜の頭よりも大きく膨れる
がぶがぶは、レテがぱっくん
庇ってくれたせんせにお礼を言ってから
「はい、どーぞ」
なるべく長生きしてほしいからね
幾らでも切っていいと、手を広げるんだ
●
部屋の外へ、ヨタヨタと這い出るように逃げてきた社長。
その首根っこを掴むように引っ張って、尻を蹴って戦闘区域から遠ざけるナターリャ。太った老人を見下ろすように銃口を向ける。
己に向けられた銃口に脅える社長。
「な、何だね君たちは!あの恐竜は一体何なんだ!ハッ!?まさか先月クビにした鈴木か!?それとも去年潰してやった取引先の差し金か!?」
「まぁなんて言うか自分が蒔いた種だ……君が恨まれてなけりゃあこいつらは現れなかった訳だし」
唾を飛ばして叫ぶ老人へ、ナターリャは灰色の瞳を揺らすことなく引き金を引く。
身を護るように丸くなる社長だが、放たれたのは鉛玉ではなく眩い光。ナターリャが撃ったのは、UDCエージェントとしての仕事道具、記憶消去銃である。
その光に包まれた社長の頭から、半透明のうっすらとした煙のようなものが抜け出る。
一連のこの事件、ここ十数分の記憶だ。このまま放っておけば消えてしまうが……
『わわ、勿体ねえ!』
ナターリャの後ろに控えていた、ウルウの左手から勢いよく飛び出した水猫のレテが、慌ててそれにかぶり付く。
レテはウルウの記憶を代償に彼の身体に巣くうオウガだ。他者の記憶もまた滋養となるのだろうか。
気絶した社長を雑に放り投げて、二人は残る二頭のティラノサウルスへ向き直る。傍らのウルウを愛称で呼ぶナターリャ。
「さて、ルー、問題です。この生き物は何でしょうか?」
「僕、知ってるよ。恐竜、でしょ。種類は、えっと……」
と、言いかけたところでウルウは首をかしげる。勉強した気がするのに、忘れてしまったみたい。
覚えてないなら仕方ない、と微笑むナターリャ。
ウルウは、難しそうな顔をして、古い竜を見つめる。
ぽっかりとして虚ろな黒い目は、なんだかさっき見たおじさんの目によく似ているように思えた。
さあ、もう怪獣には用がない。片付けてしまおう。
「レテ、お手伝いして」
ウルウの身体から現れる水の猫。
「……パンケーキ『傘と散歩、お手伝い券もだな』」
記憶を対価にする同居人は、かなりの額を少年にふっかける。取り過ぎだと反論するも、レテは譲らない。
「……じゃあ雨の日の記憶まで、ね」
麗しの恩師と共に過ごした記憶を対価に、水猫は生き生きと暴れ始める。
「レテ、あんまり取らないでよ」
それを見ていたナターリャは、苦笑して口を挟む。愛し子の記憶をあまり食べられすぎるのも考え物。
余裕ある態度は崩さずに、得物のメスを振るってウルウの壁になるよう立ち回る。
水猫の顔が、恐竜さえ小さく見える程に膨れ上がった。
「がぶがぶは、レテがぱっくんするよ」
三日月のような弧を描く口がガバッと開く。
『いただきます』
決して軽くない代償を食べたレテは、恐竜を一体丸ごと飲み込み食い尽くす。
それと前後して、ナターリャが……ウルウをメスで斬りつける。
「ごめん、ルー。後でちゃんと縫ってあげるから!」
「うん、どーぞ」
九死殺戮刃。極めて強力なユーベルコードだが、仲間を斬らねば代償として己の寿命が縮むというリスクを孕む業。
辛うじて制御の効く初撃を、可能な限り軽くする形で愛し子へ。
彼は恩師には長生きして欲しいと願うから。そして、彼女への揺らがぬ想いがあるからこそ、喜んで傷を開く。せんせのためなら、いくらでも。
「これで、終わりだ!!」
目にもとまらぬ八筋の軌跡。一瞬遅れて、鮮血の代わりに噴き出す黒い靄。
現代に甦ったティラノサウルス。最後の一体は、その全身から靄を流してどさりと倒れ――そして、雲散霧消した。
●
ティラノサウルスを全て仕留めた猟兵たち。
元凶となった化石を壊そうとするも、当の化石はティラノサウルスがすべて倒されたからなのか、戦いの余波か。
既に原型を留めぬほど粉々になっていた。
激戦の結果としてグチャグチャになったオフィスは、UDC組織の尽力もあり表向きはガス爆発ということで片付けられた。
事件の記憶こそ消えてしまった社長だが、牙を剥くティラノサウルスの光景は、記憶の奥底に残って【死への恐怖】として彼の脳に残り続ける。
じきに心を病んだ社長は後任を指名して席を退き、ブラック企業も少しずつホワイト企業への道を歩み始めていったとか。
その後、心を癒やすための病院へ入ったという社長の消息を知る人は居ない……。
大成功
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