●雨余を望む
降りしきる雨が、峡谷で暮らす人々を街ごと包む。
雨宿りがてら店で珈琲を飲む男が、窓越しに見える景色を話題に初老の店主へ語りかけた。
「最近よく降るよなぁ。洗濯物が乾かないって女房が嘆いてるよ」
「ええ、本当に。買い物にも出かけられませんしね」
「行商も来なけりゃ、冒険者の一人も来やしねえ。酒場の依頼も増えてんのに、困ったもんだ」
「あ、おじさん。それ、この雨だけのせいじゃないらしいのよ」
テーブル席でアイスティーとケーキを楽しんでいた若い女が、男と店主の話にまざる。
「最近この街に来る途中で、行方不明になる人が増えてるらしいの。ほら、森を抜けた荒野の辺り」
「ああ、あそこか?確かに難所とは言うけどよ、そこまできつい道中でもないだろ」
「だからよ!出るんですって、とんでもなく強いモンスターが」
「んじゃあ酒場に依頼が……ああ」
「その冒険者達が来てくれなければ、モンスター退治も頼めませんね」
困ったなぁ、と話題が途切れたところで、店主は呟く。
「せめてこの雨がやめば、きっと約束の虹も見えるでしょうに」
●雨下を往く
「皆さん、来てくれてありがとうございます。早速ですが、今回皆さんにはアックス&ウィザーズへ行ってもらいます」
集まった猟兵達へ頭を下げたのち、鎹・たから(雪氣硝・f01148)は説明を始める。
「最近、とある峡谷の街へ向かう途中、冒険者達が度々行方不明になるスポットがあり、そこにはとても強いモンスターが住んでいるという噂が広がっています。その噂は本当でした、実際はモンスターではなく、オブリビオンだったのですが」
いくら実力のある冒険者達といえど、オブリビオンが相手では勝ち目がない。
「行方不明になった人々の中には、出発地へ帰ってきた人も居ます。ですが、彼らも以前の性格とはすっかり変わってしまい、堕落した生活を送って、ついには理性を失っています」
それらはオブリビオンの影響なのだと、少女は説明を続ける。
「帰ってこなかった人々は、残念ながらオブリビオンにいのちを奪われました。ですが、理性を失ってしまった人々は、オブリビオンをほろぼすことで正気に戻ります」
正気を奪われた人々のために、いのちを奪われた人々のために。頷く猟兵達へ、たからは再び感謝を口にする。
「オブリビオンが居るのは荒野で、今はずっと雨が降っています」
歴戦の猟兵達だ、ぬかるみで転んだりすることはありえない。だがもし濡れるのが嫌なら、雨を防ぐ対策をしておいた方がいいだろう。
「まず待ち構えているのは悪霊の群れです。彼らは負の感情を取り込むことで生き永らえており、感情の解放を促すよう誘惑して、冒険者に憑依します」
戻ってきた人々が理性を失くした原因は、間違いなく彼らだ。負の感情に囚われぬよう注意が必要かもしれない。
「悪霊をほろぼしたあと、彼らを操っていたもう一つの悪が現れます。それは死霊を操る女の呪術師で、残念ですが、帰ってこなかった人々は彼女が死霊として使役しています。恐ろしい力をもっていますが……」
ふと、羅刹が口ごもる。
「彼女は、自分のすることが間違っているのだと、わかっているようでした。でも、やめられない。やめたくても、自分の力ではもうどうすることもできない。そんな風に泣いているように見えました」
たからにはそれ以上、呪術師の心は視えなかったらしい。
「どうか彼女を止めるために、彼女をほろぼしてください」
話題を変えるように、楽しいこともありますよ、と一言。
「全ての悪をほろぼしたあと、峡谷の街へ遊びに行きませんか」
その街の雨上がりの特別晴れた日には、谷を跨ぐ大きな虹に出会えるという。少女が視たところ、オブリビオンを倒したあとは晴天になるのだとか。
「虹はとても綺麗で、その虹がかかった日は、特別な約束を交わす日なのだそうです。未来の自分との約束、大事な人と絆を確かめる、素敵なことだと思います」
過ごし方はそれぞれ自由だ、虹を眺めたり土産物を買ったり、虹に約束するのもいい。
「だって雨上がりは、それだけでとても素敵なものですから」
雪と色硝子に煌く瞳は、猟兵達を雨降る荒野へ案内する。
遅咲
こんにちは、遅咲です。
オープニングをご覧頂きありがとうございます。
●成功条件
全てのオブリビオンを撃破し、峡谷にかかる虹を見る。
戦場は始終雨が降っていますが対策不要、戦闘に支障ありません。
濡れるのが嫌な方は雨除け対策をお願いします。
第3章は自由にお過ごしください。
お誘いがあれば鎹・たからが同席させて頂きます。
どの章からのご参加もお気軽にどうぞ。
皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『『邪霊』イービルスピリット』
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POW : 怒りを誘う霊体
【憤怒・憎悪・衝動などの負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【怒りを増幅させる紅顔の霊体】から、高命中力の【憑依攻撃、及び感情の解放を誘う誘惑】を飛ばす。
SPD : 欲望を促す霊体
【情欲・執着・嫉妬などの負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【欲望を刺激する黄顔の霊体】から、高命中力の【憑依攻撃、及び感情の解放を誘う誘惑】を飛ばす。
WIZ : 悲しみを広げる霊体
【失望・悲哀・恐怖などの負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【心の傷を広げる蒼顔の霊体】から、高命中力の【憑依攻撃、及び感情の解放を誘う誘惑】を飛ばす。
👑11
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ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、絡み・連携歓迎)
…どこかで聞いた事ある悪霊と思えば、「イービルスピリット」とはな。
…嘗て俺の宿敵も使役していたが、野生で存在するのもいるとは。
……まあ見つけた以上、被害拡大は阻止せんとな。
(方針:WIZ)
…無論対処法はただ一つ、奴等の言葉に迂闊に耳を貸さなければ良い。
…奴らが向ける悲壮さを誘う言葉には、その声に抗う【覚悟】を持って臨み、憑依は「光の精霊の加護」を受けた【精霊剣】での【武器受け】+【オーラ防御】で阻止する。
…防ぎながら、一体ずつ霊体に向けて【精霊剣】で確実に斬る(属性攻撃)、これが一番確実だ。
…霊体だからと変に恐れる必要はない、ただそれだけの事だ。
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
UC対象:邪霊
POW
【携帯食料】を食み脳細胞を活性化し、【学習力】を強化する
細胞達を通して邪霊の悪意が伝わってくる
何とか攻撃するタイミングは分かりそうな気がする
これを逆手に取るか
憑依攻撃が来たタイミングで【目立たない】ように【ダッシュ】し【残像】を発生させ、憑依攻撃を回避した後元の場所に戻る
【吸血】衝動を解放し怒りに身を任せた猟兵を演じよう
「霊が騙されるか…相当今まで上手く行ってたんだね」
仕掛けた邪霊以外が負の感情を吸収しようと近づいて来たら…斬ってやろう
斬るという【覚悟】があれば霊体も斬れるはず!
「何を驚いている?あ、その感情は取り込めないって?ならば斬ってあげよう」
煙るように降る雨に、黒髪を濡らす男が二人。
「どこかで聞いた事ある悪霊と思えば、『イービルスピリット』とはな」
「見知った相手か?」
ルトルファス・ルーテルガイトがぽつりと呟いたのを聞きとり、仁科・恭介が声をかける。
「ああ……まあ見つけた以上、被害拡大は阻止せんとな」
かつての宿敵が使役していた悪霊達は、今もこうして生き永らえている。野放しにはさせられぬと、少年は赤褐色の外套を口元へ引っ張り上げた。
哀しみ宿す蒼顔の霊体が、ルトルファスめがけて宙を舞う。雨に打たれるもその悲壮な表情が消え去ることはなく、鬱屈した声色は静かに囁く。
『お前の胸の痛みはなんだ』
『守れなかったものを思い出せ、恐れるものを秘めなくていい』
『その悲哀を教えておくれ、きっと今より、ずっと楽になる』
どこか同情するように囁く声は憐憫に満ちていて、邪霊は心に刺さった棘を抜いてやろうと迫る。けれど少年に、そんな情けは不要だった。
「悪いが、お前に哀れまれるほど俺は弱くはない」
ルトルファスが剣の柄を構え直すと、そこには、本来ならばある筈の刀身がなかった。しかし、刃のない剣に光の精霊の加護を宿せば、瞬く間に輝くすらりとした刀身が現れる。
この悪霊への対処法はただひとつ――彼らの言葉に耳を貸さなければいい。『過去』に食われた故郷も親も、彼らに明け渡してなるものか。
ルトルファスの身体に憑りつこうとした邪霊を、輝きを宿した剣が防ぐ。同時に、流れるような動きで霊体を斬り裂けば、光の残影が雨の中で揺らめいた。
「……霊体だからと変に恐れる必要はない、ただそれだけの事だ」
「なるほどね」
その様子を見た恭介は干し魚を齧りよく咀嚼、活性化させた脳細胞を通して伝わる悪意が、彼らからなみなみと溢れでるのを察する。
「なら、私は逆手に取ろう」
彼を狙う霊の表情は、まさに憤怒そのものだった。雨に消えぬ焔のようにめらめらと、抑えきれぬ憎悪の奔流が青年を襲う。
『その怒りは正しいもの』
『衝動を解放しろ、奴らに思い知らせてやろう』
『お前の憎しみがお前の全てを変えるはずだ』
ごう、と勢いよく、恭介の身体を悪霊が取り込む寸前、彼は素早く回避し残像を残す。しかし、恭介は何故か再び元の位置へと戻っていた。明るい茶の瞳は大きく見開かれ、片手で覆う口から洩れだす呻き声。
「が……ッ!ぐぅ……ッ!」
震えだす身体が抑えていたのは、ダンピールとして生きる者達が抗い続ける吸血への衝動。激情に身を委ねる青年の姿に、悪霊は高らかに笑う。
『それがお前の秘めたる衝動!さあ、喰らえ、食らえ、クラエ!』
様子を見ていた仲間達が、恭介の負の感情を取り込もうと一斉に飛びかかる。小さく舌打ちしたルトルファスが群れを追おうとした時、
「霊が騙される、か……今まで相当上手くいってたんだね」
ふいに聞こえた声はひどく穏やかで、どこか呆れたような色をしていた。二振りの刃が煙雨の中でぎらりと光り、青年に群がる者共を音もなく真っ二つにする。何が起きたのかわからない様子の悪霊に、恭介はわらった。
「何を驚いている?あ、その感情は取り込めないって?」
ならば斬ってあげよう、と、素早く接近。激情を宿した霊は露と消える。
「少し驚かせたかな」
「……いや」
くすりと笑む恭介に、ルトルファスはそっぽを向く。背中合わせの二人は派手に濡れるのも気にせず、邪霊の群れを屠るために駆けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
トリテレイア・ゼロナイン
人に取り付く悪霊とそれを操る呪術師ですか……
人的被害が出ている以上、放置するわけにはいきませんね。早急に討伐しなければ。
それにしても、泣いていたとは……彼らは世界を破滅に導くことを定められた存在、そんな存在が自分の在り方を嘆くということがあるのですね……
まずは邪霊を倒しましょう。「人」の精神を弄ぶことなど断じて許せるものではありません。ですが憤恕の感情すら利用するとは…
「では感情を封じましょう」(UC発動)
淡々と機械的に格納銃器で攻撃しつつ接近、●怪力シールドバッシュで殴り倒し●踏みつけ脚部パイルで●串刺しに
剣でも串刺しにした後は腕部銃器を至近距離で発砲
……あまり褒められた戦法ではありませんね
雨粒弾く白銀の装甲を纏った騎士が、太陽の隠れた荒野に降り立つ。煌々と輝くあおの視界はクリアで、トリテレイア・ゼロナインは周囲を見渡した。
「人に取り付く悪霊と、それを操る呪術師ですか」
人的被害が出ている以上、放置するわけにはいかない。早急に討伐しなければ、と、武装と敵影を確認する。その間、脳裏によぎるのはグリモア猟兵の言葉。
「それにしても、泣いていたとは……」
オブリビオンは世界を破滅に導くことを定められた存在であり、そんな存在が自分の在り方を嘆くということがあるのか。はたして自分は、彼女の想いに触れることができるのか。
思いを巡らせるうち、くゆる紫のオーラめいた集団の接近を察知。考えるのはあとだ、まずはこの邪霊達を倒すことが自分の任務なのだから。
『奴等への憎悪はお前の枷ではない』
『怒りを今こそ力へ変えるべきだ』
『その心が殺している衝動を!解き放て!』
誰の叫びを代弁しているつもりなのか、紅顔の霊体は激しく憤りながらトリテレイアへと迫りくる。
「憤恕の感情すら利用するとは……」
騎士として、『人』の精神を弄ぶことなど断じて許せるものではなかった――だから、『人』ではないからこそ、
「では感情を封じましょう」
『機械』は自らの精神構造の最優先事項を戦闘へ切り替え、清廉な優しい騎士の姿は鳴りを潜める。
肩部と前腕部に格納された銃火器で、周囲に散らばる邪霊の群れに弾幕を浴びせながら、憤怒に燃える霊体へ接近。身の丈ほどの大型の盾を強靭な腕力で殴りつければ、十分な鈍器になった。泥にまみれた地面に叩きつけられた霊体を、ウォーマシンの全体重が乗った踏みつけが襲う。
踏みつけと同時に、脚部パイルが標的を串刺しにする。あくまで冷淡に、言葉を発することなく攻撃を続ける『機械』は、長剣で再度敵の身体を貫く。トドメのように、腕部銃器が至近距離で狙いを定めた。
発砲音は、雨に消える。
大成功
🔵🔵🔵
カメリア・クラウゼヴィッツ
【夜鷹】の皆と一緒に
アドリブ等も歓迎
雨はともかく、濡れるのは好きじゃないわね
見えない”傘”でも展開しておこうかしら
【サモニング・ガイスト】
さあお兄ちゃん《Apostel》、剣をとって
邪霊をヘルハウンドに引き渡してやりましょう
雨…水…そうね、雷の[属性攻撃]を彼の斬撃にのせるわ
お兄ちゃん《Apostel》、松路や美鶴の騎士たちと息を揃えて
特に…松路は生身だから気をつけてあげて
理性を、或いは命を失うほどに獲物の感情を貪るなんて馬鹿のやることだわ
来世はもっとマシなものに生まれなさい
怒りも欲望も悲しみも、お前らに与えてやらないわ
そういうものはね、秘密の場所に仕舞ってあるの
私しか開けられない、秘密の匣に
比良坂・美鶴
【夜鷹】の二人と
アタシ、雨は嫌いじゃないのだけど
二人はどうなのかしら?
敵の挙動をしっかりと観察しつつ
しっかりと距離を取った上で
『リザレクト・オブリビオン』
死霊達に破魔の力を与え嗾けるわ
手数にモノを言わせ二人と連携しつつ
誘惑を飛ばされる前に一体ずつ確実に仕留める
攻撃動作をしている顔を優先的に
躾のなってない子ね
人の抑え込んでいるモノの蓋を開けるだなんて
無粋だと思わないの?
それでも攻撃阻止が間に合わなければ
騎士を先に捻じ込み庇わせ
憑依攻撃だけでも阻止
やり過ごしたら即刻カウンターを叩きこんで
その顔を潰すわ
二人に気安く触れないでくれる?
……、ああ
ほんとに嫌ね
折角抑え込んでるって言うのに
喉が渇くわ
末野木・松路
【夜鷹】のお二人と一緒に
雨は嫌いじゃあないですね
煌々とした陽の光は、俺には眩しすぎるので
ああ、だから、そうですね…好都合です
生きる為に負を喰らうなんて
まるで生き地獄じゃないのか
お前の生きる意味ってなんだ、なあ
まだ取り戻せるものがあるんだっていうのなら
かえしてもらいますよ
お前の奪った心
お前に対する恐怖
生憎「コイツ」で見慣れている
来い、ジョーカー
攻撃はお前に任せる
喜んで迎えに行ってやるといい
そうして抱きしめて電流で殺しちまう…
お前(ジョーカー)、好きだろそういうの
俺は対象とは一定の距離を取り
直ぐに連携が出来るよう仲間の傍に
隙を見て此方を狙うものがいれば
毒針撃つ拳銃で先制して攻撃を
▽アドリブ歓迎
「アタシ、雨は嫌いじゃないのだけど。二人はどうなのかしら?」
艶やかな黒髪と喪服を濡らして比良坂・美鶴が問えば、もう一人のモノクロームのふるえる声が返す。
「雨は嫌いじゃあないですね。煌々とした陽の光は、俺には眩しすぎるので」
ひかるみどりの瞳は、けぶる雨の中でいっとう瞬く。末野木・松路は周囲を見渡しても、目を痛がる様子はない。
「ああ、だから、そうですね……好都合です」
そう続けた男の言葉に、ふぅんと少女に見える女が答える。カメリア・クラウゼヴィッツの彩は、景色がぼやける世界でただ一人、不思議とよく映えた。
「雨はともかく、濡れるのは好きじゃないわね」
オーロラの髪も赤と白で彩った服も濡れていないのは、魔法で展開した透明な傘が、宙で水を弾いているから。しっかり対策を講じている姿に美鶴はくすりと笑んでから、ふと一点を視線を遣る。
「お出ましのようね」
群れる数多の邪霊は、不気味な呻き声をあげて【夜鷹】へ迫る。とりわけ大きく響いたのは、悲嘆に暮れる蒼顔の霊体が誘う負の叫び。
「生きる為に負を喰らうなんて、まるで生き地獄じゃないのか」
胸の底を這うように轟く叫びに、松路の声はもう一度小さくふるえた。アレらに、意思や思念が在るのかもわからないけれど。
「お前の生きる意味ってなんだ、なあ」
「松路」
ふわり、雨の中でも甘い香りを漂わせて、小さな魔女の声が男をやわく呼ぶ。ぴくりと肩を震わせた松路は頭を下げ、ぽつりとすみません、と口にした。
「すぐに終わらせましょ」
もう一度笑んだ美鶴が二人に呼びかけて、そっと死者へと喚びかける。音もなく現れたのは、仏花を抱く屍の騎士達。カメリアとは違う葬列の香りが辺りに立ち込め、美鶴を守るように並ぶ。いい子、と呟いた屍化粧師は、従える霊達に破魔の力を与えた。
美鶴に次いでカメリアが箒で地面をとん、と打つ。その音に呼応した古の戦士は、小さな魔女に寄り添う。
「さあお兄ちゃん《Apostel》、剣をとって」
魔女が戦士の剣に纏わせたのは雷の魔法。嵐が来る前触れか、その切っ先にばちりばちりと雷鳴が輝く。
「皆と息を揃えてちょうだい。特に……松路は生身だから、気をつけてあげて」
「ありがとうございます」
礼を言った松路が、一度だけ息を吸う。首に添えた黒いチョーカーを外し、露わになった傷口からぞわりと漏れ出す電流が、みどりの双眸と共にひかる。見据えた先、蒼い貌が心の解放を招いていた。
『抱え込んだ悲しみを吐き出そう』
『恐怖は誰にでもあるのだから』
「お前に対する恐怖なら、生憎『コイツ』で見慣れている」
――来い、ジョーカー。
呼びかけと同時、傷口から零れる電流と共にごぼりと這い出たおぞましい長身の異形。
「喜んで迎えに行ってやるといい」
男が言いきる前に、既に異形は動いていた。雨に濡れることなど構わず蒼顔へと迫れば、その霊体をきつく抱きしめた。あわれな怪物の抱擁に応じることなく、霊体は霧散する。
『その身に受けた絶望を知らしめよう』
『嘆いているのだろう、可哀想に』
同情するような言葉に、気だるげな金の瞳がほんの僅かに拒絶を示す。すかさずお兄ちゃん《Apostel》と呼べば、雷鳴纏う剣を振りあげて古の戦士が駆けた。それは壊れた玩具のようで、けれど迷いのない、幾度となく繰り返される斬撃の嵐。更に雷撃が、悲壮な顔をみるみるうちに焦がす。
「怒りも欲望も悲しみも、お前らに与えてやらないわ。そういうものはね、秘密の場所に仕舞ってあるの」
それは彼女にしか開けられない、秘密の匣に。美鶴が頷いて、呆れたようにため息をつく。
「全くだわ、躾のなってない子達ね。人の抑え込んでいるモノの蓋を開けるだなんて、無粋だと思わないの?」
屍の騎士は仏花を咲かせたまま、蛇竜と共に雨の中を舞う。すらりと長い剣が霊体に斬りかかれば、破魔の力が呪いを打ち消す。寄り添う巨大な蛇竜は素早く世界を泳ぎ、他の群れを薙ぎ払う。数の暴力と言ってもいい葬列は、いつまでも続くかに見えたが。
『痛みを教えておくれ』
『もう一人で苦しむ必要はない』
霊体が接近したのは三人の中で最も距離の近い松路。構えた拳銃の銃口を咄嗟に向けた時、男と霊体の間に屍の騎士が割り込んだ。死人に口なし――いくら憑依しようと、相手が屍では感情の解放など意味がない。すぐさま、他の騎士と戦士の剣が流麗な動きで霊体を斬り裂いた。
「二人に気安く触れないでくれる?」
雨水に濡れた温和な表情が冷たく冴えて、蒼い貌に侮蔑の眼差しを向ける。
「……ああ、ほんとに嫌ね。折角抑え込んでるって言うのに」
忌避を抱いている喉の渇きが、美鶴の中を駆け巡る。普段と変わらず美しいものの、少しだけ苛立ちを見せる屍化粧師の横顔へちらりと視線を投げて、小さな魔女が声をあげる。
「理性を、或いは命を失うほどに獲物の感情を貪るなんて馬鹿のやることだわ。来世はもっとマシなものに生まれなさい」
雷鳴と電流が融けあって、ばちばちと光を放つ。屍の騎士と古の戦士が剣を奔らせている傍で、愛をこめて異形が抱擁を与える。
べしゃりと泥に汚れた足元も構わず、松路が再び拳銃を構え、一発二発と毒針を撃ち込む。
「まだ取り戻せるものがあるんだっていうのなら、かえしてもらいますよ」
お前の奪った心を、ひとつ残らず。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『黄泉帰る災厄』プレアデス』
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POW : 死霊魔術【怨霊憑依】
【僅かに残された良心】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【最悪の怨霊に憑依された状態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : 死霊魔術【致死邪眼】
【生前の大切な記憶を代償にすること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【生命力を奪い死霊へと変化させる邪眼】で攻撃する。
WIZ : 死霊魔術【死霊兵団】
【レベル×100体の歴戦の死霊騎士】の霊を召喚する。これは【一糸乱れぬ連携による槍術】や【暗黒魔術と火炎魔術の合成魔術】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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猟兵達によって邪霊の群れが一匹残らず消え去ると、雨の勢いは激しさを増す。まるで、何者かの登場を演出するように。
霊が群れていた中心、金色の靴が水たまりをぱしゃりと踏んだ。
「悪霊を全て消し去ったのですね……なんてお強い方々でしょう、今までの方々とは大違いです」
揃えて切られた黒髪を濡らして、服とも言えない衣を纏った女が猟兵達を見た。その瞳に光はある、けれど何処かぼんやりとして、赤い彩が妙にぼやけている。
「ですが好都合。こんなにお強い方々ならば、私を殺してくれるのでしょうね。ええ、殺してくれなくては、そうしなくては、」
「私が、貴方がたを殺さなくてはいけないのですから」
肌に刻まれた茨の棘のような痣が、彼女を縛りあげているのか。それとも彼女の頭を拘束する装飾か、手首を捕らえた手錠か、錫杖か。
激しい雨に身を震わせることもなく、女は叫ぶ。
「ああ、ああ!『帝竜』ヴァルギリオス!私は貴方に忠誠を捧げましょう!彼らを貴方に従属させましょう!そして帝竜の軍団に!あまねくすべてに死と破滅を!!」
まるで錯乱状態だ、会話が出来る存在なのかもわからない。
たった一つ確かなのは、彼女を滅ぼすことで死者を救えるということ。
――どしゃ降りが、始まる。
カメリア・クラウゼヴィッツ
【夜鷹】の皆と一緒に
アドリブ等も歓迎
抵抗叶わず自らを削り続けたとは同情するわ——少しね
私たちの正義と、お前の中に残っている正義はきっと同じものなんでしょう
遠慮はしないわ。始めましょう、私たちの正義を
こういう術は“術者を倒せば解ける”がセオリーよね
私も【属性攻撃】で美鶴に加勢するわ
押し寄せる死者をどけて、凍らせて、モーセのように死者の海を割りましょう
『血統覚醒』…使わなくて済むならそれがよかったのだけど
【全力魔法】——多少身を削るのはこの際仕方ないわ、手早く済ませましょ
…遅れれば私たちのほうが死ぬ羽目になるわ
お互いのために、私たちが負けるわけにはいかないでしょう?
(『帝竜』ヴァルギリオス——?)
比良坂・美鶴
【夜鷹】の皆と
…貴女も囚われているのかしら
悪いと分かっていて
自分の意志で止められない
それはさぞ苦しいことでしょう
もう終わりにしましょう
……、雨はいずれ止むものよ
喚びだされたものが
これだけ多いと厄介ね
アタシは彼女までの道を抉じ開けましょう
形代を仏花へ変えて『供花』
進行方向に狙いを絞って死霊を攻撃
道を作るわ
貴女が死者を呼ぶならば
彼らを彩ってあげなくてはね
貴方達の眠りが安らかでありますように
自分や二人へ攻撃が向いたら
緝に糸を吐かせて手近な死霊を手繰り寄せ
肉盾にして防いだ上で即カウンター
それが間に合わなければ
身を捻じ込んで庇うわ
二人には触れさせない――って言ったでしょ?
末野木・松路
【夜鷹】の皆さんと
誰かの為になそうとする心は悪いわけじゃない
犠牲の上に成り立つのはおかしいだろ
幸せを得る為に他人の幸せを奪っていいわけない
お前の耳にはもう届かないんだろうが
二人が道を開けて下さったおかげで
よく見える
陽光のない激しい雨の中だからこそ正常に捉えられる
俺の瞳が誰かを救えるのだというのなら
使うしかない
たとえ忌々しい力だとしても
だが女の瞳もまた恐らく正常ではない
先を見越して動かなければ俺が潰される
目立たぬよう女の姿を眼に捉え、その脳へ痛みを
邪眼の手段を打たれる前に一気に距離を詰め
相手の後ろにまわり毒針の射撃を試みる
陰険ですみません
悪いが俺はこういう手段しかできない一般人だ
▽アドリブ歓迎
「誰かの為になそうとする心は悪いわけじゃない。けど、犠牲の上に成り立つのはおかしいだろ」
その声がふるえるのは、暴れるように降る雨が冷たいからではない。末野木・松路が雨音に消されぬ声量で告げれば、女は笑った。
「おかしい?おかしいことでしょうか?私はおかしいのでしょうか?あの方にすべてを捧げることでしか幸福は得られないとしても?」
「ああ、おかしいさ。幸せを得る為に他人の幸せを奪っていいわけない……お前の耳には、もう届かないんだろうが」
最後の言葉は小さく、傍に立つ二人にしか届かなかったろう。魔力で編まれた透明な傘によって、カメリア・クラウゼヴィッツのオーロラの髪は、未だに水滴ひとつ被っていない。
「抵抗叶わず自らを削り続けたとは同情するわ――少しね」
どしゃ降りの彩亡き世界で、鮮やかな小さな魔女はその存在を確立させている。何処か気だるい視線でも、その瞳ははっきりと太陽の色を灯していた。
「私たちの正義と、お前の中に残っている正義はきっと同じものなんでしょう」
「ふふ、ふふふ、同じ、同じだなんて。私には勿論、貴方がたにも失礼ではないでしょうか――そんなもの、私の何処に?この私の、ドコに?」
小麦の膚に刻まれた茨はしっとりと濡れ、新たな供物を前に恍惚とした表情すら浮かべている。狂乱の最中にある女を見て、比良坂・美鶴が呟いた。
「……貴女も囚われているのかしら」
悪いことだとわかっているのに、自分の意志で止められない。それはさぞ苦しいことだろうと感じたのは、衝動に抗う自分自身を重ねたからか。
「もう終わりにしましょう」
呼びかけて、少し置いてから。屍化粧師はもう一度口を開く。
「雨はいずれ止むものよ」
松路がこくりと頷いて、カメリアが杖を構える。
「遠慮はしないわ。始めましょう、私たちの正義を」
「ええ、ええ、始めましょう。貴方がたが、あの方の軍門に降る為の儀式を!」
宣言した女は、錫杖の石突で勢いよく地面を穿つ。途端、オォォと低く大きな音が荒野全体の空気を震わせた。煙る雨の中、水たまりだらけの地面から溢れ出たのは死霊騎士。その群れは数百をゆうに超えている。
「旧き兵(ツワモノ)達、おいでなさい。貴方がたの眠れぬ魂に、新たなる敵と闘争を授けましょう!!」
ぞろりと戦場を埋め尽くす死霊騎士の群れに、美鶴が眉をひそめる。
「喚びだされたものがこれだけ多いと厄介ね」
「この中に、帰ってこれなかった人達も混ざってるんですかね」
グリモア猟兵の言葉を思い出した末路に、そうね、とカメリアが返す。
「ならきっと、彼らには美鶴の力が必要だわ。でしょう?」
花と果実の香りを宿す魔女の問いに、ふふ、と葬列の香りを纏う麗人は笑んで、数枚の紙人形を取り出した。
「ええ、その通り。アタシが道を抉じ開ける――二人とも、よろしくね」
ケガレのないましろい形代に、その人はふっとやわい息をかける。形代がぶわりと広がれば、瞬く間に色とりどりの花弁が紫煙と共に零れる。香りのない花弁は、迫る死霊の群れを雨ごと巻き上げ霧散していく。
群れから僅かに見えた女までの最短距離。この声が、彼女に聴こえなくとも。
「貴女が死者を呼ぶならば、アタシが彼らを彩ってあげなくてはね」
これは告別を司る自分の務め。どのような生き方をしたとしても、死者の最期は等しく穏やかに。
「死出の旅路に、弔花を手向けましょう」
彼らの眠りが安らかであるように、弔いの花が荒野を舞う。ひっきりなしに襲いかかる死霊と、休みなく次々に形代を花弁に変えていく美鶴を見てカメリアが動く。
「こういう術は“術者を倒せば解ける”がセオリーよね」
「はい、お願いします」
ふるえる声を耳に、魔女は杖を翳す。ふいに、雨降る荒野の温度が更に下がる。ぱきりとはかない音がすれば、死霊の身体に触れた水滴がたちまちその身を凍りつかせた。こつんと杖で叩けば、氷像は砕け散る。けれどそれだけはこの数は捌ききれない。まだ、足りない。
「……使わなくて済むならそれがよかったのだけど」
「カメリア」
「カメリアさん」
何をするのか、察知した二人の声をカメリアは静かに制止する。
「多少身を削るのはこの際仕方ないわ、手早く済ませましょ」
この道を拓かねば死ぬのは此方。心を削った女のためにも、自分達が負けるわけにはいかない。
敵を見据えて開く瞳はあかく輝き、魔女の身は吸血鬼へと変わりゆく。辺りの空気は一気に冷え込み、そこはもう赤い魔女の独壇場。杖に収束されていく魔力は降り注ぐ雨を取り込み、激しい水流として菊の花弁を後押し。
ど、と音を立てた花水の一撃が、死霊の群れを真っ二つに割る。口を閉ざす魔女が、静かに杖を下ろす。魔女と屍化粧師の合わせ技を受け凍りついた死霊は、六華と花弁となって消え失せた。
かの聖人が海を割ったように、拓かれた道の先に女が待つ。一気に道を駆ける三人の背後を、残った死霊が追う。
最後尾を行く末路に剣が届く前に、美鶴の手の甲に乗る子蜘蛛が糸を吐く。子蜘蛛の絹糸が手近な死霊を捕らえれば、剣は深々とその死霊に突き刺さる。その隙に美鶴は形代を投げつけ死霊を軽くいなす。
「二人には触れさせない――って言ったでしょ?」
末路、と美鶴に声をかけられ、男は頷いた。
「――ああ、よく見える」
美鶴とカメリアが道を拓いてくれたから、陽光のない激しい雨の中だからこそ、彼の『眼』は痛むことなく標的を正常に捉えられる。この瞳が誰かを救えるのだというのなら使うしかない。たとえ、忌々しい力だとしても。
「おいでなさい、おいでなさい!此処まで来られるというのなら!私の瞳が、貴方がたを殺してしまう前に!!」
赤い魔女と死化粧師が前を征く。女のあかあかとぼやける双眸が二人を捉える前に、ネオンライトの双眸が女を視た。
「……グッ、アァア!!」
突然頭を抱えて苦しみだす女の脳裏に、何が過ぎっているのか。ぐらりと倒れかける身体を錫杖で支えながら、あらぬ方向へ視線を遣り、叫ぶ。
「いや、いや、やめて、私はこんな、帝竜、お前は……ッ!!」
背後に回った末路の姿は、女には見えなかった。拳銃から放たれる毒針が深々と突き刺さる。かは、と声をあげ前に倒れ込む女が、やっと後ろを向く。
「あ、あな、た」
「陰険ですみません。悪いが俺はこういう手段しかできない一般人だ」
男の怪色が、もう一度女を視ていた。
成功
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トリテレイア・ゼロナイン
自分が何を望んでいたのか……それすら分からなくなっているのでしょうか
……貴女が自らの行いを厭うなら、それを止めて見せましょう。全てに破滅を願うなら、それを打ち砕きましょう
猟兵として、騎士としてやることは変わりません、参ります
…彼女が何を望んでいたのか、それを知る為に賭けに出ましょう
怨霊が憑依した際に、彼女の武器のどれがそれの制御を行っているのかセンサーでの情報も加味して●見切ります
攻撃を●盾受け●武器受けで凌ぎつつ、ワイヤーアンカーでの●だまし討ちを行い武器を●ロープワークで拘束
●怪力で武器を壊し装備に依存したUCである弱点を証明しこちらのUCで封じます
怨霊ではない、貴女の声を聞かせてください
それまで以上にざんざかと打ちつける雨を、しろがねの装甲が弾く。ぜいぜいと息を荒くし、その身を立たせようとする女の前に、騎士が立ち塞がる。
自分が何を望んでいたのか、それすら分からなくなっているのか――トリテレイア・ゼロナインは、女の言葉を何度も思考していた。
猟兵として、騎士として、やることは何一つ変わらない。
「……貴女が自らの行いを厭うなら、それを止めて見せましょう。全てに破滅を願うなら、それを打ち砕きましょう」
「ええ、ええ……その意気です!『帝竜』に従属すべき力ある者はそうでなくては!私は、貴方がたを必ずやあの方の元で跪かせましょう!!」
トリテレイアの宣言に女は高らかに応じる。ぼやけたあかい瞳が彼の姿を視たように、騎士のあおの視界も、彼女の姿を確実に捉えていた。
「参ります」
よく通る声は短く言いきり、大きな駆体が濡れた荒野を駆ける。同時、女が錫杖と捻じれた短剣を掲げた。
「無垢なる我が心を御身に捧げる、いざ、いざ迎えん――さぁおいでなさい!」
ごう、と音を立てて暗雲が立ち込めたかと思えば、ソレはすぐさま彼女の手にした金色のナカへと滑り込む。身体が一度だけぶるりと震えてから、接近した騎士に短剣を飛ばした。
ウォーマシンに内蔵されたセンサーが察知し、彼のコンピュータは一斉に大量の情報を拾う。放たれた短剣を素早く躱せば、鎖に繋がれた得物は女の元へ戻る。ならばと翳された錫杖が装甲を穿とうとするのを、巨大な盾が防ぐ。
「く、こ、のぉ……ッ!」
金を纏うその身はぐらついて、錫杖を操る女の動きは決して滑らかではない。むしろ操られているのは女の方に見えて――賭けに出るなら、今。
腕部に格納されたワイヤーが射出され、女の胴をアンカーが狙うもあっさりと錫杖で払われる。盾との隙間を錫杖が通ろうとした時、がくんと女の身体が崩れた。
「な、」
「ワイヤーを一本しか張らないと思いましたか?それは無策に近いでしょう」
金の剣が強固な鋼糸に囚われ、騎士の元へ。鎖に引っ張られた形で女が倒れた拍子に、今度は錫杖を別のワイヤーが拘束し女の手元から引き離す。
尋常ならざる怪力が短剣を叩き割り、錫杖を真っ二つにへし折った。砕ける金が、泥の中で煌めく。
「どちらか一方と睨むより、両方壊してしまえばそれまでのこと――どちらも無くなれば、貴女の声が聞けると思いました」
「あ、あぁ……」
操り人形の糸が千切れ、女が喘ぐ。騎士は、彼女の心を知りたかった。
「怨霊ではない、貴女の声を聞かせてください」
穏やかな声に惹かれるように紡がれた言葉は雨音に消される。けれど、その唇は確かに云った。
――ころして。
成功
🔵🔵🔴
マザー・エコーナイト
もしも。
きみの身を濡らす雨が、はたと止まったのなら。
それは『彼女』の仕業だ。
『彼女』は陸での移動は出来ない。けれど、“水”さえあれば、話は別。
不思議に思ったきみが、見上げた先。
周囲の雨を集め、まるでなめらかな絨毯のようにして 一一 そらを泳ぐ巨体を目にするだろう。
『彼女』は語らない。
誰かの背を、そっと押すような。
或いは、母親の唄う子守唄のような。
少しくぐもった、『彼女』にしか分からない言葉で。
雨粒を揺らし、優しく唄っている。
唄声が聞こえたならば。
一一 きみたちは、幸運だ。
★アドリブ歓迎
(鯨の姿を模しています)
(会話しません。常にゆっくりと泳ぎつつ、唄っています)
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
【携帯食料】を食みUCをプレアデスへ
主のために本気で殺そうとする心
細胞経由で届く感情に対して瞳を真紅に変え呼応する
肌に当たる冷たい雨は誰かが泣いているような気がした
細胞達はその雨達を温めるように熱く熱くなっていく
POW
「君が主に忠を尽くすように、私も絶望が続く世界を護っているのでね」
虹彩筋を活性化して動体視力を強化
【残像】を駆使して敵の武器に注意する
【吸血】衝動を解放し攻撃力をかさ上げ
【学習力】で見つけた隙に【ダッシュ】で懐に入り【鎧無視攻撃】を叩き込む
攻撃後は素早く間合い外に移動し隙を与えない
「君が最悪だというのなら、私は絶望の淵から這い上がりそれを切り裂こう」
「ころして」
たった一言、自分の願いを呟いた女は頭を抱えて呻き、叫んだ。びしょ濡れの身体に、雨はしたたかに打ちつける。
「違う、違う、違う違う違う、私は、私はあの方の為に生きている!あの方の為だけに!!」
仁科・恭介は乾ききった干し肉を食む。犬歯で肉の繊維を噛みちぎり、女に問うた。
「君は、主の為に生きることを良しとするのか」
「ええ、ええ、そうですとも!それ以外、もう私には何もないのですから!!」
虚ろな瞳に映っているのは誰なのか、低く大地を震わせる音が再び荒野を駆け巡る。武器を無くした彼女が恭介に対抗する為には、死霊騎士の群れを呼び出すほかなかった。
「そうか」
もう、先程以上の声は聞こえないだろう。何より彼女の心は、主のために本気で此方を殺害しようとする感情で満たされている――しかし、彼女の本当の願いは確かに耳にした。
女の感情に呼応して、男の双眸は深紅に染まる。肌に当たる冷たい雨は、誰かが泣いているような気がした。細胞達はその雨達を温めるように、熱く熱くなっていく。
「君が主に忠を尽くすように、私も絶望が続く世界を護っているのでね」
ぞろりと迫る死霊の群れの攻撃を、強化した動体視力で素早く見切る。死霊が斬り裂いたその身は恭介本人ではなく、俊敏な動きによって現れた残像でしかない。
磨きあげられた刀が一刀両断すれば、夥しい数の霊霧散していく。
とはいえ、これだけの数をたった一人で捌ききるのが難しい。無傷のまま女の元へ行くのは無理だろう。
「流石に、少々こたえるか」
少しずつ増えていく身体の傷をそのままに、それでも構わず一人荒野を駆けていた時。
ふいに、雨音がやんだ。
あれほど降り続いていた雨が、水滴のひとつも落ちてこない。見上げた先にあるものは、空全体を覆い尽くす透明な絨毯。そしておおきなおおきな、『鯨』だった。
そらを泳ぐ巨体――マザー・エコーナイトは陸上での移動は不可能。けれど水さえあれば、彼女は何処へでも泳いでゆける。
降りしきる雨を収束させ、自分だけの水の絨毯を創りあげた鯨は死霊の上、優雅にそらを泳ぐ。
「な、なんなの、あれは……!」
突如上空に現れた生物を見た女がうわずった声を出した。死霊が鯨めがけて火炎を放つものの、水の絨毯がそれらを全て防いでしまう。
ふと、鯨がゆるやかに鳴いた。天空から降る雨粒を揺らし、絨毯の中へやわく閉じ込めながら。少しくぐもったその声が奏でる言葉は、此処に居る誰にも理解できない。けれど、優しいメロディは、幼い子供を寝かしつける母親の子守唄のようで。
鯨の唄を好ましく聴いていた恭介は、自身の身体の傷が癒えていくのを感じた。同時に、死霊の群れが静かに消えていくのを目にする。
「なるほど、これは」
あなたのおかげか、と、鯨に向けて軽く手をあげれば。鯨の大きくつぶらな瞳が、彼の顔を優しく見下ろす。
「強力な助っ人だ」
小さく笑んでから死霊が消えた先、女の居る場所まで走る速度をあげる。自身の吸血衝動を解放し、眼前の死霊をすかさず斬り捨てる。あかあかと輝く瞳が、ぼんやりとしたあかい瞳を捉えた。
「君が最悪だというのなら、私は絶望の淵から這い上がりそれを切り裂こう」
勢いよく踏み込んだ懐に、刀による全身全霊の一撃が叩き込まれた。
「あぁ……ッ!!」
稲光の奔った刀身が血飛沫を舞わせる。既に大きなダメージを受けていた女の身体が、受けきれるものではなかった。
彼女の上を、鯨が眠りへ誘うようにそっと泳ぐ。
「君はよく戦った。何よりも、自分自身と」
恭介の言葉が彼女の耳に届いたかはわからない、赤い双眸は雨降らぬ天を仰ぐ。
ほんの一瞬、さらさらと通り雨が降って。
男はちらとそちらに目を向けてから、もう一度女を見ようとした。
女が居た場所にはもう誰も居らず、暗雲の隙間から天使の梯子が降りてきていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 日常
『繋ぐ七色』
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POW : 虹を一望できる場所から眺める。
SPD : 誓いをたてる、約束の品物を贈る。
WIZ : 虹のかかる峡谷をくぐる。
👑5
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「皆さん、お疲れ様でした」
グリモア猟兵、鎹・たからの案内で渓谷の街へ向かった猟兵達は、噂のモンスターを退治したとあって大変歓迎された。
「いやあ助かったよ」
「それにラッキーだね、あんた達。約束の虹が見られるんだから」
住民が指さす先、空に掛かる虹色はさぞ美しく見えただろう。
「時間はたっぷりあります、せっかくですから楽しんでいきましょう」
真っ青な空の下、雪と色硝子の瞳が猟兵達を誘う。
この虹の楽しみ方は、貴方次第。
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
依頼の報告をした後、一食分の食事と一食分の葡萄酒を買う
そして、街で一番高い所に座り、虹を見ながら食事をする
「これが約束の虹か。こんなに真っ青な空に綺麗にかかるものだね」
故郷に戻るとなかなか見られない光景
宵闇の空以外で観る虹
それを一番高い所で楽しむ
影達の目を通して計8個の目で楽しむ
高い所に登ったもう一つの理由は今の顔をあまり見られたくないから
「今回は少し入れ込んでしまった。まだまだ修行が足りない」
今日だけはあの子のために
そう思いながら虹を見よう
虹は魂を連れていくという話を聞いた気がする
あの歌を聞いたのだから、ずっと静かに眠れるように
目覚めたら次はきっと良い世界で会えるように
「これが約束の虹か」
依頼の報告を終え、一食分の食事と葡萄酒を購入した仁科・恭介は街の鐘塔へ来ていた。街で一番高い所といえば此処なのだと、店主が教えてくれた通り、街を彩る大きな虹を一望できる。
「こんなに真っ青な空に、綺麗にかかるものだね」
するりと恭介から抜け出した、三匹の狼のような影が思い思いの場所で空を見上げた。影達の目を通すことで、夜と闇に覆われた故郷では見られない光景を様々な角度から楽しむ。宵闇の空以外で観る虹は鮮やかで、さっぱりと晴れた青によく映えた。
厚切りベーコンと野菜のバゲットサンドを頬張り、ぽつりと独り言を洩らす。
「……今回は少し入れ込んでしまったな」
高い所に登ったもう一つの理由は、今の顔をあまり人に見られたくないから。まだまだ修行が足りないと、青年は軽く自省する。
けれど、今日だけはあの子のために。そう思いながら虹が見たくて。
七色を通り抜けるように、白い鳥の群れが羽ばたいていく。
昔、虹は魂を連れていくという話を聞いた気がする。ならば彼女も、連れていってもらえただろうか。優しい鯨の歌を聴いたのだから、きっとそうだろう。
バゲットをしっかり咀嚼し飲み込んでから、葡萄酒の入った瓶を虹に向けて軽く掲げる。
あの歌を聴いた彼女が、ずっと静かに眠りにつけるように。
目覚めたら次は、きっと良い世界で笑って会えるように。
大成功
🔵🔵🔵
比良坂・美鶴
【夜鷹】の皆で
あらまぁ
すっかり晴れて…素敵な虹ね
あの娘にも見せてあげられればよかったのだけど
…折角だからよく見えるところを探して
皆でのんびり眺めましょうか
松路くんは陽の光が苦手だったわね
日傘を差して日陰を作ってあげましょ
カメリアちゃんもよかったらどうぞ
ピクニック、いいわね?
そうねぇ
外で食べるならサンドイッチとかどうかしら?
そういえばこうやって
ゆっくり虹を眺めるのも
随分久し振りな気がするわね
ふふ、松路くん
もう少し肩の力を抜いて生きてもいいのよ
アナタは空を見上げてもいいし
光を浴びてもいいの
ま、何かあったら
アタシでもカメリアちゃんにでも言いなさい
アタシ達はアナタの味方よ
カメリア・クラウゼヴィッツ
【夜鷹】の皆と一緒に
アドリブ等も歓迎
やっぱり晴れている方がいいわね
陽の光は好きよ、心がはればれするもの
日焼けはちょっと困るけど
雨があっての虹…あの子も少しは浮かばれたかしら
たとえもう元に戻ることが出来なかったとしても、彼女に見せてあげたかったわ
私の箒、3人が乗るスペースは無いのよね
絨毯でもあればみんなで空の特等席から眺められるんだけど
せっかくだわ、ピクニック気分で楽しみましょう
お茶とお弁当を買ってきて食べるの、ついでにデザートをつけてもいいかもね
外で食べるご飯って、いつもと同じものでも何故か美味しく感じるじゃない?
こんなに綺麗な虹を見ながら食べるんだもの、とびきり美味しく感じると思うわ
末野木・松路
【夜鷹】の皆さんと
晴れの光は目に強すぎるので、特殊遮断加工済みの眼鏡を愛用
虹、俺も久しぶりに見ました…
いつぶりでしょう
俺はいつの間にか俯いてばかりいたんだな
でも今は、隣にお二人がいるから
ここにいても大丈夫だと思える
早く陽が沈んでしまえばいいと思う日々の中で、今日だけは
もう少し…この時間が続けばいいのにと、願う
あのオブリビオンが最後に残した言葉、きっと…心残りがあった
違う出会い方をしていれば、そう思うと悔やみは残りますが
あっ!日傘、ありがとうございます…
俺、持ちますよ
ピクニックですか…俺も賛成です
近くの店舗、調べてみますね
なんだか…ふふ、遠足みたいですね
▽アドリブ歓迎
「あらまぁ、すっかり晴れて……素敵な虹ね」
空に掛かる七色を眺める比良坂・美鶴の言葉に、末野木・松路が小さく頷く。
「虹、俺も久しぶりに見ました……いつぶりでしょう」
陽光は彼の眸には眩しすぎるから、特殊遮断加工された眼鏡をかけている。けれどレンズ越しにも、その彩はよく見えた。
「やっぱり晴れている方がいいわね。陽の光は好きよ、心がはればれするもの」
日焼けはちょっと困るけど、とカメリア・クラウゼヴィッツが二人に笑みを溢す。陽光が苦手な松路と日焼けに悩むカメリアのために、美鶴が黒い日傘を手際よく開いた。
「どうぞ」
「あっ!ありがとうございます……俺、持ちますよ」
「松路、案外似合うのね」
控えめにレースがあしらわれた傘の中に自身と魔女を入れる男に、カメリアは瞬きしてから二人に礼を言う。
「折角だから、もっとよく見える場所を探しましょ」
「そうね。私の箒、三人が乗るスペースは無いのよね。絨毯でもあればみんなで空の特等席から眺められるんだけど」
「空飛ぶ絨毯……童話みたいですね」
美鶴の提案にカメリアと松路が賛成し、夜を連れる三人がゆるりと真昼の下をゆく。街の高台にある公園のベンチに座れば、先程よりも虹が近く感じられた。
「あの娘にも見せてあげられればよかったのだけど」
麗人が少しだけ寂しい音色で言葉を紡げば、それが誰のことかはすぐにわかった。日傘に膚を隠したカメリアが、七色を見上げたまま想いを綴る。
「雨があっての虹……あの子も少しは浮かばれたかしら。たとえもう元に戻ることが出来なかったとしても、私も彼女に見せてあげたかったわ」
「あのオブリビオンが最後に残した言葉、きっと……心残りがあった。違う出会い方をしていれば、そう思うと悔やみは残りますが」
二人につられるように、松路もぽつりぽつりと言葉を落とす。そうして、レンズ越しの虹と二人に向け、もうひとつ心を溢す。
「……俺、いつの間にか俯いてばかりいたんだなって。でも今は、隣にお二人がいるから」
ここにいても大丈夫だと思える――彼女は、どうだったのだろう。
ふふ、と美鶴が微笑う。
「松路くん、もう少し肩の力を抜いて生きてもいいのよ。アナタは空を見上げてもいいし、光を浴びてもいいの」
怯えるように生きるその姿に、麗人はごくごく当たり前の話をする。松路がおずおずと二人の顔を見れば、穏やかなやわい笑みが待っていた。
「ま、何かあったら、アタシでもカメリアちゃんにでも言いなさい――アタシ達はアナタの味方よ」
「ええ、そう。美鶴の言う通りよ」
怪色を宿す双眸は痛まない、そんなやわくあわい彩がそこには在った。小さく頭を下げる松路の髪を少しだけ撫でて、魔女がアイデアを思いつく。
「せっかく続きだわ、ピクニック気分で楽しみましょう。お茶とお弁当を買ってきて食べるの、ついでにデザートをつけてもいいかもね」
「あら、いいわね?」
「外で食べるご飯って、いつもと同じものでも何故か美味しく感じるじゃない?」
こんなに綺麗な虹を見ながら食べるのだ、それはそれはとびきり美味しく感じるに違いない。
「そうねぇ、外で食べるならサンドイッチとかどうかしら?」
頭に浮かべているのは美味しそうな見た目だろうか、大人びた美鶴がはしゃぐように声をあげる。
「俺も賛成です、近くの店舗、調べてみますね」
なんだか遠足のようだとやわく微笑ったのを二人は見逃さなかったが、あえて語らず着々とピクニックの計画を進める。
早く陽が沈んでしまえばいいと思う日々の中で、今日だけは。
もう少しだけ。この時間が続けばいいのにと、臆病な彼は願った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
ああ、綺麗ですね
SSWでも立体映像や人工的な虹はありましたが、此処まで大規模な物は初めてです
…虹とは大気中の水滴がプリズムの役割を果たし光が分解されたもの
死霊術師の彼女の心は様々な色が入り混じっていたように思う
あの一瞬の対峙で、私はプリズムの役割を果たせたのでしょうか
例え果たせたとしても、あの悲しい願いにどう応えればよかったのか
彼女の死霊で多くの人々が帰らぬ人となった、それは許しがたい罪です。ですが、騎士として、もっと彼女の心を救う方法があったのではないかとも思う。骸の海に還るまでの刹那の時であろうと
永遠に正解の出ない自問自答
魂無きこの身のただ一つの結論は
この虹が、眠る魂の安らぎとならんことを
「ああ、綺麗ですね」
芝生の敷き詰められた広場から、トリテレイア・ゼロナインも静かに虹を見上げる。星々煌めく宇宙にも立体映像や人工的な虹は存在したが、此処まで大規模な物は初めてだった。
大きなリボンがいくつも重なり、七色のグラデーションとなって街をまたぐ姿は、どこか街を見守るように思える。周囲を見渡せば、虹を指差し笑いあう住民達があちこちに見られた。
――虹とは、大気中の水滴がプリズムの役割を果たし、光が分解されたもの。
トリテレイアには、死霊術師の彼女のこころには様々な色が入り混じっていたように思えた。
「……あの一瞬の対峙で、私はプリズムの役割を果たせたのでしょうか」
雨音に消されながらも聞きとった言の葉は、あまりにも寂しい色をしていた。例え果たせたとしても、あの悲しい願いにどう応えればよかったのか。
女の操る死霊で、多くのいのちが帰らなかった。それは紛れもない事実であり、許しがたい罪だ。けれど騎士として、もっと別の、彼女のこころを救う方法があったのではないか?
それが骸の海に還るまでの、刹那の時であろうと。
ほんの少し俯いた先、水たまりに映る虹が乱反射したように見えた。羽ばたく白い鳥の群れが横切って、もう一度まっさらな空に掛かる七色へ視線を遣る。
永遠に正解の出ない自問自答を続け、魂無き駆体の出したただ一つの結論。
――この虹が、眠る魂の安らぎとならんことを。
雨の季節が過ぎれば夏が来る。この街の太陽も、それまで以上に輝くだろう。
けれど猟兵達は、雨も悪くないことを知っている。
雨上がりのこの街が、普段よりもいっそう彩に満ちることを。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年07月01日
宿敵
『『黄泉帰る災厄』プレアデス』
を撃破!
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