「サムライエンパイアの世界で事件が起きています、話を聞いてくれますか」
ミレナリィドールのカナ・ディラックが猟兵たちに話をする。
「この地の治安が乱れていて、このままではオブリビオンに好き勝手にされてしまうのです」
猟兵の一人が問う。
「一体、何が起きてるんだ。悪代官とか、やくざ者が暴れてるとかそういう……」
「食い逃げ」
「え?」
彼女が説明するに、ドロンの三平太という男が食い処という食い処を食い逃げして回っているというのだ。
「皆さん、たかが食い逃げと思われるかもしれませんが、その三平太の事を面白がり、自分でも真似をして食い逃げをする者たちが出始めていて、徐々に町の雰囲気が悪くなり始めているんです」
三平太は変装の名人で顔だけでは本人かはわからず、逃げ足も、まるで煙で消えたかのように早いという。
ただ、特徴はある。二の腕に『食い逃げ上等』の刺青が彫ってあるのだ。勿論、普段は袖をからげる事はないのでその刺青が見えないのだが。
食い逃げする場は屋台や団子屋のような所で大食いした挙句に逃げるらしい。
「三平太と真っ向勝負するか、説得するか、また、罠を仕掛けるか、方法は皆のアイデアや特性を生かして解決してもらえたらいいと思います。できれば、なるべく町人に君たちが疎まれずに、他の模倣犯が真似をする事が無くなるようなやり方を見つけてもらえたら嬉しいのですけど。この事件を解決することにより藩主に謁見することも叶うようになるはずです、皆さん、よろしくお願いしますね」
八雲秋
第六猟兵での初オープニングとなります。よろしかったら、ご参加を。
なお、本来の江戸時代は料金前払いの所が多かったようですが、ここではそこまで深く考えずに、後払いという事にしておいてください。
第1章 冒険
『乱れた治安を回復せよ』
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POW : 治安悪化の原因を力で黙らせる
SPD : 悪事の証拠を集める
WIZ : 狡猾な悪人を論破して正義を示す
👑11
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弥久・銀花
大声で「食い逃げー! 誰か捕まえて!!」 と叫んで追いかけるわ。
捕まえられればそれでよし。
捕まえられなければ街の人に泣き付いて回って悪評を広めて食い逃げ半の肩身を徹底的に狭くしてみようと思う。
この街の人に人情と世間体と遵法精神と言う物があれば、効果あると思う。
駄目なら、食い逃げ犯を追い駆けるのを一種のゲームの様に演出するのを考えるわ。
屋台から男が逃げ出した。店主が食い逃げだと声を上げるよりも早く、
「食い逃げー! 誰か捕まえて!!」
弥久・銀花は大声を出し、その男を追いかけていた。
女の子の必至な様子に町人らは加勢し、食い逃げ犯を捕らえるが、
「くそ、三平太みたいにはいかねぇか」
悔しそうに言う男の腕に刺青は無かった。模倣犯だったようだ。
それでも、銀花は皆にありがとうと頭を下げる。
「頑張って追いかけたけど、屋台の娘さんかい?」
ううん、と銀花は首を横に振る。
「じゃあ、何だって」
「だって、食い逃げなんて、お店の人がかわいそう。三平太が悪いことするから皆も真似をするし、私、三平太を捕まえたい……皆は?」
悲しげに問う彼女に、一人が呟くように答えた。
「嬢ちゃんもこんな一生懸命なら、俺らもやんなくちゃかもだな」
他の人々も口々に言う。
「そりゃ食い逃げするより、捕まえる方が格好いいよな……出来たら、もてるかな?」
「三平太の真似するようなやつよりはな?」
「はは、言えてるな」
彼らが直接三平太を捕らえる事が出来るとは思えないが、それでも彼女の行動は悪くなりかけていた町の空気の浄化に一役買ったと言えるだろう。
成功
🔵🔵🔴
香神乃・饗
頭を使って罠を仕掛けるっす!
ホット流しそうめんの屋台っす!季節はずれでも楽しいっす!
食べてってくださいっす!
麺と一緒にたーっぷり色んな具を流すっす!
流れてくる素麺などの具をつまむためには、袖がぬれるっす!
きっと袖をめくりたくなるっす!
お客さま!たすきの貸し出しもやってるっすよ!
お客さまの様子を確認して袖をまくらない奴とか怪しい奴をチェックするっす!
もし、刺青が見えたり、
そでをめくりたがらないそぶりの怪しい奴が居たら
見張って逃げようとしたら妖剣解放で捕まえるっす!
捕まえたら二の腕の『食い逃げ上等』の刺青を確認するっす!
食い逃げは赦せないっす!
三平太っすか?もう逃がさないっす!
現行犯逮捕っす!
稲穂・あかり
「フードファイトを仕掛けるので隙を見て役人を読んでおいてください」と丁寧な字で書いた紙をお財布に入れておきます
三平太や模倣犯を見つけたら、フードファイターとして、勝負を挑むしかないでしょう
「ねぇ、そんなに大食いに自信があるならぁ、あかりと勝負しませんかぁ」
「賞品はここのお代でぇ」
そう言ってお財布を懐から取り出し、髪が見えないように注意しつつ十分なお金があることを見せ、店主に預けます
女子供云々言ったら
「自信がないんですかぁ あかりはありますけどぉ」
とちょっと挑発します
そして、勝負。技能〈大食い〉があるので、最低でも相手が動けなくなる程度までは追い込めるはずです。後はお役人様任せで大丈夫なはずです
ヴァーリ・マニャーキン
先ずは団子屋や屋台のある場所を確認して地図に明記
其の上で喰い逃げの起きた場所を調べ傾向を調査
例えば次の食い逃げでは前の場所から離れた場所で行うのか其れとも逆に近くで行うのか等の傾向を調べる
調べ終えたら可能ならその地図はコピーなりして他の猟兵にも配る
其の上でその傾向に合わせて次に食い逃げが行われる可能性が高い所(例えば特定の屋台通りで食い逃げが多いなら其の周辺、何回か食い逃げをしたら遠い所に移動するなら離れた場所にある屋台等)に当りを
つけて其の周辺をパトロールする
其処で大食いをしている人を見かけたら警戒
逃げ出そうとしたら即咎力封じで足止めをし大声を出して他の猟兵を呼ぶ
●
「三平太の動きをまとめてみたの」
ヴァーリ・マニャーキンは猟兵らの前で地図を広げた。被害店のチェックと日時なども書き込まれている。それから、足取りを示しつつ彼女は言う。
「それで最後に被害にあったのは、この団子屋。だから、次に出ると考えられるのは明後日の昼過ぎ、場所はこの辺……皆で手分けしてパトロールをするのがよいかな」
はい、はい、と香神乃・饗が手を上げる。
「それなら、頭を使って罠を仕掛けるっす!」
●
町には見慣れぬ、新しい屋台が開店していた。
「さー、一度どうだい、ホット流しそうめん……熱々の流しそうめん! 季節はずれでも楽しいっす! 食べてってくださいっす!」
道行く人に声を掛けているのは饗。勿論、屋台はヴァーリが推測した地点。時刻も昼時。
ヴァーリも彼の屋台を中心に周辺の店を警戒している。
そうめん以外にも様々な具を流していく中、
「お客さん方、夢中なのはいいけど、袖が濡れちまいます、たすきをどうぞ」
サービスで出されるたすきを、ありがとう、気が利くね、など客が次々、礼を言って受け取る中、
「いや、いい」
先程から相当な量を食べている男が断った。
「お客さん、せめて袖をめくったら。大汗もかいてるようですし、大分お食べになってるようで」
「俺がどう食おうが俺の勝手だ!」
声を荒げる。怪しい。
そこへ、ふらりと小さな女の子がやってきて男の隣に座ると、財布を饗に渡しながら言う。
「おじさん、あかりと大食い勝負しませんかぁ。賞品はここのお代でぇ」
稲穂・あかりだ。
「お代なんざ、俺には関係無……」
「自信がないんですかぁ、あかりはありますけどぉ」
言いかけるのを遮り、男の顔を覗き込むようにして挑発する。
「なんだと、子供のくせに」
男が睨みつける間にも、あかりは流しそうめんの筒をザザっとさらい、あっという間に男が食べた量に追いつく。
「大食い勝負、そいつぁおもしれー、じゃあ、お二人にはどんぶりで出しやしょう」
話に乗ったというふうに饗がどんぶりを置く。男がやけっぱちのように言う。
「くそ、わかったよ、やってやらあ!」
どんぶり盛りのそうめんが、わんこそばのように食べられていく。
男も頑張るが、あかりはフードファイター、大食いの技能持ちだ、相手が悪すぎる。ニコニコ笑いながら、流し込むように食べていく。
「無限に食べられちゃいますぅ」
「う、嘘だろ……やってられるか、俺は、とっとと帰らせてもらう!」
男が立ち上がる。
「お客さん、お代は? まさか食い逃げ?」
「初めっから、そのつもりだよ!」
男がダッシュするが、あかりとの大食い勝負のせいもあってか、動きに噂に聞いていた切れがない。
「逃がさないよ!」
ヴァーリがすかさず咎力封じを放つ。男の体を拘束ロープが縛り上げる。
「くっ、これしき」
よろつきながらも意地でも逃げようとする男に、
「させねえっす」
饗が妖剣解放の力で、追いつき、押さえつける。
「饗くん、腕はぁ?」
あかりの言葉に男の袖をめくると果たしてそこには『食い逃げ上等』
「三平太、現行犯逮捕っす!」
「畜生、せっかく、飯食い放題に金まで稼げてたって言うのに」
三平太がぼやくのヴァーリは聞き逃さず、彼の前に立ち、微笑みながら言った。
「その話、詳しく聞かせてもらうね、隠そうとしても駄目だからね」
大成功
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第2章 冒険
『藩主に謁見』
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POW : 情熱をこめて頼み込む
SPD : 迅速に対処すべき事態を説明する
WIZ : 互いに利益のある提案を行う
👑11
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「よくぞ、三平太を捕らえてくれた、まずは礼を言う。それでもまだ、食い逃げ程度なら大したことはないだろうと真似をするものは、たまに出てくるようだが多少は仕方ないのか。いや、愚痴めいたことを言った、すまぬな。……しかし、まさか、食い逃げ横行の背後に奴を操っている者がいたとはな」
猟兵らは謁見の間にて知りえた情報を藩主に伝えていた。
三平太から聞き出した所、彼が食い逃げをするたびに、金をくれた者がいる、その男は三平太にゴロツキの隊を作らせ、ゆくゆくは町を掌握させ、三平太を幹部に召し抱えると言っていたという。
「ふむ、三平太が言うには恐ろしげな面を被った武僧であったとな、戦乱の世には一部の僧は力をもって、自らの教えを守り、あるいは知らしめたというが……いずれにせよ、その者を討伐せねばならんのだろうが」
だが恐らくはその武僧はオブリビオン、猟兵以外が対峙してもまともに戦えるものではないだろう。それに三平太は武僧は20人ほどの部下をすでに従えて、郊外に潜んでいる言っていた。
「確かに近頃、西の森からの旅人の姿を見ないと聞いている、奴らが潜んでいるという事か」
藩主は顔を上げ。猟兵たちの顔を見回す。
自分たちならば、その仮面の武僧を倒せる、彼らは無言のまま、目で訴えていた。
ふむ、と呟くと、閉じた扇子で自身の膝をぴしゃりと叩き、藩主は言った。
「お主らは何を求めている? 望みによっては、こちらが助力することもできよう。
それと厚かましいが、こちらの望みも聞いてほしい。この町について何か助言や手伝ってくれることはないだろうか。この町に住むよりも外からの者の方が却ってよく見えることもあるだろう」
弥久・銀花
「藩主様に置かれましてはこの度の奏上の応接、真にありがとう御座います」
先ずは挨拶、そこから本題に入る。
「昨今、食い逃げで名を上げ始めた人物を面白がり、模倣する者が出始めて居ります」
「たかが食い逃げ、とは申す物も居るのでしょうが、捕まれば刺青なり鞭打ちなりとなる所業」
「逃げる者も必死になりますれば、捕り物も危なくなってしまいましょう」
「其処で1つ提案を、食い逃げを兵の鍛錬に取り入れてはどうでしょう?」
「戦場では飯をかっ込み戦働きをする機会もあるでしょう」
「食い逃げ犯を敵兵に見たたて、追わせるのも一興かと愚考します」
「と、此処までが建前で、実際は大勢に追われる食い逃げ犯が面白かろうと思ったのです」
ヴァーリ・マニャーキン
個人的な意見を言わせて貰えば周辺の地図を用意して貰えれば、かな?
後は敵が潜んでいる場所の土地勘がある人がいれば話を聞きたいね
例えば沼地や洞窟が有るとか乾燥し易いのか其れとも逆に湿気が多いのかとか拠点に出来そうな小屋や廃屋があるかどうかとか
拠点にしてるのなら此方の襲撃に備えて罠とかも用意してるだろうし、それに備える為にも少しでも情報が欲しいし
他にお願いするとしたら逆に三平太が捉えられたのに気付いてこの辺りを襲いに来るのかもしれないからそれに備えてほしい、とか
時間があったら三平太を尋問出来ればと思ったけど、急いだ方が良さそうだし
稲穂・あかり
「あかりのお願いを聞いていただけるのでしたらぁ、彼らにやり直しの機会をあげてほしいですぅ……もちろん罰を受けた後でですよぉ」
その後は、食い扶持を得る方法を与え、再販を防止してはいかがでしょうか、と続け
「例えばですよぉ、三平太さんの足の速さならぁ、罪人を追わせ
るというのもぉ、考えてもいいのではないでしょうかぁ?」
と提案します。手伝いは案は出ないけど、出来ることは手伝ってもいいと言います。お礼はお米かご飯でと付け足して
ユキノ・サーメッティア
『WIZ』
此方の頼みは武僧の退治であることを伝えよう
その際に、配下の横槍や逃走の阻止のために
配下側を抑えて欲しいと頼んでみよう
『POW』
何か町について教えてほしいと言うことだし
町人に何か不満というかどうにかして欲しいこととか
聞いていってみようかね?
町の外から来てるし、見た目も子供だしで
思わず口を滑らせることもあるかもしれないね
町人の悩みを知っておけばそれだけ対処にしやすくなるかもね
協力出来そうなことは手伝いしてもいいよね
香神乃・饗
そうっすね
前払いにすれば食い逃げは無くせると思うっす
望みっすか
真剣な面差し
この地の平穏を望むっす
「天下自在符」を取出し
この俺、香神乃・饗は江戸幕府から世の平和を守る為力を与えられている「猟兵」っす
恐らくその武僧は魑魅魍魎か妖怪変化の類っす
早急に討たないとこの地の未来が危ないっす
魑魅魍魎、妖怪変化の討伐は任せてほしいっす
こう見えて腕っ節には自信があるっす
三平太みたいな奴でもかるーくとっちめたっす
俺がどーんと片付けるっす
でも現場の地形が解らないっす
迷ったり罠にはまらない様に地形の情報を教えてほしいっす
それと部下の数が多いのも気になるっす
部下の相手をしている間に武僧に逃げられるかもしれないっす
「藩主様に置かれましてはこの度の奏上の応接、真にありがとう御座います」
弥久・銀花は深々と礼をした後、顔を上げ、
「食い逃げで名を上げ始めた人物を面白がり、模倣する者はまだいるとおっしゃられた。たかが食い逃げ、とは申す物も居るのでしょうが、捕まれば刺青なり鞭打ちなりとなる所業」
「確かに無罪放免という訳にはいかぬな」
「さすれば逃げる者も必死になりますれば、捕り物も危なくなってしまいましょう」
「だが、刑罰を無くしてよいほど軽い行いとも思えぬが」
銀花は正座をしたままズイと一歩前に進み、
「其処で1つ提案を、食い逃げを兵の鍛錬に取り入れてはどうでしょう?」
「鍛錬に?」
「戦場では飯をかっ込み戦働きをする機会もあるでしょう、食い逃げ犯を敵兵に見たたて、追わせるのも
一興かと愚考します」
藩主は腕を組み、うーむと唸る。
「一時、強化期間ぐらいなら、できなくはないが……定着させるのは無理があるか」
言いにくそうに答えるのを銀花は軽く頭を下げ、
「失礼しました。今まで話したのは建前で、実際は大勢に追われる食い逃げ犯が面白かろうと思ったのです」
「いや、こちらこそ、少々、そなたの言葉を真面目にとらえすぎたかな」
藩主は苦笑を隠すように扇子を口元に置いた。
「そうっすね、前払いにすれば食い逃げは無くせると思うっす」
香神乃・饗は端的に答えた。
「確かに以前は前払いの店も多かったのだが、追加や何人か連れ立ってくる客はそういうのを面倒がってな、店も商売があっての算段でもあるのだ。だが、まあ、その辺りの提言はお触れをもってさせてもらう事にしよう」
藩主が答える。
「俺の思いつくのはこれ位っすかね」
稲穂・あかりが言う。
「あかりのお願いを聞いていただけるのでしたらぁ、食い逃げした彼らにやり直しの機会をあげてほしいですぅ……もちろん罰を受けた後でですよぉ」
「確かに三平太以外にも面白半分に真似をして捕まった者もいるからな」
あかりは頷き、
「銀花さんも言ってましたけどぉ、捕まれば、それなりの罰があるのにやる人がいたのは、今の生活に何かしら不安や不満があったからなのでは」
ですから、と続け、あかりは提案する。
「償った後はぁ何か食い扶持を得る方法を与え、再犯を防止してはいかがでしょうかぁ」
「食い扶持というと……なにがあろうか」
「例えばですよぉ、三平太さんの足の速さならぁ、罪人を追わせるというのもぉ、考えてもいいのではないでしょうかぁ?」
藩主は腕を組み、
「うぅむ、しかし、三平太自身が初めに、その足を悪事に使おうとした訳だからな、簡単に信用するわけにもいくまい。いつ、その罪人どもと手を組まんとも限らぬからな。だが、考えはありがたく受け取っておこう」
「それと手伝いは……案は出ないけど、出来ることは手伝ってもいいですよぉ」
「では、何かあったら頼みたいものだな」
あかりが、あっと呟き、手を上げる。
「その時は、私は、お礼はお米かご飯でお願いしますぅ」
藩主は冗談交じりな風に、わざとらしく片眉を上げ笑むと、扇子で彼女の方を指し、
「しかし、稲穂は先の報告で相当食べると聞いた。お主が満足できるまで飯を用意できるかは約束できぬがな」
「いえいえ、腹八分……いえ、五分も頂ければ十分ですよぉ」
そう言ってあかりは、にっと笑って見せた。
「で、望みっすか」
畳に両手をつくと、真剣な面差しを藩主に向け、饗は言う。
「この地の平穏を望むっす」
「香神乃は己ではなく、この地の事を望むか」
饗は頷くと天下自在符を取り出す。
「この俺、香神乃・饗は江戸幕府から世の平和を守る為力を与えられている『猟兵』っす。
恐らくその武僧は魑魅魍魎か妖怪変化の類っす。
早急に討たないとこの地の未来が危ないっす」
「人ではないものか」
「魑魅魍魎、妖怪変化の討伐は任せてほしいっす。こう見えて腕っ節には自信があるっす。三平太みたいな奴でもかるーくとっちめたっす、俺が、俺たちが、どーんと片付けるっす」
饗は胸を叩いて請け負って見せる。でもと頭をかき、
「現場の地形が解らないっす。迷ったり罠にはまらない様に地形の情報を教えてほしいっす、それと部下の数が多いのも気になるっす。部下の相手をしている間に武僧に逃げられるかもしれないっすね」
考え込む饗の言葉を引き取るようにしてヴァーリ・マニャーキンが藩主に言う。
「個人的な意見を言わせて貰えば周辺の地図を用意して貰えれば、かな?」
「わかった、揃えさせよう」
「後は敵が潜んでいると言ってた西の森に土地勘がある人がいれば話を聞きたいね」
「うーむ、西の森に居を構えている者はいなくての」
「例えば沼地や洞窟が有るとか乾燥し易いのか其れとも逆に湿気が多いのかとか拠点に出来そうな小屋や廃屋があるかどうかとか」
「そうよのう、ならば、西側に住んでいる町人や、町の外に出る用事のある商人、役人あたりならばわかるかの」
ユキノ・サーメッティアは口元に手を当て、考えるしぐさをし、
「それに藩主様からの頼み、何か町について教えてほしい事ですか」
それから独り言のように呟く。
「町人に何か不満というかどうにかして欲しいこととか聞いていってみようかね?」
藩主がユキノの言葉に問いを返す。
「お主が? ずいぶんと幼く見えるが」
「だからだよ。町の外から来てるし、見た目も子供だしで、思わず口を滑らせることもあるかもしれないから」
ユキノは立ち上がりなら、言葉を続ける。
「町人の悩みを知っておけばそれだけ対処にしやすくなるかもね、協力出来そうなことは手伝いしてもいいよね」
早速とユキノが部屋の外に出かかるところを、藩主が呼び止める。
「待て。サーメッティアの願いは無いのかの」
「此方の頼みは香神乃が言ってくれたのと同じ武僧の退治です」
「うむ」
「それに、その際に、配下の横槍や逃走の阻止のために配下側を抑えて頂ければと思います」
「わかった、お主ら猟兵の支度が整ったらこちらに再び伝えよ」
成功
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稲穂・あかり
みんなの話を聞いて
「そういえばぁ、町人の不満とか要望を聞くために投書箱を作ったらぁ、どうでしょうかぁ?」
「匿名で書けることにすればぁ、そういう情報も集まると思いますよぉ。」
「ふざけた投書やぁ、おかしな投書もぉ、多く来るとは思いますけどぉ、その欠点を補って余るほどの利点もあると思いますよぉ」
と提案します。
その話が終わったら、
「あかりもぉ、情報収集に行きますねぇ」
と言って、退出します
稲穂・あかりが、あとできることはと呟き、
「そういえばぁ、町人の不満とか要望を聞くために投書箱を作ったらぁ、どうでしょうかぁ?」
「なるほど箱の設置なら、一時的にではなく、以後も続けていける考えであるな、意見と名前を書かせればよいかの……」
あかりは違う違うと首を横に振り、
「そうじゃなくてぇ。匿名で書けることにすればぁ、そういう情報も集まると思いますよぉ」
「匿名か……匿名ではいたずらも増えそうでな」
わかると軽くうなずいた後に、彼女は続けて言う。
「ふざけた投書やぁ、おかしな投書もぉ、多く来るとは思いますけどぉ、その欠点を補って余るほどの利点もあると思いますよぉ」
「うむ、まずは意見を集める事か。ふざけた中にも、逆に本音や匿名でも言いにくい真意があるやもしれぬしな。わかった、早速、その案使わせてもらおう」
それはよかったと笑みを見せると、彼女は立ち上がり、
「あかりもぉ、情報収集に行きますねぇ」
「ああ、待て」
「まだ、何かありますぅ?」
藩主は猟兵たちに言う。
「ここにいる者たちにも、伝えさせてくれ、このたびは皆の者には縁もゆかりもない国を気にかけてもらい、感謝する」
まだ、解決したわけではないと誰かが返すと、藩主は確かにと頷き、
「早急に、地図や援護の兵力を用意させる、周辺の情報も集められる範囲で集めておこう、準備がすべて整ったら、再び、皆の者を呼び寄せようと思う、その際にはまた頼まれてくれるか」
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『仮面の武僧』
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POW : 末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : 狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
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弥久・銀花
私は正面から挑みます。 食い逃げの幇助の罪を犯した愉快な破戒僧の様ですが、武器を持つのならば容赦はしません。
そして戦いながら問いかけをします、僧でなくとも食い逃げの支援なんて変な事をするのなら語りたい事もあるのでしょう。
「そもさん!」
「何故、あんな事をしたのですか?」
返って来た答えがあんまりにも詰まらない、あるいは他者を害する思想であるのならば、必殺の鋭刃線閃で応えます。
稲穂・あかり
戦闘開始の初手で【鼓舞の祝詞】を使用し、味方と付いてきた兵の戦闘力をあげます
「まずは皆さんの力をぉ、増やすお祈りをしますぅ」
そして詠唱、普段の口調と違い朗々と唱えます
『八百万の神等共に 聞食しめせと 恐み恐み申す。かの者たちに戦う力を与え給え』
そしていつもの口調で
「それではぁ、皆さん頑張りましょう~」
と声をかけ、あかりも戦います
ユキノ・サーメッティア
配下した奴らは藩の人達に任せてるから
こっちの武僧に集中しようか
妖怪変化なのかただ化けて出たのか
分んないけど、ただ言えるのは
騒ぎを起こした元凶ってことだね
…その騒ぎも食い逃げから始まってるんだけど…
なんか最初は御大層なことじゃなかったのにずいぶん大事に…
防御支援で動いてみよう
武僧の【SPD】と【WIZ】のユーベルコードに合わせて
『ミレナリオ・リフレクション』での相殺狙い
ただ相手が使ったのは【学習力】で覚えて
次からはより相殺しやすくしてみる
特に【WIZ】の方は…
金剛力士をある程度は抑えられるかな
【POW】はまぁ、別にいいかというか…
そもそも見ることが出来なさそうな気が
ヴァーリ・マニャーキン
可能なら薬師や猟師、後はキノコとかを取ってる人辺りが居ればよかったん
だけど居ないなら仕方ないわね
情報を纏めて全体で共有して・・・力の無い人を傷つける馬鹿に罰を与えて
行く事にしようかしら?
自分の罪を自覚して・・・惨たらしく死になさい?
その程度で償える罪じゃあないけれどね?
地図等の準備が整ったら土地勘の或る人からの情報を纏め地図に書き込む
その地図は分断の可能性も考えて猟兵全員に配って置く
森の中では事前に得た情報を元に警戒しつつ進む
特に洞窟とかの或る所は警戒を強める
戦闘になれば確実に一体ずつ倒す
ボスに対しては『全力魔法』で『鎧無視攻撃』によるUC
敵の傷はきちんとえぐってダメージを強くするのは忘れない
香神乃・饗
迷子にならないよう地形情報を頭に叩き込んでおくっす
他にも情報を貰えたら全部覚えておくっす!
作戦が開始されたら罠などを避け忍び寄りボスを奇襲して暗殺を狙うっす
妖剣解放で死角から狙い撃ちっす
もし避けられてもフェイントをかけてぶったぎるっす!
俺のすばやさにはかなわないっす!
読経をし始めたら狙い時っすか
噛まれないように動き回りながら戦いつつ
戦場全体の様子にも注意を払うっす
逃げようとする敵を中心に糸で絡めとり盾にするっす
そう簡単には逃がさないっす!
万一援軍が深手をおいそうなら助太刀するっす
妖怪を倒す事も大事っすけど
この地の民が無事じゃないとこの地が繁栄しないっす
亡くすことなきよう、欠けることなきようっす
藩主が出してくれた援護の兵らと共に猟兵たちは敵のアジトに向かっていく。
「ああ、そっちより、左の道を行った方がいいっすよ」
香神乃・饗が前を行く援護の兵に声をかける。
「こちらの方が近道だと思うのだが」
そういう兵に首を振り、
「いやいや、そっちは雨が降るとしばらく足元が悪くなるって書いてあったはずっす。地形情報はヴァーリさんが細かく書き込んでくれてるから間違いないっす」
ヴァーリ・マニャーキンが呟くように言う。
「できれば薬師や猟師、後はキノコとかを取ってる人辺りが西の森にいるようならよかったんだけど」
そうであれば、より詳細に今の状況を知れただろう、道案内もしてくれたかもしれない。だが、そうした者が踏み入れずらくなっている程に、今の西の森は危険な状態になっているともいえる。
「あ、この辺は」
はっと顔を上げ、ヴァーリが皆に声をかける。
「途中、洞窟もあるから気を付けて、アジトではないにしても見張りがいるかもしれないから」
「妖怪変化なのかただ化けて出たのか分んないけど、ただ言えるのはこの先にいるのが騒ぎを起こした元凶ってことだね……その騒ぎも食い逃げから始まってるんだけど……なんか最初は御大層なことじゃなかったのにずいぶん大事に……」
ユキノ・サーメッティアの言葉に弥久・銀花も頷き、言う。
「食い逃げの幇助の罪を犯した愉快な破戒僧、そう思っていたんですけどね」
地図と西の森を通った者たちの話を合わせてみれば、敵の不意をつくまでにはいかないものの、けして不利にはならない態勢で戦えるはず。
はたして彼らは仮面の武僧の率いる軍団と対峙することとなった。
「貴様ら、よくここを嗅ぎつけたものだ、三平太が話したのか?」
仮面の武僧が問うてくるのを、
「わかっているようね。自分の罪を自覚して……惨たらしく死になさい? その程度で償える罪じゃあないけれどね?」
ヴァーリが武僧を見据え、言う。
仮面の武僧の周りには武器を持った男たちが睨みを利かす。
援護の兵と猟兵たちの一団の中から、稲穂・あかりが、
「まずは皆さんの力をぉ、増やすお祈りをしますぅ」
鼓舞の祝詞、普段の口調とは違った、朗々とした詠唱が戦場に響きわたる。猟兵と藩の援護兵らの内に力が沸き上がる。
『八百万の神等共に 聞食しめせと 恐み恐み申す。かの者たちに戦う力を与え給え』
「それではぁ、皆さん頑張りましょう~」
一転、いつもの年相応の子供じみた口調に戻った彼女は、動きは俊敏に前へと出ていく。
銀花は躊躇いなく正面切って仮面の武僧に向かっていく。
「そもさん!」
刀の切っ先を武僧に向け、銀花は問う。
「何故、あんな事をしたのですか?」
ククク、仮面の下から笑い声が漏れ聞こえる。
「この俺にまともに渡り合おうなどと考えるお前らなら、ある程度当たりはついているだろう? 奴に些末な罪を重ねさせれば、罪の意識も薄れやがてはどんな悪事もたやすくうけるようにだろう考えてな。大分うまくいって、やつめ、仲間も増やしていたのだがな。そして、ゆくゆくは町を町の者共ごと、全て、わが手中にしようと目論んでいたのよ」
「……許さない」
剣を構え武僧を睨み、唱える。
『研ぎ澄まされた刃に斬れぬ物無し! 鋭刃線閃!』
一撃が彼の体を捕らえる。
「グアッ! ……この身を傷つけるだと。ちっ、油断できぬという事か!」
武僧は左腕を狛犬とし、銀花に反撃する。銀花の肩口に牙が食い込む。
「くっ」
「まだ足りぬな、お前から受けた傷を癒すには、今一度くらえ」
武僧が再び左腕を振り上げる、そのタイミングに合わせ、ユキノが『ミレナリオ・リフレクション』を僧に仕掛ける。
「何、左腕の力が抜け……」
武僧の左腕が狛犬の首から元の手に戻る。
「そう何度もはさせないよ!」
「なんだ、お前らは、我らがある時には向かうとは生意気な!」
雑兵が怒りに任せヴァーリに切りかかる、が。
「うぐ! な、体が凍てつ……」
雑兵は彼女の前に倒れ伏す。
「あなたたちも皆、悪人ということでいいのよね? それなら」
ヴァーリは紅蓮の氷華を振るい、確実に武僧の配下たちを一人、また一人と倒していく。
「こんなところにいてられるかよ、逃げた方がいいんじゃないか」
「そうだよな……逃げようぜ。それ!」
この場から逃げようとする者もいた。しかし。
「そうはさせないっすよ、簡単には逃がさないっす!」
饗の鋼糸が逃亡者らを絡めとる。
「いい加減」
「くそ、あまり調子に乗るな!」
傷ついた味方の兵に敵の雑兵が刀を振り上げる。思わず兵が目を閉じた瞬間、
「おっと、助太刀するっす!」
饗が逃亡者らを盾にして割って入り、敵の雑兵を斬り捨てる。
「かたじけない」
礼を言う味方の兵に、造作もないといった調子で言葉を返す。
「なーに、妖怪を倒す事も大事っすけど、この地の民が無事じゃないと。この地が繁栄していくように。亡くすことなきよう、欠けることなきようっす」
配下の者たちはほぼすべて倒された。後に残るは仮面の武僧一人。
成功
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ヴァーリ・マニャーキン
真の姿
雪の結晶の髪飾りのヤドリガミの為に周囲に氷の鏡が浮かび氷のドレスに
身を纏う感じに
さて、と
配下は殆ど倒したし此れで貴方一人を倒せば終りね
私、誰かを傷つけておきながら平気で居る輩って大っ嫌いなの
そういうのに容赦するつもりなんて全くないし己の犯した罪、閻魔様の前に
行く前に思い知らせてあげるから覚悟しなさい?
『全力魔法』で『鎧無視攻撃』によるUC
敵の傷はきちんとえぐってダメージを強くするのは忘れない
他の猟兵の人達と共に逃さない様囲む
全部終わったら領主に自分の連絡先を渡しておいて其の上で早めにこの
手のに対処できるよう定期的に森等の巡回を提言
何か怪しい事が有ったら確認に来るから連絡してほしいと伝える
稲穂・あかり
「みんなの笑顔はぁ、何も変えがたい宝だからぁ、それを奪おうとするぅ、あなたを倒しますぅ」
と言って、真火招来扇を開き、舞を踊ります。
舞が進むにつれ、あかりの周りに次々と火の玉が現れ、舞が終わると、16個の火の玉があかりの周りに漂ってます。
扇を閉じ、それで武僧を指すと、全ての火の玉が向かい、途中で一つになり、武僧を攻撃します
香神乃・饗
武僧を掃除するっす
噛みつき以外は敵を盾にしてしのぐっす
香神の陣、完成っす!
戦いながら張り巡らせていた糸を使って攻防に生かすっす
張り巡らせていた糸も足場っす
地形を利用して立体的に戦い噛みつきを避けていくっす
糸の感覚でどれが幻かわかるっす
本体を狙い続けるっす!
苦無の妖剣解放でフェイントをかけつつ少しずつ削り機会を伺い
死角に回り込み妖剣解放で暗殺を狙うっす
世俗に呑まれて朽ちるがいいっす!
欲にまみれすぎで呆れるっす
仏の道の風上にもおけないっす
無事倒せたら藩主に報告するっす
協力のお礼を伝えて
落ち着いたら平和な藩に遊びにきたいっす
皆で守った土地っすこれからも良くしていって欲しいっす
●
ヴァーリが仮面の武僧の周辺を見回し、言う。
「さて、と。配下は殆ど倒したし此れで貴方一人を倒せば終りね」
武僧は仮面の下からクククと笑う。
「配下だと? 所詮は奴らなぞ、ただの雑魚どもよ、いくら死のうがかまわぬ、、三平太と変わんさ。大体、お前たちも、大分手勢を失っているようではないか」
「援護してくれた兵たちは後ろに下がってもらっているんですぅ」
稲穂・あかりが少し怒ったように言い返した。
武僧はオブリビオンであり普通の人間とは違う。
ここから先は援護の兵が横合いから出てくるよりも猟兵だけで戦う方がより確実と考えた。
「ふん、いずれにせよ、貴様らを蹴散らせば済むだけの事よ、それから、また、騒動の種をあの町か、別の町かは知らんが蒔かせてもらうだけ」
トン。ヴァーリが紅蓮の氷華の杖で地面をつき、武僧を睨む。
「私、誰かを傷つけておきながら平気で居る輩って大っ嫌いなの」
ヴァーリは雪の結晶の髪飾りのヤドリガミ。 その為だろう、彼女の周囲に氷の鏡が浮かんだかと思うと、
氷がその身に纏い、ドレスの姿をとっていく。それが彼女の真の姿だ。
「そういう奴に容赦するつもりなんて全くないし己の犯した罪、閻魔様の前に行く前に思い知らせてあげるから覚悟しなさい?」
怒りのあまりか、ヴァーリは少し笑みさえ浮かべてるように見えた。
「小賢しいわ!」
「どちらが?」
武僧が錫杖を振り上げた所をもぐりこみ、脇腹に全力の魔法を叩きこむ。
「ぐっ!」
「まだよ」
さらに彼女は攻撃を加え、武僧の傷をより深くえぐる。
「ぐっ、この女ぁ!」
「くっ!」
ヴァーリは錫杖で殴りつけられるが、彼女の眼はまだ、まっすぐ、武僧を睨む。
「あかりもいますぅ」
狐の羽衣をまとう稲穂・あかりは真火招来扇を胸元で開き、舞を見せる。遠くから彼らの戦いを見守る味方の兵らも、ここが戦場である事を忘れるような魅惑的な舞。
舞う中で彼女の周りに次々と火の玉が生まれていく。ひとつ、ふたつ……それから扇を閉じると、あかりは仮面の武僧をその扇で指し、
「みんなの笑顔はぁ、何も変えがたい宝だからぁ、それを奪おうとするぅ、あなたを倒しますぅ」
扇が指し示した方にと十六の火の玉が向かっていく。それはやがて一つの火球となり、武僧の身を炎に包ませる。
「くそ、この儂が……くそ、こんな所で倒れるなど……できぬ」
武僧が阿形と吽形、2体の金剛力士を生み出しながら、後ずさる。
「あかりさん、饗さん、逃がさないで!」
「まかせろっす」
「やれ、阿形、吽形」
それぞれがあかりと饗を襲う。
「つっ!」
吽形が、あかりを力任せに殴りつけた。彼女は思わず膝をつく。
「おっと!」
饗は敵兵を盾に攻撃をかわす。
「欲にまみれすぎで呆れるっす。仏の道の風上にもおけないっす」
武僧は、その様子を見ながら、
「何とでも言え……そうやって、2体を相手にすればいい、その間に儂は逃げ……ん?」
思うように進めず武僧は声を出す。疑問の答えを教えてやるように饗が言う。
「糸が張り巡らされてるっす。簡単には逃げられないはずっす。香神の陣、完成っす!」
「観念なさい!」
ヴァーリが再び、紅蓮の氷華をふるう。武僧が傷を受け、金剛力士らは姿を消す。
すかさず、あかりが、なぎなたで武僧を斬りつけようとするのを、すんでの所で避け、
「ハハハ、まだ、やられるものか!」
「いや、もう、お終いっす」
「グハッ!」
武僧はあかりの攻撃を避けるのに気を取られ、饗が死角に回り込んでいたの気づいていなかった。
妖剣解放により、俊敏さを増した饗の剣は武僧の体を貫いていた。
「世俗に呑まれて朽ちるがいいっす!」
武僧は倒れ、地に溶けるように消滅していった。
●
再び、藩主の御前に猟兵らは召された。
「援護の兵が来てくれて助かったっす。俺たちだけなら武僧には逃げられていたかもっす」
饗の言葉に、藩主は首を振り、
「いやいや、このたびは、本当に世話になった。武僧を倒してもらったばかりか、わが兵らの負傷者が少なかったのは、そちらが援護してくれたからだと聞く。重ね重ね礼を言う」
それから、あかりを見て、
「稲穂殿には、また飯を振るわねばな。わが藩の米蔵がもつかどうか……いや、冗談じゃ、捨て置いてくれ」
ヴァーリが、藩主様と声をかける。
「これからは定期的に森等の巡回をすると良いかと思われます。何か怪しい事に早く気づければ、私たち、猟兵も早く動く事が出来ましょう」
「うむ、提言感謝する」
饗は笑みを見せ、仲間たちの顔を見回しながら言う。
「落ち着いたら平和な藩に遊びにきたいっす。皆で守った土地っす、これからも良くしていって欲しいっす」
「あい、わかった。いつでも、そちたちを歓迎できる藩にしたいものだな」
大成功
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