猟書家『ブラザー・アポストロス』
~サムライエンパイア・とある城下町~
お聞きなさい、子らよ。喜びはあなた方と共にあります。
とはいえ、日々の辛い労苦の中、内なる喜びを感じる事は難しいでしょう。
私になんでも相談なさい。せめてもの指針となりましょう。
……なるほど。あなたは毎日畑を耕し、家族の面倒を見て暮らしていると。
幸いにして幾度かの戦乱にも巻き込まれず、先祖代々平和な農民である。
けれど、お父様とお祖父様の人生が極めて似通っていたように、あなたもまたこの先、彼らと同じような人生を送るのだという確信があり、あなたは、まるで未来が最初から決まっているかのような寂しさを感じている。このままでいいのか、何か違うことをしなければ、自分の人生を生きていると言えないのではないか。
わかります。あなたの悩みは、人生への根源的な問いかけです。
とても尊い、貴重なお悩みです。
その悩みを晴らして、心晴れやかに生きたいと願っていらっしゃるのですね。
いいですか、それは「間違い」です。
あなたの人生は、神の与えた「試練」です。
人は皆、「原罪」を背負っています。
故に、生きている事自体が「悪」なのです。
救済は「死」によってのみもたらされます。
死後、あなたが神に赦されれば、喜びと共に蘇るでしょう。神に祝福された蘇生者……それこそが、「オブリビオン」なのです。
飯と水を断ち、麗しき死の刻を待ちなさい。
私が、あなたを救済へと導きましょう……。