或る羅刹と人狼の追憶【1:1RP】
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月28日
閑古鳥が鳴くバーの片隅で、グラスを傾けた羅刹が呟く。
「そう言えば、わたし達の出逢いは――」
0
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月28日
(血に濡れた愛刀を一舐めして、室内を見回す) さてさて、あらかた片付きましたね。 (ソファーに机、その上の灰皿、壁にかかった華美な装飾。そのどれもが一級品であるが、今や無残に切り裂かれ、叩き折られ、或いは弾痕で、或いは血痕で、その尽くが価値を無くしていた。) ――さて、あとお一人ほど。居るのでしょう?そこに。 (ずしゃり。鈍い音は、肉塊の頭蓋を踏み抜いた為。) 不意打ちを狙うなら、それもいいですけれど。生憎にも、視えていますからね? (亡骸達の中心で目を閉じていた羅刹が、片目を開く。その視線は、一見すると他とさして違わない家具――家具だったものに向けられていた。)
ベラドンナ・ベルティネッリ 2019年1月28日
(視線の先にはあるのは、斬られて崩れ、うず高く積もったかつて本棚だった物。羅刹の問いに返答はなく、返ってきたのは無数の斬閃。壁ごと崩れ、露になった先には扉の残骸と、かろうじて残った「仮眠室」の文字。)はぁ……(未だ眠そうな目を擦り現れたのは、年若い人狼の女。辺りの惨状を見た彼女は、深い溜め息を一つ。)……あーあー、こんなめちゃくちゃに……やってくれちゃったわね。(非難するような目付きでこの惨状を作り出した羅刹を見る。)隊長に何て言えばいーんだか……。(頭を抑えて上司への報告を考えるも、こんな状態では誤魔化しが効くわけもなく。)アンタ、どうしてくれんのよ?
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月28日
(壁が崩れる、飛び退く。) (致命には程遠いものの、いくつかの切り傷がその身に刻まれる。)っ、これは…… (体勢を整えながら、その人狼を見据えて。にたり、と羅刹は口角を釣り上げた) なるほど、鋼糸使いの――
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月28日
はてさて、私への依頼は飽くまでここに居る者たちの鏖。用心棒まで殺れ、とは言われていませんし…… (構えを解いて、瓦礫の中を一歩、また一歩と、人狼へと歩みよる。それは、どこまでも自然体で。どこまでも無防備なようで。) ……なるほどなるほど?聞くところ、同業者の方のようで。まあ、今回の任務は惜しくも失敗、ということで。 (薄ら笑みを浮かべて歩む様は、その右手に握られた刀さえ無ければ、まるで散歩しながら世間話をするようにも見えて。) けれどまあ、その報告はしなくてもいいのですけれどね。 (ある一歩で、その歩みは踏み込みへと変わる。) ――ここで、貴方には死んで頂くのですから。 (斬撃が一閃。構えはなし。それが、この羅刹の“形”であった。)
ベラドンナ・ベルティネッリ 2019年1月29日
(踏み込みの瞬間、膨れ上がった殺気に狼の耳がぴくりと反応する。)……っ!(咄嗟に勘で避け、薄皮一枚切り裂かれたのみで済んだが、あと少し反応が遅れていれば首が落ちていただろう。この間合いに留まるのはまずい、そう判断し後方へ飛び)ふーっ……それにしても、よく喋る口ね。(何か言っていたのはわかっているが、その内容は流して聞かず。こういう手合いの話には乗るだけ無駄で、面倒くさいのが経験則でわかっているのだ。)徹夜明けの移動で眠いのよ。邪魔だから、そろそろ黙って欲しいわ。(大きな動作はなく、軽く指を曲げたのみ。それでこの人狼の攻撃動作は終わった。既に会話の途中で室内は糸を張り巡らせた狩場へと変貌している。音もなく、視認すら困難な四方八方から放たれる鋼糸の斬撃。時折たわみ発せられる風切り音は、次に攻撃の来る方向を誤認させ、縄張りに入った哀れな獲物を追い詰めていく。)
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月29日
浅かったですねぇ。ならもう一撃――――(追撃をかけようとして、悪寒が背筋を走る。周囲に視線を巡らせれば、僅かにきらめきながら殺到する鋼糸の群れ。) まず、(い、という声は風切り音と肌と肉が切り裂かれる音に消えた。) (攻撃を受け続けた羅刹が膝をつく。その剣で致命の一撃はいなし続けても、身体中に刻まれた傷がその膝を折らせた。) ――ふふ。(けれど。肩で息をしながらも、羅刹は笑う。) 狗にしては、なかなか……(血の滴る口元は、これまでで一番大きく歪んで。) 或いはあなたならば、わたしを殺せそうですねぇ……つまらない殺戮だけの任だと思っていましたが……なんと重畳な。 (その言葉が届かなくとも、饒舌は止まりそうにない。その時間が、再び鋼糸の罠を仕掛ける隙を作ろうとも。) ――さて。せめて死ぬ前に。お名前をお聞かせ願えると嬉しいのですが。
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月29日
……ああ、私はボドラークと……そういう名前を頂きました。貴方は?(ゆらり、と立ち上がりながら微笑んで。それは、街角で初めて出会った時のように。)
ベラドンナ・ベルティネッリ 2019年1月31日
チッ(仕損じたかと舌打ちを一つ。)……はぁ。(こちらとあちら、傍目にはこちらが圧倒的に優位に見えるが、実のところ不利なのはこちら側だ。仕込みを晒し、四肢の一つも獲れていない体たらく。手札を一つ晒し、接近される可能性が上がったこの状況は好ましくない。こちらは腕や指一本が戦力の増減に直結してくるのだから。)――狗に名前を聞くのかしら?おかしな趣味ね。(しっかりと聞こえていた言葉、少し根に持った様子で返す。)ま、いいわ。(外面上はさして変わらず、されど内心では押し負ければ一瞬で“獲られる”と確信し、相手の一挙一動に注視する。) ――ベラドンナ。覚えなくていいわ、すぐに意味がなくなるもの。
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月31日
私を狩り得る方ですからね。狗に狩られたとあっては、羅刹の名折れですから。ベラドンナさん……成程、いいお名前で。 (言葉を止めないのは、今一度時間を「与える」為に。) ねえ。ベラドンナさん。 久しぶりに――そうですね、お師匠様以来でしょうか――わたしを殺しうる方に久しぶりに逢えて、とても、とっても、嬉しいのですけれど。 (仕掛けてこないならばと、羅刹はこの時初めて、構えを作った。) ……次の一撃できっと、どちらかが死にましょう。 けれど、もし、天が我らを生かしたならば。
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年1月31日
――狗に成り下がるのはやめて、共に参りませんか? (言いながら、間合いを図る。) (そうして、永劫のような数瞬が過ぎて) ――――“飛燕”!!! (羅刹は、最後であろう一撃を放つ。)(当たれば殺せる、はずれれば死ぬ。そんな確信を持ちながら。)
ベラドンナ・ベルティネッリ 2019年2月20日
冗談……ッ!(こちらの何を気に入ったのか、出会ってすぐの、しかも敵からそんな誘いなど不気味以外の何者でもない。)(放たれた斬撃は、張り巡らせた糸を抵抗もさせずスルリと断ち切る)……っまったくデタラメね!(ならばと糸を操り、流れる刀に逆らわぬように、添わせ、巻き付けるように。)
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年3月11日
なあに。死合の最中で冗談を飛ばせる程、まだ強くはありませんので。 わたしをここまで追い詰めたあなたならば、或いはよき友になれるやも……そう思ったまでですよ?(鋼糸を断ち切る。さらに踏み込んで――) (その剣は絡め取られた)
ボドラーク・カラフィアトヴァ 2019年3月11日
――あら。これは――(出鱈目と云われたその力を以てしても、絡め取られた剣はぴくりとも動かず) ……降参です。首を切るなり、お好きにどうぞ。(両手を上げる。――しかし、その頬には笑みをたたえたままで) (口とは裏腹に、彼女の戦意は衰えない。それは、肩に浮かぶ羅刹紋の輝きが雄弁に語っている)