【RP】妖し夜市の浮かれ烏
葬・祝 2021年11月28日
妖だけが行くことの出来る、お祭りがある。
それは、キマイラの娘に厄災の妖が何かのついでに話したことだった。確か、彼女の敬愛すべき山神の昔の話のひとつだったように思う。
まだ彼が親元に暮らしていた幼い頃、彼にせがまれ、連れて行ったことがある、と。
まあ、それからは機会があれば良く行っていた訳だが。
「……もう少ししたらお祭りがありますし、行ってみます?」
珍しく好奇心の片鱗らしきものを見せた娘に、問うたのは当然の流れだった。
☪︎*。꙳
はふりとコノエ
1
葬・祝 2021年11月28日
(約束の日)(多少、いや、まあ、それなりに大きな問題があって抱え込んだ疲労感は、極度、よりはまあまあマシになって来た所。ただ祭りを歩くだけならば、そんなに問題はないだろう。緋色で彼岸花の紋様が描かれた布面をした少年は、同じものを相手に差し出して)
きちんと身に付けていてくださいね、君はまだ妖ではありませんから。(相手が布面を身に付けてくれれば、布越しであるにも関わらずその視界は何も付けていないのと同じくらいクリアであることが分かるだろう)
葬・祝 2021年11月28日
(そうして)(己の小さく冷たい手で少女の手を取った妖は、その手を引いて決められた手順を通り抜けるように、歩を進める)(からん)(高下駄の音がひとつ。その途端、周囲は賑やかな夜祭へと姿を変えていた。多種多様な妖が、異形が楽しそうに祭りの喧騒を闊歩し、屋台は人間世界の何処かで見たことがあるようなものから、奇妙な蠢く物体が売られたものまで、様々だ)
……さ、着きましたよ。妖たちの秋の夜祭へようこそ、コノエ。
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
…はい。
(妖の少年が差し出した布を受け取り、そっと身に着ける)
(素直に反応を返せば、そのまま手を引かれるままに歩を進めた)
(その日はなんとも不思議な気分だった。自身がまだ踏み入れたことのない地へと案内してくれるというその誘いは、薄れかけてた自分の好奇心、というものを刺激させてくれた)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
(やがて歩を進めるごとに、その空気が変わっていくのが分かった)
(山の空気と違う、少し歪ながらも賑やかな夜の空気。騒がしそうに響く喧騒は、不思議と耳障りではなかった)
…此処が…妖達の祭事、ですか。
(普段と変わらない淡々とした表情。だがその奥で、変化に敏感ならば少しだけ声色がいつもと違うのがわかるだろう)
(無効票)
葬・祝 2021年11月28日
(ちりん)(鈴の音を最後に、相手の手を離す。きちんと此方側に連れて来られたから、あとは帰りにまた手を繋げばそれで良い。幼い頃のあの子と違って、相手は放たれた子鼠のように彼方此方へちょろちょろ走り回ることはないだろうし、見失うこともなかろう)
ええ。ちょっと歩きましょうか、気になる屋台があれば覗いても良いですし。……そうそう、何か食べたい時は、一応私に確認してからにしてくださいね。(人の子に食べさせると良くないものも、ちらほらある。特別な種族の妖のためだけの屋台もあるし)
葬・祝 2021年11月28日
(歩き出す人混み。周囲には、人の姿に近しいものから、目玉や腕や足の数が可笑しいもの、そもそも人型など程遠くずるずると引き摺る肉塊のような何か、頭に葉っぱを乗せた子狸まで、多種多様だ)(屋台も、多種多様。それでも、それなりに良い匂いもしているし、見慣れた焼きそばやたこ焼きなどの定番も見受けられる。はしゃぐ子供たちの笑い声、姿は見えないが低い位置を子供が駆け抜けて行ったように僅かな空気の流れがあった。ぱたぱたと遠ざかる、軽い足音)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
…は、はい。
(ちょっと歩こう、という言葉を受けてそっと返事を返す)
(今までとは違う空間に少しだけ気圧されはするも、そこに広がる光景は人間たちの祭りと変わりはない)
(ただ祭りを動かしている者、楽しんでいる者、それぞれが「人ならざるもの」であること。それがこの地の違い)
…人々の種族は違うとはいえ…祭りそのものは、私達の行っているレと変わりない…のですね…。
(無効票)
葬・祝 2021年11月28日
そうですねぇ、そんなには変わらないかもしれません。強いて言うなら、ちょっと危ない場所だと言うことくらいでしょうか。(妖は弱肉強食である者も多い。まして、妖のためのこの場に妖以外が居れば。まあ、あの子は結局最初に連れて来た時から何度となくこの祭りに来ているし、バレて逃げ回る羽目になったこともちらほらあれど、この空間から抜け出してしまえば問題ない。ご存知の通り、しっかり五体満足で元気である)
まあ、おやつ感覚でひよこや子牛を摘む方々も闊歩してますし。でも、この祭りでは人間世界では珍しい物を売り買いする屋台も出ていますし、見応えはあるかと。
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
…成る程。
表面上は賑やかに見えますが…油断はできない、と。
(元より人間と妖の価値観、倫理観は異なるものだ。言ってしまえば自分は妖社会に紛れ込んだ異物のようなもの)
(楽しむつもりは決してなかったわけではないが…少しだけ緩んでいた気を改めて引き締めるようにした)
確かに、見覚えのない品々が揃っているのは見かけますが…。
(実際に屋台を見ればまず現実じゃお目にかかれないであろうものが並んでいたりする)
…わかりきった感想かもしれませんが…少々不気味、ですね。
(無効票)
葬・祝 2021年11月28日
くふふ、大丈夫。バレなきゃ良いんですよ。(悪戯っぽく笑う悪霊は、からころりと高下駄の音をさせながら道を往く。この妖が進むと、本能に従うように他の妖たちが少しばかり距離を取る。布面で認識阻害をして正体を隠していても、避けるべきもの、と言う認識は本能を震わせるものだから仕方がない。だが、おかげで歩きやすいのも事実だ。人混みを歩くのは不慣れで苦手だから助かる)
不気味です? 君がその内踏み込む世界ですよ。(ふふ、と含むように笑う。通りすがりの屋台にひょいとおはじきのような透き通る小石をひとつ差し出して、代わりに瓶詰めのビー玉の詰め合わせのようなものを受け取る。中身は霊体系妖のための補助食品のようなものだ)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
(悪戯に笑う様子は心なしか楽しそうに見えたが…その実、他の妖怪たちが少しばかり距離を取っているようにも見えた)
(そう思わせるだけの力を目の前の少年は有している…。すでにわかってはいた事だが、こうして話しているだけでも頼りがいのある存在だと、そう思った)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
…そうですね。今はまだ…人の身だからこそ、そう感じるのでしょう。
(いずれは自分が踏み込む世界であれば、その空気にも慣れていくのだろうか。そんなことを思いつつ)
…祝様、それは?
(何やら瓶詰のようなものを受けとった様子を見れば、そう尋ねて)
(無効票)
葬・祝 2021年11月28日
ええ。君は天狗となって、あの子の配下になるんですもの。ね? (そのためならば、きっと幾らでも努力するであろう娘だ。だからこそ、自分も何くれと余計な手出しをしている訳だけれど。あの子を護る忠実な盾と矛は、幾つあっても良い。ましてそれが、決してあの子を裏切らず穢さぬものとなるのなら、尚更)
これは私のような霊体の存在のための、補助薬のようなもの、でしょうか。お祭りの時は少しだけ安いんですよねぇ、普段は足元を見やがりますが。(ビー玉のような見た目のそれらは、飴玉に見えなくもない。実際、霊体が疲労した時に口に入れると、少しだけ疲労が和らぐ)
葬・祝 2021年11月28日
コノエ、君は何処か気になる店でもあります? (自分のことはともかくとして、折角の初めての祭りだ。相手の自主性を問う)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
…えぇ。それが私の目標…ですから。
(少年が放つその発言にこくりと強く頷く)
(そう、彼の配下として歩くという事は、こういった場所も共にするという事だ)
(そのためならば少しでも早く、この世界には慣れておかねばならないのだから)
霊体を維持するための丸薬…ですか。
…そのようなものも売られているのですね。
(あまり語らない少年のことからか、そういった素振りはあまり気にはならなかったのだが、どうやら存在の維持のためにはこうした補助も必要だという事を知り、少し意外そうに感じた)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
気になる店、ですか…。
(尋ねられればくるりと少しばかり周囲を見渡す)
(この道中、何かあっただろうか…と考えを巡らせながら)
…そうですね。
御面の店…などは、あるでしょうか?
(無効票)
葬・祝 2021年11月28日
君の未来を楽しみにしています。(布面の向こうで、妖が笑う。実際、お社にあの子の側仕えが存在しないことからも分かる通り、その立場に立てる者は限られる。何しろ、あの子がどうしてか他者の悪心を誘発させやすい上、自分という厄災のこともある。邪な想いを持たず、己という厄災をもある程度は受け入れられる存在、という意味では、尚更相手の未来には期待したい所だ)
まあ、疲れた時に口にするくらいの物ですよ。普段は特に必要としていません。(現状、諸事情で多大な霊魂的疲労感を抱えているので、仕方ない)
葬・祝 2021年11月28日
御面でしたら、確かさっき見ましたね。(おいでなさいな、と先に立って歩き出す、姿勢の良い小柄な背中。その先には、多種多様な面が売られた屋台がある。ごく普通の子供向けのお面から、相手が持つような面や、能面、呪術的な面や妖力のある生きた面まで様々だ)
葬・祝 2021年11月28日
(「いらっしゃい」とお面を被った店主が言う。面の目玉穴の向こうは、何もない)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月28日
はい、以前から使っていた御面も随分と長く使いこんできましたので…
名に代わりになるようなものがあれば、と
(先立って歩きだす様子を見かければ、大人しくその後をついていくようにして、次第に目的の屋台へと到着する)
(目の前に並ぶお面は童子にむけた可愛らしい物から、どこか見るだけでも異様な力を漂ってくるような、そんな代物が感じられる)
(いらっしゃい、という声に対してそっとお辞儀をして)
…良い御面が並んでいますね。
どれも力が感じられるような…そんな気がします。
(無効票)
葬・祝 2021年11月28日
良き物が見付かると良いですねぇ。……さて、君に馴染む物はあるでしょうか? (妖の祭りの屋台での支払いは、大抵は妖力を固めた石のようなものであることが多い。が、中にはこれはあなたのものだから受け取るべきであってそれ以外の選択肢はない、という押し掛け系品物もある。普通の支払いならば此方で持てるから良いが、押し掛け系の場合はその物に気に入られてしまったということになるから注意されたし。力ある器物は、選んだ者へ献身的に力を貸すだろうけれど、大切にしなければ祟られる)(ひょっとこのお面を被ったその店主は、相手がきちんとお辞儀を返したことに気を良くしたらしい。「手に取っても構いやしませんよ」と許可を出した。つまり、店主が許可したのだから、どれに触れても危険は起きない)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
(店主と祝の言葉を受けてこくりと頷けば、改めて屋台の仮面を吟味する)
………
(立ち並ぶ御面はどれも見事な造りをしており、物によっては芸術品と思えるようなものまであった)
(しばらく眺めているとふと、彼女の中で一つの面に目が止まる)
これは…。
(それはどこか鋭さと雄々しさすら感じられる鴉天狗の御面で、普段彼女がつけているものとは違い、顔全体を隠す面であった。)
(無効票)
葬・祝 2021年11月29日
(少女がお面を見る傍ら、さて何れがお気に召すかと先程買った補助薬を飴玉のように口内で転がしながら眺めていれば、どうやら目に留まる物があったらしい)
気になる物はどうぞ手に取って、コノエ。(さて、普通のお面か、それとも。相手が何を感じるかは、自分は預かり知らぬことだ。妖でなくとも、何かしらに選ばれる資格は誰にでもある)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
…では、店主様。少しばかりこちらの御面を拝借しても。
(そう言ってそっと先ほど眺めていた御面を手に取る)
(なぜ自分がこの御面を見てしまったのかは、彼女自身も実はよくわからない)
(ただ、この面にあまりに自然に魅かれるような形で――思わず手まで動いてしまったのは事実だ)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
(何よりこの御面からは、自分の中から何かがこみあげてくるような)
(そんな力の躍動を感じつつ、あった)
…少し…試着することは、可能でしょうか?
(無効票)
葬・祝 2021年11月29日
(「どうぞ、全てご自由にしておくんなまし」)(店主が言う。不思議と、お面越しとは思えぬはっきりした声だった)
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
…ありがとうございます。
(店主に礼を言い、そっとその面を自身の顔に着ける――)
―――…!
(瞬間、ぞくりと妖力が包まれていくような感覚が駆け巡る)
(それはあまりにも一瞬の出来事ではあったが、同時に瞬時に彼女の神経を鋭敏にさせた)
(…これが「本来の鴉天狗」という存在の感覚、なのだろうか。そんな思考を巡らせながらも、御面を着けたまま店主と祝に顔を向けて)
…不思議な気分、です。
(そんな短い感想を、そっと零した)
(無効票)
葬・祝 2021年11月29日
(「嗚呼、こりゃあこりゃあ。誰にも言いやしませんよ、お連れさまが人の子だったなんぞ。何しろ、お連れさまはその烏面に選ばれちまいましたからね。うちの子が選んだお人で御座います。ええ、ええ、この店主めは亀の甲羅より硬く口を噤むと致しやしょう」)(店主が、何やら嬉しそうに矢継ぎ早に言葉を重ねる。布面をずらした一瞬が、店主の目には確と映ったのだろう。しかし、無機物であるはずのひょっとこ面の頬は紅潮し、それは嬉しそうに見える)
葬・祝 2021年11月29日
ええ。余計な口は持たぬ者が長生きしますからね。(ハイテンションの割に周りに聞こえぬようにと小声で捲し立てた店主に布面越しに無関心な視線を向けた妖は、相手に鏡面の眼を向ける頃にはその眼差しを意味ある者を見る視線へと軟化させていた。彼女はお社の子供だ)
コノエ。それは君と共に未来を歩みたいそうです。恐らくは、一時的に、であればその力に頼ることも出来ましょう。君の求める未来のために、それを供としますか?
(無効票)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
…私と未来を、ですか?
(お面越しに話す彼女の声は少し篭りながらも、その様子に特に驚きや焦りといった感じはなかった)
(これが呪術的な力を秘めてる以上、危険性も考慮しないといけなかったが…この御面はどうやら自分に協力的らしい)
(であればーー)
…えぇ。この面がどういう理由で、私を選んだのかはわかりませんが…
…少なくとも、力になってくれるのであれば…ありがたく、頼らせていただきましょう。
(無効票)
葬・祝 2021年11月29日
(「おお、おお良かった! 良かったなぁ、倅や。倖せにおなり」)(まるでその面が己の子供のような物言いをした店主は、感動の余りの泣き笑いのような声で呵呵と笑う。その直後、強い風がざぁぁっと吹き荒れ──)
葬・祝 2021年11月29日
(忽然と)(屋台も店主もその姿を消していた)(残ったのは、相手の身に付けた烏面だけ)
葬・祝 2021年11月29日
……全く、せっかちな。(呆れたような声で呟いた妖は、相手の元へ歩み寄って、お面越しにそっと視線を合わせた)
それは君が望めば、君が身に付けやすい形へ幾らでも見た目を変えるでしょう。それくらいの融通が利く力はありそうです。力の使い方や発揮の仕方は、これからお勉強ですね。さ、次に行きましょう、コノエ。(大切にしてやりなさい、と告げて、からりと高下駄の音を立てて踵を返す。支払いを受け取らなかったということは、正に押し掛け系品物である)
(。)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
…店主様?
(お面越しに僅かに感じたその風は、どこか幸せそうな感情が混じった声が聞こえて…しばらくすればその屋台は忽然と消えていた)
…ーーー
(そっと御面を外し、その天狗の面に視線を落とす)
(雄々しかったその表情だが、心なしかどこか嬉しそうに見えた気もした)
…はい。
行きましょう、祝様。
(そう一言返事を返せば、踵を返して歩みを再び進ませーー)
朱葉・コノエ 2021年11月29日
ーーー
(一度だけ、その屋台があった場所に振り向いて)
………
(最後に何かを口にして、改めて歩き出す)
(風に乗って流れた彼女の言葉は、祭の喧騒と共に消えていく)
(。)
葬・祝 2021年11月29日
(妖だけの夜祭の中、未だ人の子である少女を連れて、厄災の妖は往く)(「ただの前借りですよ、どうせ彼女は何時か必ず此方側。……ね?」なんて嘯きながら)
葬・祝 2021年11月29日
(夜祭の喧騒は、まだ続く──)
葬・祝 2021年11月29日
【〆】