シリン・カービン 2021年9月22日
【第一章】
【かんにき】
薄紫の白地に鮮やかな花々を裾にあしらった、大人っぽい浴衣。
皆の浴衣姿に目を細めながら子供たちの後をついて歩きます。
射的、ですか。私も参加してよいのですか?
では、遠慮なく。(大人げない)
「金魚すくい…漁の様なものでしょうか」
「…紙?」
受け取ったポイに首を捻りながらも水槽へ。
漁の基本は待つこと。そして網の素早い引き揚げ。
ポイを静かに水に沈めると、ジッと獲物を待ちます。
「…っ」
目にも留まらぬ早さでポイを上げてみれば。
「…破れました」
隣のペンギンに気が付きもせず、次々ポイポイポイ…
皆で花火を見上げながらほっと一息。
頬が赤い?
それはきっと花火に照らされているからです。
照れ隠しではないですよ。