Owl
黒江・イサカ 2021年8月22日
路地裏≪食べこぼし通り≫
飢える者たちに救いを、それが飲食店の裏側の暗黙の了解だった。
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→ BAK
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臥待・夏報 2021年8月26日
ちょっとお腹は減ってるけど、そこまでお腹が減ってるひとではない。(繊細な違いであった)――暗黙の了解ってやつだから、手渡したりはしないんだね。あくまでゴミ箱を通して、か……(食欲をそそる香りと削る臭いが同時に来る。口で息を吸って、鼻から吐いた)
黒江・イサカ 2021年8月29日
お腹空いてたんだ。言ってくれてればそういう場所にしたのに。(蓋を閉める)(路地裏の上空、狭い空を見上げて)“ゴミ”を捨てる側、拾う側。それが彼らの立場で、そしてルールなんだな。ゴミだから何を捨ててもいい。ゴミだから拾って感謝もしない。一文無しを探すときは此処はおすすめだね、有名スポットだから。
黒江・イサカ 2021年8月29日
(そのとき、合流する小路から突如現れる人影があった。成人男性の大きさ、スーツ。君が避けなければ、それは強く君にぶつかってしまうだろう)
臥待・夏報 2021年8月31日
いや、一文無しを探す必要があるときってさあ――(つられて空を見上げていた。なかなか興味深い話だったし、思考もそちらに向いていた)(そもそも人間の気配に特別聡い訳でもない――殺意を持って向かってくるならまた別だけど、そういったものも感じなくて)
っあ、(ぶつかる)(足を止めても、一拍遅い)
黒江・イサカ 2021年9月2日
(ぶつかれば当然、君は硬い衝撃を受けるだろう。蹈鞴を踏むか、バランスを崩して転げてしまうか、それとも気を利かせた帽子の男に受け止められてしまったり?状況はお任せしよう、少なくとも間違いなく君とぶつかった会社員風の男は跳ね返るようにその場に転げて)おや。(バネ仕掛けのように跳ね起きると、四つに這ってその場で吐いた)おやおや。
臥待・夏報 2021年9月3日
(よろける。一歩目で右足首に違和感が走る。……けれど、そこで身体が接触事故を認識する。近くの壁に手を衝いて、なんとか踏み止まった)
臥待・夏報 2021年9月3日
うっ……(うっかり排気を吸い込んで顔を顰めるけれど、――ぶつかってしまった男のほうがどうやら重症だ。この人が一文無し? 服装は会社員風だけど。表の飲食店で飲み過ぎた客か? いや……)おやおやって、(呑気に眺める君を見て、呑気に眺めているようだから視線を戻して)あの、すみませんでした、大丈夫……ですか?(とりあえず、声だけ掛ける)
黒江・イサカ 2021年9月12日
(君の服のフード―― なければ腕でも掴み)危ないよ。(びちゃびちゃと戻されるのはほとんどが黄色い液体で、すぐに酸い匂いが排気の曇った匂いに混じるだろう)(それなのに何度も、何度も、吐き辛そうに嘔吐いていた)(詰まるように咳き込んで、ほとんど地面に齧りつくように這い蹲って)(そして、腹を蹴られた獣みたいに呻くと、ぼとんと肉塊を吐いた)(赤い液体が涎みたいに糸を引いて落ちる)
臥待・夏報 2021年9月17日
(パーカーにフードがあったので、その場でつっかえて空足を踏んだ)危ない?(聞き返しつつ、……今度は君に視線を向けない。異様なものから目を逸らしてはいけない。そのくらいの訓練は受けている)
(黄色……呑み過ぎた後にウコン飲料でも流し込んだ、わけでもないな、胆汁? 何であるにせよ様子がおかしい。吐き気っていうのは波があって、一度吐いたらまず息を整えるものだ。こんな、無理やり吐かされているみたいな、)
(――何歩か、退がる。肉塊が地面に落ちる頃には、君の隣、つまり安全と思われる距離を確保している)
臥待・夏報 2021年9月17日
(手の甲で鼻を押さえながら)なんで……危ないってわかったの?
黒江・イサカ 2021年9月20日
見たことがある、同じように吐くひとを。(後退する君の背を、今度は、これ以上下がらないように片腕で受け止めた)(同じく、その姿から目を離さず)そのひとはゲーゲー身体の中んもの全部出し切るみたいに戻したあと、胎児みたいなのをいくつか吐いて、丸くなった。膝抱えたとかじゃないぜ。球体になったんだ。(2つめ、先程よりも小さい塊を吐いた)(黄色いだけの吐瀉物だったはずが、今はその真ん中から赤い色が混じり始めていて)(ぼたぼたと、蛇口みたいな出血は尋常ではなく)
臥待・夏報 2021年9月22日
(なら、それ以上は退がらない。背中を見せて逃げたりもしない。蹲る男から視線は外さずに、しかし、意識は君へと向ける――咄嗟の瞬間に、君がするのと同じ行動を取るためだ)胎児みたいなのって言われたら……胎児みたいかどうか、って目で、見ちゃうじゃん……(一個め、二個め、大きさが違う肉塊が、それぞれ何週間めくらいかな、なんて口には出せないな、……根本的に、こんなことを考えている場合じゃないな)
黒江・イサカ 2021年9月26日
どうする?(立ち止まった君に尋ねる)
黒江・イサカ 2021年9月26日
まあ、差し迫った二択としては、“手を出す”か“手を出さないか”だね。更に、手を出すとしたらどうしたいか、なんだけど―――…。(君の腰、その背骨を一度なぞり)僕は、“生かす”も“殺す”も出来るよ。
臥待・夏報 2021年9月30日
(指示がないので現場判断)(目撃者は多くない、倫理規定はどうとでもなる)(こいつを疑うメリットも薄い)(ところで……今のセクハラ要る?)(こういうとき、信念が無い人間は判断が遅いんだよな)(自己評価をしている場合でもないな)(教科書通りに動くなら、生きて情報を持ち帰ることが最優先。そのうえで、僕の身体は多少の無茶が利く――)
臥待・夏報 2021年9月30日
ええっと、(咄嗟に動けなかった)――“手を出さなければどうなるか”を先に頼む。
黒江・イサカ 2021年10月3日
さっき言ったろ?“球体になる”。流石の僕も初めて見たとき、びっくりしたよ。
臥待・夏報 2021年10月5日
わかった。(なけなしの名誉のために補足しておくと、二回目言われてやっと“球体になる”ことを理解したわけじゃあない。秋物の鞄に右手を突っ込む)
少なくとも、真面な意味での『助ける』って選択肢がないことはわかった。(あと、君がこれを視たのは一度や二度じゃないらしい……ということも。指先が拳銃を探り当てる)
臥待・夏報 2021年10月5日
“殺せる”リミットは……わかる? できれば、限界までは、視ておきたい。
黒江・イサカ 2021年10月11日
そんなことないよ。君が生かしてって言ったら、僕はそれはもう力を尽くして頑張るつもりさ。(そろそろ、吐ききってしまったのかぼたぼたと溢れて地面を汚すのは少なくなってきた)(すっかり地面に這い蹲ってしまうと、びくん、びくんと、まるで噛み合わせの悪い歯車の玩具みたいに跳ねていて)…さあ、球体になっちゃった後でも殺せるんじゃない?生きてるなら。君が何を殺したいのかだ。化け物を殺したいなら、ずうっと見ててもいいだろう。(では、人間を殺したいなら?)
臥待・夏報 2021年10月17日
球体だろうが立方体だろうが、“人間”を殺すことには違いがないでしょ。
(取り出した銃の引鉄に指を掛ける。足を肩幅に開いて、腰を落として、教科書から写してきたような構えを取る。素人ではないけれど、馴染んでもいない、くらいの)生かすだとか、――化け物になる前に殺すだとか、いい子ちゃんみたいなことを言うつもりないよ。後が面倒くさくならなきゃ、いいよ。(呼吸は浅く。溜まってきた唾はまだ飲まない。引鉄も引かない)……君は……この街のひとでしょう? 面倒くさくもなんともないって顔、してるね……
黒江・イサカ 2021年10月28日
(君の背を支えていた――…ほどでもないが、添えられていた手があった)(解けるみたいに自然に、それは君の腹部へ回ると抱き寄せるようにして)僕にやらせないのね。(当然、どれくらいかは君の抵抗次第だが、距離は縮まり囁きかけるも容易になる)(身長差ゆえ、頭部に頬を寄せるようであったが)助けるでも、助けないでも。ちょっと意外だったな。そんなもんまで持ち歩いちゃって。(内緒話の声量だ)(内緒話の声色だ)面倒なら、面倒臭くも何ともないって顔してるやつにやらせればいいのに。(ことん、と、君に落ちるような声だった)
臥待・夏報 2021年11月6日
(靴の踵を一回鳴らして不快を示す)(でも、それだけだ。君の手つきにさしたる抵抗はしない。銃を握る手はそのままに、たたらを踏む動きで姿勢を取り直す。足と足は、肩幅……)あの、気が、散るんだけど――。(触る意味ある? ……という疑問はもう湧いてこなかった。脈を測られているような、注射の前に血管の位置を探られているような、妙な居心地の悪さだけがある)
臥待・夏報 2021年11月6日
そんな意外でもないでしょう。不殺の信念がありそうな女に見える?(予行練習するみたいに、指を一旦伸ばして、曲げて、再び引鉄に添えて)……これが似合ってないのは自覚あるけどさ。
(内緒話の声量)(内緒話の声色)(後頭部の感触)(……この裏通りには、蹲ったまま跳ねている男ぐらいしかいないのに。同じように、声を落とす)それとも何、やらせてほしいの?
黒江・イサカ 2021年11月17日
いいや。似合わないなんてべつに、そんなことは思わないさ。(うーん、食いでの悪そうな女)(それが少々不満ではあったが、まあ女は女なのでくすんだ色合いの髪に一度頬擦りをして)不殺の女とも、べつに。思ったより見捨てるのが早いんだなあとは思ったけど……、まあ、いい。どちらにせよ、今からじゃあちょっと“辛い”。(詰め込まれるような唸り声の後、ぼとりと湿ったものを落とす音がした)(もちろん、帽子の男のものではないし、君のものでもない)(どのようなものを吐いたのかは君の想像にお任せすることにする)そうだよ。殺すなら僕がする。
臥待・夏報 2021年11月29日
(えー、じゃあここで「後は頼んだ」って言ったら身体を触るの止めてくれるかなあ)
(君が『人間』を殺すのに手を使うなら、僕から手を退けてくれるかもしれない。男に身体を撫で回される趣味なんてないし)(……目の前で『人間』が悶え苦しんでるっていうのに、ずいぶん呑気な考えをする女だなあ、僕は)
臥待・夏報 2021年11月29日
見捨てるって言うならさ……このまま野に放ったり、うちの職場の研究室送りにするほうが、よっぽど……(つい聞こえのいい言葉を並べようとして、湿ったものが落ちる音に息を呑む。血合いと、腹膜が混じった……何かが、脈打ったように見える)……いや、人を殺すのに言い訳はなしだ。君は、(“辛い”? 君が? 蹲っている男が?)あれか、苦しませないように殺したい、みたいなやつ……?
黒江・イサカ 2021年12月5日
いいや。…いや、まあ、もちろんそれもあるけどね。(背後から、君のお腹の辺りを軽く押す)(指先が、子宮を探って)今から“生かす”を選ばれたらさ。どれだけ疲れちゃうんだろうって思って。(黒江イサカは聖者である)(一時的かもしれないが、あの歪な出産を、彼の身体の異常を治すことは出来ただろう)(君がそれを選ばなかったからしないけどね)(するりと、君の身から腕がほどける)(君を追い越して、帽子の男は蹲る男の許へと)
臥待・夏報 2021年12月11日
(君の手が離れた瞬間、身体から力が抜けそうになる。……安心したのだと思う。彼をちゃんと殺せるだとか、自分の手で殺さなくても済むだとか、そんな高尚なことじゃあなくて――君の手が離れたことそのものに)(触れられていた腰椎にまだ感触が残っている。人の生き死にを語るのに、こんな大袈裟な鉄屑なんて必要としない、そういう手だと思った)
……さすがにそんなこと言わないよ。生かすのも殺すのも同じくらい勝手だけど、それを途中で変えるのはちょっと勝手すぎるもの。
黒江・イサカ 2021年12月19日
(君の胎を押した手に、いまはもう既にナイフが握られていた)(――パチンと、遅れて折畳ナイフを開く音が聞こえるかもしれない)そういうところが普通のひとらしくないんだな、君。普通のひとって意外と、我儘を言うものだよ。(水たまりを踏む子どもみたいに、近付く過程、吐かれた肉塊を踏み潰す)可哀想な君。僕と逢えて、よかったね。(ひょこりと屈みこむと三つ編みの尻尾が背中で跳ね)(母体の首の裏、其処にフォークみたいにナイフを刺した)(それでおしまい)
臥待・夏報 2022年1月12日
(……母体はじきに胎児と等価な肉塊になって、路面に崩れ落ちるだろう)(それを見て身体から力が抜ける。何よりも先に安堵を感じる)(命が潰える音よりも、ナイフを開く音のほうが耳に残っている。単純にそっちのほうが綺麗だった)(ろくでもないんだよなあ)よかった、のかな。(彼に向けられた言葉だろう。自分に向けられた言葉ではない。そう思っておく)……うん、よかった。
臥待・夏報 2022年1月12日
普通だよ。(生かすにせよ、殺すにせよ、何にせよ、)――何かを『良い』と言ってしまえるひとのほうが、僕は怖いけど。それが多数派だとしたら、世界のほうが普通じゃないんだ――(肩をすくめて、)……って感じの自分本位な暴論を言うものでしょう、『普通のひと』は。そういう意味で、僕は、普通。
黒江・イサカ 2022年1月17日
わざわざ言い出しておいてよく言うよ。(まだ人間らしいかたちを保っているその死体の傍に屈みこんだまま、数度鼻を鳴らした)(吐瀉物とか血とか、生温かい肉とかの匂いが路地裏の匂いに混じっていて)最近よく聞くなあ。球体の話。
臥待・夏報 2022年2月16日
よく聞くって、(隣でもなく、真向かいでもない、斜めくらいの位置で屈み込む)世間話みたいに言うなあ。いや、世間話なのか……よく聞くんだったら……(ここではそれが『普通』というだけの話だ。突っ込みすぎず、順応してみせたほうがいいのだろう。血も、肉も、吐瀉物も、臭いに鼻が慣れてきた)君は『球体』になるところを見たって言ったけど、なった後の話もあるんだ。
黒江・イサカ 2022年3月14日
君が球体になるってんなら、世間話でなくもう少し深刻に話すけど。(屈めば視線が合うものだ)(機嫌良さそうにニコと笑う)僕はならないから、ま、世間話だな。ト言っても生きている球体の話じゃない、正確に言うと“人間のものとは思えない肉塊”の話さ。……好きかい?こういう話。
臥待・夏報 2022年4月8日
(真顔で睨み返してみる。君の眼球に映る僕には、「友達」程度の意味付けはあるんだろうか)それを「よく聞く」んなら、僕が球体になる可能性も高いと思うぞ。
臥待・夏報 2022年4月8日
それともまだ起こっていないことの話はしない主義かな?(わざわざ聞いておいてなんだが、その通りなんだろうなあ……と思う)だとしても……もう少し深刻なだけの世間話だな。好きではないよ。これが仕事になってからは。
黒江・イサカ 2022年4月22日
嘘をお言いよ。そんなヘマは君はしない。誰かを見捨てたって、ちゃんと君は生き残れる。(睨み返せば、視線が外れない)(真っ黒な双眸に、きら、きら、と、まるで硝子片でも映っているかのような色があって)いやあ、そんな高尚な主義があるわけじゃない。“世間話”で“噂話”なんだよ。それをつい―――…真実みたいに語っちまう癖があるから。遠慮したんだ。それがお仕事の方なら、特にね。
黒江・イサカ 2022年4月22日
ほら、見てごらん。何だろうな。膚が…表面が?少し硬くなってる。(ナイフの切先が、守るように身を抱いていた腕をつつく)(それを剥がすように引っ張って)でもちょっと解いてやると、中は…ああ、前見た通りだな。前のはもっとかたまりになっちまっててどうなったのかよくわからなかったけど…まだ全然、にんげんのかたちだね。でも……うーん……“球体”の内側は、少し緩んできてる。溶けて…るのかな。くっついてきてる?むずかしいな。
臥待・夏報 2022年5月8日
過大評価、……って言いたいとこだけど、(根負けしたように視線を外す)生き残って何かしら持ち帰るのがお仕事だからね。戦って死ぬのが仕事の人とは真逆のお勉強したんだよ、僕は。(実際、見捨てることは得意だと思う。見入ってしまうことが多すぎるだけで)
臥待・夏報 2022年5月8日
曲がりなりにもお仕事だから、そんな遠慮は無用だぞ。あらゆる証言は『誰が言ったか』とセットで初めて情報たりうる。君の主観は君の主観、基本の基本。(君の背中を壁にして、横から覗く格好で"球体"を見る)……ってか、前も中身まで見たんじゃん。噂話にしちゃ深入りしすぎ……(他人のことは言えないが)
臥待・夏報 2022年5月8日
(少し、目を細めて)表面が硬くなって中身が溶けるなら、子宮っていうより蛹だね。
黒江・イサカ 2022年5月13日
ぼく、お世辞って言わないからね。(まるで可愛いねとでも褒めたような、悪びれない顔で笑い)そりゃ君、こんなのに出くわしたら見るだろ。でも何もわからなかった。見てから、噂をちらほら聞いたんだ。(特に躊躇なく、“緩い”やら、“溶けて”いるやら、そう表現したところに切先を滑らせる。難なく削げて、粘着質な液体が刃と糸を引いて)――――…蛹ねえ。上手いこと言うな。肉の塊を吐いた後、丸くなって、蛹になって、いったい何が出て来るやら。夏報ちゃん、これも持って帰りたいの?
臥待・夏報 2022年6月1日
そりゃ……蝶になるんじゃないかな。蜂ならもっと群れるでしょ。
臥待・夏報 2022年6月1日
たった今持って帰る仕事が発生したぞ。(削げた部分を指差して、)組織片が回収できちゃったら、「デカブツなので持って帰るのは無理でした」って言い訳ができないじゃんか。……そしたら、うちの職場はきっと昆虫採集を始めるよ。それでもいいなら――(指を伸ばす)
黒江・イサカ 2022年6月7日
へえ。随分綺麗なものになるんだねえ、これが。(削いで―― 切りきらない)(君の指摘に不満そうな眉のかたちを作ると、そのまま手を止めて)何だよ、僕の所為ばっかりにして。いいんだよ、その辺のゴミ箱にぽいっと捨てちゃったって。そうすれば朝までには誰かが食ってくれる。そういうルールなんだもの、此処は。
臥待・夏報 2022年6月20日
そうして誰かに食ってもらって、そいつも『蝶』になったりしたら
――(君のせいだぞ、と、言いそうになった口を噤んで)(薄い肉の端を摘んで、引いて
)…………(硬い。筋膜みたいな白い繊維が伸びるばかりでなかなか千切れない。仕方ないから多少乱暴に力を込めて)僕らのせいになるのかなあ。
黒江・イサカ 2022年7月5日
僕の所為?……うーん、まあ僕の所為にもなるかあ。わかってて入れるんだもんな。(手こずるか弱な細腕のお手伝い、糸引くみたいに張り詰めた白い筋にちょいと刃を入れてやって)マ、食って“なる”とも思ってないけど。それにしても、随分自分を悪く言うんだね。例え採集したってさ、それを解決とか治療とかに活かしてくれるならそれはそれで意味のある活動じゃないか。
臥待・夏報 2022年7月20日
(ぷちっ、と、案外小気味いい感触で肉が切れる。ささみの筋取りを思い出す)そりゃ……長ーい目で見たら、意味がある活動だとは思ってるよ。いつかは何かが良くなると思うようにはしてるけど。もーちょっと短い目で見たら丁か半かはわかんないじゃない。(放っておくことで悪循環を見逃すかもしれないし、持ち帰ったことで藪から蛇の結果を招くかもしれない、なら)――悪く言っとくくらいが気楽でいいよ。
臥待・夏報 2022年7月20日
僕は今夜、この人が死んでいくのを何もできずに見ていただけだ。すごく短い目で見たら。
(鞄をがさごそとやって、肉片をチャック袋に放り込む)