【個別】例えばまた、本の国の中で
寒島・乙月 2021年8月8日
8月、夏の真っ盛りの日。
図書館という場所は、本の保存のためにたいてい、とても快適な温度と湿度に保たれていて
そこは人にとっても安らぎを与えてくれる環境になっている。
古風なつくりのその図書館も、例に洩れず。
いつか訪れたその図書館の、窓のない閲覧席のあたりで
本を積むだけ積んで開かぬまま、ぼんやりと座る人影があった。
■
寒島・乙月
小泉・飛鳥
1
寒島・乙月 2021年8月8日
……。
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寒島・乙月 2021年8月8日
撃たないけどさ。
君のことは撃つ理由がないし、仲良しだしね。
(そう言うと、銃を下ろして――他の誰もがその事態に気づく前に、また太腿に備えられたホルスターに仕舞い込む)
ただ……たぶん私は、理由があれば君の頭をあのまま弾けるんだよね。
割と、ためらいとか無く。
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寒島・乙月 2021年8月8日
たぶん相手が妖怪でも、人間でも。
いのちの価値がちょっとふわふわしてる。
私、自分が誰かを「好き」になる時って、そういうことが想像もできない相手じゃないかと思ってて……。
小泉・飛鳥 2021年8月8日
そう。そんな風に、世界はできてるから。綺麗なばかりじゃないから。
それでも……好きなものは、好きだから。
ふふ……人間の書いた物語を読んだときに、どうしようもなくひきつけられたのも。
きっとそこに。解り合える感情をみたからなんだろう。
やっぱり一度、鈴木先生にはお逢いしてみたいな。
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小泉・飛鳥 2021年8月8日
ふふ、よかった。おかげで銃口が向くだけでも寿命が縮む、という人の気持ちがわかった気がするよ。
(言いながら。何事もなかったかのようにふわりと、笑って)
……だろうね。
最初に出逢ったときに「退治させないで」って言われたくらいだもの。
……くふふ。そういえばあれ、これくらいの暑い時期だった。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
……そっか。
嫌ではなくて。
好意を向けてもらっても。
なお、撃てる、ことに気づいてしまったんだ。
寒島・乙月 2021年8月9日
……そうだねえ。理性と日常と優しさと、いろんなもので飾っても
結局世界はそういうものなんだよね。
……もしかして、そういうこともあって、飛鳥くんはこっちに出てきたのかな。
あ、うん。それは全然パパも歓迎するとおもいます。
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寒島・乙月 2021年8月9日
ごめんね、気持ちのいいものじゃなかったでしょうに。
(それでも彼は笑ってはくれるんだな、と、少しほっとしながら)
……だったね。
いや、今はもうすっかり、君が良いものなのは分かるんだけど。
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寒島・乙月 2021年8月9日
……そ。
良いものじゃなかったのは、私の方で…………
……その私が、好意の機微も分からないまま人に接するのは
単純に危険なことじゃないかなって思ったワケです。
いつ爆発するか自分でも分からない爆弾を、良い人には持たせたくないでしょ。
小泉・飛鳥 2021年8月9日
そう。綺麗な言葉ばかりでは、綺麗な感情ばかりでは。だぁれも、住めない。でも……それでも、一緒に生きていくために、歩み寄ることはできる、って。
なんて……ふふ、綺麗ゴト。
そう。くふふ、そう考えるとほんとうに、ただの我儘、だろう。
我儘ついでに、そう言ってもらえるならば本当に機を見つけてそうさせてもらおう。好みの手土産なんかがあったら教えて欲しいな。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
驚きはしたけれど。知りたいと思ったのは僕だから。
結果的に、挑発するようなことをしたのも、本当、だろう?
……ふふ、なんて、ね。君こそ。それでも僕を良いモノだって言ってくれるのは。優しいよ。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
(言いながら。小さく、小さく)
(それでも、と)
(口の中で)
(なんども、なんども繰り返した言葉)
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
――――。
ねぇ。
君がそうやって、断った誰か。
哀しい顔をさせてしまった、誰かはきっと。
「それでも」と、言ったんだろうね。
(不意に。そんな、ことを言って)
寒島・乙月 2021年8月9日
でも、正しいとおもうよ。
奇麗ごとが一番奇麗に決まってるもの。
……うちのパパはどら焼きとかたい焼きとか●●焼きって感じのもの、好きだね。
あんまり高いのじゃなくて良いと思うけどさ。でもそんなに気を使わなくても。
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寒島・乙月 2021年8月9日
……………それは……。
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寒島・乙月 2021年8月9日
や……振るときに、そういう物騒な理由は言えなかったよ。
ちゃんと、その時は自分の中で、この感情が恋じゃないってことを探して向き合って、答えた。
彼が「それでも」って言ってくれたのは確かだけど。
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寒島・乙月 2021年8月9日
……………優しいんだよ、その人。私も優しく接した。
なのにね、嫌われたり怖がられたりするのは怖いじゃない。
きみに相談に乗ってもらったのは、会った時に言ったから。
「私は殺意を抱く可能性もあるんだよ」って。
小泉・飛鳥 2021年8月9日
……ふふ。それは言えている。
難しいな。卑下するような言い方をしてしまうのは、結局それの正しさにこだわっている証拠、か。
いえいえ、教えを乞う側の礼儀として、ね。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
おっと、読みは大外れ、だ。ミステリの探偵役は書けても、自分が名探偵になれるかは別の話、だね。
(くすくすと、そう笑いながら……)
……ふふ、言えなかった気持ちは、解る気がする。
そこは外れてなかったんだね。よかった。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
きっと、そうだったんだろう、と思ったから。
多分ね。その人が素直に諦める、って言っていたら。君は悩んではいないだろうと、思ったから。……くふふ、なんて、ね。
ああ。なるほど、そういう理由だったんだ。なら、余計に安心できる。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
心配しなくとも、君は誠実だったよ。
最初から、そう言ってくれていた。妖怪だと明かしても、撃たない理由。
仲良しになれる理由を探してくれてた。
ちゃんと他人を必要だって思ってる。
「いのち」の価値を軽視している人はね。最初からそんなことはしないものだよ。僕はそう思う、かな。
寒島・乙月 2021年8月9日
……そーだねぇ。なんだかんだ言っても
そこで少し、後ろめたさとか、出てきちゃうんだよね。
むむむ、自分のパパがそういう敬意を払われるのはくすぐったいね。
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寒島・乙月 2021年8月9日
……ま、私が情報余り出してなかったし、詳しく話したくないところもあったし。
相談はしちゃってるけど……私のこと、好きって言ってくれた男の子のこと
あまり詳しく他の男の子に話すのは、彼に対しても失礼だと思うし。
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寒島・乙月 2021年8月9日
……そう。だからね。
せめて自分のなかに深く向き合わないと、って思ったんだ。
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寒島・乙月 2021年8月9日
…………きみは本当に、良い妖怪さんだねえ。
頭に拳銃突き付けてきた相手にさ。
(ふわ、と柔らかく笑って)
自分じゃ、そこが分からなかった。自分がきちんと、他人を必要だと思えてるのか。
君に保証してもらったら、少し楽になったかも。
小泉・飛鳥 2021年8月9日
……ほんとにね。
そこで日和ってしまうのはいいことなのか、それとも……。
ふふ。毒を喰らわば……ってね。いっそ自慢してあげたらどうだい?
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
そこは、むしろ当然。
僕が不躾なんだ。
(と、肩をすくめて)
やっぱり、撃たれても仕方ないかも知れないね。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
……そっか。やっぱり、君は素敵なヒトだよ。
それは。自分が一番大事、っていう人間からは出てこない言葉。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
ありがと。
(今度は、素直にその「良い妖怪」という言葉を受け入れて)
ふふ。……言ったでしょう。僕は、知りたかった。
「乙月くんのことが」「知りたかった」
……なんて、ね。
(そう、微笑んで)
そう? 未だに何者でもない、兎のことばでも。誰かに少しでも、意味があったなら。嬉しい。
寒島・乙月 2021年8月9日
やや、そこは人間味と思っておこうよ。
人間味、って使って良いのか分からないんだけど。
……まだそうするには、少しくすぐったくってさ。
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寒島・乙月 2021年8月9日
ごめんね。
や、そういうことを自分から言えるのは、むしろ慎重だと思うけど。
うたないうたない。(手を振り振りして)
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寒島・乙月 2021年8月9日
……不思議な感じでさ。
今まではたぶん、そういうこと言われると、すごく照れてたと思うんだけど
今は何となく、素直に受け入れられるよ。
知りたがってもらったの、嬉しいって。
(ぐー、と腕を伸ばして)
飛鳥くんは物書きさんでしょ。
いつだって言葉と向き合ってるの、知ってるもん。
お話できてよかったよ。少し自分の立ち位置、分かってきた気がする。
小泉・飛鳥 2021年8月9日
人間味、のままが嬉しいね。
それならば、ほら。一つ僕は、人間と触れ合える部分があるということだ。
くふふ、そっか。もう少し、時間が必要そうだ。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
いえ、ほんとうに僕の方こそ。
悪癖だと自覚しているから、気を付けたいと思っていてなおこれなんだ。
(恥ずかし気に、しゅんと耳がしおれ)
ともあれ、よかった。撃たれるのも……撃たせるのも嫌だから。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
そう?
よかった、と言いたいところだけれど。僕は少し、大それたことを言った気分。
(と、肩をすくめて。あなたの仕種を見やって)
…………つくづく、褒められすぎな気がするな。
僕の方こそ、ありがとう。
ふふ。力になれることがあるって、……いいものだね。
寒島・乙月 2021年8月9日
そか。そういうことなら……
飛鳥くんはとても、人間らしい妖怪さんだと思うよ。
そういうところもね、ちょっとずつ。
やっぱり私、まだまだ子供で、歪なんだと思うし。
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寒島・乙月 2021年8月9日
……。
(しおれた耳を条件反射でつつきに行きそうになってちょっと我慢した)
そこで、撃たせるのが嫌、って言ってくれる君のこと
私はとても好ましいと思うよ。私という人間の感情として。
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寒島・乙月 2021年8月9日
ともあれ――やっぱり本を読んで分からないこともあるし
そういうことは、人に聞くべきだね。
本を読むのは好きだけど、人に自分のことを読んでもらうのは、別格の価値かも。
(そう言うと、いくら読んでもピンと来ることのできなかったいくつかの本を持ちあげて)
これ、しまってくるよ。
良かったら今度、お礼させてね。
小泉・飛鳥 2021年8月9日
焦らずに、ね。
君はずっと、変わろうとしていた。
(実家をでた、という選択も。きっと。すこしずつでも、解ろうとしていたはずだ、って。言葉には、しなかったけれど)
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
――――(そんな、ことを言いながら、ふっとあなたが抑え込んだものに気づいたように)
次に触れるときは、そうしたいと言ってくれたらかまわないよ。
なんて、ね。
(とわざとらしく)
………。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
ふふ。
……そっか。
(なんだろうな、と。小さく)
(自分に、向けて、呟いて)
……ありがと。その言葉は、大事にする。
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小泉・飛鳥 2021年8月9日
ふふ、結局そういうことだね。
僕もほんとうに、読みごたえがある時間、だったな。
願わくばもし、僕が書き加えられたものがあるなら。
それが、良い結末の援けになりますように。
うん。お疲れ様。
おや……気にしなくていいのに……といつもなら言うかもしれないけれど。
楽しみに、しておくよ。
寒島・乙月 2021年8月9日
……焦らないけど、急いでみる。
もうそろそろ、私一人の問題じゃないんだと思うから。
(結局、今日の話は、そういう一文に集約されることなのだ)
(無効票)
寒島・乙月 2021年8月9日
むう。
見透かされている……。
(それは今の話と関係なく単純な衝動であるから、素直に恥ずかしい)
(無効票)
寒島・乙月 2021年8月9日
それはこちらこそありがとうだよ。
自分のことばを大事に受け取ってくれるっていうのは、有難いものだね。
君に言ったそういう言葉が、薄っぺらにならないようにする。
(無効票)
寒島・乙月 2021年8月9日
ふふ、そういって頂けるとちょっと楽になる。
結局ほとんど、自分の話を聞かせちゃったようなものだからね。
うん、その時はぜひ、読ませてほしいな。
今日のお返しというわけにはならないだろうけど。
(大事そうにいくつも本を抱えながら、歩き出しつつ――振り返りざま、そんな返事を聞いて)
(演出継続)
寒島・乙月 2021年8月9日
……こういう時、気の利いた言葉で返せないのが悔しいから……私ももう少し、言葉の勉強してみるよ。
(なんて言いながら、本を持って歩いていく――)
小泉・飛鳥 2021年8月9日
ふふ。あんまり本気になられると怖いな。
作家さんの娘さんで、素敵なセンスの持ち主さんだから。
(くすくすと笑って)
(ゆらりと、手を振って見送って)
(無効票)
小泉・飛鳥 2021年8月9日
ちりり、と
(演出継続)
小泉・飛鳥 2021年8月9日
僅かに燃える、燠から。目を逸らすように。