【RP】必要欠くべからざるもの
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
神域ならぬ社の空も例外は無く、舂く。
以前、悪霊に連れられて厨房で夕飯を作った時のように、
此度は此方から声を掛けた。
今日この日に誘ったのは偶然の産物か。はたまた、必然か──。
厨房へと向かう前に、彼と赴いた織物市で購入し、
自分が預かっていた小箱を彼へ渡して。
二人は、おにぎりを作り始めた。
・高速。
・キリのいいところで〆。
・短冊に綴る言葉は──『知りたい』『俺も』
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杜鬼・クロウ 2021年7月22日
(今思えば、前もって約束していたのは事実だが、誘いを持ち掛けたのは心なしか彼の表情に陰りが見えて、其れを視てしまったからなのかもしれない)
(不躾に問うには場所が悪いと判断し、白彼岸花の小箱を手渡した後、厨房にて二人きりに)さ、てと。何作るかねェ。…そんな腹すいてなくても食べれる簡単な握り飯がイイかなァ。祝は何味にする?(彼と此処に来る前に米は土鍋で炊いておいた。蓋を取れば出来立ての白米が見えて、先ずは何食わぬ顔で握り飯の準備をして)
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葬・祝 2021年7月22日
(昨日の今日。心とやらの整理も付きやしないし、頭の中は相変わらず焼き切れそうなくらいに忙しい。考えなくてはいけないことがありすぎて、結局、昨夜から、朝起きて、今の時間に至るまで、珍しいことに山神と顔すら合わせて居なかった。何時もなら、朝食を作って、起こしに行く所。それら全て、戦神に丸投げした)(貰った小物入れをそっと部屋に置いてから、こうしてヤドリガミの青年とふたり、厨房で並んでいる)
朝食の残りの焼き鮭と、高菜の漬物はあったはずですから、そういうので良いんじゃないですかね。高菜、刻みますね。
(小さな手には不釣り合いな良く研がれた包丁を、慣れた様子で手に取った)
葬・祝 2021年7月22日
(心做しか、悪霊は大人しかった。時折、鏡面の眼がそっと相手を窺う)
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杜鬼・クロウ 2021年7月22日
お、助かるわ。ンじゃ、俺は…梅やひじきにすっか(丁度、厨房にあったゆかりも拝借して、白米に混ぜながら真ん中に梅を埋め込んで三角形に握ってゆく)
(スマホを通じてはしゃぐ姿をよく見掛ける様になっただけで、元より彼は大人しい方だとは思う。だが、今日の彼はあまりに”静かすぎて”……度々此方へと投げる視線に小さく息を吐いた)
……祝。お前、何かあったンだろ(その物言いは優しく、心配から来る一言)
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葬・祝 2021年7月22日
梅、捧げ物と、珮李が漬けた奴と、私が漬けてみたのがありますよ。
(小気味良い音と共に、高菜を細かく刻んで行く。手付きは淀みなく、普段は飲食を必要としないこの妖が包丁の取り扱いに慣れていることが良く分かる)(ちゃんと、あの子と話をしないといけない。でも、話をするには、何を言って良いか、自分がどうしたいのかが上手く纏まらない。我儘を言って良いのだと背を押されて、初めて、たったひとつ欲しいと我儘を言おうとしている。初めて、あの子の意志を妨げるかもしれないことを願おうとしている)
!……そんなことは、……嗚呼、いえ。……なくは、ないです。ちょっと、考えが纏まらなくて。
(最初は、否定しようとした。けれど。自分なんぞを心配するお人好しだと思い出して、言葉を言い直した)
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杜鬼・クロウ 2021年7月22日
祝が漬けたヤツもあるのか。珮李が漬けたモノを勝手に使う訳にもいかねェから、祝が漬けた梅、貰ってもイイか?(包丁を扱う手付きは手慣れたもので、恐らくあの朱鴉に何時も作っているんだろうなという事が窺えて。其れとは裏腹にそれとなく迷いも視えた。人真似を得意とする彼の貌が、きちんと”作れて”いないような…そんな風に。彼の心境は分からずじまいでも、あの悪霊を揺るがす憂いとあらば余程の事なのだろう)
フーン?……何を考えてるかは分からねェが、俺で力になれるなら話聞くぜ(お前の思うが儘に言ってみろ、と付け加えた)(こんがらがった思考の絲が少しでも解ける手伝いが出来るなら)言いたくなきゃァ、それでもイイからよ。
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葬・祝 2021年7月22日
どうぞ。一番右手の壺の中身です。
(分かりやすく、冷暗所の棚に壺が並べられていた。梅を漬けるとか、漬物を作るとか、干し柿を作ってみるとか。人真似で調理をするのはそれなりに楽しくて、食べてくれるから、それが何百年と続いている。刻み終えた高菜を詰めて、おにぎりを俵型に握る。この身体になってから、手が小さくて不便だ)
…………、……また抉るって言われそうなんですけど。聞いても良いですか。……君は、どうして彼女を手放せたんです?
(どうして、諦められたのか。どうして、手放せたのか。どうしたら、手放してやれるのか)(……違う。そうじゃない。言うと約束したから、諦めることを念頭に考えるべきじゃない)
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杜鬼・クロウ 2021年7月22日
さんきゅ、祝(棚の一番右手に壺が並んでおり、その内の一つの中を見遣ればしっかりと漬けられた梅が入っていて。何も混ぜていない白米に梅を置き、先程と同様に三角に握っていく。横目で見ると俵型の握りが見えて思わず小さく微笑む)(その小さな手だと、うまく握れねェのかなァ)
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
(順調におにぎり作りは続く中、彼の言葉を待った。発した内容に思わず手が止まる)
……まさか、お前の口からその話を振られるとは思ってなかったわ(梅の握り飯を置いて軽く目を伏せ、再び口を開く)
ずっと”好き”でいさせては、くれなかったから……かなァ。
俺が、本当はエリシャを倖せにしたかった。例えアイツと歩む行き先が違おうとも。離したくなかった。
……でも、夢の中ですら好きな女を護れない男がって、ちぃっと怖くなっちまったのかもな(自嘲気味に話す様は何処か痛々しくて)
俺が決めて俺が終わらせたコトだ。悔いはねェよ(もう、欲しかった愛慾(いろ)には染められない)
けど、今落ち着いてるのは…きっと結び直せたお陰だろうな(そう、一度は終わった。でも、それは──おわりのはじまり)まだ不透明だが…新たな関係(ふたりだけのいろ)に塗り替えるって、決めたから。
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葬・祝 2021年7月22日
(元々暮らしていた付近では俵型が当たり前だったから、これで慣れている。が、手が小さくなったせいで、おにぎりも当然小型化するのである。握りづらい)(相手の手が止まると、鏡面の眼がじっと瞬きもせずに相手を見上げる。その眼は、何時もよりずっと人真似の色が薄い代わりに、表現し難い酷く複雑な色が揺らいでいた)(好きで居させてはくれなかった。自分の手で幸せにしたかった願い。護れないことへの恐れ。悔いのないという、それ。結び直した新しい関係性)(耳から入る情報を噛み砕いて理解しようと足掻くせいで、人真似のまばたきすら忘れ、何時も以上に視線は相手から離れない)
葬・祝 2021年7月22日
(全ての理解は難しいし、せめて分かる言葉に自分の中で直そうとするせいで、噛み砕くのもとても遅い。それがどんな状況か、どんな心境かをなぞって思い浮かべることすら出来ないのだから、この妖に完全な理解なんて出来る訳もない)(でも、知ろうと、考えようと、何処か痛々しいくらいに必死なことは分かるかもしれない)
……君は。誰かのものになった彼女の傍に、居られるんですか?
(“自分だけのものじゃなくなったあの子なんて、見たくない”)(そんなこと思わなければ、多分まだずっとあの子と居られるのに。自分は、叶わないのなら。居られないのだ。多分)
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杜鬼・クロウ 2021年7月22日
祝のおにぎりも美味そうだなァ。食べやすそうな大きさだし(小ぢんまりとした形の良い俵型のおにぎりに視線落として、明るい聲で話し掛けるも瞬き一つすら惜しい様子で凝視されれば唇引き締めて)
(あァ、こんな重苦しい話を長々とするハズじゃなかったのに)(ただ、彼が何かに悩んでいて答えを探して見つけたくて、真剣な気持ちで問い掛けたのなら其れに応えたい。そう思った)
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
……悪ィ。分かりづらかった、よな(過去の、それも沈めた恋情を総て言葉にするのは難しく。ましてや人を模した悪霊にちゃんと伝わっているのかどうか。それでも彼は模索して止まらない様に思えた。それだけ”何か”を知りたいと思っているからだろうか)
────イヤだよ、本当は(洩らした言葉は本音)(嘗て愛した女が見ている先が自分でない事にはとっくに気付いていて。けれど、)
でも、約束……押し付けられちまったからなァ。俺は、承諾してねェケド(鬼の慾に涯はない)(苦笑気味に呟いて)それに、さっきも言ったが、アイツとは新たな関係を築くって決めたしな。その感情(いろ)は、誰にも侵させるつもりねェし。
──なァ、祝。…お前は何に怯えてる?何を恐れてる?
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葬・祝 2021年7月22日
……子供の姿になってから、やりづらくて困ります。
(それは本音。歩幅も小さいし、武器を扱うのも前より苦手になったし、この姿で得をするのなんて瘴気や不幸を抑え込めていることくらいだった。いや、最近は、この姿だと油断されやすいのか普通の人の子のように構われることも増えたから、それも得と言えば得か)
葬・祝 2021年7月22日
(表層をなぞるように、観察して、パターンに当て嵌めて、状況に応じて人真似をするのは得意になったのに。人らしさを理解して、己が身にも得ようと思うと、こんなにも。こんなにも複雑怪奇で、難解で。分かりたいのに。知りたいのに。考えても、考えても、考えても、追い付かない。昨日、戦神に噛み砕いて散々時間を掛けて貰って、拒絶も逃げることも先回りして封じて貰って、それでやっとこの有様だ)(分かりづらかったよな、と言われると、ほんの少しだけ瞳を伏せた。それは、珍しく相手の言葉への無理解に対して、不甲斐ないような申し訳ないような謝意に等しい)
……いやでも、君は、望まれたから、そう在ることを選ぶんですね。
葬・祝 2021年7月22日
…………私は。いやなんだなって。すごく、すごくいやでたまらないんだって、……気付いてしまったので。
(何に。誰のことを。それらを示す言葉は抜けていたけれど、この妖が心乱されるものなんてたったひとつしかない)(居られないのだ、この妖は)(でもきっと。この我儘を聞いた上でそれでもあの子が彼女を選んで、それでも共にと望まれてしまえば、)
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杜鬼・クロウ 2021年7月22日
出来てたコトが簡単に出来なくなるのは辛いよな。でもそういった時、此処にいる面々なら助けてくれるだろ(一度、水鏡で不意に視てしまった大人姿。あれが彼の本当の姿なら今の子供の姿で不慣れな出来事が続くのも無理はないだろう。しかしそんな事を感じさせない程に、この社に集まる人ならざるもの達は厄災にすら優しいとも思っていて)
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
…俺だって、まだまだ分からねェコト多いからよ。特に、人のこころは難しい(元より己も人の身に非ず。亡き故郷で主達に教わらなければ、今の自分が在るとも思えない。対して、彼の場合は…きっと今までその”こころ”の部分を教えてくれる者は居なかったのではなかろうか。彼なりに理解して人らしさをなぞらえていたとしても。何処か申し訳なさそうな彼へ緩く首を振って一切責めずに告げて)
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
まァ、望まれたといえば……そう、なるのかねェ。
嫌
?……、…よく状況が読み込めねェケド、カフカが関わってるってコトだけは分かったわ(彼が搔き乱される相手といえば、己でさえ察しがつく。これまでの質問の数々を思い返して思案し)
イヤだって気付いて、お前はどうしたいって思った?相手の気持ちは一旦、置いておいて。
…手離したくないって思ってるンじゃねェの。祝から離れて、ずっと思い続けてた常春桜のところに行っちまったらと思うとイヤで堪らない。
もし、その自覚があるなら……(あァ、でも。そうか。その感情の正体が何なのか…彼にはわからない、のか?)
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葬・祝 2021年7月22日
……自分で出来る範囲のことは、自分でやりますよ。
(元から、頼ることにこの妖は不慣れだ。自分のことは全てひとりでどうにかして来た。それが崩れたのはこの姿になってから、と言うよりは、死んでから、だけれど)(珮李にも頼るようになって、今こうして藁にも縋るように相手にも頼って話をして貰っているけれど。それが、この妖にとってどれだけのことか)
葬・祝 2021年7月22日
……君にも難しいんですか。
(自分から見て、相手はずっと人らしい。別に人らしくなりたい訳じゃなかった。人真似だけで良かった。でも、それだけではどうにもならなくなってしまった)(焼き鮭をほぐして、それもおにぎりに詰めて行く。手だけは淀みなく作業を続ける辺りは、意識しなくても手が動くただの慣れだ)
葬・祝 2021年7月22日
…………珮李に色々聞いたら、それは手放したくないって思ってるんじゃないかと、言われて。……ずっと見てたんです、数百年。あの子の恋が実る度に離れて、結局あの子が彼女との別離に泣くから戻って、また彼女との巡りが来るまで一緒に待って。……でも。次は、もうそれがないんです。だから、次が、最後で。私だけのものだったのに、って、とられてしまう、って。多分ずっと思っていたらしくて。
(独占欲?所有欲?執着?分からないけれど、自分だけのものじゃなくなったあの子なんて見たくないから、立ち去りたい。分からないけれど、あの子をとられたくない。分からないけれど、分からないけれど。らしい、と付くそれは、珮李と話をしたあと、また自分で考えた結果だ の一部だ)
(無効票)
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
誰かサンをべらぼうに甘やかしてる癖に、自分には厳しいなァ(そういう性質なのも何となく理解しており。だからこそその妖が如何したら良いか分からず話をしている今の状況は稀なのだろうとも)(柔く口許に笑み浮かべた儘、洗ったひじきを水につけて戻し、食べやすい長さに切った後に白米を取り分けて混ぜていき)
そりゃァな。分かっていたつもりで、全然分かっていなかったり。
杜鬼・クロウ 2021年7月22日
(妖の言の葉に静かに耳傾けて)……成程なァ。珮李の言ってるコトは心当たりあるンじゃねェのか。一番、傍でカフカのコトを見守っていたのが祝、お前だとそう思ってるンだろ(次がもうない、という発言には思い当たる節があった。つい最近、朱鴉と蛍が飛ぶ川辺で話をしていた時に出てきた”目”について)(渡したと、確か言ってたな…だからか)
お前が気付いてなかっただけで、奥底に根付いていたのかもしれねェなァ。そもそも、その気持ちが何なのかすら知らなかったと思うンだが、独占欲や執着といった感情の先には──(”あい”があるのでは?言おうか言うまいか迷って、今は秘めて)見たくないから、立ち去りたい…つまりカフカの前から姿を消したいってコトか…?(知ってしまえば、止まれない。何も言わずに抱えてはいられない、故に出した答えがそれなら…)(お互いに倖せな結末を迎えられない気がする)
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葬・祝 2021年7月22日
……?
(それが当たり前でしかないから、小首を傾げる。だってあの子は愛され護られるべきものだ。笑っていて欲しいものだ。可愛い可愛い私のカフカ。私の愛い子。目を離すと何時だって危なっかしいあの子。己の危機に私が来てくれると欠片すら疑いもしないあの子。触れるこの手が厄を齎すなんて考えたこともないほどに、信頼し切って身体を委ねる子供。……自分のことは別に大抵自分で出来るし、誰かの手助けなんて想定したこともない)(手だけは止めず、小柄なおにぎりが幾つも幾つも並ぶ)
葬・祝 2021年7月22日
……こんなこと、今まで考えすらしなかったのに。珮李には、もうとっくに引き返せない、と、言われました。
(あの片目が失われた日。それからこの妖は、あの子の眼窩に、眼帯の上に、口付けることが増えた。今なら、分かる。太陽みたいだったそれが、生まれて初めて微塵の怯えや嫌悪もなく自分を真っ直ぐに見ていたあれが、自分のものだった金色が失われたことが、とてもとてもいやだった。いやで、惜しくて、堪らなかった)(ずっと護って来た宝物が、誰かのために他ならぬ宝物自身の手で損なわれてしまったことがかなしかったのだと、さびしかったのだと、其処までは理解が及ばない)
……ずっと前から、成就を見届けたらあの子の前から消えるつもりだったんですよ。ただ。……見たくないから消えたいだけだったんだな、と。
(知ってしまったので)(小さな、途方に暮れた頼りない声だった)
葬・祝 2021年7月23日
(この妖は気付けていない話だけれど。山神の幸福のために手を離そうと思っていたのは、何ひとつ嘘ではない。その裏にある、見たくない、いやだ、の気持ちにあとから気付いただけだ。幸福のため、山神の幸せに厄を持ち込みたくない気持ちに嘘なんてなかった)
(無効票)
杜鬼・クロウ 2021年7月23日
…俺からしたらお前も偶に子供に見えるし、もっと頼ってくれてイイって思うケド。まァ、だから少しは打ち明けてくれてるのかなって思ってるがなァ(何を当たり前な事を、と訴えるような。そんな仕草に軽く肩竦めて。千年以上もの間、自分の事は一人で何とかしてきたのなら、その思考は今更変えられないし変える気もないのも理解る)(混ぜたひじきご飯を綺麗な三角に握り、俵型の小さなおにぎりの隣に置いて)
杜鬼・クロウ 2021年7月23日
……そうだろうなァ。祝の中で、手放せるハズの存在がそうじゃなくなってたとしたら。もうとっくに手遅れだぜ(目の前の妖が知らなかっただけで、振り返れば結びつくだろう。大事に大事に愛でてきた一等の宝物が、一部分だけでも自分以外の者(さくら)に掻っ攫われただけで寂寥感などの強い感情を抱く程なのだから)
祝がカフカの倖せを誰よりも願っているし、大事にしてるのは知ってるぜ。アイツの戀が実ったとして、今までだったら何の未練なく立ち去れたのかもしれねェケド、今は違うンだろ。
……手離した俺が言うのは可笑しな話だと思うンだがよ、お前には消えるとか言って欲しくねェし諦めてもほしくねェ。勿論、カフカの気持ちもあるから…何とも言えねェ部分はあるが。カフカには祝が必要だと、俺は思う。お前もそう簡単にカフカから離れられるとも思えねェ(だって”いや”なンだろ?)
(無効票)
葬・祝 2021年7月23日
……現在進行形で嘗てないほど人に頼ってますよ、昨日も今日も。
(溜息のひとつも吐かないのは、人真似が歪に剥がれているからだ。話す内、薄くでも維持していた人真似は剥がれ気味で、何時もの笑みすら浮べやしない。声音も、ただ静かに色のないそれが逸そ平淡に流れて行く。頼っても良い。そう言われた四人の内の、ふたり。沸騰しそうなくらい、焼き切れそうなくらいに空回りながら過回転する思考回路を、ただ溢れる纏まりもない言葉を、どうしようもなく無様に口から吐き出すだけの己に、あの戦神も相手も、良く付き合ってくれているものだと思う)
葬・祝 2021年7月23日
“引き返せたのはカフカに出逢う一秒前まで”だそうですよ、珮李曰く。……そんなの。もう、出逢った時点でどうしようもないじゃないですか……私じゃあるまいし……。
(出会しただけで厄災を振り撒く己でもあるまいし。そんなの、避けられない。出逢ったことを間違いだとは言いたくないのなら、もう他にどうしようもなかった)(これ以上握るものがなくなると、手を洗って、拭いて、戸棚から焼き海苔を出して来た。作業だけが人真似を忘れぬように淀みない)
…………、……いやですよ。だって、
葬・祝 2021年7月23日
……だって、私のものだって、言ったのに。
(自分のものでいてくれると、言ったのに。恋をした、それだけで女の姿で近付くことは嫌がられた。だから男の姿を日常として固定した。他の誰かのために、あの子との触れ合いの形のひとつが潰れた。あの子の恋が実る度、数十年。あの子から離れた。私だけのものだった幼子は、どんどん私のものじゃなくなって行く)
あの子は山神さまですよ。もう、私が居なくたって自分で気を付ければ安全に生きられるはずなんです。別に、あの子に私が必要だとは思いません
。…………私、あの子の意志だけは妨げないようにして来たつもりだったんですよ。でも。……妨げるかもしれない我儘を、……ちゃんと言うって。珮李と、約束してしまいました。立ち去りたいってことも、……隠していたら、多分、駄目なんでしょう、ね。
(🍙)
杜鬼・クロウ 2021年7月23日
こういう類は、一人でじっくり考えて結論が出る場合とそうでない場合があると思ってるからなァ。お前が頼ってくれて俺は嬉しいぜ(何方かといえば己も目の前の妖同様、一人で解決できる方で。只、以前煮詰まって親愛なる人魚や親友に相談を持ち掛けた経験があった故に、今度は自分がその立場で彼の助けになれればよいと思っていて)(取り繕わない悪霊を見て、本当に余裕がない事を改めて実感した。芽生えた感情についてここまで考えて悩んで苦しんだのもきっと初めての事で、戸惑いもとてもある中、それでも懸命な様子を見せる彼を真っ直ぐ鏡(め)に映して)(そんなお前だから、俺も応えたい)
杜鬼・クロウ 2021年7月23日
まァ、カフカに対する祝の異常な可愛がり方を見てたらなァ……大層、気に入ってるってのは初めてお前に会ってすぐわかったし。ちぃっと大袈裟かもしれねェが、強ち出逢った時点で、行き着く先は決まっていたのかもしれねェな(至るまでの道のりは紆余曲折あったとしても)(人真似が剥がれて表情だけだと感情が読み取りづらくとも、発する言葉の羅列に嘘偽りはないと断言できるからはっきりと言い切れる)(おにぎりを作る手を休めて、厨房の台の縁に寄り掛かり)
杜鬼・クロウ 2021年7月23日
(……もう、殆ど自分で言ってるようなモンじゃねェか)
そうじゃねェ。アイツは、カフカは、祝だから一緒に居たいって思ってるンじゃねェのか。祝の助けを必要としてるから、だけじゃなくてだ。長年連れ添ったお前だからだよ。必要じゃないと祝は言い張ってっケド、それこそカフカに聞いてみろ。怒るぞ、多分。俺だったらどついてる。
杜鬼・クロウ 2021年7月23日
……アイツの意思をずっと尊重してきたお前から芽生えたその”我儘”とやら、言ってヤればイイじゃねェか(目の前の妖は厄災の存在でもあるが故に、そのような行動を取ってきたのも頭では理解出来ている。でも今は、)……例え、今までどおりにいられなくなっても、その”いやだ”と思った気持ちを言うべきだと思う。…全てを話すのは難しいと思うし、怖いかもしれねェが。お前からちゃんと話せば、想いは伝わるンじゃねェかな(朱鴉の常春桜の想いの深さも知っている。でも同じ…若しくはそれ以上に、彼の未だ名がついていない想いも深いという事を知ったから)(見守るコトしか出来ないけれど、お前が消えちまうのは…俺はイヤだよ)
(🍙)
葬・祝 2021年7月23日
……変な子。
(ぽつん、と呟き落とすように色のない声が言う。みんな、みんな、理解が及ばない。珮李も、相手も。身内だと言う。どうでも良くないと言う。頼れと言う。頼られて嬉しいと言う。珮李だって、相手だって、そんなに付き合いは長くもないし、相手に至っては本当についこの間初めて話したばかりなのに。自分を水鏡越しとはいえ、確かに見たのに。厄災に、ごく普通に手を伸ばして来るから、何時も驚く)(未知は好きだ。好きだったはずなのに。本当の感情という未知は、ひたすらにこわくて、ひたすらにややこしくて、ひたすらに疲れてしまうばかりだ)(でも)(知らなきゃ)
葬・祝 2021年7月23日
失礼な。真っ当に愛でているだけです。……厄介なもんですね、それは。
(出逢っただけで、なんて。嗚呼でも、その確実性と厄介さは己の厄災のトリガーで実証済みだ。逃げられない)(小さな俵型のおにぎりに、細長く切った焼き海苔を巻いて行く。この方が食べやすいから)
……私、だから
?…………怒られるのは、いやだな……あの子、下手すると怒りながら泣くんですもの……。
(無自覚に、ごく当たり前に、自分という存在の価値は、何時だって低い。魂の楔も、大切だという言葉も、貰っているのに。居なくなったら泣くとも言われているのに。恋が実れば、自分が居なくなってもあの鬼姫が居るし、必要ないだろう、と。当たり前に思っていた)
葬・祝 2021年7月23日
(居なくなるその日は、全て置いて出て行くつもりだった。朱蛺蝶も、朱のひとひらも、その他の貰った物も、与えられた神域の権限も、全て。何もかも手放して、また彷徨うだけの厄災に戻るつもりだった。のに。手遅れなら、どうしたら良いのか分からない。あの子の恋を妨げたい訳じゃなかった。あの子の意志を妨げたい訳じゃなかった。どうしてこうなったんだろう。出逢った時点で手遅れなら、何処で間違ったのかなんて考えるだけ無駄だった)
……厄災に我儘を言え、なんて、珮李も君も、……ばかですよ。……まだ、もう少し。掛かると思います、けど。でも、近い内に、話せる範囲は、話してみます。
(珮李と約束してしまったから。約束は、破るものではないから。そう、あの子から教わった)
葬・祝 2021年7月23日
(悪霊は、一度ゆっくりと眼を閉ざし、深く、息を吸って、吐く)(そうして、)
葬・祝 2021年7月23日
……さ、おにぎりも出来ちゃいましたし、空腹のお子さまたちでも呼んで来てくださいな。ついでにお味噌汁でも用意して貰うので。
(にこりと、何時もの顔で笑って見せた。それは一瞬の、鮮やかな変わり身だった)(それとほぼ同時、厨房へ駆けて来る賑やかな足音が聞こえる。はらりと片手を振って相手の背を押して厨房から追い出したなら、鍋をこつりと軽く叩いた。お味噌汁をくださいな、と伝えれば、このマヨヒガのような神域は直ぐに願いを叶えてくれるのだから。鍋に現れた熱々の豆腐とわかめのお味噌汁を、とりあえず、そっと置いておいて)
葬・祝 2021年7月23日
(りりん)(鈴の音ひとつ。未だ顔を合わせられないと、悪霊は瞬きの間にその場から消えていた)
葬・祝 2021年7月23日
【〆】