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【case.1】

麻木・晶 2021年3月21日


こォんな草臥れた診療所、もう見向きもされちゃいない。
ま、一回滅びたところに好き好んで来たがる人間の方が少ないってコトさ。だからこそ、ボクのところに来る奴の傾向は大体分かってる。
今まさに死にかけで、本当に助かりたくてたまらない奴か――。
――じゃなきゃ、キミみたいな奴だ。

※1:1。どなたさまでも。
※置きレス気味。
※キリのいいところ、もしくは一ヶ月以上発言なしで〆。




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麻木・晶 2021年3月21日
こんにち――あァ、もう日が暮れてたっけ? ボクがここの院長兼医師兼看護師だ。二十四時間年中無休、傷病者大歓迎の診療所によォこそ(くるくると壊れかけた椅子を回す。この軽すぎる体でもギイギイ音がするのだから、あんまりよろしかァないねェ)――で。キミ、こォんなところに来たご用事は、一体何だい?(言いながらカルテを手に取った。必要かどうかは知らないが、ま、その方が医者らしいだろォ)
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アリサ・キリル 2021年3月26日
おや、休暇位は取るべきじゃないかい? 自身の健康を保持増進するのも医師の役目というものらしいよ、平和な世の中ではね。(なんて言って、肩を竦めてみせる。袖を通していない白衣の片側がずり落ちたのを、片手で直した)――まあ、そんな話をしに来たわけではないのだけれどね。こんばんは、ドクター。ご用事は勿論、診療を受けたいというものだ――ああ、初診だけれど問題ないかい? 問診票はある? バイタルサインは一応測ってきたのだけれど、必要かな?
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麻木・晶 2021年3月27日
おやァ、なァんて手際の良い。お陰で手間は省けるねェ。キミも医者かい?(首を傾げたけど、強いのは確認のニュアンスだ。だってキミ、おあつらえ向きに白衣なんか着てるもんな)なら分かるだろォ。こォんな世界で、戦闘兼医療用フラスコチャイルドに、体が資本なんて言ってられる人権はないさ(さらっと言う――あんまり気にしてないコトだ。特に心拍も変わらなかったのは、腕章のバイタルサインが示してる)――で、問診票の話か。まずは……そォだなァ。キミ、診て欲しいのは体? それとも心? どっちもやってるんだ。それによって渡す問診票も変わるってワケさ。
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アリサ・キリル 2021年3月31日
(見ての通りさ、と痩せて生白い二指が白衣の下の作業衣を摘まんでみせた)ははぁん、成程ね、ご同輩か。……といってもぼくは製造元が潰れたから、休養し放題だけれども。(まぁこの歳だし、そのくらいのご褒美はあってもいいだろうさ。下手をすると目の前の医者とほぼ変わらぬ見目で嘯いて。ちらりと彼女の腕章へ目を遣り――すぐにレンズの向こうの瞳へと戻す)おや、ぼくが心を病んでいるように見えるかい? ――ああいや、医者なんてある種皆、病んでいるようなものだけれども……とはいえまあ、心神喪失も摩耗もしてはいないな。今日は体の方だ。偶には他人に診断を受けなければね。医者というものは往々にして自分の体調を過信しがちだ。
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麻木・晶 2021年3月31日
おやァ(その言い方、製造理由から存在意義まで同じだって風に聞こえる。こォんな世界だ、そういう奴は少なくないとはいえ、こうやって顔を合わせるのは初めてだ)まさかソコまで一緒だとはねェ。キヒヒ、休みがあるのは羨ましいよォ。ま、ボクの製造元も、生存確認くらいしかしてないだろォケド(笑って腕章を軽く叩いた。コレ、高性能だよな)なァるほど。キミが人間だったら「こォんなとこで人命救って病まないなんて珍しいねェ」って言ったトコだけど、ボクと同じだっていうなら納得だ。じゃ、今日は健診ってコトで。あり合わせの設備であるだけだケド、許してくれよォ(用箋挟に挟んで渡した問診票には、医者のキミならよォく知ってる項目が並んでるだろう。全部埋めてくれたら、ボクの仕事の始まりだ)
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アリサ・キリル 2021年4月2日
殺すも生かすも出来る駒があれば――なんて、俗人の考えることは何処でも一緒ということだろうね。……まあ、好きに休めると思えばこそか、むしろ昔よりも勤勉に職務に勤しんでいる気さえするけれど。(ふうん、と彼女の言葉に相槌一つ、腕章へ再び目をやった。成程、測定器が遠隔地とリンクしているということだろうか。まあ、この死んだ世界で、わざわざ成果伺いの為に荒野を渡る物好きもそうはおるまいとは思うが)おや。腕の立つ医者が一人いるだけで、どんな装置よりも優良な設備体制だと思うがね――まあともあれ、本日は宜しく頼むよ、ドクター。(渡された問診票を上から下までざっと見遣って、姓名と年齢から記入を始めた。「Alisa Kyril」「34歳」……左手で綴る文字は彼女にも容易に判別できる明確さであろう)
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麻木・晶 2021年4月5日
キヒヒ。なァんだかんだでキミもワーカホリックなんじゃァないか。ボクらのやることなんて、ソレしかないのも事実だがねェ(実はキミのご明察だなんて、ボクは知る由もない。あり合わせの通信機器の使い方としては、些か間違っている……と思う。元・権威者の考えることは分からないな)褒めても何も出ないよォ。生命維持装置はあるケドねェ、アレ、個人によって違うんだろォ?(さてさてカルテには――ふうん。見た目と年齢が合致しない。ボクも人のことは言えないか)――アリサ・キリル。アリサ サンで合ってるかい?(横合いから声をかけるなんて、医者のやることじゃあないケド。この無法の世界に、医者のルールすら消し飛んでるのさ)
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アリサ・キリル 2021年4月8日
空気と食糧の無駄遣いをしていると思われない為には職務に励むしかないだろう? 略奪者の首を捻り切るより、ぼくはこちらの方が性に合っているからね。(などと肩を竦めてやった。終わりに瀕した世界に、穀潰しを生かす余裕などないだろう)なに、褒められて嬉々として何かを出す医者なんぞ、そちらの方が信用ならないさ。……生命維持装置。ボクのは人工呼吸器みたいなものだな。肺が悪くてね……いやこの場合は悪いと評するので正解なのかよくわからないが。(「美しい」世界では致命となりうる欠陥をこともなげに口に出してみせて。ペン先で問診票の文言をなぞるように紙を軽く叩く)……ん? ああ、合っているよ。一番目の成功作だから、A。……まあ、ぼく以外に成功作はついぞ生まれなかったのだけれど。
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麻木・晶 2021年4月13日
キヒヒ。違いないねェ。キミが後方支援メインなら、ボクが前に出るときは救護をキミに頼もうかなァ(同族への信頼というべきか。最終的には、ボクと似た感性のヒトが背中を預けやすいのさ)へェ。キミは呼吸器に来るのか。呼吸器と皮膚は触れる範囲が大きいからな。ボクは後者だから、コレ(左手の甲に刺さった点滴を見せる。抜かれたらおしまいだケド、同じような出自でそうする意味もないだろォし。「私は救い」みたいなタイプなら兎も角)――へェ。最初で最後の成功作か。それは期待もされるってモノだねェ……。
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アリサ・キリル 2021年4月15日
おや、これは信用してもらえたものだな。ではその際は君の期待を裏切らないよう励むとしよう。……まあ、相手によってはぼくも前に出るかもしれんがね。特にあれだ、オブリビオンというやつか。あれはいけない、いるだけで病を振りまくからな。(根絶やしにするに限るだろうね、などと続けて息を吐いた。とはいえ幸いにしてか不幸にしてか、近々でそれらの痕跡を掴んだことはないのだが)そう、お陰で何処の世界を見に行くにも咳が止まらなくて困るよ…………皮膚か。成程、それでその点滴。(ちらと目を留めたのは、薬というには毒々しい色合いの薬液だ。戦闘の時などはどうするのだろうな、などとぼんやり考えた)そうだね、期待はしていたろうな。殺すも生かすも自在に熟す立派な道具として。……いや、そうあれという懇願だったかもしれないが。
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麻木・晶 2021年4月20日
おやァ。キミもオブリビオンをご存知かい。ってコトは生業まで一緒ってコトか……同意するよ。アレは良くない。死んだ奴が生者を殺すなんて、全くどうかしてる(死んだなら大人しく死んでおくべきだ。とは言っても、ボクは戦ったコトないけどね。ま、いたら殺すのはボクの仕事だ)そう。最初は湿疹から始まって、潰瘍になる。皮膚が崩れちゃうのさ。そっちはそっちで難儀そうだねェ……喘息と勘違いされたら、本当に医者に運び込まれるだろォ(ソレは正直、ボクだったらしんどいな。ちなみにコレは戦闘中もがっちり固定、そのまんま兵器を振り回す。優秀なんだ――ボクの兵器がね)へェ……キミ、思ったより難儀な出自だねェ。生かすも殺すも自在か……何ならボクより百倍戦えそうな気もするよォ。――で、キミは「生かす」方を選んだわけだ。
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アリサ・キリル 2021年4月22日
ああ、やはりそちらもご同輩か。(なんて、予想していましたというようなことを言うけれど、確信していたというわけではない。いわばカマをかけたに近い)本当にね。死や過去が、命と未来を脅かすべきではないというものだ。それならまだ生きる為に殺すという略奪者たちの方がよほど上等だろうさ――ああ、まあ、それと許容するかどうかとは別の話だがね。(いずれが相手にしろ、目の前で命を脅かすのならば相応に報いるのが筋というものだ)はは、正に症状はそれそのものだからね。下手に文明の発達した世界へ赴くのは慎重にならざるを得ないな。……とはいえ、それは君の場合も変わるまいさ。特に皮膚の異常など、素人目に見ても明らかなわけだからね。(まあ、生命維持装置――点滴の薬液へ今度は明確に、視線を向けた――が外れない限り、その心配もないのだろうが)
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アリサ・キリル 2021年4月22日
望まれた大本の役割としてはもう一つの方が主だがね。「殺す」為の手段として、「生かす」能力を持たされたというか――まあ、抽象的だがそういう感じだ。難儀ではないさ、この世界ではよくある……本当によくあることだ。
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麻木・晶 2021年5月1日
おやァ、見破られてたかい? キヒヒ、違いないな。こんなご時世だ、生きてるヒトで「仲良く分け合って」なんて言ってたら、そっちの方が死人が増えるのは分かるケドねェ(物資が少ないって決まった状況じゃ、満遍ない緩やかな死か犠牲の上での生が定石ってヤツだ。何しろあの嵐は、物資が増えるとご丁寧に全部持ってくんだから)キヒ、全くだよォ。あの――先進医療ってのは真似たいケドねェ、行くだけでもしんどいんだ、難儀なもんだよ。なんたってボクら、そういうキレーな時代を全然知らないし(浅く肩を竦めて見せた。荒野生まれの荒野育ち、荒野で生きるための体。ボクらって実は同情されるべき立場じゃないかい? ま、そんな境遇、この世界じゃごまんと見るケドね。幸と不幸は相対って、よくよく実感するな)
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麻木・晶 2021年5月1日
ふーん……(キミって、相当の業を背負い込んでるみたいだ。ボクはといえば、ただひたすら自分の好きなコトをやって、いつかくたばるだけのモノ。よく分かりはしないんだケド――)(大変だねェ、で終わらせるのは、ちょっと嫌だな。同族意識ってヤツ?)……キミ、ヒトの命を救うの、好きかい? ボクは好き(質問自体に大した意味はないんだ。問診票の記入が終わるまで、この話題でキミを黙らせたくなかっただけ。他人事で話を終わらせるのは、いつでも出来そうだったから)
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アリサ・キリル 2021年5月4日
こんな荒野で一人、などというくらいだからね。多少なりそういうものかもしれないという予想くらいは立つさ。……強いものが生きるというのは生物として間違ったことではないのだけれどね。それじゃあ、医者は何の為にいるのかという話になってしまう。(せめて面倒な嵐さえなければ、などと胸中でそんな思いが浮いた。外に出たのは溜息一つだけだったけれど)一度、ダークセイヴァーだったかな。夜の広がる土地に足を踏み入れたことはあるが――死ぬ思いをしたよ。難儀なものだね、本当に。おちおちそんな世界じゃ外も歩けないのだから……ずっとこれを付けていては注目の的だしな。(荷物を置くスペースに収まったスーツケースを指し示して――お互い大変なものだ、などと同意するように、彼女と鏡写しのように肩を竦めた)
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アリサ・キリル 2021年5月4日
ああ、好きだよ。(何を思った問いかけなのかはわからなかったけれど、そう問われれば答えなど決まり切っているから。顔を上げて、眼鏡越しの瞳を真っ直ぐに見て、答えた)病を駆逐するときも、致命に至る傷を捻じ伏せた時も、ぼくはこの為に生きていると思える。
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麻木・晶 2021年5月9日
キヒ、そりゃそうか。普通は集団で生活するものなァ。ボク、ああいうのは好きじゃないんだ。それこそ――一つの集団に入れ込んだら、その外側のモノは救っちゃいけないような感じになるだろォ?(命に対しては平等にありたいのさ。こんな世界じゃ命の選別は日常茶飯事だ。そこに私情を挟むのは、ボクの矜持が許さない)ああ、あそこって随分……大変らしいねェ。小耳には挟むよ。ボクも行くときは考えた方が良いな……(トランクよりは不便は少ないケド、バックパックも目立つからな。そういうところに行くなら対策は必須だろう。気にしないトコも多いらしい、って話には聞くケドね)
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麻木・晶 2021年5月9日
――そうかい(目が合った。意志の強い、赤い目だ。意外、というか、そうでもない、というか。迷うような感じが、ボクの中にある。殺すための機序としての生かす力を、キミはどう思って振るっているんだろう)……ボクもだよ。気が合って嬉しいなァ。そのために、まずは、キミの命の検査をさせてもらおうかな(問診票、書き終わった? ――なんてね。誤魔化してないよ)
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アリサ・キリル 2021年5月27日
……ああ、それは確かにそうだな。囲いの内側に入れば、ぼくたちの考え方がどうであれ、周囲からはそう見做されるだろう。(互いに有限のリソースを奪い合いながら生きている世界だ。その「有限」は、人命とて例外ではない――薬にも資材にも限りがあるのだから)情勢は不安定、加えて陰鬱だがどうにも環境としては清浄な部類だ。ぼくたちにとっては大層過ごし辛い世界だよ。……まあ、この世界ほど環境の悪い世界などそうないけれどね。
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アリサ・キリル 2021年5月27日
そうだよ。(静かに頷く。奪った分だけ救わなければだとか、そんな題目を唱える気にはならなかった。他を殺すためだけに生かし続けた命に報いる、なんて大義名分もいらなかった。そんなことで、自分の行いを正当化したくはなかった)(だから今も、利己的に命を救っている。ただ、自分が快いと思うためだけに)……ああ、そうだね。ではお願いしようか。(問診票を彼女の方へ向ける。といってもなんということはない、易疲労性やめまい、肩凝り、立ち眩み――なんていう、一般的な症状にいくらかチェックが入っている程度だ)
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麻木・晶 2021年6月5日
だろォ? あの制度――というか不文律は、中々面倒だと思うんだよねェ。結局、こうやって単独行動せざるを得ない……ま、性には合ってるケド(それにヒトが集まってると、嵐も発生しやすい。ボクはそいつを燃料にして戦うケド、鹵獲してる間にあれこれ全部持ってかれるのは避けたいしね)ヒトにとってもボクらにとっても過ごしにくいなんて、酷い話だ。なるべく近寄るのは遠慮したいな、ボクは。ココと似たような大気構成の土地が見付かったら、移住しても良いかもねェ。……そっちもロクな状況じゃなさそうか。
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麻木・晶 2021年6月5日
(頷くキミを見詰める。キミがそれを「好き」って言えるんなら、ボクにとっても良いコトだから)じゃあ失礼――ふむ(ざっと目を通す。気になる点は特になさそうだ。そりゃそうか、ボクら結構、大気以外には頑丈だし)(カルテを挟んでるボードに一緒に閉じておこう)了解。バイタルサインは取ってるんだっけ。報告しとかなきゃいけない程度の異常がないんなら、血液検査にでもしようか?
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アリサ・キリル 2021年6月16日
社会構造というのは時に面倒も大いに孕むものだよな。……正直な話、ぼくもこちらの方が気楽なものだよ。なんというか、どうにも……集団行動というやつが向かないようでね。(マイペースというやつさ、などとこともなげに付け足してみせた。人に合わせて暮らすよりも、折に依頼を受けて赴くくらいの距離感のほうが好ましい)ぼくも余程のことがなければ二度は立ち入らないと思うよ。それこそ、ぼく好みの重病人とかね。……似たような土地か、あれば良いけれど……まあ、状況が変わらなさそうというのは同意見だ。
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アリサ・キリル 2021年6月16日
ああ、バイタルに関しては……血圧が低いくらいかな。寝起きはショック状態かと疑われるくらい低いこともあるよ。とはいえ、症状があるわけではない……いや、寝起きは悪いけれどね。(冗句めいた言葉と共にそんな風に発しつつ、少し考えて)ああ、それはありがたいね。自分の血を採るのはやはり面倒だから……出来ないことはないのだけれど、力加減を間違いそうだ。
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麻木・晶 2021年6月21日
キヒヒ、気が合うねェ。規律だとかヨコの繋がりだとか、ボクも苦手だ。こういうの、フリーランス――って言うんだっけ?(もうとっくに失われた言葉だ。そんなこと言ったら、この世界じゃ全員フリーランスだな)患者に命を懸けるのは、医者の宿命ってヤツかなァ。全く、難儀な話だよ。医者の不養生ってよく言うケド、不養生しなくたって、ボクらは綺麗なトコじゃ病院送りだなんてね。診てる患者を遺して、先に死にたくはないなァ。
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麻木・晶 2021年6月21日
そんなに低血圧なのかい? 循環器系を調べたくなるな。症状が出てないだけかもしれないし。……長年ソレでやってるなら、ただの体質ってパターンも疑わしいケド(色々と基準はあるケド、結構「体質」の一言で覆されちゃうんだよな。基準から見たら支障が出てて然るべき状況が長年続いてても健康なヒトとかね)ヒトのをやるのと自分でやるのとじゃ、見える角度が違うからな。片手でやらなきゃならないし。……臥位の方が良いとかある?(キミ細いから。血管見えるかどうか、ちょっと不安だ)
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アリサ・キリル 2021年7月2日
一匹狼、なんて言い方もあるね。あるいは、アウトロー……とか? まあ、呼び方なんて些細な話ではあるけれどね。……コミュニケーションが嫌いなだけだろう、なんて言ってきたやつは流石に伸してやったが。(医者以上に話術に長けた者もおるまいというのが持論だ。何せ、腕の立つ者は会話だけで患者の性格や健康状態をほぼ把握できるというのだから)綺麗な場所へ行くのがそもそも不養生と言われればどうしようもないがね。……とはいえ、そこに患者がいるならば行かないという選択肢はないが。(そうだね、難儀なものだ――なんて同意を示すように肩を竦めてみせた)
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アリサ・キリル 2021年7月2日
そう。まあ、心電図に異常はないのだけれどね。若いころからだ、体質だろう……と言いたくもあるが、脈の上がりも早くてね。少し歩けば心拍数がすぐ100を上回ってしまう。(歳かもしれないな。口元を吊り上げながら嘯いてみせた)いいや? 別段、どちらというのはないな。そちらのやりやすいようで構わないよ、センセイ。見ての通り、骨と皮ばかりなものでね――ああ、正中が厳しければ手背でも構わないし。(翻して見せた手背には、筋腱の上を走る血管がそれはもう確りと見えることだろう)
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麻木・晶 2021年7月22日
そいつは流石に失礼すぎる。いざってときに足を引っ張るようなコミュニケーションに必要性を感じてないだけなのに(ボクは少なくともそうだ。医者が贔屓するようなことがあっちゃならない。命は等しく命だ――ボクがどれだけ好きでも嫌いでもね。だから等しく深入りしないのさ)ボクらの不養生とヒトの不養生は違うからねェ。そう考えると、結局ボクらが綺麗なトコに行くしかなくなるんだよな……(この空気は病人にとってはダメ押しだろうし。ヒトの医者が羨ましいなァ、こういうトコ)
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麻木・晶 2021年7月22日
ふうん……やっぱり循環器系、ちょっと弱そうだねェ。後で起立時の血圧と脈拍を測っても良いかい? キミまだ「若年層」だろォ。医学的には(完全に好奇心で提案するついでに、ツッコミも忘れなかったよ。医者らしくね)(細いな。ヒトのコト言えないケド。フラスコチャイルドってみんな細いものなのかな)……キミ脂肪なさすぎじゃないかい。脂質取った方がイイよ。大丈夫、コレから採れなかったら、ボクは医者を名乗るのをやめるね(ちくっとしますよー、なんて、言う必要もないから言わないケド。正中で採ろう、脂肪と筋肉の比が限りなくゼロ対ゼロなら、血管は沈まない。というか、沈む肉がない)
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アリサ・キリル 2021年8月2日
まったくだ。……崩壊した社会で生きているわけだ、社会性を損ねる者がいたとておかしくはないがね。子供の戯言、或いは顔なじみの軽口と聞いてやれるような言い方であればまあ、よかったのだけれど。あの手の輩はどうして上からものを言うのだろうね?(息を吐く。望んで一人を選んでいるというだけで、コミュニティに溶け込む能がないわけではないのだけれど)まったく、この世界だけが医療現場であればこんな悩みは無縁だったろうにね。難儀なものだ。……とはいえ、未知の病に遭遇できるかもしれないことを考えれば多少のリスクは呑むべきかとも思うが。
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アリサ・キリル 2021年8月2日
年齢はね。肉体の方はどうだかわからないだろう? 何せ我々のような出自の者は、何処に爆弾を抱えているかわかったものではないのだから。(血圧測定はご自由に。などと言い添えながら。問題がないと仰せであるのを受けて、ではと右腕を差し出した。採るのに慣れているのだから、採られるのにも抵抗はない。まして同業者だ、下手を打つことは有り得まい)はは、これは手厳しいな。まともな食にありつける環境であればそれはもう存分に肥え太りたいものだけれど。(なんて、軽口を叩きながら、採血針の動くのを見ていた)
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麻木・晶 2021年8月15日
ヒトにはそういう手合いが多くて困るよォ。自分は何があっても生きてるって思ってる。こォんな世界になって、明日は我が身なのにねェ(ま、元から明日とも知れないのが命ってヤツだケド。今は特にそういう機運ってだけだ。いつかここが解放された暁には、きっと当たり前が戻ってくるんだろうさ。楽観的に考えればね)ヘタに世界を渡れるってのも考えものだよねェ。どんどん研究対象が生えて、キリがない。一人でも救えるなら――は、医者のサガってヤツだね。今、キミの言葉で確信したよ。
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麻木・晶 2021年8月15日
キヒヒ、確かにそうだ。ボクだっていつガタが来るか分かったもんじゃない(もしかしたらキミより早いかもしれないし。キミがストームブレイドとかいう機構を持ってなければのハナシだ。なーんてね)(ゆっくりゆっくり一本目を満タンにする。もう一本につけかえて――よし)本当かい? ボクなんか、他にいっぱい食べるものがあっても、適当に済ませちゃうと思うケドな。時間がないし(本当に目の前にあったら違うのかもしれないケドね。そうこうしてるうちに二本とも満タンだ)……はい。終わり。結果は一週間後で良いかい?
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アリサ・キリル 2021年10月26日
まあ、裏を返せば、こんな世界でも疑いようもなく自分の生存を信じられる程度に図太い、ともとれるがね。……いや、でも、そういう手合いほど、窮地ではみっともない顔をするものか。(それもまあ生への固執の裏返しかもしれないな――と思いこそすれ、愚かだなとはちらりと思う)そうだな、何処へでも行けてしまうのは問題だ、知的好奇心を留めておくのも難しいし、手の届く範囲が増えれば救いたくなるものも際限なし増えてゆく。嗚呼、本当に難儀だな。こういう生き物ゆえ、仕方のないことだがね。
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アリサ・キリル 2021年10月26日
おや、そんな若い身空で――なんぞ言っていられないのがこの世界か。(それこそ、オーバーテクノロジーの数々には、初めから壊れることを前提として運用されているものも多くある。何処かで耳にした、偽神細胞――なんていう物体など、その極致であろうし。数々のオーパーツにも、平然と肉体や精神を侵す機構が備わっていることもある)……少々虚偽申告だったな。ぼくも割合、同じものを一ヶ月食べ続けていても気にならないたちだ。(まあこんな世界だ、それで困ることはないのだが。赤で満たされた採血管をちらりと見遣って)構わないよ――とは言うが、受け取りに来るのが少々遅れても? 仕事の方の都合が付けられるかが不透明でね。可能な限り、期日通りに沿うようにするけれど。
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