星々の葬列
矢来・夕立 2021年1月4日
cafe≪メトロポリタン≫
テーブル席に、二人。
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矢来・夕立 2021年1月4日
(約束の時間よりも五分早く着いた。あなたはもう来ていたか、ちょうど出くわしたか、時間通りだっただろうか。今は向かい合って座っている。アイスコーヒーのグラスを持ち、ストローに指先を添えて、けれど飲むでもなく、じっとしていた)(奇妙に見えるかもしれない)どうもお疲れ様でした。(視線はあなたを通り越して、向こう側の壁へ突き刺さっている)
浮舟・航 2021年1月4日
(時間通りに店へ訪れた。店内に君の姿を確認すれば、そちらへ)(そうして、向かいの席に着いたところである) ……。(アイスコーヒーが運ばれて、店員へ会釈を返す)……ありがとうございます。こちらこそ、ご依頼ありがとうございました。(視線がこちらを向いていないことは分かっていた。しかし、今日はいつもと違う緊張感がある気がする)
矢来・夕立 2021年1月4日
(瞑目。深呼吸のように息を吐き、長いまばたきを終える。わずかばかり居心地悪そうに指先が動いて、氷が音を立てた) ひとに何かを依頼して作ってもらった経験は、 (武器、爆発物、毒物、) ……あまり、ないんです。不慣れで。怒っているワケじゃないんで、そこは誤解しないでもらえれば。 (要はあなたの感じている通りの緊張であるが、はっきりとそう口にするのは憚られた。弱みが形になるようで)
矢来・夕立 2021年1月4日
……見せていただいてもいいでしょうか。物理的に大きかったりします?
浮舟・航 2021年1月5日
……なるほど。たしかに、他人に作り物を依頼するのはなかなか慣れませんよね。本来は矢来さんも、仕事を依頼される側でしょうし……(仕事の内容は、全くの正反対だけれど) ……ああ、そうですね。まずお見せします。(傍らのトートバッグからタブレットを取り出し)僕、絵に関してはすべてデジタル派なんです。それなりのサイズでは描きましたが、荷物にはなりません。
浮舟・航 2021年1月5日
(すこしの操作の後、あなたへ画面を向け)――このような感じになりました。
(画面いっぱいの星空のようであったが、薄っすらと天と地の境が引かれている。限りなく同一に近くても、天と地は混じり合えない)(しかしその境を越え、画面に円を描くように白い魚の群れが画面泳いでいる。天から地へ、地から天へ)
(魚の円の中には、革靴とスニーカーが忘れもののように置き去りになっていた)
…………僕の目に映ったもの、感じたもの、あったらいいと考えたもの。こういうご依頼は初めてでしたので、試行錯誤感はありますが。
矢来・夕立 2021年1月5日
(徐に片手を挙げる。親指、人差し指、中指。三本の指だけ、タブレットから離れた場所に翳して。そうするとなんだか、枠の中へ)
―――入れそうに見えますね。
(色を映すばかりの板を、透明の壁を越えて、星の泉へと)
(詳しくない。色の使い方も、きっと籠っているのだろう細やかな心配りも、分からない。距離のある指先で絵をなぞる。あるものを、ひとつひとつ噛みしめるよう)
……魚がいる。靴も。海の底っぽいような……。
矢来・夕立 2021年1月5日
(人差し指が、横についっと動いた)
この、みなもと空とが別れてるところ。ここ。なんか、分かんないですけど……あのときはまったくの地続きに見えたもので、それはそれで面白かったんですが。こっちの方がいいように思います。違うものだって、描かれてる方が。
浮舟・航 2021年1月6日
(声には出さないけれど、目の前の彼の感性はピュアだと思う) ええ、吸い込まれるようなイメージで描きました。(すこし口元が上がり) 靴は、僕たちが居た証のつもりで。それと、天も地もひとまとめにしたような場所でしたから、さ、……魚も空を泳げそうだなと……。(知り合いに自身の作品の解説をするのは、どこか照れるものがあった)(目線がテーブルへ落ちる)
浮舟・航 2021年1月6日
ええ、そう思いますか?その境を引くか引かないか、濃さだとかもかなり迷ったのですが…… 結局、地上と天は別物だと思います。どれだけ美しくとも、混じり合えない。空想の魚でもないと、天には昇れないと思って。――そう言っていただけて、よかったです。
矢来・夕立 2021年1月7日
生きてるうちに届くと、特別ではなくなっちゃうから。……ほら。我々にとっては天とか天国とかって、ちょっとばかり思い入れのあるワードではありませんか。そうでもないでしょうか。(「自分はそう捉えている」と伝えるつもりでも、言葉尻が揶揄うようになってしまう)(同じように、視線がテーブルの対角に落ちた)
矢来・夕立 2021年1月7日
靴。実は帰るときには少し後悔していました。やってしまったな、と。
(すぐに視線を上げる。惹きつけられるように、もう一度タブレットの画面を見た。二足の靴を示して指が円を描く。魚の流れに添うように)
……オレは、ぼんやりした感想しか残せないほうの人間です。お願いした理由は、だから―――それこそ、あの場所にいた証拠が欲しかったのだと思います。水の匂いや、靴の中の感覚を思い出せるような何かが。
浮舟・航 2021年1月7日
ええ、簡単に手を届かせてしまうのは違うなって……そんなふうに、僕も思います。目標ですから。(指先がタブレットの画面を滑るのを見て)
……僕たちは、確かにあの場にいましたよ。矢来さんがあの場にいたことは、ちゃんと覚えていますから。 ……では、修正が必要な箇所なんかは無さそうですかね。データ、メールでお送りします。
矢来・夕立 2021年1月8日
(ゆっくりと引っ込んだ手が、所在なさげに少し浮く。浮いた指先が蟀谷あたりへ向き)……それは、どうも。(「ありがとう」をなかなか言えない性分である。ほんのりと温かい言葉には尚更、不慣れな分)
ああ、絵は、はい。問題ありません。よろしくお願いします。……大事にします。
浮舟・航 2021年1月9日
(タブレットの向きを返し、いくつかの操作)(「送信完了」と表示された)……今、お送りしておきました。ご依頼ありがとうございました。(ちいさく頭を下げ) 大事にしてくれるのなら、うれしいです。
……どんな依頼でも同じ姿勢で臨んでいるつもりですが、ネット上ではない僕を知っているひとから仕事をいただくのは初めてでした。いつもよりよく考えて描けた気がして、僕としても良かったです。
矢来・夕立 2021年1月11日
え。あ。はい。経……験値、みたいなものでしょうか。お役に立てたようで、なんというか (真っ直ぐ背筋を伸ばしていて、身じろぎひとつしない。視線はやや落ち着かず、最終的に対面の空席に止まった) 何よりです。(間)(たいそう言いにくそうに、一旦口元を揉む)
ありがとうございました。……また、どこかへ。割とどこへでもお連れしますんで。見たいものとか、考えておいてください。
浮舟・航 2021年1月12日
ええ。『経験』を売りに頼まれる依頼よりも、ずっと良かったなと思います。(そういう仕事は請けないんですけどね、と添え)(仕事を終えたタブレットは、再びトートバッグへ仕舞われた)
こちらこそ、ありがとうございました。考えておきますね。僕は生き物が好きなので…… 珍しいものがみれると良いな。
矢来・夕立 2021年1月14日
ではその線で。何か良さそうなものを見つけたら、こちらからもお伝えします。(残ったアイスコーヒーは飲み干すには多い。ゆっくり過ごすにはどこか気恥ずかしいものがあり)(特に理由もなくメニューを開き、閉じ)
浮舟・航 2021年1月15日
はい、よろしくお願いします。……(メニューが開かれたり、閉じたり、)……
浮舟・航 2021年1月15日
もしかして今、気まずいと思っています?
矢来・夕立 2021年1月16日
いえ別に決してそういうわけでは。(ウソである)(気持ち早口)
浮舟・航 2021年1月17日
なら、いいんですが。(傍らのアイスコーヒーを飲んだ)……ああ、次の絵、描かなくちゃな。(思いだしたような、ちいさな独り言)
矢来・夕立 2021年1月19日
もう題材は決まってるんですか?(あなたの言葉は、先のものも後のものも幸いであった。小声を拾うのは盗み聞きのようでやや憚られたが)
浮舟・航 2021年1月19日
次は……明るい雰囲気のものを描こうと思います。世界の海を旅をするイルカ。僕が描いてあげるまで、旅を終えられないのは可哀想ですが。 ……最近ピンク色のイルカの映像を見たんですよね。それが頭に残っていて。
矢来・夕立 2021年1月21日
終わりが見えない旅もそれはそれで良さそうですよ。案外一人旅が好きなイルカかもしれません。ピンクなら普通の、群れを作るやつとは違うでしょうし。
浮舟・航 2021年1月21日
……それもそうですね。(終わりの見えない旅に希望が見えるのは、空想ならではだろう)シリーズものにしてみるのも、悪くないかもしれません。今まで単発のものばかりでしたし…… 描きあがったらまたネットに載せるので。よければ見てくださいね。
矢来・夕立 2021年1月23日
更新されたら通知が来るように設定してあります。(真顔でピースサインを作る)
浮舟・航 2021年1月23日
本当にそういう設定にしてる人いるんですね……。(照れを冷ますように、アイスコーヒーを飲み切った)ありがとうございます。 僕、そろそろ帰ろうかな。次の絵を描きますから。
矢来・夕立 2021年1月24日
いますよ。ウソでも方便でもなく。(はさみを二回ほど動かした。地味な鞄の中のタブレットを思う。ここで少しだけ、例の絵を見て帰ろうとも)オレはもう暫く残ります。道中お気をつけて。
浮舟・航 2021年1月25日
わかりました。(自分のアイスコーヒー代をテーブルに置いて、) それでは、また。(ちいさく頭を下げてから、店を出た)
矢来・夕立 2021年3月17日
あ。(奢り損ねた)(引き留めるのも無粋な話だから、細くて小さな背中を見送るばかりだ。人知れず息を吐いて、タブレットを取り出す。確かに届いた成果物を開くと、画面に触れないように魚を辿った。湖面と空を自由にゆく群れはたいそう自由に見える)
矢来・夕立 2021年3月17日
(彼女の知らない世界へ連れてゆく。すると、眺めるものが増える。これもある種取引の在り様かもしれない。与えるものがこうも穏やかであるのは、初めてのことであったが)
矢来・夕立 2021年3月17日
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浮舟・航:親近感(継続)