依骨の宮
朱酉・逢真 2021年1月1日
くらがりに水の音。
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朱酉・逢真 2023年6月10日
(がらんと空いた駐車場の入り口、影から空を睨んでいる)
朱酉・逢真 2023年6月24日
(いのちに贈られた宝石を、光にかざし眩しそうに眺めている)
朱酉・逢真 2023年6月25日
(信徒たちの祈りを遠く近く聞きながら、心地よさげに頬肘付いている)
(その祈りが私に力を与える。いつもありがとう、"いのち"たち)
朱酉・逢真 2023年6月28日
(積み重なる親愛。信仰。それがどれほど、この宿を軽くしてくれることか)
朱酉・逢真 2023年7月2日
(皮の剥がれた獣が死ぬまで寄り添っている。それは何の救いにもならない)
朱酉・逢真 2023年7月4日
(人通りのない、傾斜のキツい崖をヤギに乗って登っている)
朱酉・逢真 2023年7月10日
(転がり落ちていく首を眺めている)
朱酉・逢真 2023年7月14日
(ゴミ山に仰向けで転がっている。集まるラットの話を聞いているのか、いないのか。それさえ定かではなく、触れたゴミを臭気すら塵へと変えながら)
朱酉・逢真 2023年7月20日
〽ぼんぼり点すは船の里 斑の蛇が忍び寄る…
朱酉・逢真 2023年7月23日
(カラカラカラ…と車輪が回る、音だけが虚しく響いている)
朱酉・逢真 2023年7月26日
来よ、来よ、お前たち。宴の時間だよ。
酒をもらったのでね。私は飲めぬが、お前たちならば飲めるだろう。
ああ、瓶は返しておくれよ。宝物庫に入れておくからねぇ。
カッパートロフィーだそうだ。………ふ、ふ。そうだな、実績ということさ。
朱酉・逢真 2023年8月3日
〽誰がこまどり殺したの
朱酉・逢真 2023年8月7日
(それはわたし、と排水口から声がした)
朱酉・逢真 2023年8月12日
〽昔ながらの山ざくら におう所や志賀の里
都のあとは知らねども 逢坂山はそのままに
朱酉・逢真 2023年8月14日
(彼岸でたいそう忙しくしている)
朱酉・逢真 2023年8月27日
(蜂の群れが飛んでいる)
朱酉・逢真 2023年8月29日
(地下室、レンガ造りの壁、パチパチと燃える暖炉。換気窓、風の音。鉄柵の影が伸びる絨毯。影のかかるベッド。揺り椅子。古書のページがぱら、と捲れる)
朱酉・逢真 2023年9月8日
(ぐるぐると続いている階段を降りている)
(先は見えない)
朱酉・逢真 2023年9月28日
「人間ごっこは楽しいか?」
「神様ごっこは苦しいか?」
朱酉・逢真 2023年9月29日
「聴き心地の良い言葉ばかり宣い、いのちを堕落させる陰神めが」
「叱咤と正道行く行動ばかり行い、いのちを育成せんとす陽神よ」
朱酉・逢真 2023年9月30日
「他者に共感し共感される為の言葉は会話と呼ぶには卑近がすぎる」
「伝える気もなく一方的に放つ言葉は対話と呼ぶよか鳴き声だろう」
朱酉・逢真 2023年10月22日
「誰も他人に寄り添う必要はないのだ。ただ己の道を往けば良い」
「誰もが他人を必要としている。ただひとりでヒトは生きられぬ」
朱酉・逢真 2023年10月24日
「いのちとは、ただひとつでいのちなのだから」
「いのちとは、ひとつきりでは続かぬのだから」
朱酉・逢真 2023年11月8日
空が腐っていく音がするね。聞こえるかい?
朱酉・逢真 2023年12月30日
(次代の里長となるべく、先代のもと修行に励む雪だるまを眺めている)
朱酉・逢真 2023年12月31日
([ミソカぞ][ツゴモリじゃ]と暗がりが賑やかに蠢いている)
朱酉・逢真 2024年1月7日
(高い電柱の上に腰掛け、烟管をふかしている)
朱酉・逢真 2024年1月8日
(知己と駄弁っている。おおよそヒトではない)
朱酉・逢真 2024年1月9日
(七色の瞳を持つ獣たちが、老翁に侍っている)
朱酉・逢真 2024年1月11日
(空の色を塗り替えている)
朱酉・逢真 2024年1月31日
俺への
認識が増えたおかげで、別の
顔でも出てこられるようになったなァ。ありがたいこった…。
朱酉・逢真 2024年2月6日
(クリスマスの装飾品で飾られ、サンタ人形・鏡餅・チョコレートが備えられた己の宮を眺めてひきつるように笑っている)
朱酉・逢真 2024年2月24日
(幽霊のおちびさんらが、お菓子に沸き立っている。生のクッキー生地をつまみ食いして首を傾げたり、チョコにトッピングをし過ぎていたり、余った生地を固めて名状しがたい冒涜的な形にしてみたりと)
朱酉・逢真 2024年2月25日
[ヒトガタは和魂、異形態は荒魂。真の姿というには側面だが、猟兵の枠に合わせて異形態をそう呼称する]
[朱酉逢真は習合神格であり、無数の形状を持つ。それを年代別のヒトガタとして出力しており、それに追随あるいは副産物として荒魂たる異形態が同数成形されている]
朱酉・逢真 2024年3月21日
[猟兵としての朱酉逢真は多重神格ではなく、多相神格である]
[その表出部分の変化は、人間の生涯における揺れ幅程度のものでしかない。人間が『人が変わったよう』になることはあっても、決して別人にはなりえない事と等号である]
[これは、不特定無数の対象に寄り添い、場合によってはコミュニケーションをとるため、相手に向いた形状・口調を出力するためのものであり、人間が被るペルソナと同様の事象である]
朱酉・逢真 2024年4月4日
(一条の光もささぬ暗闇に囚われた魂を、真っ黒な影が優しく抱き上げて連れて行った)
朱酉・逢真 2024年5月4日
[それは定義]
[無作為な星の並びに名を付け個とするように]
[太陽の光が届かぬ暗がりを夜と名付けたように]
[海から掬ったカップ一杯の水を海水と呼ぶように]
[それは]
[目に見えぬものを見えるようにする行い]
[手に負えぬものを扱えるようにする行い]
[何者でもないものを何者かに定める行い]
[さながら]
[生まれたての赤子に名をつけるように]
朱酉・逢真 2024年6月1日
「無意味だ」
「一枚一枚の摩擦は弱いけど、こうやって重ねると」
「狼が羊に"君を守る"って言ってもさ」
「チェスはちょっと。将棋なら」
「チャンネル取って」
「だから言ったのに……」
「入れとくと水槽がきれいになる貝、知ってる?」
「コンセント抜いといて」
「ライト持ってけって言っただろ」
「わかる?」
朱酉・逢真 2024年6月24日
《ひ、ひ…こォんな奉納されちゃア、俺もそォ簡単には消えらンねェや。なァ仔らよ、ありがてェかぎりじゃアないか》
(眼前に群がるイヌの群れに声を掛けると、
はしゃいだ鳴き声が返る。しばらく楽しげな音や声が鳴っていたが、やがて暗がりに吸い込まれた)
朱酉・逢真 2024年7月3日
(逢真に統合された神格は無数だが、共通点は唯一つ)
(三千世界のどこにも存在しないこと)
(存在しないとされた神格であること)
(朱酉逢真とは、不在神格の習合体である)
朱酉・逢真 2024年7月12日
「いま誰かそこに座ってなかった?」
朱酉・逢真 2024年7月20日
(己を引きずってきた人間に、いずこで見つけたおもしろピアスを渡した。たこ焼きを連想し、少少の気が晴れた)
(ついでにおもしろリングも渡した。顔がいいせいか似合ってしまい、あまり気は晴れなかった)
朱酉・逢真 2024年7月20日
(ああ何んて憎らしいくらいに晴れた空だろう、こんな日に外でコンテストなどと毎年思う。だが、これで最後だ。もう外でくたばることも、エロ本で追い立てられることもない)
(なら、最後くらいはめかし込もうじゃあないか)
(――くたばる10秒前の思考である)
朱酉・逢真 2024年8月10日
(ダイオウイカが泳いでいくのを海底から眺めている)
朱酉・逢真 8月20日12時
『厄疫の獣』
『朱ノ鳥、あるいは運ぶ翼』
『Dr.ヴォルシャンクの幻視した蜘蛛』
『川底の怨叫、あるいは贄の眠り』
『夜の黒い波、あるいは海の噴火』
『侵緑する黄金』
朱酉・逢真 9月5日11時
引っこ抜けたタワーのまわり、どォなったコトだろうね。
朱酉・逢真 9月10日13時
イザナミねェ。
マ・俺らの知る彼奴とはまた別の"枝"なンだろうが、こりゃア彼岸の境界も強めなきゃならねェかな…。
朱酉・逢真 12月31日09時
(大晦日なので彼岸は祭りである)
朱酉・逢真 1月1日08時
明けておめでとうだぜ、人類。今年もよろしくゥ。
朱酉・逢真 4月26日09時
《一夜限りの化け合わせ。吸血鬼のフリだよ、似合うかね?》
(問えば影の中がさんざめく)
《ヒ、ヒ、そのとおり。悪い吸血鬼は、ヒトに殺されてこそだ》
(げらげらと笑う声が聞こえる)
(げらげらと笑う声が聞こえる)
(げらげらと笑う声が聞こえる)