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しらゆきとぬくもり

君影・菫 2020年12月3日


醒を忘れた世界で交わした約束。
もふもふとふわふわの話をふにゃふにゃになりながら語り明かした話。
ふたりの間で沈めた密は秘の侭だけれど。
けれど交わした音は形となって。
もふもふの獣たちが一箇所に集まる日が訪れた。

額に桜の模様が描かれた稲荷狐が前を歩けば。
白雪に新しい足跡が残ってゆく。
しろい、白の世界に静かに残って。

――刻、

簪の娘が白い息を吐きながら振り返ったのなら。
白銀の世界に融け込むような彼がゆうるりと歩みを進めていた。
傍らには黒狼と雪豹の二匹の獣を連れ歩く。
撫ぜる手付きから、その優しさが伝わってくるようで。
簪の娘はつい、ふわりと笑みを零してしまう。
「……?」
「ふふ、何でもないんよ」
その子たち、かわええねとくるくる童女のように遊び歩けば、
一番前の稲荷狐が鳴く。
ごめんて、と路に戻り向かうは日本家屋。

まだ名のない二匹たちは今日は家の中で丸まっている筈。
今日遊んでくれる存在を待ちながら。

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場所:白雪が降った冬、菫の住む日本家屋
相手:お約束したかたと
期間:お互い切りの良いところまで




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君影・菫 2020年12月3日
(さくりさくり、薄くは有るものの冬化粧を踏んでゆく音がする。聞こえるのはどれもこれも違う踏音)(目的地まではもう少し、桜狐を追いながら自然と隣を歩く速度になれば)キミは、寒いの平気な方?(て、)
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飛白・刻 2020年12月6日
(まだ初雪から間もないであろう白世界が続き往く道。少し先行く足音達を追うよう連れるは二匹の獣――雄の黒狼と雌の雪豹。前へ出たがる黒狼は好奇を表すまま、靭やかに足進める雪豹は久方振りの外地を踏み締めるように添い歩く)
ある程度ならば。…暑いよりは余程良いからな(問いには直ぐ。比べてしまえば軍配は確実と)…そういう菫はどうだ?
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君影・菫 2020年12月11日
(ちらりと横を見遣ればタイプの違う二匹が映る、好奇心と其の後ろで踏みしてめてゆく姿。久しぶりなんかなあとふわりと覗いてみたりもした)……前から少し気になってたんやけど、刻てあんま暑いのいうか夏、好きやない感じ?(ふと思い返した夏の様子と、言い切る様子何方も合わせて)あんなあ、前までは寒いの平気やったんやけど、最近は苦手になった気いするん。思うように身体動かんからやろか。(こてりと首を傾げた)
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飛白・刻 2020年12月19日
(先に視線に気付いたは雪豹の方で。凛とした眼差しで興味を菫へと向ける。黒狼は未だ辺りの景色への好奇が勝っている様子)
…あの容赦の無い陽射しが苦手だと云う方がより正確ではあるがな(瞬時過りそうになる何かを払うかのよう瞳伏せ、添う獣達を撫ぜたのは己宥めの一触れと)…確かに動きが鈍くなるはあるな。菫の場合、感覚を覚えたという捉え方もあるかも識れないな?
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君影・菫 2020年12月28日
(黒狼の好奇心は傍らで微笑みながらその侭に。雪豹の凛とした眼差しに気づいて、そっと二匹の主を見やる)なあなあ、刻。この綺麗な子は触れても怒らんやろか?その今もふもふしたいとかや無いんやけど。
ああ、夏は日差しも強いし暑いもんねえ。(伏せた眸の意味は解らないけれど何か有るのだろうなとは察して。けれどこの簪とて空気を読めるようになった頃合い。尋ねず胸に仕舞うに留めた)やっぱ鈍くなるよねえ。一応ヒトの身体を得てから30は数えたはずなんやけど、感覚ってそんなに後から覚えるものなん?(純粋な疑問が白銀に零れ、薄れた)
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飛白・刻 2021年1月9日
構わないぞ。名は珀(はく)と云う。先に生を受けているのもあるが、言わば鳴の姉のような存在だ(するり。主の横を過ぎ珀が菫へと自ら近付く。挨拶を伝えるかのよう見上げ眼差し向ける)
…それに、暑いと寄ってこなくなる(云い添えて二匹を見遣る。――深くを聞かずはその気遣いであろうと。心内のみで靜か礼を添えた)
ヤドリガミの感覚は解らぬが…人と成りて、様々なものに触れる機が増えた事で変化するもあるのかと思ってな(物として触れること、人として触れる事に違いが生じるかは解りはしないのだけれど)
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君影・菫 2021年1月18日
はく……珀いうの。キミは凛々しいおねえちゃんなんね。(仕草の優雅さに惹かれたのか、すみれ色は少し大人びながら目線を合わせて静かに礼をして。そっと手を差し伸べてそのこうべにゆびさきを添える)
毛皮は夏だと随分暑う気持ちになるしなあ。(その視線には何かがあったかもしれないけれど、仕舞うと決めたのだから尋ねずに。ただ少しだけ何かを察してふうわり咲う)
確かに……ヒトになりたての頃から季節の10巡りは、色んなモノを見て回ってばかりでやったかな。具体的に意識して触れるいうんは、最近やったかもしれへんわ。(刻の視点はいつも凄いねえと、羨望の眼差しを向けた)
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飛白・刻 2021年2月1日
鳴が落ち着きのない分、尚の事落ち着いて見えるのかもな(珀も返された視線に安堵したか、伸ばされた指先にこうべを擦り寄せて甘えてみるように)
…まあ、そのような理由だ(決して良い話では無いからこそ今は目先を楽しめるままがいいのだと。先待つものに添える話でもあるまい)
まっさらな状態で全てを受けるのだから、感覚どころでは無かったのだろうか。
俺の場合は教わる機会があまり無く、覚える事が多かったからな、そう、感じたのかも識れぬ(だから、凄いものでもなんでもないのだと)
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君影・菫 2021年2月11日
ふふ、元気なのはええことやないの。でも確かによりおねえちゃんに見えるかもなあ。(ゆびさきに寄せられた気持ちは甘えにも似ていたから、もう少しだけとゆうるく撫ぜてみる。ええ子、ええ子)
夏の陽射しを避けるから刻の肌は白いんやろか。(綺麗よねえなんて、察したのか、思ったままを口にしたのか、戯れの音はそんな紡)
まっさら……さよか。そう考えることも出来るんやね。今は色もついてきて、感覚に意識を向けられるくらいにはなったって事やろか。刻は色々なこと自分で覚えたん?(凄くないの音には、んーんと首を振る。自分がそう思ったのだから凄いのだと、通す理屈は幼子のよう)
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飛白・刻 2021年4月17日
稀に喧嘩する事もあるんだが大体は珀が折れている(仕草は猫の様、撫ぜる指先をそっと一舐めと。猫のそれと比べるには些か大きいけれども。存分に甘えているようだ)
…そう考えた事は無かったな。体質や遺伝と思っていたがそうとも限らぬのか…?(己にその発想が無かったのもあってか真面目に捉えて。綺麗、と添えられた事には不思議な感覚を覚えた)
寒さを覚えた事が良い事かまでは判らぬにしろ、な。噫、基本的には。主には書物などで得た知識で偏りもあるかとは思うが。…認めて貰えるは嬉しくもあるな(褒められるは慣れぬけれど、菫の主張には何故か逆らえぬものがあると。降参だとでも云うように)
もし何か違う事を口走っていたら指摘してくれ(正解を知らぬから、とどこか冗談もめいて)

…鳴、あまり菫を困らせるなよ。
(菫の傍を行ったり来たりとはじめた落ち着きのない一匹に気付き一声添える。知らぬ道すがら行き先にも興味を持ったのかもしれない)
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君影・菫 2021年4月27日
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紹介された二匹を伴って辿り着いた先は――。
一匹の稲荷狐が案内する二匹の対の子猫たちの待つ家。
たくさんのもふもふに囲まれ。
存分に触れた尽くした時間はあの日と同じように、互いだけが知る秘密。
どんなに緩み、弛んで居たとしてもそれは。
だあれも知らない此処だけの。

キミと噺をする。
些細なこと、楽しいこと。
時折飛び込んでくる黒狼と子猫たち。
傍らで寄り添う稲荷狐と雪豹を交えて。
またひとつ、キミを知るのだ。

――また、と。
約束したかはふたりだけが知っている。

それは、しらゆきの日。
ぬくもり抱く、とある日の想い出。

【〆】
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