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【●1:1RP】綴棚

エスパルダ・メア 2020年11月9日


軋む扉が開く音。
この店では聴き慣れたその音と共にやって来た客人は――眼鏡の男。
UDCアースの街並みと並べばひとつ前の世に飛んだような。古物と並べば矢鱈に馴染むその落ち着いた出で立ちで、男はまず本を見つけたようだった。
ひとつ。それは古めかしいものだ。開けば裂けてしまいそうな、綴紐で結ばれた飴色の和書。
ひとつ。それは新しく見えるものだ。色褪せぬ木賊色の背表紙に、橙で綴られた洋書。
それらから視線が外れて、やがて眼鏡の奥の赤い瞳が貼り紙をなぞる。
――お探し物は。
ひょいと被せるように店番が顔を覗かせれば、その口元に柔和な笑みが浮かんだ。
「……探し物は沢山あるね。古書、鋏、紙。沢山ね」
そりゃあ良い。店番はからりと笑う。どれもありそうなものばかりだと。
ただ、そのお眼鏡に適うものがあるかは見る者次第。
そう笑えば、ゆっくりとした笑みが返る。

「嗚呼。少し見て行っても良いかな?」



来客:榎本・英

(団長との入団1:1RP)
(キリの良い所、あるいは12月10日で〆)




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エスパルダ・メア 2020年11月9日
――勿論どうぞ、いらっしゃい。オレは店番のエスパルダ・メアって言う。辺鄙なとこへようこそ、お客人。(気安く笑えば名乗って見せて、雑多な店の奥へゆくも立ち止まるのも自由だとばかり。店の中はどうやら静かで、人の気配はない。所々で小動物が動くような、小さな気配が興味を示すその奥。ログハウスには不似合いな座敷や椅子やらまで見えるだろう)古書やらが気になるなら、あんたが見てたそっちの棚だ。のんびり読みたいものでもあれば、座敷なり椅子なり自由にしてくれりゃあ良い。……ナリを見てると、サクラミラージュから、ってとこかね。名前を聞いても?
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榎本・英 2020年11月10日
嗚呼。ご名答。私はサクラミラージュから此方に来た。名前は榎本英。(そっちと長い指が示す場所には、古書が積み重なっていた。猫背気味の長身が、深い緋を眇めその棚を覗き込む。背表紙、題、形に大きさを見る限りでは統一性のない物たち。そこに座る君は説明を続けていた)店番、と云ったね。そんなに大盤振る舞いで良いのかい?朝から晩までこの場に居座り古書を読み、棚に並ぶ物たちを観察をして冷やかすよ。(古書を選びながら、堂々と冷やかすと口にした)
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エスパルダ・メア 2020年11月13日
なら英で良いか?拘りがありゃそう呼ぶが……ふは、ああ、冷やかしでも構やしねえよ。こんなとこで日がな一日居座って吟味して、ろくに読まれてもない本や物の相手してくれる奴はそうそういねえんでな。(言い様にからからと楽しげに笑い飛ばす。古書やら物品に向けられる視線が冷やかしだとて、馬鹿にするそれではないように思えたせいだ)特に本は、オレが苦手なもんで構ってやれねえから、置物じゃなくて読み物だって思い出させてやってくれるとむしろありがたいが。……そこまで暇じゃねえか?(冗談めかして首を傾げる。さほど仕事熱心でもなさそうな店番は店番で座り直すと、小さな物の手入れを再開させて)
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榎本・英 2020年11月16日
嗚呼。構わないよ。(古びた本の表紙に指先が触れた。承諾を得られたのだ。堂々と古書に目を通そう。店番と言うには些か頼り無いような君の、明るい声を耳に届けた)いや、とても暇だよ。君からの承諾を得たからね、堂々としておこう。しかし、構ってやれないか。(ぱらぱらと頁を捲る。どの本も個性豊かだ)私の懐が許すなら、ここにある全ての本を引き取る所だったよ。生憎、それも無理だ。こうして此処で読む事しかできない。
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エスパルダ・メア 2020年11月16日
(構わないと言う声に軽く頷いて、本に構う仕草を視界に入れる。本の最後には何処でそれが見つかったか、記された紙片が入っていよう。世界を跨ぎ、あらゆる場所から蒐集されたそれらは、暇を潰すにはもってこいだろうが)とても暇か。本やらを探すってことは、調べものでもしてるのかね。ああ、堂々とどうぞ。うちの店はどうにも客を選り好むんでな、見つけて入って来られた客人は物に悪さする奴じゃあない。(だからお好きにと、勝手な信用を押し付けて、聞こえた言葉に瞬いた)この本全部を?そりゃあ気前の良い話だ。流石にどうぞとも言えねえが…あんたは本が好きなのな。
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榎本・英 2020年11月17日
(君の話は右から聞き入れた。その間も、深い緋の双眸が文字の羅列をなぞって行く)嗚呼。ちょっとした資料をね。桜の世界では、それなりに本を書いていてね、他の世界についての知識は浅い。それゆえ参考資料になる物が欲しいのだよ。(つまる所、新たな知識を取り入れたいのだと添えた。客を選ぶ店ならばそれなりの物があるのだろう。一冊目に栞を挟み、別の本の裏表紙を捲った。こちらはヒーローズアースの物だった)好きだよ。しかしこの店と一緒で、偏食だ。……少し尋ねるのだが、君は此方に置いてある本に目を通した事は?
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エスパルダ・メア 2020年11月21日
へえ、本。記者とか、作家さんってやつか?(どうにも縁の遠い職らしいと瞬いて顔を上げ、文字をひたと追う姿がぶれぬのに口の端で笑う)……熱心な冷やかし客がうちの店は好きでな。あんたに必要な本があるかは知れねえが、巡り合いなら向いてるだろうさ、色んな世界の物がある。(手元でしていた作業を終えて立ち上がると同時、丁度問うた男に視線を向けて)ちゃんと読んで中身を理解してるかってことなら答えはノーだ。開いたことはある。それが何処のどいつか、何が置いてあるかは把握してる程度だな。
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榎本・英 2020年11月23日
嗚呼。作家だよ。サクラミラージュと云う世界で本を書いている。(一先ず、世界別に分ける事にした。此方はUDC、あちらは珍しい。カクリヨの物だ)君の云うように、本当に色んな世界の物があるね。把握しているだけで素晴らしいと思うよ。中には把握すらしていない者もいるからね。君の気に入りの話でもと思ったが、それも厳しそうだ。(此方は見た事のある本。桜の世界の本だ。視線を受け、君に本を見せる)此方の本は知っているよ。私の世界でも有名なものだ。
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エスパルダ・メア 2020年11月24日
そりゃあ凄い。あんたに似合うな。眠くならずに文字が書けるって時点でオレにとっちゃ尊敬ものだが、文字を書くために文字を追うのか。作家は文字に愛されそうだ。……本を置く籠でも使うか?(言いながら、自身の足元にある両手で抱える程度の網籠が積まれているのを視線で示して)仮にも店番だ、知らないでいなくなったのにも気づかないんじゃ申し訳が立たねえしな。――へえ、そうなのか。装丁が古びても朽ちてなくて、大事にされてたんだなとは思ったが。どんな話か聞いても?(見せられた本を覗けば、興味を引かれたように首を傾げて)
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榎本・英 2020年11月27日
嗚呼。そちらを貸していただけるのなら有り難い。いくつか貸してもらっても良いかい?(一旦立ち上がり、籠へと手を伸ばす。仕分けをするには、一、二、三、一先ず三つあれば良いかと籠三つを並べた)簡単に言えば、遺書だよ。前中編が日常。後編が遺書。人間のエゴイズム等を描いているのだが、とても衝撃的な内容だった。今でも私の本棚にあるが、こんな場所にまであるとは。(前のめり気味の君にも見えるように厚い本をぱらぱらとめくる。もちろん、めくっただけでは内容の把握は難しい。それでも、びっしりと詰め込まれた文字の羅列をなぞり、籠の中に置いた)
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エスパルダ・メア 2020年11月30日
遺書?(籠の自由を任せ、ぱらぱらと捲られる頁を見ながら軽く目を瞠った。へえ、と呟いて文字列を捉えるも、理解に及ぶべくもない。籠の中に置かれる短い本の題字に覚えはあるが、と籠の前に膝をつき)なるほど、教えてくれてありがとうさん。やっぱり本は読み手がいねえと成り立たねえが……遺書ってんなら作者は書き上げて死んでしまったってことか。それともただのフィクションか。(問うように口にしてから、どちらであっても、と立ち上がる)誰かの思い入れがあったから、蒐集されたんだろうな。……英はどういう本が好みだ? 中身の保証はできねえが、それらしいタイトルのものなら幾つか見繕うこともできるが。
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榎本・英 2020年12月1日
さあ?私の祖父ならまだしも、私自身はその作者と会った事はないからね。死人に口は無い。真相は作者のみぞ知る。しかし、そうやって想像を巡らせながら読む事も面白いよ。(次の本は可愛らしい絵の描かれた物だ。題は残念ながら、滲んで読み取ることが出来ない)そうだね。ミステリー以外なら。嗚呼。空想世界の物語はあまり手に取った事が無いからね、興味があるよ。
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エスパルダ・メア 2020年12月3日
……ああ、そういやそうだ。ヒトは百年しないで死ぬんだった。本の醍醐味はオレには味わえやしねえだろうが、そのうち英の書いた本が店に辿り着くかもしれねえな。(積まれてゆく本を見ながら、視線を棚の上へ向ける。些か埃の積もった上端は、空想の世界や幻想生物の名前が冠されたものが多い)なら、悪い魔法使いの話、善き魔女の話……ドラゴンの世界に、不思議の国の話。題がわかりやすいものばかりだが。(いくつか見繕って、籠の中分けられたそれぞれの世界の本の傍らへ置いた)
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榎本・英 2020年12月5日
そうだとも。我々は長くは生きれない。君は長く生きている方かな?(見た目はとても若い。しかし、見たままの年齢とは限らない事は、よくよく知っている。空想世界の物語が置かれた。分ける手を止め、一旦そちらに目を通す。どの本も表紙は凝ったものが多い)どの本も豪華だね。魔法を使う者が多いのも、空想世界の特徴かな。ドラゴンの世界も不思議の国の話も題だけで、心が弾むようだよ。有り難う。
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エスパルダ・メア 2020年12月8日
モノとしてはそうだな、所謂ヤドリガミってやつだ。同じ猟兵なら珍しくもねえだろうが。(猟兵である、と言うのは疑いようもなく確信していた。あらゆる世界に理解を示している故に。本に目が通されるのを見れば、安堵したように軽く笑って)……本好きのお眼鏡に適ったなら何よりだ。魔法もドラゴンも空想世界と言えばってモンなんだろうな。英が書くのはリアルか、それともファンタジーなほうか興味があるな。……ああ、物語じゃあない可能性もあるか。(聞いても?と頁を手繰る動作を見ながら首を傾げて)
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榎本・英 2020年12月10日
嗚呼。そうだね。珍しくはないよ。この店に宿る何か。なのかとも思ったが、どうやら違うようだね。店番ご苦労さま。さて。(笑う吐息を片耳で聞き、次の本へ。先程の本とは似ても似つかない文字の羅列を、深い緋の双眸がなぞる。所々、読めない箇所があるようだ)ミステリー。空想の話でもあり、現実の話でもある。と云うのが正しいかな。桜の世界を舞台に、様々な話を書いているよ。
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エスパルダ・メア 2020年12月11日
この店の、か?それは初めて言われたが、ああ、悪くないな。お疲れ様をありがとさん。店番してるとこうして面白いお客さんに会えたりもするから嫌いじゃねえよ。(言葉のまま楽しげに言えば、話しつつも読み進む様を感心したように見ながら、返った答えに目を瞬かせた)だから所望したのがミステリー以外、って言ったわけか?……何と言うか月並みだが、すごいな、英。空想で現実みのあるものって、そう簡単には書けやしなさそうだが。それにあんた、集中力も相当良いんじゃないか。読みながら話せるってのはオレなんかじゃ到底無理だしな。
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エスパルダ・メア 2020年12月11日
……と、面白いとつい話し過ぎちまうのも悪い店番の癖だ。邪魔して悪かったな。言った通り好きなだけ冷やかしてってくれたら良いし、特に気に入ったのがあれば言ってくれ。あと大概暇してるんで、気が向いたらまた話してくれりゃあ喜ぶぜ。(何て気安く笑って店番の定位置に戻ろうとして。順調に埋まる籠をひとつ足して、ついでに背凭れつきの椅子をひとつ置いた。果たして彼が帰るまで、どれだけ本が積み上げられるか、本棚に並ぶ背表紙も心なしか浮かれたように見えるから不思議なものだ)――ごゆっくりどうぞ、お客さん。
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エスパルダ・メア 2020年12月11日
(〆)
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