🐠おばけたちのその前に
雅楽代・真珠 2020年10月16日
おばけに南瓜、コウモリ。
怪しい電飾に、甘い香り。
一足早くおばけに扮した、
キマイラフューチャーの住民たち。
祭りに浮かれる人々の波間を、游いでいこう。
◇鯨を連れたお前と
◇10/31までに終了
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雅楽代・真珠 2020年10月16日
(この世界はいつも賑やかだけれど、今日はまた一層賑やかだ。執事人形の腕に抱かれたまま『ハロウィン☆マーケット』と書かれたアーチをくぐり、きょとりと視線を動かした。)甘い菓子に、仮装の道具。ぬいぐるみや装飾まで、色々売られているね。月希は、気になる店はある?
霄・月希 2020年10月17日
(機嫌良さそうに、慣れた世界を歩く足取りは軽い。人混みにも関わらず、大抵の人々より目線が上の男は気にした様子もなく、やや先にあった店に目を向けた)んー……あ、俺アレ気になる。水中用のハロウィンアイテムだって。地元が海だからさー、やるならやっぱ水中ハロウィンとか浜辺とかなんだよなァ。
雅楽代・真珠 2020年10月18日
水中用の、(月希の顔を見上げ、視線の先へと顔を向けた。)そうか、月希の故郷では水中もかざるのだね。(生まれも育ちも陸で、はろうぃんというもの自体がない場所で暮らしてきた僕は目を瞬いた。それじゃあそれを見よう、と店へと近付いていく。)水中だと、やはり光源となるものを飾るの?
霄・月希 2020年10月20日
そだよ、うちだとめっちゃ水中も飾ってたなァ。(楽しそうな笑みと共に、店の前のワゴンの中を覗き込む。おばけの形の浮玉に、海底に固定する用の南瓜ランタン。ハロウィンカラーの尾鰭飾り。鳴らすとおばけたちが飛び出して、泳ぐように水中を飛び回る魔法仕掛けのクラッカー。他にもいっぱい)そ、海中だとどうしても光源ないと暗くなるしね。って言っても、折角ハロウィンだからちょっと薄暗い雰囲気は残したいじゃん?バランス考えんの結構大変なんだよな。
雅楽代・真珠 2020年10月20日
(水中用のものは、陸とは違うものばかりのように見える。尾鰭飾りもあるのか、と物珍しげに覗き込み)うん、どうしても空のひかりが届かなくなってしまうものね。海中ならではのはろうぃんになりそうだよね。これなんて、海中専用な感じがする。(そう言って指差すのは、尾鰭飾りだ。『骸骨魚に大変身!』なんて書かれている。魚の骨の形に蛍光塗料の塗られているそれを装着すると、昏いところでは下半身が魚骨に見えるようだ。)
霄・月希 2020年10月20日
まぁね、俺は暗視利くし些細な音でも判断付くから良いけど、そうじゃねぇ奴はやっぱ明かり必須なトコあるよ。(自宅自体はそんなに深い場所ではなかったから、海上と海中両方に、縦長に伸びている造りだったけれど。自分も鰓呼吸じゃないし、完全海中型ではない。示された尾鰭飾りを見ると、悪戯っぽく瞳を細めて)コレね、上半身にも蛍光塗料メイクして遊ぶと良い感じにホラー作れるんだよねー。微妙に肋骨とか腕の骨とかだけ描いて下半身がスケルトン魚になりつつあるゾンビちっくにするのがオススメ。
雅楽代・真珠 2020年10月21日
月希は暗くて大丈夫なのだね。僕はひととともにあるものだから、暗いよりは灯りがあった方がいいな。(お前の言葉に、目をパチリ。どうやら海中はろうぃんではわりかし定番のものなのかもしれない。)詳しいね、月希。もしかして経験者だったりするの?
霄・月希 2020年10月21日
あー、そっか。つい同族目線向けちゃうけど、真珠はヤドリガミだもんなァ。(しみじみと。25歳になっても悪戯好きな子供染みた男の性は、キマイラフューチャーでのびのびすくすくと育ったが故だろう。ふふ、と含むように笑う声も少しだけ楽しげで、ハロウィン前の空気に浮かれているのが分かるかもしれない)あるよー、ミドルスクールくらいの頃に。今となっちゃ俺は尾鰭先まで含めると人型より更にデカくなるから隠れるの向かねぇんだけど、あれ付けて海藻とかで隠しながら深海の岩陰とかに隠れて、誰か来た瞬間に擬態解いて飛び出す、とかしてた奴居た居た。(完全に、出会い頭のトリック強制である)
雅楽代・真珠 2020年10月22日
そうだよ、僕は物だから生者とも少し違うし、魚とも少し違う。(小さく頷き、お前の言葉を聞く。聞き終わり、口を開きかけ、閉じる。けれどまた開いて)――やけに詳しいね、月希。お前自身が大きくて出来なくとも、悪友に薦めたりなんて、悪戯の片棒を担いでいたりしたのではない?(貝や海星が連なる飾りへと指を伸ばし、チャラ、と音を立てた。)
霄・月希 2020年10月25日
周りにヤドリガミって居なかったからちょっと新鮮。(両親の知り合いには居たようだが、自分は猟兵になるまで逢ったことがなかった。おまけに、その相手に親しむ前に相手の誘いを受けて世界移動してしまったので、自分にとって馴染みのあるヤドリガミといえば相手になる。問われると、にんまりと唇が弧を描く。少しだけ人の悪い、それは楽しそうな悪童じみたそれ)なーんのことかなァ。俺はちびの頃から大学卒業まで、ずーっと教職員のウケも良い優等生よ?
雅楽代・真珠 2020年10月25日
お前の居た世界だとそうだろうね。いろんな物事に困らないから、物に対する気持ちも違うだろう。(生まれにくそうだ、と思っている。サムライエンパイアとは文化が違うのだ。)自称優等生はあやしいものだよ、月希。教師や親の前でだけ仮面をかぶるなんて、容易いものでしょう?(けれどそれ以上の追及はしない。そういうことにしておいてあげる、と袖の下で笑った。)
霄・月希 2020年10月25日
そうなんだよなァ、キマイラって結構、こう、享楽的だからあんまひとつの物を大事にし続けるって感じじゃねぇし。(だから、人の“大切”の先にあるヤドリガミという種族は、何だか不思議で、優しいもののような気がしている)えー、完全無欠の生徒会長サマなのにー。(巫山戯た調子でけらけらと笑いながら、カートの中から水中花を幾つか取り出した。川などでは見られることもある、水中に咲く花。それを海でも再現してやんよ、という魔法込みの玩具である。それの、ハロウィン版。つまり、南瓜の花が咲いて蔓が伸びて、最初からジャック・オー・ランタンの顔の付いたお化け南瓜が出来る特別製である)
雅楽代・真珠 2020年10月26日
コンコンで出てきてしまうし、科学技術っていうのかな……あれも進んでいるものね。街中が僕の知らないもので溢れていて、初めて行った時は驚いたものだよ。(進んだ技術で、物は壊れても直すか再生に回すのだろう。ひとつのものを壊れないように大切に愛でたり、大事に大事に使うことがあまり無さそうな世界だ。けれどそんな世界で生まれたヤドリガミがいるのなら、それはとても尊いことなのだろう。)せいとかいちょう……ああ、学生の殿様だね? そう、月希は殿様をしていたの。ならば家来は山程いたのでしょう。(ますます容易だよねと笑い、お前の指先の動きを視線は追っていた。)
霄・月希 2020年10月27日
そうなんだよなァ、雑多で賑やかで極彩色、刹那主義で快楽主義なのがこの世界だからね。って言っても、コツコツした物作りを好む奴も居るし、お気に入りにはそりゃ執着もするし、別に物が大切じゃない訳でもないと言うか。(うーん、と首を傾げつつ、黄色の南瓜の花の形をした水中花を幾つか籠に入れ、お買い上げの準備。あと、何か良さげな尾鰭飾りが欲しい。殿様、家来、と聞くと可笑しそうに笑って)そーね、俺結構要領良かったから先生たちにも親御さんたちにもウケ良かったし、優等生たちにも不良たちにも友達いっぱい居るし。学校全体でゲリラハロウィンとか結構楽しかったよ。(多分、今やってもめっちゃ笑える)
雅楽代・真珠 2020年10月30日
うん、解っているよ。月希。愛し方は人それぞれだ。(刹那的なものもいれば、一途なものもいる。命も物も、向ける感情は人それぞれだろう。お前の手元を覗き込みながら、僕も水中で灯る花を選ぶ。僕の住まう世界に電気はないから、電池で動くものだ。)げりら。(聞き慣れない言葉を鸚鵡返しに口にして、少し考える。げりら豪雨という物をUDCで聞いた。夕立のことらしい。ならば、)突発的、ということ? お前は人を楽しませたり、驚かせたりするのが好きなのかな。
霄・月希 2020年10月31日
ん、それなら何より。(飽きっぽくて好き嫌いが激しくて自由気ままな故郷のことを、愛され慈しまれた物から生まれた彼がそう思ってくれるなら。骨魚の飾りや蝙蝠蛸の飾りがついた尾鰭飾りを籠に入れ)そ、最高学年の生徒と一部の先生にだけ通達してこっそり用意して、後輩向けの突発的ハロウィンやったの。楽しんでくれたら嬉しいし、驚かせるのは俺が面白いじゃん?だから、今年も当日楽しみだなァ。
雅楽代・真珠 2020年10月31日
(月希が口にすることは僕の知らないことばかり。世界も、育った環境も、全てが違うのだなぁと思わせてくれる。それがまた、楽しくて知りたくなってしまう。ふぅんと気のない声をこぼしてしまう僕だけれど、お前の言葉をしっかりと拾っていた。)ああ、先達と先生に告げているのならば大丈夫そうだね。お前は、あれだ。えんたぁていなぁって言うのみたいだね。人へと心を分け与えられることは、良いことだよ。
雅楽代・真珠 2020年10月31日
(珍かな飾りの上を彷徨う指先は、自由に。溢れる言の葉も、自由に。会話を楽しみながら、僕たちは買い物を楽しんだ。)
雅楽代・真珠 2020年10月31日
(おしまい)(たのしいひとときをありがとう)