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任務記録第3号

ミューズ・シルバーピース 2020年8月25日


参加メンバ
ミューズ・シルバーピース
UDC所属諜報員




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ミューズ・シルバーピース 2020年8月25日
電子音が鳴り響く。
ジリリン、と空間に音の振動が駆け巡る。
現在時刻はAM8:00。
そして電子音が鳴り響いているこの場所は薄暗い。カーテンで朝の光を遮って、照明も付いていない。

それは2回。3回。まだ続く、鳴り響く。
何人に疎まれるであろうこの電子音は、6回ほど鳴ったところでようやく止まった。
それに少し遅れて、暗闇がもぞり、と動いたと思うと電子音の発信源を掴む手。
発信源─スマートフォンを掴むと、逆の手で画面に触れ、そこに映る文字を確認した。
ブルーライトで照らされた顔は愛らしさのある少女の顔で、瞼を少しだけ開けていた。
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ミューズ・シルバーピース 2020年8月27日
「───うぅん…」

覚醒しきってない脳みそを働かせて、記憶の海に潜る。
こんな早い時間にアラームが鳴ったということはなにか用事があるはずだ、と。
だが。

「………」

ポスン、とまた枕に突っ伏す。
開きかけていた瞼を閉じ、就寝態勢に入る。無理に起こされたと思ってる、起きかけの身体が二度寝を求めていたのだ。
そうしてまた眠りにつくために集中を始める。
視界がふわりふわりと広がっていく。
そしてそれに伴い意識が頭から抜けていき──
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ミューズ・シルバーピース 2020年8月27日
「………いや、そうだった。
呼ばれてるんだったっけ…」

ゆっくりと上体を起こした。飛んで行った意識が徐々に頭の中に戻り、覚醒していく。
理性が記憶というスケジュール表に書かれた予定をなんとさ見つけ出したのだ。

「────ハァ…おきよ…」

その予定が自分のやるべき役割であることは重々承知しているが、もっと寝ていたい欲望とはまた別のことである。

そうした気持ちを抱えながら、ベッドからもぞもぞと起き上がり、目を覚ますため部屋のカーテンを開けた。

そして彼女と部屋に陽光が差し込む。
体内時計を起動させる、始まりの光ただ。
そして暗闇を照らす、輝きの光である。
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ミューズ・シルバーピース 2020年8月27日
まだ日光の眩しさに適応できず半目状態の瞳に写るのは、
コンクリートで出来た建造群。
あたりを行き交う民衆に、車。
そう、ここはUDCアース。
そのとある都市部に建つマンションの一室。

そして窓の外をぼんやりと眺める少女の名はミューズ・シルバーピース。
あらゆる異形を狩る戦士であり、
また世界を守る兵士──
つまり、猟兵なのだ。
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ミューズ・シルバーピース 2020年8月30日
そして猟兵であるということは世界から使命を承ることになる。

「めんどうだけど…お仕事、だもんね」

諦めたように溜息をつき、のそのそと支度する彼女が発したお仕事こそがその使命である。
それは決して物品を売ったり買ったり作ったりするような一般的なものではなく、極一部の人々しか知らない危険のものとなる。

「よしっと……」

ホットパンツにキャミソール、その上からパーカーを着た適当な服装に着替えたのち、軽く気合を入れて部屋を出た。

「今回のオブリビオン、簡単なやつだといいな…」

"オブリビオン"
その存在の討伐こそが猟兵が担う、極一部の人々しか知らない危険な役割である。
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