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【1:1】黒き招きの先は

揺・かくり 2020年8月6日



彼方此方で黒の遣いが鳴いている
其れはまるで、迷宮の奥へと誘うかの様だ

焼け野原から先の風色は未開の地である
さて、何方へと往こうか?
彷徨う瞳を向けたなら、眼前には黒の鳥

――ばさり。
一枚の羽根を残して、羽ばたいた


◇ ◇ ◇

りゅうことかくり




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揺・かくり 2020年8月19日
馴染んでいない……と云うのならば、君は他所の世に居る事が多いのだろうか。(同じ妖の類でも、幽世とは異なる現世の空気に馴染む者も居るだろう。一つの問い掛けを重ねた) 私は、そうだね。穏やかな場所が好ましいよ。賑やかな場所を嫌う訳では無いがね。……ああ、そう。祭りの類は、好きだよ。
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片稲禾・りゅうこ 2020年8月22日
馴染み深いのは日本……あ~こっちだと……なんだっけ?まあいいか。そこなんだけど、残念ながら住めなくなっちゃったからね。だから割と最近めにこっちに来たの。(そういう意味の『馴染んでない』だよん。と特に世間話でもするようにさらり。同時に、色んなところも行きたいけどねえと零した)お、正解?やりい。りゅうこさんヒトを見る天才かもしれないな。(いやそもそもかくりはヒトじゃあないか。と一人で勝手に盛り上がってから、はた)あれっそっちは意外。祭り?りゅうこさんも大好きだぜ~!良いよね祭り!どんどんと太鼓を叩いてさ。花火をばばーんと打ち上げてさ。(いちいち動きの大きいジェスチャーを挟みながらテンション高く。やっぱり勝手に盛り上がるのだった)
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揺・かくり 2020年8月23日
ニホン……ああ、耳に入れた事が有るよ。幽世の地とは違う世界に、其の様な場所が在るのだと。(君が零した住めなくなったと云う言葉を転がし。続く語りには成程、と唇が象った) 一度訪れたきりだがね。あの賑わいは、何故かとても好ましいものだったよ (理由は分からないが、と言葉を足して) ああ、そうだね。太鼓の音も瞬く様な花火も良いものだ。……君は、祭りが良く似合うね。(仄かな笑みを刷く。かあ、かあ。黒き遣いの呼び声が耳に届いた) 此の道は、何処へと繋がるのだろうね。祭りの様な場所に往けるとは思えないが
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片稲禾・りゅうこ 2020年8月25日
え?来たことあるの?なら話が早いなあ!ヒトの子は楽しいことも美味いものもたくさん作るもんだから飽きなくていいんだよなあ。我超好き。わからないなら今度行ってみようか?(そんで理由がわかんなくても楽しめれば万事良し!と両腕を上げて微笑んだ)
あらまりゅうこさん褒められっぱなし?お礼に美味いものでも奢ってあげよう。この先にあれば都合が良いんだけど………(う〜〜ん、こりゃ期待出来ないかも)(焼け野原に残る命を燃やした枯れ木たち。その上から見下ろしてくる烏に目を細めて)
なあそこの黒いの。美味い飯屋とかあるかだけでも教え………てくれないかあ。冷たいなあ。(かあと一鳴き。おおよそ案内するような飛び去り方ではなかった)
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揺・かくり 2020年8月26日
喫茶店と云っただろうか。其の空間で食した甘味が美味だったよ。我々の世界にある菓子の様に語らわない事には驚愕したが、色に溢れた一品だった。君が好む理由も、少々理解出来る気がするよ。(季節の花を模したと云う甘味を脳裏に浮かべた。寄せられた提案にはぎこちなく首傾ぐ) ……おや、君から誘いを頂けるとは。ああ、良いね。君と巡るのならば、退屈なぞしないのだろう。
(既に生命を終えた枯れ木を仰ぐと、点、点と留まる黒鳥たちが見下ろしている。羽を休めると云うよりかは、此方の行動を監視する様だ。君の問い掛けを往なす如く飛び去った黒を見届けて) 其の気は無い、と云う事だろうか。ならば、私と君を先導するあの一羽は気紛れな様だね。向かう先に何かが在るとは限らないが……向かおうか。
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片稲禾・りゅうこ 2020年8月30日
お、良いよねえ喫茶ってやつは…………(はて)……語らわない……?菓子が喋る?どゆこと??(大袈裟とも思えるほどに首を傾げて)
まあ〜〜りゅうこさん知らない土地をふらふら〜っとするのは好きだし慣れてるかんね。着いた先でいつも考えてるし。
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揺・かくり 2020年8月31日
ああ、君は幽世に馴染みが無いのだったね。 (大きく傾げた首。君の長髪が其方へと流れていった) 此の世界の菓子はよく喋る。勿論、個体差は有るがね。君の好きな菓子は何だい。(焼け野原を去り、枯れた木々を過ぎて往く。拓けた場所に何かを捉えた様な気がして、くすんだ金を細めて見据える) 成程、ならば到着した地にて考える事としよう。……彼方に見えるのは、広場なのだろうか。遊具の様な物も見えるね。
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月3日
そりゃあ本当か!!??うっはははは!!!是非見たいものだなあ!!!!(声を大にして高らかに。いやあこの世もなかなか面白い!)りゅうこさんはなあ、なんでも好きだぞ~。饅頭に羊羹に餅にどら焼きに煎餅に……うん、なんでも好きだ。(指折り数えた指をパッと開いて、にこり)お、ありゃあ公園じゃないか?滑り台とかあるぞ!かくりは好きか?公園!遊んだことあるか?(聞いておいて足早に。どうやら随分とうれしいようで)
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揺・かくり 2020年9月4日
好きな物が多いのならば、商店街を歩めば何かしらと出会える事だろう。此の探索を無事に終えた後に、案内をしても良いよ。(迷わず辿り着けたのならば、と言足した。指折りの後に開かれた君の手には、数多の菓子が握られるに違いない) 私には覚えの無い場所だが……成程。あれが公園と云う場所なのだね。(足早に先を往く君の背後を游ぐ。寂れた遊具達が、至る所に存在していた) 君の好きな遊具はどれだい?
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月9日
お、本当?いいねぇいいねぇまだ探検が終わらぬ内に次の話だなんて贅沢だ。こりゃ絶対辿り着かなきゃな。
あらそう?こっちにはないのかな公園……ってまぁそうかヒトの子の遊び場だからな。小さいヒトの子がたっくさん砂場で遊んでたりするんだよな〜〜!あと飛べないのにブランコで高〜いとこから跳んだりな!(いつも賑やかで愉快な場所だったと語りながら登るのは滑り台。大きな象を模したもの。大して高くもない天辺から、かくりに声をかける)全部好きだが見ての通り!我はここからの眺めが好きだ!かくりといえどもこの高さまでは来ないだろう?試しにどうだ?(それとも実は結構慣れっこ?)
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揺・かくり 2020年9月10日
ああ。私は此の世を彷徨い続けているが、初めて目に入れたよ。君の親しむ世界には、此の様な場所が数多に存在するのだね。(滑り台と呼ばれる遊具へと駆けて往く君を見送った。見下ろし続けていた君の姿が上方へと移動をする) ……おや、随分と高くまで往くのだね。其の場所から眺む景色は如何かな。(君の提案を耳にして、口元に僅かな笑みを刷いた) 常ならば、其の様な高さ迄は往かないが……浮上をする事は可能だよ。(ふよりと宙を游ぎながら高度を上げる。間も無くして君の高さまで辿り着く事だろう) ……ほら、此の通りさ。
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月15日
(ゆっくりと浮く様を眺めて、目線が合えば)おお、すごいなあかくり。下手したら雲より高く浮けるんじゃないか?(それこそ天高く昇る竜のように!と腕を上へ動かしたかと思えば、周りを眺めるための屋根にして)う~~~んやっぱりどこでもここからの景色は良いもんだなあ。せっかく見るならヒトの子の一人や二人も見たかったもんだが………(ま、こんな場所じゃなあと肩を竦めて、かくりへと視線を戻した)……というか、浮けるのにあんまり高いところ行かないんだなあ、かくり。我、高いところ大好きだから浮けるならもうすぐ高いとこ行っちゃうんだけど。疲れるとかあるの?
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揺・かくり 2020年9月18日
雲より上へと昇るのは、如何だろうね。天に生ける者と相見えるのなら、考えてみない事も無いよ。(君が表す竜の様にね、と君の動作を見遣りながら言葉を続けて) ああ。滅多に此の高さまでは昇らないが、常とは異なる景色が見られそうだ。(茶の瞳が此方へと向く。君の言葉に瞬いた後に、僅かに思案した) 疲労する……と云い表すのなら、身動きが取れなくなる。の方が正しいだろうか。私は屍人の身故に元より儘ならないのだが、より不自由となるのさ。……君が念力を扱えたのならば、視認が出来ない所へまで昇って往きそうだね。(自在に宙を駆ける君を思い描いて)
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月23日
うっはっは!天に生ける者か!今目の前にいるじゃあないか!これでもりゅうこさん竜神だぜ?……とはいえ、今はただのヒトの子と大差ないがな。(見ての通り!角も尻尾もありゃしない!)(腕を大きく広げて、どこにも竜神であることを示すものがないことを露わに)
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月23日
(ぴたり)え?かくりその身体死んでるの?通りで顔色悪いと思ったなあ。(ははあ、なるほどなるほど。改めて見ると……)(などと言いながらじろじろと無遠慮に上から下までじっくり眺めて)……お、そういう感じなのね。それは大変だなあ。うはは、りゅうこさんはそれはもう駆けるように天を飛んだもんだ。念力と呼ぶものかはわからないけど、この姿でも飛べたんだぜ。
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揺・かくり 2020年9月24日
――、驚いた。りゅうこ、君は竜神の一柱なのかい。(濁った金が瞠目を曝す。地上から高く昇った場所に漂いながら、君の振る舞いを見届けた) ああ、真だね。君の言葉を聞き届けていないのならば、只の人間の様に見える。(何処へでも駆けて往けそうな雰囲気は有るが、と言葉を添えた)
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揺・かくり 2020年9月24日
ああ、見ての通り屍人の者だよ。(伝え損ねたと告げながら、何ら疑問なく其の視線を受け止める) 此の姿でも飛べた、か。……君は、天を駆けて往く能を無くしてしまったのかい。
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月30日
お、なんだそんな顔もするんだなかくり。可愛いじゃないか。(にやけるように笑って、滑り台に座って)そうだなあ。このぐらいの高さなんて普通だったんだが──(さぁと乾いたような擦り切れるような音を立てて滑る。一番下、平行線になった坂を蹴り飛ばすように跳ぶ。力強く、軽やかに)
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月30日
──うん、やっぱりこの程度だなあ。(跳ぶ勢いとは裏腹に、情けなくすとんと地面に落ちる様は、お世辞にも竜とは呼べぬ代物で)(けれど、その背には哀愁も寂寥もなく。ただただ"そういうものだ"という諦観が声音に乗っていた)
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片稲禾・りゅうこ 2020年9月30日
(振り向いた顔は、先ほどと変わらない)
かくりは念力以外の……なんて言えばいいんだ?ヒトの体としての力?はあるの?そもそも力を抜いたらこう、ばたーん!と倒れちゃうのかな。(今のりゅうこさんみたいに跳ねるのは無理?)
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揺・かくり 2020年10月2日
(急斜面を滑って往く後姿、其の脚が坂を蹴り飛ばして跳ね上がる。軽やかな君の身が地に落ち着くまでの一部始終を、濁った金が捉えていた) ……… (君から零れ落ちたもの。諦念の情が篭る言ノ葉を聞き届け、沈黙を保ったまま瞳を伏せる。ふより、滑り降りた君の元へと、宙に浮かぶ高度を下げていった)
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揺・かくり 2020年10月2日
(暗く閉ざした目蓋を持ち上げると、振り向いた君と視線が交わった。くすむ双眸を細めて、君の瞳を見据える) 私の身は、死後の躯に魂を嵌め込んだもの。念力と呪符を無くしてしまえば、動く事すらも儘ならないだろうね。(硬直した片腕を動かす様に力を込める。年頃の乙女の滑らかさなどは無く、時計の針が時間を刻む様な、小刻みで拙劣な動きだ) ……御覧、此の通りさ。
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片稲禾・りゅうこ 2020年10月10日
せっかくだから滑ってくれば良かったのに……りゅうこさん受け止めるし………(などと呑気に思っていた)(声に出ている)
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片稲禾・りゅうこ 2020年10月10日
呪符ってその(かくりの頭の少し上、指を差して)お札?……というかずっと気になってたけどそれ誰に貼られたんだ?その身体になってから?(近づいて彼女より幾分か低い視点からじいと無遠慮にその肢体と動作を眺めて)……かくりが自分からそうなったって感じはしない気がするんだよね。なんとなくだけどさ。
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揺・かくり 2020年10月13日
(其の方法も有ったのだと瞬いて、一筋の風と共に全てを流す事とした) …………、(急斜面を辿った先の頂点へと、一度きりの視線を寄越す)
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揺・かくり 2020年10月13日
(濁った金を元の位置へと戻す最中で、君の視線と交わった気がした。くすむ視界を狭めて焦点を合わせる。寄せられた問い掛けには、屍人故のぎこちない首肯を刻んだ) 目を覚ます以前のモノは、残念ながら落としてしまって居るのさ。……此の身に成り果てたのは、少なくとも私たちの意思では無いよ。(ぎ、ぎ、と錆びた人形の様に、拙劣な動作にて左腕を伸ばす。袖の奥に隠れていた蒼白い手指が露わとなった)
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片稲禾・りゅうこ 2020年10月20日
あら、りゅうこさんったら名探偵?(得意げにふふ、と鼻を鳴らして)ふうん……目覚めてからどう?この世は愉しい?(触れたら壊れてしまいそうな、衰えた竜神の力でさえ握れば容易く折れるであろう彼女の指に、躊躇いなく手を伸ばす。もちろん、触れたのなら人並み以下に加減は抑えて)
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片稲禾・りゅうこ 2020年10月20日
────私"たち"?かくり、兄弟でもいるのか?(頭の片隅に引っかかった疑問を呈しながら、)
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揺・かくり 2020年10月23日
(一度死した身とは云え、表在感覚の全てを喪った訳では無い。触れた手から伝う温度はひどく曖昧で、不可思議な心地が胸裡へと滲んだ。拙劣な指先は小刻む様に折れ曲がってゆく。血の通う人型をした、君の甲へと触れるだろう) ……愉しい、と。感じて居るのだろう。己と似通う質を持つ同胞や、数多の者達とも知り合えたさ。(――けれど。と、零し掛けた口を噤む。以降に続くものを言い表す術など、持ち合わせてはいなかったのだ)
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揺・かくり 2020年10月23日
(反芻された言葉に肯を示す代わりに、濁った金を伏せた。目蓋の裏側には遥か彼方までも繋がる様な闇が見えている) 血を分かつ者が存在するのか否か、其れは知り得ない。――私が嵌って居る、器。此の躯の本来の主が、“私”とはたがう核として存在をするのさ。(生前の命を生きた人物が、己自身と言い切れない。浮かべた疑問を弾き壊しながら、降ろした目蓋を持ち上げた。くすんだ金の双眸が、眼前の君へと向かうだろう)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月1日
そりゃあ良かった。まあこれで愉しくないって言われたら我困っちゃうんだけどな!(からからと笑いながら拙いながら触れ合ってくれた彼女の手をそっと撫でる)……(ああそう、これは死んだ者の手だ。けれど、まだ動く意思がある。それが嬉しくて)今度その同胞……まあ要するにトモダチだろ?そっちさんも混ぜて遊びたいなあ。(遊ぶ内容とか予定とか、そういったものは抜きにして、ただただ素直に。笑んだ)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月1日
核と器かあ……難しいな。りゅうこさんはほら、今目の前のかくりしか知らないわけじゃない?肌が白くて、髪は灰色で。それによく映える──その眼。…それに意外とおしゃべりさんで、表情も豊かさん。(ぱちんと目が合えば、目尻を下げて)せっかくこうして仲良くなったのに、居なくなっちゃうのは寂しいじゃん。(ねえ──)(本来の主がいるのなら、何時かも知らぬ──あるかもわからぬ彼女との別れを思って。今度はこちらが目を伏せるように自身の柔らかい指先で撫でる冷たく細い彼女の指を見遣る)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月1日
(──ふと、その薬指。黒い指輪に触れた)(はて、これは確かヒトの世だと大事な意味があったような……)
……なあかくり。これも目覚めてからずっとか?
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揺・かくり 2020年11月3日
――ふ。惑う君の姿も、其れは其れで興味深くは有るのだがね。(軽快に笑む君の声音は、何故だか心地好いと感じる様で在った。己よりも温度を宿す指の腹が、繊細な手つきで撫ぜて往く。微かな温度が滲んだ) トモダチ……そうか、トモダチと云うのだね。君を混じえて語らう機会を得られたのならば、喜ばしい事だよ。(幽世の地の何処かにて、巡り逢う事が出来たのならば。此度は無意識などではなく、己の意思にて浮かび上がらせていた)
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揺・かくり 2020年11月3日
(濁りくすんだ金が、微かな揺らぎをみせた。ゆらり、ゆらり。定まらぬ水面に、眼前の輪郭を捉えて映す。君の語らう言葉に乗せられた温度が、とうに終わりを迎えた胸裡へと沈み込むかの様だ) ……、……寂しいと。そう、感じて呉れるのだね。――ねえ、りゅうこ。私は、此処に存在をして居るかい?君の瞳に映る私は、存在をして居ても良いのだろうか。(途切れ途切れの言葉からは、常と同じ抑揚の無さは失せていた。何故だか震える声音の儘に、己を語らって呉れた君へと問う。茫とした視界では、然と捉う事が出来ずとも。真っ直ぐな君の瞳の場所を見据えていた)
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揺・かくり 2020年11月3日
(定まらぬ視界の中でも、“其れ”が放つ感情の色を避ける事などは出来なかった。どす黒く塗り潰されたもの――空の器を埋める呪詛が、止めどなく零れ落ちて往く) ……ああ、ずっと。此の地にて目が覚めてから――いいえ、わたしが死す間際にも、指に嵌っていたもの。それが、(これ、と。ぎこちない指が示してゆく。呪詛のいろは留まる事を知らない) わたしには、契りを結んだ誰かがいたのかもしれないね。(朧な其の輪郭は、別離の海へと解けて消えた。手掛かりなど欠片も無く、此の裡を埋めるのは呪いの言霊のみ)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月7日
(彼女のそれが呪いの類であって、彼女にとって厭なモノであるならば。それ以上は、止した方がいい。そう思って)
(彼女の左手を挟むように、包み込むように握った)(己が普段、"良くないもの"を隠しているように)
──────そっか。

(答えは以上も以下もなく、それだけだった。何を考えたとて、それは浅はかな行動でしかない。楽観はすれど、無鉄砲はしない)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月7日
(彼女に見せるのは、温かな微笑みであった)うん、大丈夫だよかくり。かくりは此処に、ちゃあんと居るさ。それにそんなこと、神様にだって決められないよ。悪も善も等しく存在するものなんだから。(子でもあやすかのように挟んだ手を撫でて)それでも不安なら、そうだなあ────(柔らかい声音を発して目を閉じる。数瞬置いて目を開いた。彼女の揺蕩うような瞳の奥を射抜くように、しっかりと伝わるように)りゅうこさんが赦すよ。たとえこの世が駄目と言っても、りゅうこさんが良いって言う。たとえこの世が夢うつつだったとしても、夢から醒めたら、かくりが眠っている場所を探し当ててみせるとも。(だから、彼女と縁を結ぼう。安心出来るように、何処かへ消えてしまわないように)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月7日
(────それこそ、そうだ。)
かくり、我と、"トモダチ"になってくれ。
(屈託も、臆面もなく、彼女の冷たい手の平を強く握りしめて)
(名をつけることは、縛りであり。呪いであり。だがそして何よりも、祝いであるから)(だから、花が咲くように、笑うのだ)
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揺・かくり 2020年11月9日
(己よりも熱を持つ掌が左の手を包み込む。既に終わりを得て硬直をした指の先から温度が滲んだ) (首肯を一つ。其れ以上の問い掛けも同調も、君は重ねる事をしなかった。触れた熱も、次いで告げられた言葉たちも、或る種の救いで有ったのかもしれない) ──ああ、 (揺すれてゆく。己の瞳が、生命を終えた胸の裡が。溢れ落ちる雫の名を、己は識って居る。此れは、) ありがとう、りゅうこ。……そうだね、此の時間が夢うつつならば。わたしを……“私”を、見附けておくれ。軽快に駆けて来る君の姿を、待ち望んで居るよ。(諦観をし続けた己が、一つを望む。屹度、君は赦して呉れるのだろう。微かに緩む瞳を向けて、わらった)
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揺・かくり 2020年11月9日
(時を刻む針の様にぎこちのない指が、温かな指へと絡む。花咲く笑みを注ぐ君へと、己が持てる限りの表情を贈る。拙劣ながらも確実に、一つの首肯を刻んだ) ──ああ。ああ、勿論だとも。私と、トモダチになっておくれ。(冷ややかな指先は、君から温度を奪って仕舞うだろうか) 君が好む場所を……幽世とはたがう世を、眺めてみたいな。
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月13日
──(少しの間、瞬いて)はは、なんだかくり、(仕様がない子だと、くしゃりと顔を歪ませた)立派に今を生きてるじゃあないか。(その証が地に落ちてしまう前に、掬い取るように撫でてやろうと手を伸ばして)
任せておけ、たっくさん土産話を持って行ってやるとも。早ければ尚良し。さりとて遅かったとしても、楽しみが多くて良いだろう?
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月13日
(不安はなかった。きっと彼女は優しいから、そうした答えが返ってくることを信じ切っての提案。それでもやはり、自分の想いに応えて貰えるのは嬉しくて)───うん、ありがとうかくり。(じんわりと胸の奥から込み上がる熱は、留まるところを知らない。ああ全く、嬉しくて仕方がない!)これで晴れて我らはトモダチだ!嬉しいなあかくり!(お天道様の木漏れ日のような輝きと温度。錯覚であったとしても、表情から伝わる感情。手の平から伝わる熱は、まさに)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月13日
そうだなあ。今すぐにとは言えないけど、必ず。いつか、連れて行ってやるとも。(これは約束だ、と小指を差し出して)その代わり、こっちでたくさん遊ぼう。たくさん遊んで、たくさん思い出を作ろうぜ。そうすれば、一個ぐらいは覚えてるかもしれないだろ?(何の根拠もなく。理論も理屈もへったくれもなく。それでも、そうであると信じることを疑わない。たとえ愚かであっても、それで良い方に転がるかもしれないのなら。それで良いじゃないか、と)
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揺・かくり 2020年11月15日
(此方へと伸びた手を受け入れたなら、零れ落ちる其れが掬われてゆく。地に落つ筈の一雫は、君の指先を濡らすのだろう) ……そうかい? (元より霞む視界に揺らぎが生じ、君の表情を見映す事が叶わずとも。仄かに眦を緩めて、) 早かれ、遅かれ。再度の縁が叶うのならば、其れだけで喜ばしい事なのだよ。……けれども、ああ。君の土産話は、真に愉快なのだろうね。
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揺・かくり 2020年11月15日
(止まった儘の裡に滲む熱を、知らない振りをするのは終いだ。初めて受け入れた其の想いは、言の葉などでは表せない) 礼を告げるのは私も同じなのだよ。──有難う、りゅうこ。(君の表情が見えずとも、喜色が滲む声音は届いている。トモダチ、と君の言葉の上へと重ねた) (差し出された小指の輪郭を、茫とした視界の内に捉える。示された指が表すもの。其れが結ばれた先に繋がるものを、己は識って居た。みとめた指の輪郭へと、ぎこちない小指を近付けて) ……ああ、そうだね。次こそは、滑り台とやらを滑ってみようか。此の公園の更なる先にも、何かが見つかると良いね。(触れていない遊具は幾つも存在する。此処へと導いた黒烏は、鞦韆の上で羽を休めていた)
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片稲禾・りゅうこ 2020年11月15日
(指切りげんまん、嘘ついたら──)まあ、嘘とかつかないから適当に……指切った!(パッと軽快に結びを解いて)お、いいねえかくり。もしぴゅーっと飛んでってもりゅうこさんが受け止めるから安心してくれ!(ふふん、と胸を張った)さあかくり、次へ行こう!次を見つけたらまたさらに次だ!(ぱしりと手を繋いで、先へ行く気満々)今日はトモダチ記念日だ!まだまだたくさん遊ぼうぜ!
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揺・かくり 2020年11月16日
……ふ、指切った。(揺ら揺らと寄せる波の様に約を結んで、名残などを感じさせぬ軽快さで解けてゆく。気丈な君を見映し、宜しく頼むよ、と告げた) ああ、先へと往こう。次を……其のまた次を。見附に往こうか。(繋いだ手は相も変わらずぎこちなさを帯びている。身へと滲む温度を受け止めながら、君の歩みに合わせて宙を游いだ) (歩み、游ぐ先に待ち受けるものは──)
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揺・かくり 2020年11月16日
(其の先の光景は、竜神の君と屍人のみぞが知る)
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揺・かくり 2020年11月16日
終幕
(尊き一時に厚謝を)
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