【RP】おようふくをかいに
佐々・夕辺 2020年8月3日
可愛いお洋服が欲しい。
其れは初めての欲求だった。
可愛いお洋服を着て、可愛いねって言われたい。
女の子として当然の欲求を自覚した、20の夏。
でも、狐にはUDCアースというものが判らない。
どんなものをオシャレと呼んで、どんなものをカワイイと呼ぶの?
どんなお洋服が似合って、どんなお洋服はNGなの?
だから狐は知り得る限りの友人の中で、最もカワイイを知っていそうな人物を呼ぶ。
場所は大きなショッピングモール。お洋服がいっぱいありそうな処。
呼ばれたのは、靴を履けないシンデレラ。
のんびりRPスレ
【発言可】
佐々・夕辺
アンリエット・トレーズ
2
佐々・夕辺 2020年8月3日
(――というわけで、ショッピングモールのグランドゲート前。道行く人から奇異の目で見られながらも、しゃんと立って相手を待つ狐が一人。UDCアースという場所では、この振袖に袴といういでたちは珍しいらしい。そんなのはよく知っている。其の奇異の目を振り払うためにいま、此処にいるのだ)
……。というか。
ここで合ってたかしら。
(一番大きいゲートに来て、とお誘いをかけたのは数日前。本当は中にありそうな目印にしてもよかったのだけど、何分誘った自分が何も知らない。だから、一番大きいゲートで待ち合わせをしている。そわそわ、尻尾が揺れていた)
アンリエット・トレーズ 2020年8月6日
(かつり、かつり。足音は道行く女性のヒールによく似て紛れている。だからおそらく、“人”から見れば娘はそのように見えるのだろうと思われた。漣波のような買い物客の中、頭上に垂れた耳を揺らし、やや距離のあるところで)
(ぴょん)
(跳ねたのは彼女に見えただろうか。何故跳ねたかといえば彼女を見つけたからなのだけれども。そうして、跳ねたからと言って足早になるでもなく、当初のままの歩調で、娘は彼女の前まで悠々と歩み寄る)
こんにちは、ゆうべ。……アンリエット、遅刻はしていませんか?
(挨拶ひとつ。それから首を傾ぎ、設置された時計がないかと視線を上げた)
佐々・夕辺 2020年8月7日
(ぼんやりと人波を眺め、奇異の目にぎろりと睨んで返すのにも慣れて来たころ。不意にぴょん、と跳ねた姿が見えた。はて、誰だろう。視線をよこすと、目当ての人である。垂れた耳に獣の足、ヒールめいた音を立ててこちらへ歩み寄ってくる様は何処か儚げで、触れれば割れるか折れるかしてしまいそうな少女だった)
アンリエットさん! …こんにちは。
ええ、遅刻は…
(時計は建物の外側にはないようだ。ええと、と着物を探る。こういう時の為に買った真鍮製の懐中時計を取り出し、時間を確認する。きっかり5分前を差していた)
大丈夫よ。来てくれてありがとう、…突然誘ってごめんなさいね。
私、お洋服というものにはとんと疎くて。貴方の力が必要なの。
アンリエット・トレーズ 2020年8月9日
(互いの容姿はたいへん便利なものだった。このUDCアースにおいて、犬の耳をした者はたいへん少ないし、狐の耳と尻尾のある者もたいへん少ない。そこに立っているだけで目印になるからありがたいことだ。ちょっとした距離があっても、よく見えたから)
(娘は、おや、と言い、彼女の手元を覗き込む。珍しいものを――実際娘にとっては物珍しかった――見るような仕草で懐中時計を注視してから)
遅刻をせずすんだなら良かったです。ゆうべはちゃんと時計を持っていてえらいですね。
アンリエットはお買い物が大好きですから、大丈夫ですよ。可愛いものや美味しいものを見に行くのだったら、いつでも呼んでください。
(ご機嫌に垂れた耳を揺らし、胸を張った。判りづらいが、これは多分ドヤ顔というやつである。多分。そうして)
とりあえず、中に入りましょうか。お洋服のお店が何階に固まっているのか、確認しましょう。
佐々・夕辺 2020年8月12日
あら、時計が珍しい?(少し違うかもしれない。この時計がこの世界での標準的な時計ではないことくらいは心得ている。其れを理解したうえで、少しだけ揶揄うような声音)お宿では決まった時間に起きて、決まった時間に朝食を届けなきゃいけないから。時計がないととても不便なのよね。でも、時計があると時間に縛られている気がして。
ああ、なら良かった。ええ、今日は可愛いものを見て欲しいの。其れを見て終わったら、美味しいものも見てみたいわ。私、こういうところは何分初めてで…宜しくお願いします。
(ぺこ、と軽く頭を下げた。あくまで軽く、だ。余り仰々しくてはいけないし、衆目を集めたくもない)
そうね。じゃあ行きましょう。…お洋服のお店って、固まってるの?
(歩き出す。自動で開くドアを抜ければほら、万色の彩が私たちを出迎える。2階は吹き抜けで、此処からでもどのような店か視認できる。)
アンリエット・トレーズ 2020年8月14日
(娘はあっさりと肯いた)アンリエットは時計を持っていませんので……おしゃれなものがあるのは知っていますが、それも、ええと……かいちゅうどけい、と言うのでしたっけ。素敵ですね。……ああ、開かなければ文字盤が見えませんから、腕時計よりは『縛られている』感じがしませんか?(興味津々の様子。時計や時間にはあまり頓着しないが、おしゃれは好きなので。耳の先を揺らし)
可愛いものに、美味しいもの。それはそれは、アンリエットを呼んで大正解でしたね。えらいですよ、ゆうべ。任せてください。
(悠々と再度首肯し、彼女を先導するように歩いた。とはいえ、足を踏み入れた広い広いホールを見て「おお」と声を漏らしたのだけれども)
アンリエット・トレーズ 2020年8月14日
――大概、お洋服のあるお店は何階かに固まっています。たまにちらほらとはぐれているお店もあるのですが……一階に、見取り図、のようなものが……あ、ありました。ありましたよゆうべ。
(どことなく嬉しそうな足取りでぴょこぴょこと。歩み寄る先は柱だけれど、見つけたのはそこに掲示されたフロアガイドだ)
佐々・夕辺 2020年8月19日
あら、アンリエットさんなら可愛い時計とかいっぱい持ってると思ってたわ。ええ。腕時計にしようかとも思ったのだけど、ほら。私、女中をやっているから。腕時計だと外さなきゃいけないじゃない? ――ああ。其処までは考えた事がなかったわね。確かに、文字盤を確認するまでは余り時間に縛られている感じはしないわね。(ふむ、と思案。思いもよらない視点という意味で、相手の頼もしさを垣間見た気がした)
えらい? 本当? ふふ、嬉しいわ。アンリエットさんは此処(UDC)の出身らしいし、絶対心強いと思っていたの。世界によって可愛いの基準は違うから。……人が多いわね。はぐれないようにね。
(幸い、自分は狐耳がピンと立っているので、目印にはなるだろう)
佐々・夕辺 2020年8月19日
そうなのね。お洋服を買うならまとめて買っていきなさい、というお店の采配なのかしら。あ、これが見取り図?(己も柱に歩み寄る。フロアガイドの右端、並べられている名前は飲食店が多い。2Fと記された区画には、…なんだこれは? お洒落なカタカナがいっぱいだぞ?)
――1階は飲食街みたいね……2階は、ええと、……これがお洋服やさんかしら?
(カタカナになるととんと弱い。英語になれば尚更だ。衣服のマークが文字の左側にあるので、恐らくブティックであろうと推測し)
アンリエット・トレーズ 2020年8月27日
興味がなかったもので。(それは間違いなく『時間』に――)でも今ちょっぴり興味が出てきましたね。お仕事によっての相応しい装い、に腕時計が含まれていないのは成る程、手間でしょう。(成る程成る程、と繰り返し首肯をして)
ああ――……そうですね。一応は、この世界出身、ということになっているのですが。あまり出歩いた経験はありませんでしたので……とはいえ、“可愛い”については問題ありませんから、ちゃんと大正解ですよ。(フロアガイドに記された案内、服のマーク、それから店名――これは英字もある――を指先でなぞろうとして、はたと)おや。ゆうべ。不安でしたら手を繋ぎましょうか?(はぐれないように。まるでそれが当たり前のことであるかのように娘は首を傾ぐ)
アンリエット・トレーズ 2020年8月27日
一階は後からですね。お洋服を購入した後で休憩がてら、美味しいもの、のお店に入りましょう。(つ、と視線をエントランスから奥へと向ければ、確かに食べ物そのものや、メニューを掲げた看板が確認できた。もう一度ガイドを見遣る。二階の上、三階にも同様にファッション系のマークが見つかったけれども)ふむふむ。ではまずは二階から見ましょうか。お洋服の系統まではガイドに書いていませんからね……ひとつ上がるだけですし、あちらのエスカレーターを使いましょう。(ガイド上に指を滑らせ、エスカレーターの位置を示す)
佐々・夕辺 2020年9月1日
ええ、アンリエットさんはマイペースだものね。…お宿は楽しい時間を提供する場だから、基本的に時計はないのよね。あるとしてもお客様の部屋だとか、厨房かしら。(懐中時計を袖にしまい、片手を頬に当てて思案する。その癖決まった時間に食事を出さねばならないという矛盾に気付いたが、いま考える事ではないだろうと思考の外へ押し出した)
余り出歩かないの? そう……なのに私よりお洒落なのね。やっぱり雑誌とか、(読んでいたの?)(という言葉は、瞠った瞳に呑み込んだ。首をかしぐ目の前の娘が、とても頼れるお姉さんに見えた瞬間だった)
……え、えと。…横文字とか、外国の言葉とか、判らなくて。…うん。手を繋いでくれると、…嬉しいわ。(こういう時素直になるようになったのは、いつからだったろう。可愛いを欲しがり出した辺りからだろうか。視線を僅かに逸らしながらも、正直に述べ)
佐々・夕辺 2020年9月1日
ふむふむ、一階は後から。ええ、そうね。何処から見るかはアンリエットさんにお任せするわね。あのね、私ね、スカートは膝丈が良いわ。あんまり短いとはしたないでしょう?(相手のプランにうんうんと、こちらが首肯を返すのだ。エスカレーターの位置と現在地を地図上で確認し、実際に視線を滑らせる。成程、大きな動く階段。あれがエスカレーターだろう)じゃあ決まりね。宜しくお願いしますね。(今度は頭を下げずに、手を差し出した。握手、ではない。繋いでもらうために)
アンリエット・トレーズ 2020年9月17日
時間にとらわれる必要のない場所、というわけですね。とはいえ完全に時計を排してしまっても活動のリズムがおかしくなってしまうので……などそういった感じでしょうか。(よくできていますね、と娘は感心した様子で頷きを繰り返している)
自由に出歩けるようになったのは、ここ数年というやつです。けれども、ええ、雑誌はお願いして、いくらかもらえましたから――はい。(それは手を繋ぐことへの「はい」)(しっかりと首肯をすると、厚みのある垂れ耳が揺れた)横文字も外国語も、読むだけなら、きっとゆうべもすぐに出来るようになると思いますよ。アンリエットも読むのが得意ですから。(つまり書くのは得意でないのだが、全てを語ることはしない)
アンリエット・トレーズ 2020年9月17日
任せてくださいね。(快諾ひとつ。差し出された彼女の手をそうと取って、やわく握る。それからエスカレーターの方へと歩み出し)膝丈。よいですね、可愛いですよ。ミニスカートだって可愛いですし、ゆうべにも似合うと思いますけれど……ひとには好みがありますからね。(首肯してから傍らの彼女の脚を見る。見えない。たぶん、綺麗な線をしているはずだ。けれども、勿体無い、とは娘は言わなかった)(大した距離でもないのでエスカレーターまではすぐに辿り着く。淀みなく休みなく、その階段はモーターによって昇降していた)
佐々・夕辺 2020年9月27日
そうね。よく言うじゃない?「今ひと時は浮世の事を忘れてお過ごし下さい」って。時間って其の最たるものだから。でも、お昼や夕方に起きていては浮世に戻れなくなってしまうから――そう。リズムのためにお食事は朝昼晩出るという訳。(少し目元を和らげた。笑ったつもりだ)
ここ数年……そうなの。私も思えば、街を歩いているのはここ数年の事だわ。だから世俗に関しては、アンリエットさんの方が先輩ね。(彼女の出自を深く探ることはせず、淡々と事実を告げるにとどまる。だって自分はグリモアに導かれなければ、ずっと森暮らしを続けていただろうから)
横文字も外国語も?そうかしら…横文字はひらがなと対応してるからまだしも、外国語…外国語ってすぐに読めるようになるの?(現にさっきのフロアマップは全く読めなかった。先行きが不安である)
佐々・夕辺 2020年9月27日
頼もしい限りだわ。ありがとう。(やわく細い手に手を取ってもらう。かつり、ヒールのように鳴る蹄音に従って己も歩き出し、動く階段のほうへ)
み、ミニスカートは恥ずかしいわ。私、すぐ飛んだり走ったりするから。下着が見えたりしたら大変だし。(今は袴を履いているので、足は見えない。全く試着の事を考えない服装で来ている)
……。
アンリエットさん。
(エスカレーターを前にして)
どんなタイミングで乗ればいいの? これ。
アンリエット・トレーズ 2020年10月16日
お仕事のしめきりですとか、あるそうですからね。(提出書類とか。思い出すように、成る程なるほどと娘は頷いて応える)三食きちんと食べるのも重要ですから、実によいことです。アンリエットは五食くらいでも構わないのですが……。
ゆうべも、数年ですか? では、少なくともアンリエットより慎重だったのでしょう。(自分は一人で好きにお買い物に行っても良いのだ、と気付いてからすぐに外へ飛び出した。娘はそういうたちだった)先輩に任せてもらって構いませんからね……おや、ゆうべ。街中で見る外国語というのは、特にお買い物のときに見る外国語は、たいがい種類が決まっているものですよ。(お店の名前は別かもしれませんが、とはきちんと付け加える。でも、そうでなければ『よく使う言葉』を覚えてしまえばいいのだと)
アンリエット・トレーズ 2020年10月16日
(エスカレーターは駆動音を立てて回っている)デートのときなどはきっとミニスカートでも……おや?(彼女を振り返り、首を傾げる。どのタイミングで。成る程)(通り過ぎていく段、段、)(ちょっぴり考えるように間を置いてから)
では、こうしましょう。
(彼女の手を引いたまま、一度エスカレーターの脇に退いた。後ろで何事だろうという顔をしていた他の客が、難なく足を乗せ、上へと昇ってゆく)
他のお客さんのを見て、真似してみましょう、ゆうべ。
佐々・夕辺 2020年10月24日
文筆を扱う方は特に気にするわね、締切。普通のお仕事をされてる方は、締切に追われない時期にお宿にいらっしゃる事が多いかしら。(何せお宿だから、普段使いするような場所ではない。余暇を過ごす人、静寂を求める人、ネタを求める人。大体この3つに分かれる。つまり文筆家の利用客は少なくないのだ)
ええ、数年。其れまではお店なんてものがない森にいましたから。グリモアにぽーんと飛ばされて、気づけばグリモアベースだったわ。(アンリエットさんは行動的なのね、と目元を和らげる。)
え、種類が? …そうなの? 要勉強ね。場数を踏めば、私にもわかるようになるかしら。(よく使う言葉とは、どんな言葉なのだろう。それも判らないうちは、先輩からはまだ離れられなさそうだ)
佐々・夕辺 2020年10月24日
(相手に手を引かれ、エスカレーターの脇へ。頭上に疑問符を浮かべながらも、よどみなく動く階段に乗る人々を見る)
……真似。ええと、頑張るわ。これはタイミングを合わせて乗っているのね? 段が出て、持ち上がる間にこう…足を。こう。(客が足を出すタイミングを見ている)
……なんとなくわかってきたかも。アンリエットさん、行きましょう!
(足を挟んだら? 転んだら? 不安はきりがないけれど、其れにしり込みしていたら、可愛いお洋服が買えない!)
アンリエット・トレーズ 2020年11月4日
へんしゅうの方に追われる作家のひと。よく聞くお話です。(実際に会ったことはないけれども。そして、書類仕事の締め切りも生えてくることがあるらしいけれども。うんうんと再度首肯をしつつに)
森……森ですか。よいですね。アンリエットもどうやら最初にぽーんと飛ばされたらしいのですが、その先がこのUDCアースでしたので。(「UDCで育ちました」には二つの意味合いがある。『この世界』で。それから、『UDCという組織』で)(しばしば、神隠し、と呼ばれる現象だ)
(娘は涼しい顔をしている)(殆どの場合、そんな調子だけれども)そのうち覚えられると思いますから、大丈夫ですよ。知っている人と一緒に外出したり、知っていそうな人に尋ねればよいことですもの。
アンリエット・トレーズ 2020年11月4日
(エスカレーターは間断なく動いている。とはいえ娘はそちらよりも、真剣にそれの動きを見つめる彼女の横顔を見ていた)(エスカレーターのタイミングについて「大縄跳びのようなもの」という表現も存在するが、生憎この娘はその遊びをしたことがなかったので)
おや、もうわかりましたか? ではきっとゆうべには才能がありますね。
(いかにもといった風情で首肯をして、人の少し途切れたタイミングに踏み込む。自然な調子で、階段を上るのとさして変わらない、或いは扉でも開けたように)
さ、どうぞ。大丈夫ですよ。
(トン、)(足音)(引く手)
佐々・夕辺 2020年11月7日
編集さんが追ってきて、作家さんが慌てふためくのもよくある話よ。あの時は少し参るわね。(困った顔をした。だって、どっちの味方も出来ないんだもの)
アンリエットさんはUDCアースに飛ばされたのね。私も都会に飛ばされていたら、何か変わっていたかしら。少なくとも、今よりはお洒落だったでしょうね。
(思案する。そも、村で飢え切っていた自分があの都会に飛ばされても――生きてはおれなかったような気がするが。其のままのたれ死んではいおしまい、な気もする)
そうね。知っている人、知っていそうな人。今のところ、アンリエットさんが一番だわ。
佐々・夕辺 2020年11月7日
足さばきには自信があるの。そ、そうかしら。エスカレーターの才能?
(照れる。其れはあってよいものか、なくてもよいものかはおいといて)
(引く手に合わせて、1、2の、3。エスカレーターの段が持ち上がるその瞬間、黄色い線の内側に行儀よく片足と体重を乗せる。ふわり、奇妙な浮遊感)
――あ、の、乗れた! アンリエットさん、乗れたわ!
アンリエット・トレーズ 2020年11月23日
(どちらもお仕事ですからねと肯いてから、首を傾いだ)
どうでしょうか。今だってゆうべは、素敵なお着物を着ているではないですか。アンリエットもすこうし何かを掛け違えていれば、きっとファッション雑誌というもの、見ることも知ることもなく生きていたでしょう。(自身がそれを与えられたのは幸運だったからだと知っていた。もう少し不運であれば、自分はものを今以上知らず、更にもう少し不運であれば――……詮無いことだとも、知っていた)
オシャレも、知らない言葉も、この先できることですから。でしたら今は、このアンリエットに任せてくださいね。(ちょっぴり胸を張る仕草で)
アンリエット・トレーズ 2020年11月23日
(しかし特段、娘が手を貸さなくても出来ることだってある。今みたいに)(足音がひとつ。それから、そのまま上っていく足場。並んだ二人を乗せて)
はい。上手にできましたね、ゆうべ。やはりアンリエットの見込んだ通り、才能がありましたよ。(両手が使えれば拍手をしたけれど、彼女と繋いだそれを優先した。代わりにその手をゆったりと揺らし、垂れた耳の先をぱたりと動かして喜びを表現する)
これで次からは難なく二階、三階、四階にだって上がれます。(上を見上げた。勿論、今その先にあるのは二階なのだけれども)(大した距離ではない。すぐに降りることになる)
佐々・夕辺 2020年12月2日
まあ、おしゃれだなんて。そうかしら?(首を傾げ)でも私は、アンリエットさんが来ているような、お洋服が着てみたいわ。和服は動きづらいから、いつも結局袴を合わせてしまってこうなるのよね。まるで着たきり雀みたい。(同じものを着まわしているという意味ではそうかも知れない。己の着物の袖をもって)
……そうね。いまこの瞬間は、幸運な偶然の上に成り立っている。貴方とお出掛けできるの、嬉しいわ。
――ええ!アンリエット先生、お願いしますね。(目元を和らげて、口角をほんの少し上げた。笑ったつもりだ)
佐々・夕辺 2020年12月2日
おおお……(遠ざかる一階、近付く二階。ごうんごうんと動くエスカレーターに、きょろきょろと異常がないか警戒して)
才能! そんな、えへへ。褒められると照れてしまうわ。(繋いでいる手をぶんぶん。尻尾もぶんぶん、揺れている。相当に嬉しそうである)
さ、三階……四階にまで!? どうしましょう、四階まで上がってしまったら、逆に降りるのが勿体なくなるわね!(アミューズメント施設と勘違いしていそうな狐。といっている間にステップはのぼり、)
――うあちっ、とっ、たっ!
(降りるのには慣れていないので、見事につんのめって2,3度ステップを踏んだ)
……。つ、着いたわね。
アンリエット・トレーズ 2021年2月2日
オシャレですよ。(もちろん、と首肯する)オシャレは我慢という言い方だってありますけれども、お着物でたくさん動こうとすると確かに――ええ、成る程。(出来ないことはないだろうが、着崩れてしまうだろう。それは確かに困ってしまうはず)でもいけませんよ、ゆうべ。それはきたきりすずめではなくて『定番コーデ』というのです。(ものは言いよう、というやつだ)
偶然出会った可愛いゆうべですからね、うんと親切にしてあげましょう。(娘の方でも、僅かに色違いの双眸を細めた。笑い返すのに似ている)
アンリエット・トレーズ 2021年2月2日
(ぶんぶん揺れる繋いだ手。揺れている間にすぐやってきてしまった二階)大丈夫ですよ。四階まで上がって、今度は下がって、もいちど上がることだって出来ますので。(何度も滑り台で遊ぶ子どものような塩梅だ。言いながら娘はコツリ、蹄の音を立ててエスカレーターを降りた。隣の彼女を見る。つんのめる。転ばずに持ち堪える。一連の流れ)えらいですね。(褒めて育てるタイプである。エスカレーターの出口すぐ傍から距離をとるように誘導しつつ)
無事に二階まで来られましたので、なんとここからが本番ですよ、ゆうべ。お洋服のお店は幾つもありますから、歩きながらふわっと見て、好きな感じのお店を探しましょう。ここはフィーリングです。
佐々・夕辺 2021年3月7日
お洒落は我慢。ええ、聞いた事があるわ。寒い中短いスカートを履いたり、…してみたいけど。なかなか。短いスカートの方が、きっと動きやすいんでしょうけどね。…え? あ! そ、そうね。て、定番コーデ。定番コーデ!ね!(己に言い聞かす。うんうんと頷いて)
ええ、偶然出会った可愛いアンリエットせんせいだわ。親切にしていただけて感謝します。
佐々・夕辺 2021年3月7日
ちゃ、ちゃんと降りられたわ!(胸を張る。ない胸であるが、自慢げである。偉いと褒められたので尻尾がまた左右に揺れて嬉しそうだ。誘導されるまま、ふわふわと泳ぐように歩き)
ええ!?此処からが本番!? ふぃ、ふぃーりんぐ? (可愛いと思ったら見てみる、で良いのだろうか。ゆっくりと歩きながら、洋服を見ていく。地味目なもの。派手なもの。明るいもの。暗い色調のもの。様々な色が瞳に飛び込んでくる。其の中で、いっとう輝いて見えたもの)
あ! アンリエットさん、あれ!
(指さしたのはロングスカートだった。モカグリーンで、くしゃっとした柔らかそうな素材で出来ている)