【噺】微睡ム三時、紫煙ユラリ
神埜・常盤 2020年6月30日
1階に店を構えるカフヱ『ミュゲ』は、
本日もそこそこの賑わいを見せていた。
洒落た紳士たちの密やかな談笑。
粧し込んだ娘たちが零す鈴音の笑聲。
気難し気な書生が捲る頁の音。
其の全てが調和して居て、耳にたいそう心地よい。
果物を乗せたパルフェの甘い馨。
煮えた珈琲の芳しさ。
湯気を立てる紅茶の芳馨。
其の全てがこころを癒してくれる。
――ごぉん、ごぉん。
柱時計が、午後三時の鐘を打った。
* * * * * * *
☞或る日のサクラミラージュにて。
☞初見・既知問わず、先着1名様と1:1を。
☞置きレス式。30レスを目安に〆。
☞噺が2週間途絶えたら御仕舞い。
1
神埜・常盤 2020年6月30日
(陽の当たらぬ一等奥の席に、貌彩の失せた人相の悪い男が腰を降ろして居た。向かいの席には、幸か不幸か誰も居らぬ。ゆえに紫煙を遠慮なく燻らせて、ただ無為に時間を潰して居た。)
神埜・常盤 2020年6月30日
(吸えば吸う程、煙草は短く成って仕舞うもので。まあるい灰皿の上、紙巻の燃え滓を押し付ける。薄ら揺らめく紫煙の向こう眺める男の貌は、聊か芒としていた。)……嗚呼。(眠気覚ましにもう一本。そう思い立ち、懐からマッチを探り出す。されど、――ぽろり。手元が狂って、床に転がるマッチブック。其の様を横目で見遣れば、気怠い溜息が自然と零れ落ちる。)
琴平・琴子 2020年7月1日
(百貨店には様々なものがある。先日それを学んで、今日手にしたのは桜色の爪紅が包まれた紙製の手提げ袋。ゆらり揺らして顔には出さぬもの、上機嫌で休憩がてらに何か口にしようか。喫茶店の中に入れば午後三時のお八つ時を知らせる鐘の音。甘いものでも口にすれば本日のお出掛けは十分だろう。いらっしゃいませ、空いてる席へどうぞ。声を掛けてきた女中に一礼し、空いてる席を探して辺りを見回す
。)…?(何かが落ちた音が聞こえた。床に転がったスケッチブックは足元の近くに。中身も見ず、極力表紙も見ず目を伏せてそのスケッチブックを手に取り、転がってきた先の方にいる紫煙の残り香漂う男性へと向かった)…此方、落とされましたか?
神埜・常盤 2020年7月2日
(重たい溜息をもうひとつ追加して。さて回収に向かおうかと腰を上げようとした、其の時。)――おや。(落とした其れに伸ばされたのは、見慣れぬ桜色の指先だった。思わず、ぱちりと瞬いて。視線を上へと移動させた。)……あ。あァ、其れは僕のだ。拾ってくれて有難う、お嬢さん。(マッチブックを受け取るために、白い手袋に包まれた掌を差し出して。)わざわざ運んで貰って済まないねェ、この席は煙たいだろう?(子どもの前で紫煙を馨らせるのは、大人として流石に気が引けた。窓が無いので、せめて指先で煙を払う素振り。)
琴平・琴子 2020年7月2日
(紫煙の香り。目に見えた薄らと漂う煙。拾い上げたこれはマッチだったのか。見た事が無いから何かと思った。物珍しそうに見るのも失礼だと思い、横目で見ながらも白い手袋に包まれた掌の上にそっと乗せた)どうぞ。(煙たいか。そう問われたものの、確かに紫煙の残り香は鼻腔につく。しかし此処は禁煙でもないだろうし、そこに入り込んだのは自分。)……別に此方は禁煙でもないのでしょう?(お構いなく、と顔の横に掌を向けた。空いてる席は無いかと周囲を見回すも小さな背では見当たらない)その代わり、お願い事をしてもよろしいですか? 空いてる席が他にもあったら教えて頂きたいのですが。(自分では見えない視点も、大人の人なら良く見えるだろうから。断られたらどうしようか。一抹の不安を胸に抱えて胸元を握り締めた)
神埜・常盤 2020年7月4日
あァ、どうも有難う。(掌中に乗せられたマッチを指先で包み込めば、いそいそと懐へ仕舞い込んだ。序に灰皿も、机の隅へと除きつつ。)勿論、此処は喫煙可能だけれどねェ……。君の気遣いにも感謝しないといけないなァ。ウン、お願いごとは謹んで引き受けさせて貰おう。(幼い子に気を遣わせて仕舞った、と。緩く頬を掻き乍ら、視線を店内へ巡らせる。今は丁度おやつ時、何処の席にも誰かが座して居るようだった。)……残念だが、僕の向かい側しか空いて居ないようだ。――君さえ良ければ、相席いかが?(自身が胡乱であることは重々承知しているけれど、君を立たせた侭にするのも忍びない。向かいの席を指先で、そうっと指し示して。)
琴平・琴子 2020年7月4日
どう致しまして。(軽く頭を下げて、机の隅に追いやられた灰皿を横目で眺めた。この人は子供である自身に対して配慮のできる人なのだろう)煙草の煙を噴き掛けるような趣味さえなければ別にいいです(それがどんな意図を持つかは知らないし、噴き掛けられた事も無いがそれだけなら我慢できると不貞腐れた表情を少しだけ表に出しながら)……まぁ、そうですよね。(もう少し早く来れば良かったかもしれない。後悔しながら小さな溜息を一つ漏らした)相席ですか? ……ええ、私も大丈夫です。お言葉に甘えさせて頂きます。(胡散臭さは感じつつも、別に自分にとって失礼な態度を取らないから悪い人では無さそうだ。入った矢先、満席だからと店を出るのは申し訳なさが募るし感謝を述べた上で頭を下げて、失礼しますと向かいの席り、荷物は膝の上へ置いた)
琴平・琴子 2020年7月4日
――此方、何かおすすめってあります? 知らなければ別に構わないのですが。(メニューを開いて一覧を眺めるも珈琲は飲めないし、パルフェは少し重たい。紅茶は飲めるがそういう気分でも無い。アイスが乗ったドリンクくらいなら丁度良さそうだがあるだろうか)
神埜・常盤 2020年7月6日
まさか。そんな無礼、働かないとも。煙なんか吹き掛けたら、君の綺麗な纏いに匂いが移ってしまうだろう?(尤も既に手遅れかも知れないが、直に煙で炙られるよりはマシな筈だ。)それにほら、幼いうちからこんな煙を吸っていると、背も伸びなく成って仕舞うよ。(其の貌から不貞腐れるような彩を見て取れば、喉を鳴らしてくつくつと笑った。メニューを手繰り寄せ、君の方へと向けながら。)ウン、お勧めか。――例えば、カフェ・オーレ。コレは仏蘭西とミルクの馨がして美味しい。パルフェはアイスに果物を添えただけの代物だが、これまた素朴で甘美な味わいだ。(つらつらと紡がれる言葉に合わせて、白い指先が軽やかにメニューの上を動いて行く。)もっと冷たいものをお望みなら、「アイスクリィム・ソオダ」なんて如何かね。
琴平・琴子 2020年7月6日
――此方こそ無礼な事を申し上げてすみません。(頭を軽く下げ、謝罪した。自身の服、ましてや身長の事を気遣う大人がいるとは。しかし何だか笑われていて、からかわれている様な気もして不貞腐れた表情は崩さず)とはいえ、身長はこれから伸びる予定ですのでそれを阻害されては困ります。喫煙を控えて頂ける事に甘えさせて頂きます。(メニューの上を滑る指先を眺め、小さく頷きながら説明に耳を傾けていた)あいすくりいむそおだ。……ソーダ水の上にアイスクリームが乗っているもの、で間違いないでしょうか。(聞いた事のあるようなものは自分の知っているものだろうか。それなら食べたい)
神埜・常盤 2020年7月9日
ふふ、気にしないでくれ給え。(ひらひら、掌を振って見せる。のんびりとした態度では有るけれど。其の様からは矢張り、何処となく漂う軽薄さが拭えない。)そうそう、此れからドンドン伸びて往く予定だろう? 僕が幼い頃は、君より身長が低かったけれど……。煙と無縁で暮らした結果、こんなに大きく成って仕舞ったしなァ。(感慨深げにひとり頷きながら、メニューに綴られた単語と暫し見つめ合う。)あァ、ソレだよ。緑の炭酸水に、バニラアイスが乗っていて、桜の塩漬けが飾られてる。――僕は紅茶のお代わりを注文する心算だが、君はコレにするかね?(そう尋ねた時には既に、片腕を上げて女給へ注文の合図を送っている。)
琴平・琴子 2020年7月10日
私とてこれからですし身長だって伸びております。……お兄さんにも、そんな可愛らしい時期が。(目の前の胡散臭さの拭えぬ男性は随分と高い身長に見えるが、誰しも幼い頃があったようにそれは幼い頃があったのだろう。そういう風には到底見えないが)それでやはりあっているのですね。良かった、知らない物でなくて。ええ、私もそちらを。宜しければご一緒に頼んでいただけますか? ……珈琲、紅茶などではないのですね。(大人なのに。そういう甘味も食べるのかと奇異な視線を向けながら)
神埜・常盤 2020年7月13日
そうだろう、そうだろう。(こくりこくり。緩慢に頷きながら、メニューをもとの位置に戻して。)はは、モチロンさ。僕だってひとから生まれて来た訳だし、子ども時代くらいはあるとも。(口端から牙を覗かせ、くつくつと笑みを零した。)それは喜んで、お嬢さん。小腹が空いて来たし、僕も同じものを頼もうかなァ……ウン?(奇異な眼差しに、軽く小首を傾ける。周囲が寛大なので、今まで気にして居なかったが――自身が年の割に幼稚であることを、唐突に思い出した。)あァ、煙草なぞ吸う癖に、僕は甘いものも好きでねェ。モチロン、紅茶のお代わりも頼むよ。(寄って来た女給へと告げるオーダーは、「アイスクリィム・ソーダ」をふたつ。それから、紅茶のお代わりを一杯。)
琴平・琴子 2020年7月13日
人に見えても中身は『そうでは無い何か』って多いではないですか。生まれた時からそういう姿だったりの方など。そういうお仲間なのかとも思いましたので。(感じる胡散臭さはもしかしたら其れ由来なのではないかと思うものの、違う気がすると俯き、ううんと一人唸った)……? 煙草と甘いものに何が関係が。(煙草は苦いと聞いた事があるがその味は知らず、対照的なものがどう結びつくのかと首を傾げた。オーダーを聞きに来た女給へは「お願いします」と一声掛けて頭を下げる。)
神埜・常盤 2020年7月14日
(注文を受けた女給が去っていくのを、横目で見送り乍ら、)……あァ、君の目に僕は『人為らざる者』として映ったのかね?(双眸を細めれば頬杖を付いて、愉快そうに嗤った。鋭い牙は相も変わらず、鈍く煌めいている。)其れならば、半分は当たっているとも。僕は吸血鬼と人間の合いの子さ。(世間噺の如き語り口で素性を告げつつ、手持ち無沙汰と空のカップをゆらゆら揺らして。)ウン……? さっき君は不思議そうな貌をしただろう。だから僕はてっきり、煙を嗜む男が甘味を食べることに、違和感を持たれたのかと。(そう思ったんだが、なんて。眉を下げ、軽く首を捻って見せた。)
琴平・琴子 2020年7月14日
悪い様に言ったつもりはないのですが、気に障ったのなら謝ります。(すみません、眉を顰めて目を伏せて頭を下げる。俯いた耳に届いた語り口に彷彿させるものがあった)ダンピール、でしたっけ。そういうのがいるというのは理解してたはずですがなんだか、不思議です。(落ち着かないのか膝上に乗せた小さな紙袋を揺らして)ええと。不思議に思ったのは……煙草って、苦いのでしょう? 苦いものがお好きなのに甘いものが好きなのは何か食べ合わせの様な相性があるとか、そう、思ったのですが……。(もしかしたら自分が知らないだけで煙草にも甘いものがあるのかもしれないけれど、変な事を聞いただろうかとううんと唸り)
神埜・常盤 2020年7月15日
まさか、怒っては居ないさ。(くつくつと、喉奥から笑聲を零す。事実、当たっているのだから気を悪くする必要もない。)まァ、僕は自分を人間だと思っているケド。傍から見たら、そうは見えないのかも知れないなァ。(それもまた半魔の宿命だと、からから笑い飛ばしつつ。)あァ……成る程。相性はまァ、そこまで。――ただ「僕」が甘党なだけさ。(そうこうしているうちに、女給が二人分の注文を運んで来たので、姿勢を正して配膳を待つ。鮮やかな液体の上で揺蕩うまあるいアイスからは、甘くて良い馨がした。)
琴平・琴子 2020年7月15日
(怒っていない。その様子に胸を撫で下ろして)私には普通に見えます。少し喋っただけですが……悪い人には、見えないです。善人の顔して、悪い子とするような人にも見えないです。(主観的で根拠たる理由は無いし、あくまで経験に因る感覚。なんて言っても信じてもらえないだろうから言わずに目を伏せた)甘いものがお好きなのですか。(だからクリィムソォダを自分の分と一緒に合わせて頼んだのかと納得したように頷く。運ばれてきた甘い馨に姿勢を正して、緑色の鮮やかな液体、丸いアイスに瞳を大きくして心待ちにした)
神埜・常盤 2020年7月17日
はは、普通に視えるかね? それは有難う、信用して貰えて嬉しく思うよ。(人相は悪いけれど、これと云って悪事は働いて居ないのだ。ほんとうに――。分かって貰えたことへ満足気に頷き乍ら、空のカップを女給の方に寄せて。琥珀の液体が注がれる様を横目で見ている。)そうだよ。そういう君は? 甘いもの、好きなのかね。(女給は手早く夫々の前にアイスクリィム・ソーダを置いて、深く腰を追ったあと去って行く。)さァさァ、溶ける前に戴くとしようか。(いただきます。手に取ったスプーンで、そうっとアイスを掬う。)
琴平・琴子 2020年7月18日
でも、その人相だと色々と疑われたりするのでは。(普段は何を? そう尋ねて首を傾げた。こう疑った自信が言うのも変な話ではあるが)甘いものは好きです。普段はお抹茶や落雁の落ち着いた味の組み合わせが好きですけど、クリィムソォダも好きです。(運んでくれた女給に感謝の一礼として軽く頭を下げた後、目の前に置かれたものに目を輝かせ心を躍らせつつも冷静さを装って)ええ、頂きます。(両手を合わせた後、アイスが沈んでグラスから零れ落ちそうな泡とアイスをスプーンで掬って口に含んだ。想像よりも甘かったその味に驚くも美味しくて、黙々とアイスを食べ進めていく)
神埜・常盤 2020年7月18日
まァ、確かによく職質されるけれど……あァ。僕は此のビルの6階で、探偵事務所を営んでいるよ。(コレあげようか、なんて。軽い調子で差し出したのは、蝙蝠と薔薇を描いた名刺。『神埜探偵事務所代表』という肩書の上に綴られた『神埜・常盤』という文字の羅列は、恐らく男の名前だろう。)――お、落雁か。アレ美味しいよねェ。色も容もキレイだし、上品な口触りで。(掬ったアイスを口に運べば、なんとも甘ったるい味がした。ストローでソーダを啜って、其の甘さを流し込みつつ。)ウン、ソーダも美味しい。
琴平・琴子 2020年7月18日
(差し出された名刺は確か両手で貰うのがマナーだった様な。頂戴致します。一言呟いてから両手で名刺を貰った。名刺なんて貰うのは初めてだけど、綺麗な名刺だなと眺める)探偵さんで、職質……それは、大変そうですね。(探偵の仕事はよく知らないけれど。仕事に支障が出たりするのだろうなと思い呟いた)ええ、とても綺麗なものを出された日には食べずに取っておきたいぐらいです。(アイスを食べ切った後、ストローでソーダを啜って口の中に広がった甘さを流し込んでグラスの中のソーダは半分程に)本当、何度も通ってしまいそうなぐらい美味しいです。
神埜・常盤 2020年7月19日
ふふ、君はお行儀がいいねェ。きっと育ちが良いのだろうなァ。(一旦スプーンを置き、紅茶が入ったカップへと指を伸ばす。芳しい馨を味わいながら。)ちゃんと身分を保証してくれる人達が居るから、特に問題はないさ。聊か煩わしくはあるケド……。(温かな琥珀で喉を潤せば、ほうとひとつ息を吐いて。)あァ、分かるよ。綺麗な花の容をしていたりしたら、食べるの勿体なくなるよねェ。他に和菓子と云えば、練り切りも有るけれど。そういうのも好きかね?(問いかけたのち、ふくふくとグラスに広がる泡をスプーンでひと掬い。それを口へ運んで、のんびりと味わいつつ。)はは、じゃァまた来ると良い。もし訪れるなら午前中がオススメだよ、人も少ない。
琴平・琴子 2020年7月19日
有難うございます。祖父と父が名刺を持ってお仕事をしていたところを見ていたので。(褒められて嬉しくなり、ふふと笑みを零し。貰った名刺は自分の目の届く机の隅の方へ)此方は差し上げられる名刺はありませんが、私は琴平・琴子です。(身分を証明する物は無く、差し出すものも無くただ頭だけを軽く下げた)子供の私には探偵さんのお仕事はよく分かりませんが、危ないお仕事とかでなければ……。気を付けて下さいね。(グラスの中のソーダを飲み終えて、両手を合わせてご馳走様ですと呟いた)練り切り! えぇ、どうやって作られてるのかと長く見てしまって早く食べなさいと怒られた事が何度もあって……(好きな食べ物に反応し、目を輝かせて喋るも自分の事ばかり言っていたことにあっ、と気づいて咳払いを一つして喋るのをやめた)午前中。それは良い事を聞きました。人がいない静かな時に時間ができたら立ち寄ります。
神埜・常盤 2020年7月20日
成る程、確りとした家庭で育ったのだねェ。僕なんて名刺を知ったのは、大人になってからだったなァ……。(素直に感心を示しながら、ぱくり、ぱくり。アイスを口へ運んで行く。)琴子くん……雅やかで綺麗な名前だ。改めて、どうぞ宜しく。(此方も軽く会釈を返したのち、甘い口中にソーダを流し込んだ。)はは、心配ありがとう。推理小説みたく華やかで危険な仕事なんて、なかなか無くてね。其の点は心配いらないさ。けれど、――あァ、気を付けるとも。(ストローで氷をカラカラと混ぜながら、にぃと笑って見せる。)あァ、あれは職人技だよねェ。菓子切を差し込むのも勿体なくて、僕も満足いくまで眺めて仕舞うよ。近頃だと凝ったものも、色々あるし……。(微笑まし気な眼差しを向けながら、つらつらと相槌を零して。合間に温かな紅茶へと、口吻ける。)――あァ、是非そうしておくれ。此処は居心地がいいから、読書なんかにも最適さ。
琴平・琴子 2020年7月20日
確り? ……そうだと良いのですが。(遠い所にいる何事にも前向きすぎる母や元気で騒がしい父を思い出していた。それが確りなのか少々信じ難く段々と小さくなる声)有難うございます、お祖母さまが名づけてくれた大事な名前です。常盤さんも恰好良くて素敵なお名前だと思います。(横目で机の隅に置いた名刺を見て首を縦に頷いた)見知ったお名前が新聞などに載るなら朗報でしか見たくないので。次会った時は訃報欄なんて嫌ですし。(笑う余裕があるなら大丈夫だろうな。心配して損したかもしれないが、それなら良かったと目を伏せ微笑んで)す、すみません。でも、もっと眺める時間が欲しいです。それこそお花だって長く見れるのに練り切りだけ長く見れないのは少し残念です。(つい熱くなってしまったとしょんぼりした表情で少し頭を下げて。それだけ見ていたいというのに)お店の方の邪魔にならない程度に読んでない本の消化にも良さそうですね。
神埜・常盤 2020年7月22日
うん、どうかしたかね?(何か悪いことでも言っただろうかと、小さく成る聲に頸を傾げて見せる。)あァ、祖母君がつけてくれたのか。良いなァ……。僕には祖父も祖母も居なかったから、そういうの憧れるよ。(褒められれば、片頬を器用に上げて微笑んで。)ふふ、褒めてくれて有難う。僕の名は母からの賜り物さ。(馨り高い紅茶を味わい乍ら、冗句のような科白にくつくつと喉奥を鳴らした。)あァ、僕もそういう形で名をはせるのは嫌だなァ。僕が新聞に載るのはきっと、華麗に怪事件を解決した時だけさ。(果たしてそんな機会が来るとは思えないが、夢見がちな与太話を語るくらいは赦されるだろう。牙を覗かせ乍ら、肩を楽し気に揺らし続け。)気持ちは分かるよ、アレは一種の芸術だからねェ。そんなに惜しく思って貰えて……作り手もきっと、喜ぶだろう。(カップの底が視えれば、ソーサーの上へ其れを置く。頭を下げる君へ、穏やかな視線を向ける。)
琴平・琴子 2020年7月23日
(眉間に皺を寄せてううんと唸り、首をやや傾げた)普通の家庭だと思うのですが確りした家庭にはやや遠いような気がして。悪い事にも何事も前向きな母親と常に元気でやや騒がしい父親は確りなのでしょうか。(何を基準に普通かと言われたら困るが少なくともそれが嫌だった事は無い)一時期祖父母の家で過ごしてたのですが色々な事を体験させてもらって楽しかったですよ。(胸の前で両手を合わせて僅かに微笑んで)『帝都の探偵、怪事件を華麗に解決』の見出しなんてどうですか?(普通過ぎますかね? 口元に手を当て首を傾げて夢物語の続きを考えていた)私が食べる事を惜しみ、作り手の方が喜ぶのはその方が心血注いで頑張った証拠です。それに作られた芸術作品に作り手の何年の技術と経験が注ぎ込まれていると考えたら……それくらいで足りるかどうか。(それだけの時間と技術を注いだのだからそれに値すると敬意を胸に抱いて目を伏せた)
神埜・常盤 2020年7月24日
ご両親のことを其れだけ説明できるんだ。充分に確りとしたご家庭だと思うよ。僕なんて親父や母が笑った所とか、見たこと無いからなァ……。(そもそも彼等がどんな性格か、なんて。決して語れはしないのだ。紡がれる言葉の響きから、君は大事にされていたのだと、そう察して静かに微笑む。)はは、其れは素晴らしい! 推理小説の主人公みたいじゃないか。俄然やる気が湧いて来たよ。(からからと笑って、君が綴った夢物語へ思いを馳せる。そんな風に脚光を浴びれるなら、推理とやらを頑張ってみるのも良いかも知れない。)ふふ、君は真面目だねェ。――ただ笑顔で「御馳走さま」とか「美味しかった」とか、そういうコトを伝えたら良いのさ。(そう気負う必要はないだろうと、牙を見せながら呑気な科白を紡ぐ。机の端に置かれた伝票に、さりげなく指を這わせつつ。)……さて、僕はそろそろ出ようと思うが。お嬢さん、君はもう少しゆっくりしていくかね?
琴平・琴子 2020年7月25日
有難うございます。そう言われると、少し自信が持てます。(自分の事を育ててくれた親の事を褒めてもらい、嬉しくなって笑みを零した。普通が何を指すかなんて人に因るだろうし、ましてや知ったばかりの人の家庭の事に口出しをするのは失礼だろうから耳を傾け苦笑を向けた。)そうなる事を期待しますね。(自分も見知った人が活躍する所は嬉しいから見てみたい。)それで喜んでくれるなら、必ずお伝えしましょう。(机の端に置いた名刺と膝上に置いた荷物を手に持ち、立ち上がる)私もそろそろ。お手伝いがあるので。
神埜・常盤 2020年7月25日
どういたしまして。――君の笑顔が見れて何よりだ。(満足そうに頷けば、伝票を掴み乍ら立ち上がって。ふと、悪戯に片目を閉じて見せた。)ならば、会計は僕に任せてくれ給え。お喋りに付き合ってくれたお礼に、ね。(それでは行こうかと、君を手招きつつ会計へ。マホガニーの扉を開ければ、温かな陽気がきっと、アイスクリィムで冷えた躰を包み込んで呉れるだろう。)
神埜・常盤 2020年7月25日
(紫煙の馨を引き摺り乍らも、微睡みに別れを告げて。櫻舞い散る夕の街へ……――。)
神埜・常盤 2020年7月25日
(〆)(オ相手イタダキ、有難ウ御座イマシタ)