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神埜・常盤 2019年1月4日
眠りの塔は、その中すら大正レトロ。
赤絨毯と白い漆喰の壁を引き立てるのは、無骨に並び立つ暗い茶の柱達。
どしりと構えられた所長の席は、椅子も机も欅造り。
然し其れは些か狭過ぎるから。
猫の脚を持つ来客用の丸机に、背凭れの柔らかな椅子を並べて、
今日も誰かと歓談を。
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神埜・常盤 2019年1月4日
あァ、いらっしゃい、エリィさん。（資料を捲る指先も、文字を追う視線も其の侭で気楽な挨拶を交わす。１つだけ多い足音も、今ではすっかり慣れたもので、顔を上げずとも其の主は分かっていた）また愛らしい事件を解決して来たのだねェ。否、お手柄だよ、君。（ゆらり立ち上がれば、漸く資料を閉じて、彼女の向かいへと歩みを進める。近づく度に強くなる、芙蓉と似て異なる香り）チョコレィトの鯛焼きとは、近頃は変わり種も在るものだねェ。土産を有難う、エリィさん。お手柄序でだ、先に好きな味を選んでくれ給え。（心得た、と茶器と湯を用意しながら。新味が2人分有ると知らぬ探偵は、からからと機嫌良さげに笑う）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月4日
ただいま、先生。そうなの。事件を解決したの。(馴染みのある声、頁を捲る音に顔を向ける。やがて近づく芙蓉に似た香りに、スンと鼻を鳴らして笑みを深めた。)お手柄でしょう。このチョコレィトはベルギィのものなのですって。人気で、もうすぐ売り切れてしまうのだとお店のひとが言ったわ。それも事件よね。好きなのを選んで良いなら、そう、右から２つだと聞いたから…(レースの手袋を外して、まだ温かい鯛焼きの右から２つ目を選ぶ。ふわり立ち上る香ばしい小麦の香り。綺麗な焼き目のついた鱗を指先でなぞる)チョコレィトのものにするわ。先生、もうひとつ同じものがあるの。1番右よ。おすすめよ。
神埜・常盤 2019年1月5日
お帰り、助手君。（冗談めかすように軽口を返しながら、沸かしたばかりの湯をティーポットへ。昇り立つ芳香は、花の香りを打ち消して）ベルギィ……本場のチョコレィトか、其れは大手柄だよ、君。直に売りきれる者なら尚更の事。（白磁の皿を一応２つ並べる傍、フォークとナイフは必要だろうかと。品の良い助手の姿を眺め思案して）……オヤ、僕の分も買って来てくれたのかね？ 其処まで推理が及ばなかったな。有難う、エリィさん。（一番右、と彼女の言葉を反芻し、聊か隈の残る瞳を柔らげた）僕の淹れる紅茶が礼に成ると良いが、……砂糖は幾つ入れようか。あァ、其れからミルクは？（琥珀色の液体をカップに注げば、シュガーポットを探す為に視線巡らせ）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月5日
良い香り。美味しそうね。(カップから温かく薫る湯気に誘われるように背筋を伸ばす。先生の思案する間に、カトラリーの触れ合う音が耳に届いた、気がした。)これはこのまま手掴みで豪快にいただきたいから大丈夫よ。とっても甘そうだから、紅茶にはミルクだけお願いします。(両手で鯛焼きを持ったまま、にこにこ。先生が食べ始めるまでは待つ様子。)先生の淹れてくださる紅茶はいつも美味しいから、お礼はエリィのほうこそ、なにか…(言いながら、首を傾げた。相変わらず鯛焼きを持ったままの指先を緩く合わせて)チョコレィトで思い出したわ。二月には、先生の書斎がチョコレィトで埋まる事件が起きるでしょう？エリィ、チョコレィトって大好きよ。事件の解決がお手伝いできると思うの。(そしたらお役に立つかしら、と既に事件解決と言わんばかりの晴れやかな笑みで付け足した。)
神埜・常盤 2019年1月6日
正直、僕が淹れるより式神にやらせた方が旨いとは思うがね。君の口に合うなら幸いさ。（助手の返事を聞けば、そうか、と大人しくカトラリィを片付けて）矢張り鯛焼きは、豪快に齧り付くのが一番だよねェ。……砂糖は僕の分にだけ、君にはミルクのみ、と。（確認するように繰り返しながら、彼女の紅茶へゆるりとミルクを注ぐ。常に眩しげな彼女を思い憚っての事だが、）……取り敢えず此の位で、足りなければ言ってくれ給え。（麗しきヤドリガミの気に召す自信は無かったらしい。肩を竦めながら彼女の席へと優しく茶器を置いた）あァ、そんな事件が多発する季節も近いねェ。もし僕がチョコレィトの海で溺れそうな時は、お言葉に甘えて君にも解決を手伝って貰おうか。今日みたく半分個しよう。（差し入れの袋に手を突っ込み、一番右の鯛焼きを選んだら。こんな風にと半分に割って見せた）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月6日
先生の式神は、いつでもお嫁に行けるくらいに完璧よ。先生のお留守に時々、紅茶を淹れてくれるの。和菓子の時は緑茶も上手。でも、先生の淹れてくださる紅茶はもっと、ミルクの量も絶妙だわ。(魅入られる様に、ポットの口から緩やかな弧を描く乳白色へと眇めた瞳を向けた。柔らかな仕草で置かれたカップを前に、小さく頷いて、大切そうに持っていた鯛焼きはそっとお皿へ。ティーカップに口をつけて)あぁ、やっぱりとても美味しい。今日はお外が寒かったからいつにも増して満たされた気分になるわ。この為なら、毎日寒くても良いくらい。(上機嫌なお喋りの合間にカップを傾けて、茶菓に手をつけたのはもう暫く後の話。バレンタインの話に、肩を小さく揺らして笑い)半分？半分もくださるの？そうしたらエリィの二月のおやつはずっとチョコレィトね。三月もかしら。でも、半分個なら先生もそうだから、エリィは先生が飽きないように、他のものを選びましょう。
神埜・常盤 2019年1月10日
其れは僥倖、いっそ君の所へ嫁に出して仕舞おうか。（一体位なら良いよ、と常の調子で軽口を。敢えて音を立て自分の席に腰を下ろせば、彼女の淑やかな所作を愉しげに眺め）君の口に合うなら何より、僕も饗し甲斐があると言うものさ。お褒めの言葉は光栄だがね、余り寒いと君が風邪で臥せないか心配だよ、エリィさん。（紳士然とした男は、大仰に眉を下げて見せる。指先は割れた先からチョコソースを滴らせる、鯛焼きの鱗に触れた侭）其れは如何かな、チョコレィトと言っても色々有るからねェ。トリュフにフォンダン、ブラウニー、マンディアン、オペラ……（それから鯛焼き。真面目な顔で羅列した呪文のような言葉達を締め括れば、八重歯を覗かせて笑った）ウン、飽きるなァ。果物でも差し入れてくれたらとても嬉しいよ。もし板チョコを沢山貰ったら、君とフォンデュが出来るからねェ。（素直に厚意を受け取れば、皿の上の魚を頭から一齧り。）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月11日
お嫁さんにくれるの？嬉しいわ。でも、どうしましょう。お式ではエリィも花嫁衣装を着たいから……式神さんは可愛いけど……この結婚は許されないわ……(上機嫌から徐々に沈みだし、最後はロミオとジュリエットもかくやと言った悲劇の口ぶり。紅茶をもう一口飲む頃には元に戻っていたが。)エリィ、風邪ってひいたことがないから大丈夫よ。風邪をひいたら先生が普段よりも、もっと、うんと優しくしてくださるのでしょうから、それだけが残念よ。(言葉の割に残念ではなさそうなのは、既に十分な優しさを享受しているからか。先生が鯛焼きに手をつけたのを見て、自分も、鯛焼きの尻尾を千切って、口に運んだ)美味しい。ザッハトルテ、プラリネショコラ、チョコレートボンボン、色々あるけれど、ええ、でも、飽きるわね。そうよね。チョコレートフォンデュは救世主になるに違いないわ。……でも先生、バレンタインに板チョコなんて貰うかしら……？
神埜・常盤 2019年1月12日
あァ、君にはもっと相応しい人がいるさ。それに僕も君の花嫁姿を見てみたいなァ、さぞ麗しいのだろうね。（消沈する様を眺める瞳は微笑ましげに緩んで。自らも温かな琥珀色を喉奥へ流し込んだ）エリィさんは儚げに見えるが、丈夫なのだねェ。ヤドリガミゆえ、病には強いのかな。（良いことだ、と零す台詞に安堵の彩を滲ませる。残念がる口に相反する彼女の様を見遣り態とらしく肩を竦め）もちろん優しくするがね。君とお茶をしたり事件を追う事が出来ないのは惜しいのさ。（食欲を唆る横文字の菓子名は、まるで旋律のように耳へと流れ込む。ぺろりと平らげた頭は常よりも甘く）意外と合うものだねェ、チョコレィト 。……さて、どうだろう。キマイラが住む未来都市では、料理をする習慣が無いらしい故、運が悪ければ板チョコを其の儘渡されることも有るかもねェ。（もっとも店には洒落たものを置いているかも知れないが、適当な推論を並べて）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月14日
そうしたら、エリィ、先生のお嫁さんになるのが良いと思うの。花嫁姿を一番近くでお見せできるでしょう？エリィは家事が不得手だけれど、先生の式神がしてくれるから、探偵助手に専念するの。タフだから役に立つはずよ。(そして二人はいつまでも幸せに暮らしました、と。勝手に、至極上機嫌に、お伽話調で締めくくる。)あ、でも、娘は君にはあげないよ！っていう役も先生にしていただきたいから、悩んでしまうわ。(カップを片手に、思案するように目を伏せる。逞しい妄想力は言葉になる前に、甘い話題に攫われた)キマイラの未来都市でもバレンタインデーを祝うのね。どんなお菓子があるのか、楽しみ。たくさん世界があると、チョコレィトもお返しもバラエティ豊富だわ。……先生、お返しは、手作りをなさるの？
神埜・常盤 2019年1月14日
はは、確かに其れは光栄な提案だが……余り大人を揶揄う物ではないよ。君の希望ある未来には、きっとステキな王子様が現れる筈だからねェ。僕は娘を譲らぬ男親の役に甘んじよう。（背凭れに体重を預けながら、未だ紅茶が残るカップをテーブルに置いて）もちろん、探偵助手の仕事は末永く続けて欲しいなァ。何せ君は其処に居るだけで華があるし、話していると心和むし……何より物覚えが良い。（余り他人に興味を惹かれぬ男は、大真面目にそう付け加える。上機嫌に夢想を語る彼女は、自身と違う視点を持つように見えた）どんなお菓子かなァ、素敵な物が沢山有ると良いねェ。僕はスペースシップワールドのバレンタインも、（気になる、と言い掛けて。問われた言葉には不思議そうに首を傾けた）否、僕は既製品にするつもりだよ。お菓子やハンカチ、あとは……。
エレニア・ファンタージェン 2019年1月16日
そう？ダメかしら。エリィ、良い奥さまになると思うのよ。でも、先生がお父様の役なら、それはそれで嬉しいから、そちらにしようかしら。ねえ、どんな人をお連れしても、一度は言ってみてね、娘はやらない！というのを。(うっとりと頬に手を当てながら、脳内で勝手に広がる王道すぎる物語。思った端から口にしている。)終身雇用でお願いします。それは、先生の終身よ。エリィはきっととっても長生きをすると思うの。エリィの本体は金属だから、きっととっても長持ちだもの。(口ぶりも声の調子も変えず、ヤドリガミはあっけらかんと言ってのける。もう一世紀くらいを跨いで先生の助手を勤めるのは彼女の中では既定路線らしい)あら、既製品。台所に立つ先生を拝見出来たらと思ったのだけれど。それか、お返し作成代行をエリィがするのはどう？女の子の好みはきっとわかるのよ。
神埜・常盤 2019年1月18日
あァ、エリィさんはきっと嫋やかで愛らしい奥さんになるだろうねェ。（常より白の似合う彼女なら、花嫁衣装もきっと見事に着こなせるだろう、と。ひとり得心した様子で頷いて）勿論、仰せのままに。ああは云ったものの、矢張り君の伴侶となる男は羨ましいので、僕は精々大きな壁に成るとしよう。……ふふ、僕が朽ちる迄か、君が其れで良いなら構わないとも。ダンピールが短命か長命かは分からないが。（最後は独り言のように呟いて、話の合間に紅茶を煽る。ひとつ緩やかな吐息を零した後、僕も安心だと笑って）女の子達も既製品の方が安心だろう？台所に立つ僕が見たいなら、そうだねェ、明日のおやつは手作りしようか。パンケェキ程度なら作れるよ。（逆側に首を傾けて彼女の反応を待つ）オヤ、お返しは君が作ってくれるのかね。それは有難い、女性の好みはよく分からないので、是非お願いしたい所だよ。
エレニア・ファンタージェン 2019年1月19日
ふふふー。エリィがお嫁に行くときも先生の式神さんを貸してね。そうしたら嫁姑戦争も安心ね。(あまり嫋やかではない方向に間違った結婚観を披露してから、鯛焼きをもう一口。)そうだわ、先生はダンピールだったわね。ダンピールって、人間よりも長生きをしそうだから、それなら寂しくないわ。きっとあと何世紀か事務所をしましょうね。あ、明日のおやつはパンケーキを是非。(物凄く気の長い話と明日のおやつを同列にしてから、晴れやかに笑った。)ホワイトデーの贈り物には意味があるらしいから、少し調べてみようかしら。本命です！みたいなのを間違えて作ったら修羅場だし……(そろそろ冷え始めた鯛焼きの残りを食べて、ご馳走様の挨拶を。立ち上がると、歩数で覚えている窓辺のロッキングチェアへ、今は杖音の混じらぬ足音を向けながら)先生、式神さんにレコードをお願いして欲しいの。今日はね、ショパンの……ええっと、何かそれっぽいもの。
神埜・常盤 2019年1月21日
構わないとも、君の側に式神を置いて定期報告をさせよう。どの子が適任かなァ。（気の早い話をしながら、カップを何度も傾ける。言葉を交わす事に意識を向け過ぎて、冷めた紅茶の味など最早気にもならなかった）長生きしそうだよねェ。君と事務所を続けるならば、せめて見苦しくないよう若作りを心掛けるさ。（苦笑を口の端に纏いながら、鯛焼きの尻尾を食んで）ホワイトデーの返礼に本命など有るのかね、其れは初めて聞いたなァ。僕ならお手軽に飴などを配り歩く所だが。（他人事のよう感心しながら、立ち上がる彼女を視線だけで見守って）あァ、ショパンだね、良いとも。今日は……雨だれにしようか。（指を鳴らせば何処からか現れる、振袖袴にエプロンを合わせた給仕の如き若い娘。人形じみた動きで目的のレコードを取り出せば、其れへと静かに針を落とした。繊細な鍵盤の音色が響いて）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月24日
誰が良いかしら。先生の日常に差し支えないかたが良いわ。でも、そうすると誰も適任がいない気がしてしまうから、難しいわね。(可笑しそうに笑いながら、陽だまりの中で今は不安定に均衡を保つチェアに腰を下ろす。苦笑を孕んだ声音にゆるりと顔を向けて)美人薄命というのはきっと嘘よ。美人も長生きをするし、そうして、美人はいつまでも美人なのだわ、きっと。それに、エリィには先生のお顔はよく見えないから、先生はいつまでも今の先生よ。(目を閉じて背凭れに身を預けながら、弧を描く椅子の脚が齎す緩やかな揺らぎに身を任せる。)……先生。(気になるワードにぱちり、目を開けて)キャンディは、好きですの意味だと、どこかの俗説が。嫌よ、三月の下旬に痴話喧嘩の解決の依頼が殺到するのだとかは……あ、この曲、好き……(僅かに緊張を孕んだ声音から一転、マタタビを前にした猫よろしく、頬を緩ませる。ロッキングチェアをゆら、ゆらり)
エレニア・ファンタージェン 2019年1月24日
ふふふー。エリィのギャラリーは、そんなに堅苦しくないわ。いつかヤドリガミになりそうな、未来のお友達の宝庫なの。こんど、ジュジュさんも遊びに来てくださるんですって。楽しみね。(好きなものの話が続く。蕩けそうな笑みを禁じ得ない。)あ、式神さん、ごめんなさいね。エリィのティーカップを取ってくださる？
神埜・常盤 2019年1月25日
そうだなァ……お手伝いのこの子は必須だし、戦う時に力を貸してくれる子も要るし、小さい式神たちは何かと役に立つ。――そうだ、デリバリィサァビスなど如何だろう？電話ひとつでピザの宅配のように、君の元へ必要な子を届けようか。（罰当たりな事を平気で宣いながら、チェアに揺られる彼女を眺める。柔らかな日差しを浴びる白い娘の姿は、まるで絵画のようで様に成っていた）君はそうだろうねェ、その美しさは未来永劫翳る事など無いように思えるよ。……ふふ、そう言ってくれるのは有難いが、老木の様な男と歩いて居るなどと君が指を差されては可哀想だ。なるべく此の顔を維持することに、――“好きです”？（キャンディに秘められた意味に、思わず自分の話を遮った）正直、一番手軽なお返しだと思ったんだが……誰だね、そんな意味を与えたヤツは。危うく僕が元凶の修羅場を引き起こすところだった。（雨垂れの調べに耳を傾けつ、恨めしそうに瞼を伏せ）
神埜・常盤 2019年1月25日
そうか、彼等も長く愛されれば、君のように素敵な子に成りそうだねェ。もし彼等が人の身をもつ事が在れば、是非僕にも紹介してくれ給え。（待っているよ、と怜悧な瞳を柔らかく緩めた）（声を掛けられた式神は、盆に一旦カップを乗せ彼女の席へと運び直す。ぎくしゃくとした目礼を零せば、其の侭後ろに下がり次の指示まで待機の姿勢）
エレニア・ファンタージェン 2019年1月26日
デリバリィサァビス！お電話ひとつで元気な式神をお届けだなんて、すごいわ。先進的ね。それならエリィも、ギャラリーの子達がヤドリガミになったら、ヤドリガミ派遣サァビスをしようかしら。(罰当たりという認識はないらしく、嬉々として乗っかった。式神が運んでくれたティーカップを会釈をしてから受け取って、こぼさないようにチェアの振れ幅を少し落として)お年を召した先生もきっと素敵だわ。最近の言葉でイケてるオジい様を略してイケオジだとか言うのでしょう。(勝手に言葉の対象年齢を引き上げながら訳知り顔で頷く。顔は見えずとも居住まいからして優美な探偵が老いるのは想像もつかないようで、別世界のことのような気楽さである。)あら、先生やっぱりご存知なかったの？マシュマロは嫌いだとか、クッキーはお友達だということだとか色々……きっとお菓子業界の陰謀ね。エリィが思うに、何だか飴屋さんあたりが怪しいわ。
神埜・常盤 2019年2月9日
ヤドリガミの派遣サァビスも良いねェ！話し相手になったりするのかなァ、僕も是非利用してみたい。その暁には何を頼もうかなァ、お茶の相手はエリィさんが居るから……チェスの相手でも。（空になった己のティーカップに新たな琥珀を注ぎながら、つらつらと夢物語を語る様は愉し気で）ふふ、僕は歳を取った自分なんて想像もつかないが、イケオジになれそうなら先ずは安心だ。（君の審美眼を信じている、と。冗談めかす言葉は存外に優しく響いた。お返しの話に話題が移れば、難しそうに眉を寄せて）ンン、僕もそう思う、恐らく飴屋が犯人だろうねェ。――マシュマロ屋に恨みでもあったんだろうか。（とりとめの無い言葉を好き勝手落し、紅茶を煽るように飲む）
エレニア・ファンタージェン 2019年2月18日
家事も介護もお喋りも戦闘も、何でもこなせる派遣サァビスね。世の中の問題の半分くらいが解決するかしら？そうしたらエリィの余生は偉大な実業家になるのに違いない……あ、先生。チェスをなさりたいの？エリィ少しならチェスが出来るの。こう見えて負けたことがないのよ。(負ける前に飽きて投げ出すだけ…というのは後日の話。いかにも自信ありげに嘯いた。ゆらゆら、緩く広くチェアを揺らしながら、手にしたカップに口付ける。)そうしてみたら、歳を取るのだって、悪くないことかもしれないわ。老いるのではなく、生き残るということだもの。エリィはずーーーっと先生を近くで眺めているのだわ。……あら、やっぱり先生もそう思う？飴屋さんがダウトよね。きっと販売先を奪い合ったとか、原材料の砂糖の仕入れで揉めたとか、往来で靴を踏まれただとか、深い恨みがあるのでしょうね。チョコフォンデュにマシュマロは絶品なのに！
神埜・常盤 2019年2月23日
画期的だよねェ。問題は時間がかかり過ぎる事くらいかなァ。エリィさんが偉大な実業家に成った暁には、……美味しいウヰスキーでも奢って貰おうかね。（冗談めかしながら、自身のカップに紅茶を注ぎ足し）おや、エリィさんはチェスが得意なのかね、其れは良い！ チェスは口頭でも遊べるから、足腰立たなく成っても、君に構って貰えるという訳だねェ。……然し、僕はあまり強く無いからお手柔らかに。（歳を取るのも成る程悪く無い、と。感傷を噛み締めつ、たい焼きの最後の一欠片を口へ）全く、食べ物に罪はないのにねェ。……あァ、チョコフォンデュと最も相性が良いのはマシュマロだと僕も思う。個人的にはパンケーキも捨て難いが。（揺り椅子で寛ぐ彼女を眺めながら、面白そうに相槌を打ち）
エレニア・ファンタージェン 2019年3月6日
ううん、確かに……100年は少し長いわね。エリィも流石にもう100年を待つのは退屈してしまいそう。ヤドリガミ促成マシンを作ったらなお画期的なのでしょうけれども、メカニックというものはからっきしだわ。(もの思うように遠い目をして、もう温い紅茶の最後の一口を飲み干した。)あら、エリィはチェスにはチェス盤がまだ必要よ。先生の老後の楽しみにお付き合い出来るようになるまでには、たくさんチェスを教えていただかなくては駄目みたい。(それもまたヤドリガミの派遣と同じかそれ以上に気のながい話だ。空のカップに気付いた式神が紅茶を注ぎ足し、レコードはいつの間にか変ロ短調の諧謔曲を奏でている。)パンケーキ……そう、パンケーキ！先生、ここから２つ向こうの通りに美味しいパンケーキを出すカフェが出来たのをご存知かしら？エリィ行ってみたいと思うの。でも、少し、並ぶのよ。
