【1:1】その瞳の先に何を視るか
ベスティア・クローヴェル 2020年6月4日
常夜の世界で蝋燭の明かりが爛々と輝く中、ソファーで横になり微睡み続ける
何かをしようにも、不自由な右腕を抱えたままでは何も出来ない
起きていれば考えすぎて、うっかり机に右腕を叩きつけてしまいそうで、
かといって暗い部屋で眠ってしまえば悪夢で飛び起きる
だから、明るい部屋で微睡むくらいが今は丁度いい
▼
約束した人と
期間は「1:1がスタートしてから最長一か月」
キリがいいか、1週間ほど反応がなければ終了
0
ベスティア・クローヴェル 2020年6月4日
(安らかな寝息をたてつつも、ピクピクと動く耳)
(時折うっすらと目を覚ましては、起き上がる事もなく。しばしぼーっとして再び寝息を立て始める)
ナハト・ダァト 2020年6月4日
……。(話すべき考えは、纏まった。後は、入れて貰えるかどうか。)
立っていてモ、仕方無イ。(呟くと、扉を叩いて)
──……べスティア君。居ル、だろうカ?
ベスティア・クローヴェル 2020年6月5日
(ノックの音で目が覚める。目を擦ろうとして、腕が不自由な事を思い出した。ほんの少しため息を吐いた後、僅かに動く指先で目を擦る)
(ノックして入ってくるような相手に心当たりもなく、不思議そうに扉を眺め、外の相手に聞こえるよう大きめの声で返答をする)
扉なら開いてるよ
ナハト・ダァト 2020年6月5日
そうカ。でハ、失礼。(するりと、通り抜けるように現れた黒泥。)
……。(元の形を取り戻したようで、「瞳」が2つ、少女を捉え。)
久し振りだネ、ベスティア君。(響く声にも、何ら変化はみられない。)
ベスティア・クローヴェル 2020年6月5日
(中へと入って来たナハトの姿を確認すると、興味が失せたかのように再びソファーに横になる)
私が落ち着くまで会わない方がいいと伝えたはずだけれど
それとも、その約束を破るくらい緊急な用事でも出来た?
ナハト・ダァト 2020年6月6日
……どウ、なのだろウ。(伏せるように横たわった姿では見えない様に「瞳」を隠し)
来た以上、反故ニついテ弁明ノ仕様ハ無いガ。(カチャリと、首元から金具の外れる音がする)
これハ、多分。「意思」トいう物なのだろうネ。(外していたのは、最も大切にしていた「啓示」)
今ノ君だかラ、会いニ来たんダ。
ベスティア・クローヴェル 2020年6月6日
私は律義に約束を守っているのに、主治医であるナハトが約束を違えるのはどうかと思うけれど、ね
(しっかりと固定された腕をナハトに見えるように持ち上げて、軽く腕を振る)
今の私だから会いに来たというけれど、腕ならまだこの調子。これが外れるにはまだ時間がかかる
そういうわけだから、まだ会うには時期尚早
(そういうと固定された腕を下ろし、自由に動かせる左腕で「シッシッ」と追い払うように手を振った)
ナハト・ダァト 2020年6月6日
あア。ソノ様だネ……。(頷きながら、「啓示」を触手の内に握りしめる)
……。(すると、あっさりと。砕ける音を響かせて、金属片が飛び散り。)
なラ、「待つ」ヨ。君ガ、再び姿ヲ見せテくれるまデ。(舞う金粉を捉えながら、泥は「意思」を告げる)
私にハ、もウ。意味ガ無イ。(残された「瞳」だけが。虚ろさを現して)
「待つ」事だけガ、私ノ意味ダ。(生きることも、滅びることも。元より全て、「啓示」ありきで。)
ソノ為だけニ、私ハ在ル。……何故、ソウするかハ。分からないガ。
答えガ分かル。その日まデ。(ただ一つ、約束を忘れられずに。泥は選択を行った)
君ヲ、「待って」いるヨ。(光を捨てる道を、選んだ)
ベスティア・クローヴェル 2020年6月7日
(一度閉じた瞳を開いて、ゆっくりと起き上がる。そして深いため息。目の前に立つナハトの姿を見て、もう一度ため息を吐く)
その言葉、家族の前でもう一度言ってごらん。きっと、とても怒られる
(目を合わせないよう窓の外を眺め、淡々と言葉を紡ぎ始める)
待っていてくれるのは嬉しく思う
けれど今の貴方の言葉は、大事な家族の事、友人の事、そういうものを一切考慮に入れていない
慕ってくれる人がいるのに「意味がない」というのは、相手の事を侮辱しているに等しい
ベスティア・クローヴェル 2020年6月7日
(しばしの沈黙。蝋燭の燃える音だけが部屋の中に響く)
(眉間に皺を寄せ、何度も言い淀み……意を決したようにナハトを見据え、ゆっくりと口を開く)
一度、話しておいで
そのうえで、「待つことだけが存在する意味だ」と言うのであれば、私は貴方の前から消えなければいけない
貴方の家族の幸せを壊してしまうことになるのだから
一体、どの面を下げて会いに行ける?
お願いだから、私にこれ以上「他人の幸せ」を壊させないで欲しい
ナハト・ダァト 2020年6月8日
(見据えた視線の先で、変わらず姿を保ち続けて)
…今ニ始まったタ事でモ、無イ。元々、「啓示」が無けれバ、私は私ガどう在ってモ。良かったノだかラ。
ソレに、考慮モしているサ。……失っタ私は、果たしテ今後。どノ様に君達ト接するのカ。試す意味モあル。「個」ニ固執しテ、「全」ヲ失ってハ。私モ、「叡智」を失っテしまうからネ。(語る度に光る「瞳」が灯す意味は、果たして何だろうか)
ナハト・ダァト 2020年6月8日
(蝋燭が照らす室内の窓に、映る影の形へ視線を動かして)
幸せ……とハ、何だろうカ。私は唯、未来ガあれバ良いト。皆ニそれガ、与エられル様、活動しテいたニ過ぎなイ。
其処にハ、君達ノ言ウ悲しみモあるシ、怒りモあル。
望まない者ヲ、私ハ無理ニ幸せにハしなイ。
ソウ願った者だけガ、「幸せ」といウ定義ヲ決めテ。私ハそれを導いタだけだヨ。
…君ガ幾ラ、壊したト言ってモ。それは「幸せ」ト決まった訳でハ無イ。
形ハ個々人デ決める物ダ。それとモ、ベスティア君ハ。私ノ形を、知っているのかネ?私モ今、探していル途中なんダ。(映る影は揺らめき、形を保つ実体とは裏腹に抱え込む闇を広げている)
ベスティア・クローヴェル 2020年6月8日
……そう
なら、私自身の命にはもう意味がない
いつ燃え尽きても構わない。燃え尽きるまでに、少しでも多くの人が救えればそれでいい
だから、もう私を治す必要も、延命の方法も探す必要はない
(目に涙を僅かに浮かべ、今にも泣きそうな顔で苦笑いを浮かべる)
なんて言ったら、ナハトは怒るでしょう。それと同じ事
大事な人が自らの命、存在を意味がないと言うのであれば、悲しむのは当然
そして私がそこまで追い詰めてしまった、というのであれば責任を取らなければいけない
幸せの形は人それぞれかもしれないけれど、悲しみは幸せの対極に位置するものだ
ナハト・ダァト 2020年6月9日
……。(例え少ない光源であろうと、「瞳」は正確に少女の涙を捉える)
……。(近付こうとして、「視た」知識歩みを止めて)
同じ事ヲ、以前言われたナ。
だガ、追い詰めタというのハ。間違いダ。
君ニ告げタ、約束ヲ守る為ニ。必要だト考えテ、行っタ。ソレは、捨てるニ値するト。判断したんダ。
治す為ニ、命ヲ懸けるのハ当然だかラ。
だガ、切っ掛けトなるのハ。わたしでハ無いらしイ。(背を向け、扉へ振り返る)
……責任ト言うのなラ、「死」だけハ選ばなイ事ダ。ソウなれバ、簡単ニ。同様ノ選択ヲ取る者ガ出始めル。
ソレは「瞳」ニ、収めたくなイ。
(ドアノブへ触手をかけ)
対極ト言うなラ、何れ巡ル。振り子ト同じサ。
「悲しみ」が無い世界ニ、「幸せ」モ無いヨ。(静かに開けて潜る)
……間違いト言うなラ、伝えニ来給エ。
君ガ、「死」ヲ選ばなけれバ、ネ。
だかラ、「待って」いるヨ。(告られるだけの言葉で、部屋を後にした。)
ベスティア・クローヴェル 2020年6月11日
(出ていく姿を見送ると、僅かに溢れた涙を拭って蹲る)
(簡単に死ぬつもりはないけれど、どうすれば彼等の姿と声が消えるのかはわからない)
(自由になる腕を伸ばし、蝋燭に灯った火を握り潰す。今はこの僅かな明りでさえ煩わしい)
私は、どうすればいいのだろう、ね……。