0
【噺】霧雨ガ降ル三番通ニテ

神埜・常盤 2020年5月12日


未だ昼間だと言うのに――。
鈍色の雲は天の帳を覆い隠し、
某所三番通りの商店街は夜の様相を見せていた。
ガス灯が茫と昏い路を照らせども、
行き交うひとの影は無い。

さめざめと霧のように降り注ぐ雨のなか、
黒い蝙蝠傘をさした男が、ひとり。

* * * * * * *

☞雨の日のサクラミラージュにて。
☞ 初見・既知問わず、先着1名様と1:1を。
☞置きレス式。30レスを目安に〆。
☞噺が2週間途絶えたら御仕舞い。




0





神埜・常盤 2020年5月12日
(踊るようなステップを踏み乍、雨のなかを男は征く。生憎の天気ゆえに、擦れ違う者は無く――。路の真ん中を堂々と闊歩しては王様気取り。)……あァ、愉快。(子供のように傘をくるくると回せば、雨粒が楽しげに跳ねた。)
0
ティア・メル 2020年5月12日
(遠くで軽やかに舞う人物の姿を捉えた。それは地を打つ雨音に合わせたダンスのようにも見えて――瑠璃色の傘の下、姿を半ば隠しながら)…踊ってるの?上手だね。ダンサーさんかな?(ひたりと近付いていく。あわいを挟んで話しかけた。さざめきに紛れた声は聞こえたろうか)
0
神埜・常盤 2020年5月12日
(耳朶に捉えた聲に、――ぴたり。動きを止めてゆるりと振り返る。蝙蝠めいた帳に貌を隠しながら。)……あァ、とても良い気分でつい。勝手に脚が動いてしまったようだ。(ダンサァではないけれど、なんて頸を振りながら。あわいの向こうで男は笑う。)そういう君はお散歩かね、お嬢さん?
0
ティア・メル 2020年5月13日
(雨の合間を縫う笑い声に楽しげな鈴音が応える。表情を隠す瑠璃の傘をくるりと回した)んにー。ダンサーかと思ったよ。目を奪われちゃった。あなたは雨が好きなのかな?(女は悪戯めいた仕草で爪先を浮かせる。地面を軽く叩くと涼やかな音が跳ねた)わたしはね、揺蕩ってたんだよ。海が降る世界を味わいたくてさ。
0
神埜・常盤 2020年5月13日
(跳ねる水音、転がる鈴音、どれもこれもが愉しくて。くつくつ、男の喉が微かに鳴った。)お目に留まったなら、光栄至極。……あァ、雨は好きだとも。此の目に陽の光は、聊か眩し過ぎるからねェ。(さめざめと降り注ぐ水滴に手を伸ばし乍ら、僅かに空を仰いでみせる。男の貌は相変わらず隠れた侭で、)――“揺蕩う”か。君にとって此の雨は、海の雫なのかな。
0
ティア・メル 2020年5月14日
(感情はさざなみのように伝播する。幼子じみた笑い声を転がした。雨が好き、その一言がひどく嬉しい)あなたの目は雨に濡れてる時がいっとう綺麗なのかな。陽の光は苦手?(傘は仮面のよう。小さな手を傘の合間から伸ばしても、満ちる事なく流れてしまう)そうかもしれないね。海水も水はわたしにとってはあんまし変わんないから。―――雨の日は日常の空気が遠くて、まるで別の世界に紛れ込んだ気すらしちゃうよ。なんて、ロマンチスト過ぎるかな?
0
神埜・常盤 2020年5月14日
(蝙蝠傘をくるくる回しながら、その中にて首肯する。)――あァ、眼が眩んでしまうから苦手なんだ。だから此の眸がいっとう綺麗に輝くのは、月の光を浴びた時さ。(雫を弾く仮面の向こう、男は牙を覗かせた。その鈍い煌めきは、彼女の眸に届いただろうか。)……ほう、君は水に馴染みが深いようだねェ。もしや、海の生き物なのかね?(静かに頸を振りながら、水溜まりを爪先で蹴る。軽やかな水音が響き渡った。)いや、素敵だと想うよ。雨の日は昼間でも仄暗くて、僕もついつい違う世界を思い出す。
0
ティア・メル 2020年5月15日
(その眸を見てみたい。好奇心に駆られて一瞬だけ傘から桃色の髪を覗かせる。仮面に透けた牙を視認すると再び瑠璃の傘に篭った)――んふふ。素敵な牙だね。月の下でこっそり何かを食べたりするのかな?(件の眸を映す事は叶わなかったけれど心が弾む。雨に紛れるには余りに惜しい煌き)ぴんぽーん。歌とダンスが好きなセイレーンだよ。あなたの音は綺麗だね。もっと聞かせて。(紡ぐ言の葉は軽やかに。弾く水音は涼やかに。瞼を閉じて聞き入る)どんな世界を思い出すの?あなたにとって好ましい世界?
0
神埜・常盤 2020年5月15日
(仄暗い世界にふと、可憐な桃色が其の彩を覗かせる。眸の端にそれを捉えれば、傘の仮面に再び貌を隠して。)あァ、月夜にこっそりと、――異形をね。(ゆるりと紡ぐ言の葉に、戯れるような響きを乗せる。猫を撫でる如き聲は、まるで真実を煙に巻くかの如く。)セイレーン、新しく縁が繋がった海の乙女か。どうりで綺麗な聲をしていると思った。僕のタップダンスで良ければ、存分に披露するけれどねェ。――僕は君の歌声も聴きたいなァ。(いっそ幼稚な程に、水溜まりの上をちゃぷちゃぷと跳ねる。此の音は君の耳を楽しませることが出来るだろうか。)……思い出すのは常夜の世界。退廃的で碌でもない、窮屈で厭な世界さ。
0
ティア・メル 2020年5月16日
(一瞬透けた仮面の向こう側。何が隠されているのか。手を伸ばしたくなる衝動を堪えてゆびさきを丸めた)にゃはは。狼男みたい。あなたに食べてもらえる存在はきっと幸せだね。こっそり食べるそれは、どんな味がするの?(事実かどうかは気にせず、楽しげにいらえる。興味を擽る事がひどく上手い人だ)わたしの声はあなたの好みかな?タップダンスに合わせて歌うっていうのはどう?雨を一緒に奏でてみようよ。(水音はひとつの音楽のよう。合わせて水溜りをとんとんと靴先で叩いた)厭な世界、か。(瑠璃色の傘を傾けて漸く姿を露わにする。一歩だけ彼の方へ踏み込んだ。てらいない笑みを向けて)初めまして、わたしはティアっていうよ。雨が窮屈なものを彷彿させたら悲しい。だからさ、一緒に楽しい事をしようよ。たくさん遊んだら、その世界が遠くなるかもしれないじゃない?
0
神埜・常盤 2020年5月17日
(そんな君の気持など露知らず。ははは、なんて如何にも愉快そうに男は笑う。)惜しいなァ。僕は吸血鬼さ。だからそう、――密やかな馳走は甘くて苦い罪の味だ。(跳ねる水音に沿うように、君の靴先は軽やかなメロディを紡ぐ。あゝ、センスと繊細さが在れば、同じ遊戯とて此れ程までに差が在るのだ。)綺麗な聲のひとは素敵だと思うよ。歌が上手いひとはもっと素敵だ。だから、其の提案は嬉しいなァ。僕のタップダンスで良ければ幾らでも、その調べに彩を添えてみせよう。(淑女が仮面を脱いだなら、此方も脱ぎ去るべきだろう。同じく傘を傾けて、紅の双眸を露わにする。一歩だけ、君の方へと歩み寄った。)此方こそ初めまして、僕は神埜――神埜・常盤だ。ティア君は優しいねェ。勿論、異を唱える筈もないとも。雨を共に奏でたら、モノクロの世界にも色彩が溢れそうだしねェ。(空は相変わらず昏い貌で、さめざめと泣いている。一曲位の猶予はあるだろう。)
0
ティア・メル 2020年5月17日
(滴る雨に仮面が溶けていく。紅の双眸は暗闇でも色褪せない宝石のよう)こんなに綺麗な吸血鬼さんなら食べられても本望だろうねー。甘くて苦い味を、いつかわたしも味わってみたいな。(罪を甘美な響きと捉えてしまうのはおかしいだろうか――彼の地を踏む音すら心地が良い。軽やかにお辞儀をした)ありがとう。あなたと音楽を紡げて嬉しいよ。常盤。改めて、よろしくね。んに?優しい訳じゃあないよ。あなたと遊びたかった。あなたとこの世界をひととき塗り替えてみたかった。それだけだよ。(幼子の笑みで傲慢なわがままを零す)どんな曲が似合うかな?とびっきり明るい曲を歌ったら、また新しい常盤の彩が見られるかな?(天の涙を、湿った空気を、拭ってしまうくらいの曲。モノクロが色彩に移ろう様はきっと美しい)
0
神埜・常盤 2020年5月18日
(海を思わせるような、涼やかな碧い眸と目が合う。色彩に欠ける世界のなか、君の姿だけがひどく鮮やかだった。)――ふふ、それは如何だろう。苺を乗せたパルフェの方が、よほど君には似合うと思うケドね。(行儀のよい所作に、此方も腰を追ってお辞儀をひとつ。そんな我儘すら、君が零せば世界を色付ける雫となるような気がして、くつくつと喉を鳴らす。)礼を云うのは此方こそ。世界を塗り替える大役、御用命いただけて幸いさ。そうだねェ……やっぱり明るい歌が良いなァ。新しい僕の彩だけじゃなく、君の違う貌だって観られるかも知れないし、ねェ?(戯れるような科白を紡ぎ乍ら、くるくると傘を回した。ぽちゃん、なんて飛び跳ねる足取りは先ほどよりも楽し気だ。)
0
ティア・メル 2020年5月20日
(彼の言葉は音楽のよう。ころころと跳ねて、心を軽やかにしてくれる。雨音にも似合うけれど、晴れやかな日にもきっと美しく奏でられるのだろう)んにー?パルフェっていうのが何かわからないけど、悪い子に似合うかな?常盤が思うよりもずっとわたしは悪い子だからねー。(滑らかなお辞儀は紳士としか言いようがない。いくら天の涙に濡れようとも、彼の華やかさは変わらないようだ。少しばかり拗ねてしまう)こーんなに綺麗な姿を仮面の下に隠してたなんて、びっくりだよ。…うんと明るい曲にしよっか。あなたとわたしで世界をひととき塗り替えよう。目が眩むような彩を見せて。あなたのお貌をもっと見たいな。わたしの貌も見てみて。(かろやかな水音に蜜をふんだんに詰め込んだ歌声をのせていく。傘を一緒に回して、楽しくて仕方がない子供みたいな笑顔を浮かべた)
0
神埜・常盤 2020年5月22日
おや、悪い子なのかね。(そうは見えないけれど――なんて。男は薄く笑み、緩やかに頸を傾ける。)悪い子の食べ物かは分からないがね、君のような可憐なお嬢さんにはよく似合う。アイスクリンをふんだんに使ったスイーツなのだから。(甘美な冷菓子はきっと、乙女にこそ相応しい。つらりと語るこの口は、惜しみなく降り注ぐ誉め言葉に三日月を描いた。)ふふ、ティア君こそ。其の身に纏う華やかな彩を、傘に隠して仕舞うなんて勿体ないなァ。(可憐な桃色は雨の世界によく映える。ゆえにこそ、仮面の存在が惜しくて堪らない。この男もまた、幼稚で我儘なのだ。)――ご随意に、お嬢さん。(乙女の甘やかな調べに合わせて、ズンチャッチャとステップを踏む。くるり、くるり。ターンを披露すれば、ちゃぷちゃぷと雫が跳ねて君の歌に水彩の響きを添えた。)
0
ティア・メル 2020年5月24日
わーるい子だよ。アイスクリンって何かな?いつか教えて?雨が上がった日にでもさ。(降る水を楽しみながら、天の涙が泣き止んだ時を待つ)にゃはは。常盤は褒め上手だね。ぼくは、この仮面すら、傘すらいらない。真正面から君が見たいよ。(さあさあと音を立てるカーテン越しでは我慢出来ない。幼い見目をした強欲な女は手のひらを上へ向けた)えへへ。楽しいね。世界を塗り替えてる。―――ほら、見て。(鳴り止まない歌声。雫に跳ねる鈴音のステップ。音楽に合わせたみたいに、雲が揺れる。ぽたり、ぽたり、勢いが弱まっていく。舞踏会の終わりを告げるように、水溜りに微かな光が反射した)
0
神埜・常盤 2020年5月24日
ふふ、構わないよ。そうだねェ、此の雨が止んだら……君にご馳走しようか。(フルーツパーラーなら此の商店街にも有るのだ。霧雨の向こう――ぼんやりと佇む店に流し目くれ乍ら、雨音のタップをひとつ。)其れが君の望みなら、もちろん喜んで。この調子なら天も機嫌を直して呉れそうだからなァ――……。(掌の行方を双眸で追い掛ければ、どんよりした雲が帳から去って往く。思わず脚を止めて、静かに瞠目した。)
0
神埜・常盤 2020年5月24日
(差し込み始めた光が水溜まりに反射して、きらきら、きらきら、何とも眩い。チカチカする視界に目を細め乍らも、口許のほころびは止まらない。あゝ、――本当に世界を塗り替えてしまった!)……ははは、お見事。(傘を閉じれば、白昼に其の姿をすらりと曝す。陽の光が似合わぬ男は、海より出でし歌姫に、万感の拍手を降らせたのだった。)
0
ティア・メル 2020年5月25日
やったっ!約束だよ。常盤とアイスクリンを食べられるの、楽しみにしてるね。(終幕の合図に傘を閉じる。晴れやかな空気の向こう、彼の姿をしっかりと映して)やーっと会えたね。雨の中のあなたも綺麗だけど…うん。霞まないあなたも綺麗だよ。(同じように手を打ち鳴らす。弾けた音が青い空に吸い込まれていく)にゃはは。塗り替えたね、常盤。わたし一人じゃあ出来なかった。これはあなたが居てくれたから呼び寄せられた奇跡だよ。(陽の下でも彼はいっとう眩い。天の涙を拭った存在に溢れんばかりの喝采を)
0
ティア・メル 2020年5月25日
んにに。雨は止んだよ。アイスクリンの約束は有効だよね?(濡れた地面の上をぴょんぴょん跳ねて近寄っていく。水溜りが滲んだ)常盤。連れて行ってくれる?(静謐に紛れていた商店街のさざめきが伝わってきた。悪戯っ子みたいな、待ちきれない子供みたいな笑顔で彼へ手を差し出す。傘はもういらない。代わりに――冷たい甘味が添えられた、あなたとの時間が待っているはずだから)
0
神埜・常盤 2020年5月26日
あァ、漸く其の姿を見せてくれたね。御機嫌よう、可憐な花の如き君。(雨上がりの済んだ空気が、穏やかに肺を満たして行く。雫に濡れた傘をゆるりと纏めれば、再び腰を深く折って見せた。)あァ、この結果は君の素晴らしい歌声の賜物だと思うケド。――僕も役に立てたなら何よりさ。(この先きっと、雨に降られる度に今日のことを思い出すのだろう。己の裡に宿る記憶迄、塗り変えられてしまったこの時のことを――……。)
0
神埜・常盤 2020年5月26日
勿論さ、とびきり美味しいのをご馳走しよう。(にぃ、と口端から牙を覗かせて笑う。白手袋に包まれた手が、差し伸べられたあえなか指先を丁重に取った。)――では、参りましょうか。お嬢さん。(今ばかりは紳士らしく、水溜まりを避けて歩く。甘い馨に包まれたフルーツパーラーはきっと、ふたりを待ちかねているだろう。)(ささやかな舞踏会の余韻に惹かれたように、天の帳に淡色の虹が其の姿を覗かせていた――。)
0
神埜・常盤 2020年5月26日
〆 (お付き合い有難うございました!)
0