【幕間】忘れられない顔と声
ベスティア・クローヴェル 2020年5月2日
扉を開けると中は暗く、明かりの一つもついていない
目を凝らすと、部屋の隅で狼が小さくなって震えている
何かに怯えるように、「ごめんなさい」と必死に謝り続けながら
過去の人殺し
【
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22502】
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ベスティア・クローヴェル 2020年5月2日
ごめんなさい……本当にごめんなさい…
(震える手を組んで許しを請う。扉を開ける音も、呼びかける声も聞こえていない)
亀甲・桐葉 2020年5月3日
――ベティさん、
(あの花庭から追った背中。消えてしまいそうに弱々しくて、掌からすり抜けてしまいそうな気がした。いてもたってもいられなかった。だから――追いかけて来た)
(みたびのノックも、声も、届かなかった。不躾に扉を開く。音が聴こえそうなほど、けれど小さく震えるあなたを見るのが苦しくて)
(出来ることといえば、無責任な言葉を吐くことと)
(そっと、近付いて手を伸ばそうとすることしか)
ベスティア、さん。ベティさん。
あなたを咎めるものは、此処にありません。……だいじょうぶ、だから
ベスティア・クローヴェル 2020年5月3日
-----あ、え……? きり…は……?
(伸ばされた手が触れて、人がいる事に初めて気付く)
(見上げる顔は今にも泣きだしそうで、普段の気丈な姿は欠片も見られない)
どうして、ここに?
(やっとの事で絞り出した声は、何故と問うことで精一杯だった)
亀甲・桐葉 2020年5月3日
勝手に入って、ごめんなさい。ええと、その……
(顔を上げた彼女の揺らぐ瞳につられそうになったけれど、か細くも発された声に安堵する。ちいさな小さな笑みが零れたのは、少しだけ気が抜けたのと)
……自分の無機質な部屋に帰るのが、こわくて。追いかけてきちゃったんです。
(――自嘲の笑み。後ろ手に心配を隠して告げたのは、それだって少しの本音だ。消えてしまいそうだったから、なんて尚更、口が裂けても紡ぎたくはない)
ベスティア・クローヴェル 2020年5月3日
そう、か。ごめんなさい、変な所を見せてしまって
(この暗い部屋に見知った人がいる事に僅かに安堵して、目頭を拭う)
(さっきまで聞こえていた声がなりを潜め、屋敷の中は二人の話し声以外に音は聞こえない。それでもやはり不安げで、頻繁に視線を彷徨わせる)
(立ち上がって蝋燭に火を灯す。そして本当にそこにいるのかどうか、確認するようにそっと触れる)
よかった…。本物だ