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【●1:1RP】約束の碑

泡沫・うらら 2020年4月26日


陽の明かりが一日の役目を終え、海の向こうへと暮れ征く刻。

最後の悪足掻きとばかりに陽の赤は海面をその色に染め、
その赤は崖上で聳える夜の灯火の元へも伸びる。


此処は、忘れ去られた海の果て。

人の足が向かなくなって幾数年。
最早存在すらをも忘れ去られた廃灯台端で同じく朽ち征くを待つ碑文を前に。


女は、謡う。
誰に聞かせるでも無く、誰に届けるでも無く。


ただ胸打つこのざわめきを、誤魔化す為に。




イディ・ナシュと泡沫・うららの1:1RP
キリの良いところで〆






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泡沫・うらら 2020年4月26日
(遠く、遠く。暮れ泥む日に向けて)(哀愁が故? 郷愁が故? 胸に浮かぶ可能性はどれもこれもが腑に落ちない。ただ――、黙ってはいられないから)(むずがる気持ちを誤魔化す様に喉を揮い、唄を、奏でる)
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イディ・ナシュ 2020年5月2日
(一つ二つと道を確かめるように緩やかに歩を刻んでいた足は、潮風に流され届く旋律を知ればぴたりと止まった。岬に向けた眼は、斜陽に眩んで薄く細まる。けれども狭い視界でも、灯台と、それから人らしき姿は見て取れて。再び進めた足は、迷わず歌い手との距離を縮める為。声を掛けなかったのは、奏でられるそれを途切れさせるのを憚った故に)(さり、と小さく土を踏む音だけが、来訪を知らせる)
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泡沫・うらら 2020年5月4日
(来訪者の存在を乾いた土壌が報せれど、奏でる唄は已まず停まらず。記憶の欠片をなぞり、辿る)(裡に浮かぶ想い出は、いつだって輝いていて。安易だけれどしあわせだったのだと、悠に、語る)
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イディ・ナシュ 2020年5月5日
(岬から臨む先の水面も、平時は白さを見せているのであろう灯台も、何もかも、斜陽を受けて世界を茜に染め上げている。逢魔が時と呼ぶに相応しくはあろうとも、禍つものと一線を画して見えるのは――届く歌声から滲むものが、余りに愁嘆の色に溢れているからだろうか。誰かに届けるつもりの歌ならば、邪魔をするのは野暮だろう。歌い終えるまでを待つつもりで足を止め、ただ、目礼だけを数歩離れた彼女へと)
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泡沫・うらら 2020年5月9日
(瞼の裏で歌う“彼女”がしあわせそうに笑んだから。今日は――、お終い)……イディさん。こんにちは。それともこんばんは?(暮れ泥む夕陽は直に夜が来ることを示していて。先程の面影はどこへやら。顔馴染みの来訪者へ向け、ゆるやかなかんばせを向けた)
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イディ・ナシュ 2020年5月10日
……この時間帯はどうしても、ご挨拶に迷ってしまいますね。ごきげんよう、と申し上げましょうか。綺麗なお歌に引き寄せられる舟の心地でお傍にお邪魔いたしましたが、ご容赦頂けますと幸いです。(歌の終わりに、小さな拍手を添えはしたものの、手袋越しに成した音はかそけく潮騒に溶けた。プリマドンナから向けられる柔らかな表情に返す顔は、さして動かぬ無表情であれど、声ばかりは微かに笑んで) …セイレーン、でしたかしら。本で読んだ美しき海の娘がそのまま形を取ったかに見えました。うらら様は、この辺りの土地とご縁が深くいらっしゃるのですか?
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泡沫・うらら 2020年5月11日
せやねぇ……。すっかり暮れてしまったらこんばんはなんでしょうけども。(くすくすとゆるやかに微笑みながら、ドレスの裾を摘まみやおら腰を下げ)御賞味頂き恐悦至極――なんて。ふふ、お楽しみ頂けたなら何より。残念ながら此処らに来るのは指折り数える程やねぇ……。サガシモノを探しに何度か来た事があるくらいです。(ぐるり、辺りを見渡して)イディさんはどうして此方に? お散歩の延長ですか?
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イディ・ナシュ 2020年5月31日
このような心寂しい場所で巡り逢えるとは想像だにできないような耳福でございました。…歌を生業にしていらっしゃっても不思議でないと思うほどに。(そういうお仕事を?と、優雅な礼をとる彼女へと首を傾げて見せて。岬を吹き抜ける風に乗って届く笑い声さえも旋律のようで、微かに双眸を細くした) はい、未だ知らぬ風土ばかりですので、見聞を広めがてらのお散歩に。…サガシモノ、ですか。海に馴染み深い場所にあるようなものなのでしょうか。どんなものをお探しか、お聞きしても?
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泡沫・うらら 2020年6月7日
まぁ、お上手。(音無く指先触れ合わせ。世辞の彩を感じぬ賛辞を素直に受け取り)残念ながら本職の方々には敵いませんよ。只の習慣の延長やさかいに。(記憶をなぞり記録を辿る為、己が持つ一対の海を暮れ征く波間へ向け)……ええ、海に、馴染み深いもの。――うちと同じ成りをした子を、探してますの。あのお店に寄せてもろたんも、何か手がかりがあらへんか思ての事でね?(向き直った表情にはいつもの笑みを張りつけて)
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イディ・ナシュ 2020年6月13日
あら、ではうらら様にとってのお歌とは、もはや御身の一部なのでしょうね。…少し寂しそうに聞こえましたのは、『サガシモノ』の途中でいらっしゃるからなのかしら。(海に馴染みが、と耳にすれば、ついと視線は岬の果てへと伸びた。景色の一部として眺めるだけでも広い、この海に関わるどこかにと云うのならば、巡り合うにはどれだけの歳月を要するのだろうかと。されども馳せる思いは声音に乗らず、歌を血肉として巡らせている女性の声とは違い、来訪した此方の声音はどこまでも淡として、潮風に攫われ) お身内、ですか。では、うらら様と同じ見目の方を見掛けた際にはお知らせ致しますね。…他に手掛かりのような特徴はお持ちなのでしょうか。どんな方なのか、伺っても?(海から視線を転じれば見える、普段通りを装う笑み。なればと、己もいつも通りの振る舞いで合わせ)
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泡沫・うらら 2020年6月16日
(思わぬ返しに暫し押し黙り。ゆぅるり、微笑みを浮かべて)せやねぇ生活の一部になっとると言っても過言やあらへんのとちゃうやろか。それくらい、歌はいつも身近にありますね。イディさんは? お歌は嗜まれます?(いつも静やかな彼女にその印象は無いけれど。話の流れで問いかけて)ええ、是非に。よろしくお願いします。(僅かに強張りを増した表情を悟られぬ様腰を曲げ。再び顔を上げた時にはいつもの様に緩やかな笑みを携え)見た目以外に手がかりになりそうなもんは思い当たりませんねぇ……。うちにとってあの子は、とてもとても大切な、かぞくやの。
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イディ・ナシュ 2020年6月17日
いえ。本の朗読であったり、術の詠唱でしたら幾らか心得がございますが、歌はあまり。…こうして触れてみますと、ただ喋るよりも旋律を用いた方が、沢山のものを乗せられそうだと実感いたしますね。(日々の喜びや悲しみや、いっそ呪であったとしても。溜息混じりの感銘と共に見遣っていた歌姫の表情に、見出した硬さの意図は読めずとも。それを隠すような一礼も受ければ意味は確かにそこに在った。触れてくれるなと伝える壁であり、引かれる線。それに言及する事は避け、畏まりましたと頷くに留め) 大切な家族……そんな方を探さねばならない状況であるのでしたら、さぞご心痛の事でしょう。私にも、義理とはいえ家族は居りますので、身につまされる思いがいたします。(理解できる、とはとても言える話では、ないが。柔らかな笑みを湛えた白い顔を、覚え直すようにじっと見て) 先程のお歌は、ご家族との思い出の一曲なのですか?
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泡沫・うらら 2020年6月24日
貴女の声で紡がれる音はきっと、耳に心地良いやろうねぇ。(瞼の裏にその時を思い描き)これを機に始めてみはります? 最初は簡単な童歌からやなんて、どない?(歌は特別肩肘張るものではないから。あくまでも日々の彩りに足されて然るべきだと容易なものを例に挙げ)……ありがとう、ございます。そのお気持ちだけで、十分。(彼女の心遣いに白魚の頬に熱が点る。あたたかさを増した胸元に手を当て、再びやおら腰を曲げ、敬意を表し)ええ。あの子が好んで、よく口にしていた歌です。想い出深い、一曲やの。
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イディ・ナシュ 2020年7月4日
心地良い、と、いいのですけれど。聞けという念を存分籠めて言葉を紡いだ経験の方が遥かに多いものですから…。(それは寧ろ、呪詛に近いものであるかもしれない。些か恥じたように頭を振って、けれども持ちかけられた提案には、興味深そうに目が輝いた) それは、うらら様に歌のご教示を頂ける……と期待してしまってもよろしいのでしょうか。(それならば二つ返事で練習に取り組みます、と言いたげな前のめり。歌姫のレッスンなど、望んだところで叶わない人の方がきっと多いのだ。再び向けられた一礼すら瀟洒な彼女の、岬に響いた歌の所以を知れば視線がぽつりと佇む建物の方へと流れる。舟が迷わぬためにあかりを灯す、彼女の歌も灯台のようだと思った) …ご家族様も、遠いどこかで同じ歌を歌ってらっしゃるのかもしれませんね。うらら様に会うために。
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泡沫・うらら 2020年7月8日
(予想外の返しに己が持つ花緑を瞬かせ。次いで裡に浮かぶはそうせざるを得ない状況で)あらあらまぁまぁ……。ふふ、それはそれは、随分とお転婆なお客さんたちやってんねぇ。(からころ、楽し気に喉を揺らして)本職の方には遠く及びませんけども、うちで良ければいつでも。お手伝いさせて頂きますよ。(頬に点す熱を残したままゆるやかな笑みを浮かべ。彼女の言葉に誘われるかの様に再び絶えず押しては返す波を、見遣り)そうなら……、いいですね。そしたらきっと、あの子を見つけられるやろうから。
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イディ・ナシュ 2020年7月14日
ええとても。言っても聞いて頂けない方ならば実力行使しか御座いませんものね。(鈴の音のような人魚姫の笑い声を聞きながら、澄まし顔。ゴリ押しタイプであることを、悪びれずに告白した) まあ、有難うございます。歌を教わる機会に与れました折には、うらら先生とお呼びさせて下さいましね。…やはり好きなお歌は、海を題材にしたものが多いでしょうか?(レッスンを請け負って貰えると訊いて、ぽんと弾むように両手を合わせる。彼女とこれまで話を聞く機会を得た際も、会う場所も、概ね海に通じていたのだから、歌もそうなのだろうかと。内陸に住まうが故の強い興味を乗せた視線を、花緑へと転じた) はい。そのお歌がうらら様のよすがであるのならば、きっと。…再会なさった暁には、是非ともお二人揃ってお目にかかりたいものですね。お一人でもこんなに目を惹く存在でいらっしゃるのですから。(倍となれば、華やぎも一入だろうと声音で笑う)
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泡沫・うらら 2020年7月18日
まぁ、先生やなんて。そんな大それたもんとはちゃいますさかい、その呼称はご遠慮下さいな。恥ずかしぃて背中が痒ぅなってしまいますの。その代わりイディさんもうちに何か教えて下さいな。(これでおあいこでしょう? と微笑み)せやねぇ……、海を題材にしたお歌も多いですけど、そもそも“海を題材にしたお歌”かて陸で生まれたもんやしね。好みの旋律さえあれば、海の歌であろうが、陸の歌であろうが、どちらも好きですよ。(海で生まれた歌は音の旋律が重なるばかりで、詩は無いのだと)ふふ、ほなあの子とまた手を繋げた折にはご挨拶に伺いますね。貴女を探すのを手伝って下さった方やのって、ご紹介させて下さいな。(眦を下げ、来るその日へ馳せる様にゆるやかな笑みを浮かべて)
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イディ・ナシュ 2020年7月24日
そうですか?稀な歌い手でいらっしゃるのに。はにかみ屋さんな所もうらら様はおありなんですね。…けれど、知らないものを補い合う、というのも確かに楽しそうです。お渡しできるような特技があれば良いのですが…。精々が家事か読書か、あとは夜歩きぐらいしか。(得意な事を指折り数えて、微かに苦笑を漏らしてしまう。交換条件にするには、あまりに己の差し出せるものはささやかであった。海の歌の話になれば、視点の違いに暫し呆けたように言葉を無くし、それから深く嘆息した) …歌詞と考える時点で陸の視点、ですか。目から鱗とはこのことです。詞の代わりに思いを乗せるからこそ、こんなにも透明に広がるのかもしれませんね。(誰でも足を止め、耳を傾けるだろう旋律を思い返す。一度聞いたら忘れないと己ですら思うのだ、その歌で呼ばれた彼女の耳にもいつかきっとと信じられるような。紹介をしてくれるという声に、是非、と弾む声音で短くいらえた)
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泡沫・うらら 2020年7月25日
ふふ。ほな、そういう事で。(肯定も否定もせず、挙げられた選択肢を順に追って)貴女に似合いの、静かで穏やかなご趣味ですね。ほな最近読まれた本の中で、一等お気に入りのものをお聞かせ願えますか?(貴女の御眼鏡に適った作品はきっと、素敵なものだろうから。空想でも、史実でも、胸を高鳴らせる話を聞かせてくれるだろうと)(物知りな貴女にひとつ、知識を与えられたことが嬉しくて。柄にもなく頬に喜色が乗る)風に乗ってどうかあの子の元まで――なんて、少し夢見がちかしら。(ふふ、と少女のように微笑んで、くるりとひとつ踵を返したなら)
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泡沫・うらら 2020年7月25日
嗚呼、もうすっかり、夜の空。……昏いお空になりましたね。(いつの間にか水平線の向こうに沈んで行ったお日様の名残も疾うに消え失せ。波音に紛れ、夜の静けさだけが残る)ほな、そろそろお開きとしましょうか。あんまり夜遅いと、キディさんも心配なさるやろうから。(貴女たちが同居しているのかどうかは知り得なかったけれど。貴女には戻る家があるでしょう? と)
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イディ・ナシュ 2020年10月31日
畏まりました、それでは私の国の物語を幾つか見繕ってまいりますね。闇の中でいかにして光を見出すか――そういう傾きの話が多くなるとは思いますけれど。(ご趣味に合えば良いのですけれど、と言葉こそ懸念を示すそれではあるが、いつかの先の話をする事への興は隠しようもなく。吹き抜ける潮風に押し遣られたように空へと広がる夜藍の色。促されて初めて気付いたかのように視線を空へ向け、再び彼女へと転じる) 夢を見るからこそ、ひとは夜を越えていけるのかもしれません。そしてその為には、きちんと休む場所を見つける事も肝要でございますね。お話を有難うございましたうらら様。(被さり始めた夜色に目隠しをされてしまわないように、深めに腰を折って礼をした。帰る家、或いは帰らねばなならぬ家。確かにあるその方角へと靴を向け)
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イディ・ナシュ 2020年10月31日
どうぞ良い夜をお過ごしくださいませ。また、いつか。空が明けたいつかの日に。…おやすみなさいませ。(唇に淡く笑みの形を刷いて、少女めいて笑う彼女に挨拶を。夜の海に溶けてしまいそうにすら見える歌姫の姿は、綺麗でいて、どこか儚くもあるように思えて。貴女様はどこにお帰りになるのですか――そんな問いは唇の裏に隠したまま。夜の女は夜へと還り、やがて見えなくなっただろう)
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イディ・ナシュ 2020年10月31日
【〆】
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