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【●1:1RP】人形師の少年

エスパルダ・メア 2020年4月16日


「――失礼する、此方は古物商で違いないか」
 ああいらっしゃい、見た通りそうだが。
 稀な来客に店番が顔を上げて首を傾げれば、扉を開けたのは少年だった。柔らかそうな髪から覗く、丸い耳。きらきら光る金糸がやけに印象的で、それ以上に印象を残したのは、
「なら話が早い。探し物をしている。探しているのはモノでは無い。俺が探しているのは『ヤドリガミに為る方法』だ」
 古物屋はそう言った事柄に詳しいらしいと噂に聞いて来たと言う少年からは、けれどもその『ヤドリガミ』の気配がするのだけれど。
「……失礼。俺としたことが名を名乗り忘れていたな。俺はアール。アール・ダファディル。人形師だ。そして《彼女》は俺の妹。名をEchoと言う」
 ほら、ご挨拶を。そう語り掛ける声に応えて、少年の胸から元気よく飛び降りたぬいぐるみは、スカートを摘んで愛らしく回って見せた。
 自身も骨董になりそうなほど、埃を被っていた身だと。
 やっと見つけたアテがこの店ゆえに、少しでも情報が欲しいとそう語る少年に、店番はぱちくりと瞬いて。



来客:アール・ダファディル
(団長との入団1:1RP)
(キリの良い所、あるいは5月末日で〆)




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エスパルダ・メア 2020年4月18日
(店の中には古物ばかりが溢れて、他に誰もいない。何気なく古めかしい椅子に座っていた店番は瞬いたあとに立ち上がると、愛らしく挨拶をしてくれたぬいぐるみに目線を合わせるようにしゃがんで)……とりあえずいらっしゃい。アールとEcho、だな。オレはエスパルダ・メアって言う。一応この店の店番やってるが……そうだな、あんたが探してるモノは少なくとも、買えるモンとして置いてはねえ。けど何ぞ手掛かりは探せばあるかもしれねえから、いくらでも見てって貰って構わねえよ。(ぐるり、示すのは雑多な店内。奥へ奥へ、進めば進むだけ何かがあるかもしれないその場所。店番は客人とその妹を見比べて)……そう言うアール、あんたもヤドリガミじゃねえのか?(骨董。そう称した少年自身を、立ち上がりながら見直した)
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アール・ダファディル 2020年4月19日
(小さき≪彼女≫を人と対等に接する人の良い男の姿を見下ろし乍ら自然な仕草で指を引いた)だろうな。金で解決できる探し物では無い事は心得ている。情報だけでも有難い。感謝する、エスパルダ。 (元気いっぱいに「ありがとう!」を身で表現する妹を横目に店内へ視線を巡らせていたが、問いに再び男へと視線を戻した。目を細め推察すかのような奇妙な沈黙の後、肩を竦めて見せた)……明察通りだ、不本意ながらな。
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エスパルダ・メア 2020年4月21日
どういたしまして……って言えるだけの何かがあれば良い。(妹と紹介された彼女が『妹』であることに、何ら疑問はなかった。何と言っても話題に上がっているヤドリガミは、もともとそういった器物に宿るもので。それに)まあこの店、客は少ないがヤドリガミの常連は何人かいるから、話も聞けるだろうよ。(元気いっぱいの妹のお礼につい目を細める。立ち話も何だと奥へ案内すれば商品がてらに椅子がいくつか並ぶ開けた場所が見えるだろう。竦められた肩には振り向いて)明察ってかあんたにもわかるんじゃねえのか、同類だって。……不本意なのか?(この店番も同じくヤドリガミであるから、興味は引かれてしまうらしい。何気ない音で訊き返して)
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アール・ダファディル 2020年4月22日
あるさ。「何も無かった」という事実が一つ増えるだけで有益と言える。次へと繋がる当てが分かっただけで既に来たかいがあったというものだ。 (先導する男と妹に続いて商品連なる店内へゆったり歩を進めていく)勿論。同胞ぐらいは察せるとも。そうだな、本体はよくと冷えた物品だろう。つめたくて、寒林奥深くに佇む湖を想い出すような――そんな気配だ。 (すん、と一度鼻を鳴らし「どうだ?」と問うてから男の蒼を真っ直ぐ見上げた)感謝はしていても、な。片割れだけが変じて何になる。実に厄介極まりない。
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エスパルダ・メア 2020年4月24日
なるほど、その考え方は好きだぜ。(前向きな言葉には楽しげにからりと笑って、歩を止めた。開けた場所に椅子がいくつか。背の高い棚にはぬいぐるみの類いが並んで)……ここにいるのは【そうじゃない】が、全部確かめてるわけでもねえし。手掛かり探すなら、オレで良けりゃ手ェ貸すよ。――ふは、古物商の店番よか目が利きそうだ。正解。オレはアイスレイピアが本体だ。(見上げる瞳にあっさりと言い当てられた特性ひとつ。隠す気のない店番は機嫌よく笑って視線を合わす)……アールは、妹によく似てそうだな。大切にされたろう。(柔い毛並みが、細部まで欠けぬ服の意匠が古びてなお美しい。妹よりは澄まし顔か? 同胞を覗いて)片割れだけ……ああ、なるほどな。探し物の理由はそれか。目が覚めてひとりってのは、確かに、つまらねえことこの上ないな。……妹に。それらしい気配もねえのか?
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アール・ダファディル 2020年4月25日
思った以上に多くの子がいるな。手伝って貰えるのは有難い。店番殿が「手を貸してくれる」のであれば夜中に出直す事も出来る。……だろう?(今しがた取った言質を翳して笑みを浮かべた)――アイスレイピア。お伽話に聞いた事がある。絶対零度の魔剣。戦場に咲く氷華。ふむ、快活とした性格なのは少し意外だ。主人の影響を受けたか?(興味深そうに男を見ていたが己に話が振られると顔を曇らせ溜息を零した)……俺は、俺たちは双子だ。そう在る様に作られた。如何なる持主の元でもそう在った。だからこそ今は異常だ。それだけしか、分からない。
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エスパルダ・メア 2020年4月26日
なんだ、アールも宵っ張りなほうか?構わねえぜ、『手ェ貸す』よ。(言質も取られたことだし。笑うのは悪戯に)どうせ夜は眠らねえしな。必要ならいるかいないかはさて置いて、好きな時に入れるようにしてやるよ。(店番の特権だとばかり請け合って)ははっ、らしくねえってのはよく言われる。オレのこの性格は最後に使った主人の影響が強いだろうな。……お前も見た目の割に落ち着いてんのは、主人の影響で?(興味には興味でつい返す。けれどもその顔が曇れば耳を傾けた。その手に抱かれたぬいぐるみと見比べて)双子か、道理で。その言いようだと、持ち主も過ごした時間も同じだけ……(聞けば聞くほど、わからない。けれど)――あんたの言葉を借りるとだ。わからねえことがわかってるなら、良いだろう。思い出したり調べたり、やれることはあるな。(そのための手を貸そう。先に少年が言った言葉をなぞるようにして、気安く笑った)
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アール・ダファディル 2020年4月27日
ああ、助かる。おもちゃが動き出すのは子が寝静まった夜中と相場が決まっている。もっとも、眠らぬ一振りが司るこの場に置いてその常識が当て嵌まるかはわからんが。 (含めて何とかはなるだろう、と楽観的に言葉を返した)――その通りだ。嘆くにはまだ早過ぎる。≪彼女≫の為に、己の為に。俺は動き続けなくては。 (暫しの間ののち淡々と。平静さを整えた声色で肯定してから一息を吐いた)……失礼、話の腰を折ってしまった。主人の話だったか。エスパルダ、お前の主人はさぞ良い主だったのだろう。俺は……役割からの影響を受けた結果だろう。子らに対しどの親も等しく呪詛を掛けるものだから沁み付いてしまった。
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エスパルダ・メア 2020年4月30日
……そうなのか?(相場が決まっていると言い切った言葉に、ついきょとんと目を瞬かせた。いかんせんおもちゃと呼ばれる類のものにとんと縁が無かったもので)オレも一晩中見てたことはねえからわかんねえけど、アールがいたら釣られて動きそうではあるよな。(これまで動いていたか、ないか。正直気にして見たことはなかった棚に収まるぬいぐるみたちを見渡して。落ち着いた声音が息を吐けば、軽く笑った)……ああ、まあオレは武器として主人に恵まれたほうだったんじゃねえかとは思うが。――役割?に、呪詛。……親が子に贈るぬいぐるみで?(また目が丸くなるのは、聞こえた言葉がどう掛け合わせても噛み合わぬものに聞こえたせいだ。沁みついた。そう言う同胞を再度不躾にまじまじと見る。呪いのことか。つい問う言葉が多くなるけれど)
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アール・ダファディル 2020年5月1日
様式美だ。フェアリイテイルを嗜むといい。 (不思議そうな男の顔を一瞥してから言葉を選びつつ続けた)そう大した話ではない。俺たちが添うように贈られた子の殆どが親の強い願いを背負っていた、というだけだ。知っているか。はじめは生を望むだけの慎ましやかな望みも満たされるにつれ肥大していくものなのだ。「素直な子に」「賢く優秀な」「誰よりも偉く」――等々。 (僅か眉間に皺寄せ)聞くに、願いと呪いは紙一重なのだという。月日を掛け幾重にも厚みの増した『良い子』は……一体、どちらなのだろうな?
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エスパルダ・メア 2020年5月11日
様式美……絵本とかならまだ読めそうなんだけどな。(本とは相性が宜しくないものの、お伽話自体に興味は湧いて。そのまま語る声に耳を傾ける)――なるほど、積み重なって呪詛にもならァな。肩の凝りそうな願いとやらだ。子供も楽じゃあなかろうが、その堅苦しそうな『良い子』を覚えちまったアールたちも大概だな。――間を取って『希望』辺りで手ェ打てりゃいいんだが。(どちらか。問うようにも遊び語るようにも聞こえる言葉に軽く肩を竦めて)
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アール・ダファディル 2020年5月14日
理解していただけたようで何よりだよ。手打ちと出来たら、か。……確かにな。(僅かな苦笑はすぐになりを潜めて)今ならばそう思うがそれはこうして人の身と感性を得た故の感想かもしれないぞ。物は主を選べない。そしてその唯一に頼られれば、その分だけ応えたくなる。お前も良き主人がいたなら――わかるだろう?
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エスパルダ・メア 2020年5月25日
ふは、言われてみりゃそうだな。(人の身を得たゆえの。それは確かにそうだろう。軽く手を握って開くのを何気なくしてくつりと笑う)それが何であれ物なら、誰かに使われてこそだ。――わかるぜ。オレも良い主人ばかりだったわけでもねえが、使われてこその物だ。どう使うにも主人の自由。……アールたちはその呪いじみた願いで、成就した主人はどれくらいいる?
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アール・ダファディル 2020年5月25日
(ふっと息吐いて少し遠くを見てから)――抗った子もいれば、呑まれた子もいる。前を向き続けた子も、蹲った子も。それ以外もたくさん、たくさん……。どれが成就した結果と呼ぶべきかは分からない。ただひとつだけ言えるのは、(小首を様子を見に来た妹に手招きし抱き上げてやる)誰もかれもが俺たちの愛しき子だという事実だけだよ。
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エスパルダ・メア 2020年5月26日
(遠くを見る瞳が何を映したか。それは問うまでもないだろう。回想に連なる主人たちの顔は、こうして肉体を得るほどに降り積もったもので)……そうかい。そうだな。お前らに愛しいって感情がちゃんとあるのが結果、とも言えるのかね。(仲の良い兄と妹。その様を表情を緩めて見た。――そのふたりがこうして当然のように言葉を交わしていないのが、尚更不思議になるけれど)……さて、まだ昼間だが。気になる奴らはいるか?(目を向ける先、並びのぬいぐるみたち。どのようなものでも見つけたのならいるだろう。上のほうはいかんせん、遠目になって見えにくいかもしれないが)
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アール・ダファディル 2020年5月27日
(示された結果に目を丸く)その考えは、したことが無かったな。悪くない。最後の子の手を離れて久しいが……ふっ、今後は己らの心情にも気を配るとしよう。(満更でも無さそうな表情を浮かべたのち咳ひとつで正して)見せて貰えるというのならば有難く。そうだな――、(帽子を押さえて高みを見上げる。腕中の少女も倣うように押さえて見ていたが、やがて一点を示す様にぴっと腕を伸ばして)あの影に隠れている……そう、まるっこいのが気になる。
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エスパルダ・メア 2020年5月28日
そうか?そう見えたからってだけの話だが、気に入って貰えたんなら何よりだ。妹とずっと一緒だったなら、一番の手掛かりはアール、あんただろうしな。(満更でもない顔には茶化すような笑みで、その視線が棚を辿るのを視線で追えば)……まるっこいの……あれか?(伸ばされた腕の先を見る。影に隠れたそのぬいぐるみに代わりに手を伸ばせば――どうやら猫を模したぬいぐるみ。まるまる、ふかふかとした手触りのそれは、本物によくよく似た作りで、白だったろう毛並みは色がだいぶ変わっている)これで合ってるか、お嬢さん。ほら、どうぞ。(彼女が伸ばした腕に、彼と一緒に抱けるように、そのぬいぐるみを下ろして差し出した)
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アール・ダファディル 2020年5月30日
(差し出されたぬいぐるみにぎゅっと。≪彼女≫が抱きつけばそれを片手で支えた)ああ、それだ。……感謝する。(難なく取った男に礼を述べてから件のぬいぐるみに視線を落とす。ふかふか。もこもこ。確かめるようにくまなく触れて探る)見覚えがあるような気がしたんだが……むむ、タグが見当たらないな。エスパルダ、こういったぬいぐるみはどのような経路で此処に来るのだ?
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エスパルダ・メア 2020年6月1日
(どういたしまして、ひらりと気安く手を挙げて。少年が検分するのを覗いて見守る)……タグ。ああ、アールたちにもついてるそれか。ついてない奴も多いかもしれねえな。ぬいぐるみも他の古物も、だいたいはこの古物商の店主がどっかで見つけて送りつけて来るんだ。色んな世界、色んな場所で見つかったって、そういうメモ書きは……ああ、うん、そいつにもついてるな。(棚の置いてあった場所にある紙片をぴらりと取り上げて)――アルダワ、緑の廃墟にて。だってさ。
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アール・ダファディル 2020年6月9日
そうか。あれば製造や経緯が分かったりするから助かるのだが、付けない土地や旅の過程で紛失する事も多いからな。ほう、メモ。それにはなんて―――。(聞いてからもう一度ぬいぐるみを見遣る。少しだけ眦を下げ穏やかな顔で「そうか」と呟いた)アルダワの地の廃墟で何があったかは分からないがお前も数奇な運命の元、此処へ辿り着いたのだな。……エスパルダ、≪彼≫を身受けたい。引き受け金は幾らになる?
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エスパルダ・メア 2020年6月13日
へえ、そういうもんか。……タグが残ってる奴がいたら、アールに見せれば何かわかるかね。……と。(残っているぬいぐるみたちは、どれほどいるだろう。気にして見ていなかったその部分を意識して視線を向けかけて。ふと少年の口をついた言葉にぱちりと瞬いた)――連れて行ってやってくれんの。
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エスパルダ・メア 2020年6月13日
……そっか、良かったなお前。(つい表情を緩めれば、気の抜けたような嬉しげな笑みが出た。だって嬉しいだろう。この場所で、誰かの元にゆくのをずっと焦がれていたぬいぐるみたちだ。――同胞だ)ああ、待ってくれるか。覚えてられねえから、こっちの帳簿に。(そう言って引っ張り出した帳簿を辿る。金額は、さしたるものではなかった。子供の小遣いでも買えるような程度の。それを伝えれば)……『条件:決して置き去りにしないこと』だとさ。
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エスパルダ・メア 2020年6月27日
(そう言って、少年に手渡されたぬいぐるみ。御代はやっぱり構わないと言い直した。きっとおそらく、金額なんてものよりは、手にする者が重要だろう。そういうものだと知っているから)(受け取られたかどうかは、少年次第。けれど少なくとも、彼が眼差しを注いだぬいぐるみたちの棚は、心なしか嬉しげに)
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エスパルダ・メア 2020年6月27日
(〆)
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