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【●1:1RP】煤雲

エスパルダ・メア 2020年3月16日


 春の雪が降っていた。
 けれど。窓の外は白くはなく、ひらひら舞う雪花は風に溶けて、空ばかりが灰白い。
 けれど。古物商の店内は野暮ったく白くて、相変わらず物がごった返している。
「掃除はしないのですか?」
 客の声。
「してもしても終わらねえんだよ」
 店番の声。

 手にした掃除道具は平凡で、ハタキと雑巾、箒と塵取り。
 ――みぃ。お気に入りの止まった時計の上で、白い仔猫が鳴いた。

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リアルタイム1:1
お呼びした方と




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イディ・ナシュ 2020年3月16日
……不審な隠し扉もありましたものね。実は地下に人知れずよからぬ基地が作られています、と言われても信じてしまいそうです。(はたきの柄をくりくりと回しながら、どこから手を付けるかと棚から向こうに遠い視線を投げた。帽子と手袋と上着は脱いで放り、髪は適当に後で編んだ雑務スタイルで、床に置かれた壷などを覗き込む)
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
良からぬ基地ならむしろもうここだろ。実は地下も結構あるし、隠し扉とかあれ以外にも相当あるっぽいし。……て言うか悪いな、客で来たのに掃除手伝いで。外雪だし、寒かったら言ってくれ。(店内に暖房設備はあるが、使ってはいない。客人の足元に置けるような古めかしいストーブくらいならあったろう)……その壺なんか高いって言ってたな。磨いといてやんないと。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
うちの宿と似たような構造なのですね。エスパルダ様が増築してらっしゃるのです?(不自然な壁や床は触れないようにしようと固く心に誓って壷から顔を上げた。軽く縁を撫でると、指先が埃で灰色に染まる)(ふっ、と吹いた) いえ、いつもお世話になっておりますし。働けば買い物をする時に割引をして頂けるかもという下心も少々。…壷も後々磨きますが、掃除は高いところからが基本でございますね。(寒さは堪えないので、と首を振って、彼が掃除中の棚より少し離れた位置の棚の埃を落としにかかる)
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
できるもんか増築!探索するたび知らねえ場所が出て来るから、まあ面白いけどさ。……てかお前んとこの宿もそんななの?(増えるのか。宿とは聞いたけれども)割引はまあしてもいいけど、できねえのもあるぞ。つってもお前さんが欲しがるようなのがあればの話だけど。(色々とありすぎて、逆に何も見つからないようなそんな店だ。棚の上から箱を引っこ抜いて埃を叩く)細かいのは向こうの箱にでも入れといてやって。とりあえずこの辺の棚と通路だけでもなんとかして、後は細々したのやるか。(そっちのほうがまだ気が乗る。大きな棚を見渡して)イディ、お前手先器用なほうだっけ。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
(畏まりました、と指示に頷く。はたきを棚に一時置いてから細かな品を抱えて移動させ始め) 壁一枚を挟んで混沌があるやもしれない世界でエスパルダ様はお暮らしなのですね。大変肝の太いご様子で。ええ、うちはキディが増改築担当なのですけれども。(増えます、と至極当然の顔で首肯した) 良い書物か筆記具が見つけられれば、とは思っておりますが。…手先ですか?どの水準を求められるのかはわかりませんが、それなりには。エスパルダ様は細かい作業がお好きでないのですか?
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
肉一枚挟んで混沌みたいなもんだろ、どこもかしこも。肝太いのはお前さんもだ。(でなければ肉壁なんて真似、できやしないことだろうと肩を竦めて)マジで増えんのか。キディ割となんでもできるのな。……いやなんで増えんの?(宿だろ。思わず振り向いて再確認して)筆記用具……ああ、割と色々あった気がするけど。オレは掃除に限りゃ細かい作業のが好きだよ。イディもできそうなら、手入れ手伝って貰おうと思って。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
肉。…人とは糞便の詰まった肉の袋に過ぎない、と、どこぞの聖人の言葉にありましたが、そういう精神の話ですか?(肉壁の何が肝の太さに繋がるのかを理解できない様子で首を傾げながらも、器物を集める手は休めない。痛まないように物と物との間に指を挟んで抱えては、箱に収める。振り向かれた気配に反応して其方を向けば、確りと合う視線) あの子は土木担当ですからね。痛み切って駄目になる前に別のものをで補完をするのはよくある話ではありませんか?(物も家も、何なら人も。確認に確認を返して再び棚の方を向いた) 手入れですか?私が触って良い物でしたら勿論。あら、大味なのかと思っておりましたが、意外と繊細でいらっしゃるんですね。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
すげえ聖人だな……肉体持ってんのも厄介だなって話。痛ェと気が散るのが面倒くさい。(丁寧な仕事の向こうでは、ばさばさと埃が落ちてゆく。寒さが気にならないなら窓を開けてしまおうか。合った視線に思わず二度見しながら、窓へ向かう)古いのに継ぎ足すより挿げ替えるほうが楽じゃねえか?(いちいち状態を確認するよりは、と呟いて、窓を開ける。冷えた風が埃を吸い出すように持って行って)どれでも触って構やしねえよ。意外で悪かったな、拾ったモンの面倒くらいはそれなりに見るんだ。手入れしなきゃ痛む一方だろ。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
破損箇所を確認できない方が困りますから。(面倒という意見も尤もながら、と言い添える。細かい作業が好き、と聞いた端から豪快に舞う埃を三度見し、然しながら何も言及はせずに粛々と己の領分を進めてゆく。粗方の品が移動できれば、棚を雑巾で軽く拭いて) 思い入れの問題ではないでしょうか。挿げ替えられないものならば延命するしかありませんでしょう。"手入れしなきゃ痛む一方"ですよ。(彼の言葉を切り取って、そのまま投げ返した。ふわりと、視界を横切るものに意識を持って行かれる。埃かと思ったそれは、もっと白い風花の欠片。手で受け止めれば容易く溶ける) …そういえば、動物も拾ってらっしゃいますものね。小さいものがお好きで?
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
お前さんこそ案外思い切りがいいよな。人と喋るの苦手じゃねえの?……と、こんなもんか。(好きな作業と呼ぶもの以外は非常に雑ではあるが、窓から埃の山を叩き出せば少しは風通しがよくなった)それでも大事にしたいものってか。……気持ちはわからなくもねえけどな。ヒトはそれができねえんだけどさ。(そのまま返った言葉に少し納得はしながら)ああ、好き。ちびはやっぱ、ひとりで生きてけそうにねえしさ。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
……あまり得意ではなかったのですけれども。過日の触手騒ぎの件で何かしら吹っ切れた心地はございます。相変わらず、初対面の方は情報量が多すぎて得意ではありませんけれども。エスパルダ様はお好きそうですね?(気安く喋り掛けて貰ったからこその慣れも、確実にある。目につく大方の拭き掃除を終えて、雑巾はバケツの中へ) ひとも、移植手術などで永らえる場合はありましょうけれど、寿命は如何ともしがたいですものね。寿命に差があることでお悩みでもございますか。(人とヤドリガミの一番の違いと言えばそこではあろう。天気の話をするような声音で問うて、窓の外を見る。散る桜にも似た白は、降り続けている) 拾った仔は全て、このお店で面倒を?
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
そんな声してた気がする。あの触手もそれなりに仕事したのな。(とは言え二度と会いたくはない。あれは何処に行ったのかと考えかけてやめながら、笑い飛ばして)オレは喋るの好きだぜ、面白いもん。じゃなきゃ店番やってねえよ。(着実に進む作業と並行して、喋りのお陰か手も進む。空になって埃を拭き取られたところに重いものから乗せ変えて)……あとは向こうで座ってやるか。ありがとさん、座敷のほう行っててくれるか。(そう店の奥を示す。誰でも使う座敷の間。そもそも洋風のくせにちぐはぐではある)……寿命の差なんか考えなくねえか? 壊れずに見送れたら上々だろ。(窓をぱたりと音を立てて閉めながら、不可思議そうに首を傾げた。それよりも)見送りてえなってもん、お前にはない? ……流石に面倒見切れねえから、里親探して送るまでだな。猫、好きか?
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
引き篭もりですからね。アレにもお店の番をしてらっしゃった方がエスパルダ様だった事にも感謝の念が絶えません。(気難しい店主であったならば、未だに対人関係は壊滅的ではあっただろう。示された座敷の方を見て、僅かに頷いて従い座敷へと向かい、はたと手前で立ち止まる) 靴は脱いで上がる、……のですよね?(文化の違いには、未だ慣れぬものばかり。エスパルダの方を振り向いて、サインを待つ犬のような視線を送った)見送りは…どうでしょうね。亡くなる前に持ち主が変わる事ばかりでしたので。けれど、その時には寂しくはなるだろうとは想像が付きます。面倒な事に。(微かに目を伏せて、すぐに戻し) 可愛らしいとは思います。が、キディ(仔猫)の世話で精一杯ですね。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
そりゃどーも。未知との遭遇は進化を促すとかなんとかって後で手紙が来てたよ。オレはなんもしてねえけど。(今度会ったら殴ってやろう、あのクソジジイ店主。主に泡食って叫んでいただけの店番である)……ああ、座敷やっぱそうなるよな。そうだよ、靴脱いで上がりな。(待つ声にからから笑って頷けば、大きな箱を抱えて座敷に辿り着いて)へえ、そうか。……そういやイディもヤドリガミだったな。ヒトの手をよく渡ってた? ――ま、寂しいのどうしようもねえよな。(心当たりはよくあった。伏せた瞳に小さく笑って)キディ……ふは、姉ってか母親だよな、お前。(くつくつ笑ったその足元に、小さく鳴いた子猫が姿を見せた)苦手じゃねえなら、こいつも上げていい?
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
ある日突然エスパルダ様が進化してらっしゃったら、店主様のお陰という事ですね。(成る程、と納得しているようで何も考えていないいらえを向ける。部屋への上がり方を教わって素直に頷き、ブーツを脱いで座敷に上がり、振り返る) はい。売られたり、親から子へ売られたりと様々ではありましたが。私ですらそうなのですから、情深い方の寂しさは余程でしょうね。(例えば仔猫を拾うような、とは、視線で仔猫を見るだけで、声には出さぬ思いなれど) あの衣食住の世話が、私の生き甲斐のようなものですし、否定はいたしません。……勿論です、いらっしゃい。(座敷に膝を突いて、片手を低い位置に居る仔猫へとゆっくり伸ばす。逃げられなければそのまま掬い上げるつもりで)
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
ろくなもんにならねえじゃんそれ……。(なるべくあんな何かではしたくないと心底思いながら、座敷に上がるのを眺めて)へえ、何のって聞いてもいいやつ?(足先で自分のブーツをがさごそと剥がしながら、何気なく訊く。応えずとも気にはしないけれど)……情深いかは知らねえけど、見送るのはとうに慣れたな。(戦場ならそんなものだ。呟き落とす声は沈みもしないが、視線には小さく苦笑した)生き甲斐、なのか。……可愛がってんのな。名付けはお前?(行ってこい、と言うまでもなく仔猫が白く細い手にすり寄った。するんとそのまま懐っこく、膝の上に収まろうとする。それを見ながら自らも上がると、座敷の机の上に、物が詰まった箱を置いて)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
良い子。(膝に乗った白い命の顎を、あやすように緩やかに擽ってから、抱き上げる。初対面の相手を恐れないのは、充分に可愛がられている証左だろう。机まで移動して、相手と対面になる位置へと座り、仔猫も降ろす) ……。装身具、ですね。今は旦那様の手元におりますので、あまり委細は申し上げられないのですが。(ほんの僅かな逡巡を挟んで、ヤドリガミの核たるものの一端だけを。慣れたと語る彼の笑い方を目に映せども、何か言うではなく) あの子の名は、旦那様からのものですね。可愛らしいでしょう?エスパルダ様のお名前はどなたがお付けになられたのですか。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
懐っこいだろ、たまに構ってやってくれ。(でないとすぐ膝を占領しに来るから困ったものだと言う、その視線は柔いけれども)へえ、装身具ってとアクセサリーやら、身に着けるものか。旦那様が今の持ち主ってことな。(なるほど、と委細は問わずに頷いた)オレは武器だよ、アイスレイピア。(訊いておいて言わぬのも、と勝手に教えておく。旦那様と呼ぶ声がきれいな音に聞こえる気がした)へえ、そこで繋がるのか、キディとイディ。オレの名前は誰でもないな、自分で適当に繕った。昔呼ばれてたのと合わせた感じだ。ならイディの名前も『旦那様』か?
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
(嫌がられない程度の構う頻度を覚えませんとね、と応じる声は薄らと笑みを刷く。今は掃除の手伝いの方をと、箱に手を入れて小さな香炉を取り出して、柔らかい布で汚れを拭い始め) はい、そう思って頂いて間違いではありません。…魔法剣の類ですか。道理で氷の扱いに長けていらっしゃる訳ですね。今は、どなたかの手で使われてらつしゃるのです?(交換とばかりに耳へと届いた、彼の大元であるものの名前。纏う氷につと目を向けて) "自分で適当に繕った"ものですね、私も。(香炉の蓋を開けながら、言葉遊びに興じるように、再び相手の言葉を真似た。抑揚まで違わずトレースをしては、手入れに腐心する素振りで手元に目を落とし)
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
(よかったなぁ。と仔猫に目配せ。細々とした手入れ道具が入った道具箱を持ち寄ると、お好きにどうぞと開いて置いた。慣れた様子で自分が使うのは、布と刷毛。ひょいと意匠の凝ったアンクルを取り出して、拭き上げながら)お前も魔法の類かと思ってた。魔導書使ってたろ。得意そうだったしな。(生憎自分にはそういう魔術の才はないのだと笑って)いいや、自分で使ってるだけ。持ち主がいるのは正直羨ましい。(いいな、と子供のように羨望を口にして。挨拶のように氷の華が机の上にぱりんと咲いた)ふは、なるほど?ならオソロイだ。オレは気に入ってんだけど呼びにくい呼びにくいって言われんだよな。(お前もか?って首を傾げた。作業は静かに続いてゆく)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
魔法は、私もあまり得意ではないのですけれどもね。あれは呪具の力を借りているだけに過ぎませんので。……と、申しますか、これは魔法の才の内では?(浅く一礼をして開かれた道具に手を伸ばし、刷毛を取って透かしに詰まった埃を払う。その手元の向こうで咲いた華に目を丸くして、刷毛の往復を一旦休め、そろりと冷えた花弁に手を伸ばそうとして) 、(羨ましいと、その声に寸前で指は止まる。顔は元より変わらない。微かに息を飲めば、取り落とした会話を拾い直して、刷毛を取り、動かす) 手入れの程度が目視できないのは、少しだけ困り者ですけれども。矢張り剣だと、使われたいものですか?(さらりと、細かな毛が陶器の上を浅く滑る) UDCで使われる名前に比べると、確かに長くは感じるのでしょうか。私の住まう国では、どちらかといいますと馴染む響きに思えますが。お店の皆様は、エスパルダ様を愛称で呼んでらっしゃいますね、そういえば。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
へえ、そうなのか。呪具やら魔法の違いもよくわからねえから、オレにはてんで向いてねえんだとは思うが。……才か?気を抜くと全部凍るんで困る。(こういうのだけは得意なんだと氷華を見遣って、止まった指先には気づくも訊かず――)……使われてねえの?(訊かずにはいられなかったもので、的外れやも知れぬことを口に乗せてみた)使われるためにあったからな。使われなきゃ意味がねえけど、今はそんなに。(意識を得て肉体を得る。この手に持つ何かみたいに何もなかった事もあったはずだけれども)らしい。短くて呼びやすいのがいいってな。……ぱるぱるよりはいいけど。いやほんといいけど。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
何もないところから氷を生み出せるだけでも相当かと。凍らせられる、という事は温度を操れる才…では、ないでしょうか?溶かせないのです?(埃を払い終えた香炉の蓋を戻して、横に置く。今度こそ氷華へと手を伸ばして手元に寄せようとしてみつつ、検分する視線を注ぎ) いいえ?この上なく活用して頂いておりますよ。…剣であるならば、無理に使って折れるよりは、エスパルダ様ご自身が剣として振舞う方が長持ちはしそうではありますね。(使う使わないの話に続いて聞こえた呼び名の話。なるほどこれは、) …ぱるぱる様。(呼べということかと。とても滑舌よく、丁寧に、呼んだ。真顔で)
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
これしか脳がねえんだけどな。生憎あとは砕けるだけ。(つんと手袋の指先ひとつ、転がせば机の端まで行って、ぱんっと砕ける)(すぐあとに、アネモネの花を模した氷華が咲いて)活用、(活かす使い方。それができる主人であるのかと、やはりそれはどこか羨ましいけれど)どうだかな、オレが使ってるほうが、折れるのは早かろうと思うぜ。何せ持て余すから……、な……。……。(くもりのない真顔でなんか聞こえた)やめ……やめろ。呼べとか言うアレじゃねえからな??(な。言い聞かせる音である)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
器用でいらっしゃいますのに、ね?…気を抜くと凍ると仰っていましたが、くしゃみの拍子ですとか、驚いた勢いですとか、居眠りですとか、そういうレベルで発動するのです?(砕け、新たに咲いたアネモネに瞬く。ううん、と喉奥で唸って思案はするも、そも猟兵の能力は一人一体系とも呼べる代物でもありはするので、問う声は全て言葉尻の持ちあがる疑問系になる) ああ、いえ、申し訳ありません言葉足らずでした。剣はどこかに保管して、肉の器でのみ戦いに出た方が、というお話で。持て余すといいますと、剣の扱いはあまり得手としてらっしゃらないのでしょうか。(これも砕けてしまうのだろうかと、アネモネの花弁を軽く、とんと指で突いてみる。そんな好奇心からの所作の合間、やけに切れ切れの声が届き) 駄目ですか。…可愛らしい響きですし、キディなら喜んで呼ぶかと思いますのに。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
そ、戦ってりゃ気も緩まねえから大丈夫なんだけど、こういう何でもねえときはやりがち。居眠りはするとシャレになんねえからできねえな。(気を緩めるとか、感情の揺れ一つでぽんと暴発するものだと、持て余すまま苦笑も浮かぶ)イディのはしねえの、そういうの。……やっぱ肉体に長いこと馴染むと違うのかね。(時間やら。そういうものはこの体には蓄積されていないもので)ああ、そっちか。そりゃ確かにな。剣はまあ普通に使えるよ、騎士の持ちもんだし。ただ殴るほうが好きだし、本体が魔法剣だから相性悪いんだよな。(何せ魔力やらが不得手だ。殴ってしまったほうがよっぽど早い。その声の先で花は砕けることもなく、ころんと転がってゆくが、残念そうな声音に頭も抱えた)教えるなよ、絶対呼ぶからなあの素直な子供。戦場でぱるぱるとか絶対嫌だからな??そんならまだエストのがマシだ。(必死である)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
……大声でキディが不意にぱるぱる様とお呼びすれば、一、二度ぐらいは戦場を瞬間凍結できるのではないでしょうか。慣れてしまえば難しくなりましょうけれど。(感情の揺れの活用方法を模索した。至って真剣に。頭を抱えているのは見えたが、戦いに有利になるのなら些事であろう。アネモネを拾ってそっと抱えられた頭に乗せてみようとするのである) そも本職が死霊術士ですので、私も常に心を強く保つ必要はありますね。そうそう均衡が崩れるものではありませんので、居眠り程度でどうとなるものではないのですが。(箱に手を入れて、今度は繊細な透かし彫りの入った鼈甲の簪を取った。同じように刷毛を入れていく) 肉体言語を尤も得手としてらっしゃるという理解で間違いございませんか?それは矢張り、エスパルダ様がやんきー?であるが所以なのです?
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
めちゃくちゃ声通って山びこまでありそうだからやめろっていうかそんなやり方しなくても戦場でならどうとでもやるっつの!(一息である。真剣な思考なのは理解するが、実際にやりそうだからしっかり止めようそうしよう)死霊術士……ああ、なるほど。それでイディの技は静かなのな。均衡ってのは崩れるとどうなんの?(純粋に知らぬ分野だ。問うてばかりなのはこちらも同じで。色の戻ったアンクルを布に包んで戻す。次は、耳飾り)肉体言語ってと何かアレだけど……まあそうか?喧嘩好きなんで、売られた喧嘩買ってたらやんきーって呼ばれてただけだけどな。(馴染みのない音らしい言い方をなぞって返した。要するに無作法者であるのだけれど)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
『ぱるぱるさぁぁぁぁん!』(凄く気合いの入った義妹の声真似。真顔)…は、いいとしまして。コントロールできないほどの力なら、いっそコントロールできないまま活用する術があればよろしいのかしら、と思ったものですから。(ワンブレスで言い切った相手の声に、ご立派な肺活量ですね、と嘆息した後に言葉を重ねる。しゅしゅ、と簪を払う音をBGMとして) 崩れると、そうですね、こちらを敵視している大勢の人に気迫負けしてしまった時と似たような事になるのではないでしょうか。(具体例は挙げないまま、他人事のように末路を語る。やんきーの説明を受ければ、なるほどと頷いた) 喧嘩好きの総称でしたか。反抗期の人、という印象で言葉を受け止めておりましたが、改めないとなりませんね。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
!?!?どっ……ン……!?(びっっっくう。どうしたお前それ今どっから声が出た???というのが驚き過ぎて出力できなかった。目の前の顔を三度見する――と同時に吃驚しすぎて一瞬で座敷が天井まで凍りつく。ばきん!)お前が言う方が心臓止まるわ……。こうなるからやだってんだよ。(ええいくそ。何とか机周りだけは氷結から免れた。咄嗟に仔猫も摘み上げれば、みぃ?と首を傾げている)……とにかく負けるってことはわかった。わかんねえけど。死霊が使えるって言っても、ユウレイとかが見えるわけじゃねえの?(極寒の部屋をどうしようか。ため息で考えながら、問いも発する)反抗期ってのもそうじゃねえのか。一口に言っても色々いるんじゃねえの。(呼ばれたからそう名乗っている程度の認識だ。職質はまあ、よくされるので)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
あら。想像した以上に繊細なお心でいらっしゃいますのね。……そういえば先日、スキー場?という所で雪不足であるという報道を拝見しましたが、エスパルダ様なら重宝がられるのではないでしょうか。(一瞬で凍りついた室内に、僅かに目が丸くなった。吐く息が白い。ごめんなさいね、と手を伸ばして摘まれた仔猫の頭を撫で) 幽霊。ご覧になりたいなら我が家にご招待いたしますよ。好きなだけ堪能できますから。(ホラーハウスです、と臆面もなく。反抗期という意味もあるという意見に、まじまじと眼差しをエスパルダの顔へ、五秒) …エスパルダ様も、そういえば人間初心者でいらっしゃいましたものね。大丈夫ですよ、型を押し付けてくる社会への反抗心は、自我の発達するプロセスの一つですから。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
びっくり箱みてえな混沌姉さんに比べりゃそりゃな!所詮人間初心者ですよちくしょう。……はー、なんとかすっから、待って。そいつ頼むわ。(ひょいと仔猫をイディの肩に乗せた。頑張ってしがみつけるだろうか。物の詰まった箱を一旦閉じると、座敷の端に引っ掛けていた上着を細い肩目掛けてぞんざいに投げた)イディもいっぺん立って、そんで机の上乗っといて。(さすがにこの極寒の中で作業させるつもりもない)ホラーハウス、なあ。幽霊置いといてもまあ覗いては見たい気はするからまた適当に呼んでくれよ。(言いながら、ぱきんと音を立てる氷を探る。止める。多分今ならいっぺんに砕ける糸口があるだろうけども)……そういやイディは人間何年生なんだ?
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
何でしたら、多少の事では驚かなくなるまでトレーニングにお付き合い致しましょうか。(ありとあらゆる手段を用いて、とは目で語る。目的の達成のためなら手段は選ばない女は、一先ず今は肩に訪れた仔猫の方に集中した。ずり落ちそうになる小さな体を片手で受け止めて、胸に抱く。掛けられた上着に、有難うございますと会釈をしつつも袖は通さずそのままに) ご招待ならいつでも、……机の、上、ですか?よろしいのです?(あまり行儀のよろしくない行動を、人様の家でするという状況に若干きょどった。左右を見回して、仔猫の頭を撫でて、エスパルダを見て、漸くもたもたと机に登り、立ったままで成り行きを見守る) あまり正確には覚えておりませんが、二十年ぐらいでしょうか。器物の中で微睡んでいる時間はそれなりに長かった筈ではありますが、まだ私も初心者の内でしょうね。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
……なんか怖そうなんだけど。お前ら姉妹がぱるぱる言わなきゃマシなんだけど。(どうにかしたいとは思えども、驚きへの耐性よりは使い余す氷のほうがよっぽど厄介だ)よろしいのですよ、乗った乗った。(彼女が机の上に乗ったのを確認すると、息ひとつ。拳を思い切り氷面に叩きつける――と、天井まであった氷がぱぁんと砕けて、雪のように降った。無駄にきらきらとして、綺麗だったかもしれない)……一年ちょっとのオレに比べて大分じゃねえか。それで初心者……ああ、人にはそう会ってなかったとか?(そういう奴もいるらしいとは、知っている。軽く首を傾げつつ、反動のように氷が自分の身体を覆うのを他人事のように眺めて)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
では、ぱるぱる様とお呼びしない方法でキディと模索して参りますね。(任せろ、とばかりの真顔は机の上で。そこから続く一連の氷の円舞めいた流れに、あら、と呟いた口が暫く開きっぱなしになっていた。ほろほろと落ちて来る氷片は、窓の外の雪よりも一層澄んでいて、光を通す。掌で受け止めたそれを、にぃと鳴いた仔猫が細い肢で掻いて遊ぶ) …綺麗ですね。戦いの道具の為した事とは思えないぐらい。寒くないのですか?(氷を纏った青年の姿に問うてから、そろりと机から降りはじめ) 外にも出ませんし、人と接するのも不得手でしたしね。キディの世話以外の時間は、殆ど本を読んで過ごしておりましたし。世界の広さに今頃驚いている最中です。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
もうそれ様あんの逆に不格好だから外しちまえよ……。(やや諦めた声で肩を竦めた。元々敬称を付けられるのも馴染まない性質だと言い添えながら、白くもならない息を吐いて)寒くねえよ。……元々の元は戦うために作られたもんじゃねえから、綺麗なだけなら一等賞だ。(まだ砕けた氷が消え切ってもない。冷たいのを気にしないならと机の上に追いやった客人に貸すべく手を伸ばして)へえ、本。キディにってなると、子供向けか?……まあ、やたらに広いのはオレも結構驚いたけどな。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
ぱるぱる…さ、…さん…。(呼び捨ては苦手であるので、敬称のランクを下げてみたがしっくりこなかった。首が深く傾く) 元々は、ですか。……用途が途中で変えられたのですか?レイピアは儀礼用であることが多いのでしたかしら。(武器の知識は深くはないが故に、訊く声は自信なさそうな細いもので。有難く差し伸べられた手を借り、相手の腕に体重を掛けるようにして、極力音を立てないように飛び降りた。着地と同時に、もう一つ胸元から、にぃ。) 絵本も技術書も一緒くたですよ。読み聞かせをご所望でしたらいつでもお声掛けくださいませ。対価は、外の世界のお話なりと。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
よぉしありがとさん、そのまま一個ぱる減らしてこう。な。(せめて一個。せめて。悪あがきである)そうだよ、さすが博識な。儀礼用か象徴物で、実戦にはそう使われねえ。(自信なさげな声に軽く笑って頷いた)一度壊れて打ち直されたもんでな、変わったのはそこからだ。(濁しもせずにただ話しながら、無事に相手が降りたのを見ると一安心した。凍っていない、ようだ。猫も。)……お前良いとこいんなァ。(ぽそっと呟いたのは、納まりの良さそうな猫の安定感にぽそりと)本読むと秒で寝るから勘弁してくれ。……いや読み聞かせはされたことねえけど。外の世界の話ってえと、(少し思い返す。確か宿があると聞いたのは)……ダークセイヴァー以外の?
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
……エスパルダ様で慣れ切っておりますね。(投げた。一週回って元通りになった呼び方を口に出して、舌への収まりの良さにほうと息を吐く。有難うございました、と支えに借りた手を放し) あら、それは難儀でしたね。痛いものなのでしょうか、本体が壊れるというのは。……どうぞ?(打ち直された、その声に思わずといった様子で顎が上がり、じっと青年の顔を見て、ゆるりと下まで視線が降りた。目立った傷は、無いように見える。その確認の間に降って来た言葉に猫へと焦点が移り、それからまた青年へと。来ますか?とばかりに片腕が横に開く。寒暖も接触も、仮の器に対してはとことん無頓着な様子を見せ) 良いではありませんか、寝る子は育つものですよ。逆に寝床で喋るのも、案外と眠気を誘うものですし。そうですね、できればダークセイヴァー以外のお話をお聞かせください。綺麗なものが余りにも少ない土地ですから。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
ふは、まあいいや。(ぱるぱるでないなら割と何でも良かった。確かに音は耳に馴染むようだ。確と立ったのを見る頃には、氷もやっと消え失せた。ほっと息を吐いて)……、……。(移る視線と声とを受けながら、視線が逸れる。その答えは、自分だって)覚えてねえから、わかんねえな。全部忘れちまうくらい、綺麗に直されちまったもんで。やっぱあの親父の腕は最高だ。(誇らしげに声が笑う。唇は笑わない、ものの。開いた腕には目が点になった)……は???(なんて?思わず訊き返す。肉体は確かに仮初だけれども。五回見直す)オレは寝ると凍りますー、育てねえんで戻るほうです。……けど、眠るのは良いって皆言うから、気にはなるな。綺麗なものが好きか。なら剣と魔法の世界の話なんてどうだ?(かつて使われていた主たる世界はそこだったのだと、面白げに)
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
……不躾に過ぎる質問でしたね。失礼しました。(逸れた瞳、笑う声。笑みを形作れない唇は、傷口によく似て見えた。分に過ぎた領分を覗いた事を恥じて、目を伏せる。五度も注がれた視線には、流石に顔が上がったが) 何か?(腕は開かれたまま、視線で問題があるのかと問う。にぃにぃと女の声に追従するように、片手に抱かれる仔猫が鳴いた) 雪山にでも行けば眠っても問題ないのではありませんでしょうか。読み聞かせの他に、強制入眠の手段も持ち合わせておりますので、お気が向かれましたらどうぞ。(寝かしつけは子供の世話の分野ですから、得意ですよ、と得意そうな声。表情は変わらないまでも、目が輝いたのは得られるかもしれない世界の話に)それは是非。伺いたいです。エスパルダ様の過ごされた月日で本が作れそうですね。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
別にいいよ、忘れちまう前に話しとかねえとな。記憶力はどうも悪いみたいなんで、イディはその辺良さそうだ。(伏せられた目を見て、からから笑った。言葉以上の含みはない、ただ思うまま。けれども笑うのをやめるのはため息に変えるためであった。えええ。えええええ。)……問題しか、ねえ!(避けなければ、ぼす、と彼女の頭にある帽子で叩くだろう)そこまでして眠る必要なくねえか?……ま、勝手に寝ちまうことがあるんで、どっちかってと眠らない方法がありゃいいんだけど。まあ、眠りたくなることあったら頼むよ。どっちかってと気絶みたいな気が、(した。けれども、僅か輝いた瞳の色にはくつりと喉が鳴って)今どこまで覚えてるかわかんねえけどな。綺麗なのなら、魔法使いのオハナシはある。見た目ちょっとイディに似てるような奴の。
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イディ・ナシュ 2020年3月16日
そんなに積極的されますと困りますよ、頭を弄られると記憶が飛ぶではありませんか。(ぼすっとやられて頭が揺れた。不躾を笑い飛ばしてくれた感謝を述べる代わりに、口から出るのは主語の怪しい抗議であったが。同じ位置にいるのに飽きたのだろう仔猫が肢を蹴るように動かすのを見て、床へと降ろし) 眠りは心を整理する時間であり、また永きを生きる種にとっては慈悲ともなりましょう。鋭く在る為のメンテナンスだと思えばよろしいのです。いえ?少しばかり深くお話を聞いて頂くだけの至極穏当な手段です。(魔法で昏倒させるとはいえ、回復がおまけについてくる易しい手段だと主張は張りのある声で) 忘れたところは、想像で補完してしまいましょう。魔法使い、ではありませんが。貴方にそう見えるのならばそのように、
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エスパルダ・メア 2020年3月17日
誤解と語弊を滑らかに生む口だなおい。じゃあ撫でつけといてやら。(ぐしゃぐしゃわざと髪を掻き回すようにして、鳥の巣みたいになった頭の上にぱきんと乗る、氷華――アネモネ。不躾はこちらもだ。今日の駄賃がてら綺麗なものと言われたそれくらい、惜しみやしない)……それ、前にも言われたな、メンテナンス。必要なのか。(学びを得るように、ふうんと呟いた。けれどもそれがどこか恐ろしいもののように、子供みたいに視線は逃げる)自信満々にぶっ倒す気じゃねえか。怖いやつ。面白いけど。……補完、していいのか、(ああ、なるほど。それはどうにも思いつかなかったらしくて、貰った助言には笑って)
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イディ・ナシュ 2020年3月17日
……撫でられようと殴られようと私は気に致しませんが。エスパルダ様。一般的には男女間で髪を触るという行為はしばしば、性行為よりも上位の疎通手段とも言われておりますからお気をつけくださいましね?(髪をわっしゃわしゃにされようと、避けもしなければ照れるでもない。髪に飾られた綺麗なものだけは、少しばかり嬉しそうに触れる様子は見られたけれど。滑らかに誤解を生む行為だと告げて、ほふぅ、とわざとらしく溜息を吐いた)武器にメンテナンスが必要とお思いにならないのでしたら、それでよろしいかと思います。畢竟、在り方を決めるのは貴方様ですから。(逃げた視線を、つい、の好奇心で追うことにした。逸らされた方向へと移動して、低い位置から覗き込む) 足りない空白を自分の都合の良いもので埋めるのは、生者の特権ですから。誰も文句は言いませんし、言われる義務もありません。…図々しく生きた者勝ちですよ、きっと。
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エスパルダ・メア 2020年3月17日
……、(ぴた、と手が止まる。見る。反芻する。一分くらい前も思い出す)…………ハイ。いや待てけどおま、……しかたありませんねこのこどもはみたいな顔してるけどお前さっき割とやべえこと言ったからな?(言われた分は、心には留めようとは思って、手はきっちり引いた。今までその辺り確かに気にしてはいなかったのだ。その髪に乗った氷華だけは残して)手入れは必要だよ、だからしてる。(今だってそうだ、ものには全てきっと必要なこと。そう思うけれど。追われた視線が覗かれて合えば、観念したように合わせて呟く)――どうも、眠ると色んなこと忘れるらしいから困ってんだ。図々しく生きるのは、割と得意なはずなんだがね。(眠りで溢れ落ちるもの。それは最近やっと自覚できたことだから、酷く薄い音で落ちて、茶化すようにも)
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イディ・ナシュ 2020年3月17日
エスパルダ様は良い子ですね。(手が止まったのを見て、褒めた。手放しの声音で褒めた。そして抗議の声は黙殺した。乱れた髪を手櫛で直して、帽子を乗せて、つめたく指に触れるアネモネを、コサージュと同じ位置に刺す。そうしながら待った答えは――予想外のもので)――。(口を噤んだままで、心を極限まで削ぎ落としたような軽い声を受ける。目を閉じて、少しだけ考える時間を空けてから、再び見上げる氷の色) 本当に、本を作ってみましょうか。剣と魔法の、美しい世界に、貴方の愛した記憶も混ぜて。(忘れたくないものを、書きとめてしまえばと囁くそれは、提案で唆しで、己の頭で考えうる精一杯の)
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エスパルダ・メア 2020年3月17日
ふは、なんだそりゃ。――ああ、似合う似合う。花には詳しくねえけど。(そのコサージュを模したもの。名前はさて、なんだろうって)……本?それオレ読んだら寝て忘れてのループしねえ?お前が読み聞かせてくれんならってなりそうだけど。子守役は大変な。ちゃあんと頼むぜ。(なんて茶化して笑う。笑う。ああけれど、案外それは悪くないのかもしれない、なんて思う。やりようはたぶんいくらだってあるんだろう、何もなくなる前ならば。そんな話が終わる頃、箱の中身は綺麗になった。窓の外の雪は止まないが)……これで今日は仕舞いだな。ありがとさん、助かった。もう帰るか?
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イディ・ナシュ 2020年3月17日
では、そのうち花の図鑑もご用意しますね。此方こそ興味深いものを色々と見せて頂きました、有難うございます。そろそろ夕食の支度がございますので――…、(子守なら得意ですから、と請け負う声は笑みを孕む。手伝いも終わりと知れば、自宅の仕事へと思いを馳せかけて、ふと思い出すのは、) 今夜は鹿の脛肉の煮込みですが。ご一緒に如何でしょう。(今夜のメニューだった。肉好きの、少年のように笑う氷の剣へと差し伸べた手は、いつかのようにお断りを食らうかもしれないけれど。誘いの声一つの後で呼んだグリモアが常夜の国へと運んだ人影は、はて、幾つだったのか)
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イディ・ナシュ 2020年3月17日
【〆】
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