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【●1:1RP】水硝子の檻

泡沫・うらら 2020年2月15日


噂を聞きつけたのは、偶然だった。

――もうすぐ暖簾を下ろす水族館があるそうだよ。

水辺に住まう生き物たち。
生態系を擬似的に再現して、人目に晒す事を良しとする。

水族館とは、魚にとってあまり好ましくない場だけれど。
“サガシモノ”を求め、ふらり、立ち寄る。


顔馴染みの君と出逢うは、大水槽の前。

大半が引っ越しを終え寂しさを増したメインホールで
さぁ何を、語らおうか。




エスパルダ・メアと泡沫・うららの1:1RP
キリの良いところで〆






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泡沫・うらら 2020年2月15日
(己が身の丈よりも随分と大きい硝子の檻を、見上げる。幾夜か遡った光景が脳裏に浮かび、やわく薄唇に歯を立てて)――……貴方たちは、まだ此処に居たい? それとも、(大海原へ、還りたいか、と)
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エスパルダ・メア 2020年2月18日
(静かな青。音のないがらんどう。もうおしまいになると全部全部がそう伝う。けれど歩けば音はして――人影は、ひとつ、あった)……うらら?(小さな声は静寂を伝って、生憎全部音を拾ってしまったけれど。知った顔を見つけて、短く声を掛けた)お前さんも来てたのか。
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泡沫・うらら 2020年2月20日
(名を呼ぶ声と姿に、水槽の温度を映したかんばせは和らいで)まぁ、エスパルダさん。こんにちは。奇遇やね。(この場に不釣り合いなほどまろやかに、眦を下げ)
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エスパルダ・メア 2020年2月22日
おう、奇遇だな。ここで会うとは思わなかった。(和らぐ表情を見れば、こちらも気安く笑って、数歩離れた隣に並んだ)……よく来てたのか?この水族館。あんたは海に馴染みがありそうだけど。(海色。水色。音もなく揺蕩う水槽の奥を見て、安易に彼女の持つ色に重ねて問うた。ああ、それとも)それか、探し物、か?
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泡沫・うらら 2020年2月23日
ふふ。うちも、同じく。営業中はあんまり寄らなんだんやけども、もう仕舞いやって聞いてね? それやったら、静かに居れるかな、思いまして。(言外に人混みは好かないのだと告げ)そういうエスパルダさんはどないしはったんです? ――もしかして、大切な方とご一緒に、やろうか。(近くに人影は無いけれど。周りを伺う素振りを見せて)
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エスパルダ・メア 2020年2月24日
なるほどな。(静かなのが好きならしい。含まれたそれに息で笑って)オレは賑やかなのも好きだけど、静かなのも同じくらい好きなもんで……って、大切な人?(問われた言葉に瞬いた。けれどもすぐ肩を竦めて、人影も何もなくなった通路の奥を釣られたように見やる)いねえよ、別にそんなの。そう言うあんたは誰かと来てんのか?(こぽり、大水槽の隅で泡が白く踊るのを何気なく見る傍に、やはり気配は少ないけれど)
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泡沫・うらら 2020年2月26日
あら、残念。そう思てはるんはあんたさんだけかもしれんけどねぇ…。まぁうちの与り知らん所ですけど。(柔和に笑みしれっと言ってのけ)生憎と、うちもひとりやの。寂しいひとりもん同士、少しお話ししていきせんか?(遠く優雅に泳ぐ魚たちを花緑で追いながら。ゆるく、誘いかけて)
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エスパルダ・メア 2020年3月4日
なんだそりゃ。(不思議そうに首を傾げて)だいたいオレはヒトじゃねえから、大した幅取るもんじゃねえよ。……なんだ、うららは案外寂しがりか?いいぜ、立ち話でいいならいくらでも。(軽口がてらくつくつ笑うと頷いた。誰かと話すのは好きだ。ひらり、魚が視界を過ぎる)……うららも、泳ぐのは得意?
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泡沫・うらら 2020年3月5日
(柔和な笑みを携えた侭)そう言うてくれはると思いました。少しぐらい甘えたな方が、かぁいらしいでしょう? …なんて。(喉奥を震わす笑みには此方も同じもので応え)ええ、もちろん。陸の上より歩くことよりずっとずっと、好きよ。(証明するかの様に指先で水を編みふよふよと浮かんで)
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エスパルダ・メア 2020年3月9日
甘える気がちっとも感じられねえんだけど。……オレは別にどっちでもいいけど、うららは甘えたのほうが好きか。面倒見良いのかね。(ふより、水槽の向こうから泳ぎ寄った一匹の尾の長い魚に首を傾げながら)お、すげえな、それ。(指で編み出された水に浮かぶ姿についぱちくりと瞬いた。なるほど、そうして浮かぶのか、と)……なら陸に上がったるのは、何か目的あってのことか?
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泡沫・うらら 2020年3月11日
さぁ、どうでしょう。甘えてこられるんは嬉しいけども、そればっかりいうんも考え物とちゃいますやろか。(他人事のように抑揚無く告げ)ふふ、お褒めに与り光栄です。(ショウを終えたピエロの様に浮かんだ侭腰を曲げて挨拶を、ひとつ)ええ。さがしものを、さがしに。
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エスパルダ・メア 2020年3月16日
確かに考えものな。別に何でもかんでも甘やかすのは好きじゃねえや。(お辞儀を貰えば軽く手を叩く。ぱちぱちと響く音は、気配の少ない通路に沈んで)……ウチの店に来たときも言ってたっけ。海にはねえものなのな。
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泡沫・うらら 2020年3月19日
(拍手の音へは微笑む事で返して)本来であれば海にこそあるんやろうけども、中々手がかりすら見つけられんもんで。それならもしかして、思いましてね。エスパルダさんはどうしてあのお店のお手伝いを?
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エスパルダ・メア 2020年3月23日
海にこそ……。(なるほど、呟く。それが何だかは見当もつかないが)そんな探してねえんなら、思いも寄らないとこかもな。何か、これ見つけたら置いといてくれみたいなんの、あるか?言えるもんなら、でいいが。(そう問うてみながら、他の水槽にも視線を移す。さまざまな海のどこかから来た生き物たち)……オレ?オレは大した理由でもねえよ。ふらついてて、何となく見つけて入った店が古物商で、成り行きで店番任されてた。(なぁにがすぐ帰るだ。悪態ひとつ。本来の店主は、ひとつも帰って来る様子がないのだ)
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泡沫・うらら 2020年3月24日
まぁ、お手伝いしてくれはるん? おおきに。(眦を下げつつ、白魚で硝子をなぞりながらゆっくりと歩を進め)せやねぇ……。常夏の海から拾てきたもんとか、人魚にまつわるもんがあれば。(お願いします、とやおら腰を曲げ)ふふ、せやったんですか。成り行きとはいえ、お任せされた店番をきちんとこなしてはるんは偉いと思いますよ。……悪いのは口だけ、言う事やろか。(からころと楽し気に喉を揺らし)
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エスパルダ・メア 2020年3月27日
役に立つ手伝いにはならねえかもしれねえがな。……常夏の海。なかなか縁がなさそうだけど。(暑いのはどうにも苦手過ぎる。思わず視線が逸れるも、お願いしますと言われたなら、気安く笑って)人魚にまつわるもん、な。(どんなものがあろうか、考えながら何ともなしに見上げた水族館の案内板。そこに見つけた)……ジュゴン。て、人魚に間違われたって話がある奴だったか。まだいるのかね――て、ふは、偉いか?いい加減な店番やってるだけだよ。口が悪けりゃ態度も悪くて、動物以外物好きしか近寄らねえや。あんたも結構言うじゃねえか。(ころころ笑う声がふわふわその歩みと揺れる。釣られるようにくつくつ笑って)
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泡沫・うらら 2020年3月31日
(逸らされた視線は意に介さず。向けられた微笑みにだけ笑みを返し)ジュゴン……? あの仄白い穏やかな子らやろか。確かにあんまり姿はお見かけしませんねぇ……。(“展示”されているのだろうかと花緑を向けるも、そこに記述は無く。興味を無くした様に視線を外し)あら嫌やわ。動物に好かれるいうことは、性根から腐っとる訳やないいうことよ? あの子らはちゃあんと、本能でいい人かそうやない人か、見分けられるんやから。(毒づかれる前にふより、尾鰭を旗めかせ宙へと逃れ)
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エスパルダ・メア 2020年4月2日
人魚の伝説ってとよく言われるだろ、ジュゴン。……けどまあ伝説は伝説か、その様子だとあんま会わねえみたいだし。本能って、……そういうもんか?都合の良い餌場くらいでも別にまあ構やしねえんだけど。(不可思議そうに首を傾げて、宙を泳ぐ鰭を見る。ひらひらと水なき宙を踊る波の)あんたは好かれそうだな、海の生き物やら、動物。
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泡沫・うらら 2020年4月5日
まぁ、せやろね。あることないこと好き勝手。手前の都合が良いように遊んで弄りまわして編み上げたものが――、伝説。……なんて(続きは口の中だけで紡ぎ)都合の良い狩場かて、居心地がよう無かったら居つきはせぇへんと思いますよ。(ふくふくと喉の奥でだけ笑いながら)まぁ、嫌われてはおらんと思いますね。――ほら、こんな成りやさかい。(ひらり、尾鰭を揺らし。何も無い空中でくるりと一回転してみせて)
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エスパルダ・メア 2020年4月8日
なるほど、伝説は好かねえか。オレは好きだがな、好き勝手でも夢の跡くらいにはなる。(聞こえなかった呟きは問い返すこともなく、箱庭めいた水槽だけが残ったそこを何気なく見て進み、ふくふく笑う声にはそれだと良いと軽く笑む)……そりゃあ良かった。海の中ならもっと綺麗に見えそうな。(ひら、ひらり。見せてもらった綺麗なそれは、大海原が似合いそうだと思った矢先)(館内に閉館時間を告知するゆっくりとしたアナウンスが響いた)……と、もうそんな時間か。
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泡沫・うらら 2020年4月11日
紡ぎ手側――、若しくは物語の受け手側はそうなんかもしれませんね。伝説でも、全てが嫌いや言うわけやあらへんさかいに、物によります、とだけお答えさせて下さいな。(にっこりと柔和な笑みを浮かべ、この話はこれで終わりだと言わんばかりに)(閉館を告げる音声と、君の声に、ゆっくりと地上へと近づいて)――嗚呼、残念。“今日”も、“これから”も。此処の終わりの時がもうすぐそこにあるんやねぇ……。今日はお付き合いありがとうございました。(目線の高さでやおら腰を曲げ)
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エスパルダ・メア 2020年4月18日
けど、一番最後を見てるってのは、案外悪くもねえもんだ。(物語も、終わる時間も、いずれ失われるこの場所も。一度見渡してから歩を進め)……こちらこそ、立ち話に付き合わせて悪かったな。ありがとさん。(丁寧な礼には軽い会釈で返して、どちらともなくその場所を出る)(そうして静かな音を取り戻すその場所は、次に来たときには今度こそ、何もなくなっているのだろう)
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エスパルダ・メア 2020年4月18日
(〆)
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