【呪言】
ジン・エラー 2020年2月3日
『アイツは殺人鬼だ』
『絶対に許してなるものか』
『あの人が、あの人が私の恋人を!!』
『僕の、お姉ちゃんを……っ』
『お父さんを、よくも…ッ!』
『どうして、なんで、』
『何処に行きやがったッ!ジンッ!!!』
『彼が服毒自殺!?有り得ない!!』
『おお、神よ。どうか天罰を』
『殺してやる』
『赦さない』
『呪ってやる』
『"あのジン・エラーだけは"』
「その"設定"、もう聞き飽きちゃった」
この世全てを諦めた男。ジン・エラー。
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ジン・エラー 2020年2月3日
第一さ、僕のコレは殺人衝動ではないんだよ。正直"殺人鬼"って呼ばれるのはイヤなんだよね。そこらのアタマのオカシイ連中と一緒にしないで欲しい。
…まぁしょうがないかなって思うところもあるけどさ。他に呼び方ないし。
で、じゃあ何なんだって言うとさ。僕は小さい頃から寝顔を見るのが好きだったの。お母さんの傍で寝てる時も、お父さんが疲れて床で突っ伏して寝てた時も。綺麗だなぁって。ずっと見ちゃってた。
それでね、ある日人が死んだ顔を見たわけだよ。死に顔ってやつ。
ほら、『綺麗な死に顔だ』『眠っているみたいだ』とかさ。言うじゃない?
いっちばん、綺麗な寝顔なんだよ。死に顔って。知ってる?別に知らなくてもいいけど。
それから僕は三大欲求じゃなくて一大欲求。"寝顔"を見るために生きてきた。殺した。
何でもしたよ?うん。"何でも"。
ジン・エラー 2020年2月3日
……でもね~~ある時ね~~~
ふっ…と、思っちゃったんだ。
『この世界は、誰かが作った箱庭なんじゃないか』ってさ。
…も~~~~ね、終わり。あ~もう考えるだけヤダヤダ。終わり。
最悪だよね。
だってさぁ、
人を殺すあの不快感も、愛する人を失ったあの悲壮感も、"寝顔"を見て得ていたあの快感も、誰かを騙すあの後ろめたさも、友人を裏切るあの罪悪感も。
全部。全部全部ぜ~んぶ。
"そうなるように仕組まれている"ってことでしょ?
(ため息)
まぁ、それを忘れて楽しむこととかは出来るけどさ。道化みたいに。
でも、もう、"彼"みたいに僕は世界を楽しめないよ。
(深いため息)
恨み辛み?知らないよ。それだって"そうなるようになっている"んだ。
あ~あ、くだらない世の中。
とりあえず僕は基本的に"彼"の中にいるよ。気が向いたら出るけどね。
…あと無理矢理出されるときとか。
でも僕、弱いよ?ほんとほんと。本当に。
ジン・エラー 2020年2月3日
──だから言ってるじゃん。"殺人鬼"じゃないって。ね?