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【●1:1RP】漫ろ夜

雲烟・叶 2020年1月10日


時刻は丑三つ時。
ゆらりと霞む月と、煌めく星々。
冷えた空気は澄んで、空は高く見えた。
人の子の声も消え、賑わう道も閑散と。
こんな夜、睡眠を必要としない人で無しは、浮かれ烏もかくやと漫ろ歩く。

やがて。
寂れた公園で、やっと立ち止まる。
今夜の暇潰しは、此処。



エスパルダ・メアと雲烟・叶の1:1RP
キリの良い所で〆






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エスパルダ・メア 2020年2月7日
(相手の考えていることなど知る由もない、ただの悪餓鬼。考えたところで悪知恵が回るばかりで、考えなければただ愚直。飾り気もなく笑う相手にはすっかり遊んで貰っているような感覚でいる)模造を切り離して固定……。(さて、模造をそもそも造るところから不得手な己からすれば並外れた芸当である。まじまじと改めて眺め、当の煙管の顔と見比べているうち、ぐしゃぐしゃ撫でる手がそれを遮る)おわ、なにす……っぶ、ははっ、何すんだ、気ィ抜けた顔してたのはそっちだろ。(乱暴な撫で方に抵抗もせず、されるがまま。可笑しそうに大笑いする。嬉しそうなのは見て取れるだろう。気安く触れる性分故、そうされるのだって好きだ)
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雲烟・叶 2020年2月8日
(頭が、上手く働かない)(嘗ての幼心には、現実を受け入れがたかったのか。時間経過で忘れてしまったのか。愛してくれた人たちを殺し尽くしたと思いたくなかったのか。分からないけれど。少なくとも、今この瞬間まで、器物としての己が大切にされていたことを、考えもしなかった。当たり前のことだったのに。噛み締めた奥歯がきりりと軋む。この感情を何と呼ぶのか知らない。俯いた顔が上げられない)(不意に、頭に乗った手の感触。びくんっと分かりやすく肩が跳ねたのは、既に動揺しすぎていて隠し損ねたからだ)…………、……撫でんな糞餓鬼……。(悪態を吐く声が弱い。多分、俯いた髪の隙間から見える耳は血色の悪い白さが嘘のように真っ赤だ)(顔が熱い)
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雲烟・叶 2020年2月8日
お前は先ずひとつでも造れるようになれ。(本体がないから、模造が上手くなった。それがこんな所で役に立つとは思わなかった)たっく、ほんっと馬鹿。ほんっと……可愛い奴。(わしわしと遠慮なく頭を撫で乱してぐいぐいと頭を下げさせて、照れを隠すように呆れたような疲れたような不機嫌声を向けて。けれど。向けた瞳だけが何処までも柔らかい。素であるのなら、孫を見る翁と言うよりは、歳の離れた弟でも見る兄の方が近いだろうか。此奴なら仕方ないと甘く許容して諦めるような、そんな色。遊里で使われていた煙管らしからぬ、ただの真っ当な親愛だった)(──今こっち見んな、結構恥ずかしいんだよ)(空気に溶けるような小さな文句も聞こえたかもしれない。好意に不慣れすぎる煙管は、自覚してしまうと結構、かなり、恥ずかしいのだ)
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エスパルダ・メア 2020年2月12日
(呆けたように止まってしまった相手を首を傾げて見る。不可思議だ、とただ思うのは、驕りに近い愛された氷剣の自覚故)(どうしてこんな立派な出来で、永く愛されて来たくせに、それに気づいていないなんて)(触れたら震えた。どうやら、動き方を忘れたわけではないらしい。跳ねた肩に気づけばあっさり手は引いて)……へいへい。餓鬼より餓鬼みてえな顔してるからだろ。ばーか。(赤い耳をぱちくりと見て、揶揄うように笑っておいた)(よっぽど今更だろう、愛されたとか、そんなこと。当然だろうって顔をして、子供同士みたいな声で遅い気づきを祝うよに)
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エスパルダ・メア 2020年2月12日
うるせえや、そのうち出来るようになるからいいんだよ。(不貞腐れて負け惜しみを言った。実のところ全く上達の目処が立っていないのだけれど)ふは、ははっ。だろう、オレはこれでも可愛がられんのは慣れてんだ。(頭をわしわしされながら、犬の子みたいに上機嫌に言う。弟なんて名乗ることは、今はもうないけれど。頭こそ撫でられたことはないが、向けられる親愛は、よく知っていて、好きなもの)しょうがねえな、これ貰ったから、撫でさせてやるよ。(なんて口で言いながら盗み見た)(見たことないくらい緩んだ顔は、紫煙の向こうに見るよりはずっと生きているような気がして、面白い。握った煙管を落とさないよう)
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雲烟・叶 2020年2月13日
(祝うような声と、離れて行く手が、何だか見透かされていて悔しい。餓鬼の癖に)…………嗚呼もう……五月蝿ぇ畜生……。(長い髪で顔を隠すようにより俯いて、疲れたような、どうしようもなくなったような声が出た。何しろ、大層口が回るこの煙管にしては珍しく、何ひとつ言い返せなかったので。今とっても相手の方を見たくない。ていうか見んな。普段は外面で生きているせいか、呪詛を呼応させないようなるべく感情を波立たせず生きているせいか、流石に此処まで駄々崩れると上手く立て直せない)(愛してくれていた人たちを尽く狂わせ殺したなんて分かりたくなかったと叫ぶ子供も心の奥底には確かに居るけれど。あの日から時を経て歩き続けて来た今の己は、その、“愛”とやらを。器物の己への“愛着”を、……酷く、幸福に思った)
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雲烟・叶 2020年2月13日
はいはい、その内な。(子供をあやすように言ってやるのは、単なる照れ隠し。それに、不貞腐れる子供がちょっと可愛かったので)……ま、こんなの境界敷いてる今だけだから、ちょっとばかり愛でられとけ。(愛らしいと思ったこの子供に触れたがるのは、きっとこの煙管の知る愛の形が、触れることだからだ。言葉は幾らでも嘘で飾れる、煙に巻いて形も重みもなくふわふわと流れて行ける。けれど、触れる手の低い体温や、乱暴に見せ掛けた不慣れで緊張したようなぎこちなさだけは。己で乱した黒髪を最後にそっと梳いて行く指先だけは。隠し方も知らない)(暫くすれば、その手を離すだろう。彼処と此方。双方に境界が敷かれている、そんな今だけの戯れだった)
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エスパルダ・メア 2020年2月18日
何だよ、お前だって餓鬼じゃねえか。(だって今気づいたんだろ、オレより遅いと笑う、糞餓鬼理論。文字通り桁違いの歳上相手に無礼千万、なんてことは気にしない性質だからなお悪い)(けれども)(顔を隠すのを、無理に見たりはしなかった。どうせ真夜中、人避けの紫煙。いくらでも笑って隣でいてやろう。どうしても顔が上げられなければ、そのうち無理に引っ張ってやる、その長い髪)……案外幸せモノだろ、ヤドリガミって。最期がどうあれ、『愛』ってのは嘘にはなんねえもん。気づかれなきゃそれこそ化けて出て来るぜ。(幸福を知った――思い出したのだろう横顔に笑って笑って、図々しく)
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エスパルダ・メア 2020年2月18日
その境目、別に無くても気にしねえって言ってんのに。(気にするだろうとは解った上で肩を竦めた。今だけ。境界。その言葉を少し考える)……つまりアレ?お前の煙草、吸ってりゃいいのか?(相手も自分もそれを得ることができる、その条件は割と簡単に整うのではなかろうか。そんな事を考えながら、わしゃわしゃとされる内、ぎこちない指なのにふと気づいて、くつくつ笑った。特に触れ方を気にするほうでもないが)……次はもうちょい上手く撫でろよ。(減らず口で、顔ばかりは嬉しげに。この図体で撫でられるとか、そうそうないお話だろう)
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雲烟・叶 2020年2月21日
うっせぇ糞餓鬼。(ぼそり。やっと上げた顔は、じろりと睨む白銀の目元が目弾とは違った色で朱を掃いていた。耳も頬も熱いから本当にもうどうにかして欲しい、こんなのちっとも欠片すらも慣れていない)(本体に濃く染み込んだ血液と愛憎を始めとする負の感情が、己を魂魄を生み出した。持ち主の関わる様々な愛を発端とする憎悪が、悲哀が、絶望が、嫉妬が、多くの負の感情が、己の呪詛を色濃くして行った)(けれど)(その愛の形のひとつが、己に向けられていたなんて、今の今まで忘れていた)…………、(悪足掻きのようにぼそっと微か呟いた声は、拗ねた子供のようだった)(悪くない)
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雲烟・叶 2020年2月21日
俺が気になるんだよ。染めたくねぇ。(呆れ声。万が一、億が一があるなら、用心に越したことはない)……あのな。力を通して術を組んである俺の本体か模造で、数十の薬草と術を混ぜ込んだあの薬煙草を使って練り上げてる境界だぞ、一応。薬草の手間も馬鹿になんねぇし、……って。そうか、お前どの道、刻み煙草の用意しなきゃなんねぇのか。(あー、と言う顔をした。そもそも、今まで己の模造すら誰かに与えたことがないし、自分の呪力以外で組んだ術式を発動したことがないのだ。組み込んだものが対応するのかも分からないし、そもそも相手が術式に繊細に力を通せるのかも分からない。が、良く考えれば、相手は煙管初心者だ。刻み煙草の大元から用意しなければならないし、普通のヤニは望ましくないだろう)…………慣れるまでは実験台してろ。(バレた。視線が僅か逸れて、次があることをを告げるように)(人に触れることは、恐れであり、憧れだったのだ)
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エスパルダ・メア 2020年2月24日
顔が赤いんじゃねえ?とんだ爺さんのくせにまだ初なとこあるとは、これから楽しいんじゃねえの。(ちらと見て笑う無礼をまだ働いて、朱の滲む顔を横から頬杖をついて覗く)……ふは、ははっ。(呟く声を僅か拾って笑った。満足そうだ)お前ほんとに素直じゃねえな。(それが相手らしいことは、もうわかったところだけれど)
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エスパルダ・メア 2020年2月24日
模造に耐性練り込んどいてまだ言うか。…ま、染まったら自業自得だ、お前のせいじゃねえ。(指先で遊ぶ煙管に混ぜられた、恐らく本体にはないもの。相手の用心と思いやりだとわかっているし、欲しがったのは自らだ)……もしかしなくてもめちゃくちゃ手間掛かんの、これ?(知らなかった、返す気はさらさらないが、魔力を用いた術式とかにはどうもこうも、下手さしかないこの氷剣。ついでに言えば煙管にも詳しくなんてまったくないが)…しょうがねえ、教えて(必要なことなんだろう)普通の刻み煙草なら手に入れるアテがなくもないけど、お前のは特別なんだろ。植物とかとは絶望的に相性悪いぞ、オレ(育てていると聞いた覚えで申告しながら、逸れた瞳を見る。笑う)いくらでも。実験台だからな。(遠慮する方がきっと損だと笑う。好きなら好きなだけ、慣れないなら慣れるまで。自分で名乗り出た実験台だ、便利に使われて楽しいならそれに越したことはない)
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雲烟・叶 2020年2月24日
くっそ、……(返す言葉がない。爺と嘯くほど生きて来て、他者と深く関わることなんてそう多くなかった。自分を見せることも、己が呪物だと知ってからは先ずなかった。相手のことはろくに知らないのに、此方の弱味ばかりどんどこ知られて行く)……やっぱり素で話すの苦手だ……。(素直じゃないのはともかくとして、猫を被っていれば此処まで無様は晒さないだろう。まだ頬が熱い気がして、顔を洗う猫のように片手の甲でくしくしと頬を擦った)
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雲烟・叶 2020年2月24日
その自業自得が心底嫌だから、自分にねぇどころか明らかに相反するもん無理矢理構築してんだろが、分かれ馬鹿。(はん、と鼻を鳴らして吐き捨てながら掌を返せば、煙管がもうひとつ)手入れやらは持って来りゃやってやる。模造だからな、最悪壊しても問題ねぇし。刻み煙草は今度譲ってやるよ。(今日の印籠の裏には某御札が貼ってあるので、他の印籠にでも入れて投げ付けよう。管狐の吐息で火皿の刻み煙草に火が灯り、ちりりと燃え始める)……で、だ。とりあえず、お前、術の回路感じられるかい。そもそも呪術回路だからなこれ、お前の魔力通るかな……。(この小さな煙管の中を目一杯に使って複雑に構築されている術の流れが感じられるかどうか。今ならまだ先程まで吸っていた己の力の残滓が残っているから、追い掛けやすくはあるかもしれない)たっく、こちとら別にお前で実験したい訳じゃねぇんだよ。(練習はさせて貰っているが、兆候があれば即止める)
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エスパルダ・メア 2020年2月27日
(やーい。小さく悪餓鬼そのものの声が笑い飛ばした。他人の境界線の向こうにずかずか土足で踏み入るような真似だと知ってはいるけれど。それが弱味だと思いもしない、この子供。それが本当の一つなら、きっとあったほうがいいものだ)いいじゃねえか、苦手なこと。人間くさくて可愛げあるぜ。(からから笑って仕草を見やる。白すぎる肌に薄く残る色は中々見れないだろうから、ちゃんと眺めておくことにして、擦るその袖をつんつく引いた。これなら驚かさないだろうって)擦ってももう見たもん変わんねえぞ?(性格のよろしくないただの子供である)
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エスパルダ・メア 2020年2月27日
……無理やり構築してんの、これ。(まじまじ、自分の手にあるものと、今し方相手の手にできたものを見比べて)そりゃあ、ありがと。結局良い奴だよなお前。(自業自得は構いやしないが、それを相手が自責にするならないほうがいい。ただし)壊さねえよ、絶対しねえ。ん、手入れは度々持ってくからしてくれ。(貰ったものだ。模造とはいえその形は相手のまこと。増してや特別に構築されているなら尚のこと。はっきり言葉でそう言って)煙草、譲ってくれんの?手間かかるってんなら大事に使うけど。(相手の手にある煙管に火が灯るのを見ながら、呪術と言われると眉間に盛大に皺が寄る)ええ……ああ……うっすらぼんやり?(ちょっと待って、と神妙な顔で煙管に口をつけて、指でなぞる)実験じゃなくても、お前触るの好きだろう。(実験じゃなくとも。一先ずはそれで理由にはなるだろうって)
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雲烟・叶 2020年3月4日
(今は触れられるのを良いことに、伸びた手がうるせぇの言葉の代わりのように乱暴に相手の頭をぐいっと押さえて下げさせようとする。言葉が出なくなると手が出るのは、言葉がまだ上手くなかった頃、普通に人に触れていた昔の名残りだ)……別に人間臭さなんざ要らねぇよ、って言うか弱味見せて回ってちゃ世話ねぇだろ……。(人で無しが人間臭さなんて持っていて何になると言うのか。袖を引かれて、頬を擦っていた手を止めて相手を見遣った……ら、飛んで来る糞餓鬼以外の何物でもない台詞)何、……っあーもーうるせぇこの糞餓鬼!(一瞬面食らったように瞳を丸く、さっと赤みが戻って、直後、この男にしては珍しい張った声と共に相手が避け損ねればまた管狐の大群に襲われるだろう)(どさどさささっと、その数六十一匹の毛玉)
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雲烟・叶 2020年3月4日
祝いを呪いに変えるのは簡単だが、呪いを祝いに変えんのは難しいんだよ。……別に、呪いたくねぇだけだ。(良い奴のつもりなんざねぇよ。溜息と共に吐き捨てて、ふ、と紫煙を吐き出した。壊さない。その言葉に、僅かだけ口角が上がる。何だか、変な気分だ)……あ、そ。手入れ自体は大して難しくねぇけど、道具が必要になるからな。手間は掛かるけど別に好きに使ってくれりゃあ良い。刻み煙草は消耗品だ、あんまり保存しておいても香りが落ちる。(神妙に回路を追い始めた相手を眺める。火皿から吸口まで歪で細長い円環を描くように比較的太い回路が走り、更にその輪の中を無数に枝分かれし複雑な模様を描く。全ては閉じ込めることに特化し、世界と己を隔てるためだけの術だ。これがあって初めて、この煙管は普通の人々の中に辛うじて混ざれる。さて、追えるかどうか)…………そりゃ、まあ。好きっつうか、憧れてはいたけどな。(ぼそり。子供じみた憧憬だ)
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エスパルダ・メア 2020年3月9日
ぐえッ。(押されるまま頭が沈んだ。素は雑だとは思っていたが、やっぱり雑だこの男。雑な取り扱いには、生憎慣れてはいるから構いやしないのだけれども――)……んぐぇ!?(次いで管狐の大群にしっかりがっつり押し潰された。相変わらず重くもないが圧がすごい。すごいもふもふの圧である)……ちょ、ギブ……。何も見てませんホント、ほん、ぐええ。(何か呻いている)
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エスパルダ・メア 2020年3月9日
何か良くわかんねえけど、面倒なのは多分わかった。(あまりわかっていない顔である。けれども貴重な何かであるなら余計、壊すまい。貰った友の分身をじいと見る)へえ、煙草ってのはそういうもんか。なら度々使ってみるけど、…。(こういうのはさっぱり苦手なほうだ。本来の成り立ちは、魔力に特化したものだけれども。追いかけ始めて少し、微かな音と一緒に煙管の中程が氷結した)あ。(呟くと同時に集中が途切れるや、ぱきききき、と模造の煙管は氷に覆われ、一瞬あとに氷だけが弾けて落ちた。ものは――無事だった。ほっとするやら、ばつが悪いやら)……無理そう。このままやると壊す自信ある。(いらない自信を持って言った。魔力操作はどうあっても苦手なままだ)憧れか。誰にでも触れるようになりゃ、きっと楽しいだろうに。(楽しげに笑う。それが相手にとって叶わなかったこととは知っているけれども、だからこそ呟いたのだろうと)
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雲烟・叶 2020年3月12日
はッ、ざまぁ。分かれば良い。(鼻で笑った、この煙管。喧嘩煙管ほど物理的ではないけれど、この煙管も育ちが育ちだからなのか素で動けばなかなか行動が雑である。ただ、悪態の割にその表情は薄いながらに何処か楽しげで、子供が戯れるようなそれだ)(主人が楽しいから、管狐たちもとても楽しい。主人が楽しいのは、とても嬉しい。氷剣の上にもっふりと小山を作りながら、はたはたと尾を振る管狐が続出する。擽ったかったら諦めて欲しい)(なお、雑に退けてもどうせ管狐は喜ぶので退けても構わない)
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雲烟・叶 2020年3月12日
分かってねぇのが分かった。(別に理解を求めていた訳ではないから、それはともかく)匂い袋だって置いときゃ匂いが飛ぶだろ、煙草と同じだ。っても使わねぇかそっちも。……?っ、(あ。に相手を見れば、発現する純度の高そうな氷。即座に氷の砕け散る高い音)…………、(流石に驚いて、瞳が丸くなる。やがて、一拍。二拍。相手のばつが悪そうな顔を見た途端、ふは、と小さく吹いた。く、くく、と喉の奥を鳴らすように零れる笑い声。片手が慰めるように相手の背を撫で叩こうと)や、良い。気にすんな。あー……魔力にはあんま詳しくねぇんだが。何となく。ちょっと弄るぞ模造。(切り離してあったとは言え、模造が完全に相手の魔力……氷に包まれたから。上手く行くか分からないけれど、試すだけ試そう)……触れてみてぇと思ったことは、そりゃあるさ。でもまあ、流石に此処まで遠慮なく触れと言われたのも触ったのも、境界敷くようになってからは初めてだ。
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エスパルダ・メア 2020年3月18日
……っだぁぁ!わかったからもう退け、擽ってえ!(もふもふ動く山に圧し潰されるのも限界だった。勢い良く折れていた体を起こす。もさもさ落ちてゆくのが元気そうだから大丈夫なのだろう、たぶん)ちぇ、半端に笑うなよ、笑うなら全力でバカにしやがれってんだ。……専門外でもどうにかできんの?すげえな。(背を軽く叩かれると、不貞腐れたように言うも。弄るぞと言われれば、素直に感心しつつそちらの手に煙管を預けてもふもふまみれから立ち上がった。割とぞんざいに管狐たちを落としながら遊ぶように)ははっ。そりゃ光栄でってやつ?けどま、初めてなんてすぐ忘れるもんだ、次から次、試してけばいい。――何せこんなふうにモノ同士喋る世の中だ。いくらでも想定外なんて起こるし、それが楽しくねえか?(丑三つ時の公園で遊ぶ、ニンゲン未満の糞餓鬼がいけしゃあしゃあと笑って)
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雲烟・叶 2020年3月29日
(主人の至極楽しげな笑い声をBGMに、振り落とされるままにぽろぽろと管狐が落ちて行く。一部は霧散して煙になって消えたり、落ちずに其処らを漂ったり。中にはそのまま転がり落ちた鈍臭い個体もいるが)あー、悪かった、驚いて、つい。……出来るかはやってみねぇと分かんねぇ。(不貞腐れた声に謝りはしたが、笑ってしまっているから何とも言えない。受け取った煙管に呪力を通し、先程の魔力の氷の気配を辿って、その残り香のような魔力を絡め取って捕まえる。呪力の針に魔力の細い糸を通して繋げたようなものだ。呪力に先導させ、術式の中を通して行けば何とかなりそうだ。くん、と袖を弱く引かれる程度に魔力が引っ張られるかもしれない)何時かは忘れるかもな。……突発的事態は好きじゃねぇんだけどな、俺。(何時か。今じゃないから、まだ暫くは感慨深い。やれやれ、と溜息を吐く癖に、好きじゃないと言いつつも相手の言葉は否定しなかった)
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エスパルダ・メア 2020年4月2日
……ふはっ、しょうがねえな、許してやる。実際お笑い草なんだよ我ながら。(偉そぶるように言うと、案外素直に謝るな、なんて茶化すように自分で笑い飛ばして。さして解らないまま『何かしている』のを眉を顰めて見守る)何してんだ、……て。(訝しむように自らの腕を見た。何かに引かれたような、気のせいのような)……ちびすけ。じゃ、ねえな。(鈍臭く上着の裾に引っかかっていたらしい管狐を見てひょいと掴む。どうにも違う。なら、)叶、なんかしたか?(集中しているらしい相手に首を捻って近づいた。何がどうなったか知れないのだけれど)お前記憶力は良さそうだしな、オレと違って。ま、嫌いじゃねえからオレとかの相手してんだろうけどさ。(年寄りめいた溜息を子供みたいにまた笑う。一応同じ百年は経た器物であるくせに)
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雲烟・叶 2020年4月9日
餓鬼が拗ねたらあやすもんさ。……ま、その内どうにかなると良いな。(茶化す声に子供扱いで返す。戦場で繊細な魔術を使う必要があれば覚えも早そうだが、武器片手に突っ込む方が早いのかもしれない)(掴まれた管狐はひょろ長い胴体や短い手足を弛緩させてだらんと無抵抗、尻尾だけがはたはたと小さく揺れていた。が、軽く引かれる感覚は未だに続くだろう)……俺の呪力を針代わりに、お前のさっきの魔力の残滓を糸代わりに。針に糸通して先導させながら回路に通してる。(魔力って扱いづれぇ……と小さくぼやく声。糸の強度が分からないからあまり強く引けないし、下手に引いて相手の魔力が多く出て来られても扱い切れない。とりあえず、相手が拒否したら即座に切れる程度の引き方だ)……本体の記憶は刻まれてるから忘れようがねぇけど、俺自身が体験したことはちらほら忘れるぞ。まあ、そりゃな。突発的事態の塊みてぇなもんだし、お前。
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エスパルダ・メア 2020年4月11日
ちぇ、どうせ餓鬼ですよ。(可愛げもなくべーとしながら、そのうち。その言葉を繰り返して)……名残はあるから、扱えてたことはあるらしいんだけどな。今はどうも、忘れてるらしい。(実際、だから手っ取り早く殴ることにしたし、いくらでも代えのきく肉体を都合よく利用してもいる。忘れた。自分に呆れたように呟きながら、管狐を手に乗せ直して煙管の男の元に釣られるように戻り)……裁縫みたいなもんか?お前のに寄せればいい?(厄介そうだとは理解した。首を傾げるしかないが、呑気に一人解っていないのも癪だ。ベンチの隣に戻ると無抵抗の管狐をぽすり、相手の使っていない手に乗せる。使役の彼らが主と通じているのなら)
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エスパルダ・メア 2020年4月11日
(ごめんな。呟いたなら。手も狐も逃げなければ管狐の上に置いた氷剣の手から魔力共々氷が成されるだろう。管狐から向こうの手へ。ぱきぱきと凍り伝う魔力は現状扱えるだけの上限を示すように伝わるかもしれないし、相手が反射で引くか管狐が逃げればその辺に氷華が咲くだけの)じゃあやっぱ、肉体の記憶は肉体ごと、なのかね。……カタマリで悪かったな。お前が面白そうだったのが悪い。(やや不貞腐れた顔の清々しい責任転嫁である。不躾を許されているのは相手の寛容さゆえなのは知ってはいるが)
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雲烟・叶 2020年4月17日
可愛いってことさ。(孫をとびきり甘やかす老爺のような瞳で、煙管は薄く笑う。相手の様子を横目で見て、ふと)……お前はさ、思い出せねぇこととか、扱えなくなったもんとか、変わっちまった姿とかさ。悔やむ……とも違うか、そうだな、何ぞ悼んでるように見える。(見当違いなら、笑い飛ばしてくれれば良いけれど。何となく、そう見えた。相手に魔力の媒介にされた管狐は無抵抗に、冷え切った魔力に包まれてなお、大人しく尾を揺らしていた。そして、その下の白い手も逃げない。体内が呪力のみで構成されているせいか魔力を感じ取るのは苦手だが、これなら分かりやすい)あ、助かる。やりやすくなった。(何処まで引っ張って良いか分かるようになったため、繊細に少しずつ扱っていた作業を少しだけ大胆に行い始める。時間短縮になって有難い)俺はそうみたいだな、肉体消滅するとたまに前後の記憶曖昧になったりもするし。はいはい、お互いさまだろ。
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エスパルダ・メア 2020年4月21日
ふは、年寄りには敵わねえな。こんなナリを可愛いがるの、お前くらいだぞ。(嫌な気はしないから、結局機嫌良く笑う。同じくらいの悪餓鬼に見えたり、懐き甲斐のある老爺に見えたり。その本質は問うよりこうして話すほうがよっぽどわかりやすい気がしている。向けられた視線にはつい瞬いて、笑い飛ばすでもなく息を吐いた)…悼み、はそうな。戦場じゃずっと見送り役だったもんで。けど、お前が見て来ただろうもんほどじゃねえよ。(じわり、染みるように感じる異なる気配。それが呪力と言うものか。組まれた何某かで、こちらに流れ込むでもない。大人しい管狐の頭を擽るように撫でて、作業を邪魔しないよう。けれど、)なら、凍えて死んでくれるなよ。まだ煙草の吸い方だってろくに教わってねえんだから。(なるべく余計な分は外に逃がそうとすれば、煙管の男の足元から取り巻く煙の形をなぞるように、氷の華が咲くだろうか)
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雲烟・叶 2020年4月23日
は、そりゃあ良い。(自分が愛でるならそれで良いだろうとでも言うように、鼻で笑う傲慢。子供なら誰でも愛でる訳ではないけれど、愛でたいものは愛でる主義だ。横目で見た息を吐く仕草、言葉は複雑を孕むようにも見えるし、諦観にも見える。けれど、相変わらず良く分からないままだ)……見て来てたって、そもそも思い出したいとか、取り戻したいとか、失くしたくねぇとか、そういうの。今んとこ、俺はねぇからな。あー……いや、最後はあるか。(自分のそれと、相手のそれは、また別物だろう。昔は出来たことが出来なくなったとか、昔の姿と変わってしまったとか。その手のことは、自分にはない)……っ、やるならやるって言え。たっく、……まだそう簡単には死なねぇよ。(ぱきぱきっ、と微かな音と共に足元から形成される氷の華に、流石に少し吃驚した。確かに冷たいけれど、凍え死ぬほどやわじゃない。作業は相手のお陰で楽になったし、もう直ぐ終わる)
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エスパルダ・メア 2020年4月26日
良いのかよ。(鼻で笑われるとそれはそれで面食らう。けれどもすぐ面白がるように軽く吹き出せば面白げに、嬉しげに)なら貰った煙管もしっかり大事にしてやるよ。返しにやれるもんが思いつかねえのが困りもんだが。(模造は未だろくに作れやしないし。ぼやくその横から聞こえた声には肩を竦めて苦笑した)取り戻したいもんとかはオレもねえよ。忘れちまったもんは忘れたこともわかんねえだろうし。何かがないって何となくわかったときに妙な感じがするのは、苦手。……叶の失くしたくねえもんってなんだ?(苦笑に滲むのは諦観だが、困惑でもある。溜息で押し流すようにして)あ、ごめん。お前のに引っ張られてんので結構解るから、つい(うっかり。基本雑な性質だ。素で謝れば大丈夫そうなのを見て取って――ぱきん。何かが完成するような、そんな気がした)
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雲烟・叶 2020年5月2日
俺だけ、なんて使い古された良い口説き文句だろ。別に、大事に使ってくれるんならそれで満足だ。使い手、久々だからな。これでも浮かれてるんだ。(そんな気は欠片もない癖に、口端を歪ませて笑うようにこの手の言い回しをするのは、ただ耳馴染みがあるからの癖だ。気を抜くと直ぐ出て来る軽口だ)……忘れても、魂は嘗てを何処かで覚えてるのかもな。…………、……今。(何が変わっても、その魂の奥底は。問われると、言葉を探すように微妙な間。その割に、答えは簡潔に。制限はあれど人の世を再び歩き、猟兵や組織員として人のためになれる。誰かと会話して、笑い合える、そんな今。時の流れと共に、何時かは終わるものではあるけれど)(中を完全に通り抜けたような、確かな感覚。煙管を指先でくるりと回し、相手にそのまま差し出して)終わった。お前は煙管を使う時に、ただ弱めの魔力を垂れ流すだけで良い。それで反応して作用するはずだから。
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エスパルダ・メア 2020年5月14日
ふは、口説く気もねえのが言いそうなこって。けど使われて浮かれンのはわかるぜ、オレはだから戦場にいたいのかもしんねえし。(手慣れた笑みに気の抜けた顔で笑う。この煙管の軽口は面白いのだ。粋な生き様を透かし見る、それを愛し愛されたような)……そうだな、覚えてた時間がどっかにあったならそれで案外良いのかもしれねえ。(忘れても何処かで。その言葉は飲み込みやすい形だ。素直に頷いて挟まった間のあとに聞こえた答えに隣を見れば、に、と笑う)……お前、良い奴ってよく言われねえ?頭撫でてやろうか。(ぐしゃぐしゃに。完全に糞餓鬼の顔である)(差し出された煙管を丁寧に受け取って)手間掛けさせたな、ありがと。これがありゃ、お前も多少遠慮無く遊べるってわけだ。
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雲烟・叶 2020年5月16日
口説き文句は口説く気がねぇくらいが楽しいさ、熱烈なのも悪かねぇけどな。……全く。誰ぞに使われてぇなんて、忘れていられたのに。(肩を竦めて、軽口の続き。「熱烈な口説き文句なんて、一生に一度で良いわ」……なんて。遊里の花と共に育まれた煙管は、その辺りの感性も持ち主の花と似ていた。相手が戦場に居たい理由がやっと分かってしまった、使われる日なんて死ぬまで来ないのに使われたいと思い出してしまった。やれやれ、と溜息混じりに。言外にお前のせいだと詰る声には、特に悲愴感や苛立ちはない。思い出してしまったものは仕方ないし、この感覚は悪い気はしない)人の子だって色々忘れてくもんだからな、その人の子に作られた俺らが忘れることだってあるさ。(忘れても、何処かに残って満ちている。きっと)
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雲烟・叶 2020年5月16日
……ばぁか、言われて堪るかそんなもん。(子供を窘める声の甘さ)(性根の割に捻くれて偽悪的な煙管は、調子に乗んな、と悪餓鬼の顔に遠慮なく手を伸ばす。逃げなければ軽く片頬を摘んで引っ張るだろう)……ん。(短い返事。さっきも、今も、相手の言う通り、自然に遠慮なく手を伸ばせた自分に少しだけ驚いていた。何だか、つい。触れるって、何だかやっぱり)(何時、呪詛を伝えてしまうか気が気でなくて酷く落ち着かないはずなのに、体温の低い指先からじんわりと暖められるような感覚がするから、不思議だ)(つい、視線を逸らして顰めっ面。相変わらず、素ではどうにも表情から柔和さの抜ける男だった)
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エスパルダ・メア 2020年5月25日
さすが慣れたモンだな。花街なら主人も慣れてたろうが、その手にあるお前さんも良く褒められたろ。……ふは、悪かったって。けど思い出したんだ、なら忘れてたフリじゃねえの、それ。特に使われたいなんてのは、オレらにとっちゃ本望だ。――壊れる間際に思い出して、そう言えば使われたかったなんてお前が言うの、オレは御免だな。(詰る声には悪戯に笑うばかりだ。だって実際怒ってはいないんだろう、そう言う声だ。勝手なことばかり並べて抜かせば、気楽に笑って)
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エスパルダ・メア 2020年5月25日
う。……あにすんだよ。(頬を引っ張られると間の抜けた顔で見返す。まあ言われた通り調子に乗ったわけだけれど。それでも対して頬が痛くもない辺り、この煙管は良い奴だと思う――のは、さすがに言葉にはしなかった。ただ抓られているのに面白そうに笑う悪餓鬼)……叶?(逸れた顰めっ面に首を傾ぐ。相手の心配は察すれど知らぬ顔を通す。貰った模造を手に。相手の心配を隣にすれば)大丈夫だって、何ともねえや。(そら見ろと相手の頭をひとつぐしゃりと掻き混ぜようとする。気安く誰かに触れる距離感はこの氷剣にとって拘りのない信頼のひとつだ)
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雲烟・叶 2020年5月29日
そりゃあな。単純に目利きとしてから花の気を惹くためまで、褒め言葉には事欠かなかったさ。……全く。勝手な餓鬼。(当たり前の顔。目利きとしても一級品であることは間違いなく、更には持ち主の気を惹くために彼女の愛用していた煙管を褒めて会話の取っ掛りにする、なんてのも良くある話。とはいえ、その煙管が花の最愛からの愛の形だなんて知らずにその方法を取る男たちは、今思えば始まる前から敗北感がすごい)(勝手だと、餓鬼だと溜息がちに悪態は吐けど、其処に多少の寂寞はあれど決して負は混ざっていない。ただ、文句をつけただけだ)
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雲烟・叶 2020年5月29日
憂さ晴らし。(間が抜けたその表情に瞳だけを細めるように笑って、相手の頬を摘んで、うにうに、やわやわと軽く引いて遊ぶ。女子供の頬でもなし、そう伸びはしないけれどちょっと楽しい。触れるということは、こういうことだ。指先に感じる低い体温、自分も体温は低い方だけれど。落ち着かなくて、恐ろしくて、けれど酷く愛おしいこれを、温もりと呼ぶのだ)っ、わ、(名前を呼ばれて、顰めっ面のまま俯きがちだった顔を上げ……掛けた瞬間。己の細い髪を掻き混ぜる手。慣れない、なんてものじゃないくらい、もう数十年と知らないそれ。何時ものように肩が震えるよりも、遠慮のないそれにびっくりしたように何度か瞳を瞬く。何も言っていないのに)…………何も言ってねぇ。つーか大丈夫じゃねぇと困る。(手は払わなかった。代わりに、また視線が逃げた)
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エスパルダ・メア 2020年6月1日
なるほど、聞き飽きたって顔か、それ。(何気ない素振りで返される言葉を面白げに聞いて、ふと)やっぱりお前が一番良く覚えてんのって、育ちの花街?知っちゃいるんだが、実際目にしたことはねえんだよな。(聞く限り、格式も高かろう。おいそれと目にできる界隈でもなかろうが)勝手な餓鬼だよ、知ってるだろ。……ま、ガキだ何だ抜かしても本当に子供じゃあるまいし。文句くらい聞く分別はあるぜ。(相手の悪態に負が混ざらないのを聞き取れば、肩を竦めて言い置いた。悪餓鬼上等、けれど実際餓鬼でもないのは承知の上で)
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エスパルダ・メア 2020年6月1日
……オレ何かしたかっていうか面白いか、それ。温くもねえだろ、オレ。(完全に遊ばれているのについ半眼を向ける。けれども遊ぶ指先を払うこともしなかった。別に、信用した相手であれば触れられるのは一切構わないし、何よりこの相手にとっては他愛無い触れ合いすら容易ではなかったのだろうし)――ぶ、ははっ。そうそ、大丈夫じゃねえと困るんだよ。とっとと慣れちまえ。じゃねえと鳥の巣にしちまうぞ。(驚いた表情につい吹き出して、けれども馬鹿にするでもない。逃げた視線を覗くでもなく、言葉とは裏腹に髪を軽く整えるように指を通して手を引いた)
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雲烟・叶 2020年6月26日
別に、造形を褒められる分には何度だって悪い気はしねぇさ。本気ならな。(本当に己の本体を美しいと思っての褒め言葉なら、何度だって歓迎しよう。花の気を惹くためだけのものなら、まぁた言ってら、なんて顔をするだけのこと)そうだな、基本的に百年間ほとんどは花街にあったしな。顕現してからも最初は花街の外れで暮らしてたし。……あのままだったら、その辺で働いてたかもな。(可笑しそうに。花街の女の手練手管を百年見物学習したヤドリガミが働く場所としては、まあ妥当ではあったので)…………。……お前さぁ……ほんっっっと馬鹿。お前のせい。腹立つ。能天気。糞餓鬼。人の気も知らないで。無に帰してくれやがって。こんなの思い出してこれからどうしろってんだ。ばぁか。……、(行儀悪くベンチに立てた片膝、顔を伏せると長い髪が覆って。ぽつぽつと文句が並び立てられる。その割に、声に込められた感情は薄い)
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雲烟・叶 2020年6月26日
…………ありがとう。
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雲烟・叶 2020年6月26日
色々しただろ。……面白いよ、人に触れてる。体温低いな、やっぱ。熱出すとかあんの、お前。(半眼を向けられているのは承知で、素直に返した言葉。触れる。触れられる。自分で練習しろ、なんて正直最初は気が狂ったかと思ったくらいだったけれど。触れてしまえば、余計に触れたくなるから少しだけ困る。煙管は、人の手で、人の唇で、人の懐で、常に大切にされて在ったのだから)止めろ、絡まりやすいんだから。(整えるのが面倒臭い、とは普段隙もなく身なりを整えてある男の台詞とは思えないようなことを吐きながら、髪を梳く指に瞳を細めた。少し、少しだけ、懐かしいそれが心地良かった)(絶対、言って堪るか)(何故って、何だか悔しいので)
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エスパルダ・メア 2020年6月30日
なるほど。そりゃあお前を持ってた花の顔なんぞ知らねえから、今お前の顔知ってるオレらが褒めるならお前の造形そのもんだしな。……花街で働くって、お前その見目じゃそれこそ見世のほう出されたんじゃねえの。男だけど。(和服と化粧でいくらでも誤魔化せたろうか。そんなことをつい考え掛けて、肩を竦めた。とんだ傾城を気取れたかもしれない、この煙管なら)……おう。そうそう。知ってんだろ。いやお前、何考えてっか顔に出さねえし……。(唐突に並べ立てられた覇気の欠片もない罵倒に、気の抜けた相槌を挟みながら。どうしろって、それは)――それ、答え聞いてねえだろ。どういたしまして?(混ざった礼には、軽く噴き出した。礼を言われるようなことはしていないけれど、それがこの煙管の吐いた素直な音なのはわかった)
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エスパルダ・メア 2020年6月30日
正しくはヒトじゃねえけどな。(なんて揚げ足取りをしながら、どうやら少しは抵抗の薄れたらしい友人の指先に軽く笑って)熱は出る前に溶けるんだよ、生憎。夏はずっと冷凍庫にいたい。(勿論仮初の肉体の感覚的なものではあるが。ヒトの手で使われる器物同士、それには馴染みも郷愁もある。この煙管がそれを思い出したなら、――まあ、無茶振りも結果オーライとしよう)あー、悪い悪い。(悪びれもせずからりと笑って手を離せば、貰った煙管片手にベンチを立って)触れる前例はこれでイチ。……お前が手ェ伸ばせば、掴んでくれる奴は多いと思うぜ。(素を見れば口も悪いが、面白い。己から見ればこの煙管は良い奴だ。なんて言っても認めやしないだろうから、思うに留めたところで気づく。――夜空の端が僅か、色を薄めて)……帰るか、叶。
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エスパルダ・メア 2020年6月30日
(ふわり、紫煙が烟る。減らず口を叩きながら、足音はおそらく二人分。夜を漫ろ歩いて帰路へ着く。
寂れた公園に、その煙の香りさえなくなる頃には、霞む月の代わりに、淡い朝が滲んだろうか)
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エスパルダ・メア 2020年6月30日
(〆)
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