シーン【表】いつも通りに見える新しい一頁目
アヤネ・ラグランジェ 2020年1月1日
冬の日が射すアヤネオフィス。
冬青が訪れるとアヤネはいらっしゃいと出迎えてふわりとハグする。
ミルクティーをいれるネ、と笑顔を残して冬青に背を向ける。
うん、いつも通りのアヤネさんだ。
でも彼女の体温が暖かく感じられたり、その顔が優しく見えるのは、
たぶん気のせいじゃない。
図書館のような紙の匂いといれたばかりの紅茶の香り。
馴染んだいつもの光景。
応接用の三人がけのソファが、低いテーブルをはさんで二つ置いてある。
入り口に近い方が冬青。本棚に近い方にアヤネ。それぞれのソファに腰掛ける。
座る場所は定位置。いつもと変わらない。
お茶を飲んで人心地ついた頃にアヤネは話し出す。
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アヤネ・ラグランジェ 2020年2月28日
イタリアのメーカーでサンタマリアノヴェッラっていったかな? 僕は特にこだわりはないんだけど。お母さんが好きで使ってたの。
リウォは忙しいよ。UDCユニオンでは替えのきかない重要なポジションだし。エージェントは引退したけど教官とかもやってるネ。
もう一杯なにかいれようか。僕は珈琲にするけど、ソヨゴは何がいい?
城島・冬青 2020年2月28日
じゃあこれはアヤネさんにとって思い入れのある香り…ってことですね。
では私も珈琲で!あ、でもブラックはちょっと飲まないんでミルクをつけてもらえると助かります。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月5日
お待たせー(カップ&ソーサーに熱いコーヒーを入れてテーブルに置く)。ミルクは好きなだけどうぞ(ミルクパックもテーブルに置き。ソヨゴの横に座る。)
城島・冬青 2020年3月6日
ありがとうございます!ん〜〜、いい香りですねぇ(ミルクを多めに投入)えへへ、ミルクたっぷりのカフェオレが好きなんです。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月9日
(珈琲をひとくち飲み、カップを静かに置く)(大きく息を吸って、ゆっくり吐く)この時間がいつまでも続くといいネ。(満ち足りた表情で、優しく微笑みかける)
城島・冬青 2020年3月10日
…あ、アヤネさん…。そういった台詞は変なフラグが立っちゃうヤツですよ…!次号の新展開で新たな登場人物が現れてしかもそいつが恋のライバルになっちゃったりして波乱の展開になってしまうヤツです!
城島・冬青 2020年3月10日
でもそれはそれとしてアヤネさんとまったり珈琲を飲むこの空間は大好きですのでいつまでも続いて欲しいです
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月14日
恋のライバルとか登場したら僕がすぐに処分するから大丈夫だネ。
ん、まあフラグと言われればそうなのかもしれないしそうでもないのかもしれないのだけど…。
城島・冬青 2020年3月16日
また処分とか物騒なことを言うー!…ん?このパターンは無限ループ??
怖いフラグは消滅させましょう!大丈夫、私とアヤネさんならきっと乗り越えられますよ。メッタメタにしてやります!!
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月18日
うん、そうだネ。きっとなんとかなる。
それではソヨゴ。今からひとつ提案をするよ。かなりの確率でソヨゴはこの提案を否定すると僕は予見している。だから笑って否定してくれていい。でも、言わないで僕が一人で決めてしまってはいけない。だからちゃんと言葉にして君に伝える。
いいかな?
城島・冬青 2020年3月18日
え?…なんでしょうか?
城島・冬青 2020年3月19日
まさかのプロポーズゥゥゥ
?!!!!
城島・冬青 2020年3月19日
えっと、あのその……それは今すぐ…ですか?それとも将来的な話ですか??(わたわたダバダバ手を動かして謎の踊り)
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月20日
えーっ?! え、そうじゃなくて! なんか否定するのがもったいない(ソヨゴかわいい)けど。日本語むずかしいネ。
言ったままの意味だよ。ソヨゴがアメリカに留学して僕と一緒に暮らすのはどうだろう?って言ったの。
だから進学の予定とか尋ねてたのよ。
城島・冬青 2020年3月20日
あぁ前者の意味だったんですね。
ごめんなさい、今すぐは無理です(どきっぱり)
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月20日
うわ。想定通りの返答なんだけど。そう明るく言われるとちょっと残念…。
そういう事で、僕はアメリカに帰るネ。
城島・冬青 2020年3月21日
すみません。猟兵になることの第一条件が今の学校に合格して高校まで卒業することなんです…。大学進学に関しては言われてないのでその頃までに両親を説得して英語の勉強を〜……って…
え〜〜!?アヤネさん、帰っちゃうんですか?!!
城島・冬青 2020年3月21日
うーん、うーん…アヤネさんの離れ離れは悲しいですがお仕事の関係もありますしワガママは言いたくないな。…となるとこれからは遠距離かぁ…。えぇと、夜歩くの最高スピードが現時点で7200km/hだから(ぶつぶつ)…日本からニューヨークまでの距離が10840kmで〜…えーと……片道90分くらいかな?頑張ってI時間以内に会いに行けるようにしますね。
あ!ワープ系のUCを編み出せばすぐに行けるかな。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月21日
帰国には理由があるんだ。僕は進学する。具体的にはケンブリッジにある大学を希望している。世界で一番の大学だ。そこで博士号を取る。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月21日
ソヨゴがその速度でアメリカ領空に侵入すると間違いなく防衛システムの標的にされるから。実行前にフライトの許可は取ってネ。
城島・冬青 2020年3月21日
うむむ、事前告知が必要なんて面倒ですね。
えーと、じゃあアヤネさんは暫く学業に専念でしょうか??飛び級とかその辺のシステムはわからないのですが。
城島・冬青 2020年3月22日
というか、アヤネさんは大学は卒業済みだと思ってました。何か将来の夢を見つけたんです?
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月22日
ん、いや。仕事と学業は両立させるとも。だからソヨゴとは仕事の場で今まで通り会える。グリモア猟兵の空間転移能力は便利だネ。
そして、恥ずかしながら僕は高校も卒業していない。それ以上の学力があることは証明済みだけど。
アメリカの大学は日本と違って年齢制限はない。だから17歳で進学するのに問題はないわけだ。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月22日
将来の、夢?
それは何というか、ああ、ほら、今は関係ない。そういうのじゃなくて。
僕の目的はまったく変わっていない。
今からゆっくり説明するから聞いて欲しい。好きなタイミングで質問したり、口を挟んでもいいからネ。
城島・冬青 2020年3月22日
(少しほっとした表情で)わかりました。ちゃんと聞きますね。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月23日
ではまず、僕がアメリカに帰ったら捕まるんじゃないかという懸念を消そう。それと一緒に僕の目的を再確認する。
僕の目的は両親を亡くしたUDC研究施設の事故についての正しい情報を得る事だ。でもこれはどうやらトップシークレットでネ。一般職員ではそのファイルを開く権限がなかった。
そこで僕はハッキングを行う事にした。ふつうにやっても外部には繋がらないので、電脳魔法で回路を繋ぐという方法をとった。僕がやったという証拠は残さないつもりだったけど万が一のために、情報を得ると同時に日本にフライトする計画を立てた。
ところが実行寸前に。僕のモニターに英文で「あなたはアヤネ・ラグランジェですか?」っていきなり表示された。逆ハッキングだ。何が起きたのか理解できなかったけど、計画がバレたのだけは確信した。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月23日
結局僕の作戦は未遂に終わり、何も得られずに僕は逃亡した。
逆ハッキングの相手が例のリウォだと知らされたのは日本に着いたあとだった。僕は刑法には詳しくない。でも未遂とは言え情報犯罪の罪は重いはずだと思った。
僕はリウォを信用せず、アメリカへの帰国を拒んだわけだネ。
これが僕が身の回りに警備を置いて警戒していた理由。
実際には僕は何もしなかったし、何の損害も発生しなかったので、僕が罪に問われることはないそうだ。
そしてリウォはこの事を誰にも報告していない。
そういう事情を僕がようやく納得したので、帰国しても問題は無い。
二度とこういう事はしませんと念書を書かされたけどネ。
城島・冬青 2020年3月23日
リウォさんに感謝ですね。アヤネさんが無事にアメリカの地を踏めることに安心しました。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月24日
感謝?! 感謝なんてしないとも。リウォは僕が人生の4分の1を費やした作戦をものの数秒で無意味にしてくれた男だぞ? そりゃ僕が悪いんだろうし、リウォは職務に忠実だっただけだろうけど。結果として台なしにしたのに変わりはない。当時はリウォが猟兵になったことを知らなかった。しかもよりにもよって電脳魔術師とか! 僕は運が悪い。
っと、感情としてはまだ許せないんだけど。
でも客観的に状況を判断できる程度に冷静になれたのはソヨゴのおかげだ。ソヨゴに会うまでは、いや会ってからもしばらくは。僕は自暴自棄で、もう破壊的な解決策しか考えていなかった。
だから僕はソヨゴに感謝する。
城島・冬青 2020年3月24日
oO(リウォさん…お疲れ様です)
城島・冬青 2020年3月24日
そ、そうなのですか?いや、でも確かにちょっと危なっかしいところは…まぁ……うん(色々思い返しつつ)でもそう言って貰えると嬉しいです。めちゃ照れちゃいますけどね…えへへ
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月30日
う、ソヨゴが照れるとかわいいネ。
いや、ちょっと話がそれた。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月30日
実際、アメリカのUDCユニオンから情報を盗み出す計画を、僕は12月になるまであきらめていなかった。
日本に来た頃には、ほとぼりが冷めたらすぐに帰国して行動に移すつもりだった。
そうしなかったのはソヨゴと一緒にいられる時間をなくしたくなかったから。
それでも12月にはお別れを告げようとは決めていたんだ。
でもまあ、いろいろあって、そういう気持ちは完全に吹っ飛ばされた。
アヤネ・ラグランジェ 2020年3月30日
だから僕は新しいプランを用意した。
UDCユニオンは情報収集と研究のための組織だ。様々な分野の研究者が参加している。
生物学、物理学、化学。そして歴史学、民俗学。でも、それらを総合したUDC専門の研究者はいない。少なくともニューヨークには。
僕はこれから博士号をとって、UDC専門の学者としてユニオンに改めて所属する。
全ての情報を閲覧できるポジションでネ。
動機が不純かどうかなんて関係ないネ。みんな認めざるを得ないだろう。
合法的に僕は目的を達成できる。
城島・冬青 2020年3月31日
「いろいろあって」の「いろいろ」ってなんですかね〜???なんなんですかね〜????うふふ。
城島・冬青 2020年3月31日
とまぁそれはさておき…。
なるほど…。まぁ確かに合法的に閲覧する手段を得るにはそれが一番ですね。しかし博士号を取るのにどのくらいかかるものなんでしょうか…?
アヤネ・ラグランジェ 2020年4月2日
それはもちろんソヨゴといちゃいちゃしたことだネ!
時間は、ふつうなら大学卒業に4年。博士課程を修めて4年。8年かかる。
アヤネ・ラグランジェ 2020年4月3日
まあ、8年もかけるつもりは毛の先ほどもないのだけどネ。僕が欲しいのは学位だけだ。楽しいカレッジライフなんて送るつもりはない。
まあ、入ってしまえばなんとかなるでしょ。問題はどうやって合格するか、だネ。今はその件についてリウォに動いてもらってるわけ。
城島・冬青 2020年4月3日
うぐぐ…言い淀むと思ったらハッキリ言われたー!!(自爆)
城島・冬青 2020年4月3日
アメリカの大学のシステムって日本とは全然違うのでしたっけ…。常に大学に通わなくてもいいし、学生中に起業する人も多いと聞きました。
でもなんかアヤネさんならパパッと卒業してきそうな気がしてきました…。
アヤネ・ラグランジェ 2020年4月7日
うん。日本のシステムとはだいぶ違う。それは入学に関してもそうだ。日本のはペーパーテスト一発勝負で合否が決まる。アメリカの場合は「高校時代の成績と評価」「レポート(大学に入って何がしたいか。かなり重視される)」「推薦者」「卒業生に血族がいるか」そして最後に「面接」。という流れになる。
僕の母はケンブリッジの博士課程卒業生なので、少し有利だネ。それから推薦者は大統領にお願いしたいと思ったのだけど、面識がないのでリウォに猛反対されて。UDCユニオン繋がりで上院議員に掛け合っているところ。レポートにはUDCの研究について具体的に詳細を記載するつもり。
たぶんこれだけ揃えれば勝機はあると思う。面接まで辿り着けば僕の勝ちだ。
城島・冬青 2020年4月8日
めっちゃこまかーい!!!!あと大統領に推薦をお願いしたいとかちょっとどこからツッコミしたらいいのかわからないけれど、アヤネさんの合格祈願をします!!
あ、ところでその結果っていつわかるんですかね?
アヤネ・ラグランジェ 2020年4月10日
えー、だってさあ。Twitterで遊んでいるおじさんに17歳の少女のお願い聞いて欲しいなんていったらチョロい気がしない? リウォには無理だと言われたけど。はあ、現実主義者ってなんでこう夢がないのだろうネ。
結果は8月にはわかっているだろうネ。入学は9月になるよ。
城島・冬青 2020年4月14日
あ、いやそういえばそうですね…日本じゃ4月が入学シーズンですがあっちは9月でしたね。うんそうだ。そうだった…(口元を押さえて何かを思案しつつ)
城島・冬青 2020年4月19日
え?!いえ、一緒のタイミングで進級はできないんだなーって…
アヤネ・ラグランジェ 2020年4月22日
ん、まあそうだネ。ソヨゴが先におめでとう、って感じ。僕は結局中学はほぼ行ってないから。進級っていうか、学校に行くのが新鮮な気持ちだネ。
そういう訳で、僕は6月にはあっちに行って準備を進めなくてはならない。それまではここで一緒にいられるから…あせらずくっついていられたらいいなって思うネ。
城島・冬青 2020年4月23日
素敵なキャンパスライフになるようまずは勉強を頑張らないといけませんね。
6月かぁ…あ!新居とか決まったら教えて下さいね