月隠り ――ツキゴモリ
篝・倫太郎 2019年12月30日
吐く息が極端に白くはならず、吸い込んだ空気の冷たさに痛みを覚える。
そんな事もほぼない。
それが今年のこの世界――
UDCアースと呼ばれる世界の……極東の小さな島国での冬。
今年も、もう間もなくして終わろうという日。
『故郷』が巻き込まれた事案に出向いたままの男は、さていつ帰宅するのだろうかと考える。けれど、状況次第だろうと溜息を一つ零し、倫太郎は子供達が眠る部屋の灯りを落として、そっと襖を閉めると廊下で一つ、伸びをした。
しかし、いい加減オーバーワークだろ。
そろそろ帰ってこーい。
そんな事を思いながら、小さな笑みを零して訂正する。
違う。
オーバーワークだから、じゃねぇや……
俺が寂しいから、じゃん。
何にせよ、怪我なく帰ってこい。
年越しだぞ、新年だぞ。
とっとと帰ってこい。
続けてそんな風に思い直すと。
ちらりと廊下の先にある玄関の引き戸、その錠へと視線を投げて――
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※注意※
大晦日です。
このスレッドは大晦日から開始しています。
例え、PLタイムで鏡開きを越えていようとも。
20~30発言を目途に。
それ以前でもキリが良い処で終了。
場所:UDCアース。現在、倫太郎が生活拠点としている百合根邸。
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月舘・夜彦 2019年12月30日
百合根邸の扉の前に立つ、この世界にはやや似合わない格好の男が一人。
真面目な表情で睨み合っているのは「ちゃいむ」と呼ばれる呼び鈴。
その表情の通り考えている事は当然――。
「(帰りが、遅くなってしまいました……。時計を持っていませんが恐らく深夜。このちゃいむは室内に音を鳴らすものではありますが、それを鳴らせば子供達や倫太郎殿の師匠殿達を起こしてしまうのではなかろうか。しかし、何も言わず入るのは失礼なのでは。)」
考えた末、彼は静かに百合根邸の扉をノックした。
篝・倫太郎 2019年12月30日
(視線を投げて暫し思案した結果、鍵を掛けようと決めて、戸へと向かう。
引き戸の摺りガラス越しに人影と気配。瞳を眇めて確認すれば、宵闇色の影と……つい先ほどまで帰りを待ち侘びていた男の気配
)……!(それらの導き出す答えは明確に1つで。そうである事に慌てて駆け寄ると二度目のノックをさせる事なく、戸を開く)よう、お帰り……?(開けた戸の内から外へそう出迎えの言葉を紡ぐと、無自覚に蕩けるように笑って見せた)
月舘・夜彦 2019年12月30日
(扉を叩く音に気付いたのだろう、人が近付いてくる気配に安堵しながら扉が開くのを待つ。扉が開いて現れた相手は、予想通りながらも向けられた表情に自然と笑みが零れる)遅くなってすみません。ただいま、帰りました。
篝・倫太郎 2019年12月30日
ん……遅くなんのはいいさ。怪我してねぇんなら、それで……いい。(向けられた笑みに自然と深く笑って返して、両腕を伸ばす。問答無用で抱きしめる為に)
月舘・夜彦 2019年12月31日
怪我よりも水浸しになってばかりでした。乾かしてから此処へ戻ったのもあり、遅くなってしまいまして(話している間に彼の腕を伸ばす様子に察して、自らも歩み寄ってその身を抱き締める)……体、冷たくはないですか?(抱き締めながらも思い出したのか心配そうに問う)
篝・倫太郎 2019年12月31日
だよなぁ……俺も少しは一緒に行ってるからその辺は把握してっけど……風邪引いたりして……っ!(してねぇ?そう問う前に、自分が伸ばした腕の意味を察したのだろう夜彦に抱き締められれば、それだけでどうしようもなく、ほっとする)冷たい……でも、あんたの体温だからいい。(我ながら良く判んねぇ理屈だな、と笑ってぎゅうっと抱きしめ返し)まぁ、冬の屋外に居たんなら身体も冷えるってハナシだ……居間、暖房入ってっから、行こうぜ?玄関の鍵はちゃんと掛けてから、だけど……。お茶淹れてや……それよりも、飯、かな?(どっちがいい?と笑いながらぺたぺたと抱きしめた背中を撫で叩いて問い掛けた)
月舘・夜彦 2019年12月31日
風邪も引いておりません。冬の滝行の方がもっと大変でした(触れた所から伝わる体温に戦いでの緊張が解けたのか、深く息を吐いて)そうでした、扉が開きっぱなしです(少し前へ移動するように身を寄せて、片手で扉の鍵を閉める)食事は軽く済ませておりましたので、温かいお茶を頂きたいです。体も温まるでしょうからね。
篝・倫太郎 2019年12月31日
聞くだけで震え上がりそうな……ストイックが過ぎるぜ、あんたはホント(冬の滝行とかドМじゃねぇか……そう思うけど、多分「どえむ?」とか素で返されるから言わずに。ほっと零れた深い吐息に背へと回した片手を離して、そろりと頬を撫で)お疲れさん……(戸を閉める為に寄せられた彼の身に自分も無意識に身を寄せて、そう静かに告げると頬を優しく啄んだ)ん、じゃあ、とびっきり美味いお茶、淹れてやる。つっても、お茶はあんたの淹れるのが一番美味いけどな?
月舘・夜彦 2020年1月3日
肉体だけではなく、精神も鍛えられますからね。精神が乱れそうな時には行きます(抱き締められていた腕が緩み、温かい手が頬に触れる)……ちゃんと戻りましたよ(触れた手に己の手を重ねて微笑み、目を細めた)貴方が淹れたものも美味しいですよ。緑茶とは異なるものも大変美味しかったです。
篝・倫太郎 2020年1月3日
俺はちょっと遠慮しと、く……(言いかけた言葉を止めて、夜彦の言葉に少し考え)もしかして……里帰りン時、あんたが悔しがってたあの時の鍛え直すって……そういう?(思い出したことを確認するように尋ねるも穏やかな声には笑って)ぅン……おかえり、夜彦(ぎゅっと片手だけで強く抱きしめ直して、改めてほっと息を吐く)俺の――(甘い声でそう告げて)んー……なら、緑茶と甘いのと苦いのと、どれがいい?最近、子供達のお気に入りはホットミルクだけど。(誉めても特別にはなんねぇぞ?と笑い。あぁ、浮かれてるなぁとまた深く笑う)
月舘・夜彦 2020年1月3日
あの時は山籠もりにて暫し滝行等をと、恥ずかしながら(問いに思い出したのか、少し困ったように眉を下げる)……はい(かけられる言葉の一つ一つが嬉しく、そして少し照れ臭くもあり、はにかんで頷く)ホットミルク、ですか。では、私もそれを頂きたいです(話しながら靴を脱ぎ始める)
篝・倫太郎 2020年1月3日
そんなの必要ないって……ちゃんと判って貰えて良かったわ……(しみじみとそう返し)山籠りとかであんた居なくなってたら、俺どうなってたか判んねぇモン……(困ったように下がる眉に笑い、眉間に軽く唇を押し当てて)んっと、あんたはどんな顔しても恰好いいの反則だよな……(ゆっくりと唇を離すとほぅっと溜息交りにそう返した。困った顔も、くすぐったそうなはにかんだ顔も、全部カッコいいのってズルくない?と小さく零し)ん。甘めのが良いかな……疲労回復には甘い物、って言うし(名残惜し気にそろっと抱きしめていた手を解き)んじゃ、支度してくる。っと……そだ。子供達は昨日からそこの和室で寝てる。(居間の向かいの和室を指し)
月舘・夜彦 2020年1月4日
それは……その時はすみませんでした。引き留めてくださらなかったら、貴方を長い間独りにしてしまう所でした。二度とあのような事は……か、恰好いい……?(真面目に話していると、彼の言葉に驚いたように数度瞬いた)自分の表情は、分かりませんのでなんとも(気恥ずかしくなったのか、脱ぎ終えた靴を素早く整えて部屋へ向かおうとするが彼の言葉に足を止め)えぇ、お願いします。それから……支度の間、子供達を見ていていいですか?(そう話しながら和室を見る)
篝・倫太郎 2020年1月5日
別に、謝ってほしい訳じゃねぇですぅ(酷く真剣な面持ちで返される言葉にくすくす笑い。驚く様子には深く笑んだ)格好いいぜ?あんたはさ、いつだって、格好いいし、綺麗だし、可愛くて……やっぱ格好いい(うん、と一つ頷いて)ん……陸彦が多分布団蹴ってると思うから、直しといてくれると俺が安心だ。(あぁ、すっかり父親の顔だなぁと夜彦の顔を見遣って笑う)出来たら呼びに行くから、幾らでも眺めてるといいよ(そわそわした様子も見て取れるのが酷く嬉しくて。さっきから笑ってばかりだなぁ、そんな風に思いつつキッチンへと向かった)
月舘・夜彦 2020年1月5日
……、……ありがとうございます。
月舘・夜彦 2020年1月5日
(軽く咳払いをした後、続いた言葉に頷いて)分かりました。陸彦の寝相は時々すごいですからね。彼も動いてしまっているようならば直しておきましょう。それでは、お待ちしております(話し終えると上着を脱ぎながら和室へと向かった)
篝・倫太郎 2020年1月5日
ドウイタシマシテ?(キッチンからひょいと顔を覗かせて照れた様子の夜彦に笑ってそう返し)……時々?……時々、か?陸彦の寝相は常にスリリングだと思うけど……ま、うん。オネガイシマス。(和室に向かう夜彦の様子がやっぱりどう見ても、出張帰りの父親の様で微笑ましいなぁと笑みながら夜彦の為のホットミルクを作りに再びキッチンに引っ込んで支度をはじめる)
月舘・夜彦 2020年1月5日
(和室へ入ると、部屋は暗いものの日々の鍛錬から目はすぐに慣れる。部屋の端へ畳んだ上着を置く頃には歩くには問題ない程に見えるようになっていた。目に留まるのは盛り上がった布団の山が二つ。一つからは放り出されたように子供の足が見えている。二つの山のそれぞれが誰なのかは一目瞭然、自然と笑みが零れてしまう。気付かれないように近付くと眠っている少年の足を布団の中へと戻し、寝相で散り散りになった羽毛布団やタオルケットを拾い集めて掛けていった)
篝・倫太郎 2020年1月6日
流石に減りが早いや……(冷蔵庫から瓶の牛乳を取り出すとミルクパンへと注いで火にかける。弱火でじっくりと温める。レンジで温めずにこの方法で作るのは単純に自分の好みだから、待たせるかもしれないけれど……沸き始めたら火を止めて、カップに移したら蜂蜜をティースプーンに二杯。ゆっくりとかき混ぜて溶けたのを確認すれば自然と笑みが零れる。暫し考えてから、小さな盆に乗せて和室へと向かう。猫達がミルクの匂いに『にゃあにゃあ』と訴えてくるけど、これはお前達のじゃねぇよ、と笑い)
月舘・夜彦 2020年1月6日
(子供達の布団をかけ直し終えると彼等の傍に座り、静かに寝息をたてる様子に和んで頬を緩めた。なんと愛らしい事か。寝顔を見ているだけで、こんなにも癒されるとは。幸せを噛み締めるように目を細めて子供達を眺めている)
篝・倫太郎 2020年1月6日
(にゃあにゃあ鳴く猫達を居間に残して戸を閉める。そろっと襖を開ければ廊下の灯りが子供達を眺める夜彦の背に射し込んで。その背中が幸せを物語るから何度目かの深い笑みを零し)夜彦……ホットミルク。持ってきた……(そろっと零さないように注意して和室へと入ると襖を少しだけ開けたまま、夜彦の隣へと歩み寄る)
月舘・夜彦 2020年1月7日
(背に射す灯りに気付いて振り返ると彼へ微笑む。起こさないように小さな声で礼を言えば、眠る子供達の様子を教えるように視線を向けた)よく、眠っています。
篝・倫太郎 2020年1月7日
(そっと盆を下げて夜彦がカップを受け取り易い様にすると告げられた言葉には小さく笑い)うん……でも、最近は2人とも、そこそこごねる。……寝てる間にあんたが帰ってくるかもしれないって。特に今日は大ごねした。大晦日だし、あんたが帰って来るまで待つーってさ……(思い出してくすくす笑い)愛されてるな、夜彦?
月舘・夜彦 2020年1月7日
(両手でカップを受け取り、彼の言葉に目を伏せる)そうですか……二人には悪い事をしてしまいました。貴方も宥めるのに苦労したでしょうに(カップのミルクを見下ろしながら呟いて)ですが、帰りを待っていてくださる者が居ると知ってとても幸福にも思います。彼等には申し訳ありませんが。
篝・倫太郎 2020年1月7日
んな顔すんなって……言っといてなんだけど、すげー楽しいし面白いぞ?陸彦と灯里、ごね方に物凄い個性が出んの。言い回しも日々進化してて、面白い。つーか、苦労とは思ってないから大丈夫だって。あんたの子供でもあるけど、俺の子でもあるんだから(笑いながら夜彦の隣に腰を降ろして胡坐を掻く)まぁ、明日は一日、終日子供達の相手だと思っといてくれよ?絶対に解放して貰えないだろうから、覚悟はしといてくれな?(続いた言葉には笑って)それが、これからのあんたの日常になってくれりゃ万々歳だよ、俺は。
月舘・夜彦 2020年1月7日
……きっとテレビ等で覚えたのでしょうね。私も早くその様子を見てみたいです(安心した様子で頷くと、カップのミルクを一口飲む。温かく、仄かに感じる甘味に息を吐いた)はい、私も年始は此処に滞在するつもりでした。以前から一緒に遊びたいとも言っていましたのでお付き合いするつもりです(嬉しそうに微笑んで)私もそう思います。だからこそ、この先の事も考えていかなければとも思います。
篝・倫太郎 2020年1月8日
なのかな……?明日の朝には大騒動だから焦る事ないって……(ホッとした様子の夜彦に笑い、手にした盆を畳の上に置く)……そりゃ心強い。あぁ、褒めてやってくれな?大掃除、二人共しっかり手伝ってくれたから。(嬉しそうな様子につられて緩やかな笑みを零し)……それは、まぁ……明日以降でいいんじゃないか……?っと、夜彦。あけましておめでとう。今年も宜しくな?(外から聞こえる除夜の鐘。それに混ざる遠い汽笛の音。そこまではいつもの年明けだけれど、少し違う。そんな事が嬉しくて、夜彦に挨拶をするとそっと、身体を伸ばして夜彦の頬を啄んで)
月舘・夜彦 2020年1月8日
初めてのお正月であれこれしたいと言うのかもしれませんね(はしゃぐ二人を想像して和んだように笑って)勿論です。私の分まで頑張ってくれたのでしょうからね。明日……おや、この音は(尋ねる前に鐘の音に顔を上げ、日が変わった事に気付き)はい、あけましておめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いしますね(頬への感触に少し擽ったそうに目を細める)この日を貴方と迎えられて嬉しく思います。……かなりギリギリの時間でしたが。
篝・倫太郎 2020年1月8日
ひとまず、『はつもうでにいく』って言ってたけどな。初詣の支度してる神社の映像、テレビで見て、行く!って2人して声揃えて言ってた。(思い出してくすくすと笑い、挨拶には笑って頷いて)ま、新年迎えた早々に言うこっちゃないけど……今年の大晦日は今回の分を取り戻すくらいに一緒に過ごせたらいいさ。鬼が笑うかもしんねぇけど(そう言いながら肩を竦めて見せて)……俺も、あんたとこうして新年迎えられて良かったと思ってる、のと。明日から暫く、子供達にあんたを取られっぱなしになるんで、もう少し、あんたを独占しても……いいかな?だめって言っても独占するけども。(どう?だめ?と笑って尋ね)
月舘・夜彦 2020年1月8日
そう言うだろうと思っておりました。今後もテレビで催しを見る度にやりたがるかもしれません。……鬼も笑いませんよ。今年の目標になるのですから(竦める彼の肩を優しく撫で、続いた言葉に微笑んで)断る理由なんてありませんよ。無事に戻ろうと思うのは子供達の為でもありますが、貴方の為でもあるのですから。そして今は、貴方との時間です。
篝・倫太郎 2020年1月8日
一つずつ、時候の催し事はちゃんと体験させてやろう、ってのは当初から決めてたし……?初詣の次はなんだ?鏡開きになる?で、節分?色々あるからまぁ、出来るだけ時間作って子供達と一緒に楽しもうぜ?俺もあんたも……(それもきっと幸せをもたらすだろうから。そう笑って大人しく肩を撫でられる)………ぅん(夜彦の言葉に蕩けるように深く笑んで)……メタメタに甘やかしてやる(そう宣言した)
篝・倫太郎 2020年1月8日
一年の始まり。
その、最初の夜が明けるまではまだ時間がある。
もう暫くは、離れていた時間を埋めるように。
甘やかに穏やかに、2人で過ごす―― 【終】