【然る銀河鉄道の夢】二.然る夢の列車
ルルエリ・エールディール 2019年8月17日
「夢の果てからアルダワ学園下宿駅行き、間もなく出発いたします。駆け込み乗車はご遠慮ください。……銀河鉄道は廃線だよ、君等はそこで錆び朽ちろ」
『本物』のカムパネルラが現れてからの、偽物のカムパネルラたちの行動はそれはもうおぞましいものだった。
ただ憎悪と食欲をたぎらせて、一斉に獣の如く逃げる二人に駆けだしていったのだから。だが現世行きの虹色の切符を持たない彼らでは、乗り換え列車に乗ることはできなかった。
その後で駆けこんできた猟兵たちを乗せて、いつの間にか乗り込んでいた車掌が捨て台詞のような出発を告げると、無数の糸が列車と偽物のカムパネルラに絡みついて動きを封じた。
かくして彼らは、がたごとと列車に揺られながら、夢の果てを後にしたのである。
銀河鉄道からの乗り換え列車は、今までの豪奢な雰囲気とは違い無骨な一両編成の列車だった。何しろ乗り込む予定の人数は少ないのだから、銀河を走る鉄道のように何連結させても意味が無いのである。
野ざらしのバルコニーは本来は別の車両と連結されていたのだろうが、強引に引きちぎられたのだろう、良い足場になっていた。
「終わってみればキラキラな体験でしたわー」
「ぼくたちケットシーの冒険、って感じでもあったのニャ」
揺れる列車の中でアンシェとバロンが旅路を思い返しながら口々に語る。その横では、相棒を座席に寝かせたジョバンニ…もといアルダワ学園の学生が一息ついていた。
「皆さんのお陰です、本当にありがとうございます!コイツもこうして無事に戻ってきて本当に良かった。……でもあれ、なんだったんでしょうか?」
「ん、まああれは、今までは学園にいなかった怪異だから分からなくてもしょうがないよ。そうだな、皆なら分かるんじゃない?」
アレはアルダワの外から来たと言外に含ませてルルエリが言う。彼の指先で車掌の帽子がくるくると回っていた。
「わたくし、その手の怪談話とかは得意ではなくて…お、おばけ列車かしら?」
「お化け列車、おばけ列車……あー、えっと、アースの方でそんなのが居た気がしたニャ。UDCのほう…」
「ん、バロンくん正解。猿夢っていってね、列車の中に捕らわれた人が残酷に殺されていく話。本来なら捕らわれた時点でほぼ抵抗できないんだけど、ぼくでも介入できる位には弱体化してるね。弱ってる人しか食えないからダンジョンの中で生命力の弱った子を捕らえつつ、その子とつながりの深い彼を引きずり込もうとしてた、と。こんなトコかな?」
ルルエリの推察に、アンシェは窓の外を見た。もうそこは銀河ではなく、ただただ漆黒の闇が広がっているだけだ。文字通りの夢の果て。
「でもあの列車はもうあそこから動けませんから、誰も食べられませんわ~。ルルエリさんの言葉通り、錆びついてしまって終わりですわね」
「え、いや、動くよ?」
「え? いやいや! ルルエリさんがカッコよく封印した感じじゃないのかニャ!? 」
「いやいやいや、ぼく、人形遣いでガジェッティア! 封印とかすごい力ないから! お化けについて知識はあるけど実力はモグリ以下だよ! だからみんなに離脱の協力おねがいしたんじゃなっいか…~っ」
弛緩した空気から一転、わいのわいのと座席から降りて、戦闘態勢を整えようとする一行をの会話を打ち切るように、汽笛の音が鳴り響く。
ルルエリの糸を振り切った銀河鉄道…否、猿夢の列車が、輝く巨大な一つ目を怒りに爛々と光らせて、この列車を追いかけている。
そのライトは確実に大きくなっていた。星一つない漆黒の夜空に伸びる銀色の線路は一本だけ、どこにも曲がれない以上、追いつかれるのは時間の問題だった。
「思ったよりも早いなクソッ! みんな、迎撃をお願い! この線路の上なら足場にできるし、もし線路からおちても僕が列車の中に引き戻すから!」
そう言いながら猟兵たちに糸を放り、ルルエリは運転席の扉をあわただしく開ける。
列車が破壊されたとしても、そして万が一猿夢列車に轢かれたとしても、この夢に捕らわれていない者は悪い夢を見たというだけで済むだろう。だが猟兵たちが助けようとしたかの友人は、夢の中から戻ってこれなくなる。
彼を『カムパネルラ』にしたくないのなら、何とかしてあの列車から逃れなければ―
◆これなに?
中の人の遊び。シナリオのまねごとしてワイワイ遊びてーなと思って作りました。
このスレに銀河鉄道をどうやって攻略するかを書いてくれたら、中の人が纏めてなんかいい感じに小説形式で上げます。
時間があんまり取れないので多分、いただいたプレイングをまとめてから2週間くらいかかりそうな勢いです。近頃仕事が忙しすぎて小説書けなくなってる中の人のリハビリ兼ねてます。
アドリブ大好き、絡み大好き人間です。5割くらい入れまくります。皆様のプレイングの意図は汲んで動きますが、たまに暴走しますので注意してください。
◆もう少し詳しく
脱出用の列車が猿夢列車に追いかけられています、相手の方が早いので追いつかれないように迎撃したり細工したりしましょう。
追いつかれて体当たりなんてされたら、幾らルルエリが頑張って作ったとはいえ脱出用列車は壊れてしまいます。
なお走る速度は脱出用列車<猿夢列車<猟兵の走る速度です。おかしい? いや大丈夫、元ネタでも走ってたし、アンシェさんも走ってましたしね!
推奨BGMはこちら!
https://listenonrepeat.com/?v=kq0L6Ymxusc#S_S_H__-_FF6_-_The_Decisive_Battle
◆状況開始!
①~③のプレイングを投下してください。なお、③のプレイングはどの攻撃に対応するかを一つ選んで対策してください。
① 戦闘開始前の意気込みをどうぞ!
② 猿夢列車から逃れる方法を教えてください。ユーベルコードで攻撃するもよし、列車を加速させるでもなんでもOKです。
相手も餌をとられて時間を稼がれ消耗しています、相手の消滅まで逃げ延びるのもいいでしょう。
③ しかし黙ってやられてくれる相手ではありません、以下の行動で猟兵や車両の進行を妨害してきます。何とかして防御するなり、対応するなりしてください。
一人の猟兵で対応できるのは攻撃一つです。誰がどれを受けるかスレで相談して決めてください。無防備に受けると極めて危険なのが一つあります。
<猿夢列車の攻撃表>
しゃりん:重量のある車輪をレールに沿って転がしてきます。放置すれば車両or猟兵が物理的なダメージを受けます
降魔の汽笛:カムパネルラの霊体を無数に召喚する汽笛です。放置すれば猟兵に纏わりつき、銀河鉄道の夢の光景を見せて精神的&肉体的に金縛りにしてきます。心を強く持てばはねのけられます。
だっせん:脱出用列車の進行方向のレールを、一部欠落させます。放置すれば車両が著しく減速します。
カノンコルスコルピイ:サソリの心臓の名を冠すキャノン砲です。燃えるように真っ赤なビームが放たれます。放置すれば車体or猟兵が物理的なダメージを受けます。
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ルルエリ・エールディール 2019年8月17日
ちょいと遅れましたが然る銀河鉄道の夢、ボス戦です! ん、魔列車? 好きだからね、しょうがないね。プレイングの締め切りは08月25日(日)例のごとく例によってここでの質問、じゃんじゃん受け付けます。それでは皆様、ご参加お待ちいたしております!
バロン・ゴウト 2019年8月17日
ボス戦にゃ!今回も張り切って頑張るのにゃ!……っと、作戦成功の為にも、質問させてほしいのにゃ。/【質問1】②の猿夢列車から逃れる方法で使ったユーベルコードと、③の敵の攻撃に対処するユーベルコードはそれぞれ別のものを使ってもOKなのかにゃ?/【質問2】③の攻撃に対して対応できるのはそれぞれ1人1つずつだけど、ボクとテンさんとアンシェさんの3人に対して、攻撃の種類は4つあるのにゃ。余った1つについては敵が使ってこないか、ルルエリさんが対応する感じになるのかにゃ?
ルルエリ・エールディール 2019年8月18日
やあ、バロンくんいらっしゃい。質問有難う、今回もよろしくね! // 【質問1】全然大丈夫、好きに使ってくれていいよ。何なら相手の攻撃を利用できるなら利用してくれてもぼくとしては楽しいね //【質問2】ごめん、これはぼくの言葉足らずだった。使ってこないなんて甘いことは無いし、ぼくは列車動かすのに手一杯で対応できない。手がたらない分は受けることになるね『無防備に受けると極めて危険なのが一つあります』はそういう事。通しちゃいけない攻撃が一つあるよって感じ。
バロン・ゴウト 2019年8月18日
ご解答ありがとにゃ。だとすると、どれが1番危険な攻撃か見抜かなきゃいけないのにゃ。どれもそのまま受けると危険な攻撃に感じるのにゃ……。
ルルエリ・エールディール 2019年8月20日
相手は『銀河鉄道の夜』に関係しそうなものほど強力な攻撃を撃ってきそう!! 何しろ自分の存在の拠り所だからね! 銀河鉄道の夢の終わりは確か…っ! (がんばって運転している、なおルルエリの運転は激しいもよう。クーシーの使い方見ればそりゃあねえ…)
バロン・ゴウト 2019年8月20日
なるほど、それじゃあの攻撃が一番注意が必要だにゃ。/ボクがそれぞれの攻撃に対処するとしたら……【しゃりん】トリニティ・エンハンスの風の魔力でしゃりんを吹き飛ばす、【降魔の汽笛】月琴を演奏しながら勇気の出る歌を歌う?【だっせん】アイリスの嵐で生み出した花びらをレール状に並べて、欠落した部分を補う、【カノンコルスコルピイ】トリニティ・エンハンスの水の魔力で水のシールドを作って、ビームを逸らす……と、こんな感じかにゃ?テンさんやアンシェさんならどんな対処法をとるかにゃ。
ルルエリ・エールディール 2019年8月25日
これはちょっと今日には厳しいかな、夏の終わりでみんな忙しそう。どれくらいまで時間延ばした方がいいかしら?
バロン・ゴウト 2019年8月25日
テンさんもアンシェさんも、きっと今の時期忙しいのかにゃ。とりあえず8/28(水)までに2人から書き込みがあったら9/1(日)締切、それ以降なら9/8(日)が締切っていうのはどうかにゃ?もちろんルルエリさんの都合もあるし、ボクはよっぽど急に締切が短くならない限り合わせるのにゃ。
ルルエリ・エールディール 2019年8月25日
おお、バロンくんお返事有難う!じゃあそんな感じでいってみるよ!ぼく個人としてはみんなでワイワイ楽しみたいだけだから、一寸位後ろ倒しになっても問題ないんだよね。じゃあ、一旦バロンくんの案で~
ルルエリ・エールディール 2019年8月30日
とりあえず一旦は、09月08日(日)まで期限延長するよ~。それでちょっと人数厳しいようだったら、少人数でも遊べるようにルール変更するね。
バロン・ゴウト 2019年9月8日
よーし、プレイングに挑戦にゃ!/①猿夢列車め、往生際が悪いのにゃ!カムパネルラ君達を必ず連れて帰るのにゃ。ぜーったい逃げ切ってやるにゃ!/②後方のバルコニーに陣取り、【トリニティ・エンハンス】の風の魔力をレイピアに纏い、風を起こして列車を加速させるのにゃ!/③【カノンコルスコルピイ】に対応するのにゃ。キャノン砲が動き出したら【トリニティ・エンハンス】を水の魔力に変更して、【全力魔法】と【オーラ防御】で大きな水の盾を作り出してビームを逸らすのにゃ!/期限の日だったからプレイングを書いたけど、もしルール変更でこのプレイングが使えなければ、また改めて書き直すのにゃ。
ルルエリ・エールディール 2019年9月10日
バロンくんご参加ありがとうー! よっし、それじゃあ、そんな感じで行こうか。殴る方向じゃなくて逃げる方向で! 逃げ切ればぼくたちの勝ちだ、ってね!
ルルエリ・エールディール 2019年9月10日
あ、そうそう、飛び入り参加も大歓迎! あと、今回シナリオに参加できなかったからって気に病まないでね。これがきっかけで顔出しづらいとか、そんなのイヤだし寂しいよ、気が向いたときに気が向いた分だけ楽しく遊ぼうね、そんなかんじでこれからもみんなと遊べたら良いな。ってわけで、バロン君とルルエリ+銀河鉄道のお二人には、ハードな戦いをしてもらいましょう!
ルルエリ・エールディール 2019年10月1日
長らく放置しててバロンくんごめんね。とりあえずリザルトは10月18日(金)を目標にさせてね
バロン・ゴウト 2019年10月1日
わーい、楽しみなのにゃ!(ウキウキ)のんびり待ってるから、ルルエリさんのペースで書いて欲しいのにゃ。
バロン・ゴウト 2020年1月1日
ルルエリさんリプレイ完成ありがとうございますなのにゃ!
テンさんとアンシェさんのお2人が消えてしまってからの緊迫感と、それでも諦めてなるかと奮闘する残った人達の姿が凄くカッコ良かったのにゃ!
降魔の汽笛で皆が甘い幻想に囚われてしまい、それでも手がかりを伝えようとするルルエリさんがとても頼もしく感じたのにゃ。打破の手段が月琴の音色なのも素敵だったのにゃ。
カノンコルスコルピイから皆を守るシーンもギリギリな緊迫感に読んでてドキドキしたのにゃ。落ちそうになりながらも勇気を振り絞ったジョバンニさんとカムパネルラさんに助けられたシーンはとっても感動したのにゃ!
ラストシーンのほんのちょっぴりの寂しさも冒険のラストにぴったりな味わいがあったのにゃ。
全体的に素敵な映画を見たような満足感があったのにゃ。
今回のリプレイも本当に素晴らしかったのにゃ。ルルエリさん、ありがとうございましたのにゃ!
ルルエリ・エールディール 2020年1月7日
こちらこそ、連絡していた期限すらもぶっちぎって本当に申し訳ないです。
楽しんでいただけたのなら、もんのすごく、とてもとても嬉しいです。
手掛かり…?
ぼくはあんまり伝えた覚えはないけど、まあ、とにかく何かの打破になってくれたのなら嬉しいや。
今回も手伝ってくれてありがとう!
毎回参加してくれて本当に嬉しいよ、とっても楽しませてもらってる。
もしまた機会があったら一緒に遊んでくれると嬉しいな
ルルエリ・エールディール 2020年1月7日
この夢の中では誰も彼もが。自分の役割の仮面を被っていた。
銀河鉄道は猿夢の列車。
車掌はルルエリ。
本物のジョバンニとカムパネルラの姿はなく。
偽者のジョバンニは猟兵たちと、偽装の人形。
そして偽者のカムパネルラは猿夢の仕掛けた罠。
誰も彼もが仮面を捨てたように見えて、未だ、仮面を被ったままの影がどこかに一つ。
7月7日のはじまりの夢に、ほんの僅かに現れて後はただただ知らんふり。
あなたしか居なくなった駅のホームで、その影を逃がさず踏めたなら。
冒険の終わり、振り返った闇の中に、その正体をつかめたなら。
もしかしたら、何かが分かるかもしれない。
ここに一つを問いかける。一体全体、彼は誰か?
未だその正体を明かしていない、登場人物は一体だあれ?
ルルエリ・エールディール 2020年1月7日
暖めていたなぞなぞだけに、お蔵入りさせるのも惜しく…
気が向いたら答えてやってください。
ヒントは時系列、よく読むとジョバンニはみんなに出会う前に……
バロン・ゴウト 2020年1月7日
うーん、まだ謎が残っていたのにゃ。何回か読み返してみて分かったことは、ジョバンニ君はこの夢でタイムリープしてるというか、何度か繰り返してる感じかにゃ?
その繰り返しの中にいた人はジョバンニ君とカムパネルラ君と……ルルエリさんが成り代わる前の車掌さんがいたはずなのにゃ!ひょっとしたら正体不明の登場人物はその車掌さんの事かにゃ?
ルルエリ・エールディール 2020年1月9日
どこまでも続く線路の奥、暗闇の向こう側にバロンの答えは響いて消えていった。声そのものが飲み込まれてしまったかのような圧倒的な静寂がそこに残る。
ずるり…べちゃり。
彼の直ぐ後ろに粘性の何かが落ちる音がした、ぷちゅぷちゅと空気と粘液をかき混ぜる音がして……
「やっぱり、ばれてしまったね。うまく隠していたつもりだったんだけど…アレの身体を借りるなんてことしたからかな?」
そう話しかけた声は、あなたのよく知るルルエリのもの。
振り向けば見る間に黒いドロドロの何かが、ルルエリを形作る。
「こうして会うのは二度目だね、黒猫の騎士さん。この前は驚かせてしまって悪かったね。でも、レイピアは中々に痛かったからおあいこにして欲しいな」
あなたを知っているようなそぶりで、どこか親しげに話しかけはじめ。
「あ、いまは攻撃しないし、おどかしもしないから。車掌のフリしてまで彼等をもたせていたんだから、多少は信用しておくれよ」
バロン・ゴウト 2020年1月9日
キミは、ライカを乗っ取った……(本能的にぶわりと膨らみそうな尻尾を気力で抑え、ルルエリの姿をとった黒い何かに向き直る)
何故キミがここにいるのか分からないけど、ジョバンニ君達をもたせてくれていたというなら、同じアルダワ魔法学園の者としても、猟兵としてもお礼を言わせてほしいにゃ。ありがとう。(羽根帽子を脱ぎ、黒い何かへ一礼する)
けど、どうしてキミが彼等の助けになるようなことをしたのにゃ?
ルルエリ・エールディール 2020年1月12日
……むふん、なるほど。これはクソネコが気に入る筈だ。そういうのはよしておくれよ、好きになってしまう、あのクソネコと同じように、君を連れて行きたくなってしまうよ。(返された一礼に大したことじゃないと手をひらひらと手を振った。冗談交じりの半わらいとは裏腹に、物理的に一歩、距離が近づいた)
ルルエリ・エールディール 2020年1月12日
しかし騎士さんはおかしなことを聞くね、目の前に死んじゃいそうな人が居たら普通は助ける…(そこではたと途切れる言葉。思い出したくもない事を思い出したというよう。ルルエリの姿が崩れ始めていた) ああ…これは……しまったな、思い浮かべてしまったよ。現実だとボクはドロドロの化け物で、人をさらおうとするものな。半分オブリビオンのようなボクは意識の薄い夢の中でもないと自分の欲望を制御できない。そしてそれも飲まれつつある、夢の世界がゆらいでるんだ。あの列車の力が弱まっているからね。騎士さんを浚おうとするかもしれない、でもどうか、どうかお願いだ、ボクに質問をしてほしい、キミが望めば答えられる。あのクソネコに気づかれる前に、もっといろいろなこ、ど…を…ヲ、ォ…(苦しむように抑えた喉元。声が出なくなったのだろう。その背後から粘性の黒い液体が溢れ、バロンの方へと徐々に徐々に這ってゆく)
バロン・ゴウト 2020年1月12日
(黒い液体が近づく様に飛び退きたくなる脚に力を入れ、ルルエリの姿だったものをしっかり見据えながら)キミの呼ぶ、クソネコっていうのは何者なのにゃ? 半分オブリビオンのようなものであるなら、なぜ夢の中でなら欲望を制御できるのにゃ? いや、それよりも……キミの、キミの名前は?(かつては死に物狂いで戦った相手に、まるで友人との別れの様に悲痛な声で尋ねる)
ルルエリ・エールディール 2020年1月14日
クソネコ…は、騎士さんと一緒に居た、こんな姿をしたケットシーの事。名前は呼べない、呼べば気づかれるから(濁った声だった。自分の姿を指さしながらそう言った。そこにあったのはバロンの良く知るルルエリの姿)制御…とはちょっとちがう、考えないようにできていた。此処は誰しもが仮面をかぶって、自分を、演じられていた場所だったから。元のボクの人格をもった車掌として、夢の中で演じた。オブリビオン…は、ある種、欲望のかたまり。昔、自分のしたかったことをやる以外にない、機械、みたいな、もの…少なくとも、ボクはそう。『あの子』を護りたい、クソネコが護りたかった『あの子』。でも、もうあんまり、顔、おぼえてないの。だからクソネコが大事にしてる人がボクの『あの子』になって、ボクが守りたくなる。攫って、守る。クソネコから、守る。でも、それじゃ足りなくて、『あの子』に似でるゴ…探じて……ま゛もるの…
ルルエリ・エールディール 2020年1月14日
(声帯を維持するのに容量を裂きすぎた。故に、もう胸の半分から下はあの黒い粘液へ。そんな状況にあっても、最後に彼が名前を問うたことに驚いたように耳を跳ねさせた。ふるえる口元、少しだけ、泣きそうに歪んでいて)名前、は、あの子がつけでくれた。ボグは…『る゛るえりの記憶』…クソネコが、りょうへいの…ぢがら貰った時に、身体に、はいりきらなくて…弾き出された…いちばん、だいじな、おもい゛で、あ゛ぁ…あ゛ぁ…も゛ういい、ゆめがらかえれ、ぎじざん゛ (重ねていた言葉は途切れ。そして変わりに黒いドロドロの粘液が手を形作り、バロンの方へと延びる。その手をとって、つれていこうとするかのように)
バロン・ゴウト 2020年1月14日
わ、わかったのにゃ!(彼の声に応えるように、くるりと踵を返し走る。先程とは違い、脚が震えることはなかった。しかし思い立ったように足を止め、振り返って口を開いた)
長くはない時間の冒険だったけど、この冒険の間、確かにキミはボクの頼れる仲間で、友達だったのにゃ。……さよなら、『ルルエリの記憶』さん!
(彼に向かって手を振り、再び駆け出す。)
(そういえばルルエリさんの過去の話は聞いてみたことが無かったこと、守りたかったという『あの子』がどんな子だったのか、友達だと言ったくせに『またね』とは言えなかった自分自身の弱さ、色んな事を頭の中に駆け巡らせ、けれど帰るべきところに帰るため、涙と共に駆けて行く。)
ルルエリ・エールディール 2020年1月20日
あ゛ぁ! う゛まれで、はじめでの…よき…ぼうげん、だった!! ども、よ!……ぁぁ、はは……だがら、ずぎになる…から、やめろ゛って、言っ、てるのに…ネェ゛
ルルエリ・エールディール 2020年1月20日
(小さくなっていくバロンの背中に伸ばそうとした手が、すんでのところで止まった。彼の友達という言葉が、それを推しとどめたかのように。代わりに張り上げたのは辛うじて絞り出した大きな声。改札をくぐった彼を見送ってから、辛うじて形が残っていた姿が全て黒い粘液に沈んでいく。振り返る寸前に見えた微かに泣きそうな顔。掻き立てられる、ざわざわと黒い粘液が波打っている。どうか、彼を泣かせるようなまねはしないでほしいと。どうか、まだ壊れないでいてくれと。薄れゆく意識の水底で、肥大化する欲望の片隅で、オブリビオンもどきは彼の憎悪する相手に願った。自分の生まれた意味を忘れたクソネコに願うのは腹に据えかねるが、それでも願わずにはいられなかった。子供を守ることが、われらの生まれた、意味なのだから)
ルルエリ・エールディール 2020年1月20日
かくして、ジョバンニとカムパネルラの銀河鉄道の夜は、朝の訪れで終わりを告げた。蒸気に少しだけ覆われていても、すがすがしい青空が広がる夜明け。学園の授業が終わった後で、夢の中であなた方が助けた二人が深々とお礼をしに訪れるだろう。
今度は夢の中とは違う名前で、それでもたびたびに頭を下げて。学生には少しつらいだろうに、ささやかながら大衆食堂で宴会も(もちろんルルエリも少しは出した。いやまあ後半トラブったし多少はね?)あっただろう。この冒険譚はそれでおしまい、
二人の学生は学園生活の1ページ。あなた方は複数の世界をめぐる冒険譚のどこか片隅に。そっとしまい込まれて、また新しい冒険へと向かっていく。
だが、その日常全てが、寸分たがわず同じというわけではない。冒険の入り口は常にどこかに開かれているのだから
ルルエリ・エールディール 2020年1月20日
「ねえ、聞いた? できそこないのネコ人形の話? 子供をじーっと見てくるアレ。気に入ったら攫われちゃうんだってさ」
「たまに見かけるアレ? 今までなーんもしてこなかったじゃん。うざくって殴った人もいるらしいけど、すぐに壊れる不良品だって話じゃないか」
そう、きっと、冒険の扉はどこかに開かれている。
「ミヅ…ゲダ、あの、子゛、ダ」
望む、望まないに、関わらず。
ルルエリ・エールディール 2020年1月20日
お返事遅くなってしまって申し訳ございません。
これにて、銀河鉄道の夜完結でございます。
お付き合いいただいたお三方、とくに茶番にまで付き合ってくれたバロンPL様、本当にありがとうございました!
次回やれたらやりたいなーと思いますので、また機会があれば遊んでやってください。
それでは!