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喝采は赤く細く

ユア・アラマート 2019年8月10日


UDCアース。
オフィスビルが立ち並ぶ某所の一角は、深夜ということもあって静まり返っている。
日が落ち、黒い影に包まれた建築物はモノリスのようだ。
こんな時間、こんな場所にいるのなんて精々警備員か残業中の社員か。

あとは不審者くらいだろう。

「……なるほどな」

話に聞いていた通り、あまり表沙汰にはできないことをこのビルの最上階にいるヤツはしていたのだろう。
動かぬ自動ドアを開けてもらい、最初に立ち入ったエントランスにはいかにもな屈強な体の男たちが此方を睨んでいる。
依頼人が一人で当たるには面倒な案件だと言ってくれた理由が、嫌になるほどよく分かった。
こうやって堂々と真正面からというのも、見せしめの意味合いがあるらしい。

自然と漏れそうになるため息は、事態の面倒臭さからか。
それとも、依頼人が用意した協力者の顔にうっすらと見覚えがあるからか。

どちらにせよ、長い夜になりそうだった。




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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月8日
ハハ、俺も使い道がそこまで無くて余り気味だよ(階段を登りながら苦笑を向けた。ユア同様、体力やスタミナに関しては何も心配していない。現場を走り回る工作員なのだから、当然鍛えられている)なぁーに、こういうことは9年くらいやってきたからな。嫌でも慣れる。(生体感知ソナーを起動しながら、仕事中ということを気にしていないくらいににこやかに答えた)へぇ、案外若いな。若人が出せる雰囲気じゃないと思ってたが──ま、そうだな。年齢は重要じゃない、大事なのは実力と人間性さ(…上から複数の足音がドタドタと降りてくる音が聞こえる)そうだな、地獄への下山をする奴らに、挨拶しとかねーと(弾みやすい材質のフラッシュバンのピンを抜き、壁に数回反射させて放り込む。速度と距離から計算して、恐らくドンピシャで閃光が向こうに届くだろう
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ユア・アラマート 2019年9月13日
なんだ、妙な所で似た者だな。元より報酬が一番の目当てでもないんだが……そのうち腐りそうだ。大量消費のいいアイデアでもないものか。 (ヒールの高い靴で階段を踏みしめているというのに、靴音らしいものはほぼ聞こえない。上を見ながらも肩を竦め、増えるばかりの残高を思う) 9年? それは長いな。私は縁があってギルドに属したのがきっかけだったんだが、そっちは? (靴音は潜めるが声を潜める様子はない。どうせ居場所は知れているし、世間話が弾む方が楽しい仕事になると思っている) そうだな。仕事ができるなら年齢は大して問題じゃないか……おっと。 (足音に顔を上げるのと、その脇を黒い影が跳んで弾んで消えていくのがほぼ同時だった。マントを前に翳し頭を下げ、光が収まるのを待ってから階段を駆け上がると。前後不覚になっている男の頭を掴み、下り階段の段差に叩きつけるように振り下ろした)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月15日
高級外車を乗り回すってガラでも無さそうだし…どっかに献金でもしてみるか?(暢気に言いながら、ユアの所作に関心を向ける。歩き方がプロのそれだ。極まったサイレントウォークは場所も、靴も選ばない) 仕事がこれしかない身分でね。後の選択肢は…実質無賃金の一日18時間労働。福利厚生オール無し、休日無し、逃亡すれば銃殺…くらいしか無いもんでね。どっちがマシな選択肢かは…誰がどう見たって、なぁ?(頼んだ料理に虫が入っていた程度の、軽いノリの嫌悪感でうぇーっと舌を出した)有能さは何より大事さ…ユアのようにな(フラッシュバンを確認してすぐさま目を保護する知覚スピードに流石、と漏らしながら)グッバイ(ユアに追従して駆け上がり、右の仕込みクロスボウから2本のボルトを射出。2人が喉を撃ち抜かれた)
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ユア・アラマート 2019年9月18日
献金なあ。確かにそれを必要としている場所や人に流れるのが一番だ。孤児院にでも寄付すれば、有効活用してくれるか。 (自分が無駄に使うよりも、ずっと有益だろう。大量消費という目的にも沿っている) うわ、それはもう仕事と表現するべきじゃないぞ。まあ、二択にできただけまだマシ、か? んん、難しいな。 (確かにその二種類なら自分だって今を選ぶ。けれどこの仕事が上等とはとても言えない。が、案外自分は気に入っている。色々な意見や感情が一気に降り掛かってきて、どうにも歯切れが悪い) それを言うなら、私もお前を大事にしないとな、ヴィクティム。 (肩越しに振り返ってのウインクは、果たして見えたかどうか。狭い場所で不意を取られ、声もなく血溜まりに沈む男たちを横目にもう一人引き寄せて腹を刺していると。階上から更に慌ただしい足音が降ってきた) ここで足止めされるのもシャクだな。できるだけ足は止めずに行きたい所だ。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月20日
いいねぇ、謎の美人慈善家って体で献金すりゃあ、格好も付くんじゃあないか?(どうやら、ユアは骨の髄まで悪人というわけではなさそうだ。人間性は上等なことが分かる)そ、実態は奴隷として一生こき使うってだけだ。国は俺達の生活や収入を保証してくれないどころか、いないものとして扱うもんだから…こういうのがまかり通っちまうわけよ(世知辛くて涙が出るぜ、と心にも無さそうに)

ㅤウィズ
最高だね。では大事にしてくれるユアにプレゼントだ(どうやら敵はまだまだいるらしい。脚を止めずに行きたいというオーダーに応えるべく、プログラムが一つ起動する)

ㅤㅤブレイドランナー
──絶ち切る疾風(凄まじい機動力を齎す、身体能力強化プログラムだ。これを受け取るのであれば、副次効果として…自身の周囲に"風の刃"を纏わせるだろう。通るだけで木っ端は切り刻まれるはずだ)
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ユア・アラマート 2019年9月23日
そうかな? 帰ったら考えておこう。…お前もそういう使い方を? (余り気味とは言っていたが、アイデアの一つとして出してくるのだから経験があるのだろうかと首を傾げ) 嫌な話だ。何が嫌だって、そこまで珍しくないと思えるくらいの話だっていうのがとにかく嫌だ。 (眉を顰めて小さく吐き捨てる。理不尽だな、とボヤく言葉が肉を割く音に紛れた) ん、――これは……? (上を見た瞬間、ふわりと身が軽くなる。身体的な感覚もそうだが、何より周囲を取り巻く鋭利な風。一瞬の戸惑いを得た体は――次の瞬間飛び出していた。銃の構えも取り押さえる姿勢も、全てバラバラになって吹き飛んでいく) っはは! すごいな、魔法みたいだ! (赤が飛ぶ中で無邪気な声が響く。電子を介した魔法であると承知の上で、そんな子供のような感想が飛び出した)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月24日
生憎と、俺は人様に優しくできるほど出来た人間じゃあないさ(肩を竦め、利己的なものでね、と嘯いた) 理不尽な話ってのは、それこそ路傍の石のように転がってるものだ。それに躓いちまう者もいれば、蹴り飛ばしちまう者もいる。環境にどう対処できるかが、生きていくってことだよ(疾風の如く飛び出したユアを目で追った。花の嵐、とは正にこのことだろう。美しく、そして苛烈だ)

ハハッ、俺のプログラムはどうよ?余人から見りゃ魔法に見えるような業だが───ただのプログラムがこうなるんだから、猟兵って奴は不思議なもんだよ(ユアをパルクールのような動きで追いながら、時折途中の階で乱入してくる連中を、階下に突き落としていく。花の嵐に途中参加が触れようなどと考えるなかれ。舞台に立つには、格が足りない)
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ユア・アラマート 2019年9月26日
なるほど。いいんじゃないか? 少なくとも自分の力で得たものをどう使うかなんて、自分が好きに決めていいものだ。その自由は認められて当然だ。 (縛るものがなにもない。己の意志で左右を決める。それがどれだけ価値のある事かは、身にしみている) それでお前は、対処して今に至るのか。強いな。 (しみじみ、世辞も軽口も無く。噛みしめるような重みも、すぐに喧騒に呑まれてしまった) 最高だよ魔法使い。ああ、本当に。最初はおかしなものになったと思っていたが――。 (階段の上は、しとどに赤く濡れていく。悲鳴がさほど多くないのはそれを上げる時間すら与えていないから。なにせ触れる前から切り刻むのだから、やることといえば走るだけ。それで容易に死が振りまかれる) ――自分で何かを得るための力なら。そう悪くはないと思えるよ。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月29日
だろ?まぁでも、どっかに寄付しちまうのも悪くはないな。恩を売るっつーのは、思わぬリターンが返ってくる。使って経済回してもらう方が後の得にもなるか(あくまで自分の為。情けは人の為ならず、だ)

強いなんて言われたの初めてだな。それが最低限として扱われてきたもんだからさ(適応することは最低限の段階だ。それが出来ない奴は論ずる価値も無い。ストリートとはそういう世界である)
ハッハー、嬉しいね。俺としても、こいつが上手く扱える存在は有難い。任せられるってのは、楽でいいね(走れば死が吹き荒れる。故に止まることは無いし、止められることも無い。駆け上がるスピードが、速すぎる)
運命を切り開ける力があるが故に、猟兵になるのかもな。ま、有難い力は最大限利用するに限る(接近されればそれだけで死ぬことが分かってきたのか、敵も爆発投擲物も用意し始めている)グレネード飛んでくるかもしれねえ。いけるか?
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ユア・アラマート 2019年10月5日
何かしら縁と恩を作っておくといざという時役にも立つだろう。潜伏先とか、隠れ蓑だとか。 (出てくるアイデアが尽く不穏だが、職業柄仕方がない) その最低限に辿り着けない人だって、少なくないだろう? そういうのは、一番最初が一番難関ってイメージがあるんだよ。 (それを越えたのであれば、自分としては強いと思える) 一人でやるより大分楽だ。気が早いが、そのうち私が直接お頼む形で手伝ってもらっても? (どれくらいかかるのかと思っていた階段も、思えばすいすい進めている。有能なサポートのおかげだ) 同感だ。もらったものを使わないのは、勿体ないし。 (胸元に咲く月下美人のタトゥーが輝き。身を纏う風の斬撃が――少し膨らんだように規模を増した。速度を強化する自身の術式を、疾風に絡めていく) ああ。 (返事は短く、次の瞬間その姿は掻き消えるように。それまでより速く駆けた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月7日
そいつは確かに。グリモアは持ってねえし、出先のセーフハウスとか提供してくれると助かりそうだ。(不穏なアイデアに尽く共感できてしまうの少年も大概というものである) なるほど、一番最初が最も難しいか。そう言われると、確かに初動ってのはどんな時でも難しく、ヘビーな問題と言えるかな。(壁を超える実績が無い状態で、如何にそれに対処できるか。慎重さ、大胆さ、狡猾さ、必要なものは沢山ある。故に、難しい) 
勿論だ。俺は有能な主役の頼みは決して断らない。あらゆる役をこなしてみせるぜ。(少年は舞台の何でも屋。如何なる頼みも解決してみせる自負がある)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月7日
お────いいね、実にクールだ。風が混ざり合うとはよ。(拡張現実越しに見える風のデータが、一気に変わった。速過ぎる。投擲されたグレネードが起爆する頃には、とっくに殺傷範囲外だ。ピンを抜いてから投げるまでの時間を延ばしたとしても、それさえ無駄だ。ギリギリが過ぎれば自爆しかねない)Alcatraz(難攻不落の意を込めた名をコールすれば、展開されるのは障壁。自分を箱に収めるような配置の壁は、あらゆる攻撃を通さない。転がるグレネードなぞ、意識するに足らない)主演女優にクラッカーを鳴らしてやりたい気持ちは分かるが…へたくそすぎるな(爆風も飛び散る破片も、ユアには決して届かない。そして少年にも、届くことはない)
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ユア・アラマート 2019年10月19日
なんなら、やばくなったら頼ってくれてもいいぞ。一応グリモア持ちだからな。 (サービス価格で。と嘯くのも忘れない。いざ何かあれば逃げ場が世界を超えられるというのも、猟兵の便利な部分だ) ゲームと違って自分の人生にとんでもなく影響する上に、やり直しは一切できないからな。――お前は、自分のどういう要素でそれを超えたと思う? (用意できたものは少なかっただろう。運だって上手く使いこなす必要があったのではと思う) じゃあ後で連絡先を聞いておこう。――中々、主役を演じるに当たっていいプレッシャーをくれるよ。 (優秀な端役に見合う振る舞いが求められるだろう。上等だと、呟いて)
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ユア・アラマート 2019年10月19日
(相乗効果といえば簡単な話だが、それは思った以上に目覚ましい変化だった。元より、腕力の低さを速さで補うスタイル。スピードに自信はあったが、彼が纏わせてくれた風に自前の術式を絡めると面白いように体が軽くなる。もはや、階段を踏むという行為すら省略されて。男たちの合間を縫うようにしてたどり着いた踊り場で振り向けば、もう上階へ続く階段は見られなかった) ――もう少し、そのままで。 (遮りがなければ聴覚を麻痺させるような爆発音も、風が吸い込んでくれる。声は聞こえなかったろうが、きっと気づくだろうと右手が新しい風を渦巻く。出たるは花片。薄く鋭い刃の花吹雪を、速度に追いつけず立ちすくむだけの男たちへ吹き付けた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月22日
マジかよ。思わぬところでグリモア持ちとのコネが出来ちまった。入用になったら使わせてもらおう(気軽に転送を頼めるアテがあるのは非常に有難いことだ。世界を渡る術が無いと言う弱点を補ってくれる)
何が越える要素になった、か…そうだな、多くは無かったよ。足りないものだらけで、参っちまうほどだが…(少し考えたように唸り、やがて)"強い意志"だよ。運命に負けないような、強靭な意志だ(あの時芽生えた反骨の意志が、自分をここまで生かしてきたのだ)
はいよ──まずは幕を下ろさないとな。どうぞ、心ゆくまで──主役殿(ニンマリと、一挙手一投足に見入った)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月22日
(彼女がスピードタイプだということは理解していた。仕留めるときは急所にズドン、足を止めて殴り合うわけがない。故に機動力が命だし、それを強めるためにプログラムを選んだが…これは想像以上だった。どんな一流脚本家でも、想定以上の結果を予測することは出来ない。驚きと称賛を向けるしかなかった)

ㅤㅤㅤㅤㅤエアウォーカー
これが、"空中歩き"ってやつかよ…最高だね、賞を総なめしそうだ(風が彼女を守り、強くしていた。彼女の動きを形容するならば、正しく風に舞う花だろう。香りと美しさに覆い隠された、暴力と鏖殺の風が吹き荒れる)
アイアイサー──『Alcatraz』を多重展開(巻き込まれるのを防ぐための障壁、万が一の流れ弾も許さない保険。この添え物で以て──"登山"は終わるだろう)
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ユア・アラマート 2019年10月31日
他の世界で仕事をする、ということもあるだろうしな。タイミングが合えばになるが、上手く使って構わない。 (それは決して、グリモア猟兵から依頼される仕事の話ではない) ――なるほどな。確かに、それだけはどんな状況でも自分次第で手に入れられる身近な『力』だな。少し羨ましい。 (自分にそれが身についていたか、身についているか。今だに疑問視することはある。まだ知り合ってそう時間も経っていないが、その意志の強さは少しばかりだろうが伝わってくるものがあった)
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ユア・アラマート 2019年10月31日
(風が際立ち、吹き付ける様は花吹雪。きっと、その位置は特等席だっただろう。花弁は薄く鋭く、剃刀の刃よりも鋭利に肌を切りつけ肉を開く。赤い血飛沫が嵐に乗れば、声を出す間もなく巨木のように立っていた男たちは倒れていき。階段をあっという間に赤く染める。吹きやめば、サビ臭い血の匂いがその場に残る) ……よし。細かい掃除はこんなものか。一番大きなゴミとご対面といこう。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年11月4日
よしきた。何か仕事があれば遠慮なく注文してくれていいぜ。どの世界の仕事でも俺は手を貸そう。無論、"裏の仕事"でだって構わない。(信用に値すると思った人間に対しては、いくらでも手を貸すのが少年だ。)
運命って奴は本当にクソッタレだ。いつだってとんでもなく強い縛りを俺達に課してくる…それに負けないようにするには、意志が無きゃいけねえ。
誰しもにある力だ。アンタにも、他の誰かにも。運命にどれだけムカツクで、強さは変わるがね(今日まで生きて来れたんなら強いんじゃない?と付け加えた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年11月4日
ブラボー、拍手を贈ろう(あまりに広大な赤い華を見るように、階段の惨状を眺めて手を打ち鳴らした)これを見れるのが俺一人だけとは、世の中は不公平だね。そう思わない?(最上階まで軽業でひょいと登ると、主演女優賞おめでとう、とユアに告げて、近くの社長室へ)
中から開かないようにして、外からもパスコードを変えて閉じ込めた。今頃真っ暗な部屋の中で、俺達が死んでることを期待しているのかもしれないなぁ(ピアノの鍵盤を弾くようにパスコードを入力して、良い事を思いついたとばかりに全ての照明を落とした)
『ボス、全て片付きました』(適当な誰かの声を記憶からサンプリングして、意地の悪い悪戯を仕掛けた)
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ユア・アラマート 2019年11月12日
ありがたいな。一人仕事ばかりだが、たまにはこういうのもコネが増えていいものだ。――手伝ってほしいことなら、悲しいかな結構ある。 (体が足りない気分だと、わざとらしいため息を交えて呟く) 逆に、意思がなければ何も身につかないくらいまであるしな。私は、自分の生まれた理由を投げては梨の礫な日々だったが……まあ、ここまで生きてきているんだから。弱かったってわけでもないのかもしれないな。 (それに、それは自分で答えを見つけなくてはいけないことだと気がついてしまったから) 本質に気づく前に死なないでよかったとは思う。
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ユア・アラマート 2019年11月12日
いいんだよ。今日はお前のために飛んだのだから、お前から褒めてもらえればそれでいい。 (よかっただろう? 語りかけながら階段を見下ろす。自分でやっておきながらだが、帰りはここを使うのが少し億劫だった。仕方ない) どこにも行けず、ただ雇った用心棒たちに全てを預けて待つしか出来ないのはさぞ怖いだろうからな。早くもう大丈夫だと教えてやらないと。 (口元が少し歪に笑む。扉が開くのを待っていると、不意に明かりが消えた。ああ、性質の悪い悪戯だ。余計に面白くなって笑い) ――お前も十分役者じゃないか。 (外から聞こえてきた声に、まんまと安心して開いたドアの隙間に靴の先っぽを押し込んだ。ひっと上ずる悲鳴を上げて一気に部屋の奥まで逃げ込んだ影を見送り、ドアを大きく開く)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年11月13日
ンッンー、食いっぱぐれがなさそうだ。それが喜ばしいこととは言い難いのが辛いところだが…こういう仕事の宿命かね(真っ当じゃない仕事は、真っ当ではない者がやるものだ。闇は闇が処理する、こっそりと)
そ、ここまで来たんだから、それでいい。重要なのは最初でも、途中でも無い(人差し指をピン、とたてた)最後だ。結果だ。フィナーレがいい作品は、多少拙くても名作になるもんさ。最初が酷くても、途中で分からなくなっても、さ。(アンタも俺もこれからが大事なんだぜ、と微かに笑った)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年11月13日
主演女優にそう言われちゃ、もう何も言えねえわな(釣られて階下をちらりと見た。ジップラインでも引いてやるべきだろうか、なんて考えて)
どうせなら愉しんでもらわないとさ?(開かれたドアから口笛を吹きつつ中に入り、照明を点ける。随分と怯えた顔をする、と内心で笑って)
やーどうもどうも、お邪魔してますよっと(革張りのソファに、まるで自分のもののように腰かける。テーブルの上に足まで乗せた)
手厚い歓迎が中々楽しかったよ。こっちもはしゃぎ過ぎてね、皆寝ちまったよ。二度とこの世に戻ってこれないくらい、ぐっすりとね。(さて、メインで仕事受けたのはユアだ。こいつをどうするかはユアの采配に任せるとしよう)
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ユア・アラマート 2019年11月24日
まあ、あれだ。この世から私達みたいなのが出張る機会をゼロにしようとしたら、な。 (様々な人が謳う理想や信念もあるけれど、一番手っ取り早いのは何もかもをなくすこと。勿論、現実に起きてもらっても困る話だが) ……ごもっともな話だな。最後さえ良ければ、過程がどんなに酷くても全て報われるってものだ。 (まだまだ過程の段階。がんばらないとな、と微笑みを返しながら噛み締めるように一度目を伏せた)
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ユア・アラマート 2019年11月24日
だから、ちゃんと最後まで見ていってくれ? もうすぐ終幕だ。 (部屋に入ると随分と濃い目にタバコのニオイがした。重厚な雰囲気の机には、吸い殻でいっぱいの灰皿。緊張を紛らわすために吸っていたんだろうと思うと、心から可哀想だと思えた。全部無駄になるというのに) 私は楽しかったんだが……向こうは楽しんでくれたかわからないな。 (なあ? と話を振ってみても青い顔で震えるばかりだ) お前が大人しく一人でいてくれれば、下の連中も無駄に眠らずにすんだんだぞ? ギリギリまで背負う命を増やす趣味があるとは、変わったやつだ。 (机の後ろはありがちに、夜景を望めるような全面ガラス張りだ。そこに背中を潰れるほど押し付けた男の言い分も、ごくごくありがち。誰の手の者なのかとか、金を出すので寝返らないかとか、そういうものばかりだ)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年11月27日
人の世の必然ってやつかね。ま、しゃーない。需要があるなら供給するべきだ。いつか無くなるかもしれないその時まで、勤労に励むとしようぜ(励んでいいものかは置いておいてな、とけらけら笑った)
最後に『良かった』と思える人生であることを祈ってるよ。願わくば、最後は遠い先であるといいんだがね(長生きするといい、と呟いた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年11月28日
(フィナーレの気配に、少年もまた心なしか昂った)ふーむ、良い部屋に良い景色だが…煙草くせーのが難点だな。しっかし、そんなに吸っちゃあ、ただでさ老い先短いのに早死にしちまわない?(軽い世間話でもするように、少年は嘯いた)いやはや、"資源"を無駄にするのはいけないよ。最近はそういうのにうるさい世の中なんだからさ、もうちっと節約しようぜ?(その方が俺達も楽だからさ、と愉快そうに付け足した)
あーあー、ダメダメ。ミスター・ジョンソンのことは教えられないなぁ。金?そんなにいらない。高待遇?"自由"よりも良いものなのかい?それはさ。(すっと、立ち上がる。ユアの横に並んで)チャカ弾こうなんて思うなよ。妙な動きしたら、一生片腕で生活することになる。
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ユア・アラマート 2019年11月29日
供給が無くなると困る人がいるというなら、仕方がないな。思えば立派に社会貢献しているじゃないか私達。 (それを健全と呼ぶかはともあれ、誰かの役には立っている) それは、お互い様だな。ちゃんと定期連絡のノリで仕事を頼むから、急に連絡不通にはならないでほしいな。 (言い方はごくごく軽い。定期連絡は冗談にきこえたかもしれない。それでも構わなかったので) 早死にするなよ。 (それだけ、付け足した)
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ユア・アラマート 2019年11月29日
そんなに待ちかねていたなら、肺を虐めていないで出てきてくれても良かったのにな。 (笑う。この部屋に閉じ込めるよう指示したのは自分だ) 近頃はどこもエコやら省エネやら、限りある資源を大事にと謳っているものな。私達も楽をして、誰も損をしない。 (隣に気配を感じて、腰にくくりつけているポーチからレコーダーを取り出してスイッチを入れた) さてミスター、お前にお仕事だ。なに、お仲間の名前を教えてくれればいい。もしかすれば、殺さないで済むかもしれない。 (男は、組織的に非合法の薬剤を輸出していた。何人かいるその共犯者の情報を吐かせるのも仕事だ) ……なあ、相手の発言の真偽を確かめる方法ってあるか?
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月1日
そーそー。そんじょそこらの公務員より立派かもな。表彰されるこたあねーけどさ(こういうのが必要悪というのだろう。歪ではあるが世界を回す存在、であるのかもしれない)あいよ、いつだってコンタクトを取れるようにしておくさ。この世で最も便利な男なんでね(などと嘯いて、笑った)あぁ、アンタも。(短く答えた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月1日
いやはやまったくだ。これを機に禁煙でもしたらいいと思うぜ?それか電子タバコに変えるとかさ(指示されて閉じ込めた張本人は、からかうように笑った)ん?あぁ、発言の真偽を確かめる方法ならあるぜ(機械の指先に、雷が迸った)電子機器を掌握するのがハッカー、ってのは間違ってねえけど…俺の場合は、それに留まらない。『ニューロハッカー』──所謂、脳をハックする技術も持っている。例えばミスター、アンタが嘘をついたとしてもだ。俺はアンタの脳に侵入し、脳波や神経の動向を確認することができる。人は嘘を吐くとき、特定の脳波を発するんだ…。分かるよな?もし嘘を吐いたら、お前のニューロンに電流を流す。(ニヤリ、悪い笑みを浮かべた)参考までにだが、痛みの度合いは『歯を丸ごと引っこ抜かれる』痛みの30倍程度だ。オーケー?
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ユア・アラマート 2019年12月3日
どこの世界でも、決まりに縛られない存在っていうのは必要だろうな。細かいこと気にせず殴れるヤツとも言うが。 (法やらの煩わしさもなく、素直に武力を振るえるというのは存外重宝される) 頼もしい肩書だな。まあ、信じているよ。 (軽いものだと笑い返して、雑談もそこそこに仕事に戻る。独り言のように漏れた言葉に返事があったので、それには満足げに唇の端を持ち上げた)
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ユア・アラマート 2019年12月3日
……ちょっと自分でも無茶振りしたかと思ったんだけどな。 (できないことなんて無いんじゃないだろうか。そんな驚きと感心の混じった顔をする) 本当に、しみじみ便利だな。拷問も尋問も、体一つあればなんでもできる。 (小さな電気の音に、過剰なまでに目の前の標的は怯えているようだった。とはいえ、相手は魔法の存在を今まで信じていなかったような。ある意味ではモグリだ。どれほどこのやり取りが薬になったことか) それじゃあ、改めて聞かせてもらいたいんだが。……ちなみに沈黙が長いようだと。そうだな、彼に頼んで痛いのつまみ食いさせてもらってもいいな? (蛇に睨まれた蛙のように、固まり脂汗を流す男の口は開閉と意味の曖昧な呻きを繰り返す。1分にも満たぬ時間、様子を見てから軽く傍らへと視線を流して)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月5日
何でも出来るわけじゃねーけどな。だが"出来ない"とは言わない。俺は舞台を選ばない男だ(ハッキングに一点特化してると思われがちだが、実際は高い汎用性と対応能力こそが少年の武器なのだ)
そりゃあね、俺は情報収集がメインだからな。時にはこうして"インタビュー"することもあるわけよ(武力をちらつかせれば、途端に相手は委縮するものだ。何しろこちらには、手勢を2人だけで"消して"みせた実績がある。荒唐無稽な魔法のように見える力とて、信じておかなければ早死にするだけだ)もしもーし?インタビューのスタートでコケるなんてつまんない真似する気か?(肩を竦めて、額に指をとん、と置いた。瞬間、男のニューロンには電流が迸る。歯を丸ごと引っこ抜かれる痛みの30倍?あれは嘘だ。実際は60倍もある)スッキリしたかい?大丈夫、落ち着いて正直に話せばいい。それだけで済むことだ。あぁ、ちなみに──今のは『最低出力』な。
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ユア・アラマート 2019年12月8日
どんな舞台でも相応しく振る舞えるってことか。主役だけじゃ殺風景な所に彩りを添えてくれるんだから、ありがたい話だ。 (何事にしろ手数の多さは重宝される一因になる。物騒な意味でモテるだろうな、という感想が頭をよぎり) しかも、インタビュワーとしても優秀だ。相手を気分良く喋らせられるに越したことはない。 (よかったな。笑いかけた先では相変わらず青い顔がある。自分の常識という、囚われるだけ無駄な固定観念を逸脱した現状はさながら悪い意味で夢心地か。彼の指が汗の滲む額に当たり――刹那、響いた絶叫に頭上の狐耳を煩そうに伏せた) ああ、すごいな。リラックス効果抜群そうだ。 (外傷はなくとも、過度な痛みはショック死の可能性を十二分に秘めている。にこやかな脅しも相まって、ようやく開いた口はそれまでが嘘のように滑らかだった)(さて、気づいただろうか)(女が、腰のホルダーに収めていた短刀に軽く触れたのを)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月10日
必要であれば舞台装置も誂えるし、脚本も書いてやるぜ?メイクだってお手の物さ。(大仰な手ぶりでお辞儀をしてみせて、クツクツと笑った)
ハッハー、どうやら"夢見心地"すぎて却ってお喋りしにくかったらしい。さぁもう一回だぜ旦那?俺は優しいから待ってやれる。ゆっくし、"正しく"喋りな?(おもむろに灰皿から吸殻をつまんで、電流でバシュンッと消し炭にしてみせた。これだけ押せば口は驚くほどに滑らかに言葉を紡ぎだすだろう)ふーむ…(ニューロンの動向を視界の片隅で見守っていると、驚くほど静かで、あまりにもさりげなく、彼女が"構えた")
(それを視て念のため、左腕に仕込まれたショットガンを待機状態にしておいた。はてさて、喋った内容の真偽は如何ほどか。きっとユアが思うような、あるいは望んだような答えになるだろう。意味深に片目を閉じて、笑ってみせた)
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ユア・アラマート 2019年12月11日
それじゃあ、もう主演以外は全部揃えられるってことじゃないか。……そこまでできても、それだけはできないのも面白いな。 (何ならやってしまえばいいのにと思うけれど、そういうことではないんだろう。あくまで裏方で、だからこそ活きる。そんな人間なのだろう) なんだ、いい気分過ぎてボケていたのか。頼むよ、もう遅い時間なんだ。面倒事を早く終わらせたいのはお互い様だろう? (レコーダーの起動を確認しつつ、暫くは男の話を媒体と脳に叩き込む。彼が黙ったままということは、嘘はついていないようだ。欲しかった情報が聞けた所でスイッチを切る) ――こんなものか。 (ウインクに、涼やかに笑い返す。視線をそちらに向けたまま――殺気を微塵も出さずに引き抜いたナイフを。男の喉笛に狙い違わず投擲した。突き刺さり、そのまま背後の窓へ縫い付けられた頭を血飛沫とガラスのひび割れが飾る)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月12日
主演を張るには"センス"ってやつが必要なのさ。限られた奴しか持ってねえもんだから、こればかりは俺にもお手上げだよ(世の中そう上手くはいかないもんだぜ、と肩を竦めた。実際のところ、"やるべきではない"という妄執から来るものだが)
中々インタビュー慣れしてるじゃないか、旦那。アンタの誠実さはちゃんと伝わったよ。願わくば真人間になってもらいたいもんだね。(なんて軽い口調で言った0.1秒後には、インタビュー対象は死んでいるのだが)どうぞ、あの世で真人間になるといい─いや、先に地獄か?まぁいいや。(最初からこうなることは読めていた。独りだけ逃がすなんてそれこそナンセンス。"禍根は断つに限る")いやはや、追撃の用意はいらなかったな。何か隠し弾があるのかと警戒して損したぜ(ショットガンの機構を解除。ふぅと一息を吐いて)大掃除終了、かね。
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ユア・アラマート 2019年12月18日
けど、お前から主役を仰せつかって私が綺麗に演じきれたなら。それはお前の功績でもあるだろう? 少なくとも、それだってセンスだ。まあ細かいことはさておき、今日はとても助かったことだけは確かだよ。 (演者や裏方、どの要素を欠いてもいい舞台にはならないから。主役でなくてもその存在が大きかったのは確かだと、そこだけは忘れずに伝えておいて) さて、潔く死んでくれたしこれでも十分ではあるが。オブリビオンになんてなってくれるなよ。 (面倒だ。と切って捨てた。物言わなくなった躯に近づき、ナイフを回収するとクモの巣状に走るヒビ越しで夜景を眺め) これ以上足掻かれたらうっかり全力叩きつける所だった。……そうだな、終わったし。さっさと帰りたい。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月19日
ハハッ、確かにそうだな。人を見る目には自信があるつもりだから、話に乗ってみて正解だったよ。いいコネクションが出来た。(腕が良く、仕事に意欲的な存在は好ましい。理想とする舞台を作り上げるのに欠かせない要素だからだ) 未練たっぷりありそうだし、その内骸の海からこんにちは、なんてこともあるかもな。まぁそん時はそん時で、また殺してやりゃいいさ。舞台がより派手になるだけだからな?(筋書きは変わらない。どれだけ魅せられるかしかない、と言わんばかりだ)こっからどうするんだい?"アフター"があるなら付き合えるぜ。
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ユア・アラマート 2019年12月28日
お前からもそう思ってもらえたなら、いい具合に持ちつ持たれつができたんだな。面倒なばかりじゃない仕事は珍しい。 (収穫なんていえるものは、基本的には報酬くらいのもの。コネクションは貴重なので、今夜は金銭以上の甲斐があった) 一回死んで反省するような殊勝な人間じゃないのは、確かに短い付き合いでも伝わってきたがな。その時は……私「達」の出番だろう。 (自分と、彼と。それだけに収まらない。躯の海から出てきたばかりに、更にひどい目に合うかもしれない自業自得を想像するとつい笑ってしまった) んー。じゃあ、選んでくれ。私の行きつけのバーか……ちょっと贅沢にもうひと仕事か。どっちのアフターが良い? (分厚いガラス窓に手のひらを当て、風の術式を走らせる。罅は広がり、少しずつ崩れ去ってぼろぼろと破片が誰もいないオフィス街へと降り注いでは強風が吹き込む。何のことはない。あの血まみれの階段を使いたくなかったのだ)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月31日
そんじゃあまぁ、今後ともよろしく頼むよ。どんな舞台でも最高のものにしてやるぜ。(彼女が居る舞台はいいものになる、間違いない。それに一枚噛めるというのなら、何処へでも)ククッ…あぁまったく、『過去狩り』の仕事は尽きねえってこったな。あっちもこっちもやることが溢れてやがる。(そうは言いながらも、表情は愉快そうだ。舞台は楽しまなければならない。そうすれば"余裕"は常に付いて来てくれる)ンッンー、とても魅力的な二択だが…そうだなぁ(悩むさまは年相応の少年のようであるが──)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年12月31日
"酒に酔うより、風に酔う方が好みだね"(そう、獰猛に笑ってみせた)
さぁ、まだまだ使ってない演出があるんだ。アンコールに応えてもう一度幕を上げてやろうぜ?
(仕込みワイヤーアンカーを準備する。空の旅だろうと何のその。望んだ舞台へと舞い降りよう)
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ユア・アラマート 2020年1月5日
お言葉に甘えさせてもらおう。次の舞台も楽しみだよ。 (見初められたならしっかり魅せてやろう、という気になる。自然と気合が入るのだから、咬みあいがどうやらいいようだ) 愚痴る割には楽しそうじゃないか。お前の言う通り、そう簡単に尽きることはないだろうな。まったく、学習能力のない連中に無駄だと教え込むのも一苦労だ。 (一度倒した顔を、また別の場所で見るなんて日常茶飯事だ。いつの日か、自分たちのような力が必要ではなくなるのだろうか。考えてみるも、あまりに絵空事で我ながら肩を竦める思いで)
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ユア・アラマート 2020年1月5日
思いの外、次の舞台は早かったな。 (けれど、それでこそだと女は機嫌よく嘯いた。ガラスの消えた窓辺に立ち、そのまま外へと身を踊らせた。刹那、足元を渦巻く風がその身を支え。さながら翼のような形で靴に張り付いた) ここからそう遠くない。短い時間だが、空の旅と行こうか。――さあ、次の観客を黙らせに行こう。 (一歩、足を踏み出すと空中に見えない足場があるように飛び跳ねる。跳躍の最中に振り向けば、招くように腕を伸ばして。――女優は屈託なく笑った)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2020年1月10日
ククッ、まったく忙しいったありゃしねぇな。観客の期待に応えるのも楽じゃあない。(裏腹にとても愉快そうに、身体を撫でていく風を感じる。空に足を付けて空中散歩なんて、中々夢のある話だ。エアウォーカーの演出なんて見た日には観客も沸き立つに違いない)
名女優がアンコールに応えてくれるなんて、まったく幸運な観客だぜ。
(伸ばされた腕に応えるように、星空の如く夜景に身を投じた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2020年1月10日
────開演だ。
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ユア・アラマート 2020年1月14日
(広い夜空の下で、再演のベルを聞いたものはきっといなかっただろう。なにせ、演者も裏方も遥か空の上で。笑って、嗤って、錆臭い風を切って翔けているのだから)(けれど、それでいい)(罵声も命乞いもうめき声も、知らぬまま生きている人たちにそれは必要ない)(『舞台』はそれが必要な者の所でだけで十分だ)(――都会の夜空。星と言うには儚い輝きが、ふたつ)
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ユア・アラマート 2020年1月14日
【――本日はご来場、誠にありがとうございました】
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