公園、揺れるブランコ
遙々・ハルカ 2019年8月8日
夜間
住宅街の真ん中、小さな児童公園
茹だるような熱帯夜、ここだけはひんやりと少し涼しい
ぬるく薄い水の中を泳ぐような夜に
ただきいきいと、ブランコを漕ぐ音がする
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・先着一名
・誰でもどうぞ
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遙々・ハルカ 2019年8月12日
やっぱり。(へらへらと、白い貌で笑っている)……お、そこ聞いちゃう? 勇気あんね、それか心霊みてェ~なの好きなタイプ? 今ね、オレの目の前で女の子がブランコ漕いでるとこよ。(痩せた人差し指が揺れるブランコを示した。幼い子どもが自分でブランコを漕いだら、確かにこのくらいにしかならないかも知れない揺れを)多分就学前くらいかなァ。
浮舟・航 2019年8月12日
いいえ。僕は解らないことは解りたい、知らないことは知りたい ……出来る範囲で。それだけです。心霊系は、……あんまり得意じゃないかな。(空気は相変わらずひんやりとしていて、首筋から背筋へとゆっくりと通り抜けてゆく) (ブランコも相変わらず揺れている。風が動かしているものでもないのだろう。 もう一方のブランコは停止したままだ) ……本気で見えてるって言うんですか。
遙々・ハルカ 2019年8月13日
ほーん? いいね~、オレも好奇心は旺盛つーか何でもかんでも知りたくなっちゃう派だわ。気ィ合うかもね。(オレは心霊大好きなんだけど、と付け加えへらへらとした笑みを深めた。地面から浮かせたままの両足を揺らしてバランスを取り)ねェ、キミ幾つ?(中途半端な姿勢で、けれど声は明確にブランコの方へ向いていた。揺れていたブランコはきいと音を響かせ、少し止まる)――五歳だってさ。やっぱ就学前だ。
遙々・ハルカ 2019年8月13日
……見えない? ボブヘアで、花柄シャツの女の子。
浮舟・航 2019年8月14日
合うかなあ。(揺れる脚を見ている) 歳?僕は、(答えかけて、止まった。彼は自分に話しかけているのではないと気づき) …………そうでしたか。(揺れていても止まっていても、ブランコは空のままだ) ええ、見えてないです。残念ながら。 あの、一応お伺いしたいんですけど。何か薬を服用していらっしゃる?(オブラートで雑に包んだ)
遙々・ハルカ 2019年8月14日
……。ふ。アッハハ、いや、いやいやァ。――ああ、この……アー、この人にはキミが見えてないって。や、そんなこともあるよ。あるある。(一度言葉が途切れたときには彼――或いは彼女――を見た。詰まり性別の判断が付きかねた。言葉の先はブランコだ。今や僅か揺れるばかりの)いや~……、ま、残念なんだけどさァ。(言いながら振り返り視線を戻す。へらついた口元)ああいうのって単純に脳味噌に悪影響だから。オレは使わねェ~かなァ~……よっ。(立ち上がった。器用に。囲いの棒の上)どう? あと何だと思う? 幻覚の原因?
浮舟・航 2019年8月14日
(見上げ)単純に、違法でもありますね。服用してるって言われたらどうしようかなとおもってました。(首をやや傾げた) ……あとは、君は実はすごく疲れているとか。でも、そんなことなさそうですね。君はあんまり疲れるような生き方はしなさそうに見えますから。(ギリギリ失礼な物言いだった) いつも見えてるんですか? 霊的なモノ。
遙々・ハルカ 2019年8月17日
ツーホーしちゃう?(首を傾ぎ、暫く数度、バランスを取るように左右へ身体を傾けていた。ややあってすっかり囲いの上に立ち)お、クスリとか使いそーなヤバそーな人かなって思ってる割に攻めてくるね~。まァ実際オレは要領イイ方かな~って思ってっし、そーいう印象と評価だって受け取っとくわ。キミはあんまし要領イイ方じゃなさそう。(立ったまま、両手をポケットへと突っ込んで)視えてるよ。どこにでもいるし朝昼夜関係なくうろついてる奴らのコト。
浮舟・航 2019年8月17日
さあ、どうでしょうね。あんまり大事になってもめんどうだし……。(すっかり見上げている)僕の迷惑にならないなら放っておくとおもいます。 僕は要領イイですよ。好きなことして、好きなように生きてますもん。まあ、「そーいう印象と評価」なんですね。(君が立っているところからすこし空けた、囲いに腰かけようとして)(その前に) ……ここには誰かいますか?(囲いの上の空虚を指さした)
遙々・ハルカ 2019年8月18日
いーや、誰もいないよ。今この辺にいるのは、オレの後ろでブランコに座ったまんまのお嬢ちゃんだけ。(それからまるきり地面に立っている時のように、腰を下ろしてしゃがむ。自分の家のように「どーぞ」と顎で囲いを示して)そ~だなァ……キミは一見割と真面目そーに見えた。でもよく考えてみりゃこの時間に外をうろついていて、オレの会話の切り口で真っ当に会話をして、そんでもって当人はそう言っている。ってェ~ことは……、ま、第一印象よか真面目じゃァねーな。要領はまだ保留。(双眸を細めて笑い掛ける)もっちょい話してみねーと。
浮舟・航 2019年8月19日
(間を借りるかのように、軽うく会釈して囲いに腰を掛けた)やだな、僕は真面目ですよ。夜に出歩くのが好きなだけで。今は夏休みだけど、学校だってちゃんと行ってますし。(ちらと君を見た。笑い返すわけでもなく) 君、学校行ってます?大体おなじくらいの歳に見えますけど……。
遙々・ハルカ 2019年8月20日
アッハ、そんならオレも真面目な高校生~だわ。ま、実際に真面目な高校生だけど?(しゃがみ込んだまま両手を顎辺りの高さで組むなどする。隣の顔を覗き込む――というには少しばかり浅い姿勢)夜の散歩は好きだし高校通ってっしついでにコンビニでバイトまでしてンだからスゲ~真面目でしょ。大体同じよ。……でさァ。(じろじろと眺める。不躾な視線)キミ、男? 女? あと歳幾つ? オレは十七。
浮舟・航 2019年8月20日
そうでしたか。真面目……(軽薄そうな笑みが見えた気がする)(視線から逃れるように目をそらして) ……よく「どっち」か分からないと言われますけど女。 歳は十五。今年で十六になります。(まなざしはシーソーがある辺りを眺めたまま)
遙々・ハルカ 2019年8月21日
そ~だよ今年受験生だし。(面倒くせェよなあとは呟いた。また背後からキイと軋む音が聞こえる)……ほーん、じゃあ二つ下だ。一年なんか今思えば殆ど中学生みてーなもんなんだよなァ。顔つきがさ。わかる? いや、自分がその歳なんだからわかんねェ~か?(無造作に片腕を伸ばし)ねえ、頭触ってイイ? でこか後頭部かどっちかがいーんだけど。両方でもいーんだけど。
浮舟・航 2019年8月21日
ああ、受験。たいへんですね。受験生は夏が大事と聞きますよ。……まあ、半年くらい前まで中学生でしたしね。半年程度で、ひとってそんなに変わるものでは、(横目にこちらへ伸びる腕を見た)(そっと制止するように、その手首を掴み) ――頭触る理由教えてくれたら、考えます。
遙々・ハルカ 2019年8月24日
夏期講習てヤツとかでしょ。いやァ、オレはそーいうの行ける金が無ェ~からさ、自宅よ自宅。自主勉強。(掴まれた手首。の先でひらひらさせる指)や、まァ~まだ中学生みてーな頭蓋骨してっかもしんねェ~けどさ。違うんだよね、男女で。かたちが。折角だから確かめさせてもらおーと思って。……手じゃ実はよくわっかんね~んだよな。(ぐるり、と彼女――らしいと本人が言った――の手を柔く握るように、手首を返す)
浮舟・航 2019年8月24日
はあ……(ひとは見かけによらないというが、本当に真面目に勉強しているタイプなんだろうか) 頭蓋骨を?(掴み、掴まれた腕を、君の腕と一緒に下ろして)……まあ、触りやすい頭かもしれませんが……。(すこし悩み) じゃあまあ、5秒だけですよ。(掴んでいた手を離した)
遙々・ハルカ 2019年8月25日
アハ。そーね、まーるくて。(触りやすい頭。その顔――と言うよりは頭蓋骨に視線を移す。手を解放されれば再度ひらつかせ)五秒? 短くてウケる~、そんじゃァ仕方ねェ~な。両手でやるわ。(片手だけで触ると言った記憶はない。特に嘘ではないし許可も出ているので、遠慮なく両の手を伸ばした。額から眉間の辺りと後頭部――と呼ぶには些か下の方へ。正確には、眉弓と外後頭隆起を確認するのだ)
浮舟・航 2019年8月26日
えっ両……(と、口に出たときにはもう触られていたのだった)(俯いたまま硬直) …………君、ひとの頭を触るのが趣味なんですか?
遙々・ハルカ 2019年8月27日
(前髪を退けるように眉間周りを撫で、痩せた指が後ろ髪の合間から骨のラインを辿る。タイマーがあるわけではないが、本当に五秒程度でそれを済ませる程度には手際は良かった)言ったじゃ~ん、頭蓋骨の形に男女差が出んだよ。不思議なことに。……確かにキミは女の骨。(両脚を下ろし、彼女と同様の腰掛ける姿勢になりながら)ま~骨とか触らしてもらうのは好き。
浮舟・航 2019年8月27日
(多少乱れた前髪を整えながら、自分も眉間周りを触ってみる)(…よくわからない) 触ってわかる程度に、他人の骨に触ってきてるんですね。僕には違いとかよくわかりませんけど……。(指で髪を梳くついで、後頭部も触る。勿論わからない) 男女でどう違うんですか?
遙々・ハルカ 2019年8月30日
クラスメイトとじゃれたりしない? ……そーいうタイプじゃないかもな。(言ってから、少し身を引くように彼女を見て笑った。少し首を傾ぐようにすると概ね視線の高さを合わせることが出来る)まァ~……簡単に言うと、男の方が出っ張ってるかなァ。顎んトコの、エラってあるでしょ。アレとかもそーじゃん。勿論個人差はあっけど。皮と肉を削いでも骨格だけで男女も人種も年齢も判るってのは楽しーよね。
浮舟・航 2019年9月1日
しませんよ、お察しの通り。(視線が合う)(が、また逸らした。次は地面に転がる石を見ている) へえ、そういう特徴が出るんですか。(耳の下から顎の先へ、指で輪郭をなぞってみる)知らなかったです。 ……なんというか、生き物の特徴として知る分には楽しいかもしれませんね。皮と肉を削いだ骨なんて、絶対に見たくないし。(一瞬想像しそうになったが、無理やりにやめた)
遙々・ハルカ 2019年9月6日
(返事の代わりに笑った。やっぱり。と言いたげな笑い方)お、いいね、素直な感想で。面白ェ~よ、骨格。まァ肉の付き方とかもオレは好きなんだけどさ。この世に山ほどあんのに、一個一個全部違うから飽きないっつーか。(両手を柵の上、体重を掛けて両足を浮かせた。ぷらぷらと爪先を揺らし)……幽霊とかオカルト苦手っつったっけ、ハハ。それかグロ系も苦手? ホラー映画全般見れねータイプ?
浮舟・航 2019年9月8日
骨格だとか、肉付きだとか。興味あるのは人間だけですか?世の中、いろんな生き物がいるじゃないですか。犬とか猫とか、魚とか……。(肉の付き方。少年は自分の手首を見た)(凹凸がくっきりとしていて、薄くて細い。また肉付きが悪くなった気がする) ……そうですね、苦手です。グロ系はもっとダメかな。痛いのも、痛そうに見えるのも苦手で。
遙々・ハルカ 2019年9月13日
犬とか猫とか魚とかも嫌いじゃあない。(そりゃね、と言う風に肩を竦める仕草)でもやっぱ、言語も通じて自分と似た形してるもんの方が良くない? 他人を知ることで己も知る、みてェ~なさァ? 似てる分理解も捗る、みてェ~な。(柵は少し低い。無理に浮かせた足裏が地面に付くたび、ざりざりと砂の音がしていた)うはは、オレもね~、自分が痛ェのは嫌だわ。人間て、自分の安全を確かめられるのは好きらしーけど。でもキミはその痛みを想像しちゃうタイプなワケね。学校のさァ、職業診断みて~ので想像力あるって言われるタイプ?
浮舟・航 2019年9月14日
僕は他人にさほど興味がないので……(少年はいつだって伏し目がちだ) 言語も通じなくて、形すら違うものの方が僕は好きだな。気楽で。(声のトーンは変わることもなく、淡々と話すだけ) そうですね。そういう診断だと大体職人・アーティストタイプって出ますね。天職なのかも。 (ス、と息を吸って)(吐いた)……想像しようと思って、想像してるんじゃないんですけどね。他人の傷を見ると、自分も同じ箇所が痛むような気がしてくる。そういう人種みたいですね。
遙々・ハルカ 2019年9月22日
(暗い公園。少年は微笑んだ。ような気がする)社会性が乏しい~。まーね、犬猫魚は、あっためた弁当にちょっと箸とかフォーク付け忘れても怒鳴ったりしねェし? 餌やんのが遅いと文句言うらしーけど。(にゃあにゃあ言うらしいよ、と笑う声。ブランコの鎖の擦れる音がしなくなった)診断なんか信憑性疑っちゃうけどさァ、想像力、共感力、感受性が高い。って~ヤツ? エ~、うわ、めっちゃ生きづらそー。実際どう?
浮舟・航 2019年9月28日
人の性質なんて、生まれもったものから変わることなんてよっぽど無いんでしょうね。コンビニで本当に怒鳴る人っているんだ……。(君の方をチラと見て)(怒鳴られなさそうな見た目なのに……) そう。そういう性質みたいです。生きづら…… どうかなあ。他人にあんまり興味ないので、共感するタイミングもそう多くはないんですが。 君はどういう結果が出るんですか?職業診断。
遙々・ハルカ 2019年10月11日
三つ子の魂百までってヤツ? お、いるよォ、いるいる。コンビニ店員に説教したがるクソ客もいる。(ワッハッハと笑う声は乾いている。夜気に反して)共感性の持ち腐れじゃん。まー、共感性の使い道もよくわかんね~けど。自分が不自由感じてないならいーんじゃないのォ。オレはね~、ア~……。(少しばかり思い出すように宙を見た。ちょっとばかり首を傾いで)いつも気分で答えてるから毎回違うの出るわ。この間は~IT関係? とか出たかな。ああいうの真面目に答えんの面倒くない?
浮舟・航 2019年10月15日
大変ですね、コンビニ店員さんも。(よく笑うひとだ) まあ、そうですね……持ち腐れてるのかもしれません。でもいちいち共感してたら身が持たないから。(君の首をかしげる様を眺め) はあ、気まぐれなんですね。めんどくさいのも分かりますけど。ああいうのをやったところで、きちっと当てはまるひと、そう居ないでしょうし。(と、言ったところで自分はそれなりに当てはまってることに気づいた)(すこし恥ずかしい)
遙々・ハルカ 2020年5月22日
この世の中ってヘンな奴が結構~いっからね。女の子だともっとナメられそーだからコンビニバイトはやめといた方がイイよ。(キミ書店とか向いてそー、と勝手なことを言う。本当だか判らないようなことを)ほォん。成る程ね、確かに要領悪くはねェ~のかもな。……、ちょっと抜けてっけど。(彼女の顔を見ながら、恐らく同じことに気付いた。こちらはにっこりする。とても)アハ。ま~ある程度は当て嵌まるよーに出来てるもんよ。占いと一緒で。
浮舟・航 2020年5月22日
バイトする予定もないですし、多分一生やらないです。(たいへんにっこりとした表情が気になったけれど、深入りはやめておいた)(その方が自分に良い気がしたのだ) ああ、占いも似たようなものですよね。女の子はそういうの好きみたいですけれど。
遙々・ハルカ 2020年5月25日
エッ、金か仕事があるってこと? は~スゴ~、羨まし~。(あるトコにはあんだなァ、と言いながら視線を移した。滑り台を眺める)手相とかね~、統計学と自分の経験値と相手の受け答えの複合だっけか。並べっとやるコト多いな……そーいう言い方するってことは興味無い系? 自分を見つめ直すにはイイらしーよ。(学校で出されるものもどうせその辺りが目当てなのだろうと嘯くように)
浮舟・航 2020年5月28日
え、ウーン……(そういうわけなんだが)そういうわけじゃないんですけど、あんまり体も丈夫じゃないので。バイトとかちょっと。ええ。(目を伏せた) へえ、ああいうのも何かしらに基づいてるモノなんですね……。あんまり、興味ないです。結果が良くとも悪くとも、結局なるようにしかならないじゃないですか。 好きですか?占い。
遙々・ハルカ 2020年6月2日
痩せてるからじゃねェ?(自分のことは完全に棚の上に放り上げた物言いである)女の子って痩せたがるけど痩せてっと大変でしょ。ま~キミは別に痩せたくて痩せてるワケでもなさそーだけど。(ダイエットという意味合いでは。滑り台の方から彼女の方へと、視線を戻す。先ほど触れた手指)そら何らかの『やり方』がなきゃあんなどこにでもポコポコと占い師いねェ~でしょ~……ア~? 学問? みてーな観点からは割と好きかなァ。つっても天気予報と一緒よ、一緒。
浮舟・航 2020年6月3日
食事、苦手なんです。仕方ないことなんですよ、これは……。(咳ばらいをひとつ) まあ、たしかにそうですね。それこそ興味があるなら仕事にすればいいじゃないですか。占い師。 コンビニバイトよりかはいいかもしれませんよ。(ブランコの囲いから腰を上げる。遠くの空はぼんやりと明るくなっていた)
遙々・ハルカ 2020年6月8日
ア~、まァ~理由は違ってっかもだけどわかるにはわかる~。(食事ね~、と雑な首肯を数度した。――朝になってしまう。ああ、と東の空を見)ワハハ、今から占い師すんのバカじゃね? ま、オレもっとしたいコトってのがあっからさァ。どーせ大学行ったらバイト行く時間なくなるかもだし? 遊びにはいいけどってヤツだわ。(同じように腰を浮かせ)帰る? あの子も帰らせないとなァ。
浮舟・航 2020年6月11日
そうでしたか。(視線は空から、なにものも見えないブランコへ)僕は帰ります。――その子は、どこへ帰るんですか。
遙々・ハルカ 2020年6月15日
――朝んなっちゃうよ。(それは彼女に掛けた声ではないと、きっと容易にわかるだろう。柔らかで理性的な、小さな子どもをあやすときに似た声音)そりゃ~、家かな。(彼女の問いへはこれだ、)子どもなんだからさァ、家に帰んなきゃね。お母さんも心配してるよ。(ね。と言った先はやはり“姿ある”彼女の方向とは少し違っているが)キミも心配されてたりしねェ~の?
浮舟・航 2020年6月20日
……ちゃんと帰る場所があるんですね。なら、よかった。(何も見えないけれど)(すべてのものに、帰る場所があってほしいと思うから) 僕ですか?別に……離れて暮らしているから、たまに手紙を書けばそれで充分です。
遙々・ハルカ 2020年6月22日
ワハハ。親切じゃん。(笑い、手招きの仕草。薄らと昇り始めている日に背を向ける姿勢で)イマドキ手紙かァ~、いいね、なんつーの、ロマンなんじゃん? 紙なら残しやすいしさァ。(面倒臭いけどと余計なものを付け加えながら、靴裏で砂を噛む音。ブランコの、ひいては公園の外へと足を向けかけて)あ。キミ、名前とか聞いたら教えてくれる方?
浮舟・航 2020年6月24日
僕はメールの方が好きなんですけれどね。手紙がいいっていうから、合わせてます。(すこし考えて)(別に名前くらいならいいかと思えた) 浮舟です。うきふね、わたる。 君の名前は?
遙々・ハルカ 2020年6月29日
ちゃんと合わせてんのエライじゃ~ん。まァ字とかも見たいんじゃんね。(アレ体調出ねェ? などと言いながら、告げられた名前を一度繰り返す。うきふね、わたる)オレはねェ~、遙々ハルカ。覚えやすくてイイでしょ。浮舟くんて呼ばれるのと航ちゃんて呼ばれるのとどっちがイイ?(ゆるく歩むとざりざり音が増す。公園の砂利は、いつでも転ぶと痛そうだ)
浮舟・航 2020年6月30日
そんなもんですかねえ。あと機械にも弱そうなので、それで手紙の方がいいんでしょうね……。(砂利を踏んで、出口へと歩いてゆく) はるばる、……覚えやすいですね。(本名なんだろうか、聞き返しはしなかったけれど)……浮舟くんでお願いします。ちゃん付けは慣れません。
遙々・ハルカ 2020年7月7日
はーん。イマドキ機械に弱いて苦労しそ~。(気の毒そうな口ぶりだが、誰を気の毒がっているのかは定かでない。名について「でしょ~」と言いながら、出入り口に設置されている低い防護柵を跨いだ)浮舟くんねオッケ~。まァ確かに「ちゃん」て呼ばれ慣れてそーな感じはしねェ~わ……帰り道どっち?(公園の正面には、築三十年ほどのアパートが建っている。左右に伸びた道。少年は陰の伸びた方を示して)オレこっち。
浮舟・航 2020年7月9日
はい、それでお願いします。……僕はこっちです。(君と反対側の、明るい方だ) さようなら、遥々さん。またいつか。
遙々・ハルカ 2020年7月10日
(――またいつか)バイバイ、浮舟くん。(少年はやはり笑った。アパートの階段を上っていく小さな足音が聞こえる。それが気の所為であるかのように、欠伸しながら方向転換、帰路へ着く。陰の中へ。朝日から逃れるように)
遙々・ハルカ 2020年7月10日
(このアパートでは半年前、些細な粗相をしたからとベランダに締め出された小さな子どもが、亡くなったそうだ)