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⭐️アヤネの設定資料その5 「あの事故」

アヤネ・ラグランジェ 2019年6月11日


ここからの内容はアヤネの口から語られることのない事実です。
依頼内で公開された内容として記載します。

「軋むこころと瑠璃唐草の想い(作者 篁みゆ)」
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=8103
より抜粋



地下に存在する研究施設に響くのは、けたたましい警戒音。赤い光が明滅しているのは、アラートライトのせいだろう。
『早く逃げろ!』
『応援を呼べ!』
『対処できるのは――あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
 それは人為的ミスだった。UDCの研究を行うこの施設で凍結されていたUDCが、暴走し、研究所内を汚染してゆく。
 近くにいた研究員たちが真っ先に精神を汚染され、発狂した研究員が仲間の研究員たちを躊躇いもせずに殺害していく光景は、まさに地獄絵図。
 明滅する赤い光に混ざり、UDCの真っ赤な鉤爪が人間を刻んでいく。楽しいからでも憎いからでもなく、ただそれは『やるべき作業』をこなしてるだけのよう。
 そしてセラミックタイルの床に次々と伏してゆくのは、研究員だけではない。UDCエージェントたちも、だ。徐々にエージェントたちの割合が増えていくのは研究員の数が減った分、多く見えているだけではない。救出に向かったはずのエージェントたちが次々と倒されるほど、赤い鉤爪のUDCが強いのだ。
「――、――!」
 ひとりの男性エージェントが呼んだ名は、アヤネもよく知るもの。アヤネの父であるその男性が駆け寄った先、血の海に横たわる女性はすでに――冷たい。
 視界の端がじりじりと黒に塗りつぶされ始め、徐々にその速度を増していく。
 それは絶望の渦。
 すべてがその黒に飲み込まれ、消えた。




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