涙雨、流れて
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
──ぼくの、うまれたところに。おとずれる。
きみと、いっしょに。
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三崎・瑠花 2024年2月22日
（大丈夫だよ、とあわてて手をふって）
ウルルもそんなに久しぶりだったんだ……？
姉さんたちはここには、住んでないの？
（きょろきょろ、くんくん、ついていって）
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
…………だって。
（ぱぱだって。あれがぱぱです。）
（ほわほわしたままるかにむかって言う。）
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三崎・瑠花 2024年2月22日
ぱぱ！？！？
（背筋も尻尾もピンとした）
(無効票)
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《正確に言エばそノ子の姉妹を含めタフラスコチャイルドシリーずの製造者──の、思考を再現した代理AIだネ。本物ノ私は彼女ガ産まれル前に死んデるので。》
（ざざ、と走るノイズが混ざる音声は、それでもどこか人間味がある。）
《末娘……一番最後ニ製造さレたその子トハ顔合わセも出来ずしまいダッタ。姉達ハ兎も角、君モ私ニハあまり思い入れがナイダロ？》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《パパ悲シイ😭》
（機械音声、ちょっと悲しげな声を出す。）
《……まァ、そンな訳であまり硬クなる必要ハナイヨ。》
《……ともアレ、オカエリナサイ、ウルル。君ノ為ダケに、今私ハココにイル。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《君ノ姉妹モ、シリアル3ノクリスティーナヲ最後ニ、全員寿命ヲ全うシタ。》
《ココノラボラトリから排出さレタ個体ハ、君ガ最後ダ。悲しムべき事ニ。》
《……一番不安定な君ガ残っタノハ意外ナようで、コウナルかもトモおもってたヨ。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（つらつらと、或いは初耳であろう言葉の羅列を綴りながら、機械音声が続ける。）
《──時間ガ惜シイね。君タチはココに来た理由ガある筈ダ。可能な範囲デ対応しヨウ。》
(無効票)
三崎・瑠花 2024年2月22日
（ぽかん、と聞いていた……正直、あまり頭には入ってきていない）
三崎・瑠花 2024年2月22日
あ、……ハイッ。
（こくこく頷いて）
じゃあ、早速……
三崎・瑠花 2024年2月22日
（そろり、と一歩前に）
は……はじめまして。
オレ、三崎瑠花っていいます……その。
（声のする方に右手を差し出──慌てて、服でごしごし拭いて、改めて差し出す）
娘さんと、お付き合いさせて頂いて……ます。
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ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（……きみのことばに、あわせるように。コク、という頷き。）
…………ぼくの、だいじな、ひと。 ……です。
……あの。
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（……さら、と隠れてた目を晒す。）
……がんたい。こわれちゃって。
あと、るかといっしょに、暮らしたいけど。……むずかしくて。
こまってて。
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《なルほど。理解しタ。はじめマシテMr.ルカ。本人デなくて恐縮ダけど、その子の親代わりトシテ挨拶サセテ貰ウ。》
《アリガトウ。ウルルを大事ニシテクレテ。そシテ、スマナイ。》
《君ニハキッとドウアレ血を流スに等シイ決断ヲ強いルことになる》
《結論カラ言オウ》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《私ノちからデハ、ウルルをどウする事もデキない。》
《試作型フラスコチャイルド、シリアル21、個体名ウルル。当ラボの最終製造個体。実験体コード「セイレーン」。此処の外世界カラドリフトしてきた生命体の亡骸カラ、遺伝子情報ヲ抽出し製造した個体。》
《特徴ハ他の姉妹個体と比べるべくもナイ水流体操作能力。及び自己操作シタ水流体フィードバックにヨル自己回復機能。ソレニヨル当ラボ発ノ製造個体、オヨビストームブリンガートシテは異常トいえる生存能力と寿命。》
《代償に出力ノ不安定サと、幾分知能発達の遅レが見られタが。問題ない範囲ト思われタ。》
《出力の不安定サは制御装置ノ眼帯デ抑エ込めてタ筈ダガ……》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《君ハ、何ラカの無理ヲシタネ？》
《長時間、君ノ体ガ耐え得ない環境下デノ活動トカ。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《ウルル。》
《コレは全く、私の不手際ト技術的限界デ謝る他ナイのだが》
《当ラボラトリ製造個体の平均寿命ハ『17歳』》
《君以外デ最モ長生きシタクリスティーナモ19歳でナクナッタ。》
《本来ストームブリンガーデアル君ハ、ソレヨリ早ク亡くなル可能性トテあったロウ。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《ソレガ今も生きていらレタのは、制御装置の眼帯ト君ノ『雨』が上手く作動してイタからダロウ》
《ソノ制御装置が破損シタ今、……そして、申し訳ナイ事ニ、その代替機装置もナイ今。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《そのままデ、君ガ彼と暮らして身体に無茶をかけ続けれバ》
《待つのハ、死だロウ。》
(無効票)
三崎・瑠花 2024年2月22日
（ぱたり、ぱたり、と、尻尾が振れる。機嫌が良いときとは、違う調子で。）
三崎・瑠花 2024年2月22日
……オレは……あなたを、ウルルの父親だと思って、話す……します。
（そう、前置いて）
……まず……その、制御装置、ってやつは……つくれないんですか。
(無効票)
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《限りナク、難シイと応えヨウ。》
《或いハ──》
（少しの、間）
《敢えて、コウ言おう。『間に合わナイ』と。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《製造設計図はある。データとしてモ渡せる。》
《が、製造に用いる素材の特殊性、加工手段ナドを混ミでかなりの時間ヲ要すル。そしてソノ時間ヲ掛けテいては》
《ウルルノ命が持たなイ可能性が高イ。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《──心苦しイが。》
《そシテ大変恐縮だガ》
《私が私の知能を使い提案デキルのは、三つ。》
《──────ドレも苦痛を伴ウ決断ヲ要すルだろウが、》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
《ひとツ。別々のトコロで暮らしなサイ。環境的な負荷ガなけレバ、君タチ双方にかかル命ヘノ負荷ハ軽減でキる。制御装置ノナイ今、ウルルの寿命ガどれ程アルカハ換算ガムヅカシイトコロだが……》
《……フタつ。死ト短命ヲ覚悟の上デ、二人添い遂げルか。コレも幸福ダケではナイ、苦しみモ伴ウモノとナルカモシレナイ。覚悟ハしてホシイ。》
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（──機械音声の筈なのに。重々しく、澱むような話が、続く。）
《────。……三つ目ハ
…………》
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三崎・瑠花 2024年2月22日
（暗がりの中を、じぃ、と。見つめながら）
（尾をゆらし、ゆらし、聞いていたけれど）
（……その声を聞くと、尾が垂れた。）
三崎・瑠花 2024年2月22日
……あなたが、言いづらいようなことなのか？
(。)
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（機械音声でも、きみのこえでもない。押し黙って、話を聞いていた、ぼくのこえだ。）
もういい。
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（或いは、くるしくとも、みじかくとも、きみと添い遂げる道もあるのかもしれない。）
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
……どっちも、えらびたくない。
どれもえらびたくなんて、ないの。
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（──それ以上に。きみと離れ離れになるのも。もう嫌だ。）
（きみと添い遂げたい。苦しみなく、なるべく永く、しあわせに。）
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（──そんな選択肢が、いまここに、ないのなら。）
──…………──。
（つぅ、と涙が伝い。）
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（その涙に。）
（──ぼくの、流す「水」に。）
（ありったけの、願いを、籠める。）
ウルル・レイニーデイズ 2024年2月22日
（水よ。生命の神秘よ。産まれてからこれまで、ぼくを守ってきたものよ。）
（ぼくを支えてきた、命の源よ。）
（どうか。……そして、）
るか。
ごめんね。
