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不可幸力

黒江・イサカ 2022年6月2日


純喫茶≪トランペッター≫跡地

柱を残し見事に吹き飛んだビルの1階に、トランぺッターはあったのだ。



→ どうぞ、誰でも
→ 2人まで




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黒江・イサカ 2022年6月2日
あーあ、こりゃ凄いな。よく倒れなかったね、ビル。
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黒江・イサカ 2022年6月2日
(正面に見える壁はギリギリ残っている部分もあったものの、入ってみて見える奥側はすっかり取っ払われていた)(まるで、大きな生き物でも飛び出していったかのよう)(残骸と、燃え滓と、それから張り巡らされた規制線をちょいちょいと乗り越えながら男はいた)
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黒江・イサカ 2022年6月2日
こんなんなるの、随分久しぶりだね。ちょっと前は爆発騒ぎなんてまあまあ聞いてたけど、いや気の毒だな。死傷者ゼロだって?胡散臭いなあ。(見張っていたお巡りさんには自己紹介と少々のお金を握らせて休憩に入ってもらった)(事件が起こって数日経ってのことだったし、まあこんなものだろう)
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黒江・イサカ 2022年6月2日
(金属片を拾う)誰だろうねえ、
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黒江・イサカ 2022年6月7日
ま、こればっかりは僕もわかんないな。詳しくないし、爆弾なんて。おっかないね。どうしよ、天原ビルヂングの下に仕掛けられたら。
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黒江・イサカ 2022年6月7日
……課長がいたんじゃねえかって話なんだよな。でも誰も死んでないらしいし。知ってる?課長。爆弾よりおっかないよ。趣味は流行る前からDIY。僕もいっかい家具にされかけたことある。もう絶対逢いたくないね。
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黒江・イサカ 2022年6月7日
つっても、顔知ってるの…わかってるのか。わかってるの、僕ぐらいなんだろうなあ。事務所に運ばれてきた人間を家具にするだけだから、一緒に働いてるひとも…知ってんのかね。普段は普通に事務仕事してるらしいし…… だから“課長”なの。ほんとに課長かどうかも知らないけど。家庭もおありらしい。見た目も普通のひとだよ。 …マ、つまり死んだところで誰にもわからないだろうな。いまの課長が僕の知ってる課長かも、結局見てないからわからないし。とは言えわざわざ爆殺されるのも違和感だけどね。
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黒江・イサカ 2022年6月7日
(外はいつのまにか雨が降り始めていたようだった)(とは云え、互いに気付いていなかったわけでは恐らくない)(気持ちよさそうに通り抜けてく風は温度を下げていたし、ネオンのけばけばしい色彩は弾ける雫に混じって夜を眩く濡らしている)(じっとりとした空気が、途端にこの場の焦げ臭さを異常として浮き立たせていた)(夜、屋外みたいな屋内、深く帽子を被る男みたいに)(影が濃くなる)
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黒江・イサカ 2022年6月7日
純喫茶の純って、なんだろうね。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
……しかし、どういう風の吹き回しだい?どうせ何かしらから“見た”し、“見れた”だろう。自分の目で直接、しかも僕連れてなんて大珍しいじゃないか。こんな時間だけどね、仏野さんと歩くと目立つからヤなんだよ。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
君が何かしたの。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
―――…。そう。いやべつに、信じるよ。信じるつうか、どっちでもいいし。さっきも言ったろ?大珍しいなってだけさ。好きにすればいいよ。仏野さんだって、やりたいことがあるんでしょう。そうすればいい。……ああでも、たまにはこうして顔見せびらかして欲しいよね。最近、あのビル僕のもんだって思ってるやついるんだよ。嫌だよ僕、土地狙いでヘンな喧嘩売られるの。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
そんなこと言ったってさあ、見た目は完全に仏野さんの方が強そうなんだから仕方ないじゃない。金髪マッチョと僕だったらそりゃ僕の方が弱そうだよ。ウケるな。もう少し前なら、少なくともちょっと悪いことしてるようなひとたちならわざわざ僕のことつついてきたりしなかったのにね。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
―――――…。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
やだ、ちょっと大人になった気分になっちゃった。そうだよねえ。僕だってこの街に来てしばらく経つし、また新しくこの街に来るひとだってそりゃいるよ。面白いねえ、人生って。うふ。街自体、あちこちまた変わってるんだよ。ちょっと案内してあげる、穴場。帰り道。
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黒江・イサカ 2022年6月18日
ねえ、此処は次何が出来るんだろうね。
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