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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月15日


カリカリと、ペン先が紙をこする音が響く。
切りの良い所まで書いて、一旦万年筆を置く。

耳を澄ますと、ワゴンを押す音。
香りを確かめると、茶葉に焼き菓子、そして、姉の存在。

少年はテーブルの上を片付ける。
本に栞を挟んで畳み、脇に積み上げる。
認めていた羊皮紙たちはまとめて書箱に入れて蓋を閉める。

音が扉の前まで来て止まる。

コンコン

「はーい。」

とてとてと扉を開けると、そこには笑顔の姉が立っていた。


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ニーナ・アーベントロート(f03448)と




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ニーナ・アーベントロート 2022年5月15日
あ、ロラン、勉強中にごめんね。
息抜きにと思って、紅茶淹れたんだけど……一緒にどう? 貰い物のお菓子もあるし、良かったら。
(姉が持ってきたワゴンの上には、ポットとふたりぶんのティーカップ、それからクッキーにフィナンシェ等の焼き菓子。君が頷いたなら、善は急げとばかりに準備を始めるだろう)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月15日
あ、おねえちゃん。
ううん、ちょうど、休憩しようって思ってた所なの。

わー、ありがと。
喉が渇いてた所なの。
入って入って?
狭いから、気を付けてね?

(くんくんと匂いを嗅いでから嬉しそうに笑み、尻尾をゆらゆらさせながら扉を大きく開けて入りやすくする。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年5月15日
それならよかったぁ。勉強も大事だけど、たまにはひと息入れなきゃね。

(ぶつけたり溢したりしないように、ゆっくりお茶とお菓子を運ぶ。嬉しそうにゆらゆら動く尻尾が可愛くて、ほんの少し笑みが零れた)

(てきぱきとお茶の準備。カップに熱い紅茶を注げば、フルーティな香りが部屋にふんわりと満ちる)
ロラン、紅茶にミルクかお砂糖入れる?
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月15日
んー、えと、お砂糖をちょっと、お願いしてもいい?

(ランチマット敷いて食器類の準備を手伝いつつ、返事をする。
 そこでふと気が付いた事を聞いてみる。)

そう言えば、じぃやとマリアはどうしたの?
(普通なら、しれっと現れて準備を終わらせてしまう出来過ぎな従者二人が顔を出さない事に首を傾げる。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年5月15日
うん、おっけー。(自分のお茶はそのまま、弟のぶんには角砂糖の小さな容器をつけて。「はい」ときみに手渡した)

ああ、二人には途中まで手伝って貰ったんだけど…部屋にはあたしが持っていきたいってお願いしたんだ。ロランが根詰めすぎてないかなって。(きみが頑張りすぎないよう、気負わず声をかけるなら自分が適任かな、なんて思ったから…というのは言葉にせず)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月15日
ありがと。
(容器を受け取ると席に付き、湯気を上げるカップに角砂糖を2個、ちゃぷんと入れてまぜまぜ。)

あ、うん、そっか。
えへへ、なんだか、うれしいの。
(実を言うと音と匂いで姉が一人で来ようとしてくれてたのは気が付いていたけど、言葉にしてもらうとどうしてもうれしくて。)

それじゃ、いただきます、なの。
(ふーふーふーふーふーとお茶を冷ましにかかる。
もう13歳なのに、猫舌は治る気配がなくて、未だに熱い物はよく冷まさないといけない。)

ん…、はぁ……。
ほっとするの。
(やけどしない様にちび、ちびっと飲み込んで吐息を一つ。
口の中に広がる香りに癒されて耳がふにゃっとなる。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年5月16日
ふふ、熱いから気を付けてね。…いただきます、と。(実は姉も結構猫舌である。静かにふぅふぅ冷まして、ちびちび飲んではまた冷ます。華やかな風味に自然と口許は綻んで)

ロランは毎日勉強頑張ってて、偉いよねぇ。どう? 今日は捗った?(カップを傾けながらも、きみの研究成果はどうしても気になって。それとなく訊ねてみる)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月16日
あむあむ。
これ、おいしいね。
貰いものって言ってたけど、どこのお菓子?
(焼き菓子を一つ、自分のお皿にとって小さく切って口に入れて租借する。
程よい甘味と香ばしいバターが元気をくれるよう。)

…ん。
(ちらっと脇に片付けてある本の山と書箱に目をやって、耳を少し緊張させる。)
えと、色々あるんだけど、どれからお話したらいいかな?
(こういう場では、ロランは隠し事が凄く苦手である。
目線や耳、尻尾が雄弁に語るし、嘘を吐けない性格からか言葉選びがとても慎重になる様子。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年5月18日
UDCでお世話になってる人から頂いたんだ。人気の老舗ってやつらしいよ。(嬉しそうに食べる様子を見守りつつ、自分もマドレーヌをひとくち。バニラの香りがふんわりと広がって、とても美味しい)

…ん、(ぴんと張った耳に気付いたなら、ひと呼吸置いて柔らかな声で)
…ロラン、ダークセイヴァーの復興のために色々頑張ってるんでしょ。話、聞いてもいいかな。あたしが力になれることがあれば協力したいし。
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月19日
へぇ、UDCは、お菓子一つとっても、とっても豊かだね。
じぃやとマリアのお菓子も好きだけど、たまには、別世界のお店のを食べるのも、いいね。
(フォークで小さく切ってもう一口もぐもぐ。
 甘い香りを口いっぱいに広げてから、十分に冷めているお茶で口の中を湿らせる。
自然と、ホッとした息を吐いて気持ちを落ち着かせる。)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月19日
(敢えて、「どこから」という言葉で暈した。
 答えたくないという気持からだったが、姉は、もう聞きたい事が決まっている様子。
 真剣に応えないといけないと思い、表情を引き締める。)

あのね、今年の初めに、封神武侠界で戦争があったでしょ?
あの時ね、2つ、後悔した事があるの。
1つ目は、苦しむ妲己さんを救ってあげられなかった事。
もう一つは、鴻鈞道人を、打ち倒す力が、無かった事なの。
術式を編み出して対応する、今までのやり方じゃ、届かなそうだから…、
ぼく自身の、基礎を上げる方法を、探してたの。
(テーブルの端に寄せて詰まれた本を見る。
 無意識に、逆サイドに置いてある書箱に手を置いてしまう。
 それは、やっている研究が決して安全なものではない事を物語っているようだ。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年5月25日
ふふ、あたしもじいやとマリアのクッキー好き。また今度、二人でおねだりしてみよっか。

(お菓子のバニラやバターの上品な風味が、温かい紅茶と合わさってふわりと幸せな香りを生んだ。つい口許が綻ぶ)
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ニーナ・アーベントロート 2022年5月25日
(さっきまで穏やかな貌をしていたきみが、急に大人びたような錯覚。こちらもふにゃりと笑みを浮かべた口を、きゅっと一文字に結んで)

…うん、ロランが頑張って戦ってたの、報告書で見たよ。(日増しに強くなるきみがそのうち遠くへ行ってしまいそうで、姉としては少し寂しくもあるのだけど)
色んな世界の力や技術のお陰で猟兵もどんどん強くなってるけど…まだ、万能じゃないからね。
基礎の底上げって、危ないことじゃないよね? ロランが無茶したら悲しいって、お姉ちゃんが前に言った筈なんだけどなぁ。(頭ごなしの叱責ではなく、諭すように静かな口調で。まずは君の出方を見ようと)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月26日
(耳が萎れて、困惑の表情を浮かべる。
強く言ってもらえた方がいくらか楽だと思った。
姉の悲しそうな瞳を見るのが物凄く痛い。
でも、黙ってても、何も始まらないから、まだ少し熱のあるお茶をくいっと口に含んで、飲み込む。
舌がひりひりする感覚が、後押ししてくれるようだ。)

ん、その、新しい力や技術も、研究したりもしてるよ。
でも、一旦、今のぼくが持ってるもので、基礎を作るの。
えと…、体を鍛えたり、「ヒュッテンブレナー」の神髄を最初から学び直したり……、あとは、……………、「一時的に大人に成長する」方法、なの。

(最後の一つは、とても言いにくそうに絞り出した。)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年5月26日
正直に言っちゃうと、「一時的に大人になる」方法は、禁呪の類なの。
そういう魔道を専門にしてる仲間に、協力してもらって、実用化できそうな所まで、来てるの。
考えられる限り、問題点を解消できる方法を研究したけど、やってみないと、どうなるのかは分からないかな…。

(しっかり目を見て逸らさずに話す。
危険は覚悟の上だが、仲間を頼り、問題点の洗い出しと解消策を用意し、少しでも安全を確保しながらやっている。
自信はともかく、迷いはない。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年6月8日
(きみは本当に優しい子だから、多少自分が傷ついてでも皆を守ろうとしてしまう。でも自分だって、目の前で誰かが傷つくのを見たら黙っていられない性分だ。とことん向き合おうと腹を括り、手元に一欠片残った焼き菓子を頬張る)

なるほど。容量を増やす前に、器を大きく強くしようって話ね。
一時的に大人に、か……。
(絞り出すかのような言葉から感じたのは覚悟。その手段を使わないに越したことはないが、説得は難しそうだと察する)
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ニーナ・アーベントロート 2022年6月8日
協力者に恵まれてるのは、ロランのいいところだね。(大事にしてね、と力なく笑い)
……頼もしい顔しちゃって。ちょっとお父さんに似てきたかもね。

それ、あたしに何か出来ることないかな。今ね、昔のダークセイヴァーで、人狼病に罹った魔術師の人が遺した延命方法が書かれてる本の解読をしてるんだ。…本の損傷は酷いし、実現が難しい理論もあるから、他の世界の技術とかでカバーする必要はありそう、なんだけど。(止めて駄目なら、より良い方向目指して一緒に進むだけ。頭の中で言葉を整理しながら、ゆっくりと話す)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年6月12日
(どんな返事が来るだろうと、内心ビクビクと姉の様子を伺う。
そう言えば、こんな風に話し合うのは2回目だったなぁと、前回の事を思い出して心に痛みを感じる。)

ん、大人の姿になるのは、奥の手なの。
今は、おねえちゃんの力を借りて吸血鬼化すると大人の姿になるけど…、あの力は、借り過ぎたらダメだと思って。
(あの姿は、できるなら姉の為に使いたいから。
なぜなら、あの姿はローザママへの誓いなのだから。)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年6月12日
ん、書庫の司書をさせてもらってるのも、そういう目的があったからね。
(大事にしてね、と笑う姉の表情に少し疑問を持ちつつ。)
パパに?そうかな?
パパみたいに、頼もしい人になれたら、いいなぁ。
(優しい父親の顔を思い出して緊張していた表情が思わず緩む)

ん、ありがと。
そんな本、あったんだ?
里のお家にも、セーフハウスにもなかったと思ったんだけど…。
なら、その解読は、おねえちゃんにお願いしたいの。
ぼく自身だと、手詰まりだったの。
ぼくが解析した、ぼくの病気のデータを渡しておくね?
「おねえちゃん?」
『オッケー、任しといて!』
(姉からもらったUCを発動させると、姉によく似たAIキャラが元気に頷く。
ソーシャルディーヴァである姉のデータベースに、3重ロックされたデータを送信する。)
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ニーナ・アーベントロート 2022年7月15日
(少し怯えたような空気を感じ取ったなら、安心させるように笑いかける。前にこうしてぎこちなく顔を合わせて話をした時は、お互いどんな表情をしていたっけ。…なんて回想しつつ)

ん、そっか。まだ吸血鬼の魔力って全部が解明されてるわけじゃないし、力を分け与えすぎておかしな事になる可能性だって、あるわけだし。(禁忌に触れて異形となった母を想えば、胸が痛んだ。家族のきみと同じ力を共有できるのは、素直にうれしいけど)
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ニーナ・アーベントロート 2022年7月15日
確かに…書庫なら色んな知識が入ってきそうだし、物知りな友達もできそう。(流石は我が弟、と頷いて。沢山の人が弟を慕い、力になりたいと思ってくれているのは喜ばしいが、ちょっとだけ寂しいような)
うん。きっと、なれるよ。「もっともっと」ってがんばるロラン見てたら、なんか自然に思えてきちゃう。

あたしの人工心臓を作ってくれたお医者さんのツテを辿ってね。あの人長生きだし、延命の魔法とか、そういうのには貪欲な人だから。
解読は大変だけど…そう言われたらあたしも本気出してくしかないね。(へへ、と照れくさそうに告げ)
わ! ありがとう、仕事が早い…。このデータ、今見ても大丈夫かな?
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年7月16日
(笑いかけてもらえたなら、少し肩の力を抜いて自然と頬が緩む。そしたらすごく喉の渇きを感じて、すっかり冷めて飲みやすくなったお茶を半分ほどずずっと飲み干す。)

それもあるけど、ヒュッテンブレナーの血の繋がりから無理矢理力をもらってるのもあるの。
それに、借物ばかりじゃ、だめだとも思うしね。
(吸血鬼の力への恐れは、姉や友人のお蔭でほとんどない。禁忌には、自分の方が触れている自覚もある。だからこそ、借りてばかり、禁忌ばかりではない自分の力を欲しているのだ。)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年7月16日
ふふ、ぼくはあの書庫の司書に、ぴったりでしょ?
お給金ももらえるし、土地や施設も借りれるしね。
(実験室やキャバリア格納庫などまである今の書庫を思い浮かべながらほわりと笑う。)
ん、長生きできるようにするにしても、今は、20年後には実現したい事を最短で目指したいから、もっともっとがんばるの。
ヒュッテンブレナーの魔術でも、パパを追い越さないとね。

あ、そっちの知り合いからなんだね。
うん、そう言う人なら、色々知識を持ってそうなの。
おねえちゃん、お願いするね。(照れる姉にうれしくなってもう一度お願いする。)
ん、見ても大丈夫なの。
シスターネットワークに接続したら、そのパスは外れるから。
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年7月16日
(パスを通すと以下の情報がカルテ形式で現れる。
 続いて概要の抜粋をされた文章が表示される)

【人狼病の概要】
罹患者:ロラン・ヒュッテンブレナーの場合
・タイプ→心身の人狼化を促す繁殖型
・危険度→人狼化による直接の生命への被害はない。しかし、狂気と破壊衝動がとても強く、それ故に交戦的で戦いを求める傾向にある。
・罹患者への影響→大量の満月の魔力による浸食と身体変化、精神汚染

・ロランへの影響まとめ
 推定寿命:35歳前後
 身体浸食:48%(腕部、耳、手足の筋肉、脳の一部など)
 主な症状:人狼の力の源である満月の魔力が心身を浸食する。
      罹患者の持つヒュッテンブレナーの血と魔力が浸食へ対抗しており、人狼の力が活性化している時は身体の各所で組織破壊が起こっている。もっとも二つの魔力の反発が強いのは、心臓である。
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ニーナ・アーベントロート 2022年8月17日
(同じく少し冷めたお茶を飲んで、喉を潤した。こくん、と鳴った小さな音は、静かな部屋でやけに大きく響いたような気がした)

うんうん、やり方はひとつじゃないと思うんだ。…見つかってない世界だってきっと沢山あるし、猟兵の人たちがまだ誰も知らない方法だってある。
(迷いなく答えるきみを見て、あたしよりよっぽどしっかりしてるかもなぁ、とか思ったりして。自分の力で強くなりたいと思うのは、猟兵としての本能に近いのかもしれない)
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ニーナ・アーベントロート 2022年8月17日
確かに、書庫の番人…とか言うとなんかかっこいい響き。色んな旅団があるって楽しいし、いざというとき助けにもなるよね。あたしも友達のお店とかお家とかで、一時的に場所や道具借りたりするし。

できることを最短で…うん、そうだね。(不老長寿の種族は幾つもあるが、自分たちの時間は限られている。「あとどれくらい」と胸の裡に過った思いは振り払って)
お、志高いねぇ。ヒュッテンブレナー魔術の発展、あたしも力になりたいよ。
…うん、ありがと。(パスを通して、情報の羅列に目を通す)
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ニーナ・アーベントロート 2022年8月17日
(覚悟は確かにあったけど、包み隠さぬ実情は突き刺さるようで。身体の中心に埋まった人工心臓が、微かに震えた)
やっぱり、現実は甘くないね。侵食も進んでるし、寿命だって…。(決定的な治療法を見つけるには、まだ時間が必要だ。でも、病の進行は待ってくれない。こんなに簡単なことなのに、改めて痛感すれば胸は締め付けられて)
ね、心臓への反発が強いって書いてあるけど…苦しいとか痛いとか、感じることはある?
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年8月19日
ん、これからの活動次第だよね。
特に、デビルキングワールドの戦争の時に大きなお姉さんが言ってた、「終焉を終焉させる者」って言うのに、ちょっと期待してるの。
ぼくたちが扱えるものかは、わからないけどね。
(昔抱えていたであろう「強くなる事」に対する忌避感が薄れているようで、それでも「力」の持つ意味はしっかり考えている様子)

ん、あそこにはたくさんの知識と知恵、そして、絆が集まってるの。
おねえちゃんもそういう場所があるのは、うれしいの。
お友だちのお店って、どんなところ?
(思えば姉の身辺の話を聞くのは珍しいことだなぁと思いながら、暗くなりがちな話題から外れてお互いのことを話せることがうれしい)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年8月19日
目標を早く達成できれば、その分、別のことにかけれる時間を増やせるからね。(話しぶりからは、寿命に即してライフプランを考えてるニュアンスがどこかしらににじみ出て)
ん、おねえちゃんは、「力になる」じゃなくて、「ヒュッテンブレナー式」を、正式に継げるんだよ?
だって、おねえちゃんの本物の心臓は、お姉ちゃんの手の中にあるんだから。
(すっと一冊の本を差し出す。表紙にはタイトルはなく、カバーをめくるとヒュッテンブレナーの家紋のみが記されている)
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ロラン・ヒュッテンブレナー 2022年8月19日
(データを読んでみるみる曇っていく姉の顔に不安と心配が膨れ上がって苦しくなる。つぶやきも、自分はすでに飲み込んだことだから平気ではあるが、それでも、姉の問いに答えるためには、お茶を一口含んで飲み下す必要があった)

ん、ヒュッテンブレナーの魔術の神髄は、「心臓」にあるの。
血に術式を書き込んで、受け継いでいく魔術なの。
だから、心臓が、ぼくの魔力の源なの。
ヒュッテンブレナーは、魔力と命がイコールなの。
(ふぅっと息を吐いて)
だから、満月の魔力が心臓を侵食するときに、一番激しく魔力同士の反発が起こるの。
でも、心臓まで侵食するほど活性化するのは、満月の夜と、人狼魔術を使うときくらいなの。
息が止まって、とっても苦しいけど、普段はほとんど、苦しくも痛くも、ないよ?
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